第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における電子機器業界においては、産業用電子機器並びに電子部品・デバイスの需要が減少した結果、電子機器業界全体の市場は前年同期比減という状況で推移いたしました。

ASICにおいては、これまでの主力分野であるゲーム機器、デジタルカメラ、事務機器分野に加え、FA、ロボティックスなどの産業機器分野における国内外の有力顧客に向け、顧客の機器・サービスのアプリケーションに最適なソリューションを提供しております。その競争力は、顧客のアプリケーションに関する深い理解と独自のコア技術を基に、アルゴリズム・アーキテクチャの開発から性能・コスト競争力に優れたシステムLSIの開発・供給を、上流の論理設計から下流の物理設計、製造オペレーション、品質保証に至るまで一貫したサポート体制で提供できることにあります。

ASSPにおいては、国内外の競合企業や市場環境の変化に適応しつつ、IoT時代の到来により更なる成長を図るため、成長機器市場の有力グローバル企業に向けたビジネスを立ち上げ、事業ポートフォリオのバランスの改善に取り組んでおります。そのための施策として、IoT分野の製品を中心にプラットフォームを構成する製品の拡充を図るとともに、成長機器市場における有力グローバル企業とのビジネス関係を更に緊密にし、重点的にグローバルに通用する人材の育成を図りつつ、収益構造の転換を積極的に進めております。

当連結会計年度の業績につきましては、主にゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)の需要が増加したこと、MEMSタイミングデバイスの需要が堅調に推移したことにより、売上高は674億3千8百万円前年同期比21.2%増)となりました。また、海外企業の買収に伴うのれん及び無形固定資産の償却費が29億9千5百万円発生し、償却前の営業利益は49億2千2百万円、償却後の営業利益は19億2千6百万円(前年同期は3億3千5百万円の営業損失)、経常利益は9億9千4百万円前年同期比217.8%増)となり、特別損失として投資有価証券評価損が11億5千8百万円発生し、親会社株主に帰属する当期純損失は9億4千7百万円(前年同期は7億8千2百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、119億5千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億2千1百万円の増加前年同期は22億9千5百万円の減少)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、3億4千万円の資金の獲得前年同期は42億7千2百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が2億9千4百万円(前年同期は2億8千4百万円の税金等調整前当期純利益)となり、売上債権が83億5千6百万円の増加となった一方で、減価償却費が23億1千9百万円、のれん償却額が19億1千6百万円それぞれ発生し、仕入債務が44億8千4百万円の増加となったことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、65億4千万円の資金の使用前年同期は59億5千5百万円の資金の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が23億8百万円、無形固定資産の取得による支出が28億3千9百万円、長期前払費用の取得による支出が8億5千6百万円あったことによるものであります。この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、62億円の資金の使用(前年同期は16億8千3百万円の資金の使用)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、74億3千9百万円の資金の獲得前年同期は3億7千9百万円の資金の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額が101億6千5百万円となった一方で、長期借入金の返済による支出が20億円、配当金の支払額が7億2千6百万円あったことによるものであります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当連結会計年度における生産実績、受注状況及び販売実績は次のとおりであります。

なお、当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(1) 生産実績

 

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

生産高(千円)

50,205,359

130.0

 

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績はありません。

 

(3) 受注状況

 

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

受注高(千円)

69,433,553

126.7

受注残高(千円)

7,828,285

134.2

 

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(4) 販売実績

 

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

販売高(千円)

67,438,389

121.2

 

 

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

前連結会計年度(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日)

相手先

金額(千円)

割合(%)

任天堂㈱

16,582,046

29.8

Wah Lee Industrial Corp.

