第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループの企業理念体系として、当社グループの存在意義を示す「MJCの使命」、当社グループが将来に向かって目指すべき姿を示した「MJCの目指す姿」、「MJCの使命」と「MJCの目指す姿」を実現するために、グループ社員全員が共有すべき価値観を「私たちの大切なもの」として以下のように定めています。

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MJCの使命(MJC Mission)「電子計測技術を通して広く社会に貢献する」

当社グループは、ステークホルダーの皆さまのために果たすべき「MJCの使命」を掲げています。創業から技術を探求し磨き、エレクトロニクスの発展とともに当社グループも成長してきました。これからも変わることなく、私たちはこの「MJCの使命」のもと、より豊かな社会の発展に貢献するため挑戦し続けます。

 

MJCの目指す姿(MJC Future Vision)

「MJC YOUR Best Partner, MJC Anytime Anywhere」

長期的な当社グループの目指す姿を表した「MJC Future Vision」を、事業環境の変化を踏まえて、この「MJCの目指す姿」に集約しました。

「MJCの目指す姿」は、幅広いステークホルダーの皆さまにとって、MJCがどのような存在でありたいかを表しています。“ステークホルダーの皆さまのベストパートナーを目指したい”、“いつでもどこでも選ばれる存在でありたい”、そうした思いを胸に、私たちはより良い未来に貢献していきます。

 

私たちの大切なもの(Our Values) 「QDCCSS + QDCCSS2.0」(呼称:クダックス)

原点となる「QDCCSS」は、お客さまからの信用と信頼を得るために誕生し、長年に渡り浸透し続けている私たちの大切な価値観です。更に、事業環境の変化と社員の声から、新しい価値観が求められていることを踏まえ、新たに、成長のための「QDCCSS2.0」を制定しました。「私たちの大切なもの」を成長の原動力とし、「MJCの使命」と「MJCの目指す姿」の実現を目指していきます。

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(2)経営戦略等

(中期経営計画FV26の見直し)

2026年度を最終年度とする中期経営計画「FV26」を上方修正し、新たな経営指標を2024年11月に開示しました。

 

1.見直しの背景

最近の業績動向や外部環境の変化を踏まえ、中長期的に市場はさらに成長するとの見通しから、中期経営計画「FV26」の経営指標の見直しを行いました。

 

2.変更の要点

メモリ向けプローブカードの施策として生産能力強化を掲げていましたが、メモリ向け市場は中長期的にさらに高い成長が続くとの見通しから、需要拡大に備えるべく追加設備投資を行います。それに伴い、経営指標として掲げていた数値も変更いたします。なお、2023年8月10日に公表した重点施策に変更はありません。

 

3.経営指標

経営指標

最終年度2026年12月期

見直し前

見直し後

差異

売上高

650億円

800億円

+150億円

営業利益額

150億円

200億円

+50億円

営業利益率

23%

25%

+2%

ROE

20%

23%

+3%

 

前提条件(見直し前):プローブカード市場が年平均成長率(2024~2026)7%で成長した場合

3ヵ年の平均想定為替レート 1ドル=130円

前提条件(見直し後):プローブカード市場が年平均成長率(2024~2026)20%で成長した場合

3ヵ年の平均想定為替レート 1ドル=147円

 

4.投資計画

投資計画

2023年~2026年(4年間)

見直し前

見直し後

差異

設備投資額

300億円

480億円

+180億円

研究開発費

200億円

220億円

+20億円

総額

500億円

700億円

+200億円

 

5.資金手当て

自己資金及び借入金等

 

<重点施策>

・MJC Future Visionを踏まえ、2026年を最終年度とし、市場成長率を上回る成長を目指します。

・積極的に設備投資・研究開発へ投資することで、お客様のニーズに応えて共に成長します。

・サステナビリティへの取り組み、DX推進を成長の機会と捉え、人財育成と組織力を強化し推進します。

・電子計測技術を通して、更なる企業価値の向上と社会貢献に努めます。

 

<プローブカード事業>

・メモリ向けプローブカードは生産能力強化と新技術開発で圧倒的なシェアNo.1を維持します。

・ノンメモリ向けプローブカードはMEMSタイプの新製品投入によりシェア拡大を目指します。

・お客様へのサポートを充実させ、より一層のサービスを充実させるとともに、新たなお客様とのリレー

ションを築いていきます。

 

<TE事業>(TE:Test Equipment)

・コンタクタビジネスの成長により安定収益源を目指します。

・半導体テスト向けの新製品で、新たな価値を創造し成長を目指します。

・お客様へのサービスをより充実させることで、フィールドサポート(ポストセールス)を第三の

収入源とします。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、株主価値重視の観点から、売上高、営業利益、営業利益率、ROE(自己資本利益率)の経営指標を目標として企業価値の向上に努めてまいります。株主と債権者から預かった資本を将来有望な事業の研究開発、設備投資、M&A、人的資本などに積極的に投下し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいりたいと考えております。

 

