第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、次のとおり経営理念を掲げ、また、経営理念を具体化するための5つからなる経営方針を定めて、企業価値の向上と社会への貢献に取り組んでおります。
  経営理念「人類に幸福をもたらす技術の開発と製品化により社会に貢献する」
  経営方針「透明性のある企業活動」
      「新たな価値の提供」
      「グローバルな事業展開」
      「利害関係者の尊重」
      「地球環境の保護」

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

当社グループは、安定的な収益力を表す指標として連結経常利益率10%以上及び株主資本利益率(ROE)10%以上を目標としております。

さらに、半導体市場の更なる拡大を見込むなか、顧客ニーズに応えるプローブカードの開発と供給を社会的使命として、拡大する市場環境を支え、市場以上の成長を目指す2024年度-2026年度の中期経営計画を策定いたしました。当社グループは、本中期経営計画の達成に向けて、積極的な設備投資・開発投資により製品力と生産キャパシティの強化を図るとともに、DX投資、人的投資、サステナビリティへの取り組みを推進し、更なる発展を目指します。

 

「経営指標」

 ・連結経常利益率 10%以上

 ・株主資本利益率(ROE)10%以上

「2026年度目標」

 ・連結売上高  30,000百万円

 ・連結経常利益 5,000百万円

 

なお、上記目標につきましては、中期経営計画(進捗状況)の公表日である2025年5月14日現在における経済動向や市場環境をはじめとする情報に基づくものであり、実際の業績は今後さまざまな要因によって予想値と異なる結果となる場合があるほか、目標自体についても今後変更することがあります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループの主たる事業分野である半導体市場につきましては、中長期的には、デジタル社会への移行が世界中で進む中、半導体は、様々な製品において需要の拡大が予想されており、それらを背景として、新たな半導体工場の建設等、半導体製造基盤の確保・強化に向けた動きも広がっております。
 一方、足元では、生成AI向け需要が拡大する一方で、スマートフォンや自動車向け需要は依然として弱含んだ状態が続く等、一様ではない状況となっております。

このような事業環境の中、当社グループといたしましては、国内外の既存顧客に対する一層のサポートの強化によるシェアの維持及び海外の半導体メーカーに対する販売強化、並びに中長期的な成長に向けて生産力や製品開発の強化を図ってまいります。

さらに、当社グループの中長期的な企業価値の向上に向けて、サステナビリティが重要な経営課題であるとの認識のもと、サステナビリティ課題への対応を図ってまいります。

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 市場の要求に応える製品の開発とサービスの強化

中長期的に需要が見込まれるMタイププローブカードの更なる性能向上、納期短縮、原価低減を行い、製品競争力を高め、拡販に取り組んでまいります。また、次世代半導体向けプローブカードの開発を加速させ、ビジネスチャンスの拡大を図ります。

 

② 海外販売の強化

海外の半導体市場は、アジアを中心に着実な成長を遂げております。また、製造を専門に行うファウンドリや、自社工場を持たず製品の企画や設計のみを行うファブレスメーカーの台頭等、半導体の生産は世界規模で分業化が進んでおります。当社グループは、海外拠点のネットワークを活かした販売活動の充実を図るとともに、日本から各国拠点へのリソース投入や一層の技術支援により、海外販売の強化を推進します。

 

③ 付加価値向上への取組み

技術革新やVA活動による原価低減や品質向上によって、付加価値の向上を図ります。

 

④ 経営基盤の更なる強化

リスクマネジメントの一層の高度化を図り、経営基盤の強化に努めるとともに、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組みを推進し、持続的な成長及び企業価値の向上に努めます。

 

 

 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

当社グループは、下記のサステナビリティ方針にもとづき、サステナビリティへの取り組みを推進しております。

~サステナビリティ方針~

『私たちは、経営理念である「人類に幸福をもたらす技術の開発と製品化により社会に貢献する」のもと、経営方針※の実践を通じて、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めます。』

※経営方針:「透明性のある企業活動」「新たな価値の提供」「グローバルな事業展開」

      「利害関係者の尊重」「地球環境の保護」

 

