第2 【事業の状況】

 

(注)  当社グループは、主にプリント配線板及びこれに付随する電子部品等の製造販売をしており、国内においては、当社、三和電子株式会社が、海外においては中国をKyosha Hong Kong Company Limited、Guangzhou Kyosha Circuit Technology Co., Ltd.、Guangzhou Kyosha Trading Company、Kyosha North America, Inc.、Kyosha(Thailand)Co., Ltd.、Kyosha Malaysia Circuit Technology Sdn.Bhd.が、インドネシアをPT. Kyosha Indonesiaが、メキシコをKyosha de Mexico, S.A. de C.V.が、ベトナムをKyosha Vietnam Co., Ltd.が、それぞれ担当しております。各社はそれぞれ独立した経営単位であり、取り扱う製品について各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
 したがって、当社グループは、生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「中国」、「インドネシア」、「メキシコ」、及び「ベトナム」の5つを報告セグメントとしております。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社グループはグローバル市場において顧客満足を第一とし、「地に足のついた経営」を進め持続した成長を目指すことを基本とし、そのために以下を経営基本方針といたしております。

①すべての事業活動において「安全の確保、法令の遵守、環境保全」を最優先する。

②顧客のニーズに応え、新技術、新工法の開発と品質向上にたゆまぬ努力を傾注する。

③選択と集中を進め、自社の強みを活かした分野に経営資源を集中する。

当社グループは、日本、中国、インドネシア、ベトナムの各生産拠点から、日本と同品質の製品を世界中へ供給することができ、特に、片面プリント配線板の分野においては世界最大の生産能力があるなど、同業他社に無い特徴を持っております。

 主力製品である片面・両面プリント配線板事業では、自動車関連や家電製品等の分野をはじめ、事務機、電子部品・電子機器など幅広い顧客向けに販売しております。また、実装や実装搬送治具の実装関連事業では、国内を中心に産業機器や航空機、通信機器向けに販売を行っており、今後はプリント配線板事業とともに事業の拡大を目指しております。

 

当社が属するプリント配線板業界の状況は、米国の関税政策による世界経済への影響や中国の景気減速、為替変動、中東情勢の緊迫化による原材料、エネルギー価格の急激な変動など、業績に影響を与える不確定な要素が多く、世界経済の先行きは依然不透明な状況にあります。

 このような状況の中、当社グループは10年後に目指す姿として長期ビジョン2036を策定し、その達成に向けた実行計画として、3年間の中期経営計画2029を2026年4月から新たにスタートいたしました。

 

(1)長期ビジョン2036は「印刷技術と熱対策技術を強みにお客様の製品開発から深く関わり新しい価値を生み出す挑戦企業であり続ける」を掲げ、京写グループの10年後に目指す姿を現したものです。京写の印刷技術と熱対策技術を活かし、PE技術(Printed Electronics)に取り組み、新たな製品開発を進め、環境負荷低減、低コスト化の市場ニーズやAIサーバー・EV・パワー半導体分野の放熱需要に対応します。更に設計・開発からリサイクルまでお客様に最適なソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に貢献することで、10年後の2036年3月期に売上高400億円、営業利益40億円、営業利益率10%、ROE10%の実現を目指しています。

 

(2)中期経営計画2029は、大きく変化する事業環境への対応と前中期経営計画の振り返りを踏まえ、「収益力強化 新規分野への挑戦で更なる成長に向けた事業基盤の確立」を経営ビジョンとして策定いたしました。2026年4月からの3年間を、既存事業における事業基盤強化と構造改革に取り組むとともに、今後の成長を支える金属基板、厚銅基板分野及びインド、欧州の新市場開拓に挑戦する期間と位置づけています。

 そのため最終年度2029年3月期の目標は、売上高280億円、営業利益20億円、営業利益率7%、ROE10%と利益を重視しています。

 

2026年4月からスタートする中期経営計画2029では、次の取り組みを基本戦略としております。

 

事業

戦略

KPI(重要業績評価指標)

