当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループの企業理念体系として、当社グループの存在意義を示す「MJCの使命」、当社グループが将来に向かって目指すべき姿を示した「MJCの目指す姿」、「MJCの使命」と「MJCの目指す姿」を実現するために、グループ社員全員が共有すべき価値観を「私たちの大切なもの」として以下のように定めています。
MJCの使命(MJC Mission)「電子計測技術を通して広く社会に貢献する」
当社グループは、ステークホルダーの皆さまのために果たすべき「MJCの使命」を掲げています。創業から技術を探求し磨き、エレクトロニクスの発展とともに当社グループも成長してきました。これからも変わることなく、私たちはこの「MJCの使命」のもと、より豊かな社会の発展に貢献するため挑戦し続けます。
MJCの目指す姿(MJC Future Vision)
「MJC YOUR Best Partner, MJC Anytime Anywhere」
長期的な当社グループの目指す姿を表した「MJC Future Vision」を、事業環境の変化を踏まえて、この「MJCの目指す姿」に集約しました。
「MJCの目指す姿」は、幅広いステークホルダーの皆さまにとって、MJCがどのような存在でありたいかを表しています。“ステークホルダーの皆さまのベストパートナーを目指したい”、“いつでもどこでも選ばれる存在でありたい”、そうした思いを胸に、私たちはより良い未来に貢献していきます。
私たちの大切なもの(Our Values) 「QDCCSS + QDCCSS2.0」
原点となる「QDCCSS」は、お客さまからの信用と信頼を得るために誕生し、長年に渡り浸透し続けている私たちの大切な価値観です。更に、事業環境の変化と社員の声から、新しい価値観が求められていることを踏まえ、新たに、成長のための「QDCCSS2.0」を制定しました。「私たちの大切なもの」を成長の原動力とし、「MJCの使命」と「MJCの目指す姿」の実現を目指していきます。
QDCCSS
Q : Quality (技術の向上・品質の維持)
D : Delivery (納期の厳守)
C : Cost (原価の低減)
C : Compliance (法令遵守)
S : Service (サービスの充実)
S : Safety (労働・製品の安全)
QDCCSS2.0
Q : Quest (成長への探求)
D : Development (No.1製品の開発)
C : Challenge (挑戦と行動)
C : Commitment (約束と責任)
S : Sympathy (思いやりと感謝)
S : Sustainability(持続性の追求)
(2)経営戦略等
当社グループは、2026年度を最終年度とする中期経営計画「FV26」を策定し、経営指標及び重点施策を公表しております。以下の経営指標の達成に向け、重点施策を推進し、各事業部における各種施策に取り組んでまいります。
(中期経営計画FV26における経営指標と重点施策)
経営指標
|
最終年度2026年12月期 |
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売上高 |
650億円 |
|
営業利益額 |
150億円 |
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営業利益率 |
23% |
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ROE |
20% |
投資計画
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2023年度~2026年度 |
|
|
設備投資額 |
300億円 |
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研究開発費 |
200億円 |
|
総額 |
500億円 |
重点施策
・2026年を最終年度とし、市場成長率を上回る成長を目指します。
・積極的に設備投資・研究開発へ投資することで、お客様のニーズに応えて共に成長します。
・サステナビリティへの取組み、DX推進を成長の機会と捉え、人財育成と組織力を強化し推進します。
・電子計測技術を通して、更なる企業価値の向上と社会貢献に努めます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、株主価値重視の観点から、売上高、営業利益、営業利益率、ROE(自己資本利益率)の経営指標を目標として企業価値の向上に努めてまいります。株主と債権者から預かった資本を将来有望な事業の研究開発、設備投資、M&A、人的資本などに積極的に投下し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいりたいと考えております。
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループにおけるプローブカード事業は、半導体市場の減速を受け、上期の売上高及び利益が前年同期比で減少となりました。一方、下期にかけてはHBM(高性能メモリ)の高い需要により、メモリプローブカードが順調に回復いたしました。ノンメモリ分野においては、車載用半導体等の需要が底堅く推移したものの、その他のデバイス向け需要は回復が遅れました。こうした中、ノンメモリ向けプローブカードの新製品をリリースし、顧客による評価を実施いただいております。一方、TE事業では、パッケージプローブ、LCD検査機器が安定的に売上げに貢献したものの、全体としては半導体市況、LCD市況の減速により前年同期を下回る業績となりました。中長期での業績回復を目指し、中期経営計画の施策である半導体テスタの新製品をリリースし、顧客による評価を継続しております。
財務面においては、投資計画に必要な資金調達を安定的に行うべく、各金融機関と調達にかかる契約を締結しております。機動的かつ安定的な資金調達の実行と、強固な財務基盤を維持してまいります。
2026年度を最終年度とする中期経営計画「FV26」を策定し事業に取り組んでおり、当連結会計年度においても、積極的な設備投資と研究開発投資を計画的に実施しました。引き続き、以下の重点施策に取り組んでまいります。
