文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、地域社会や産業社会の発展に役立つ会社として、様々なステークホルダーと誠意をもって接するとともに、信念を持って積極果敢に挑戦することを企業理念に掲げ事業活動を行っております。
当社の企業理念は次のとおりです。
1.私達は、創意と工夫をもって新しい価値を創造し、社会の発展に貢献します
2.私達は、会社を取り巻く全ての人々と誠意をもって協調し、会社の繁栄と全員の幸福との一致を、追求します
3.私達は、自らの責任を自覚し、英知と信念をもって可能性に挑戦します
(2) 経営環境
国内外の経済情勢につきましては、コロナ禍前の経済活動を取り戻しつつありますが、エネルギー価格の高騰は高止まりの状況であり、食料品や生活必需品の値上げによる物価の上昇により消費の冷え込みが懸念され、ウクライナや中東における地政学リスクのさらなる増大など、景気回復に影を落とす様々な課題が山積しており、先行きの見通しが困難な経済環境で推移するものと思われます。
当社製品は、輸送機器、医療機器、半導体製造装置等の関連業界を主な販売先としており、いずれの業界におきましても、設備投資や製品開発に積極的であり、当社グループへの受託開発・受託製造等のニーズも高まっております。国内外の経済情勢や山積している課題の動向によっては厳しい局面も想定されますが、事業のさらなる拡大発展を目指し、既存設備の増強や更新、修繕などの設備投資を行うとともに、当社の特色を生かした新規事業の早期創出、新製品開発や営業力強化に一層注力してまいります。また、次代を担う人材の採用と育成、新規事業、資金など常に柔軟に対応するバランスの取れた経営を目指してまいります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、顧客ニーズに最適な独創性の高い高付加価値製品で事業の拡大と収益性の増大を目指していることから、売上高並びに売上高営業利益率を重要な経営指標としております。2025年3月期においては、売上高23億50百万円以上、売上高営業利益率10%以上を目標としております。
(4) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
当社グループが取組むべき中長期的な戦略といたしましては、どのような経営環境下においても常に収益を確保できる柔軟な経営基盤とすべく、X線残留応力測定装置関連、ヘルスケア装置関連、光応用・特殊機器装置関連を中核事業と位置付け、新たな柱となる新規事業を模索しつつ、さらなる事業の拡大発展に向けて次の経営課題に取組んでまいります。
① 製品セグメント別の重点課題
X線残留応力測定装置関連
・μ-X360Jを中心とした新製品の販売強化
・海外子会社及び国内外の商社・代理店の有効活用による販路の拡大
・WEBを活用したセミナーや販促活動の充実強化
・既存顧客へのサポート体制の整備及び保守メンテナンスの拡充
・装置レンタル及び受託計測サービスの充実強化
ヘルスケア装置関連
・受託開発完了後の生産性向上及び原価低減並びに品質管理の体制強化
・新規顧客の開拓による安定基盤の構築
・事業規模拡大に伴う人的リソースの確保
光応用・特殊機器装置関連
・既存顧客との関係強化による事業拡大
・高付加価値でリピート性の高い専用検査装置の受注確保及び原価低減
・設計、製造業務委託先の開拓と連携強化
② 新製品・新規事業の早期創出
当社の保有技術、強みを活かした高付加価値製品の開発と新規事業の早期創出に注力するとともに、独自技術の研鑽に努めてまいります。
③ 仕入先や外注加工先との連携強化
既存の調達先との良好な関係を維持するとともに、新たな調達先の開拓に一層注力することにより、さらなる原価低減、品質向上、納期短縮に努めてまいります。
④ 人材の採用と育成
持続的な成長を実現するために、新規学卒者の採用拡大に加え、即戦力となる中途採用、パートタイマ、嘱託社員、派遣社員など多くの人材の積極的な採用活動を実施してまいります。
また、人材育成と組織の活性化は重点課題であり、多様な人材が活躍できる職場環境を構築し、自らリーダーシップを発揮できる人材の育成に一層注力してまいります。
⑤ 大規模災害に備えたBCP対策
中核となる事業の継続や早期復旧のために、避難訓練及び安全対策並びに各種保全対策等の実施や、緊急時における事業継続のための方法・手段などについて策定してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
当社グループの主力製品は、測定・検査・評価を行う機器装置であり、環境に優しい製品づくりを推進するとともに、顧客要求に応えた多くの製品を提供することで、産業社会の発展と企業の持続可能性を追求し、企業価値の向上を目指してまいりました。