項目

2029年

3月期目標

基盤

強化

既存

事業

片面板

市場トップシェアによる利益最大化

⇒新市場開拓、更なる生産技術の追求

インド、アセアン売上

年平均成長率

10%

実装関連

特定市場・用途の開発によるブランド確立

⇒パートナー連携、開発営業によるソリューションの提供

治具新用途

売上

3億円/年

構造

改革

両面板

構造改革による収益基盤の再構築

国内生産拠点の集約、ターゲット市場・用途の絞り込み

国内生産

移管進捗率

100%

成長

投資

新規

事業

金属・

厚銅基板

技術開発による成長事業の拡大

⇒生産技術力(印刷、加工)、材料メーカーとの連携

売上

年平均成長率

30%

経営基盤の強化

1人当たり

生産性

2026年3月

期比

15%UP

DX推進・ESG経営

(環境対応・人材育成の強化・ガバナンス/コンプライアンスの強化)

 

 

2029年3月期の目標達成のため、次の4つの事業別戦略とそれを支える経営基盤の強化の取り組みを策定しました。

 

①片面板事業戦略:市場トップシェアによる利益最大化

売上目標110億円(国内40億円、海外70億円)営業利益目標10億円

  販売面では、トップシェアを強みにグローバルでの日系顧客需要の取り込みによる売上拡大を図ります。国内では、蛍光灯廃止に伴うLED照明への切り替え需要を確実に取り込み、市場シェア向上を目指します。海外では、インド市場及び脱中国を背景としたアセアンでのOA機器や白物家電需要を開拓するとともに、非日系顧客開拓への再挑戦により販路拡大を行います。

  製造面では、九州工場の拡張投資に加え、中国工場で培った生産技術を各工場へ展開することで、更なる生産性向上を図ります。また、材料メーカーとのパートナーシップ構築により製品の安定供給を図ります。

技術面では、印刷技術を活かした片面複層基板の技術確立と機能基板の市場開拓を進める計画です。

 

②金属基板事業戦略:技術開発による成長事業の拡大

売上目標40億円(国内12億円、海外28億円)営業利益目標5億円

  販売面では、自動車用LEDヘッドライト需要の取り込みを続けるとともに、材料メーカーとの協業連携により、自動車電動化市場の拡大によるEVパワーユニットやパワー半導体、AIサーバー電源向け厚銅基板の拡販を図ります。

  製造面では、九州工場に金属基板専用生産ラインを導入し、生産能力の拡大を図ります。また、京都工場には厚銅基板生産ラインを導入し、量産体制を構築します。

 

③両面板事業戦略:構造改革による収益基盤の再構築

売上目標95億円(国内30億円、海外65億円)営業利益目標2億円

  販売面では、国内は工場最適化による自動車、家電市場の深掘りと医療やアミューズメント分野への参入による拡販を進めます。

製造面では、国内量産2工場を新潟工場に集約し、生産性の向上を図ります。

京都工場は技術商品、試作、少量多品種、治工具生産に移行することで、収益基盤の再構築を図ります。また、ベトナム工場は生産技術による新工法導入を推進し競争力強化を図るとともに、銅や薬品類の資源リサイクルシステム導入により、環境負荷低減と収益力向上の両立を目指します。

 

④実装関連事業戦略:特定市場・用途の開発によるブランド確立

売上目標30億円(治具12億円、実装18億円)営業利益目標3億円

  販売面では、半導体や医療分野など新用途の開拓を進めるとともに、治具製品のラインアップ強化を図ります。既存の実装関連市場については、開発段階から参画する提案型営業を推進し、顧客課題に応じたソリューション提案を強化します。また、基板・治具・実装のワンストップサービスの提供による拡販を進めます。

  製造面では、実装工場はAIを活用したスマートファクトリー化を進め、生産性の向上を図ります。治具工場では金属加工技術の追求により高精度・高付加価値製品への対応力を強化し、新用途開拓を進めます。

 

⑤経営基盤の強化の取り組み

  DXやAI活用、ロボット化を推進することで、業務効率化及び生産性向上を図ります。さらに各種データの見える化によりサプライチェーンの最適化など、経営判断の早期化を目指します。

また、全社員のDXリテラシーの向上に加え、デジタル人材の育成とESG経営への取り組みを強化することで、持続的成長を支える経営基盤の強化を進めます。

 