8,997,036

16.2

 

 

当連結会計年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

相手先

金額(千円)

割合(%)

任天堂㈱

24,279,338

36.0

 

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと、わが国ではユニークな研究開発型ファブレスメーカーの草分けとして平成2年に創業し、システムLSI開発をコア事業として発展してまいりました。

当社グループのミッションは「高い技術力をベースに、人々の安心や安全、豊かな生活、地球環境維持の実現に貢献する。」ことであり、「新しいアプリケーションを創造するとともに、システムソリューションを提供し続けるグローバル企業」として継続的な成長を目指していく考えであります。

これを実現するために、成長機器市場であるIoT分野、車載分野、産業・通信インフラ分野などに対し、競争力に優れた独自技術であるアナログ/デジタル/MEMS技術により、有力なグローバル企業を対象としたASSP事業、並びに顧客の多種多様な課題に対して一貫したサポートを提供するASIC事業を両輪として、事業の拡大を図ってまいります。

また、経営効率の改善を図り、業績の持続的向上により成長し、堅固な財務体質を維持しつつ、投資家の皆様に積極的な利益還元を行うことを基本方針といたします。

 

(2) 経営指標

経営指標として、連結株主資本利益率、連結総資産利益率や連結キャッシュ・フローを重視し、連結営業利益率の向上に努めてまいります。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

今後、あらゆる物がネットワークにつながる社会が更に発展し、半導体需要は世界で伸長していくものと思われます。当社グループはこうした動きを更なる成長の機会と捉え、これまでにない新しい価値の創造と高い技術力により、独創性のある幅広いソリューションを顧客に提供することで、人々が幸せを実感できる豊かな未来社会作りに貢献したいと考えております。

そのために、以下のような戦略をもって事業を推進してまいります。

① ASIC事業では、高速通信分野のコア技術を核として、車載、産業機器分野向けに応用分野の拡大と国内有力顧客の獲得を図ります。

② ASSP事業では、MEMSタイミングデバイス及びSmart Connectivityの両製品を核として、グローバル有力顧客とのビジネス拡大を図るとともに、IoT分野、車載分野、通信インフラ分野に向けて、ビジネス展開を加速します。

③ 中長期の新たなビジネス展開に向けて、「人財」のグローバル化を推進します。

 

(4) 会社の支配に関する基本方針

当社は、会社の支配に関する基本方針は定めておりませんが、買収防衛策や濫用的買収者から株主の皆様の利益を守ることは会社の経営上重要な事項として認識しており、最近の企業買収動向につきまして常時情報を収集しております。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月23日)現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 特定の取引先への依存について

① 販売先について

当社グループは、ゲームカセットに使用されるゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)、ゲーム機本体・周辺機器向けのLSI、デジタルカメラ向け等画像処理用LSI、液晶パネル向けタイミングコントローラLSI並びにセキュリティ・モニタリング用途のデジタル映像監視システムを主に販売しておりますが、ゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)を主に供給している、任天堂株式会社への売上高の割合が高くなっております。

したがって、これらのLSI製品が使用されるゲーム機器やゲームソフトウェアの販売動向、また、同社におけるLSIの採用状況などにより、当社グループの業績が変動する可能性があります。

なお、任天堂株式会社への売上高については、「第2 事業の状況 2 生産、受注及び販売の状況」に記載のとおりであります。

 

② 生産委託先(仕入先)について

当社グループは、創業より経営資源を研究開発に集中し、製品の生産を外部に委託するファブレスメーカーという事業形態を採用することにより、特徴のある技術力を核に顧客のニーズに最適な製品を開発し、多くの資金が必要となる生産設備投資に制約されることなく事業を拡大してまいりました。生産は国内外のファウンドリーまたは委託先メーカーに分散して委託しておりますが、主力取引先である任天堂株式会社へ供給するゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)及びゲーム機本体・周辺機器向けのLSIなどの製品を生産委託している、Macronix International Co.,Ltd.(以下「マクロニクス社」)からの仕入高の割合が高くなっております。

したがって、何らかの理由によりマクロニクス社で生産ができなくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社は任天堂株式会社及びマクロニクス社との間で製造委託契約を締結しており、両社と良好かつ緊密な関係を構築し、安定的な製品の供給に努めております。

 

