第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度(平成28年10月1日~平成29年9月30日)における世界経済は、米国において景気拡大の動きが持続したものの、アジア地域を始めとする新興国や欧州地域の緩慢な景気回復から、全体として低成長で推移しました。
 我が国経済につきましては、個人消費の回復に足踏みが見られるものの、設備投資や工業生産が持ち直しの動きを示すなど、緩やかな景気回復が続きました。
 このような状況の下、当社グループと深く関わる自動車業界につきましては、中国を中心としたアジア地域と米州地域などで、新モデル投入などによる設備投資が行われるとともに、生産活動についても堅調な動きが見られました。一方、同じく当社グループと深く関わるエレクトロニクス業界では、先端デバイスなど一部に活発化の流れがあるものの、設備投資への慎重対応を継続する向きも見られました。
 当社グループは、このような経営環境に対応するため、各市場動向に応じ、設備品及び消耗品の拡販に努め、ローカルニーズに対応した製品投入を進めるとともに、技術革新・次世代装置などの高付加価値製品の開発にも注力してまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高465億36百万円(前期比7.2%減)、営業利益90億17百万円(前期比7.5%減)、経常利益98億88百万円(前期比4.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は63億23百万円(前期比10.5%減)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

①溶接機器関連事業

溶接機器関連事業につきましては、取引先である日系・欧米系・アジア系自動車メーカーにおいて、中国を中心としたアジア地域や米州地域などで堅調な設備投資が行われ、世界各地域の自動車生産は概ね高水準となりました。このような環境の下、当部門として設備品及び消耗品の拡販を図ったことなどにより、業績は堅調に推移しました。

この結果、部門売上高は351億56百万円(前期比1.7%減)、部門営業利益は80億92百万円(前期比0.5%増)となりました。

 

②平面研磨装置関連事業

平面研磨装置関連事業につきましては、スマートフォンなど主要エレクトロニクス製品の堅調な販売動向を受け、取引先であるエレクトロニクス関連素材において、生産活動の回復が顕著となりましたが、設備投資については慎重な持ち直しの動きとなりました。このような環境の下、当部門として設備品及び消耗品の拡販を図ったものの、業績は前期を下回りました。

この結果、部門売上高は113億85百万円(前期比20.9%減)、部門営業利益は10億85百万円(前期比40.5%減)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は144億21百万円と、前連結会計年度末に比べて20億10百万円増加しました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益が93億7百万円となった一方、たな卸資産の増加額が20億41百万円、法人税等の支払額が24億59百万円発生したことなどにより、差引61億26百万円の資金の増加となりましたが、前連結会計年度に比べ23億3百万円の収入減少となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出が34億73百万円発生したことなどにより、37億10百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ17億32百万円の支出減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払額が16億46百万円発生したことなどにより、16億68百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ77億56百万円の支出減少となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

溶接機器関連事業

30,995

+10.9

平面研磨装置関連事業

8,078

+46.1

合計

39,073

+16.7

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格で表示しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

 溶接機器関連事業

37,228

+4.0

8,267

+33.5

 平面研磨装置関連事業

13,824

+58.4

6,762

+56.6

合計

51,052

+14.7

15,029

+43.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

溶接機器関連事業

35,155

△1.7

平面研磨装置関連事業

11,380

△20.9

合計

46,536

△7.2

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「良い品質の製品で顧客の要望を満たし、企業を繁栄させ、従業員福祉の向上と社会発展への貢献を図り、株主からの信頼に応える」ことを企業理念としております。

(2)目標とする経営指標

当社グループは、長期的な視野に立った企業価値の向上を目指してまいります。当社グループは、財政状態の健全性を示す自己資本比率と収益性を示すROE(株主資本当期純利益率)とのバランスを考え、具体的には、自己資本比率70%以上、ROE15%以上を長期的な経営指標の目標としてまいります。

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、創業以来、主に自動車業界を主要顧客とした溶接機器関連事業を中核としてグループの発展を目指してまいりましたが、平成12年8月にスピードファム株式会社の株式を100%取得し完全子会社化して以来、溶接機器関連事業と平面研磨装置関連事業という異なる2つの事業に大別される企業集団になりました。そして、平成23年10月3日には、各事業の採算性や責任体制の明確化を図るとともに、機動的な対応が可能なグループ運営体制にするため、持株会社体制に移行しました。
 今後とも、当社グループは、自動車業界とエレクトロニクス業界という二大基幹産業に寄与する企業集団として、グローバルな展開を行い、かつ個々のローカル市場で優位性を確立し、独自の技術を生かした事業の発展を加速させていきたいと考えております。

(4)会社の対処すべき課題

当社グループの主要顧客は、自動車業界とエレクトロニクス業界であります。自動車業界については、生産コストの削減、新興国を中心とした生産ラインの更新、エコカーの拡充が実施されております。また、自動車需要も新興国経済の発展に伴い、成長が予想されます。
 エレクトロニクス業界については、短期的な需要変動はあるにしても、半導体が使用される製品の裾野の拡大やその販売地域の世界的な広がりにより、中長期的な市場拡大が予想されます。そのような市場環境の中で、当社グループの収益拡大を図るために、次のような取り組みを行ってまいります。
 