(3)中期経営計画の達成に向けて、次期につきましては、下記の年度方針を掲げ、重点課題に対処してまいります。

 

年度方針:変化を力に新たな価値を創る

  激動の時代において、新市場への展開や高付加価値製品の開発等、成長分野への挑戦やDX・AIの積極活用による生産性向上への取り組みを続け、新しい価値の創出を目指します。

 

重点課題:

①両面事業の再構築

②拠点再編による運営の効率化、グローバル事業の再加速

③将来の更なる成長に向けた新たな分野への挑戦

④DXと自動化による省人化推進、生産技術の強化

⑤次世代を見据えた人材の育成・確保

⑥健康経営の推進

⑦新規材料の標準化推進、活用加速

    を重点課題といたしまして対処していく所存であります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

当社グループのサステナビリティ方針は、経営理念、経営基本方針、行動規範に基づき事業活動を実践し、お客様、株主、投資家、従業員などすべてのステークホルダーとの信頼関係を構築することで、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指すとしております。

具体的には、環境に配慮した製品の提供やモノづくりを通して環境負荷の低減に取組み、人々の健康的な生活と地球環境の保全に貢献するとしております。

サステナビリティに関する取組みについては、常勤取締役で構成されるサステナビリティ推進委員会が設置する小委員会のコンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会、環境管理委員会、安全衛生統括委員会の4委員会にて審議、各種課題の報告とリスク及び機会への対応を行っております。

 小委員会での検討結果は、サステナビリティ推進委員会にて定期的(年2回)に報告する体制とし、適宜取締役会及び監査等委員会への報告を行っております。

(2)戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

当社グループは企業理念である「人間尊重の精神で人材の育成に力を注ぎ明日を担う企業を創る」のもと、人材が最も重要な経営資源であるとの認識にたち、人材育成を行っております。

 具体的には、階層別・職種別に実施される研修から、従業員の自発的なキャリア形成を支援する自己啓発プログラムを含め、体系的な教育体制を構築しております。

 また、性別、国籍、新卒、中途によらず、能力や成果、適性等により管理職への登用を行い、多様性の確保に取組んでおります。

 従業員の安全・健康確保の観点より、労働者災害、環境災害、交通事故、長期療養者等については、3か月毎にその実績を当社グループ内で共有し、社内環境の向上に努めております。

(3)リスク管理

当社グループは、リスク管理がサステナビリティの一分野であるとの認識のもと、常勤取締役で構成するサステナビリティ推進委員会を、全社的リスク管理機関と位置付けております。リスク管理の具体的な活動は、サステナビリティ推進委員会が設置する各小委員会が推進し、活動状況を取りまとめ、進捗と結果を定期及び適宜に報告することで共有し、管理体制の構築に努めております。

(4)指標及び目標

 サステナビリティ方針に基づき、ESG活動を推進しており、環境面においてはグループの電力使用量とCO2排出量の削減目標として、前期比3%削減を設定しております。目標達成のため太陽光発電設備の導入や自動化設備投資による生産性向上などに取り組んでおります。

上記「(2)戦略」において策定した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職(課長職以上)に占める女性労働者の割合

2031年3月31日まで7.0

3.8

 

(注) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 事業環境に係るもの

 当社グループの主力製品である片面・両面プリント配線板は、自動車や家電製品をはじめ、事務機、電子部品・電子機器等の幅広い用途に使用されています。これら最終製品は、景気動向のほか、それぞれの業界の状況によって生産台数が変動するため、需要が減少した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこのような状況に対応するため、幅広い用途向けに販売するとともに、同じ用途向けであっても特定の顧客に依存しないよう、1社当たりの販売シェアは10%を目安にするなど複数の販売先を確保することで、需要変動によるリスクの軽減に努めております。

 

(2) グローバルな事業活動に係るもの

当社グループの特徴は、主に自動車や家電製品関連の電子機器メーカーであるユーザーの需要動向に対応して、国内外に生産拠点を有し、ユーザー各社に対しグローバルな体制でタイムリーな製品提供が可能な点にあります。

生産拠点が分散しているため、リスクも分散される反面、各国及びグローバルでの政治情勢、税制、雇用環境やサプライチェーン体制、電力等インフラ、賃金の上昇、衛生及び治安情勢の変化等、海外での事業展開に伴うリスクがあります。