(2) 事業について

① LSI製品におけるリスク

当社グループは自社で生産設備は保有せず、生産は全て外部に委託するファブレスの事業形態をとっており、LSI製品を国内外の大手ファウンドリーに生産委託しております。

したがって、半導体市況の需給バランスにより調達数量と価格が影響を受け、当社グループの望む数量及び価格で製品が調達できない可能性があります。

また、当社グループのLSIは先端のデジタル機器に採用されておりますが、当該分野は技術革新のスピードが速く、これらの製品が継続して採用される保証はありません。当社グループのLSIが採用されている最終製品においても、激しい市場競争にさらされているため、その影響により需要が変動する可能性があります。

 

② 戦略的投資におけるリスク

事業の成長を加速するための出資を含めた戦略的提携におきましては、事業上の補完関係の構築や業績の拡大等において、当社の予測どおりの効果が得られない可能性があります。

 

③ 研究開発について

当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと、技術開発力をベースとして事業を展開しております。その競争力の源泉は、成長分野である画像・音声・通信に係わる市場の特定顧客や応用分野向けに製品を「特化」し、顧客に最先端技術と製品を提供するために経営資源を研究開発活動に「集中」し、当社グループの「独自性」を発揮することにあります。

 

当社グループは、今後も継続して斬新で魅力のある製品を開発し、市場に提供できるものと考えておりますが、当社グループが属する業界は技術の進歩が目覚ましく、新しいと考えていた技術が突然陳腐化し、新たな技術やサービスが急速に普及するなど、市場に大きな変化が起こる可能性があります。変化が生じた場合には、必ずしも迅速に対応できるとは限らず、変化に対応するために多額の研究開発費用を投資する場合があります。このような場合、当社グループの業績は影響を受けます。

また、当社グループは最先端の技術を開発し、技術及び製品の競争優位性を維持する最善の努力を行っておりますが、技術開発競争において他社が優位にたった場合、当社グループのシェアは低下し、業績は影響を受けます。

 

④ 「人財」の確保について

当社グループの事業は、画像・音声・通信分野の技術開発力をベースとして事業を展開しており、その成長は「人財」に大きく依存しているため、優れた技術者を獲得し維持することや、必要とする「人財」をどのように処遇し、どのように育成していくかは非常に重要な経営課題となっております。

また、当社グループは、主にモバイル、ウェアラブル機器を含むIoT分野の成長機器市場をターゲットに、企業買収や研究開発投資を行い、積極的なグローバル展開を進めた結果、海外の子会社に在籍する「人財」を維持しつつ、現地におけるマネージメント層へ育成することや、技術や経営に携わる「人財」のグローバル対応は非常に重要となっております。

当社グループでは、これらに必要な人事処遇体系を再構築し、「人財」の育成計画を策定し、実行してまいりますが、将来において、当社グループの国内外の優秀な技術者が多数離職したり、新規採用や「人財」の育成・グローバル化が計画どおりにできなかった場合、当社グループの競争力が弱まり、企業価値そのものへの重大な影響を与える可能性があります。

 

⑤ 為替変動について

当社グループの事業取引には、米ドルを主とする外貨建取引が一定割合含まれております。このため外国為替相場、殊に日本円・米ドル間の為替相場の変動により、当社グループの業績が変動する可能性があります。

なお、当社グループは必要に応じて為替予約取引を利用し、為替リスクの低減に努めております。

 

(3) 経営について

① 買収防衛策について

当社は、会社の支配に関する基本方針は定めておりませんが、買収防衛策や濫用的買収者から株主の皆様の利益を守ることは会社の経営上重要な事項として認識しており、最近の企業買収動向について常時情報を収集しております。

 

② 会計監査人について

当社都合の場合の他、当該会計監査人が、法令に違反・抵触した場合又は公序良俗に反する行為があったと会社が判断した場合、当社監査役会はその事実に基づき当該会計監査人の解任又は不再任の検討を行い、解任又は不再任が妥当と判断した場合は、「会計監査人の解任又は不再任」を株主総会の付議議案として提出することとしております。

 