(事業別重点施策)
<プローブカード事業>
・メモリ向けプローブカードは生産能力強化と新技術開発で圧倒的なシェアNo.1を維持します。
・ノンメモリ向けプローブカードはMEMSタイプの新製品投入によりシェア拡大を目指します。
・お客様へのサポートを充実させ、より一層のサービスを充実させるとともに、新たなお客様との
リレーションを築いていきます。
<TE事業>
・コンタクタビジネスの成長により安定収益源を目指します。
・半導体テスト向けの新製品で、新たな価値を創造し成長を目指します。
・お客様へのサービスをより充実させることで、フィールドサポート(ポストセールス)を第三の
収入源とします。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
近年、気候変動問題をはじめ多くの社会課題の解決に向けて、企業によるESGやサステナビリティに関する取組みの強化が求められています。
当社グループは「電子計測技術を通して広く社会に貢献する」をMJCの使命に掲げ、ステークホルダーの皆さまと共に発展し、以下の方針のもとサステナビリティに取組むことにより、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
[サステナビリティ方針]
1.健全な発展を推進する企業
社会的な責任を果たすと共に経済的繁栄に努める。
2.お客さまに信頼される企業
お客さまに価値の高い製品・サービスを提供する。
3.環境と社会へ思いやりと感謝を持って接する企業
豊かな環境作りに努め社会と協調していく。
4.社員一人ひとりが多様な力を発揮できる企業
社員一人ひとりが自ら成長し多様な力を発揮できる仕組みを構築する。
① ガバナンス
当社グループは、サステナビリティへの取組みを重要な企業活動と位置づけ、中長期的な企業価値向上を実現するため、以下のガバナンス体制を構築しております。
<取締役会>
取締役会では、サステナビリティに関する基本方針や戦略の方向性を定め、執行側のサステナビリティ戦略・施策の妥当性や、進捗状況について監督しております。なお、当連結会計年度においては、以下事項について議論をしました。
・サステナビリティに関する基本方針
・マテリアリティ(重要課題)の特定、具体的な取組み施策
<経営会議>
経営会議において、取締役会にて決定されたサステナビリティに関する基本方針や戦略の方向性を踏まえ、より具体的なサステナビリティに関する戦略及び戦略を実行する施策について審議を行っております。また、経営会議での審議結果や各施策の進捗状況は、取締役会へ報告をしております。
<サステナビリティ諮問委員会>
当社グループが行うサステナビリティ推進活動を管理・監督することを目的に、取締役会諮問機関としてサステナビリティ諮問委員会を当連結会計年度に設置しました。当諮問委員会により、取締役会を中心としてガバナンスとリスク管理を行う体制を確立し、中長期的な企業価値の向上を実現します。
委員長に社外取締役を据え、委員は社長及び社内外取締役、外部有識者で構成され、当連結会計年度において2回開催しました。
<コンプライアンス・リスクマネジメント委員会>
当委員会はリスク対応を行う各部門のリスクマネジメント活動が適切に行われ、グループ全体の活動を把握し、モニタリングを行います。モニタリングされたリスクマネジメント活動は、経営会議に報告され、取締役会で審議されます。
<サステナビリティ推進室>
これらガバナンス体制を有効に機能させるため、社長直轄部門として、当連結会計年度にサステナビリティ推進室を設置し、活動を推進しています。
サステナビリティ推進体制図
② リスク管理
当社グループは、リスクマネジメントの最高責任者を社長とし、経営に重大な影響を与えるリスクが発生した場合の損失を軽減し、事業継続を推進することを目的としてリスクマネジメント活動をしております。
当社は、リスクの対応を行う各部門のリスクマネジメント活動が適切に行われ、グループ全体の活動を把握しモニタリングすることができるようにコンプライアンス・リスクマネジメント委員会を設置しています。
コンプライアンス・リスクマネジメント委員会で把握、モニタリングされたリスクマネジメント活動は、経営会議に報告され、取締役会で審議されます。
③ 戦略、指標及び目標
当社グループが取組むべきマテリアリティ(重要課題)を経営戦略と連動した取組みとして以下のように定め、取締役会において決議しました。
|
マテリアリティ (重要課題) |
具体的な取組み |
指標及び目標 |
|
1.付加価値製品の継続的な創出と生産性・業務効率化の追求 |
・新製品及び付加価値・差別化製品開発、市場投入によるマーケットシェアの拡大及び収益性の向上 ・グローバルな顧客とのリレーション強化 ・生産効率改善 当社グループの製品製造に関して自動化設備投資による生産性の向上やDXによる業務効率化を図ってまいります。 |
売上高、営業利益、研究開発費、設備投資額の詳細は「 |
|
2.多様な人材の育成と活躍の推進 |
・人材育成とキャリア自律支援 ・多様な人材が活躍できる職場環境、組織風土の醸成 ・健康経営推進 詳細は「(3)人的資本に関する戦略」をご参照ください。 |
詳細は「(3)人的資本に関する戦略」をご参照ください。 |
|
3.事業を取巻く環境への適切な対応 |
・気候変動対応 資源及びエネルギー使用量の低減を事業全体として推進し、温暖化防止に向け、GHG排出量削減と、エネルギー消費原単位での省エネルギー化に取組んでいます。 ・3R(リデュース、リユース、リサイクル)活動 廃棄物の削減や製品製造工程における希少金属の回収、及び顧客が使用しなくなった製品の部材をリユースするなどの活動を行っています。 ・環境対応 製造工程で排出される排水が環境へ負荷を与えないように、排水処理装置を導入しており、凝集沈殿等プロセスを経た処理を行い下水へ放流しています。 ・化学物質管理 使用する化学物質は、各法規制に則り適正な管理をしています。 化学物質の導入前にはリスクアセスメントにて人体への危険性を評価し、リスクに対する措置を実施しています。 また、薬品登録制度を設け、使用部門ごとに適用する法規制や使用量を管理しております。これらは当社グループの順守評価手順に従い、確実に対応しています。 |
