第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、IoT化へと進む今後の新しいIT社会において、時代の変遷に対応しながら、市場、顧客のニーズに常に対応できるよう、新しい事業領域への進出を視野に入れ、グループ内においてはシナジーを追求し、有機的な企業体として、総合的な企業価値を向上させてまいります。また、顧客への最適なソリューションの提供をとおして、社会の発展に貢献してまいります。

 

(2) 経営戦略等

当社は、経営資源の選択と集中を進め、既存事業においては成長分野であるIoT、HPC、通信建設テック事業等にリソースを投入してその拡大に努め、収益力をより一層向上させるとともに、新たな収益の柱を作るべく、有望な新規事業分野への進出、投資やM&A等を行なうことで、持続的な成長を図ってまいります。また、内部管理体制の強化についても引き続き推進し、更なる強化を図ります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、より高い成長性を確保する観点から「売上高」「営業利益」「経常利益」を重要な指標として位置づけ、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指しております。

 

(4) 経営環境

次期(2026年3月期)につきましては、米国の関税政策、為替相場の変動、地政学リスクの高まりなど、世界経済を取り巻く不透明感が継続することが見込まれます。国内経済においても、緩やかな回復基調が続く一方で、物価上昇による個人消費への影響や人手不足の深刻化、エネルギー価格の高止まりなど、先行きは依然として不透明な状況にあります。

このような経営環境の中、当社グループは、前期に実施した各種戦略投資の成果を活かしつつ、持続的な成長と収益力強化に向けて、以下の施策を推進してまいります。

メモリ・PC関連デバイス事業においては、Windows OSの移行に伴うPC買い替え需要の獲得を継続するとともに、産業用メモリや産業用PC(IPC)など、堅調な法人需要が見込まれる領域への営業資源の集中を図ります。あわせて、在庫圧縮による回転率の改善、物流コストの見直し、仕入れ原価の低減にも取り組み、適切な利益確保を目指します。

IoT事業では、量産を伴う受託開発案件の受注拡大に注力するとともに、新商材の販促活動を継続し、収益基盤の安定化と拡大を図ってまいります。

通信建設テック事業においては、通信工事分野における短期的な需要の伸びは限定的と見込まれるものの、クラウドカメラやサービスロボットといったIoT領域、および再生可能エネルギー関連工事(系統用蓄電池、風力発電等)の需要を取り込み、継続的な成長を目指します。加えて、バディネットとリーバンの合併や、ブランチテクノを含めたグループ内の連携強化を通じて、施工・保守体制の全国プラットフォーム化を進めてまいります。

HPC事業においては、引き続き競争環境の激化や原価上昇の影響が想定されるものの、各種展示会・イベント出展やランチオンミーティングを通じた顧客接点の拡大を図るとともに、生成AI分野での提案力強化や新製品開発を進め、安定した売上・利益の確保に努めます。

あわせて、通信建設テック事業セグメントを中心としたM&Aの推進や、新たな収益柱の構築、グループガバナンスの更なる強化を通じ、グループ全体としての持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。

更に、既存事業の強化を目的としたM&Aや、ガバナンス強化にも引き続き取り組んでまいります。

 

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

① 経営全般に係る課題

 当社は引き続き、グループのガバナンス体制の強化並びにコンプライアンス遵守に努めてまいります。

 また、既存事業においては成長分野であるIoT、HPC、通信建設事業等にリソースを投入してその拡大に努め、収益力をより一層向上させるとともに、有望な新規事業分野への進出、投資を行うことで、持続的な成長を図ってまいります。

 更に、中長期的な企業価値向上のためには業績の拡大のみならず、事業運営を通じてSDGs(持続可能な開発目標)などの社会的課題の解決に貢献することが必要と考えており、ITの力で持続可能な未来社会が実現できるよう、取り組んでまいります。

 

② 各事業セグメントにおける課題

<メモリ・PC関連デバイス・IoT事業>

メモリ・PC関連デバイス事業においては、Windows OSの移行に伴うPC買い替え需要が本格化すると見られております。その案件獲得を継続するとともに、産業用メモリや産業用PC(IPC)など、堅調な法人需要が見込まれる領域への営業資源の集中を図ります。あわせて、在庫圧縮による回転率の改善、物流コストの見直し、仕入れ原価の低減にも取り組み、適切な利益確保を目指します。