(1)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティへの取り組みをより具体的かつ計画的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置しております。本委員会は、委員長である代表取締役社長と、指名された委員である取締役により構成され、実行組織に対する監督機関として、サステナビリティに関する方針、目標並びに中長期計画を審議し、適宜指示等を行うことで、全社的なサステナビリティへの取り組みを推進いたします。

実行組織は、執行役員を中心とする「サステナビリティ実行委員会」と、その管理下にあるサステナビリティのテーマ別(地球環境問題、自然災害、人権、健康・労働環境、人的資本、取引先との公正・適正な取引、知的財産の7テーマ)に編成された「サステナビリティ実行組織」により構成しており、サステナビリティ実行委員会は、サステナビリティに関わるリスク及び機会を識別のうえ対応策を企画遂行し、サステナビリティ委員会並びに取締役会へ定期的に活動状況を報告するとともに、適宜指示等を仰ぐ体制としております。

 

(2)戦略

サステナビリティに関する活動は、サステナビリティ委員会の監督のもと、サステナビリティ実行委員会を中心に目標・指標を定めて取り組んでまいります。

①地球環境問題

・連結売上高の大部分を占める当社単体を対象に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の活動スキームに従って、当社が認識したリスクを洗い出し、リスクの低減に向けた活動目標を設定しました。

種類

定義

リスク

主な側面・切り口の例

当社が認識したリスク

活動目標

 

移行
リスク

低炭素経済への「移行」に関するリスク

政策・
法規制

GHG排出に関する規制の強化、情報開示義務の拡大等

・GHG排出規制に対応するため、エネルギーコスト、インフラ整備コストなどが上昇する。

省エネルギの推進と高効率の再生可能エネルギ転換を進めGHGゼロエミッションを目指した取り組みを推進する。

技術

既存製品の低炭素技術への入替え、新規技術への投資失敗等

・低炭素を考慮した製造プロセスの開発検討が必要になる。

新しいプロセス開発への取組みにより技術力を底上げし、新しい技術を取り込む。

市場

消費者行動の変化、市場シグナルの不透明化、原材料コストの上昇等

・エネルギーコスト高騰により顧客テストコスト抑制のためにビジネス構造が変化する

低コスト材料の開拓を進めると共に、開発期間短縮によるフレキシブルな顧客対応を目指す。

評判

消費者選好の変化、業種への非難、ステークホルダーからの懸念の増加等

・環境問題への取組みが遅れる事でステークホルダーの信用を得られなくなる。

TCFDの開示や省エネ活動の開示により社会的責任に対する意思を表明していく。

物理的
リスク

気候変動による「物理的」変化に関するリスク

急性

サイクロン・洪水のような異常気象の深刻化・増加等

・気候変動による台風・大雨被害などによるサプライチェーンの乱れによる需要の低下

Business Continuity Planの作成と定期的な見直しによる対策の推進と、事業環境の変化に対応する事業所の対応力強化を推進する。

慢性

降雨や気象パターンの変化、平均気温の上昇、海面上昇等

・慢性的な平均気温の上昇により、健康上の問題が増加し、生産性の低下を招く

健康管理体制を強化し、従業員全体が健康維持に対しての意識を向上させ、生産の安定化を図る。

 

 

 

 

・熊本事業所第4工場における取り組み

 2024年10月に新設しました熊本事業所第4工場は、太陽光発電設備の導入等により消費電力の抑制を図るとともに、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の認定を取得し、また、EV充電器の設置、駐車場の緑化によってCO2低減を図っております。

 また、障がい者にとって働きやすい環境となるよう、昇降装置、専用駐車場の設置、バリアフリー化等の環境整備を取り入れております。

 

②人的資本

 社員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、企業価値の向上につながるよう、社内体制の強化と社外教育の活用による教育研修を展開し、人財育成を促進しております。また、より良い労働環境と貢献意欲の創出のために、人事制度の見直しと、組織診断サーベイの活用を推進しています。

 

③知的財産

 従来から設置の知的財産委員会の機能強化を推進しており、特許権を主とした知的財産権の適宜、適切な取得、並びにノウハウの蓄積、活用を図っております。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社は、性別、国籍、年齢等の個人の属性に関わらず人材を採用しており、多様な人材が活躍できる組織であることが、企業の持続的成長に必要であると考えております。