気候変動につきましては、当社グループが気候変動によって受ける影響を分析した結果を開示しています。また、気候変動の緩和に向けて、省エネルギー化、CO₂削減に努めていきます。詳細は「(2)気候変動 ②戦略」をご参照ください。 GHG排出量に関しては2024年以降、国内で段階的にGHG排出量の削減を予定します。また、省エネ法に基づき国内事業所全体で5年度間平均のエネルギー消費原単位を1%以上削減します。詳細は「(2)気候変動 ③指標及び目標」をご参照ください。 化学物質管理に関して、引き続き法令違反ゼロを維持します。 |
|
4.強固な事業基盤の構築 |
・コンプライアンスの浸透と徹底 当社グループ全体のコンプライアンス体制の構築及びコンプライアンス教育を実施しています。 ・グローバルリスクマネジメント体制の高度化 当社グループ全体でのグローバルリスクマネジメントを構築します。 ・事業継続計画(BCP) 当社グループは、大きな自然災害や緊急事態発生時に中核事業の継続や早期復旧をいち早く図るために、BCPを策定し、運用しています。 |
引き続き法令違反ゼロを維持します。 |
(2)気候変動
近年、環境、特に気候変動は世界に重大な影響を与えています。当社グループはこの事実を重要事項と捉え、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づき、当社グループ内の気候変動に関する重要なリスクと機会を検討し、気候変動によって受ける影響を分析した結果を開示しています。また、気候変動の緩和に向けて、省エネルギー化、CO₂削減に努めてまいります。
① ガバナンス及びリスク管理
気候変動に関するガバナンス及びリスク管理は、サステナビリティ全般のガバナンス及びリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティに関する考え方 ①ガバナンス、及び②リスク管理」をご参照ください。
② 戦略
気候変動が事業に及ぼす影響については、IPCC(※1)(気候変動に関する政府間パネル)の最新の報告書である第6次評価報告書やIEA(※2)(国際エネルギー機関)の「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」の2つのシナリオで、気候変動のリスクと機会の識別を実施しました。
2℃未満のシナリオ下で生じる移行リスクについては2030年の時間軸で、4℃シナリオ下で生じる物理リスクのシナリオに関しては2050年の時間軸で検討をしました。
機会については4℃シナリオと2℃シナリオのいずれにおいても当社グループとして戦略達成や経営基盤の強化のために重要である項目を検討しました。
今後は事業活動を通じた社会への貢献を目指しつつ、当社グループの事業経営に与える影響をさらに検討し、順次開示をしてまいります。
※1 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change
※2 IEA:International Energy Agency
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カテゴリ |
識別した気候変動リスクと機会 |
||
|
移 行 リ ス ク |
政策 /規制 |
1 |
炭素税の導入によるエネルギーコストの増加 |
|
2 |
電力料金の高騰によるコスト増加 |
||
|
市場 |
3 |
脱炭素化に伴う原材料価格の高騰 |
|
|
技術 |
4 |
省エネルギー技術開発の遅れによる販売機会損失 |
|
|
評判 |
5 |
ステークホルダーからの環境対応への要請が年々高まり、それらに対応できないことによる売上高の減少 |
|
|
リ物 ス理 ク |
急性 |
6 |
当社の被災による復旧費用の発生や操業停止 |
|
7 |
異常気象に伴うサプライチェーンの寸断、操業停止や出荷の遅延による売上高の減少 |
||
|
機 会 |
技術 |
1 |
省エネルギー製品リリースによる競争力向上 |
|
2 |
クリーンエネルギーを使用した製品製造による当社製品の競争力向上 |
||
|
評判 |
3 |
気候変動抑制のためのインフラ整備やデジタル化など、半導体需要拡大による当社製品の需要増加 |
|
|
4 |
BCP対策を構築することで災害時の事業継続に対応できる競争優位性向上 |
||
③ 指標及び目標
当社グループは脱炭素社会に貢献するため、2024年以降、国内で段階的にGHG(※2)排出量の削減を予定します。さらに、当社グループのGHG排出量(Scope1(※3),Scope2(※4))について把握と監視を継続し、適切な情報開示を進めてまいります。
当社グループのGHG排出量推移(Scope1,2)
|
GHG排出量(t-CO₂) |
2020年実績 |
2021年実績 |
2022年実績 |
|
Scope1 |
2,266 |
2,642 |
2,814 |
|
Scope2 |
10,505 |
10,929 |
11,168 |
|
合計 |
12,771 |
13,571 |
13,982 |
※1 国内と海外を含んだ連結ベース数値です。
※2 GHG(Greenhouse Gas):温室効果ガス
※3 Scope1:事業者自らの燃料の燃焼や工業プロセスに伴う排出(直接排出)
※4 Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気などのエネルギー使用に伴う排出(間接排出)
ロケーション基準(各国が決めた排出係数)で算出しています。
国内事業所すべてのエネルギー使用量の把握が省エネ法に基づき義務付けられており、エネルギー消費原単位(※)については事業者全体で中長期的な5年度間平均原単位を1%以上削減することを求められています。国内事業所の2018年度から2022年度の5年度間平均で、エネルギー原単位を9.9%削減し、目標である1%以上の削減を大きく上回り達成することができました。エネルギー使用量は、生産数の増加や新規設備の導入に伴い、増加しております。
今後も引き続き温暖化防止に向け、原単位の削減を推進すると共に、省エネルギー化に取組んでいきます。
※ エネルギー消費原単位:エネルギー効率を表す値。この値が小さいほど、生産効率の上昇を示し、省エネルギー化され、温暖化防止へ寄与します。(国内事業所の原単位はエネルギー使用量と生産数で算出しております)