IoT事業では、主力量産案件の終了を受けて、新たな量産を伴う受託開発案件の受注や新規商材の拡販による利益確保を目指し、完全に穴埋めにするには至らなかったものの、下期にかけて新規製品の獲得が増え、売上に大きく寄与いたしました。引き続き、受託開発案件・量産案件の獲得を目指すとともに、新商材の販促活動を継続し、収益基盤の安定化と拡大を図ってまいります。

 

<通信建設テック事業>

通信建設テック事業においては、キャリア3Gサービスマイグレーション工事の終了を受けて、通信工事分野における短期的な需要の伸びは限定的と見込まれております。他方で、各種電気設備工事、クラウドカメラやサービスロボットといったIoT領域、及び再生可能エネルギー関連工事(風力発電、系統用蓄電池等)の市場拡大が見込まれており、これらの需要を取り込み、継続的な成長を目指します。加えて、バディネットとリーバンの合併や、ブランチテクノを含めたグループ内の連携強化を通じて、施工・保守体制の全国プラットフォーム化を進めてまいります。

コンタクトセンター事業においては、引き続きアルコールチェック案件の拡大を見込むとともに、各種工事・保守サービスとも連携し、工事部門と一体となって、より付加価値の高いサービス提供に努めてまいります。

 

<HPC事業>

HPC事業においては、引き続き為替の動向が不安定な状況が見込まれるとともに、一部海外製品の長納期化、競争環境の激化や原価上昇が見込まれるなど、厳しい外部環境が継続しております。他方で、AI、ディープラーニングの普及により、GPUの需要は拡大していくものと想定されます。各種展示会・イベント出展やランチオンミーティングを通じた顧客接点の拡大を図るとともに、生成AI分野での提案力強化や新製品開発を進め、また、バックヤードの連携を通じて短納期化を実現し、為替変動の影響を小さくすることで、安定した売上・利益の確保に努めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 

 当社グループは、『持続可能な未来社会をITで実現する』ことをミッションとし、ITを通じて豊かで持続可能な情報化社会の実現に貢献してまいります。

 また当社グループの使命とは、事業を通した社会貢献と法令の遵守だけではなく、企業倫理に則った公正、かつ適切な事業運営を通じて、地球環境及び人類の持続可能な発展に貢献することであると考えています。この使命を果たすべく、日々取り組みを進めています。

 その中で、社会と当社グループが持続的に成長するための重要課題として、以下のとおりマテリアリティを特定しています。

 ・環境保全

 ・社会貢献

 ・人材育成及び労働環境の醸成

 ・法令遵守

 ・公正取引

 また、ESGを考慮した経営・事業・投資活動を推進するべく、当社グループのマテリアリティとSDGs及びESGを関連付けて17の活動項目を設定し、開示しております。

 

(1) ガバナンス

 当社グループでは、法令・定款及び社会規範を遵守した行動をとる行動規範として「コンプライアンス規程」を制定しており、当社グループのマテリアリティについて当該規程の項目に組み込まれていることから、各種目標においてもガバナンスの観点からコンプライアンス委員会にて監督をしております。

 

(2) 戦略

 当社グループの人材の育成及び社内環境整備に関する方針として、様々な人材が多様な働き方で能力を発揮できるよう、勤務環境の整備に努めております。

 具体的には、社員がワークライフバランスを実現しやすいよう、テレワークや時短勤務が出来る環境を整備しております。また、女性管理職の比率を上げるための取り組みも進めてまいります。

 

(3) リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティ課題を含む事業へのリスクについて、適切に管理するため、事業を開始する際に各社の幹部会議等において検討しております。また、環境及び労働問題等のアプローチから事業が健全に行われているか定期的なモニタリングにより確認し、内部監査のプロセスを通じてリスク状況を確認し、課題がある場合は事業の特性にあわせ改善を進めております。

 また、グループ全体の取り組みとして、グループ横断で取締役・監査役や部室長クラスが参加するコンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会において検討、モニタリングを実施しております。