また、従業員向けの各種研修の充実等、人的資本への投資も積極的に行っており、それらが、生産性向上や企業価値の向上に繋がるものと考えております。

 

(3)リスク管理

取締役会、執行役員会及び経営会議にてリスクの特定、評価、管理、対策等を審議検討しております。また、安全、品質、環境等のリスク並びにコンプライアンスにつきましては、各担当部門が、各種管理規程を策定し、管理を行っております。

この上で、今後は設置したサステナビリティ委員会を中心として、サステナビリティに関し、法制度・規制変更等の外部要因の共有を含めて、さらなるリスク・機会の管理を行ってまいります。

 

(4)指標及び目標

①地球環境問題

省エネルギー施策の計画的な推進とともに、連結売上高の大部分を占める当社単体を対象にScope1+2の把握を進めております(Scope1は2024年度から把握を開始しており、2024年度においてはScope2の6,104t-CO2に対しScope1は91t-CO2と軽微にコントロールしています。)。CO2排出量削減に向けて、2013年度を基準年度として「エネルギー原単位-1.0%/年」を指標とし、下図(軽微かつ2024年度から把握のScope1を除くScope2にて表示)の通り2024年度は、2013年度に対し約27%低減が図れています。

 

 

 

2013年度
(基準年度)

20年度

21年度

22年度

23年度

24年度

エネルギー原単位(t-CO2/B\)

413

292

210

333

377

302

 

 


②人的資本

人的資本に係る指標として、採用した労働者に占める女性労働者の割合20%以上、また全社の有休取得率80%以上を目指しております。その他指標につきましても、サステナビリティ委員会を中心に協議を行いながら適宜設定し取り組んでまいります。

 

「人材の育成及び社内環境整備に関する方針」に係る指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

2024年度(2024年4月~2025年3月)の国内の採用における男女比率は、女性5人(11.7%)男性38人(88.3%)となり、採用した労働者に占める女性労働者の割合は、目標である20%以上を達成できませんでした。2025年4月1日現在の国内の労働者の割合は、女性 162人(20.3%)、男性637人(79.7%)でした。コロナ禍での暫定的な対応であった在宅勤務につきましては、制度の恒常化により、働き方の選択肢や環境整備の充実を図りました。今後も引き続き、女性活躍推進及び社員が働きやすい就業環境の提供に努めてまいります。

国内の有休取得率は、数値目標である有休取得率80%以上に対して、2024年度は実績85.2%でした。こちらは目標の全社員の有休取得率80%以上を達成することができました。2024年度は男女ともに有休取得率は前年を下回りましたが(女性:92.0% 男性:83.6%)、今後もワークライフバランスに配慮し、社員が働きやすい就業環境の提供に努めてまいります。

女性の管理職につきましては、女性管理職比率5%以上を目指しております。また、中途採用者の管理職につきましては、すでに積極的な登用をおこなっております。外国人の管理職につきましても、多様性の確保に向けて、人材の採用や育成を推進してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものですが、リスクの全てを網羅したものではなく、事業等のリスクは以下に限定されるものではありません。

 

(1) 半導体市場の動向に関するリスク

当社グループの売上の大半は半導体検査用部品であるプローブカードであり、半導体の回路毎に設計・製造される消耗品としての特性を有しています。

当社グループは、半導体の回路設計と一体化してプローブカードを迅速に設計、開発するため、国内のみならず、米国、台湾等、海外にも販売・生産拠点を設け、市場動向や顧客ニーズの変化に対応しております。

しかしながら、米国の通商政策や金融資本市場の変動の高まりの影響等、世界的な景気後退リスクが半導体市場及びプローブカード市場に影響を与えた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(2)  新製品の開発等に関するリスク

当社グループは、半導体回路の微細化や高速化に向けた、MEMS技術を用いたプローブの性能向上や基板の開発、プローブカードの組立技術や加工技術の開発、次世代半導体向けプローブカードの開発や既存製品の性能向上等、様々な技術や新製品の開発を推進しております。

しかしながら、当社の新製品の開発や技術開発に遅れ等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(3) 特定顧客への販売に関するリスク

