第2 【事業の状況】

 

(注)  当社グループは、主にプリント配線板及びこれに付随する電子部品等の製造販売をしており、国内においては、当社、三和電子株式会社が、海外においては中国をKyosha Hong Kong Company Limited、Guangzhou Kyosha Circuit Technology Co., Ltd.、Guangzhou Kyosha Trading Company、Kyosha North America, Inc.、Kyosha(Thailand)Co., Ltd.、Kyosha Malaysia Circuit Technology Sdn.Bhd.が、インドネシアをPT. Kyosha Indonesiaが、メキシコをKyosha de Mexico, S.A. de C.V.が、ベトナムをKyosha Vietnam Co., Ltd.が、それぞれ担当しております。各社はそれぞれ独立した経営単位であり、取り扱う製品について各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
 したがって、当社グループは、生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「中国」、「インドネシア」、「メキシコ」、及び「ベトナム」の5つを報告セグメントとしております。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社グループはグローバル市場において顧客満足を第一とし、「地に足のついた経営」を進め持続した成長を目指すことを基本とし、そのために以下を経営基本方針といたしております。

①すべての事業活動において「安全の確保、法令の遵守、環境保全」を最優先する。

②顧客のニーズに応え、新技術、新工法の開発と品質向上にたゆまぬ努力を傾注する。

③選択と集中を進め、自社の強みを活かした分野に経営資源を集中する。

当社グループは、日本、中国、インドネシア、メキシコ、ベトナムの各生産拠点から、日本と同品質の製品を世界中へ供給することができ、特に、片面プリント配線板の分野においては世界最大の生産能力があるなど、同業他社に無い特徴を持っております。

 主力製品である片面・両面プリント配線板事業では、自動車関連や家電製品等の分野をはじめ、事務機、電子部品・電子機器など幅広い顧客向けに販売しております。また、実装や実装搬送治具の実装関連事業では、国内を中心に産業機器や航空機、通信機器向けに販売を行っており、今後はプリント配線板事業とともに国内外での拡大を目指しております。

 

当社が属するプリント配線板業界の状況は、米国の関税政策による世界経済への影響や中国の景気停滞、為替変動、地政学リスクによる原材料、エネルギー価格の高止まりなど、業績に影響を与える不確定な要素が多く、世界経済の先行きは依然不透明な状況にあります。

このような状況の中、当社グループは2026年3月期を最終年度とする中期経営目標である売上高300億円、営業利益16億円、営業利益率5.3%、ROE(自己資本利益率)10%の達成を目指してまいりましたが、国内の自動車関連分野の減産や中国の景気停滞など環境変化の影響から、売上高の目標を270億円に見直しいたします。

なお、営業利益目標は変更せず16億円とします。国内は販売価格の適正化、高付加価値の金属基板の新規立上げ、中国では自動化による生産性向上、金属基板の拡販、また、インドネシアでの新規受注に対応した自動化投資により、営業利益率は5.9%を目指します。

ROE(自己資本利益率)目標は、為替変動の影響を受けるため8%といたします。

当社グループは、収益性の向上、経営全般にわたる効率化をさらに推し進めることなどにより、利益の確保に努めてまいります。

 

(1)中期経営ビジョン・スローガン

 「一流になる・Build Trust

企業にとって信頼関係を構築することが最も重要であるとの考えから、会社とお客様、協力会社に加え、社員同士も互いに強い信頼関係を構築することで、一流の会社、一流の人材を目指します。

 

(2)基本戦略

 「企業間連携を最大活用し、独自技術に磨きをかけグローバルニッチトップメーカーになる」

激しく変化する事業環境において、多方面に事業を展開し、そのすべてを自社で行うことは難しくなりつつあるため、特定分野にターゲットを絞り、経営資源を集中させ、当社のコアコンピタンスである印刷技術を武器に様々な分野でパートナーシップを構築することで、グローバルニッチトップメーカーを目指します。

 

 

(3)2026年3月期の経営目標

中期経営計画は最終年度の2026年3月期に売上高270億円、営業利益16億円、営業利益率5.9%、ROE(自己資本利益率)8%を目標としております。

 

中期経営計画の達成に向けて、次期につきましては、下記の年度方針を掲げ、重点課題に対処してまいります。

 

年度方針:危機感を共有し、進化に挑む

国内外の厳しい事業環境のなかで、今、グループ各社が置かれている状況を従業員全員が共有し、一致団結することで変化をチャンスに変えて、新たな分野に挑戦し、計画の実現を目指します。

 

重点課題:

①価値を最大化するためのリストラクチャリング 

②次なる成長に向けた新規事業開発

③あくなき品質、生産性の追求

④DX・自動化の全社展開

⑤ESG活動のPDCA促進

⑥資本効率の向上(ムダの徹底排除)

 ⑦誇りを持てる仕事づくり、人づくり

を重点課題といたしまして対処していく所存であります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

当社グループのサステナビリティ方針は、経営理念、経営基本方針、行動規範に基づき事業活動を実践し、お客様、株主、投資家、従業員などすべてのステークホルダーとの信頼関係を構築することで、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指すとしております。

具体的には、環境に配慮した製品の提供やモノづくりを通して環境負荷の低減に取組み、人々の健康的な生活と地球環境の保全に貢献するとしております。

サステナビリティに関する取組みについては、常勤取締役で構成されるCSR推進委員会が設置する小委員会のコンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会、環境管理委員会、安全衛生統括委員会の4委員会にて審議、各種課題の報告と対応の検討を行っております。

小委員会での検討結果は、CSR推進委員会にて定期的(年2回)に報告する体制とし、適宜取締役会及び監査等委員会への報告を行っております。

(2)戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

当社グループは企業理念である「人間尊重の精神で人材の育成に力を注ぎ明日を担う企業を創る」のもと、人材が最も重要な経営資源であるとの認識にたち、人材育成を行っています。

 具体的には、階層別・職種別に実施される研修から、従業員の自発的なキャリア形成を支援する自己啓発プログラムを含め、体系的な教育体制を構築しています。

 また、性別、国籍、新卒、中途によらず、能力や成果、適性等により管理職への登用を行い、多様性の確保に取組んでおります。

 従業員の安全・健康確保の観点より、労働者災害、環境災害、交通事故、長期療養者等については、2か月毎にその実績を当社グループ内で共有し、社内環境の向上に努めております。

(3)リスク管理

当社グループは、リスク管理がCSRの一分野であるとの認識のもと、常勤取締役で構成するCSR推進委員会を、全社的リスク管理機関と位置付けております。リスク管理の具体的な活動は、CSR推進委員会が設置する各小委員会が推進し、活動状況を取りまとめ、進捗と結果を定期及び適宜に報告することで共有し、管理体制の構築に努めております。

(4)指標及び目標

 サステナビリティ方針に基づき、ESG活動を推進しており、環境面においてはグループの電力使用量とCO2排出量の削減目標として、前期比3%削減を設定しております。目標達成のため太陽光発電設備の導入や自動化設備投資による生産性向上などに取り組んでおります。

上記「(2)戦略」において策定した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(当事業年度)

係長以上に占める女性労働者の割合

2026年3月31日まで10.0

12.5

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 事業環境に係るもの

当社グループの主力製品である片面・両面プリント配線板は、自動車や家電製品をはじめ、事務機、電子部品・電子機器等の幅広い用途に使用されています。これら最終製品は、景気動向のほか、それぞれの業界の状況によって生産台数が変動するため、需要が減少した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこのような状況に対応するため、幅広い用途向けに販売するとともに、同じ用途向けであっても特定の顧客に依存しないよう、一社当たりの販売シェアは10%を目安にするなど複数の販売先を確保することで、需要変動によるリスクの軽減に努めております。

 

(2) グローバルな事業活動に係るもの

当社グループの特徴は、主に自動車や家電製品関連の電子機器メーカーであるユーザーの需要動向に対応して、国内外に生産拠点を有し、ユーザー各社に対しグローバルな体制でタイムリーな製品提供が可能な点にあります。

生産拠点が分散しているため、リスクも分散される反面、各国及びグローバルでの政治情勢、税制、雇用環境やサプライチェーン体制、電力等インフラ、賃金の上昇、衛生及び治安情勢の変化等、海外での事業展開に伴うリスクがあります。

現時点でこれらを合理的に予測することはできないため、万一発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため、当社は、グループ各社との密な情報共有を行うと共に、各国の外部コンサルタント等からの情報収集を通じ、その予防や回避に努めております。

 

(3) 主材料価格の変動に係るもの

当社グループの主力製品である片面・両面プリント配線板は、材料仕入先、製品販売先いずれも大手企業中心であり、厳しいコスト対応が要求されます。原油、ガラス、銅、パルプ等基礎素材価格の上昇は、当社グループが使う主材料価格に敏感に反映される一方、製品販売先である自動車や家電製品関連の電子機器メーカー等は、最終製品価格の低減に努めていることから、プリント配線板は安定価格を要求されており、主材料価格が急激に上昇した場合は上昇分を販売価格に即座に転嫁できないことがあります。この場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、これらに対応するため、基礎素材価格の変動をグループ各社間で情報共有し、販売価格の適正化を速めるとともに、共同購入により価格交渉力の強化に努めております。