(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループにおけるプローブカード事業は、前期後半から拡大したHBMの需要が継続したことで、DRAM向けプローブカードが好調に推移しました。一方、NANDフラッシュ向けプローブカードの需要回復が遅れており、低調な結果となりました。また、ノンメモリ向けプローブカードは、前期にリリースしたMEMS垂直型プローブカードの顧客認定評価が進み、売上に結び付けることができました。引き続き拡販に向けた営業活動を推進しております。一方、TE事業では、パッケージプローブが安定的に売上げに貢献し、全体としては前年同期比で増収となりましたが、利益においては損失が拡大しました。中長期での業績回復を目指し、リリースした新製品の顧客評価と拡販活動に注力するとともに、各プロダクトの強化に向け研究開発を継続します。

財務面においては、投資計画に必要な資金の安定的な調達と機動的な資金調達の実行により、強固な財務基盤を維持してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 近年、気候変動問題をはじめ多くの社会課題の解決に向けて、企業によるESGやサステナビリティに関する取組みの強化が求められています。

 当社グループは「電子計測技術を通して広く社会に貢献する」をMJCの使命に掲げ、ステークホルダーの皆さまと共に発展し、以下の方針のもとサステナビリティに取組むことにより、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。

 

[サステナビリティ方針]

1.健全な発展を推進する企業

社会的な責任を果たすと共に経済的繁栄に努める。

2.お客さまに信頼される企業

お客さまに価値の高い製品・サービスを提供する。

3.環境と社会へ思いやりと感謝を持って接する企業

豊かな環境作りに努め社会と協調していく。

4.社員一人ひとりが多様な力を発揮できる企業

社員一人ひとりが自ら成長し多様な力を発揮できる仕組みを構築する。

 

① ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティへの取組みを重要な企業活動と位置づけ、中長期的な企業価値向上を実現するため、以下のガバナンス体制を構築しております。

<取締役会>

 取締役会では、サステナビリティに関する基本方針や戦略の方向性を定め、執行側のサステナビリティ戦略・施策の妥当性や、進捗状況について監督しております。なお、当連結会計年度においては、以下事項について承認をしました。

・サステナビリティに関する基本方針策定

・マテリアリティ(重要課題)の特定、具体的な取組み施策

 

<経営会議>

 経営会議において、取締役会にて決定されたサステナビリティに関する基本方針や戦略の方向性を踏まえ、より具体的なサステナビリティに関する戦略及び戦略を実行する施策について審議を行っております。また、経営会議での審議結果や各施策の進捗状況は、取締役会へ報告をしております。

 

<サステナビリティ諮問委員会>

 取締役会の諮問機関であるサステナビリティ諮問委員会は、当社グループが行うサステナビリティ推進活動を管理・監督することを目的としています。当諮問委員会により、取締役会を中心としてガバナンスとリスク管理を行う体制を確立し、中長期的な企業価値の向上を実現します。

 委員長に社外取締役を据え、委員は社長及び社内外取締役、外部有識者で構成され、当連結会計年度において3回開催し、以下の事項について議論しました。

・気候変動に対する取組みの検討

・人的資本に関する取組みの検討

・サステナビリティ推進部の活動報告

 

<コンプライアンス・リスクマネジメント委員会>

 当委員会はリスク対応を行う各部門のリスクマネジメント活動が適切に行われ、グループ全体の活動を把握し、モニタリングを行います。モニタリングされたリスクマネジメント活動は、経営会議に報告され、取締役会で審議されます。

 

<サステナビリティ推進部>

 これらガバナンス体制を有効に機能させるため、社長直轄部門として設置されているサステナビリティ推進部で活動を推進しています。

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サステナビリティ推進体制図

 

② リスク管理

 当社グループは、リスクマネジメントの最高責任者を社長とし、経営に重大な影響を与えるリスクが発生した場合の損失を軽減し、事業継続を推進することを目的としてリスクマネジメント活動をしております。

 当社は、リスクの対応を行う各部門のリスクマネジメント活動が適切に行われ、グループ全体の活動を把握しモニタリングすることができるようにコンプライアンス・リスクマネジメント委員会を設置しています。

 コンプライアンス・リスクマネジメント委員会で把握、モニタリングされたリスクマネジメント活動は、経営会議に報告され、取締役会で審議されます。

 

③ 戦略、指標及び目標

 当社グループが取組むべきマテリアリティ(重要課題)を経営戦略と連動した取組みとして以下のように定め、取締役会において決議しました。

 

 

マテリアリティ

(重要課題)

具体的な取組み

主な指標及び目標

1.付加価値製品の継続的な創出と生産性・業務効率化の追求

・新製品及び付加価値/差別化製品開発、市場投入によるマーケットシェアの拡大及び収益性の向上

・グローバルな顧客とのリレーション強化

・生産効率改善:自動化設備投資による生産性の向上及びDXによる業務効率化

2026年12月期

・売上高:800億円

・営業利益額:200億円

・営業利益率:25%

・ROE:23%

詳細は「P.8 (2)経営戦略等(中期経営計画FV26の見直し)」をご参照ください。

2.多様な人材の育成と活躍の推進

・人材育成とキャリア自律支援

・多様な人材が活躍できる職場環境、組織風土の醸成

・健康経営推進

2026年12月期

・女性管理職比率:8%

・女性新卒採用比率:30%

・障がい者雇用率:2.7%

詳細は「P.15 (3)人的資本に関する戦略」をご参照ください。

3.事業を取巻く環境への適切な対応

・気候変動対応及び省エネルギー推進

・3R(リデュース、リユース、リサイクル)活動

・環境対応、化学物質管理

・2030年:当社グループのGHG(※1)総排出量を2024年基準で20%削減

・エネルギー消費原単位を過去5年間平均1%以上削減(※2)