半導体ビジネスは、投資コストの増加や需給バランスの不安定さ等の影響により、収益性の向上を図ることが容易ではなくなった結果、半導体メーカーの再編が進み、大手半導体メーカーによる寡占化が進みました。一方で、中長期的には、デジタル社会への移行が世界中で進む中、半導体は、生成AIやデータセンター向けをはじめとして、様々なサービスや製品において需要の拡大が予想されており、それらを背景として、大手半導体メーカーを中心に、新たな半導体工場の建設等、半導体製造基盤の確保・強化に向けた動きも広がっております。当社グループもそれらの影響を受け、売上高における特定顧客が占める比率が高まっております。

それら特定顧客の設備投資の動向や生産計画の変更等は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(4) 製品価格の変動に関するリスク

半導体メーカーは、利益と競争力を維持するためコスト削減を徹底しており、プローブカードに対しても継続した価格要請があり、当社グループは、技術革新やVA活動による原価低減等によって、価格要請に対応するとともに、付加価値の向上を図っております。

しかしながら、価格競争の激化等によって、販売価格がさらに下落した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(5) 製品の品質に関するリスク

当社グループでは、厳正な品質管理基準に従い製品の品質信頼性の維持向上に努めているとともに、主要な拠点においてはISO9001の認証を取得する等、品質保証体制の強化を図っております。

しかしながら、予期せぬ製品の欠陥や品質上の問題が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

 

(6) パンデミックや災害等の異常事態に関するリスク

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大の際、お客様、お取引先様、従業員とその家族の安全確保・感染予防と感染拡大の防止及び事業継続に向けて、感染予防対策を推進いたしました。加えて、災害等の発生に備えたリスク管理も実施しています。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大のようなパンデミックや地震、火災等の異常事態が当社の予想を超える規模で発生し、事業運営が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(7) 人材確保に関するリスク

当社グループの成長には、電気、機械、化学等の専門知識を持つエンジニアをはじめとする、優秀な人材の確保・育成は重要な課題と認識しており、採用活動の強化、安定的な人材確保に努めております。

しかしながら、必要な人材が確保できない場合には、開発・生産・販売等の業務効率の悪化により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(8) 地政学的リスク

当社グループで取り扱う製品の一部は、海外において販売や生産を行っております。海外展開にあたっては、海外子会社からの報告も合わせて、総合的に判断することとしております。

しかしながら、政治的な緊張の高まり等によって、当該国・地域における、販売や生産が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(9) 為替変動に関するリスク

当社グループは、一層の海外販売の強化を行う方針であります。外貨建ての取引については、為替予約等のリスクマネジメントを行っておりますが、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(10) 知的財産権に関するリスク

当社グループは、積極的な研究開発により製品力の強化を図るとともに、知的財産権の取得・維持により、競争力の確保に努めております。

しかしながら、知的財産権の取得・維持ができない場合、あるいは第三者の知的財産権に基づく制約や訴訟を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

(11) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、高度な情報セキュリティレベルを実現すべく、外部専門家の助言を得ながらネットワーク、サーバー、パソコン等への監視体制の強化を図っております。

しかしながら、保有する情報資産が、第三者からの不正通信などにより漏洩・破壊・抹消・改ざんされた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、緩やかな回復傾向が続きました。しかしながら、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響や、欧米における高い金利水準の継続及び中国における不動産市場の停滞の継続等が、景気を下押しするリスクとなり、先行きは不透明な状況で推移いたしました。

当社グループの主たる事業分野である半導体市場につきましては、生成AI向けの画像処理半導体や広帯域メモリー(HBM)等の先端半導体の需要が伸びました。一方で、自動車や産業機器向け等、生成AI用途以外の半導体市場の回復は遅れる状態で推移いたしました。

このような事業環境の中、当連結会計年度の売上高につきましては、非メモリー向けプローブカードは需要が低調に推移し、前連結会計年度をやや下回る結果となりました。一方、メモリー向けプローブカードは、当第4四半期(2025年1月~3月)において、国内及びアジアを中心とした海外向けに、先端半導体向け高付加価値製品の拡販が著しく進展しました。これに加え、製品在庫の出荷も寄与した結果、前連結会計年度を大きく上回りました。こうした状況を受け、全体としても前連結会計年度を大きく上回る結果となりました。