 

(4) 為替レートの変動に係るもの

当社グループは、国内外で事業を展開しており、主にグループ間の取引に関して外貨建の取引があります。また、国内で生産する片面プリント配線板の主材料は輸入の割合が高く、為替相場が大きく変動した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はこれらに対応するため「デリバティブ取引のリスク管理規程」により為替予約等によるリスクヘッジに努めております。

 

(5) 新製品の立上げに係るもの

当社グループは、環境配慮の総合的な活動である「Kyosha-ECOMAP」の理念のもと、ものづくりにおける環境負荷の低減活動並びに、電気自動車(大電流)、新エネルギー(太陽光、風力)、LED光源といった環境配慮型商品へ供給される環境対応技術を活かしたプリント配線板製品群の研究開発を行っており、早期市場導入を図っております。

これら新製品の立上げが計画どおり進展しなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため企業間連携を活用した開発スピードの向上や、市場導入の早期化に努めております。

 

 

(6) 自然災害・事故等に係るもの

当社グループの製造拠点は、国内5拠点と海外4拠点に分散しております。

大地震等の自然災害や火災等の突発的な事故が発生した場合には、生産設備の損傷が発生し、復旧に多大な時間と費用が発生する可能性があります。また、感染症等の世界的な蔓延により当社グループ及び取引先の操業中断が発生するなど、サプライチェーンが影響を受ける可能性があります。これらを合理的に予測することはできないため、万一発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため各拠点では、安全衛生活動を実施し、BCP(事業継続計画)を策定し、バックアップ体制を整えるとともに、各種保険にも加入することでリスクの軽減に努めております。

 

(7) 品質に係るもの

当社グループは、「品質第一」の品質方針を掲げ製品の品質向上に取組んでおります。一方で、顧客の品質要求や技術レベルは高度化が続いており、製品の使用環境も多様化していることから、顧客の使用時に予期せぬ品質問題が発生する可能性があります。このような品質問題が発生した場合には、製品の再生産、返品や交換、受注の喪失等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社はこのような問題の未然防止の取組みとして、顧客と品質目標を共有した改善活動及び受注・量産時のデザインレビューの強化を行っております。また、検査項目の見直しや検査体制の強化を通じて品質管理の強化を図るとともに、各種保険等にも加入することで、リスクの軽減に努めております。

 

(8) 情報セキュリティに係るもの

当社グループは、生産・販売活動においてコンピュータシステム及び通信ネットワークを利用しております。このため通信ネットワークの障害やコンピュータ機器の故障、ソフトウェアの不具合等による機能停止、また、不正アクセス等によるデータ改ざん、破壊、情報漏洩などの不測の事態が発生し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社はこのような事態に対処するため、情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティに関する規程に基づき、コンピュータ機器の管理や不正アクセスを未然に防止するための社員教育を実施し、情報セキュリティに係るリスクの軽減に努めております。

 

(9) 損失の危機管理に係るもの

当社グループの損失の危険の管理に関しては、組織規程、職務権限規程、関係会社管理規程等に従った、当社の各部署及び担当執行役員、並びにグループ会社における自主的な管理を基礎とし、グループ横断的なリスク管理を強化してまいりました。しかしながら、取引先の急激な信用悪化など、従来想定していなかった世界的リスクの発生により、損失や引当金の計上が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、これらに対応するため、グループ各社との横断的なリスク管理に関する諸規程等について、リスクの再評価、対応策の構築、及び日常業務における管理方法の明確化などに加え、取引先の与信管理の強化及び生産委託先から自社グループへの生産移行を進め、リスク管理体制の更なる強化に努めております。

 

(10) 人材の確保、育成に係るもの

当社グループの成長には、人材の育成と確保が不可欠であり、重要な経営課題の一つとして認識しておりますが、少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少により、計画通りに人材育成と確保が出来なかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはこのような状況に対応するため、経営理念である「人間尊重の精神で人材の育成に力を注ぎ明日を担う企業を創る」のもと、人材の育成と確保を進めるとともに、デジタル技術(DⅩ)の活用や生産の自動化等により業務の効率化を加速させることで、これらリスクの軽減に努めております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の当社グループが属するプリント配線板業界は、国内では自動車メーカーの生産は第4四半期に入り回復傾向にあるものの、これまでの生産・出荷停止の影響により需要は伸び悩みました。