 

(4) 指標及び目標

上記「(2)戦略」において記載した人的資本・多様性に関する指標及び目標については以下のとおりです。

指標

目標

当期実績

女性管理職割合

20%以上

19.3%(2025年3月31日現在)

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)為替変動による影響について

 当社連結子会社である株式会社アドテック及び株式会社HPCテックが取り扱う製品・原材料は、一部海外から調達し、国内の顧客に販売しております。為替相場の変動は、外貨建て取引により発生する資産・負債及び仕入価格に影響を与える可能性があります。為替の変動リスクを軽減し、また回避するために為替予約等の手段を講じることがありますが、為替相場の変動によって当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合市場について

 当社連結子会社である株式会社アドテックが事業を展開するメモリ製品市場は国内外、大小の会社に関わらず激しい競争にさらされております。競合会社はアドテックよりも収益性が高く、価格面でアドテックよりも競争力を有している可能性もあります。今後価格面での圧力を受けた場合又は有効に競争できない場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料の市況変動の影響について

 当社連結子会社である株式会社アドテックが取り扱うメモリ製品の主原材料であるDRAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリの価格は、これまで循環的な変動を繰り返すなど、半導体需要動向等の影響を受ける可能性があります。また、現在の世界的な半導体不足の影響により、メモリやHPCの事業において一部部材の調達が困難になっております。市況価格の変動はメモリ製品及びフラッシュ関連製品の価格に影響する可能性が高く、今後とも半導体メモリの価格推移の予想は難しいことから、その変動が当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)知的財産権の侵害について

 当社連結子会社である株式会社アドテックが取り扱う電子部品には、その加工技術等には知的財産権の適用範囲が多岐に渡っており、製品又は技術が結果的に他社の知的財産権を侵害している可能性があります。侵害行為による紛争が生じないよう細心の注意を払っておりますが、当該係争が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製品の欠陥等、製造物責任について

 当社連結子会社である株式会社アドテックは、製品の品質安定に細心の注意を払っておりますが、予測不能な製品及び使用している部材等の欠陥又は不具合により、納入先顧客から損害賠償を請求される可能性があります。また、製造物責任法に基づく損害賠償請求に対しては、一定額の損害保険に加入し、リスク回避策を講じておりますが、補償額を超える損害が発生した場合には当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)個人情報について

 当社連結子会社である株式会社アドテックがPCリサイクル法による自社製品の一部について回収処理を行っていること、株式会社バディネットがBPO事業、コンタクトセンター事業においてエンドユーザー向けのサービスを行っていること、及び株式会社ダイヤモンドペッツ&リゾートが旅館業の運営を行っていることから、個人情報を取り扱っております。個人情報の取り扱いについては個人情報の外部漏洩の防止のため、厳格な管理のもとで運営しており、また全社員に教育を実施するとともに、今後も個人情報保護及び管理状況の継続的改善に一層の徹底を図ってまいります。しかしながら、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぼす可能性があります。

 

(7)有利子負債依存度と金利の変動の影響について

 当社連結子会社である株式会社アドテック及び株式会社バディネットの資金状況は、仕入先に対する支払いサイトに比較し、販売先からの回収サイトが長いことから、売上の増加に伴い運転資金需要が増加した場合、金融機関からの借入金により調達しております。当社グループの販売動向、金融機関の融資姿勢、金利動向によっては当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8)通信業界の動向について

 当社連結子会社である株式会社バディネット、株式会社ブランチテクノは、大手通信キャリア及び通信関連企業をその主な顧客としており、同業界は、通信業界の市場環境の変化や法的規制の動向により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)新規事業、M&Aについて

 当社グループは、新たな収益の柱を作るべく、新規市場への進出や手元資金を活用したM&A等を展開しております。これらの施策により、収益基盤及び企業規模は拡大しておりますが、M&Aが当社の期待する成果を上げられない場合や、事後的に顕在化する予測困難な問題が発生したときは、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、好調なインバウンド需要や雇用・所得環境の向上による個人消費の持ち直しの動きを受けて、緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、エネルギー価格や原材料価格の高騰を受けた物価上昇や、米国の政治動向、不安定な国際情勢による地政学的リスク、為替相場の不安定さなど、依然として不透明な状況となっております。

