第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針、経営戦略等

当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客とパートナーとの共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと、日本初のシステムLSIのファブレスメーカーとして1990年に創業いたしました。

これまで、ファブレスメーカーとしての利点を活かし、経営資源を研究開発に集中することで独自技術を磨くとともに、顧客の最終製品やサービスなどのアプリケーションに関する知識とLSIの知識を融合させることで、顧客の課題解決と競争力向上に貢献するシステムLSIを企画・開発してまいりました。

また、生産を外部に委託するファブレスメーカーでありながら、厳格な品質保証体制を構築することで、信頼性の高いシステムLSIを供給しており、システムLSIの企画・開発から供給まで、一貫して顧客サポートができる体制を実現し、顧客と共に成長してまいりました。

今後も当社グループは、新しい価値の創造と高い技術力により、独創性のある幅広いソリューションを顧客に提供し、豊かな未来社会作りに貢献するために、「LSIによるシステム(機器)のソリューションを提供することによって顧客と共に発展・成長する」ことと、「会社を取りまく利害関係者から良い会社であるとの評価を獲得する」ことをミッションとして掲げ、自主独立で発展し、持続的な成長と新たな価値創造に挑戦していく考えであります。

これを実現するために、主力事業であるアミューズメント分野向けを中心とするASIC事業の事業基盤を強化しつつ、成長市場である「車載分野」、「産業機器分野」、「通信インフラ分野」、「エネルギー制御分野」、「ロボット分野」等の新規分野をターゲットに、競争力に優れた製品を積極的に投入し、国内外において新規事業の拡大を図っていく考えであります。あわせて、事業環境の変化に耐え長期の成長を支えるため、財務体質の強化を推進してまいります。

 

(2) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

これからの社会環境においては、通信ネットワークの超高速、低遅延、大容量、高機能化がさらに進展し、高度なネットワーク社会の到来により、人々のライフスタイルの変化がますます進んでいくものと思われます。さらには、低炭素、循環型、自然共生が統合的に達成された持続可能な社会の実現を目指し、社会全体で様々な取り組みが強化されていくものと思われます。

当社グループを取り巻くエレクトロニクス産業においては、あらゆるものがネットワークに繋がる高度なネットワーク社会の実現に向けて、電子部品・デバイスの生産実績は増加している状況となっており、今後の産業発展を支えるものとしてその重要性が高まってきております。

車載分野では、安全性の向上や環境負荷低減に向けて、通信機能を搭載したコネクテッドカーや自動運転車、電気自動車など、自動車のエレクトロニクス化が進展しております。通信インフラ分野では、「5G」の導入により通信速度の向上、タイムラグの減少、多くの機器が同時に接続できる多接続が実現するなど、IoT時代に対応する通信インフラの開発が進展しております。また、産業分野向けのIoTは、物流、製造オートメーションや電力スマートグリッドなど産業界の変革に貢献するものと期待されている状況です。

このように、我々を取り巻く機器に使用される電子部品の高性能化や多機能化などのニーズが高まることによって、高精度・多機能・小型・低消費電力などに貢献するキーデバイスとして、LSI製品の需要拡大が期待される状況となってまいりました。

このような状況の下、当社グループは次の基本方針を掲げ、今後の成長が見込まれる車載分野、産業機器分野、通信インフラ分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等へ経営資源を集中的に投下し、収益基盤を強化することで中長期の成長を加速させる考えです。

 

① 主力事業であるASIC事業においては、顧客密着・提案型営業を積極的に推進して営業力を強化し、新規技術の開発と品質向上に取り組むこと、またサプライチェーンの一翼を担うという責任を果たすためにも、情報連携や生産体制の確保などに注力し、顧客のニーズに最適なソリューションを提供することで、事業基盤の強化を図ります。

② 急速に市場拡大が見込まれる車載分野、産業機器分野、通信インフラ分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等とターゲットとして経営資源を集中的に投下し、長期における持続的成長に向けた事業構造転換を推進します。

 

③ 長期の成長を見据えた新たな事業の創出のため、当社グループの北米拠点の体制強化、米国の大学との最先端技術の共同研究開発の推進、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンド設立による米国を中心とした最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業との戦略的提携や事業投資を行うことで新規事業の立上げを推進します。

④ 事業構造転換や新規事業育成による長期的な成長を支えるため、財務基盤の強化施策、女性はじめ多様な人材を活かし、その能力を最大限発揮できる人事制度の構築やジェンダー・ダイバーシティ施策を推進し、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に適応できるよう経営基盤の強化を図ります。

 

(3) 新型コロナウイルス感染拡大による影響について

新型コロナウイルス感染拡大による次期業績への影響については、2021年度中に収束に向かうことを前提として、限定的な範囲に留まると考えております。しかしながら、当社グループの製品が使用される最終製品の需要に対する影響について予測することは極めて困難であり、今後の動向によって業績に与える影響が変動する可能性があります。引き続き、今後の影響について情報収集と分析を進めてまいります。