サステナビリティに関する取組といたしましては、「経営会議」及び「品質・環境会議」においてサステナビリティ全般に関する課題の抽出を行い、重要課題やリスクの特定、取組むべきテーマを絞り込み、「取締役会」で承認された経営方針に基づき、各部門の実行計画の進捗管理を行い、その内容を毎月開催される「経営会議」で報告しております。
また、当社グループが直面する様々な法律上、倫理上の課題解決のための指針を社員に示すとともに、組織体制の整備、仕組みや制度の見直し、人材の育成強化を図るための方策を決定し適宜実施するなど、企業の持続的な成長発展を目指した取組を行っております。
(2) 戦略
当社グループは、環境問題や気候変動などについて企業が果たすべき役割の重要性が高まっていると認識しておりますが、当社グループの主力製品は測定装置や検査装置などの開発及び組立であり、環境や気候への影響は軽微であるため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)と同等の枠組みによる開示は行っておりません。
環境方針の基本理念として「美しい地球を未来に」をスローガンに、永続的な発展のための経営戦略、経営課題に取組むことで、「環境との調和」の実現に努めております。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
<人材の確保及び育成方針>
当社グループは、企業の持続的成長に不可欠な人材の確保として、新規学卒者の採用に向けて関係性の高い大学を中心に積極的に採用活動を行うとともに、即戦力となり得る中途技術者の採用や定年退職者の再雇用に加え、嘱託・パートタイマ・派遣社員の活用につきましても、ニーズに応じてタイムリーに対応できるよう活動しております。時間外勤務の低減のほか有給取得率の向上、新たな休暇制度の導入など多様な働き方に柔軟に対応する制度を導入しております。
また、人材の継続的育成を図るため、全社員を対象としたスキルマップ表に基づき、事業年度毎に教育計画を作成のうえ、社員個々のレベルに応じた教育を選定し実施しております。
<社内環境整備方針>
当社グループは、自社開発や受託開発などの高付加価値製品を提供しており、多様な労働力を確保する必要があります。生産性の向上、品質の安定、顧客満足の向上を実現するために、社内外で開催される各種セミナーの受講などを活用し、職位別の階層別教育、職能別に求められる技能の専門教育など、能力を最大限に発揮できるために必要な知識習得を支援する研修を実施しております。様々な人材が活躍できる環境を整備し、社員のスキルアップのために必要な人材教育、新たな知識の習得の機会を整備してまいります。
当社グループが実施している継続的な人材育成の主な内容は、次のとおりであります。
① 階層別教育
管理・監督者用の階層別教育として、労務管理、ハラスメント対応、人材育成等をテーマに、集合教育やビデオ研修を定期的に実施するほか、同じ職制での交流会を開催し、実例を交えた課題をテーマに管理・監督者が抱える課題の解消やスキルアップに努めております。
② 他社との合同による集合研修
当社が所属している工業団地では、事務局において工業団地参画企業全体のレベルアップを図るための合同セミナーや教育研修が企画されており、参画企業のニーズに応じた研修計画に基づき、基礎的な社会人研修や技術研修から経営全般の教育まで実施されるため、研修内容に相応しい受講者を派遣しレベルアップを図っております。
③ 自己申告制度の活用
担当業務の適正、上司・部下・同僚との人間関係、スキルアップの状況などを記述する自己申告書に加え、ストレスチェックやメンタルヘルス調査などを定期的に実施し、全社員が生き甲斐を持って仕事に取組めるような良好な職場環境づくりに努めております。また、日々の業務態度や仕事の成果から高ストレスを未然に防ぐよう、個々の面談の実施など風通しの良い職場環境を構築しております。
④ 健康経営の推進
生活習慣病の予防や健康増進を意識するよう、定時退社日に「歩け歩け運動」を開催するほか、血管年齢測定や野菜取得量チェックなど社員が興味を持つようなイベントを実施しております。業務の効率化による時間外労働の低減、年次有給休暇の取得率向上など働き方改善を意識するとともに、保健指導の活用による定期健康診断の有所見率の低減、産業医による職場巡回と健康相談の実施、健康づくりコンテストの開催など、社員が楽しく健康増進に取組めるよう企画し、計画的に実施しております。
(3) リスク管理
当社グループのリスク管理は、月次で開催される「経営会議」において、各部門長より提起された課題ごとに審議検討のうえ、必要に応じて対策を講じることとしております。