海外は主に北米市場が堅調に推移し、ASEANにおいても中国からの生産移管により回復が見られました。一方で、中国経済の停滞や米国の政策動向による影響、不安定な為替相場、エネルギー価格の高止まりなどの物価上昇から、依然として先行きは不透明な状況にあります。

このような環境の中、当社グループの国内の状況は、実装関連事業では、産業機器向けの受注が好調により前年同期を上回りました。プリント配線板事業では、引き続き自動車関連分野の受注が低迷した結果、国内の売上高は前年同期を下回りました。

海外においては、中国とインドネシアで事務機分野の受注が回復し、ベトナムで引き続き北米向けの自動車関連分野の受注が好調に推移しました。また、円安の為替影響もあり、連結売上高は26,229百万円(前年同期比6.7%増 1,649百万円の増収)となりました。

利益面は、国内で自動車生産調整の影響と原材料及び製造経費等の高騰により減益となりましたが、海外では中国の自動化による省人化、生産性向上と付加価値の高い自動車向け金属基板の増加による大幅増益、インドネシアは増収による増益となりました。

 これらの結果、営業利益は1,277百万円(前年同期比18.2%増 196百万円の増益)、経常利益は992百万円(前年同期比8.9%増 81百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は614百万円(前年同期比1.6%増 9百万円の増益)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(日本)

実装関連事業は、産業機器、航空機向けの受注が堅調に推移したものの、プリント配線板事業では、自動車関連分 野の受注が自動車メーカーの生産減の影響で低迷した結果、売上高は10,155百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比3.6%減 374百万円の減収)、セグメント損失(営業損失)は、プリント配線板事業の減収により、218百万円(前年同期比 415百万円の減益)となりました。

 

(中国)

プリント配線板事業は、事務機分野と自動車関連分野の受注が回復した結果、売上高は14,359百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比9.8%増 1,285百万円の増収)、セグメント利益(営業利益)は、受注の回復及びコスト改善や付加価値の高い自動車向け金属基板が好調に推移した結果、1,179百万円(前年同期比68.9%増 480百万円の増益)となりました。

 

(インドネシア)

プリント配線板事業は、自動車関連分野と事務機分野の受注が回復した結果、売上高は2,830百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比33.0%増 702百万円の増収)、セグメント利益(営業利益)は、増収により6百万円(前年同期比 86百万円の増益)となりました。

 

(メキシコ)

実装治具事業において受注が増加した結果、売上高は158百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比20.9%増 27百万円の増収)、セグメント損失(営業損失)は、人件費等経費の増加により7百万円(前年同期比 11百万円の減益)となりました。

 

(ベトナム)

プリント配線板事業は、北米向けの自動車関連分野の受注が引き続き好調に推移した結果、売上高は4,297百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比11.8%増 452百万円の増収)、セグメント利益(営業利益)は、増収の結果279百万円(前年同期比3.9%増 10百万円の増益)となりました。

 

また、財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は24,754百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,414百万円増加しました。当連結会計年度末の負債合計は14,654百万円となり、前連結会計年度末に比べ224百万円減少しました。当連結会計年度末の純資産合計は10,100百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,638百万円増加しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度より533百万円増加し、5,273百万円となりました。各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動による資金の増加額は、1,666百万円(前年同期は2,377百万円の増加)となりました。これは主に減価償却費1,115百万円、税金等調整前当期純利益960百万円、仕入債務の減少額775百万円、売上債権の減少額584百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動による資金の減少額は、736百万円(前年同期は769百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出677百万円、無形固定資産の取得による支出54百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動による資金の減少額は、761百万円(前年同期は2,236百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出615百万円、長期借入れによる収入228百万円、短期借入金の純減額170百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 (a)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日 本

9,172

△2.7

中 国

8,153

18.4

インドネシア

2,097

35.6

メキシコ

131

4.5

ベトナム

4,322

9.7

合計

23,876

8.9

 

(注) 1.上記金額は、販売価格で表示しております。

2.上記金額は、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

 (b)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

日 本

10,163

△0.8

1,189

0.7

中 国

14,193

15.9

949

△14.9

インドネシア

2,822

29.0

355

△2.3

メキシコ

160

42.7

3

80.9

ベトナム

4,537

22.4

960

33.4

合計

31,877

11.9

3,458

2.3

 