・廃棄物の削減、製造工程における希少金属の回収、顧客の不使用製品部材リユース活動

・環境負荷の低減

・化学物質管理などの法令違反ゼロを維持

詳細は「P.14 (2)気候変動 ③指標及び目標」をご参照ください。

4.強固な事業基盤の構築

・コンプライアンスの浸透と徹底

・グローバルリスクマネジメント体制の高度化

・事業継続計画(BCP)

・コンプライアンス教育を年1回実施

詳細は「P.35 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

※1 GHG(Greenhouse Gas):温室効果ガス

※2 エネルギー消費原単位:エネルギー効率を表す値(当社原単位はエネルギー使用量と生産数で算出)

https://www.mjc.co.jp/sustainability/environmental/ に結果を公表しております。

 

(2)気候変動

 近年、環境、特に気候変動は世界に重大な影響を与えています。当社グループはこの事実を重要事項と捉え、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づき、当社グループ内の気候変動に関する重要なリスクと機会を検討し、気候変動によって受ける影響を分析した結果を開示しています。また、気候変動の緩和に向けて、省エネルギー化、温室効果ガス削減に努めてまいります。

 

① ガバナンス及びリスク管理

 気候変動に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティ全般のガバナンス及びリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティに関する考え方 ①ガバナンス及び②リスク管理」をご参照ください。

 

② 戦略

 気候変動が事業に及ぼす影響については、IPCC(※1)(気候変動に関する政府間パネル)の最新の報告書である第6次評価報告書やIEA(※2)(国際エネルギー機関)の「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」の2つのシナリオで、気候変動のリスクと機会の識別を実施しました。

 2℃未満のシナリオ下で生じる移行リスクについては2030年の時間軸で、4℃シナリオ下で生じる物理リスクのシナリオに関しては2050年の時間軸で検討をしました。

 機会については4℃シナリオと2℃シナリオのいずれにおいても当社グループとして戦略達成や経営基盤の強化のために重要である項目を検討しました。事業活動を通じた社会への貢献を目指しつつ、当社グループの事業経営に与える影響を検討した結果、識別したリスクが発現する時期や事業環境及び財務影響を総合的に勘案し、気候変動リスクに取り組んでいます。また、BCPを強化することで自社のレジリエンス向上に努めています。

※1 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change

※2 IEA:International Energy Agency

 

カテゴリ

識別した気候変動リスクと機会

影響度

時間軸

政策

/規制

炭素税の導入によるエネルギーコストの増加

中期

電力料金の高騰によるコスト増加

市場

脱炭素化に伴う原材料価格の高騰

技術

省エネルギー技術開発の遅れによる販売機会損失

短期

評判

ステークホルダーからの環境対応への要請が年々高まり、それらに対応できないことによる売上高の減少

中・長期

リ物

ス理

急性

当社の被災による復旧費用の発生や操業停止

短期

異常気象に伴うサプライチェーンの寸断、操業停止や出荷の遅延による売上高の減少

技術

省エネルギー製品リリースによる競争力向上

短期

クリーンエネルギーを使用した製品製造による当社製品の競争力向上

評判

気候変動抑制のためのインフラ整備やデジタル化など、半導体需要拡大による当社製品の需要増加

中・長期

BCP対策を構築することで災害時の事業継続に対応できる競争優位性向上

※ 時間軸(リスク発現の想定時期) 短期:~5年、中期:5~10年、長期:10年以上

 

③ 指標及び目標

 当社グループのGHG総排出量実績は以下の通りです。

GHG排出量(t-CO2)

2020年

2021年

2022年

2023年

2024年

Scope1+2(※)

12,306

13,030

13,469

13,851

14,488

削減量

1,022

※ 再生可能エネルギーの調達による削減後の数値です。

Scope1:事業者自らの燃料の燃焼や工業プロセスに伴う排出(直接排出)

Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気などのエネルギー使用に伴う排出(間接排出)

ロケーション基準(各国が決めた排出係数)で算出しています。

 

 当社グループは脱炭素社会に貢献するため、2024年から再生可能エネルギーの導入を開始し、主要生産拠点である国内のGHG排出量Scope1+2を段階的に削減します。今後、生産量増加に伴う新工場の竣工及び既存工場の増設などでエネルギー使用量の増加が見込まれる中、中期目標として、2024年を基準とし、再生可能エネルギーが安定的に確保できることを前提に、2030年に当社グループ全体のGHG総排出量を20%削減します。長期的には、全世界的な目標である2050年でのカーボンニュートラルの実現を目指して、再生可能エネルギー比率の拡大などを通じ、排出量削減活動を進めます。

 併せて、今後も引き続き省エネルギー化への取組みを実施し、生産数当たりのエネルギー消費原単位の削減を推進していきます。

 

 

(3)人的資本に関する戦略

 当社グループでは社員一人ひとりが多様な力を発揮できる企業の実現をサステナビリティ方針に掲げ、多様な人材が集い、全ての社員が活躍する組織となるために、以下の3点を人的資本に関する方針としております。