 

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産額は13,627百万円となり、前期末に比べ2,159百万円の増加となりました。主な内訳は、現金及び預金5,369百万円、受取手形、売掛金及び契約資産5,243百万円、商品及び製品912百万円、仕掛品420百万円、販売用不動産791百万円であります。

負債につきましては、9,649百万円となり、前期末に比べ1,976百万円の増加となりました。主な内訳は、買掛金1,403百万円、短期借入金3,650百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)3,390百万円、社債(1年内返済予定の社債含む)300百万円であります。

純資産につきましては、3,978百万円となり、前期末に比べ183百万円の増加となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は、18,272百万円(前期比15.3%増)、売上総利益は、3,869百万円(前期比5.2%増)となりました。販売費及び一般管理費は、3,152百万円(前期比11.1%増)となり、営業利益は716百万円(前期比14.6%減)、経常利益は662百万円(前期比21.6%減)となりました。第2四半期及び第4四半期において、一部の債権に対して貸倒引当金繰入額として合計299百万円を特別損失に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は112百万円(前期比61.6%減)となりました。

(単位:千円)

 

財務諸表科目

2024年3月期

2025年3月期

前期比

 売上高

15,848,974

18,272,045

15.3%

 売上原価

12,171,126

14,402,985

18.3%

売上総利益

3,677,848

3,869,059

5.2%

 販売費及び一般管理費

2,839,095

3,152,851

11.1%

営業利益

838,752

716,208

△14.6%

 営業外収益

33,327

38,376

15.1%

 営業外費用

27,307

92,283

237.9%

経常利益

844,773

662,301

△21.6%

 特別損失

217,034

319,723

47.3

税金等調整前当期純利益

627,738

342,577

△45.4%

 法人税等合計

260,665

159,520

△38.8%

親会社株主に帰属する当期純利益

292,567

112,268

△61.6%

 

 セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

(メモリ・PC関連デバイス・IoT事業)

 メモリ・PC関連デバイス・IoT事業セグメントにおいては、Windows 11への移行に伴う市場のPC出荷台数の増加を背景に、法人向けのPC買い替え需要を的確に捉えるとともに、産業用メモリおよび産業用パソコン分野における新規顧客の開拓に注力いたしました。その結果、大型案件の受注および新規顧客獲得が奏功し、売上高は前期比で大幅に増加いたしました。

利益面では、円安やメモリ価格の高騰といった外部環境の影響があったものの、先行して確保していた在庫の販売を進めたことが奏功し、通期で営業利益を計上いたしました。加えて、IoT事業においては、第4四半期に掛けて実施した新規製品の販売活動が寄与し、前年同期比で売上高が増加いたしました。

なお、当期は新商材の販売拡大に向けた販促施策等により販管費が増加した一方、在庫販売の進捗や大型案件の寄与により、前期の営業損失から黒字へと転換いたしました。ただし、展示会への出展費用の増加等、来期を見据えた先行投資の影響もあり、営業利益は限定的な水準にとどまりました。

今後は、組織体制の強化を進めるとともに、量産を伴う受託開発案件の獲得に注力することで、業績の安定化およびさらなる成長を目指してまいります。

 その結果、当事業における売上高は7,466百万円(前期比30.0%増)、営業利益は4百万円(前年同期は42百万円の営業損失)となりました。

 

(通信建設テック事業)

 通信建設テック事業においては、前期に終了したキャリア3Gサービスのマイグレーション工事に代わり、IoT関連機器、クラウド型カメラ、サービスロボット、医療機関向けオンライン資格確認システムの導入支援など、各種電気通信工事の案件が増加いたしました。加えて、第2四半期より連結対象となった株式会社ブランチテクノの売上が寄与したことで、売上高は前期を上回る水準となりました。

また、コンタクトセンター事業においても、インターネット工事関連のコールセンター業務やアルコールチェック代行サービスが堅調に推移し、安定的な収益を確保しております。