エネルギー使用量及び生産数当たりのエネルギー使用量の推移
(3)人的資本に関する戦略
当社グループでは社員一人ひとりが多様な力を発揮できる企業の実現をサステナビリティ方針に掲げ、多様な人材が集い、全ての社員が活躍する組織となるために、以下の3点を人的資本に関する方針としております。
1.成長戦略を牽引する人材、将来を担う後継者の育成
2.優秀人材を獲得・活用し、処遇できる仕組みの構築
3.社員が持つ可能性を存分に発揮するための環境整備
ⅰ)人材育成とキャリア自律支援
キャリアパスの提供と成長機会の拡充を通じて、多様な人材一人ひとりが持つポテンシャルを存分に発揮できるよう、以下のプログラムを実施しております。
|
|
2021年実績 |
2022年実績 |
2023年実績 |
|
教育費総額(百万円) |
48 |
68 |
73 |
|
1人当たり教育費(千円) |
42 |
58 |
60 |
① 経営幹部候補者育成プログラム
2023年より、将来を担う経営幹部候補者の計画的な育成に着手しました。経営幹部の後継候補者を選抜し人材プールの見える化を行いました。成長の中核となる次世代リーダーを対象に、経営幹部候補者として視座を上げることを目的に、計画的な配置を行い、併せて、社外のビジネススクール参加、アセスメントプログラムの実施等、育成及び抜擢の加速を図ってまいります。
② 新階層別教育
人事戦略を検討する中で、将来を担うリーダーの育成に加えて、組織全体の能力を向上させ全社員が事業運営を支えていくことの必要性が役員及び従業員のワークショップから課題として挙げられました。これまでの階層別教育を全て見直し、組織活性化とチームビルディングをコンセプトとした新階層別教育プログラムをスタートしました。
2023年実績
|
研修名 |
人数 |
時間 |
|
上級マネジメント研修(部長級) |
16 |
112 |
|
マネジメント研修(課長級) |
35 |
245 |
|
リーダーシップ研修(主任・リーダー級) |
78 |
546 |
|
セルフリーダーシップ研修(一般職) |
101 |
707 |
|
フォローアップ研修 |
31 |
238 |
|
新任管理職研修 |
9 |
67 |
|
人事評価者研修 |
77 |
599 |
③ 技術・技能教育
社員全体の技術レベル向上を図ることを目的に、技術系社員を対象としたプローブカード技術教育(基礎技術講座・専門技術講座)を毎年開催しており、希望する技術系以外の社員にも受講機会を提供しております。また、最新の半導体技術動向を理解するための講座開催を定期的に行っております。製造部門の新入社員には、配属後一定期間、技能習得のための教育を集中的に行っております。
2023年実績
|
研修名 |
人数 |
時間 |
|
プローブカード技術教育 |
86 |
1,110 |
|
半導体技術講座 |
74 |
140 |
④ グローバル人材育成
「語学学習は自己啓発」の考えのもと、2015年から英語学習制度を導入しております。本人の意欲と業務都合にあわせて自由度が高いコース選択制とし、希望者に提供しております。短期間で英語力の向上が必要な海外赴任予定者や海外営業担当者には短期留学制度を導入しております。英語以外の外国語(韓国語、中国語等)についても、必要に応じて個別に学習できるプログラムを実施しております。マネジメント力や専門性の向上を目的とした海外留学派遣も行っております。今後もグローバルに活躍できる人材を増やすため、教育プログラムを拡充してまいります。
|
研修名 |
2021年実績 |
2022年実績 |
2023年実績 |
|
|
英語学習プログラム |
人数 |
262 |
233 |
225 |
|
時間 |
10,785 |
7,067 |
8,943 |
|
⑤ 自ら学ぶ組織風土の醸成
ビジネス知識やスキルを習得する育成制度の一つとして、オンライン学習プログラムを開始しました。経営の基礎スキル習得と、時間に縛られず各自が能力開発を行う風土醸成を目的としております。同様の目的で、個々のスキルアップに繋がる通信教育プログラムを自由に受講できる制度も導入しております。
2023年実績
|
研修名 |
人数 |
時間 |
|
ビジネス知識・スキルのオンライン学習プログラム |
336 |
2,935 |
ⅱ)多様な人材が活躍できる職場環境・組織風土の醸成
① 女性活躍推進
多様性の推進については、まず『ライフイベントと両立しながら長く働ける会社』にフォーカスし、女性が管理職を目指す意欲を高め、働き続けられる環境の整備に取組んでおります。
具体的な取組みとして、女性リーダー候補者の育成研修を通して将来のキャリアパスを意識する機会を提供するとともに、管理職に昇進するチャンスを積極的に与えられる仕組みを整えてまいります。女性活躍推進のアウトカム指標の1つとして女性管理職比率(2026年目標値8.0%)及び女性新卒採用比率(2026年目標値30.0%)の目標を定めております。
|
|
2021年実績 |
2022年実績 |
2023年実績 |
|
女性管理職比率(%) |
5.3 |
5.1 |
6.2 |
|
新卒採用者に占める女性割合(%) |
21.1 |
43.9 |
26.3 |
② 障がい者の活躍推進
個々の障がい特性を理解し、適性に合った業務や役割を社員一人ひとりと話し合いながら、キャリア形成を支援しております。現在、当社は障がい者法定雇用率を確保しておりますが、今後予定されている法定雇用率引き上げを遵守していくため、職場の環境整備と多様性理解についても一層の推進を図ってまいります。
|
|
2021年6月 |
2022年6月 |
2023年6月 |
|
障がい者雇用率(%) |
2.4 |
2.3 |
2.3 |
|
法定雇用率(%) |
2.3 |
2.3 |
2.3 |
③ 働き続けられる環境の整備/ワークライフバランス
社員が高いエンゲージメントで働ける仕組み・環境づくりに注力してきました。在宅勤務制度や育児・介護との両立を支援する制度など柔軟な働き方を促進する環境の整備に取組んでおります。また当社の平均有給休暇取得率は85.9%です。今後も休暇取得を促進し、長時間労働の抑制に努めてまいります。ライフイベントと両立しながら長く働き続けるための環境を更に整備し、社員の満足度を高め、離職防止に繋げてまいります。