1.成長戦略を牽引する人材、将来を担う後継者の育成

2.優秀人材を獲得・活用し、処遇できる仕組みの構築

3.社員が持つ可能性を存分に発揮するための環境整備

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ⅰ)人材育成とキャリア自律支援

 キャリアパスの提供と成長機会の拡充を通じて、多様な人材一人ひとりが持つポテンシャルを存分に発揮できるよう、以下のプログラムを実施しております。

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2022年実績

2023年実績

2024年実績

教育費総額百万円

68

73

95

1人当たり教育費千円

58

60

78

1人当たり研修時間

9.9

13.6

13.8

 

① 経営幹部候補者育成プログラム

 経営責任者等のサクセッションプランの一環として、2023年に経営幹部候補者プールを形成しました。経営幹部候補者として視座を上げることを目的に、2024年から社外の合宿型ビジネススクール、1年間の経営塾、リベラルアーツの研修等に派遣を開始しており、2024年は年間28名を派遣しました。併せて、社長をはじめとした業務執行取締役のインタビューを実施し、社外の専門家の知見も取り入れた当社グループのあるべき経営幹部の人材要件を纏めました。今後、経営幹部候補者にアセスメントプログラムを実施し、人材要件とのギャップを埋めるための計画的配置、エグゼクティブコーチング等による育成を図ってまいります。

 

② 階層別教育

 人事戦略を検討する中で、将来を担うリーダーの育成に加えて、組織全体の能力を向上させ全社員が事業運営を支えていくことの必要性が役員及び従業員のワークショップから課題として挙げられました。2023年に従来の階層別教育を全て見直し、組織活性化とチームビルディングをコンセプトとした階層別教育プログラムを継続して行っております。

2024年実績

研修名

人数

時間

上級マネジメント研修(部長級)

15

232

マネジメント研修(課長級)

67

1,038

リーダーシップ研修(主任・リーダー級)

158

2,449

セルフリーダーシップ研修(一般職)

95

736

フォローアップ研修

22

341

人事評価者研修

36

558

 

③ 技術・技能教育

 社員全体の技術レベル向上を目的に、技術系社員を対象としたプローブカード技術教育(基礎技術講座・専門技術講座)を毎年開催しており、希望する技術系以外の社員にも受講機会を提供しております。さらに、最新の半導体技術動向を理解するための講座も定期的に開催しております。製造部門の新入社員には、配属後一定期間、技能習得のための集中的な教育を行っております。

研修名

2023年実績

2024年実績

プローブカード技術教育

人数

86

106

時間

1,110

3,467

 

④ グローバル人材育成

 「語学学習は自己啓発」の考えのもと、2015年から英語学習制度を導入しております。本人の意欲と業務都合にあわせて自由度が高いコース選択制とし、希望者に提供しております。短期間で英語力の向上が必要な海外赴任予定者や海外営業担当者には短期留学制度を導入しております。新型コロナウイルス感染症の影響により中断しておりましたが2024年5月より再開しました。英語以外の外国語(韓国語、中国語等)についても、必要に応じて個別に学習できるプログラムを実施しております。また、マネジメント力や専門性の向上を目的とした海外留学派遣も行っております。今後もグローバルに活躍できる人材を増やすため、教育プログラムを拡充してまいります。

研修名

2022年実績

2023年実績

2024年実績

英語学習プログラム

人数

233

225

260

時間

7,067

8,943

7,646

 

⑤ 自ら学ぶ組織風土の醸成

 学ぶ意欲のある社員が自ら手を挙げて能力開発を行う組織風土の醸成を目的に、ビジネス知識やスキルを習得するオンライン学習プログラムを実施しております。同様の目的で、個々のスキルアップに繋がる通信教育プログラムを自由に受講できる制度も導入しております。

 また、ビジネスの最前線で活躍するリーダーが集い、現実に直面するビジネスの課題をテーマに議論を行い、業界に閉じない新たな視点の獲得や、人的ネットワークの広がりなど、社内研修で得ることのできない経験を積むことを目的にスクール型研修への派遣を2024年7月から導入しました。

 

ⅱ)多様な人材が活躍できる職場環境・組織風土の醸成

① アンコンシャスバイアス研修

 多様な人材が活躍できる組織風土の醸成を目的に、2024年より新入社員のチューター向け研修を見直し、アンコンシャスバイアス研修を取り入れました。併せて、12月の世界人権週間においては、マネジャー階層を対象にアンコンシャスバイアス研修を実施しました。一人ひとりが生き生きと活躍できる職場環境実現のため、働き続けやすい就労制度への見直しと共に、組織風土改善のための施策を行っております。

 

② エンゲージメントサーベイ実施

 社員がやりがいを持って仕事に取り組める環境を整えるため、組織の課題を把握し改善活動に繋げることを目的にエンゲージメントサーベイを実施しております。サーベイ実施会社であるウイリス・タワーズワトソン社の分析により、当社の強みや課題を再認識し、各部署においてアクションプランを策定して具体的な取り組みを進めております。この取り組みにより、一人ひとりが会社の現状や将来について考え、経営メンバーと社員、社員同士が直接対話する機会を増やしていくことで多様な人材が活躍できる組織風土の醸成に繋げていきます。今後も定期的なサーベイの実施と各部署の活動を通してエンゲージメントの向上を目指します。

 