 

(4) 経営指標

具体的な目標数値は設定しておりませんが、収益力・資本効率に関する経営指標として自己資本当期純利益率、売上高営業利益率を向上させていくこと、また、安全性に関する指標として、自己資本比率を向上させていくことが重要であると考えております。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定の取引先への依存について

① 販売先について

当社グループは、LSI製品として、アミューズメント分野向けに使用されるゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)、ゲーム機本体・周辺機器向けのLSIの他、デジタルカメラ向け等画像処理用LSI、事務機器向けLSIを主に販売しておりますが、ゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)を主に供給している、任天堂株式会社への売上高の割合が高くなっており、当連結会計年度においては78.0%を占めております。

したがって、これらのLSI製品が使用されるゲーム機器やゲームソフトウェアの販売動向、また、同社におけるLSIの採用状況などにより、当社グループの業績が変動する可能性があります。

当該リスクは完全に排除できる性格のものではありませんが、当社は任天堂株式会社と良好かつ緊密な関係を構築し、最適なソリューションの提供や安定した製品の供給等により顧客満足の獲得に努め、リスクの最小化に努めております。また、今後の成長が見込める車載分野、産業機器分野、通信インフラ分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等の新たな事業の育成にも注力し、中長期においては事業ポートフォリオの改善を進めていく考えです。

なお、任天堂株式会社への売上高については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (4) 生産、受注及び販売の実績」に記載のとおりであります。

 

② 生産委託先(仕入先)について

当社グループは、創業より経営資源を研究開発に集中し、製品の生産を外部に委託するファブレスメーカーという事業形態を採用することにより、特徴のある技術力を核に顧客のニーズに最適な製品を開発し、多くの資金が必要となる生産設備投資に制約されることなく事業を拡大してまいりました。当社グループの製品の生産は、複数の委託先メーカーに分散して委託しておりますが、主力取引先である任天堂株式会社へ供給するゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)及びゲーム機本体・周辺機器向けのLSIなどの製品の生産を委託している、Macronix International Co.,Ltd.(以下「マクロニクス社」)からの仕入高の割合が高くなっており、当連結会計年度においては62.6%を占めております。

したがって、何らかの理由によりマクロニクス社で生産ができなくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

現在のところ、当該リスクの顕在化の兆候はございません。なお、当社は任天堂株式会社及びマクロニクス社との間で製造委託契約を締結しており、両社と良好かつ緊密な関係を構築し、安定的な製品の供給に努めております。

 

(2) 事業について

① LSI製品におけるリスク

当社グループは自社で生産設備は保有せず、生産は全て外部に委託するファブレスの事業形態をとっており、台湾を中心とする国内外の大手ファウンドリーとのネットワークを構築し、顧客のニーズにあわせて製品の製造を委託しております。

したがって、半導体市況の需給バランスにより調達数量と価格が影響を受け、当社グループの望む納期、数量及び価格で製品が調達できない可能性があります。

また、当社グループのLSI製品は先端のデジタル機器に採用されておりますが、当該分野は技術革新のスピードが速く、当社グループの製品が継続して採用される保証はありません。当社グループのLSIが採用されている最終製品においても、激しい市場競争にさらされていることに加え、CSR調達方針の浸透などの影響により需要が変動いたします。

 これらに対処するため、当社グループは製品の調達価格、生産数量、生産スケジュールの最適化に取り組むとともに、他社製品との差別化を実現する価格競争力のある製品や応用技術の開発に注力し、リスクの最小化に努めております。

 

 

② 研究開発について

当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと、技術開発力をベースとして事業を展開しております。その競争力の源泉は独自のアナログ・デジタル技術をベースに、当社グループの独自性を発揮することにあります。

現在、当社グループは成長分野である車載分野、産業機器分野、通信インフラ分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等に経営資源を投下し、顧客に最先端技術と製品を提供するための研究開発活動に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は30億5千8百万円となっており、連結売上高の3.6%を占めております。

しかしながら、当社グループが属する業界は技術の進歩が目覚ましく、新しいと考えていた技術が突然陳腐化し、新たな技術やサービスが急速に普及するなど、市場に大きな変化が起こる可能性があります。変化が生じた場合には、必ずしも迅速に対応できるとは限らず、変化に対応するために多額の研究開発費用を投資する場合があります。このような場合、当社グループの業績は影響を受けます。また、技術開発競争において他社が優位に立った場合、当社グループのシェアは低下し、業績は影響を受けます。

当社グループは、今後も継続して斬新で魅力のある製品を開発し、市場に提供していくために、独自のアナログ・デジタル技術をベースに最先端の技術を開発し、技術及び製品の競争優位性を維持する最善の努力を行っております。

 