③ 内部統制システムの構築に関するリスク

当社グループは、法令遵守の重視、コーポレート・ガバナンス体制の確立を重要な経営課題のひとつとしてその強化に努め、リスク管理の充実を図っております。

また、当社グループは、当社取締役会において会社法の規定に基づく内部統制に関する基本方針を定め、これに基づき、金融商品取引法による財務報告に係る内部統制を含めた内部統制システムの整備、ルールに基づいた運用とその評価に取り組んでおり、適法かつ適正な会社運営を行っております。

しかしながら、当社グループが構築した内部統制システムで想定する範囲外の事態が発生した場合は、財務報告並びに情報開示の信頼性、網羅性等を確保できない可能性があります。このような場合、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態、経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

なお、現在のところ、そのような事態は発生しておりません。

 

 

(4) 知的財産権について

当社グループは、研究開発を主体としたファブレスメーカーであり、知的財産権の保護は事業展開上の重要課題と認識しております。

そのため、当社グループは、知的財産に係わる社内体制及び特許事務所との連携を強化し、当社グループが提供する製品・サービスを保護するための特許や商標などの出願・登録を積極的に行うと同時に、他社権利の調査を徹底することにより他社権利侵害の防止に努めております。

しかしながら、当社グループが出願する特許や商標などがすべて登録されるとは限らないこと、また、公開前の他社技術など、他社権利を調査しても把握できないものもあることから、他社の知的財産権を侵害し、訴えを提起された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの独創的な技術が、特定の国・地域においては、法整備等の理由により充分な保護を受けることができない可能性があります。このような状況下で、他社が当社グループの知的財産を無断で使用し、類似の製品を市場に販売した場合、これを効果的に阻止することができない可能性があります。

なお、有価証券報告書提出日(平成29年6月23日)現在、当社は知的財産権に関する提訴等を起こされた事実はありません。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 製造・販売の提携

契約の名称

製造委託契約

契約年月日

平成13年3月22日

契約期間

平成13年7月31日より平成17年6月30日、以降1年間単位で異議申立のない限り自動延長

契約相手先

任天堂株式会社及びMacronix International Co.,Ltd.

契約内容

① Macronix International Co.,Ltd.は、任天堂㈱向けマスクROM、フラッシュメモリ及び各種ICを継続的に生産し、当社は同マスクROM、フラッシュメモリ及び各種ICを買い取った上、任天堂㈱に販売する。

② 任天堂㈱が購入を望むMacronix International Co.,Ltd.製マスクROM、フラッシュメモリ及び各種カスタムICは、全量当社が販売するものとする。

③ Macronix International Co.,Ltd.及び当社は、同マスクROM、フラッシュメモリ及び各種カスタムICが任天堂㈱向けのカスタム製品である場合、任天堂㈱以外の第三者に販売その他交付できない。

④ 任天堂㈱は、当社に対し継続してウエハ枚数で月間2,200枚以上の同マスクROM、フラッシュメモリ及び各種カスタムICを発注するよう最善の努力をする。

⑤ 本契約の効力発生日をもって、平成7年3月31日に当社、任天堂㈱及びMacronix
International Co.,Ltd.の3社で締結した製造委託契約はその効力を失う。

 

 

(注) 当契約により、Macronix International Co.,Ltd.からの仕入高の割合が大きくなっており、同社からの仕入高が当社の仕入高全体に占める割合は、前連結会計年度は34.5%、当連結会計年度は29.3%であります。

 

(2) 販売の提携

契約の名称

Sales Agency Agreement(販売代理店契約)

契約年月日

平成6年3月23日

契約期間

平成6年3月23日より5年間、以降5年間単位で異議申立のない限り自動延長

契約相手先

Macronix International Co.,Ltd.