①グループ管理
 当社グループは、主要取引先のグローバル展開に併せて積極的な海外進出による業容の拡大を図っておりますが、経営資源を有効活用し、品質統制、最適地生産、最適地調達を推し進め、グループの連携と管理の強化を通して、グループ全体で最大の収益を確保するための体制を整えてまいります。
 
②消耗品の受注拡大
 溶接機器関連事業の主要製品である溶接ガンと平面研磨装置関連事業の主要製品である平面研磨装置は、それぞれ自動車業界及びエレクトロニクス業界の設備投資動向によりその需要が大きく変動し、業績にも影響を与えます。一方、自動車やエレクトロニクス基板の生産数量については、短中期的に比較的小幅な調整はあるにしても、世界的見地で長期的に見れば安定的に推移すると想定されます。そのため、自動車の生産台数やエレクトロニクス基板の生産数量に伴う需要を持つ消耗品の受注拡大を図り、業績の安定化を目指してまいります。
 
③生産性向上を目指した次世代機の製品化
 自動車業界においては、自動車ボディーの溶接工程の品質向上や効率化のために溶接作業のロボット化を進めております。その流れの中で、当社グループの主要製品である溶接ガンの高速化・軽量化が求められております。当社グループでは、長年培ってきた総合溶接機器技術を活かし、自動車メーカー各社が要求する高速・軽量溶接ガンの開発を更に推し進め、競合他社との差別化を図り、シェアの拡大を目指してまいります。
 エレクトロニクス業界においては、半導体デバイスの高速動作・低消費電力・高集積化を可能とする回路線幅の微細化などに伴い、シリコンウェーハの高精度化が進展しています。その高精度ニーズに対応した高効率製品の開発を継続し、シェアの拡大を図ってまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項を記載しております。なお、文中においては、将来に関するリスクが含まれておりますが、当該事項については、有価証券報告書提出日(平成29年12月21日)現在において、当社グループが判断したものであります。
 
(1)主要顧客の業界動向等による影響について
 当社グループは、第1「企業の概況」3「事業の内容」に記載したとおり、子会社27社で構成されており、溶接機器関連事業及び平面研磨装置関連事業の製造販売を行っております。溶接機器関連事業については、主に自動車関連企業へ、平面研磨装置関連事業については、シリコンウェーハ、ハードディスク基板などといったいわゆるエレクトロニクス関連企業へ納入しております。そのため、自動車関連企業とエレクトロニクス関連企業の設備投資動向や生産計画、生産実績の影響を受ける傾向にあります。
 
(2)技術革新について
 溶接機器関連事業における主力の抵抗溶接機器については、薄板鋼板の溶接に適しているため、この薄板鋼板を主体としている自動車ボディーの溶接で最も利用されておりますが、自動車車体の技術革新等により、自動車ボディーに薄板鋼板を利用しなくなるか利用が少なくなる場合には、溶接機器関連事業の業績及び財務状況を悪化させる懸念があります。 

また、平面研磨装置については、エレクトロニクス関連業界で使用されることから、常に高精度、微細化といった最先端の加工技術を求められます。当社グループでは、顧客の高度な技術要求に対応できる体制で臨んでおりますが、研磨方法の技術革新等により、当社グループの製品が顧客の要求する製品提供を常に行いうるとの保証はありません。その結果、平面研磨装置関連事業の業績及び財務状況を悪化させる懸念があります。
 

(3)溶接機器関連事業と平面研磨装置関連事業の経営成績の変動について
 溶接機器関連事業の主要顧客である自動車業界については、比較的安定的な成長が見込めますが、平面研磨装置関連事業の主要顧客であるエレクトロニクス業界については、いわゆるシリコンサイクルによる周期的な需要変動により業績が大幅に変動します。当社グループについては、溶接機器関連事業と平面研磨装置関連事業の規模や業績が拮抗しているため、平面研磨装置関連事業の業績の変動により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
 

(4)為替レートの変動について
 当社グループは、為替レートの変動による影響を軽減するため、状況に応じて為替予約及び通貨オプション取引を行っておりますが、当社グループの想定を超える範囲での為替変動があった場合等には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、海外子会社等における収益、費用及び資産等の項目については、連結財務諸表作成のために円換算しております。そのため、換算時の為替レートにより、これらの項目の円換算後の価値が影響を受ける可能性があるため、為替レートの変動は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
 

(5)市況の変動について
 当社グループの溶接機器関連事業の主要材料である銅合金については、銅の国際商品市況に大きく影響されます。そのため、銅価格の変動による影響を軽減するため、状況に応じて銅の先物予約、商品スワップ取引や銅価格変動の販売価格への転嫁等を行っておりますが、銅価格の上昇分のコストアップを吸収しきれない場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、銅以外の原材料、石油化学製品等を使用した部品等についても、価格が上昇した場合は、同様に当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
 

 