③ 人材の確保について

当社グループは、独自のアナログ・デジタル技術を駆使し、技術開発力をベースとして事業を展開しており、その成長は人材に大きく依存しております。そのため、優れた技術者を獲得して維持することや、必要とする人材をどのように処遇し、どのように育成していくかは、人事政策上の重要課題と認識しております。

したがって、将来において、当社グループの国内外の優秀な技術者の維持や、人材の新規採用・育成・グローバル化が計画どおりにできなかった場合、当社グループの競争力が弱まり、企業価値そのものに影響を与える可能性があります。

これらに対処するため、当社グループは人事処遇体系を整備し、中長期の新たな事業育成等のための人材投資について、育成計画に基づいて人事政策を実行いたします。また、多様な環境で能力を発揮し、組織の成果を最大化出来る人材を育成できるよう、語学教育や新入社員研修など社員教育の充実やダイバーシティ推進など様々な施策に積極的に取り組んでおります。

 

(3) 経営について

① 関係会社株式に含まれるのれん等の評価について

当社グループは、2014年11月に取得したSiTime Corporation(NASDAQ Global Market上場)の株式を所有しており、現在、当社の持分法適用の関連会社となっております。のれんを主とする無形固定資産(以下、のれん等という)を含むこれらの投資は、関係会社株式として連結貸借対照表に計上されております。当連結会計年度末の関係会社株式の残高は119億5千8百万円となっており、連結総資産の16.0%を占めております。

SiTime Corporationは、上場企業として自らの方針や戦略に基づいて経営を行っており、同社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

また、当該関係会社株式に含まれるのれん等については、株式の市場価額を利用した正味売却価額によりその評価を行っておりますが、同社の株価が下落し正味売却価額が帳簿価額を下回った場合、減損損失の発生により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

なお、現在のところ、のれん等の評価において減損の認識は不要と判断しております。

 

② 戦略的投資におけるリスク

当社グループは、他社との事業連携や情報収集により当社の企業価値向上に資すると判断した場合に、投資を含めた戦略的提携を行う場合があり、当連結会計年度の投資有価証券の残高は主要仕入先のマクロニクス社の株式を主として35億9千万円となっており、連結総資産の4.8%を占めております。

このような事業の成長を加速するための投資を含めた戦略的提携におきましては、事業上の補完関係の構築や業績の拡大等において、当社の予測どおりの効果が得られない可能性があります。また、投資株式の時価の下落や実質価額の著しい低下による評価損の発生により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

なお、これら戦略的投資に関しては、取締役及び社外有識者を中心とした会議体において、個別の銘柄ごとに、事業連携や情報収集の状況並びに将来の収益力などを総合的に勘案し、投資効果やリスクの検証を行ったうえで戦略的投資の可否を決定し、取締役会の承認を得て実施しております。

 

③ 為替変動について

当社グループは事業拠点として海外子会社等を展開しており、当社グループの事業取引においては、米ドルや台湾ドルを主とする外貨建取引が一定割合含まれております。また、海外子会社の財務諸表は連結財務諸表作成のために円換算されており、このため外国為替相場、殊に日本円・米ドル間の為替相場の変動により、当社グループの業績が変動する可能性があります。外国為替相場が円高方向に進行した場合、概して損失方向に影響し、その変動幅が大きいほど当該リスクの顕在化の可能性が高まります。

なお、為替リスクの低減のため、必要に応じて為替予約取引を利用しております。

 

④ 知的財産権について

当社グループは、研究開発を主体としたファブレスメーカーであり、知的財産権の保護は事業展開上の重要課題と認識しております。

しかしながら、当社グループが出願する特許や商標などがすべて登録されるとは限らないこと、また、公開前の他社技術など、他社権利を調査しても把握できないものもあることから、他社の知的財産権を侵害し、訴えを提起された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの独創的な技術が、特定の国・地域においては、法整備等の理由により充分な保護を受けることができない可能性があります。このような状況下で、他社が当社グループの知的財産を無断で使用し、類似の製品を市場に販売した場合、これを効果的に阻止することができない可能性があります。

なお、当社グループは、知的財産に係わる社内体制及び特許事務所との連携を強化し、当社グループが提供する製品・サービスを保護するための特許や商標などの出願・登録を積極的に行うと同時に、他社権利の調査を徹底することにより他社権利の侵害を防止するなど、リスクの最小化に努めております。

 

⑤ 偶発的な災害等におけるリスク

当社グループが事業を展開する国内外において、大規模な地震をはじめとする自然災害や火災、未知の感染症の流行、テロ行為や社会騒動、その他の事故・事件等が発生した場合、当社グループの事業拠点、生産を委託するファウンドリーやメーカー、あるいは顧客自身に対して大きな被害が発生する可能性があります。また、これらの影響によって当社グループの事業活動の縮小等を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

