当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
昨今の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化などの地政学リスク、そして世界的なインフレ圧力の高まりや各国の政策運営の不透明性により不確実な状況が続いております。日本経済は緩やかな回復が続いているものの、世界経済の減速懸念や原材料価格の上昇など景気の下振れリスクが存在しております。
また、為替市場においては、各国の金融政策の違いにより当年度の前半では円安が加速していたものの、直近では円高基調となり、為替相場の乱高下が続いている状況にあります。
当社の主力であるASIC(顧客専用LSI)においては、世界的な需要減少による一時的な在庫調整局面にあるものの、引き続きAIやIoT技術の進展によって産業機器分野や通信分野の半導体需要の拡大が進展しております。このような状況の下、当社はアミューズメント分野向けにおいて顧客密着型の提案活動とサポート活動に注力するとともに、これまで培ってきた上流設計やアナログ技術、特に当社が得意とする通信インターフェース技術、セキュリティ技術や画像処理技術などを活用し、画像関連機器や成長市場である産業機器分野や通信インフラ分野向けの製品開発を進め、事業の基盤強化による収益拡大を図っております。
ASSP(特定用途向けLSI)においては、AIやIoT、5Gによる情報通信技術の革新が進展している状況の下、当社は今後の成長が見込める通信分野・産業機器分野などをターゲットとした新規LSI事業の立ち上げに経営資源を集中しております。アナログ・デジタル回路の開発・設計技術の競争力強化を図るとともに、通信分野においては、Morse Micro社との資本提携及び戦略的パートナーシップによる事業化を進めており、長距離の無線通信技術を活用したLSIやモジュールを提供し、顧客のニーズに応じた幅広い通信ソリューションによる事業展開を図っております。
引き続き、当社グループは安定した収益基盤を維持しつつ、事業ポートフォリオの強化による収益拡大を図ってまいります。また、次世代を担う新たな事業の育成のため、新市場の開拓や新製品開発に取り組み、独自性のあるビジネス創出と事業化を図ってまいります。これらの取り組みを通じて、中長期の持続的な成長を目指してまいります。
当中間連結会計期間の経営成績につきましては、ASIC事業において受託開発売上(NRE売上)が堅調に推移したものの、アミューズメント事業における需要が減少したことにより、売上高は24,853百万円(前年同中間期比31.9%減)、営業利益は1,779百万円(前年同中間期比52.2%減)となりました。
経常利益は受取利息が143百万円発生したことにより1,943百万円(前年同中間期比24.2%減)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は、SiTime Corporation株式売却による投資有価証券売却益が4,035百万円発生したこと、当社及び子会社がそれぞれ保有する2銘柄の評価見直しによる投資有価証券評価損が885百万円発生したこと等により3,066百万円(前年同中間期比81.5%増)となりました。
なお、当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
<資産>
当中間連結会計期間末における総資産は166,716百万円(前連結会計年度末に比べ40,105百万円の増加)となりました。
主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、受取手形、売掛金及び契約資産が10,591百万円、主にSiTime Corporation株式の時価評価により投資有価証券が37,392百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が7,964百万円減少しております。
<負債>
当中間連結会計期間末における負債は38,827百万円(前連結会計年度末に比べ14,890百万円の増加)となりました。
主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、支払手形及び買掛金が3,897百万円、繰延税金負債が11,748百万円それぞれ増加しております。
<純資産>
当中間連結会計期間末における純資産は127,889百万円(前連結会計年度末に比べ25,215百万円の増加)となりました。
主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、その他有価証券評価差額金が26,346百万円増加しております。
(投資有価証券 SiTime Corporation株式の時価評価による影響について)
当社が保有するSiTime Corporation(以下「SiTime社」という)株式について、前連結会計年度末に持分法適用の関連会社から除外したことに伴い、関連会社株式から投資有価証券へ科目が変更となり、各決算期末に時価評価を行っております。この影響により、中間連結貸借対照表においては、投資有価証券の額が1千億円を超える水準となり、総資産に占める投資有価証券の割合が一時的に高い状況で推移しております。あわせて、負債・純資産の部においても、相手科目となる繰延税金負債及びその他有価証券評価差額金の割合が高い状況となりました。
当社として、SiTime社株式については、当社の中長期における持続的成長に向けた事業構造改革を含む成長投資及び株主還元に活用する方針です。
今後においても、SiTime社株式の売却によって得られる資金は、事業の成長投資及び株主還元に充当し、最適な経営資源の配分により中長期における持続的成長に向けた事業構造改革を推進する考えであります。既存事業の強化に加え、産業機器や通信インフラ等の成長分野をターゲットとして新規事業の立ち上げを推進することで、企業価値の向上を目指してまいります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、17,804百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,355百万円の減少(前年同中間期は1,915百万円の減少)となりました。
また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、2,910百万円の支出(前年同中間期に対し4,314百万円のマイナス)となりました。
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、5,377百万円の支出(前年同中間期に対し8,758百万円のマイナス)となりました。
これは主に、税金等調整前中間純利益が5,079百万円となり、仕入債務の増加が3,897百万円あった一方で、投資有価証券売却益が4,035百万円、売上債権の増加が10,591百万円あったことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
当中間連結会計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,466百万円の収入(前年同中間期に対し4,444百万円のプラス)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入が4,618百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が1,466百万円あったことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
当中間連結会計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、4,293百万円の支出(前年同中間期に対し282百万円のプラス)となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出が2,372百万円、配当金の支払額が1,993百万円あったことによるものです。
(4) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、954百万円(前年同中間期比8.9%減)となっております。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間末における総資産は166,716百万円(前連結会計年度末に比べ40,105百万円の増加)となりました。流動資産は、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産、未収入金を中心に47,671百万円(前連結会計年度末に比べ1,542百万円の増加)となりました。固定資産は、投資有価証券を中心に119,045百万円(前連結会計年度末に比べ38,563百万円の増加)となりました。
当社グループの資産構成は、総資産の28.6%を流動資産が占めております。流動負債は11,776百万円となり、流動比率は404.8%となりました。流動資産から棚卸資産3,299百万円を控除した資産の額は44,372百万円となっており、総資産の26.6%を占めております。
資産構成においては、前連結会計年度末にSiTime Corporation株式を持分法適用の関連会社から除外したことに伴い時価評価としたことで、総資産に占める投資有価証券の割合が一時的に高い状況となっておりますが、引き続き、資金を長期に亘り固定化する生産設備等の資産を持たないファブレスメーカーとして事業を展開するとともに、今後も流動性の向上とバランスシートの健全な資産構成の構築に努めていく考えです。
当中間連結会計期間末の負債合計は38,827百万円(前連結会計年度末に比べ14,890百万円の増加)となりました。負債の主な内容は、LSI製品の製造委託先からの仕入等に対する仕入債務及び繰延税金負債であります。有利子負債の残高はありません。純資産は127,889百万円(前連結会計年度末に比べ25,215百万円の増加)となりました。
以上の結果、自己資本は127,498百万円となり、自己資本比率は76.5%(同4.4ポイントの下降)となりました。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。