(注) 1.上記金額は、販売価格で表示しております。

2.上記金額は、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

 (c)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日 本

10,155

△3.6

中 国

14,359

9.8

インドネシア

2,830

33.0

メキシコ

158

20.9

ベトナム

4,297

11.8

合計

31,801

7.0

 

(注) 上記金額は、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループは、5か年の中期経営計画を策定し、中期経営ビジョンの実現のため、基本戦略と6つの重点戦略の推進により、最終年度の2026年3月期に売上高270億円、営業利益16億円、営業利益率5.9%、ROE(自己資本利益率)8%の達成を目標としております。

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、26,229百万円(前年同期比6.7%増 1,649百万円の増収)となりました。プリント配線板事業において、主力の自動車関連分野の受注が国内で低迷しましたが、海外ではベトナムで北米向けが好調に推移し、中国とインドネシアで事務機分野の受注が回復したことで、前年同期を上回りました。

実装関連事業においては、産業機器向けの受注が好調に推移した結果、売上高は円安の為替影響もあり当初の業績予想(25,000百万円)を上回りました。

なお、セグメント別の売上高につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(営業利益及び営業利益率)

 当連結会計年度における営業利益は、中国での自動化による省人化、生産性向上と付加価値の高い自動車向け金属基板の増加とインドネシアの増収による増益の結果、1,277百万円(前年同期比18.2%増 196百万円の増益)、営業利益率は4.9%(前年同期比0.5%増)となり、営業利益は当初の業績予想(1,300百万円)に近い数値となりました。

(ROE(自己資本利益率))

当連結会計年度におけるROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が増益となりましたが円安の為替の影響により自己資本が増加したことで6.8%(前年同期比1.0%減)となりました。

  引き続き経営目標達成に向け、各経営指標の向上に取組んでまいります。

 

財政状態の分析

(総資産)

当連結会計期間末における総資産は、主に現金及び預金の増加536百万円、受取手形及び売掛金の増加302百万円、電子記録債権の減少406百万円、原材料及び貯蔵品の増加250百万円、建設仮勘定の増加390百万円等により、24,754百万円(前連結会計年度末比1,414百万円の増加)となりました。

(負債)

当連結会計期間末における負債は、主に支払手形及び買掛金の増加96百万円、長期借入金の減少333百万円等により、14,654百万円(前連結会計年度末比224百万円の減少)となりました。

(純資産)

当連結会計期間末における純資産は、主に利益剰余金の増加469百万円、為替換算調整勘定の増加970百万円等により、10,100百万円(前連結会計年度末比1,638百万円の増加)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

(財務戦略の基本方針)

当社グループの財務戦略の基本方針は、「持続的成長に向けた集中と選択による投資」、「自己資本の強化」、「持続的、積極的な株主還元」としており、成長の実現と資金効率のバランスを考慮したうえで、企業価値の向上に努めております。

引き続き、事業ポートフォリオ最適化により、将来の成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営を推進いたします。

(資金需要)

当社グループは、財務戦略の基本方針に則り、直接金融又は間接金融の多様な手段の中から、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により資金調達を行っております。

主な短期的資金需要は営業活動上の運転資金であり、長期的資金需要は将来の成長事業への設備投資を継続して見込んでおります。

資金運用につきましては、短期的な預金等に限定しており、内部留保金につきましても中長期的な経営戦略を推進するため、既存事業の充実と強化を目的とした投資とともに、新規事業の発掘や育成を行うための投資に活用してまいります。

当連結会計年度におきましては、営業活動として、主に減価償却費によるもの1,115百万円、投資活動として、主に国内における高付加価値な金属基板の新規立上げを目的とした設備投資を行った結果、有形固定資産の取得によるキャッシュ・フローの支出は677百万円、財務活動として、長期借入金の返済によるキャッシュ・フローの支出は615百万円となりました。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は82百万円であり、セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 (1) 日本

プリント配線板は、電子・電気機器の高機能化、小型軽量化やユーザーニーズの多様化に対応して、一層の高密度化、信頼性の向上と短納期化が要求されております。

当社は、商品開発部門及び工場の連携のもとに、環境配慮の総合的な活動である「Kyosha-ECOMAP」の理念のもと、ものづくりにおける環境負荷の低減活動並びに、電気自動車(大電流)、新エネルギー(太陽光、風力)、LED光源といった環境配慮型商品へ供給される環境対応技術を活かしたプリント配線板製品群の研究開発を行っております。またウェルビーイングを目指す社会への貢献に向けバイタルセンサーへの応用展開も目指しております。

 

 (2) 中国、インドネシア、メキシコ、ベトナム

該当事項はありません。