このような偶発的な災害等におけるリスクを全て回避することは極めて困難でありますが、当社においては、リスクの予防回避及び発災時の人命の安全、並びに被害の抑制・軽減、二次災害の防止、早期の業務再開を図ることを目的に危機管理マニュアルを策定し、危機管理についての必要事項と対応方法を定めるとともに、リスクの軽減に向けた対応を可能な範囲において実施しております。

 

⑥ 新型コロナウイルス感染拡大による対応について

当社の新型コロナウイルス感染症への対応としては、役職員及び当社グループの事業所に就業する派遣社員等とその家族の身体、生命の安全を図ること、また取引先企業の関係者の安全と健康を最優先事項と位置付け、行政等からの要請に基づき様々な感染防止策を講じております。引き続き行政等からの情報と今後の感染状況に応じて速やかに必要な対応を実施し、リスクの低減に努めてまいります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」と言う)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度における電子機器業界全体の市場は前年同期比において同水準で推移いたしました。

ASIC事業においては、これまでの主力分野であるゲーム機器、デジタルカメラ、事務機器分野に加え、産業機器分野における国内外の有力顧客に向け、顧客の機器・サービスのアプリケーションに最適なソリューションを提供しております。その競争力は、顧客のアプリケーションに関する深い理解と独自のコア技術を基に、顧客の課題解決のために、独創的なアルゴリズム・アーキテクチャを搭載したシステムLSIを開発し、提供できることにあります。

ASSP事業においては、急速な情報通信技術の革新が進展する中で更なる成長を図るため、今後の成長が見込める車載分野、産業機器分野、通信インフラ分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等をターゲットとした新規LSI事業の立ち上げに経営資源を集中しております。アナログ回路の開発・設計技術の競争力強化と、国内・海外企業との戦略的な協業に取り組み、差別化できる付加価値の高いソリューションを開発・提供することで、将来の収益の重要な柱となる新たな事業の育成を図っております。

また、経営資源の成長分野への集中や、財務資本戦略による経営体質・経営基盤の強靭化など企業価値及び株主価値の向上を図るため、米国所在の連結子会社であるSiTime Corporationの株式の一部について、SiTime Corporationの新株発行とあわせて実施した株式売出しにより、2020年6月と2021年2月にそれぞれ売却を行いました。これにより、第1四半期連結会計期間末においてSiTime Corporationは当社の連結子会社から持分法適用の関連会社となっております。

当連結会計年度の経営成績につきましては、主にASIC事業におけるゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)の需要が堅調に推移したことにより、売上高は838億1千4百万円前年同期比27.4%増)となりました。

利益につきましては、業務の効率化が進展したこと等により、のれん等償却前の営業利益は56億8百万円、のれん等償却後の営業利益は50億2千5百万円同416.7%増)となり、持分法適用の関連会社となったSiTime Corporationの持分法投資損失(第2四半期以降ののれん等償却費を含む)が8億9千9百万円発生したこと等により、経常利益は39億1千2百万円同512.3%増)となりました。

また、連結子会社であったSiTime Corporationの株式の一部を売却したことと同社が新株発行増資を実施したことにより263億8千7百万円の関係会社株式売却益が発生したこと、自社開発のソフトウエア資産を主とする固定資産除却損が25億4千3百万円、事業拠点のオフィスリース契約や建物に関連する損失が8億9千5百万円それぞれ発生したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は209億2千万円前年同期は17億9千2百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

なお、当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(2) 財政状態の変動状況

当連結会計年度末における総資産は746億2千7百万円前連結会計年度末比22億7千9百万円の増加)となりました。主要な項目を前連結会計年度と比較すると、現金及び預金が41億5千2百万円、商品及び製品が11億3千4百万円それぞれ増加した一方で、建物が8億3千7百万円、有形固定資産のその他が10億3千7百万円、ソフトウエアが19億8千5百万円それぞれ減少しております。また、SiTime Corporationの連結子会社から持分法適用の関連会社への異動に伴い、関係会社株式が119億5千8百万円増加した一方で、のれんが79億8千5百万円、技術資産が25億4百万円それぞれ減少しております。

負債合計は245億8千3百万円同167億3千2百万円の減少)となりました。主要な項目を前連結会計年度と比較すると、支払手形及び買掛金が21億6千9百万円、未払法人税等が66億5千1百万円それぞれ増加した一方で、短期借入金が24億9千1百万円、1年内返済予定の長期借入金が182億1千万円、長期借入金が30億円それぞれ減少しております。