|
|
2021年実績 |
2022年実績 |
2023年実績 |
|
有給休暇取得率(%) |
75.8 |
82.9 |
85.9 |
ⅲ)健康経営推進
全ての社員が活躍するうえで最も基本的で大切なことは心身の健康であり、社員一人ひとりが健康で生き生きと働くことが組織全体の活性化に繋がるとの考えから、重症化予防・生活習慣改善・メンタルヘルス対策の3点を柱に健康経営に取組んでおります。2026年度までに健康経営優良法人認定を目標に活動を推進してまいります。
① 重症化予防
社員が自身の健康に意識を向けるきっかけとなるよう、定期健康診断・オプション健診・再検査について費用補助及び有給の健診休暇を付与しております。
また、健康管理システムに個人ページを開設し、健診結果やストレスチェックの結果を経年で確認することができます。再検査が必要な項目があった場合はシステムを通して受診勧奨を行い、受診状況を確認できる仕組みにしております。
② 生活習慣の改善
生活習慣病やメタボリックシンドロームを予防し、社員が自主的に食生活の改善を図るため、社内で健康的な食事を提供しております。運動習慣の改善と職場コミュニケーションを促進するため、ウォーキングイベントを定期的に実施し、運動の習慣化に繋げております。また喫煙は喫煙者自身の健康と受動喫煙のリスクがあるため、禁煙活動を推進しております。
③ メンタルヘルス対策
自身のストレスに気付き対処できるようにセルフケア研修、部下の様子の変化や職場環境改善について理解するためラインケア研修を毎年実施しております。休職者が職場復帰する際は、産業医、職場上司、人事総務部門による支援メンバーで個人に合わせた復職支援プログラムを運用しております。
なお、ⅰ)人材育成とキャリア自律支援及びⅱ)多様な人材が活躍できる職場環境・組織風土の醸成に表記のある数値データは、単体ベースの数値となります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難なため記載しておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 半導体市場等の変動による影響
当社グループは、半導体及びFPDの検査機器や計測器具の製造・販売を事業の柱とし、グローバルに事業を展開しております。半導体及びFPDは、技術革新等により市場が成長し需要が喚起されることがある反面、ニーズや経済環境の変化によっては、需給バランスが大きく崩れることもあり、これに伴う顧客の設備投資の凍結や減産、計画変更等は、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、製品や事業のポートフォリオを多様化することで、半導体市場等の変動による影響を最小限に抑えるよう努めております。
(2) 特定顧客への取引集中による影響
当社グループの製品は、国内外の大手半導体及びFPDメーカーを顧客としておりますが、それら顧客の淘汰・再編が進んだことで、売上高に占める特定顧客の比率が上昇し、その動向に影響を受け易くなる傾向にあります。そのため、特定顧客の設備投資や生産計画、事業戦略の変更が経営成績に大きな影響を与える可能性があります。また、顧客からのコストダウン要求等により販売価格が低下し、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、市場環境の変化等を常に注視するとともに、可能な限り顧客の分散化を図ることで、経営成績への影響を最小限に抑えるよう努めております。
(3) 研究開発による影響
当社グループは、持続的に成長し続ける企業を目指し、新技術の開発を積極的に進め、新製品の早期市場投入を図っております。そのため、顧客の技術及び半導体市場等の動向を常に注視し開発を進めておりますが、顧客の要求する技術やスケジュールに応えられない場合、または競合他社が優位性のある新技術・新製品で先行した場合には、当社製品が競争力を失い、収益性の維持が困難となるなど、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、顧客との定期的な技術交流を行うことで確固とした信頼関係を築き、将来のニーズをいち早く捉えることに努め、具体的に必要となる技術開発にいち早く着手することで、タイムリーな技術開発及び新製品の投入が可能な体制を整えております。
(4) 情報セキュリティ等による影響
当社グループは、事業遂行に当たり、多数の技術情報、顧客等の営業情報、従業員等の個人情報を含む機密情報を有しております。しかしながら、予期せぬ不正アクセスやコンピュータウィルス侵入、ランサムウェア、DoS攻撃等のサイバーアタック、役員・従業員による情報システム及び情報資産の不正使用や誤用、自然災害、大規模停電、火災等に起因する情報インフラの障害等が発生した場合、事業の継続が困難になるだけでなく、法的請求、訴訟、損害責任、罰金を払う義務が生じることがあり、当社グループの社会的信用や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらの情報の外部への流出、データの改竄や消失・損壊を防ぐため、情報セキュリティに関する所轄部門において情報セキュリティポリシーの見直しを行うとともに、それに則った情報資産の適切な運用・管理等に努めております。また、サイバーリスク保険に加入することで、サイバーアタックにより生じる費用負担や機会損失を最少化できるよう備えております。
(5) 品質に関する影響
当社グループ製品は最先端技術を利用した製品であるため、予期せぬ不具合が発生した場合、納期の遅延や生産停止、リコール等の損害賠償責任や製品回収等の追加支出等が発生することがあり、売上高の減少や信頼性の低下など、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、日頃よりQDCCSS活動に基づき、製品の開発から製造、資材調達、管理、サービス等の改善を促進するとともに、ISO9001の認証取得を含む品質保証体制の継続的な整備をすることで品質の維持に努めております。
(6) 部材調達や外注加工による影響