③ 女性活躍推進

 『ライフイベントと両立しながら長く働ける会社』を目指し、女性が管理職を目指す意欲を高め、働き続けられる環境の整備に取り組んでおります。

 具体的な取り組みとして、女性リーダー候補者の育成研修を通して将来のキャリアパスを意識する機会を提供するとともに、管理職に昇進するチャンスを積極的に与えられる仕組みを整えてまいります。女性活躍推進のアウトカム指標の1つとして女性管理職比率(2026年目標値8.0%)及び女性新卒採用比率(2026年目標値30.0%)の目標を定めております。

 今後も、すべての女性社員が個性や能力を存分に発揮できるよう、女性活躍の推進に一層取り組んでまいります。

 

2022年実績

2023年実績

2024年実績

女性管理職比率

5.1

6.2

8.1

新卒採用者に占める女性割合

41.9

25.9

20.7

 

④ 障がい者の活躍推進

 個々の障がい特性を理解し、適性に合った業務や役割を社員一人ひとりと話し合いながら、キャリア形成を支援しております。現在、当社は障がい者法定雇用率を確保しておりますが、今後予定されている法定雇用率引き上げを遵守していくため、多目的トイレの増設等の職場環境整備に加え、多様性理解についても一層の推進を図ってまいります。

 

2022年6月

2023年6月

2024年6月

障がい者雇用率

2.3

2.3

2.5

法定雇用率

2.3

2.3

2.5

 

⑤ 働き続けられる環境の整備

 社員が高いエンゲージメントで働ける仕組み・環境づくりに注力してきました。在宅勤務制度や育児・介護・治療と仕事の両立を支援する制度など柔軟な働き方を促進する環境の整備に取り組んでおります。治療と仕事の両立支援については、病気で入院や定期的な通院が必要になっても働き続けたい、という社員の希望を大切に、今後もサポート体制を整えていきます。また当社の平均有給休暇取得率は89.1%です。今後も休暇取得を促進し、長時間労働の抑制に努めてまいります。ライフイベントと仕事を両立しながら長く働き続けるための環境を更に整備し、社員の満足度を高め、離職防止に繋げてまいります。

 

2022年実績

2023年実績

2024年実績

有給休暇取得率

82.9

85.9

89.1

 

ⅲ)健康経営推進

 全ての社員が活躍するうえで最も基本的で大切なことは心身の健康であり、社員一人ひとりが健康で生き生きと働くことが組織全体の活性化に繋がるとの考えから、①重症化予防、②生活習慣改善、③メンタルヘルス対策の3点を柱に健康経営に取り組んでおります。2026年度までに健康経営優良法人認定を目標に活動を推進してまいります。

 

① 重症化予防

 社員が自身の健康に意識を向けるきっかけとなるよう、定期健康診断・オプション健診・再検査について費用補助及び有給の健診休暇を付与しております。健康管理システムの個人ページを活用して、健診結果やストレスチェックの結果を経年で確認するとともに、再検査が必要な項目があった場合にはシステムを通して受診勧奨を行い、受診状況を確認できる仕組みにしております。また、特定保健指導の対象者へ向けては、事業所内での面接指導を行っております。

 

② 生活習慣の改善

 生活習慣病やメタボリックシンドロームを予防し、社員が自主的に食生活の改善をはかるため、社内で健康的な食事を提供しております。運動習慣の改善と職場コミュニケーションを促進するため、ウォーキングイベントを定期的に実施し、運動の習慣化に繋げております。また喫煙は喫煙者自身の健康に加え受動喫煙のリスクもあるため、禁煙活動を推進しております。禁煙宣言を行った社員にむけて、禁煙補助グッズを配布し、禁煙を支援しています。

 

2024年実績

ウォーキングイベント参加人数

388

 

③ メンタルヘルス対策

 自身のストレスに気付き自ら対処できるようにするためのセルフケア研修、部下の様子の変化や職場環境改善について理解するためのラインケア研修を毎年実施しております。休職者が職場復帰する際は、産業医、職場上司、人事総務部門による支援メンバーで個人に合わせた復職支援プログラムを運用しております。

 

2023年実績

2024年実績

セルフケア研修受講率

100

99.7

ラインケア研修受講率

100

100

 

なお、ⅰ)人材育成とキャリア自律支援、ⅱ)多様な人材が活躍できる職場環境・組織風土の醸成及びⅲ)健康経営推進に表記のある数値データは、単体ベースの数値となります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難なため記載しておりません。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 半導体市場等の変動による影響

当社グループは、半導体及びFPDの検査機器や計測器具の製造・販売を事業の柱とし、グローバルに事業を展開しております。半導体及びFPDは、技術革新等により市場が成長し需要が喚起されることがある反面、ニーズや経済環境の変化によっては、需給バランスが大きく崩れることもあり、これに伴う顧客の設備投資の凍結や減産、計画変更等は、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、製品や事業のポートフォリオを多様化することで、半導体市場等の変動による影響を最小限に抑えるよう努めております。

 

(2) 特定顧客への取引集中による影響

当社グループの製品は、国内外の大手半導体及びFPDメーカーを顧客としておりますが、それら顧客の淘汰・再編が進んだことで、売上高に占める特定顧客の比率が上昇し、その動向に影響を受け易くなる傾向にあります。そのため、特定顧客の設備投資や生産計画、事業戦略の変更が経営成績に大きな影響を与える可能性があります。また、顧客からのコストダウン要求等により販売価格が低下し、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、市場環境の変化等を常に注視するとともに、可能な限り顧客の分散化を図ることで、経営成績への影響を最小限に抑えるよう努めております。