一方、事業拡大に伴う体制強化や、新規の電気・電気通信工事分野におけるプロジェクト立ち上げに係る成長投資等により販管費が増加した結果、営業利益は前期を下回りました。今後は、風力発電や系統用蓄電池をはじめとする再生可能エネルギー関連工事の需要拡大を背景に、バディネットとリーバンの合併によるシナジー創出や社内体制の強化を通じ、収益基盤の拡大を図ってまいります。

 その結果、当事業における売上高は7,038百万円(前期比4.2%増)、営業利益328百万円(前期比32.0%減)となりました。

 

(HPC事業)

 HPC事業においては、年度末にかけて各種学会やメーカー主催イベントへの積極的な参加を通じて、情報発信および顧客接点の拡大に取り組みました。加えて、期末までに積み上がった受注案件について納品を着実に実行したことにより、通期の売上高は過去最高を更新いたしました。

営業利益につきましては、競争環境の激化や原価上昇などの影響を受けたものの、効率的な営業・納品体制の構築により、前期と同水準の利益を確保いたしました。

 その結果、当事業における売上高は3,533百万円(前期比14.3%増)、営業利益は305百万円(前期比5.1%減)となりました。

(単位:千円)

 

 

2024年3月期

2025年3月期

前期比

メモリ・PC関連デバイス・IoT事業

 

 

 

売上高

5,743,031

7,466,481

30.0%

営業利益又は営業損失

△42,869

4,035

 

 

 

 

通信建設テック事業

 

 

 

売上高

6,751,930

7,038,753

4.2%

営業利益

482,400

328,138

△32.0%

 

 

 

 

HPC事業

 

 

 

売上高

3,091,792

3,533,114

14.3%

営業利益

322,016

305,606

△5.1%

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)残高は、前連結会計年度末に比べ1,211百万円増加し5,325百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の減少は、374百万円(前連結会計年度は40百万円の資金の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益342百万円の増加要因があった一方で、売上債権の増加508百万円、棚卸資産の増加437百万円、仕入債務の減少199百万円、法人税等の支払額271百万円による資金の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は108百万円(前連結会計年度は212百万円の資金の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出93百万円、無形固定資産の取得による支出73百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入73百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の増加は1,696百万円(前連結会計年度は971百万円の資金の増加)となりました。主な要因は、短期借入金の純減額190百万円、長期借入れによる収入2,570百万円、長期借入金の返済による支出918百万円、社債の発行による収入300百万円、社債の償還による支出58百万円によるものであります。

 

③ 仕入及び販売の実績

a.仕入実績

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

メモリ・PC関連デバイス・IoT事業(千円)

6,035,238

24.8

通信建設テック事業(千円)

478,854

36.6

HPC事業(千円)

2,807,066

10.1

その他(千円)

34,054

△3.1

合計(千円)

9,355,213

20.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は仕入価額により記載しております。

 

b.販売実績

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

メモリ・PC関連デバイス・IoT事業(千円)

7,449,407

29.7

通信建設テック事業(千円)

7,035,983

4.3

HPC事業(千円)

3,506,238

14.6

その他(千円)

280,415

△6.5

合計(千円)

18,272,045

15.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ソフトバンク(株)

4,401,103

27.8

4,319,846

23.6

(株)マウスコンピューター

2,040,973

12.9

2,735,033

15.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択や適用、資産負債及び収益費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者はこれらの見積りについて、過去の経験及び実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、個々の「重要な会計方針及び見積り」につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,908百万円増加し12,657百万円となりました。主な増減要因として、現金及び預金が1,200百万円、売上の増加に伴う受取手形、売掛金及び契約資産が552百万円、仕掛品が165百万円、販売用不動産が791百万円増加いたしました。一方で商品及び製品が217百万円、原材料が174百万円減少、また、当社の連結子会社における営業債権に対し、「金融商品に関する会計基準」に基づき評価した結果、貸倒引当金繰入額320百万円を計上し減少いたしました。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ250百万円増加し970百万円となりました。主な増減要因として、事務所機能の新設及び増設、各種設備の拡充のため建物が33百万円増加する一方で、当社の連結子会社における事業用資産に対し、20百万円の減損損失を計上いたしました。また、販売システムの拡張によるソフトウェアの新規取得120百万円、バディネットの子会社であるブランチテクノの連結開始に伴い、のれんが110百万円増加いたしました。