利益面につきましても、不安定な為替相場の影響や熊本新棟に係る一時的な費用等の発生があったものの、高付加価値製品を中心とした売上高の増加による、国内工場の稼働率向上等により、前連結会計年度を大きく上回る結果となりました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は23,829百万円(前連結会計年度比36.5%増)、営業利益は4,585百万円(前連結会計年度比426.7%増)、経常利益は4,640百万円(前連結会計年度比360.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては3,454百万円(前連結会計年度比455.0%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

a.半導体検査用部品関連事業

半導体検査用部品関連事業の売上面につきましては、非メモリー向けプローブカードは需要が低調に推移し、前連結会計年度をやや下回る結果となりました。一方、メモリー向けプローブカードは、当第4四半期(2025年1月~3月)において、国内及びアジアを中心とした海外向けに、先端半導体向け高付加価値製品の拡販が著しく進展しました。これに加え、製品在庫の出荷も寄与した結果、前連結会計年度を大きく上回りました。こうした状況を受け、全体としても前連結会計年度を大きく上回る結果となりました。利益面につきましても、不安定な為替相場の影響や熊本新棟に係る一時的な費用等の発生があったものの、高付加価値製品を中心とした売上高の増加による、国内工場の稼働率向上等により、前連結会計年度を大きく上回る結果となりました。

以上の結果、売上高23,603百万円(前連結会計年度比37.0%増)セグメント利益は6,033百万円(前連結会計年度比209.0%増)となりました。

 

b.電子管部品関連事業

電子管部品関連事業につきましては、売上高226百万円(前連結会計年度比0.6%減)、セグメント利益は10百万円(前連結会計年度比23.8%減)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、2,087百万円減少し、当連結会計年度末には11,538百万円となりました。

 

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,801百万円(前連結会計年度比22.2%減)となりました。

これは主として、売上債権の増加3,829百万円、棚卸資産の増加370百万円による減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益4,627百万円、減価償却費1,196百万円、賞与引当金の増加152百万円等による増加要因があったことによります。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、3,581百万円(前連結会計年度は2,202百万円の資金の減少)となりました。

これは主として、定期預金の払戻による収入1,148百万円等による増加要因があったものの、有形固定資産の取得による支出3,464百万円、定期預金の預入による支出1,126百万円等による減少要因があったことによります。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は514百万円(前連結会計年度は879百万円の資金の増加)となりました。

これは主として、長期借入れによる収入1,500百万円による増加要因があったものの、長期借入金の返済による支出1,178百万円、配当金の支払額631百万円等による減少要因があったことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

半導体検査用部品関連事業

24,022

140.1

電子管部品関連事業

226

99.4

合計

24,248

139.6

 

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

半導体検査用部品関連事業

26,166

139.9

8,330

144.4

電子管部品関連事業

221

101.7

44

89.9

合計

26,388

139.4

8,374

144.0

 

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

半導体検査用部品関連事業

23,603

137.0

電子管部品関連事業

226

99.4

合計

23,829

136.5

 

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
   あります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高
(百万円)

割合(%)

販売高
(百万円)

割合(%)

マイクロンメモリジャパン㈱ ※1

3,562

15.0

MICRON MEMORY TAIWAN Co.,Ltd. ※1

3,487

14.6

ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング㈱

2,779

15.9

2,487

10.4

フラッシュフォワード(合) ※2

1,862

10.7

 

※1 前連結会計年度のマイクロンメモリジャパン㈱とMICRON MEMORY TAIWAN Co.,Ltd.につきましては、売上高総
    額に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。

※2 当連結会計年度のフラッシュフォワード(合)につきましては、売上高総額に対する割合が10%未満のため記載
    を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、安定的な収益力を表す指標として連結経常利益率10%以上及び株主資本利益率(ROE)10%以上を目標としております。当連結会計年度における連結経常利益率は19.5%(目標比 +9.5%)、株主資本利益率(ROE)は13.6%(目標比+3.6%)となりました。継続的な目標達成のため、今後とも努力していく所存であります。

 

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

a.財政状態

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,089百万円増加し、39,859百万円となりました。

これは主として、現金及び預金が2,069百万円、建設仮勘定が642百万円減少しましたが、売掛金が4,125百万円、製品が234百万円、仕掛品が355百万円、建物及び構築物(純額)が2,865百万円増加したこと等によるものであります。