(6)海外進出に潜在するリスクについて
 当社グループの生産及び販売活動については、中国、韓国及び台湾といった東南アジアや北米、欧州等、日本国外に占める割合が年々高まる傾向にあります。そのため、当社グループが進出している国や地域において、予測不可能な自然災害、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱、労働災害、ストライキ、疫病等の予期せぬ事象により事業の遂行に問題が生じる可能性があり、そのような場合等には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
 

(7)品質について
 溶接機器関連事業における主力の抵抗溶接機器については、グローバル展開により当社グループの製品が世界各国で利用されております。そのため、当社グループは、世界統一品質を掲げ、常にグループ製品の品質向上を目指して改善を行っております。しかしながら、品質上の問題が発生した場合には、その問題が世界に波及する懸念があります。その結果、改修費用等の負担が必要となる場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発部門では「ベストワンではなくオンリーワンを目指そう」を合言葉に、「高品質で高生産性なる製品とそのシステム的な活用方法の提供」を目標とし、以下のような考え方を掲げ研究開発活動を行っております。
 ① 作業環境にやさしい製品の開発。
 ② 製品の高速化と高付加価値化。
 ③ 各種製品の海外規格への適合。
 ④ 海外拠点での製造販売を意識した製品開発。
  当連結会計年度における研究開発費用は10億4百万円であり、セグメントの研究開発活動の主な成果は次のとおりであります。

 

(1)溶接機器関連事業
 当連結会計年度における研究開発費の総額は8億21百万円であり、電気・電子と機械のバランスを考えた開発陣容にてメカトロ方式を応用した各種溶接機器関連製品を開発しております。
 なお、研究開発により実現化した主な製品及び関連製品は次のとおりであります。

製品名

特徴

アルミ板溶接用ロボットガン

小型軽量で高出力の中空軸サーボモーター駆動により加圧力10キロニュートンと最大溶接電流55,000アンペアを実現。厚板のアルミ抵抗溶接が可能な製品。

アルミ板溶接用インバータートランス

内部構造の最適化により高効率な一体型インバータートランス。電流55,000アンペアを実現しながら、重量40kgと小型軽量化を実現した製品。

 

 

(2)平面研磨装置関連事業
 当連結会計年度における研究開発費の総額は1億83百万円であります。ダウンストリームプラズマによる気相化学エッチング反応を用いた平坦化加工装置について、高精度化の研究開発を鋭意継続しております。また、従来の超精密両面研磨加工の生産効率を飛躍的に向上させるための装置開発についても注力しております。更に、次世代の洗浄度を実現する洗浄装置の実用化に向け、開発を推進しております。
 なお、研究開発により実現化した主な製品及び関連製品は次のとおりであります。

製品名

特徴

DCP 200X/300X

数値制御ドライエッチングによる、情緒性を排した次世代対応の加工精度、品質及び環境にも配慮した廃液の出ない超平坦化装置。

新型両面研磨装置

従来より2倍以上の加工能力を持ち、生産性向上を目指した装置。

新型洗浄装置

柔軟性の高い洗浄方法を採用しつつ、高洗浄度を実現する洗浄装置。

 

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

(資産)
 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて81億91百万円19.1%増加して、511億21百万円となりました。受取手形及び売掛金が25億72百万円、有価証券が26億18百万円、たな卸資産が28億48百万円増加したことなどによります。
 当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ31億8百万円23.7%増加して、162億17百万円となりました。有形固定資産が24億39百万円増加したことなどによります。
 以上により、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ112億99百万円20.2%増加して、673億39百万円となりました。

 

(負債)
 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ、20億87百万円19.4%増加して、128億25百万円となりました。支払手形及び買掛金が11億19百万円、前受金が12億65百万円増加したことなどによります。
 当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ、5億13百万円5.0%増加して、108億63百万円となりました。繰延税金負債が3億33百万円増加したことなどによります。
 以上により、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ26億円12.3%増加して、236億89百万円となりました。

 

(純資産)
 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ、86億98百万円24.9%増加して、436億50百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を63億23百万円計上したことなどにより利益剰余金が46億71百万円、円安により為替換算調整勘定が37億63百万円増加したことなどによります。

 

(2) 経営成績の分析

(売上高)
 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ36億5百万円7.2%減収し、465億36百万円となりました。販売活動の概況につきましては、第2「事業の状況」 1「業績等の概要」をご参照ください。
 
  (営業損益)
 当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度と比べ7億27百万円減益となり、90億17百万円となりました。
 
  (経常損益)
 当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べて4億31百万円増益となり、98億88百万円となりました。円安推移の影響などによります。
 
  (親会社株主に帰属する当期純損益)
 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて7億43百万円減益となり、63億23百万円となりました。税効果会計適用後の法人税等負担額は29億76百万円(前期比38.7%増)、非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度にOBARA KOREA CORP.の株式(50%)を追加取得したため、7百万円(前期比95.1%減)となりました。
 
 なお、キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、第2「事業の状況」 1「業績等の概要」(2)キャッシュ・フローの状況をご参照下さい。