 

(3) 品質に関する影響

当社グループ製品は最先端技術を利用した製品であるため、予期せぬ不具合が発生した場合、納期の遅延や生産停止、リコール等の損害賠償責任や製品回収等の追加支出等が発生することがあり、売上高の減少や信頼性の低下など、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、日頃よりQDCCSS活動に基づき、製品の開発から製造、資材調達、管理、サービス等の改善を促進するとともに、ISO9001の認証取得を含む品質保証体制の継続的な整備をすることで品質の維持に努めております。

 

(4) 研究開発による影響

当社グループは、持続的に成長し続ける企業を目指し、新技術の開発を積極的に進め、新製品の早期市場投入を図っております。そのため、顧客の技術及び半導体市場等の動向を常に注視し開発を進めておりますが、顧客の要求する技術やスケジュールに応えられない場合、または競合他社が優位性のある新技術・新製品で先行した場合には、当社製品が競争力を失い、収益性の維持が困難となるなど、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、顧客との定期的な技術交流を行うことで確固とした信頼関係を築き、将来のニーズをいち早く捉えることに努め、具体的に必要となる技術開発にいち早く着手することで、タイムリーな技術開発及び新製品の投入が可能な体制を整えております。

 

(5) 知的財産権に関する影響

当社グループは、製品の差別化とその強化のため研究開発を積極的に行い、特許、ノウハウ等の知的財産権の強化に努めております。しかしながら、従業員の転職や情報の流出等により当社の知的財産が社外に流出し、これが第三者によって不正利用または模倣された場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループが知的財産権の取得や保護に失敗し知的財産権が無効とされた場合や、当社グループが事業を行っている特定の地域で当社の知的財産権の十分な保護が得られない場合、経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループ製品または技術が他者の知的財産権を侵害しているとされ、訴訟を受ける等した場合にも、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

更に、当社グループによる製品化において第三者の技術や特許、その他知的財産権に基づく制約を受け、必要なライセンスの供与が受けられない場合、また、予期せぬ特許侵害訴訟を受ける場合等には、当社グループの事業展開及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、第三者の知的財産を侵害することがないよう、弁護士、弁理士等の外部専門家の意見を参考にしつつ、現場の技術者と知財部門の連携を強化し、開発プロセスの初期段階から厳格に他者の知的財産権を調査しております。また、報奨金制度を設けることで開発、設計、製造等に関わる特許取得を従業員に推奨し、自社の知的財産権保護・強化も図っております。

 

(6) 情報セキュリティ等による影響

当社グループは、事業遂行に当たり、多数の技術情報、顧客等の営業情報、従業員等の個人情報を含む機密情報を有しております。しかしながら、予期せぬ不正アクセスやコンピュータウィルス侵入、ランサムウェア、DoS攻撃等のサイバーアタック、役員・従業員による情報システム及び情報資産の不正使用や誤用、自然災害、大規模停電、火災等に起因する情報インフラの障害等が発生した場合、事業の継続が困難になるだけでなく、法的請求、訴訟、損害責任、罰金を払う義務が生じることがあり、当社グループの社会的信用や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これらの情報の外部への流出、データの改竄や消失・損壊を防ぐため、セキュリティ対策の強化及び情報セキュリティに関する所轄部門において情報セキュリティポリシーの見直しを行うとともに、それに則った情報資産の適切な運用・管理等に努めております。また、サイバーリスク保険に加入することで、サイバーアタックにより生じる費用負担や機会損失を最少化できるよう備えております。

 

(7) 部材調達や外注加工による影響

当社グループの製品は、一部の部材や加工が最先端の技術を伴うものであるため、その調達先や委託先は代替が困難な場合があります。そのため、これらの調達先や委託先に供給遅延や加工納期遅延、品質問題等が発生した場合には、当社グループの製品の製造中断や品質低下を招くことがあり、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、このような協力会社との良好な関係を構築、維持することはもとより、常に代替品やセカンドソースを意識した部材調達、外注加工委託を実施することで、品質・納期等の面での安定供給に努めております。

 

(8) 人材に関する影響

当社グループが、持続的成長を実現するためには、特に開発技術部門の有能な人材の確保と育成が欠かせないものと考えております。しかしながら、必要な人材の採用が想定どおり進まなかった場合、重要な人材が社外流出した場合等には、当社グループの事業展開及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、人事処遇制度の整備や有能な人材の積極的採用はもとより、各種研修・教育プログラムの充実により人材の定着を図っております。また、エンゲージメントサーベイを実施し、課題を把握して改善を図り、社員がやりがいを持って仕事に取組める環境を整えることに努めております。

 

(9) 環境問題に関する影響

当社グループは、国内の環境規制として、水質汚濁防止、大気汚染防止、省エネルギー化、地球温暖化対策や製品含有化学物質管理等の適用を受けております。また、世界的な環境負荷低減の推進を背景に、ステークホルダーや社会全体から、気候変動などの地球環境問題への配慮、サステナビリティを巡る課題への取組みが求められております。それらに加え、半導体業界の行動規範による環境課題への対応も要求されております。こうした中、関連規則を遵守しつつ、環境に与える影響を低減する製品の開発や製造プロセスにおいて、様々な対策に取組んでおります。しかし、期待した成果が得られない場合や法令等に適切に対応できなかった場合には、対応費用の発生や製品競争力の低下、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、環境法令や半導体業界の行動規範を遵守することに加え、カーボンニュートラルの実現に向けたGHG(温室効果ガス)排出量の削減や、事業所におけるエネルギー使用量低減に努める等、事業活動を通じて地球環境保全に取組んでおります。