当社グループが認識している主なリスクは、労働法令に関するリスク、環境関連法令に関するリスク、知的財産に関するリスク、営業情報や機密情報に関するリスク、貿易法令に関するリスク、会社資産の横領や背任行為に関するリスクなどであり、発生の可能性の多寡に応じて対策を講じるなど、未然防止に努めております。
また、四半期ごとに開催する「品質・環境会議」において、製品の品質や環境に関連して発生するリスクに加え、行政からの要請や地域における課題についても、議論の対象として取組んでおります。
(4) 指標及び目標
当社グループは、性別にかかわらず優秀な人材を確保するための採用活動を積極的に行っておりますが、採用枠の少ない事務職を希望する女性は多いものの、採用枠が多い技術職や営業職を希望する女性は少ないため、男性社員の占める割合が高くなっており、女性の管理・監督職は極めて少なく、今後の課題となっております。
ワーク・ライフ・バランスを整え、有給休暇制度の拡充と取得率向上に努めるとともに、性別にかかわらず働き甲斐があり活躍できる職場環境を整備することにより、多様な人材の確保と育成に取組んでまいります。
当社グループの多様性のある人材の確保を含む指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
① 女性の管理・監督職を現在の1名から2名以上とする
当社の女性社員数は正社員128名のうち17名であり、女性の管理職以上の社員は1名、係長以下の監督職の社員は1名です。女性の管理・監督職の候補者を選任のうえ、必要とする教育・指導を行い、早期に登用できるよう取組んでまいります。
② 有給休暇の取得率を90%以上とする
当社は、社員全員が健康で働きやすい職場環境となるよう、制度改革や運用面において様々な活動を行っております。年次有給休暇の計画付与により夏季・冬季休暇と組合せた長期休暇の取得を実現していることや、時間単位で取得できる有給休暇制度の導入など、ワーク・ライフ・バランスとともに、メリハリを付けた働き方を進めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 製品の特色
当社グループの製品は、研究開発部門、品質管理部門、生産部門で使用する検査装置や評価装置が主体であることから、高付加価値、高収益性、高成長性を有する反面、業界の景気動向や各企業の設備投資動向が悪化する局面においては、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、競合先から類似製品や低価格製品が市場投入された場合や顧客の方針転換により検査装置を内製化することとなった場合は、市場規模も縮小する可能性があり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 新規事業及び新市場への展開
当社グループは、新規事業の創出や新市場への参入に積極的に取組む方針であり、新たな開発投資や設備投資が必要となります。新規事業が安定的な収益を計上できるようになるまでには一定の期間が必要であり、結果的に全体の利益率を低下させる可能性があることに加え、新市場における当社製品の認知度は低く、業界風土や商習慣においても不慣れであることから、当初計画と実績に乖離が生じる可能性があります。
今後の市場環境や顧客動向の変化等によっては、利益計画の見直しや投下資本の回収が困難になるなど、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 自社製品開発及び受託開発
当社グループは、さらなる事業の拡大発展を図るため、自社製品開発に積極的に経営資源を投入していく方針でありますが、開発を完了した新製品のすべてが経営成績に寄与する保証はありません。また、受託開発は総じて難易度が高く、当初の予想工数を大幅に超過してしまうこともあります。
今後の市場環境や顧客方針の転換等によっては、利益計画の大幅な見直しや事業規模の縮小又は中止を余儀なくされる可能性があり、このような場合は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 部品の調達
当社製品に使用する電子部品及び精密機構部品等は、主に商社やメーカから調達しており、需要過多による原材料不足や労働力不足などにより、部品メーカの生産がひっ迫する状況下では、複数の購入ルートを有していた場合でも、安定供給を受けられない状況となります。
また、成形品や金属加工品などの特注部材は、加工外注先に生産委託して調達しており、加工外注先の繁忙期に備え相当数の加工外注先を確保しておりますが、加工外注先全体の稼働率が上昇するような局面においては、安定した特注部材の調達が困難になる可能性があります。
安定した品質、納期、予定価格どおりに部材の調達ができない場合は、生産遅延や納入遅延が発生し、顧客の信頼を損ねるなど業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害による影響