契約内容

① Macronix International Co.,Ltd.は、当社を任天堂㈱向けカスタムマスクROMの独占販売代理店として指名する。

② 当社は任天堂㈱より当該製品を受注し、Macronix International Co.,Ltd.に発注する。Macronix International Co.,Ltd.は当社より注文を受取り、生産し当該製品を当社に供給する。当社は当該製品に対して、Macronix International Co.,Ltd.の顧客サービス代理人の役割を果たす。

③ Macronix International Co.,Ltd.は、当社以外のチャネルを通して直接的にも間接的にも当該製品を任天堂㈱に販売してはならない。

④ 当社は任天堂㈱に対する販売価格に対して、一定割合のマージンを差し引いた価格を仕入金額としてMacronix International Co.,Ltd.に支払う。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「独自のアナログ/デジタル/MEMS技術を駆使したシステムLSI及び当該製品を利用したソリューションを提供すること」を方針として掲げ、研究開発を積極的に進めております。

技術革新の著しい成長機器市場において、競争優位性を確保し維持するため、この分野におけるLSI開発の知識とアプリケーションの知識を併せ持つ技術者が顧客やマーケットの要求をいち早く的確に把握し、独創的なアルゴリズム(データの処理手順あるいは手続きや処理方法)やアーキテクチャ(アルゴリズムを実現するためのソフトウェアやハードウェア構成)を開発することにより、製品の競争力と独自性の確保を図っております。

また、経営戦略上、特許権等の工業所有権による知的所有権の保護を重視しております。当連結会計年度末における工業所有権の所有状況並びに工業所有権のうち特許権の国別の所有状況は、次のとおりであります。

 

工業所有権所有状況

 

平成29年3月31日現在

 

特許権

商標権

回路配置利用権

合計

取得済み件数

1,256

35

2

1,293

出願中件数

486

486

合計

1,742

35

2

1,779

 

 

特許権地域別所有状況

 

 

 

平成29年3月31日現在

 

日本

北米

アジア
(日本を除く)

EU

その他

合計

取得済み件数

836

336

75

9

1,256

出願中件数

341

68

36

24

17

486

合計

1,177

404

111

33

17

1,742

 

 

当社グループでは、従業員の過半数が研究開発に従事しており、現在、当社の開発部門において、LSI製品、その他製品に関連する以下の課題を中心に研究開発を進めております。

・基礎技術の研究開発:画像圧縮伸張、画像処理・通信に関するアルゴリズム、アーキテクチャ開発、各プロセス世代におけるLSI製品のデジタル設計プラットフォーム、ミックスド・シグナルIPの開発

・LSI製品の開発   :ゲーム機等エンターテインメント機器向けLSI、オーディオ・ビジュアル機器向けLSI、デジタルカメラ向け等画像処理用LSI、画像処理システムLSI用IP、液晶パネル向けタイミングコントローラLSI、光通信向けデータ処理LSI、有線通信向けLSI、アナログフロントエンドLSI、Smart Connectivity LSI(DisplayPort)、MEMSタイミングデバイスの開発

・その他製品の開発 :デジタル映像記録システム、デジタル映像伝送サーバ、セキュリティ用カメラ、セキュリティシステムの開発

 

当連結会計年度における研究開発費は総額51億9千9百万円となりました。製品種類別の研究開発の目的、主要課題、研究開発成果については次のとおりであります。

なお、当社は単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(1) LSI製品の開発

当社では、研究開発に経営資源を集中し、他社製品との差別化を実現するアナログ/デジタル/MEMS技術を駆使した、システムLSI、システムLSI向けIP(設計資産)などの研究開発を実施しております。

当連結会計年度のLSI製品の主要な研究開発成果は、以下のとおりであります。

 

① 任天堂㈱製ゲーム機向けゲームソフトウェア格納用LSI

任天堂㈱製ゲーム機向けの、大容量、低消費電力を実現したゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)を、引き続き多品種開発いたしました。
 

 

② 液晶パネル向けタイミングコントローラLSIの開発

最新の低消費電力技術を搭載したタイミングコントローラLSIの開発を完了し、量産を開始いたしました。今年度は更なる高集積、低消費電力化を目指し、40nmプロセスを用いた製品の開発、リリースに向けた活動に取り組んでまいります。

 