 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ2,159百万円増加し13,627百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ504百万円増加し6,817百万円となりました。主な増減要因として、買掛金が162百万円減少し、未払法人税等が103百万円減少いたしました。また、前受金が77百万円増加、新規借入により短期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が644百万円増加いたしました。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,472百万円増加し2,832百万円となりました。主な増減要因として、競争力の強化及び事業拡大に備えた組織体強化に伴い、新規借入により長期借入金が1,206百万円増加、社債の発行により社債が240百万円増加いたしました。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ183百万円増加し3,978百万円となりました。主な増減内訳は、利益剰余金の増加112百万円であります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 売上高は、前連結会計年度に比べ2,423百万円増加(15.3%増)の18,272百万円となりました。

 売上高の内訳は、メモリ・PC関連デバイス・IoT事業が7,449百万円、通信建設テック事業が7,035百万円、HPC事業が3,506百万円となっております。また、売上高全体に占める割合は、メモリ・PC関連デバイス・IoT事業が40.8%、通信建設テック事業が38.5%、HPC事業が19.2%となっております。

(売上原価)

 売上原価は、前連結会計年度に比べ2,231百万円増加の14,402百万円となりました。また、原価率は、78.8%となり、前連結会計年度に比べ2.0%上昇しました。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ313百万円増加の3,152百万円となりました。主な増加の要因は、人件費の増加202百万円によるものであります。また、売上高対販売費及び一般管理費比率は17.3%となり、前連結会計年度に比べ0.7%下降しました。

(営業利益)

 営業利益は、前連結会計年度に比べ122百万円減少の716百万円となりました。

(経常利益)

 経常利益は、前連結会計年度に比べ182百万円減少の662百万円となりました。

(税金等調整前当期利益)

 税金等調整前当期利益は、前連結会計年度に比べ285百万円減少の342百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ180百万円減少の112百万円となりました。これは主として、当社の連結子会社の営業債権に対し、貸倒引当金繰入額320百万円を計上したこと及び事業用資産に対し、20百万円の減損損失を計上したことによるものであります。

 なお、事業全体の包括的な分析及びセグメント別の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績等の状況」をご参照ください。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、子会社株式の取得等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持する事を基本方針としております。

短期運転資金は営業活動により得られたキャッシュ・フロー、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、当社は、金融機関との間で合計3,680百万円を限度とするコミットメントラインを設定しており、資金需要に応じて機動的な資金調達を実行しております。

これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用してまいります。今後については、IoT関連投資、商品の仕入、有望な新規事業領域への進出、子会社株式の取得等に積極的に投資してまいります。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は7,344百万円、現金及び現金同等物の残高は5,325百万円となりました。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは収益性指標として売上高、営業利益及び経常利益を重視しております。

期初の業績予想に対して、売上高は772百万円増(4.4%増)となりましたが、営業利益は33百万円減(4.5%減)、経常利益は87百万円減(11.7%減)となりました。これは主に、PCメーカー向けのメモリ販売がWindows 11への移行に伴う市場のPC出荷台数の増加や、ブランクテクノの新規連結、HPC事業における大型案件の獲得により売上高が増加した一方で、事業拡大に伴う拠点拡張や人件費の増加を受けて販管費が増えたことにより、利益面においては期初の業績予想を下回りました。詳細は、事業全体の包括的な分析及びセグメント別の分析は、「4(経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析) (1)経営成績等の状況の概要 b.経営成績」をご参照ください。

 

5【重要な契約等】

 

契約会社名

相手先

契約品目

契約の内容

契約期間

株式会社

アドテック

(連結子会社)

株式会社マウスコンピューター

電子部品

電子部品の販売に関する基本契約

2005年2月14日から

2006年2月13日まで

以降1年ごとの自動更新

株式会社

バディネット

(連結子会社)

ソフトバンク株式会社

工事請負

電気通信工事の請負に関する基本契約

2017年9月19日から

2018年9月18日まで

以降1年ごとの自動更新

 

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。