当社は、地震や火災などの自然災害に備え、避難訓練及び安全対策の実施並びに各種資産の保全対策等を講じておりますが、今後予想される東海地震等の大規模な地震が発生した場合は、本社工場を静岡県浜松市に設置しているため、事業活動に多大な影響を及ぼす可能性があります。
また、近年増加している局地的な豪雨、台風などによる風水害や土砂災害のほか、大規模な停電や断水などの被害も発生していることから、本社工場の罹災に加え、社員の生活インフラへの影響も懸念され、復旧に時間を要する場合は、事業活動が停滞する可能性があります。
(6) 海外における事業展開
当社グループは、アジア、北米、ヨーロッパに販売及びメンテナンス拠点を設置し、グローバルな事業展開を行っております。海外市場では、各国の政治・経済の混乱や新たな政策の決定、法律又は規制の制定や変更など目まぐるしく変化しており、その内容によっては、当社グループに不利益が生じる可能性があります。また、テロや戦争による治安情勢の悪化、感染症や伝染病の発生などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合には、安定した製品供給ができなくなる可能性があります。
(7) 人材の確保
当社グループは、社員全体の平均年齢が上昇し、年齢構成や人員構成の偏りが顕著となっております。
今後、新規学卒者の採用を拡大した場合、人件費等の固定費の増加が先行することから、一定期間は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、中途採用とともに新規学卒者の採用も行っておりますが、多くの企業で人材不足となる状況下であり、即戦力となる人材の確保が大きな課題となっております。定年退職者の再雇用など、人材不足の解消に努めておりますが、働き手の減少により安定した労働力の確保が困難となった場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績、目標とする経営指標及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響も限定的となり、消費の拡大やインバウンド需要の増加、株価の上昇などにより、景気は回復基調となりましたが、ウクライナや中東情勢の悪化による地政学リスクの高まりに加え、物価の高騰や円安の進行などの懸念材料も多く、先行き不透明な状況で推移いたしました。
当業界におきましては、半導体等の調達難は概ね解消傾向で推移いたしましたが、主要部品の一部には長納期を要するものもあり、納期遅延や生産調整を余儀なくされるケースも散見されるなど、依然として厳しい受注環境で推移いたしました。
このような状況のなかで当社グループは、展示会や学会等への出展強化、WEBセミナーの継続開催、ホームページやSNSによる情報発信の積極展開など、新規顧客の獲得に注力する一方、リピート受注や新たなニーズの発掘を図るため、既存顧客との良好な関係の維持向上に努めました。
以上の結果、売上高は26億12百万円(前年同期比6.7%増)、営業利益は3億58百万円(前年同期比18.8%増)、経常利益は3億86百万円(前年同期比16.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億27百万円(前年同期比34.6%増)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。なお、セグメント利益と営業利益の差額は、主に全社費用である一般管理費であります。
(X線残留応力測定装置関連)
展示会や学会等への積極的な出展に加え、ホームページやSNSを活用した営業展開により、製品の販売、計測サービス、装置レンタルのいずれも好調に推移いたしました結果、売上高は8億91百万円(前年同期比36.3%増)、セグメント利益は3億84百万円(前年同期比82.3%増)となりました。
(ヘルスケア装置関連)
半導体等の調達難も緩和され生産環境も整いつつありましたが、受託開発案件の一部に進捗遅れが発生したことや、顧客都合による販売計画の見直しによって生産計画が先送りされたことなどの影響により、売上高は9億1百万円(前年同期比9.7%減)、セグメント利益は43百万円(前年同期比65.4%減)となりました。
(光応用・特殊機器装置関連)
個別案件の引合いは引き続き好調を維持しており、受託製品の生産や納品も概ね良好であったことから、売上高は8億19百万円(前年同期比2.9%増)、セグメント利益は2億58百万円(前年同期比0.3%増)となりました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1億63百万円増加し、26億12百万円となりました。