 

(10) コンプライアンスに関する影響

当社グループは、事業展開している国内外において、製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、商行為、特許、製造物責任、環境及び労務、税務関連等、様々な法令や規制の遵守を求められております。しかしながら、このような法令や規制は複雑化の一途を辿っており、役員、従業員による抵触行為リスクを完全に回避することは難しい状況であります。このような事象が発生した場合、社会的信用が低下し、取引停止、罰金・罰則等により、事業展開及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、内部統制システムを整備することはもとより、行動規範を定めた「コンプライアンスハンドブック」の配信や定期的な習熟度確認研修を通して、法令等の順守意識を高めております。

 

(11) 災害等の発生による影響

当社グループは、東京都に本社を有するとともに、青森県及び大分県、台湾、中国、米国、独国、韓国、シンガポールに開発・製造・販売・保守の拠点を有しております。これらの地域に大規模な台風、風水害や地震等の自然災害、テロ行為、感染症、大規模停電、火災等による被害が生じた場合、本社機能や製品製造等が停止するリスクがあり、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、このような災害による事業資産の損害を最小限にとどめるため、BCP(事業継続計画)対策を強化し、事業の継続・早期復旧を図れるよう努めております。

 

(12) 地政学、カントリーリスクによる影響

当社グループは、海外にも製造拠点や営業サービスを展開しており海外顧客も多い事から、国際情勢の変化により受注減となるリスクがあります。更に、その国・地域特有の紛争・戦争、テロ、自然災害、疫病、感染症の発生により、当社グループ社員(現地従業員や出向者及び出張者)が危険にさらされるリスクがあります。また、その危険に巻き込まれた場合は、事業活動が停止するリスクもあり、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、国際情勢、安全保障、産業政策の動向を注視すると共に、海外拠点の情報収集をタイムリーに行い、適切な対応策を早めに講じる取組みを実施しております。

 

(13) その他

当社グループが事業を遂行するにあたっては、国内外及び各地域における経済環境、金融・株式市場、外国為替変動等の影響を受け、場合により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、日本及び販売先国の法令や政府による規制等の予期せぬ要因により、経営成績が影響を受ける可能性がありますが、それぞれのリスクに対し適切な対策を講じております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ9,966百万円増加し、44,537百万円となりました。現金及び預金が5,959百万円、棚卸資産が1,960百万円、未収消費税等が1,542百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ11,776百万円増加し、29,558百万円となりました。建設仮勘定が1,076百万円減少したものの、建物及び構築物(純額)が11,112百万円、機械装置及び運搬具(純額)が1,541百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

無形固定資産は、前連結会計年度末に比べ65百万円増加し、1,070百万円となりました。

投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ2,332百万円増加し、4,824百万円となりました。投資有価証券が1,113百万円、繰延税金資産が507百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

この結果、資産合計は、前連結会計年度末から24,140百万円増加し、79,990百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ15,527百万円増加し、27,612百万円となりました。未払金が7,137百万円、未払法人税等が2,832百万円、支払手形及び買掛金が2,690百万円、製品保証引当金が871百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ168百万円増加し、2,731百万円となりました。長期借入金が66百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末から15,695百万円増加し、30,344百万円となりました。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,445百万円増加し、49,646百万円となりました。利益剰余金が7,538百万円、その他有価証券評価差額金が773百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は62.1%(前連結会計年度末比11.7ポイント減)となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の世界経済は、欧米の金融政策の引き締めによりインフレが抑制される一方で、物価上昇圧力は依然として強く、利下げには慎重な姿勢が見られるなど、先行き不透明な状況が続きました。ウクライナや中東における地政学リスクの増大や、中国経済の回復鈍化も影響し、全世界のGDP成長率は3.2%と予想され、前年3.3%からわずかに減速する見込みです。

半導体市場は、生成AIの市場成長を背景に、データセンターへの高い投資が続いたことで、特に高性能GPU(画像処理半導体)やHBM(高性能メモリ)の需要が急拡大しました。しかし、汎用DRAM市場は、メモリ半導体メーカーの減産効果により在庫調整が進み、一定の価格上昇が見られたものの、パソコンやスマートフォンなどの市況が振るわず、回復は非常に緩やかになると予想されています。また、車載用や産業機器向け半導体の回復も遅れております。その結果、生成AI関連が市場牽引の主役となりました。

FPD市場では、パネル価格が緩やかに上昇し収益が改善しつつありますが、本格的な設備投資を促すには至っていません。

このような事業環境において、当社グループの当連結会計年度は、HBM市場の急拡大を受けメモリ向けプローブカードが好調な結果となりました。また、設備投資や研究開発投資などの中期経営計画「FV26」の施策を推進いたしました。