純資産は500億4千3百万円同190億1千2百万円の増加)となりました。主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、親会社株主に帰属する当期純利益が209億2千万円となった一方で、SiTime Corporationの連結子会社から持分法適用の関連会社への異動に伴い、非支配株主持分が28億4千4百万円減少しております。この結果、自己資本比率は67.1%(同28.3ポイントの上昇)となりました。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、214億7百万円となり、前連結会計年度に比べ41億8千8百万円の増加(前年同期は70億3千7百万円の増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、55億1千3百万円の資金の獲得前年同期は282億5千6百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が268億3千4百万円前年同期は19億6千5百万円の税金等調整前当期純損失)となり、減価償却費が15億1千4百万円、持分法による投資損失が8億9千9百万円、固定資産除却損が25億4千3百万円それぞれ発生したこと、仕入債務が25億8千1百万円の増加となった一方で、関係会社株式売却益が263億8千7百万円発生したこと、たな卸資産が21億4千1百万円の増加となったことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、170億2千2百万円の資金の獲得前年同期は25億4千1百万円の資金の使用)となりました。これは主に、関係会社株式の売却による収入が191億5千1百万円あったことによるものであります。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、225億3千6百万円の資金の獲得(前年同期は257億1千5百万円の資金の獲得)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、188億7百万円の資金の使用前年同期は185億9千9百万円の資金の使用)となりました。これは主に、短期借入金が29億7千9百万円の純増となった一方で、長期借入金の返済による支出が212億1千万円あったことによるものであります。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度における生産実績、受注実績及び販売実績は次のとおりであります。

なお、当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

① 生産実績

 

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

前年同期比(%)

生産高(千円)

70,971,377

155.3

 

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

 

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

前年同期比(%)

受注高(千円)

83,869,717

135.8

受注残高(千円)

4,478,922

101.2

 

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

 

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

前年同期比(%)

販売高(千円)

83,814,786

127.4

 

 

 

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日

相手先

金額(千円)

割合(%)

任天堂㈱

62,934,000

95.7

 

 

当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日

相手先

金額(千円)

割合(%)

任天堂㈱

65,387,957

78.0

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 売上高

前第3四半期に実施した映像インターフェイス向けのSmart Connectivity LSI事業部門の譲渡に伴い売上高が剥落したこと、第1四半期に連結子会社のSiTime Corporationを関連会社としたことに伴い第2四半期以降の売上高が剥落したこと等の減少要因があった一方で、ASIC事業のゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)の需要が堅調に推移したこと等により、売上高は838億1千4百万円前年同期比27.4%増)となりました。

 

② 売上原価・販売費及び一般管理費並びに営業利益

当連結会計年度の売上原価は、705億4百万円となりました。売上の製品構成の変化等に伴い、当連結会計年度の原価率は9.5ポイント悪化の84.1%となり、売上総利益は133億1千万円前年同期比20.3%減)となりました。

販売費及び一般管理費は、今後の成長が見込める分野へ積極的な研究開発投資を行った一方で、第1四半期に連結子会社のSiTime Corporationを関連会社としたことに伴い第2四半期以降の販売費及び一般管理費が剥落したこと、事業構造改革の一環として取り組んできた固定費の圧縮や業務の効率化が進展したこと等により、82億8千5百万円となり、前連結会計年度と比較して74億3千8百万円減少いたしました。この主な内訳は、給料、賞与引当金繰入額等の人件費が30億7千5百万円(同24.1%減)、研究開発費が30億5千8百万円同53.5%減)、過年度の企業買収によるのれん及び無形固定資産の償却費が5億8千3百万円となっております。

以上の結果、当連結会計年度ののれん等償却前営業利益は56億8百万円、のれん等償却後営業利益は50億2千5百万円同416.7%増)となりました。

当社は連結売上高営業利益率を重要な指標と考えており、その動向を注視しております。当該指標等の5年間の推移は次のとおりであります。

回次

第27期

第28期

第29期

第30期

第31期

決算年月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

売上高(百万円)

67,438

89,029

95,145

65,764

83,814

研究開発費(百万円)

5,199

6,253

7,843

6,581

3,058

のれん等償却前営業利益(百万円)

4,922

5,520

3,152

3,449

5,608

売上高営業利益率〔のれん等償却前〕(%)

7.3

6.2

3.3

5.2

6.7

 

(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。
のれん等償却前営業利益: 営業利益+企業買収によるのれん及び無形固定資産の償却費 
売上高営業利益率〔のれん等償却前〕: のれん等償却前営業利益/売上高×100 

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

 

 

③ 税金等調整前当期純利益

営業外収益として受取配当金が9千9百万円発生したこと、営業外費用として金融機関からの借入金に対する支払利息を2億8百万円計上したこと、SiTime Corporationの関連会社化に伴い持分法による投資損失が8億9千9百万円発生したこと等により、営業外収益及び営業外費用の差引額は11億1千2百万円の費用となりました。

また、特別利益としてSiTime Corporation株式の一部売却及び同社の時価発行増資による関係会社株式売却益を263億8千7百万円計上した一方で、特別損失として当社の幕張事業所、MegaChips LSI USA Corporationのオフィスの固定資産に係る減損損失を7億3百万円、賃貸借契約譲渡損を1億9千1百万円計上したこと、液晶パネル向けタイミングコントローラLSIの新規開発及び主要製品の受注終了に伴う事業整理損を1億6千万円計上したこと等により、特別利益及び特別損失の差引額は229億2千1百万円の利益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は268億3千4百万円前年同期は19億6千5百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。