当社グループの製品は、一部の部材や加工が最先端の技術を伴うものであるため、その調達先や委託先は代替が困難な場合があります。そのため、これらの調達先や委託先に供給遅延や加工納期遅延、品質問題等が発生した場合には、当社グループの製品の製造中断や品質低下を招くことがあり、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、このような協力会社との良好な関係を構築、維持することはもとより、常に代替品やセカンドソースを意識した部材調達、外注加工委託を実施することで、品質・納期等の面での安定供給に努めております。
(7) 災害等の発生による影響
当社グループは、東京都に本社を有するとともに、青森県及び大分県、台湾、中国、米国、独国、韓国、シンガポールに開発・製造・販売・保守の拠点を有しております。これらの地域に大規模な台風、風水害や地震等の自然災害、テロ行為、感染症、大規模停電、火災等による被害が生じた場合、本社機能や製品製造等が停止するリスクがあり、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、このような災害による事業資産の損害を最小限にとどめるため、BCP(事業継続計画)対策を強化し、事業の継続・早期復旧を図れるよう努めております。
(8) 環境問題に関する影響
当社グループは、国内の環境規制として、水質汚濁防止、大気汚染防止、省エネルギー化、地球温暖化対策や製品含有化学物質管理等の適用を受けております。また、世界的な環境負荷低減の推進を背景に、ステークホルダーや社会全体から、気候変動などの地球環境問題への配慮、サステナビリティを巡る課題への取組みが求められております。それらに加え、半導体業界の行動規範による環境課題への対応も要求されております。こうしたなか、関連規則を遵守しつつ、環境に与える影響を低減する製品の開発や製造プロセスにおいて、様々な対策に取組んでおります。しかし、期待した成果が得られない場合や法令等に適切に対応できなかった場合には、対応費用の発生や製品競争力の低下、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、環境法令や半導体業界の行動規範を遵守することに加え、事業所におけるエネルギー使用量低減に努める等、事業活動を通じて地球環境保全に取組んでおります。
(9) 知的財産権に関する影響
当社グループは、製品の差別化とその強化のため研究開発を積極的に行い、知的財産権の取得等に努めております。しかしながら、従業員の転職や情報の流出等により知的財産が社外に流出し、これが第三者によって不正利用または模倣された場合、経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループが知的財産権の取得や保護に失敗し知的財産権が無効とされた場合や、当社グループが事業を行っている特定の地域で当社の知的財産権の十分な保護が得られない場合、経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループ製品または技術が他者の知的財産権を侵害しているとされ、訴訟を受ける等した場合にも、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
更に、当社グループによる製品化において第三者の技術や特許、その他知的財産権に基づく制約を受け、必要なライセンスの供与が受けられない場合、また、予期せぬ特許侵害訴訟を受ける場合等には、当社グループの事業展開及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、第三者の知的財産を侵害することがないよう、弁護士、弁理士等の外部専門家の意見を参考にしつつ、現場の技術者と知財部門の連携を強化し、開発プロセスの初期段階から厳格に他者の知的財産権を調査しております。また、報奨金制度を設けることで開発、設計、製造等に関わる特許取得を従業員に推奨し、自社の知的財産権保護・強化も図っております。
(10) 人材に関する影響
当社グループが、持続的成長を実現するためには、特に開発技術部門の有能な人材の確保と育成が欠かせないものと考えております。しかしながら、必要な人材の採用が想定どおり進まなかった場合、重要な人材が社外流出した場合等には、当社グループの事業展開及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、人事処遇制度の整備や有能な人材の積極的採用はもとより、各種研修・教育プログラムの充実を心がけることで、働きやすい労働環境を提供し、人材の定着を図っております。
(11) コンプライアンスに関する影響
当社グループは、事業展開している国内外において、製品の安全性関連、国家間の安全保障及び輸出入関連、商行為、特許、製造物責任、環境及び労務、税務関連等、様々な法令や規制の遵守を求められております。しかしながら、このような法令や規制は複雑化の一途を辿っており、役員、従業員による抵触行為リスクを完全に回避することは難しい状況であります。このような事象が発生した場合、社会的信用が低下し、取引停止、罰金・罰則等により、事業展開及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、内部統制システムを整備することはもとより、行動規範を定めた「コンプライアンスハンドブック」の配信や定期的な習熟度確認研修を通して、法令等の順守意識を高めております。
(12) 地政学、カントリーリスクによる影響
当社グループは、海外にも製造拠点や営業サービスを展開しており海外顧客も多い事から、国際情勢の変化により受注減となるリスクがあります。更に、その国・地域特有の紛争・戦争、テロ、自然災害、疫病、感染症の発生により、当社グループ社員(現地従業員や出向者及び出張者)が危険にさらされるリスクがあります。また、その危険に巻き込まれた場合は、事業活動が停止するリスクもあり、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、国際情勢、安全保障、産業政策の動向を注視すると共に、海外拠点の情報収集をタイムリーに行い、適切な対応策を早めに講じる取組みを実施しております。
(13) その他