 

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,845百万円増加し、11,944百万円となりました。

これは主として、電子記録債務が482百万円、設備電子記録債務が283百万円減少しましたが、買掛金が449百万円、未払法人税等が829百万円、長期借入金が268百万円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,244百万円増加し、27,914百万円となりました。

これは主として、利益剰余金が2,823百万円、為替換算調整勘定が411百万円増加したこと等によるものであります。

 

b.経営成績

(売上高)

半導体検査用部品関連事業につきましては、非メモリー向けプローブカードは需要が低調に推移し、前連結会計年度をやや下回る結果となりました。一方、メモリー向けプローブカードは、当第4四半期(2025年1月~3月)において、国内及びアジアを中心とした海外向けに、先端半導体向け高付加価値製品の拡販が著しく進展しました。これに加え、製品在庫の出荷も寄与した結果、前連結会計年度を大きく上回りました。こうした状況を受け、全体としても前連結会計年度を大きく上回る結果となりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は23,829百万円(前連結会計年度比36.5%増)となりました。

 

(営業利益)

半導体検査用部品関連事業につきまして、不安定な為替相場の影響や熊本新棟に係る一時的な費用等の発生があったものの、高付加価値製品を中心とした売上高の増加による、国内工場の稼働率向上等により、前連結会計年度を大きく上回る結果となりました。以上の結果、当連結会計年度の営業利益は4,585百万円(前連結会計年度比426.7%増)となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益につきましては、主として営業利益の増加等により、4,640百万円(前連結会計年度比360.8%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、主として営業利益及び経常利益の増加等により、3,454百万円(前連結会計年度比455.0%増)となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」の項目をご参照願います。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性についての分析

(資金需要)

当社グループの運転資金の需要のうち主なものは原材料の仕入れや製造費用、販売及び一般管理の営業費用や管理費用であります。投資資金の需要のうち主なものは、製造設備の増強並びに最先端技術に対する研究活動及び研究開発投資であり、今後も顧客満足のより一層の向上に向け継続的に実施してまいります。また、株主還元につきましては、株主の皆様に対する「安定的な利益還元」を重要な経営方針の一つとしております。2024-2026年度中期経営計画においては、設備投資と研究開発を中心に「将来に向けた成長投資」とのバランスを取りながら、株主の皆様へ安定的・継続的かつ利益に見合った配当を実施する方針としております。

 

(資金調達)

当社グループは、安定的な支払能力を確保するため、内部資金、金融機関からの借入、新株の発行等の活用により、資金調達の多様化と安定した資金繰りを実現することとしております。外部からの資金調達につきましては、安定的で低利息を目標とし、経済や金融情勢を加味しながら、長期もしくは短期のバランスのとれた調達を実施しております。

また、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(棚卸資産の評価)

当社は、棚卸資産が適正な価値で評価されるように評価損の金額を見積っております。過剰、滞留、並びに陳腐化した棚卸資産に対して評価損を計上しております。また、棚卸資産は正味実現可能価額まで評価損を行っております。当社は通常、一定の保有期間を超える棚卸資産を滞留もしくは陳腐化していると見なします。

但し、当社では、一定の保有期間を超えた棚卸資産であっても、設計仕掛品(新規製品の受注後、顧客ニーズを満たすべく調整中である仕掛品)等の一部の仕掛品について将来の回収可能性に関する経営者の判断のもとに、評価損を計上しないことがあります。当連結会計年度末においては重要な残高はありません。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、経営理念である「人類に幸福をもたらす技術の開発と製品化により社会に貢献する」のもと、エレクトロニクス分野の新製品・新技術に対応して、半導体検査用部品関連の研究開発活動を推進しております。   その活動の主な内容は、半導体回路の微細化や高速化に向けた、MEMS技術を用いたプローブの性能向上や基板の開発、プローブカードの組立技術や加工技術の開発、次世代半導体向けプローブカードの開発推進や既存製品の性能向上等であり、今後も市場の拡販や製品ポートフォリオの強化を図ってまいります。この研究開発費の総額は、当連結会計年度において、1,538百万円であります。