 

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税の額が65億6千4百万円前年同期比3,614.0%増)、法人税等調整額がマイナス3億9千8百万円前年同期はマイナス3億1千7百万円)となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は209億2千万円前年同期は17億9千2百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

当社は自己資本当期純利益率を重要な指標と考えており、その動向を注視しております。当該指標の5年間の推移は次のとおりであります。

回次

第27期

第28期

第29期

第30期

第31期

決算年月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

自己資本当期純利益率(%)

△3.4

6.6

△6.0

△6.6

53.6

 

(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。
自己資本当期純利益率: 親会社株主に帰属する当期純利益/期中平均自己資本×100

2.各指標は、連結ベースの財務数値により計算しております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末における総資産は746億2千7百万円前連結会計年度末比22億7千9百万円の増加)となりました。流動資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金、たな卸資産(商品及び製品等)を中心に508億6千6百万円同52億3千7百万円の増加)となりました。主な項目を前連結会計年度と比較すると、現金及び預金が41億5千2百万円、商品及び製品が11億3千4百万円それぞれ増加しております。固定資産では、自社開発ソフトウエアの除却によりソフトウエアが19億8千5百万円の減少となり、連結子会社であったSiTime Corporationの関連会社化に伴いのれんが79億8千5百万円、技術資産が25億4百万円それぞれ減少した一方で、関係会社株式が119億5千8百万円増加しております。

当社グループの資産構成の特徴はその流動性の高さにあります。関係会社株式を主とする投資その他の資産が一定割合を占めるものの、総資産の68.2%を流動資産が占めております。その一方で、主に有利子負債の減少により流動負債が238億2千5百万円同122億4千7百万円の減少)となった結果、流動比率は213.5%(同87.0ポイントの好転)となりました。流動資産から、たな卸資産39億9千5百万円を控除した資産の額は468億7千万円となっており、総資産の62.8%を占めております。このような資産構成は、当社グループが資金を長期に亘り固定化する生産設備等の資産を持たないファブレスメーカーとして事業を展開してきた結果であります。当社グループは、今後も流動性の向上と健全な資産構成のバランスシートの維持に努めてまいります。

当連結会計年度末の負債合計は245億8千3百万円同167億3千2百万円の減少)となりました。負債の主な内容は、LSI製品の製造委託先からの仕入等に対する仕入債務94億8千6百万円、短期借入金20億円、1年内返済予定の長期借入金27億9千万円となっております。主な項目を前連結会計年度と比較すると、支払手形及び買掛金が21億6千9百万円の増加となった一方で、短期借入金は24億9千1百万円の減少、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)は212億1千万円の減少となっております。

 

純資産は500億4千3百万円同190億1千2百万円の増加)となりました。連結子会社であったSiTime Corporationの関連会社化に伴い非支配株主持分は28億4千4百万円の減少となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益が209億2千万円、剰余金の配当が3億6千9百万円となり、その他有価証券評価差額金が4億6千7百万円の増加、為替換算調整勘定が9億1千3百万円の増加となっております。

以上の結果、自己資本は500億4千3百万円となり、有利子負債の縮減に取り組んだことにより、自己資本比率は67.1%と(同28.3ポイントの好転)となりました。引き続き、経営環境の変化に柔軟に対応できるよう、財務基盤の強化に取り組んでまいります。当社グループの安全性指標等の推移は下記のとおりであります。

回次

第27期

第28期

第29期

第30期

第31期

決算年月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

流動比率(%)

104.8

153.3

150.0

126.5

213.5

自己資本比率(%)

34.3

33.0

28.5

38.8

67.1

時価ベースの自己資本比率(%)

87.3

93.2

42.6

49.5

109.0

 

 

(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。
流動比率: 流動資産/流動負債×100
自己資本比率: 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率: 株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数)/総資産  

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当社グループは、経常的な営業運転資金に充当するため、必要に応じて金融機関から資金を調達しております。営業運転資金は、新技術・新製品の研究開発費、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであり、営業費用の主なものはLSI製品の製造委託費用であります。

当社グループは、その健全な資産構成と財務状況の維持に努めており、当社グループの成長に必要な資金を、保有する売掛債権の売却、銀行借入れ又は増資などにより、必要に応じて調達できるものと考えております。

当連結会計年度においては、SiTime Corporation株式の一部売却により193億7千7百万円の資金が獲得されております。これらは主に金融機関からの有利子負債の返済に充当され、当連結会計年度末における有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ237億1百万円減少し総額47億9千万円となりました。

当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の5年間の推移は下記のとおりであります。

回次

第27期

第28期

第29期

第30期

第31期

決算年月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

340

4,715

△13,700

28,256

5,513

フリー・キャッシュ・フロー(百万円)