③ 光通信向けIP、LSIの開発

光通信ネットワークのアクセス方式であるPON(Passive Optical Network)の次世代システムに向け、最新の低消費電力28nmプロセスを採用した10Gbps(毎秒100億ビット)超高速SerDes(Serializer/Deserializer)IPを開発いたしました。今後、本IPを用い、多様なPONプロトコルへの対応が求められる、次世代高性能PONシステム向けASIC製品の開発に取り組んでまいります。

 

④ アナログフロントエンドLSIの開発

アクセス・ネットワーク分野において、既存電話線で1Gbps(毎秒10億ビット)のデータ転送を実現する次世代国際標準規格、G.fast向けLSIの第2世代製品の顧客評価が開始されました。G.fastは今後大きく成長する市場と期待されており、低消費電力、高性能及び低価格を実現した本第2世代製品でシェア拡大を目指しております。

 

⑤ 有線(同軸線、電源線)マルチホップ通信向けLSIの開発

スマートシティやビルディング・オートメーションなど、次世代産業用途向けに有線長距離伝送を実現するマルチホップ通信に対応したLSIの外付けメモリを内蔵した新製品の量産を開始いたしました。メモリを内蔵することで、60%以上の実装面積の削減を達成しております。これまでサイズが課題となり参入が難しかった分野での採用を目指しております。

 

⑥ Smart Connectivity LSI(DisplayPort)の開発

当社独自のプロトコル変換、A/Vレンダリング、色忠実度の最適化、低消費電力設計、高度なセキュリティ機能、不正改ざん防止機能、高性能な高速信号処理のためのミックスド・シグナル技術などを駆使し、最新のDisplayPort/USB/HDMIに対応した多種多様なコンバーターICを、パソコン、モバイル端末、モニター製品、AV機器など様々な機器向けに開発しております。

今年度においては、4K60Hz HDRビデオに対応し、HDCP2.2で保護されているコンテンツを滑らかに処理することができる、DisplayPortからHDMI2.0b規格に準拠した業界最先端のオーディオビデオ・コンバーターを開発、量産化いたしました。また、USB Type-Cに対応した製品のサンプル提供を開始いたしました。

 

⑦ MEMSタイミングデバイスの開発

SiTime Corporation独自のMEMS振動子と周波数逓倍回路や位相同期(PLL)回路、温度補正回路を集積したCMOSチップを一体化パッケージすることで、水晶製品を凌駕する性能・小型化と信頼性、大幅なリードタイムの短縮を実現したタイミングデバイスを開発しております。

今年度においては、熱変動、衝撃、振動などの環境負荷状態下においても高精度を維持する超高精度温度補償型MEMS発振器、水晶発振器を30倍上回るロバスト性を備えたMEMS発振器を通信・ネットワーク、ストレージ、サーバ、産業機器、自動車向けに開発いたしました。

 

(2) その他製品の開発

当社では上記の他、LSIにおける基礎技術をベースとした、主にセキュリティ・モニタリング分野における技術及び製品開発を実施しております。当連結会計年度における主要な研究開発成果は、以下のとおりであります。

 

① フルデジタル映像記録・伝送システムの機能拡張及びカスタム開発

デジタル画像処理技術とブロードバンド通信技術を駆使し、集中監視・記録が可能なフルデジタルの次世代映像監視システムの、セキュリティ用途の様々なソリューションに対応させるための機能拡張開発及び特定顧客向けカスタマイズ開発を行いました。

 

② セキュリティ用カメラシステムのラインナップ追加開発

セキュリティ用途の様々なソリューションに対応させるため、カメラのラインナップ追加開発に着手いたしました。当社のLSI技術を活用し、デジタル画像処理技術とブロードバンド通信技術を搭載した、セキュリティ用途向けのカメラシステムのラインナップ強化を更に進めております。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループの重要な判断と見積もりに大きな影響を及ぼすと考えられる特に重要な会計方針は以下のとおりであります。

 

① 貸倒引当金

貸倒引当金に関して、過去の貸倒実績率により算定した額のほか、個別に債権の回収可能性を見積って計上いたします。

 

② たな卸資産

たな卸資産に関して、正味売却価額が取得原価よりも下落した場合に評価の切り下げを行います。

 