当連結会計年度の売上高営業利益率は、前連結会計年度に比べ1.4ポイント改善し、13.7%となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べて6億63百万円増加し、51億82百万円となりました。これは主に、現金及び預金が3億56百万円、原材料及び貯蔵品が1億91百万円、建設仮勘定が1億13百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比べて4億6百万円増加し、15億7百万円となりました。これは主に、電子記録債務2億18百万円、未払法人税等1億13百万円それぞれ増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比べて2億56百万円増加し、36億74百万円となりました。これは主に、利益剰余金が2億31百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて3億56百万円増加し、22億67百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、3億98百万円の獲得(前年同期は1億5百万円の使用)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上4億26百万円、仕入債務の増加2億51百万円であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加2億54百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、89百万円の獲得(前年同期は23百万円の獲得)となりました。主な増加要因は、保険積立金の解約による収入1億47百万円、有価証券の償還による収入73百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1億31百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1億46百万円の使用(前年同期は2億26百万円の使用)となりました。主な減少要因は、配当金の支払額95百万円、長期借入金の返済による支出50百万円であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
なお、総販売実績に対する当該割合が100分の10未満である販売実績につきましては、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成において重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであり、投資の減損及び繰延税金資産の会計方針は、次のとおりであります。
a.投資の減損
当社グループは、市場価格のある有価証券と市場価格のない有価証券を有しております。市場価格のある有価証券は、期末日の市場価格等に基づいて計上しております。市場価格等が取得原価に比べて30%以上下落した場合は、原則として減損処理を行うこととしております。市場価格のない有価証券の減損処理は、純資産額の減少、財政状態及び将来の業績予想等を総合的に勘案のうえ評価することとしております。
b.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収の可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当額の計上を検討する際は、将来の課税所得と実行可能なタックス・プランニングを考慮することとしております。
新型コロナウイルス感染症については、様々な規制が緩和され景気も回復基調となりましたが、エネルギー価格の高騰、生活関連製品の値上げによる物価上昇など課題が山積することとなり、先行き不透明な環境下で推移いたしました。
このような状況のなかで当社グループは、働き方改革の継続に加え職場環境の整備や人材育成に重点的に取組むとともに、「品質ロスは経営ロス」との認識に基づき、設計や生産工程に潜む様々な無駄を抽出する活動に注力いたしました。また、電子部品や加工品などの新たな仕入先の開拓、入手性の良い部品への設計変更、生産工程の見直し、内製化などに取組み、原価低減に努めました。
中長期的な経営基盤強化の観点からは、新規事業の創出に加え新製品の開発投資などの先行投資を積極的に行うとともに、既存設備の増強や営繕の実施、営業力の強化、優秀な人材の採用と育成に一層注力いたしました。
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
売上高
当連結会計年度の売上高は、「(1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上原価