△6,200

△292

△16,200

25,715

22,536

有利子負債(百万円)

36,471

45,060

52,827

28,491

4,790

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

10,716.9

955.7

100.8

86.9

 

 

(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。
フリー・キャッシュ・フロー: 営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
キャッシュ・フロー対有利子負債比率: 有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.第29期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率については、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。

 

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えられる特に重要な会計方針は以下のとおりであります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

① 貸倒引当金

貸倒引当金に関して、過去の貸倒実績率により算定した額のほか、個別に債権の回収可能性を見積もって計上いたします。

 

② たな卸資産

たな卸資産に関して、正味売却価額が取得原価よりも下落した場合に簿価の切下げを行います。

 

③ 有価証券

有価証券に関して、時価が著しく低下した場合には、当該有価証券は時価で連結貸借対照表に計上し、時価と簿価との差額はその期間の損失として認識いたします。適正な時価が容易に入手できない場合で、当該有価証券の実質価額が著しく低下している場合は、実質価額まで簿価の切下げを行います。

 

④ 有形固定資産、無形固定資産及び長期前払費用

有形固定資産、無形固定資産及び長期前払費用に関して、回収見込額が取得価額よりも下落した場合に簿価の切下げを行います。

 

⑤ 工事損失引当金

工事契約に関して、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合に、その超過すると見込まれる額を計上いたします。

 

⑥ 関係会社株式に含まれるのれん

のれんに関して、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却いたします。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、簿価の切下げを行います。

 

⑦ 繰延税金資産

繰延税金資産に関して、事業計画やタックス・プランニングを基に将来の課税所得を見積って計上いたします。その見積りの変更により回収が見込めなくなった場合に繰延税金資産の取崩しを行います。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 製造・販売の提携

契約の名称

製造委託契約

契約年月日

2001年3月22日

契約期間

2001年7月31日より2005年6月30日、以降1年間単位で異議申立のない限り自動延長

契約相手先

任天堂株式会社及びMacronix International Co.,Ltd.

契約内容

① Macronix International Co.,Ltd.は、任天堂㈱向けマスクROM、フラッシュメモリ及び各種ICを継続的に生産し、当社は同マスクROM、フラッシュメモリ及び各種ICを買い取った上、任天堂㈱に販売する。

② 任天堂㈱が購入を望むMacronix International Co.,Ltd.製マスクROM、フラッシュメモリ及び各種カスタムICは、全量当社が販売するものとする。

③ Macronix International Co.,Ltd.及び当社は、同マスクROM、フラッシュメモリ及び各種カスタムICが任天堂㈱向けのカスタム製品である場合、任天堂㈱以外の第三者に販売その他交付できない。

④ 任天堂㈱は、当社に対し継続してウエハ枚数で月間2,200枚以上の同マスクROM、フラッシュメモリ及び各種カスタムICを発注するよう最善の努力をする。

⑤ 本契約の効力発生日をもって、1995年3月31日に当社、任天堂㈱及びMacronix
International Co.,Ltd.の3社で締結した製造委託契約はその効力を失う。

 

 

(注) 当契約により、Macronix International Co.,Ltd.からの仕入高の割合が大きくなっており、同社からの仕入高が当社の仕入高全体に占める割合は、前連結会計年度は78.8%、当連結会計年度は62.6%であります。

 

(2) 販売の提携

契約の名称

Sales Agency Agreement(販売代理店契約)

契約年月日

1994年3月23日

契約期間

1994年3月23日より5年間、以降5年間単位で異議申立のない限り自動延長

契約相手先

Macronix International Co.,Ltd.

契約内容

① Macronix International Co.,Ltd.は、当社を任天堂㈱向けカスタムマスクROMの独占販売代理店として指名する。

② 当社は任天堂㈱より当該製品を受注し、Macronix International Co.,Ltd.に発注する。Macronix International Co.,Ltd.は当社より注文を受取り、生産し当該製品を当社に供給する。当社は当該製品に対して、Macronix International Co.,Ltd.の顧客サービス代理人の役割を果たす。

③ Macronix International Co.,Ltd.は、当社以外のチャネルを通して直接的にも間接的にも当該製品を任天堂㈱に販売してはならない。

④ 当社は任天堂㈱に対する販売価格に対して、一定割合のマージンを差し引いた価格を仕入金額としてMacronix International Co.,Ltd.に支払う。

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、「独自のアナログ・デジタル技術をベースとしたシステムLSI及び当該製品を利用したソリューションを提供すること」を方針として掲げ、積極的に研究開発活動を進めております。

技術革新の著しい成長機器市場において、競争優位性を確保し維持するため、この分野におけるLSI開発の知識とアプリケーションの知識を併せ持つ技術者が顧客やマーケットの要求をいち早く的確に把握し、独創的なアルゴリズム(データの処理手順あるいは手続きや処理方法)やアーキテクチャ(アルゴリズムを実現するためのソフトウェアやハードウェア構成)を開発することにより、製品の競争力と独自性の確保を図っております。