③ 有価証券

有価証券に関して、時価が著しく低下した場合には、当該有価証券は時価で連結貸借対照表に計上し、時価と簿価との差額はその期間の損失として認識いたします。適正な時価が容易に入手できない場合で、当該有価証券の実質価額が著しく低下している場合は、実質価額まで評価の切り下げを行います。

 

④ 長期前払費用

長期前払費用に関して、回収見込額が取得価額よりも下落した場合に評価の切り下げを行います。

 

⑤ 工事損失引当金

工事契約に関して、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合に、その超過すると見込まれる額を計上いたします。

 

⑥ のれん

のれんに関して、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却いたします。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行います。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

当連結会計年度の売上高は、主にゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)の需要が増加したこと、MEMSタイミングデバイスの需要が堅調に推移したことにより、674億3千8百万円前年同期比21.2%増)となりました。

 

② 売上原価・販売費及び一般管理費並びに営業利益

当連結会計年度の売上原価は、486億6千7百万円となりました。原価率は前連結会計年度から1.7ポイント悪化の72.2%となり、売上総利益は187億7千万円前年同期比14.3%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、研究開発の効率化を行った一方で、グローバル化のための人材強化に取り組むとともに積極的な先行投資を行った結果、168億4千4百万円となり、前連結会計年度と比較して8千万円増加いたしました。この主な内訳は、給料、賞与引当金繰入額等の人件費が56億2千万円(同18.9%増)、研究開発費が51億9千9百万円同12.7%減)、海外企業の買収に伴うのれん償却額が19億1千6百万円(同3.1%減)となっております。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は19億2千6百万円(前年同期は3億3千5百万円の営業損失)となりました。

 

③ 税金等調整前当期純利益

営業外費用として金融機関からの借入金に対する支払利息1億7千万円を計上したこと、子会社との内部取引の消去を主とする為替差損7億7千6百万円が発生したこと等により、営業外収益及び営業外費用の差引額は9億3千1百万円の費用となりました。

 

また、特別利益としてソケッツ株式を主とする投資有価証券売却益1億3千9百万円、特別損失として固定資産除却損1億1千4百万円、のれんの減損損失1億2百万円、Macronix International Co., Ltd.株式を主とする投資有価証券評価損11億5千8百万円を計上したこと等により、特別利益及び特別損失の差引額は12億8千9百万円の損失となりました。以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は2億9千4百万円(前年同期は2億8千4百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。

 

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税の額が5億5千万円前年同期比29.5%減)、法人税等調整額がプラス1億7千9百万円前年同期はプラス4億4百万円)、非支配株主に帰属する当期純損失が7千7百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純損失は9億4千7百万円前年同期は7億8千2百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

次期における電子機器の市場環境については、情報通信機器に依存した産業構造が続くことが見込まれ、高性能化ニ-ズとアプリケーションの広がりとともに、小型・薄型・省エネに貢献する電子部品を中心に需要の拡大が期待されております。

また、社会環境においてはネットワーク化が急速に進展しており、ますます高度な情報化社会の実現が予想され、さらには、地球環境維持を目的とした自然共生社会、低炭素社会、循環型社会の実現へ向けた取り組みは、継続されていくものと思われます。

このような状況の下、当社グループは次の方針のもと、積極的な先行投資を行った事業を狙いの成長軌道に乗せるべく、活動を進めてまいります。

ASIC事業では、高速通信分野のコア技術を核として、車載、産業機器分野向けに応用分野の拡大と国内有力顧客の獲得を図ること、また、ASSP事業では、MEMSタイミングデバイス及びSmart Connectivityの両製品を核として、グローバル有力顧客とのビジネス拡大を図るとともに、IoT分野、車載分野、通信インフラ分野に向けて、ビジネス展開を加速することを基本方針として取り組んでまいります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 財政状態