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度と比べ76百万円増加し、15億86百万円(前年同期比5.1%増)となりました。また、売上高総利益率は、前連結会計年度と比べ1.0ポイント改善し39.3%となりました。
主な改善要因は、付加価値の高いⅩ線残留応力測定装置関連の売上が増加したことに加え、ヘルスケア関連装置では半導体部品の納期遅延が解消し順調に生産が進んだことから、稼働率が向上し作業効率の改善が図られたことによるものであります。
販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ30百万円増加し、6億67百万円(前年同期比4.8%増)となりました。人件費に関連する項目の増加がありましたが、研究開発費や広告宣伝費、旅費交通費などは概ね前年と比べ同水準での推移となりました。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える主な要因は、次のとおりであります。
受注環境の悪化
当社グループは、電子機器メーカ、機械メーカ及び自動車関連メーカを主要顧客としており、これらの業界の業績や設備投資動向によっては、受注環境が一気に冷え込む可能性があり、このような状況が顕在化した場合は、業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
受託開発の増加
顧客仕様による受託開発や受託生産の増加に伴い、開発工数や調達部材の予算超過による開発費用の増加、当初の見込みとの相違によるスケジュールの遅延、開発仕様の内容不備による機能・性能面の不足又は過剰による不具合の発生など、トラブルが顕在化し許容範囲を超えた場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
部品の入手難
経済活動の回復により、各製造メーカの生産活動が増加していることから、引き続き半導体等の電子部品の調達が厳しくなっております。このような部品の入手状況が継続した場合は、当社製品の製作期間が長期化することに加え、部品入手時期が未定では生産計画も立てられないため、顧客要求の納期に間に合わず失注となる可能性があります。
人材の確保
社員の平均年齢が上昇しており、今後定年退職者の再雇用が増加する傾向にあり、新卒採用に加え、派遣社員の受入れや即戦力となり得る人材の採用に注力しておりますが、思うような人材が確保できない場合は、受注活動に支障をきたす可能性があります。
業務委託先の確保
受注量の増加に対処するため、設計・製造業務の委託先の確保に注力しておりますが、力量、価格・納期・品質などの面において顧客の要求を満たせない場合は、新たな受注活動に支障をきたす可能性があります。
新たな調達先の確保
顧客仕様による受託開発や受託生産は、特殊な部材や経験のない加工を顧客から指定される場合があり、従来の購入先や加工外注先では調達できないケースも散見されます。このような場合は、新規の購入先や加工外注先の開拓が必要となりますが、新たな調達先を確保できない場合や、価格・納期・品質などの面において顧客の要求を満たせない場合は、新たな受注活動に支障をきたす可能性があります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、現在及び将来の事業活動に必要な運転資金を確保し健全な財政状態の維持・向上を図るとともに、効率的な運転資金の管理を行うこととしております。
また、事業のさらなる拡大・発展を図るため、新規事業の創出や新製品・新技術の開発、既存設備の増強及び営繕や生産・研究開発用設備等に必要な資金は、内部留保資金を活用し、必要に応じて金融機関からの借入により調達することとしております。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.株式時価総額は、期末株価終値×発行済株式総数(自己株式を除く)により算出しております。
2.2020年3月期及び2023年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
該当事項はありません。
当社は、電子技術、精密機械技術、ソフトウェア、光波センシング技術の各要素技術を複合した製品開発を得意としており、当社独自のカタログ製品の開発に加え、優良顧客からの要請に基づく受託開発や共同開発にも積極的に取組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
なお、セグメント別の主な開発のテーマは次のとおりであります。
X線残留応力測定装置関連
・次期X線残留応力測定装置の開発検討
・放射線影響下で測定可能な半導体センサの開発