また、経営戦略上、特許権等の工業所有権による知的所有権の保護を重視しております。当連結会計年度末における工業所有権の所有状況並びに工業所有権のうち特許権の国別の所有状況は、次のとおりであります。

 

工業所有権所有状況

 

2021年3月31日現在

 

特許権

商標権

合計

取得済み件数

840

34

874

出願中件数

81

4

85

合計

921

38

959

 

 

特許権地域別所有状況

 

 

 

2021年3月31日現在

 

日本

北米

アジア
(日本を除く)

EU

その他

合計

取得済み件数

433

336

48

23

840

出願中件数

48

15

6

6

6

81

合計

481

351

54

29

6

921

 

 

当社グループでは従業員の過半数が研究開発に従事しており、当社及び子会社の開発部門において、他社製品との差別化を実現するアナログ・デジタル技術をベースとしたシステムLSI、システムLSI向けIP(設計資産)などに関連する以下の課題を中心に研究開発を進めております。

・基礎研究     :画像圧縮伸張、画像処理・通信に関するアルゴリズム、アーキテクチャ開発、各プロセス世代におけるLSI製品のデジタル設計プラットフォーム、ミックスド・シグナルIPの開発

・LSI製品の開発   :ゲーム機等エンターテインメント機器向けLSI、オーディオ・ビジュアル機器向けLSI、デジタルカメラ向け等画像処理用LSI、画像処理システムLSI用IP、光通信向けデータ処理LSI、有線通信向けLSI、アナログフロントエンドLSI、車載向け高速有線通信向けLSIの開発

 

当連結会計年度における研究開発費の総額は、3,058百万円となりました。研究開発の主要テーマ、研究開発成果については次のとおりであります。

なお、当社は単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

① 任天堂㈱製ゲーム機向けゲームソフトウェア格納用LSI

任天堂㈱製ゲーム機向けの、大容量、低消費電力を実現したゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)を、引き続き多品種開発いたしました。

 

② 光通信向けIP、LSIの開発

光通信ネットワークのアクセス方式で、5G等次世代無線網でも重要な役割が期待されているPON(Passive Optical Network)の次世代システムに向け、最新の低消費電力16nmプロセスを採用した10Gbps(毎秒100億ビット)超高速SerDes(Serializer/Deserializer)IPを搭載した顧客ASICの開発が完了し、量産移管いたしました。今後も、本IPを集積した次世代高性能PONシステムASIC製品の受注に向け取り組んでまいります。

 

 

③ 有線(撚り対線、同軸線、電源線)マルチホップ通信向けLSIの開発

本製品の特徴である、電力線を含むあらゆる既存配線を活用した通信のIP化、高速化、長距離化、セキュリティの強化の有効性が、顧客の様々なアプリケーションで実証されております。特に、太陽光パネルや、風力発電といった「再生可能エネルギー」関連システムでの採用・検討が進んでおります。

 

④ 車載向け高速有線通信向けLSIの開発

自動車は自動運転、電動化、コネクテッドという大きな変革期に入っています。その中で重要な要素の1つが高速通信技術であります。当社では100Mbps Ethernet PHYの開発を終え、国内大手Tier1ベンダー様とも協調しながら10Gbpsを超える車載向け有線通信技術及び製品の開発を進めております。また、製品展開としてL2スイッチのような上位側の機構を取り込んだ製品の横展開及びセキュリティ対応のような要素技術開発を行い、今後の車載領域でのビジネス拡大を目指した取り組みを並行して実施しております。これらの技術は車載に限らずM2Mでの通信が必要となる産業系、インフラ系への応用の可能性も期待されており、社内既存技術との融合も含め、車載以外への展開、適用を目指した活動も進めてまいります。

 

⑤ 5G基地局およびメトロ・コアネットワーク向け光トランシーバの開発サポート

本格普及が始まる5G スタンドアロン対応の基地局向け次世代LSI、日本が高い国際競争力を持つメトロ・コアネットワークやデータセンター向けの光トランシーバLSIの心臓部には、数GSps~ 100GSps(GSps = 毎秒ギガサンプルのサンプリングレート)に及ぶ最先端のアナログ・デジタルコンバーター回路(ADC)とデジタル・アナログコンバーター回路(DAC)が必要で、世界が凌ぎを削っている分野でもあります。当社では、通信インフラ分野のビジネスで長年培ってきたグローバルな最先端アナログ技術を有するパートナーと共に、顧客の次世代LSI仕様にミートする高性能ADC/DACなどの要素技術開発から次世代のLSI開発を最先端ウエハープロセスでサポートすることで、6G世代に向けての顧客の製品競争力の維持・向上に寄与いたします。