この結果、当連結会計年度の売上高は55,643百万円(前年同期比45.3%増)となりました。地域別の売上高は、国内売上高が4,146百万円(前年同期比63.0%減)、海外売上高が51,496百万円(前年同期比90.2%増)となり、売上高に占める海外売上高の比率は92.5%となりました。また、受注高は68,736百万円(前年同期比54.6%増)となり、受注残高は29,001百万円(前年同期比82.3%増)となりました。

売上総利益は27,143百万円、売上総利益率は48.8%(前年同期比4.1ポイント増)となりました。

販売費及び一般管理費は14,571百万円となり、売上高に対する比率は26.2%(前年同期比4.6ポイント減)となりました。

 

営業利益は12,572百万円(前年同期比136.7%増)となりました。経常利益は営業外収益325百万円、営業外費用646百万円を加減算し12,250百万円(前年同期比115.9%増)となりました。特別利益15百万円、特別損失272百万円を加減算した税金等調整前当期純利益は11,994百万円(前年同期比118.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,811百万円(前年同期比113.5%増)となりました。

これらの結果、1株当たり当期純利益は、228円36銭(前年同期は106円99銭)となりました。

 

<セグメントの状況>

(各セグメントの売上高は、外部顧客に対するものであります。)

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(プローブカード事業)

当該事業の主力製品であるプローブカードは、半導体製造のウェーハ検査工程において、シリコンウェーハ上の半導体チップの電極にピンを接触させ、テスタと半導体チップを接続するコネクタのような役割を担います。現在、当社グループのメモリ向けプローブカードは市場優位性を有しておりますが、中長期的にはノンメモリ向けプローブカードの拡販を目指しております。

当連結会計年度は、前期後半から拡大したHBMの需要が継続したことでDRAM向けプローブカードが好調に推移しました。一方、NANDフラッシュ向けプローブカードの需要回復が遅れており、低調な結果となりました。また、ノンメモリ向けプローブカードは、前年同期は上回ったものの、市場の本格的な回復は非常に緩やかになると予想されています。

この結果、売上高は53,526百万円(前年同期比46.8%増)、セグメント利益は16,873百万円(前年同期比96.6%増)となりました。

 

(TE事業)

当該事業の主力製品は、半導体チップの実装組立後の検査で使用されるパッケージプローブ(テストソケット)、半導体の検査で使用されるテスタやマニュアル・セミオートウェーハプローバ等です。この他、半導体の測定検査分野での新製品開発を進めており、中長期の計画で業績回復を目指しております。

当連結会計年度は、パッケージプローブが安定的に売上げに貢献し、全体としては前年同期比で増収となりましたが、利益においては損失が拡大しました。

この結果、売上高は2,116百万円(前年同期比15.8%増)、セグメント損失は1,191百万円(前年同期は781百万円のセグメント損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,032百万円増加し、当連結会計年度末は22,455百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は15,095百万円(前年同期比212.0%増)となりました。

これは主に、棚卸資産の増加額2,056百万円、法人税等の支払額1,295百万円等により減少しましたが、税金等調整前当期純利益11,994百万円、減価償却費2,845百万円、仕入債務の増加額2,696百万円等により増加しました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用された資金は7,834百万円(前年同期は7,497百万円の支出)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出7,038百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用された資金は1,436百万円(前年同期は2,175百万円の支出)となりました。

これは主に、配当金の支払額1,273百万円等によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

プローブカード事業(百万円)

58,164

153.3

TE事業(百万円)

1,819

97.1

合計(百万円)

59,983

150.7

 (注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

プローブカード事業

66,944

157.1

28,684

187.9

TE事業

1,791

96.5

316

49.3

合計

68,736

154.6

29,001

182.3

 (注)金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

プローブカード事業(百万円)

53,526

146.8

TE事業(百万円)

2,116

115.8

合計(百万円)

55,643

145.3

 (注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Samsung Electronics Co., Ltd.

15,074

39.4

27,643

49.7

Micron Memory Taiwan Co., Ltd.

4,118

10.8

8,891

16.0

マイクロンメモリ ジャパン株式会社

8,394

21.9

2,162

3.9

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等に関する分析

(財政状態)

当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。

 

(経営成績)

当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。

 

(キャッシュ・フロー)

当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループにおける主な資金需要は、顧客の技術要求に応え、性能面で他社と差別化を図るための研究開発費と変動する需要に対して納期面で柔軟に対応するための設備投資等となっております。これに加え、高水準な海外売上高比率に見合う顧客サービス等の更なる拡充も将来的に必要だと考えています。

これらの資金需要に対する資金調達については、営業キャッシュ・フローで得られる自己資金の他、金融機関等から資金調達することを方針としていますが、現時点では、有利子負債比率は低水準で推移しています。安定的な資金財源の確保及び運転資金の効率的な調達なため、取引金融機関3社とコミットメントライン契約を締結しており、金融機関との良好関係を維持することに努めています。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発費の総額は、売上高の9.2%にあたる5,140百万円であります。主なセグメントの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1) プローブカード事業

高性能・高機能化する半導体デバイス向けに最適かつ信頼度の高い次世代プローブカードを開発するため、要素技術や製造技術における研究開発を実施いたしました。

当事業に係る当連結会計年度の研究開発費は4,567百万円であります。

 

(2) TE事業

半導体テスタ、プローバ、テストソケット等、次世代に向けて要素技術開発も含め幅広く実施いたしました。

当事業に係る当連結会計年度の研究開発費は572百万円であります。