当社グループが事業を遂行するにあたっては、国内外及び各地域における経済環境、金融・株式市場、外国為替変動等の影響を受け、場合により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、日本及び販売先国の法令や政府による規制等の予期せぬ要因により、経営成績が影響を受ける可能性がありますが、それぞれのリスクに対し適切な対策を講じております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,775百万円減少し、34,571百万円となりました。現金及び預金が3,563百万円、棚卸資産が124百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ4,601百万円増加し、17,781百万円となりました。建設仮勘定が2,607百万円、建物及び構築物(純額)が1,387百万円、機械装置及び運搬具(純額)が351百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
無形固定資産は、前連結会計年度末に比べ14百万円増加し、1,004百万円となりました。
投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ623百万円増加し、2,491百万円となりました。繰延税金資産が261百万円、「その他」に含まれる長期前払費用が105百万円、退職給付に係る資産が101百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末から1,464百万円増加し、55,849百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,054百万円減少し、12,085百万円となりました。未払金が322百万円、契約負債が220百万円それぞれ増加しましたが、未払法人税等が879百万円、支払手形及び買掛金が342百万円、役員賞与引当金が236百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ50百万円減少し、2,563百万円となりました。退職給付に係る負債が23百万円増加しましたが、長期借入金が66百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末から1,105百万円減少し、14,649百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,569百万円増加し、41,200百万円となりました。利益剰余金が1,853百万円、為替換算調整勘定が577百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は73.8%(前連結会計年度末比2.9ポイント増)となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の経済活動への影響がほぼ解消しました。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、新たにイスラエル・ハマス紛争が勃発するなど、地政学的なリスクが高まりました。このような不確実性が高まる中、物価上昇圧力は依然として強く、これを抑制するために米欧を中心に政策金利が高止まりし、経済活動に影響を与えました。
半導体市場においては、前年から続く民生用電子機器の需要減少やデータセンター投資の減速により、半導体メーカーの在庫調整や設備投資の先送りに繋がりました。更に、車載用のアナログ半導体やマイコン、産業機器向け半導体市場も減速傾向となり、半導体市場全体では4年ぶりのマイナス成長となる見込みです。一方、生成AIの普及が加速する中、AIサーバーの出荷台数は前年同期比で増加し、それに伴いHBM(高性能メモリ)の需要が拡大しました。
FPD市場においては、テレビ・パソコンともに需要が落ち込み、液晶パネルの需要回復には時間がかかる見込みです。
このような事業環境において、当社グループの当連結会計年度は、半導体市況の減速の影響を受けつつも、下期にかけて順調な回復となりました。
こうした中、当社グループは2026年度を最終年度とする新中期経営計画「FV26」を策定し、経営指標及び重点施策を公表いたしました。当連結会計年度においては設備投資、研究開発投資を始めとした「FV26」の施策を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は38,292百万円(前年同期比13.6%減)となりました。地域別の売上高は、国内売上高が11,211百万円(前年同期比17.0%増)、海外売上高が27,081百万円(前年同期比22.0%減)となり、売上高に占める海外売上高の比率は70.7%となりました。また、受注高は44,474百万円(前年同期比3.2%増)となり、受注残高は15,908百万円(前年同期比63.6%増)となりました。
売上総利益は17,097百万円、売上総利益率は44.7%(前年同期比0.9ポイント減)となりました。
販売費及び一般管理費は11,785百万円となり、売上高に対する比率は30.8%(前年同期比6.0ポイント増)となりました。
営業利益は5,312百万円(前年同期比42.4%減)となりました。経常利益は営業外収益618百万円、営業外費用255百万円を加減算し5,675百万円(前年同期比45.6%減)となりました。特別利益70百万円、特別損失244百万円を加減算した税金等調整前当期純利益は5,501百万円(前年同期比46.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,127百万円(前年同期比45.2%減)となりました。
これらの結果、1株当たり当期純利益は、106円99銭(前年同期は195円69銭)となりました。
<セグメントの状況>
(各セグメントの売上高は、外部顧客に対するものであります。)
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(プローブカード事業)
当該事業の主力製品は、半導体製造のウェーハ検査工程において、シリコンウェーハ上のICチップの電極にピンを接触させ、テスタと電気信号を送受信することで良否判定を行うプローブカードです。現在はメモリ向けプローブカードで市場優位性を有しておりますが、中長期的にはノンメモリ向けプローブカードの拡販を目指しております。