当連結会計年度末における総資産は804億6千5百万円前連結会計年度末比105億4千3百万円の増加)となりました。流動資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金、たな卸資産を中心に433億1千7百万円同113億8百万円の増加)となりました。主な項目を前連結会計年度と比較すると、現金及び預金が11億5千3百万円、受取手形及び売掛金が84億5百万円、商品及び製品が16億8千4百万円それぞれ増加しております。固定資産では、主にのれんが25億6千7百万円減少しております。

当社グループの資産構成の特徴はその流動性の高さにあります。企業買収等による無形固定資産が一定割合を占めるものの、総資産の53.8%を流動資産が占めております。その一方で、主に運転資金目的の短期借入金の増加により流動負債は413億4千7百万円となったため、流動比率は104.8%となりました。この流動資産から、たな卸資産67億1千4百万円を控除した資産の額は366億2百万円となっており、総資産の45.5%を占めております。このような資産構成は、当社グループが資金を長期に亘り固定化する生産設備等の資産を持たないファブレスメーカーとして事業を展開してきた結果であります。当社グループは、今後も流動性の向上と健全な資産構成のバランスシートの維持に努めてまいります。

当連結会計年度末の負債合計は528億3千4百万円同117億5千9百万円の増加)となりました。負債の主な内容は、短期借入金234億7千1百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)130億円、LSI製品の製造委託先からの仕入等に対する買掛債務88億7千1百万円となっております。主な項目を前連結会計年度と比較すると、支払手形及び買掛金が46億2千9百万円、運転資金目的の短期借入金が100億7千6百万円それぞれ増加した一方で、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)が20億円減少しております。

純資産は276億3千1百万円同12億1千5百万円の減少)となりました。主な項目を前連結会計年度と比較すると、親会社株主に帰属する当期純損失が9億4千7百万円、剰余金の配当が7億2千8百万円となり、その他有価証券評価差額が10億3千4百万円の増加、為替換算調整勘定が6億6千7百万円の減少となっております。自己資本は276億1千7百万円となった結果、自己資本比率は34.3%となりました。

 

 

② キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、3億4千万円の資金の獲得前年同期は42億7千2百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が2億9千4百万円(前年同期は2億8千4百万円の税金等調整前当期純利益)となり、売上債権が83億5千6百万円の増加となった一方で、減価償却費が23億1千9百万円、のれん償却額が19億1千6百万円それぞれ発生し、仕入債務が44億8千4百万円の増加となったことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、65億4千万円の資金の使用前年同期は59億5千5百万円の資金の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が23億8百万円、無形固定資産の取得による支出が28億3千9百万円、長期前払費用の取得による支出が8億5千6百万円あったことによるものであります。この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、62億円の資金の使用(前年同期は16億8千3百万円の資金の使用)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、74億3千9百万円の資金の獲得前年同期は3億7千9百万円の資金の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額が101億6千5百万円なった一方で、長期借入金の返済による支出が20億円、配当金の支払額が7億2千6百万円あったことによるものであります。

以上の結果、現金及び現金同等物は全体として前連結会計年度末より12億2千1百万円増加し、当連結会計年度末残高は119億5千4百万円となりました。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。

回次

第23期

第24期

第25期

第26期

第27期

決算年月

平成25年3月

平成26年3月

平成27年3月

平成28年3月

平成29年3月

自己資本比率(%)

62.6

70.9

41.3

41.1

34.3

時価ベースの自己資本比率(%)

79.5

64.8

43.0

41.7

87.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

105.0

77.5

471.4

664.7

10,716.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

134.5

94.4

73.6

28.0

2.3

 

 

(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

③ 資金需要

当社グループの運転資金については、当社グループの新技術・新製品の研究開発費、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものはLSI製品の製造委託費用であります。

 

④ 財務政策

当社グループは、主に営業運転資金に充当するため、必要に応じて金融機関から資金を調達することとしております。

当連結会計年度の資金調達について特記すべき事項はありません。当連結会計年度末における金融機関からの借入金残高は総額364億7千1百万円となっております。

当社グループは、その健全な資産構成又は財務状況、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長に必要な資金を、保有する売掛債権の売却、銀行借入れ又は増資などにより、必要な時期に必要な金額を調達できるものと考えております。