当連結会計年度は、上期においては半導体市況の減速により、売上・利益ともに前年同期比で落ち込んだものの、下期にかけてはDRAM市況が回復したことで、順調に回復いたしました。
この結果、売上高は36,464百万円(前年同期比9.7%減)、セグメント利益は8,582百万円(前年同期比25.4%減)となりました。
(TE事業)
当該事業の主力製品は、半導体チップの実装組立後の検査で使用されるパッケージプローブ(テストソケット)、パネルにテスト用の電気信号を伝えるためのコンタクタであるプローブユニット、半導体の検査で使用されるテスタやマニュアル・セミオートウェーハプローバ等です。この他、半導体の測定検査分野での新製品開発を進めており、中長期の計画で業績回復を目指しております。
当連結会計年度における売上高は、パッケージプローブ、LCD検査機器が安定的に売り上がったものの、全体としては半導体市況、LCD市況の減速により前年同期を下回る業績となりました。
この結果、売上高は1,827百万円(前年同期比53.5%減)、セグメント損失は781百万円(前年同期は335百万円のセグメント利益)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,580百万円減少し、当連結会計年度末は16,423百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は4,837百万円(前年同期比42.4%減)となりました。
主な増加要因として、税金等調整前当期純利益5,501百万円、減価償却費2,203百万円等があり、主な減少要因として、法人税等の支払額2,557百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用された資金は7,497百万円(前年同期は2,267百万円の支出)となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出6,366百万円、定期預金の純預入額958百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用された資金は2,175百万円(前年同期は2,477百万円の支出)となりました。
主な内訳は、配当金の支払額2,274百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
プローブカード事業(百万円) |
37,931 |
89.9 |
|
TE事業(百万円) |
1,872 |
81.5 |
|
合計(百万円) |
39,804 |
89.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
プローブカード事業 |
42,618 |
105.2 |
15,266 |
167.5 |
|
TE事業 |
1,856 |
71.8 |
642 |
104.8 |
|
合計 |
44,474 |
103.2 |
15,908 |
163.6 |
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
プローブカード事業(百万円) |
36,464 |
90.3 |
|
TE事業(百万円) |
1,827 |
46.5 |
|
合計(百万円) |
38,292 |
86.4 |
(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
Samsung Electronics Co., Ltd. |
12,702 |
28.7 |
15,074 |
39.4 |
|
マイクロンメモリ ジャパン株式会社 |
5,043 |
11.4 |
8,394 |
21.9 |
|
Micron Memory Taiwan Co., Ltd. |
5,045 |
11.4 |
4,118 |
10.8 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等に関する分析
(財政状態)
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。
(経営成績)
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。
(キャッシュ・フロー)
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける主な資金需要は、顧客の技術要求に応え、性能面で他社と差別化を図るための研究開発費と変動する需要に対して納期面で柔軟に対応するための設備投資等となっております。これに加え、高水準な海外売上高比率に見合う顧客サービス等の更なる拡充も将来的に必要だと考えています。
これらの資金需要に対する資金調達については、営業キャッシュ・フローで得られる自己資金の他、金融機関等から資金調達することを方針としていますが、現時点では、有利子負債比率は低水準で推移しています。安定的な資金財源の確保及び運転資金の効率的な調達なため、取引金融機関3社とコミットメントライン契約を締結しており、金融機関との良好関係を維持することに努めています。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
前連結会計年度まで記載しておりました Gallant Precision Machining Co.,Ltd.との技術供与契約につきましては重要性が乏しくなったため記載を省略しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、売上高の12.6%にあたる
(1) プローブカード事業
高性能・高機能化する半導体デバイス向けに最適かつ信頼度の高い次世代プローブカードを開発するため、要素技術や製造技術における研究開発を実施いたしました。
当事業に係る当連結会計年度の研究開発費は
(2) TE事業
半導体テスタ、プローバ、LCDパネル検査用プローブユニット等、次世代に向けて要素技術開発も含め幅広く実施いたしました。
当事業に係る当連結会計年度の研究開発費は