現時点でこれらを合理的に予測することはできないため、万一発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため、当社は、グループ各社との密な情報共有を行うと共に、各国の外部コンサルタント等からの情報収集を通じ、その予防や回避に努めております。

 

(3) 原材料価格の変動、調達に係るもの

当社グループの主力製品である片面・両面プリント配線板は、主材料仕入先、製品販売先いずれも大手企業中心であり、厳しいコスト対応が要求されます。原油、ガラス、銅、パルプ等基礎素材価格の上昇は、当社グループが使う主材料価格に敏感に反映される一方、製品販売先である自動車や家電製品関連の電子機器メーカー等は、最終製品価格の低減に努めていることから、プリント配線板は安定価格を要求されており、主材料価格が急激に上昇した場合は上昇分を販売価格に即座に転嫁できないことがあります。

また、中東地域における紛争により、エネルギー価格や物流費、原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱、調達先の供給制約等が発生する可能性があります。これらの影響が長期化または深刻化した場合には、当社グループの原材料調達や生産活動に支障を来たし、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、これらに対応するため、基礎素材価格の変動をグループ各社間で情報共有し、販売価格の適正化を速めるとともに、共同購入により価格交渉力の強化や調達先の複数化・代替調達先の確保を進めております。

 

(4) 為替レートの変動に係るもの

当社グループは、国内外で事業を展開しており、主にグループ間の取引に関して外貨建の取引があります。また、国内で生産する片面プリント配線板の主材料は輸入の割合が高く、為替相場が大きく変動した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はこれらに対応するため「デリバティブ取引のリスク管理規程」により為替予約等によるリスクヘッジに努めております。

 

(5) 新製品の立上げに係るもの

当社グループは、環境配慮の総合的な活動である「Kyosha-ECOMAP」の理念のもと、ものづくりにおける環境負荷の低減活動並びに、電気自動車(大電流)、新エネルギー(太陽光、風力)、LED光源といった環境配慮型商品へ供給される環境対応技術を活かしたプリント配線板製品群の研究開発を行っており、早期市場導入を図っております。

これら新製品の立上げが計画どおり進展しなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため企業間連携を活用した開発スピードの向上や、市場導入の早期化に努めております。

 

(6) 自然災害・事故等に係るもの

当社グループの製造拠点は、国内5拠点と海外3拠点に分散しております。

大地震等の自然災害や火災等の突発的な事故が発生した場合には、生産設備の損傷が発生し、復旧に多大な時間と費用が発生する可能性があります。また、感染症等の世界的な蔓延により当社グループ及び取引先の操業中断が発生するなど、サプライチェーンが影響を受ける可能性があります。これらを合理的に予測することはできないため、万一発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため各拠点では、安全衛生活動を実施し、BCP(事業継続計画)を策定し、バックアップ体制を整えるとともに、各種保険にも加入することでリスクの軽減に努めております。

 

(7) 品質に係るもの

当社グループは、「品質第一」の品質方針を掲げ製品の品質向上に取組んでおります。一方で、顧客の品質要求や技術レベルは高度化が続いており、製品の使用環境も多様化していることから、顧客の使用時に予期せぬ品質問題が発生する可能性があります。このような品質問題が発生した場合には、製品の再生産、返品や交換、受注の喪失等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社はこのような問題の未然防止の取組みとして、顧客と品質目標を共有した改善活動及び受注・量産時のデザインレビューの強化を行っております。また、検査項目の見直しや検査体制の強化を通じて品質管理の強化を図るとともに、各種保険等にも加入することでリスクの軽減に努めております。

 

(8) 情報セキュリティに係るもの

当社グループは、生産・販売活動においてコンピュータシステム及び通信ネットワークを利用しております。このため通信ネットワークの障害やコンピュータ機器の故障、ソフトウエアの不具合等による機能停止、また、不正アクセス等によるデータ改ざん、破壊、情報漏洩などの不測の事態が発生し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社はこのような事態に対処するため、情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティに関する規程に基づき、コンピュータ機器の管理や不正アクセスを未然に防止するための社員教育を実施し、情報セキュリティに係るリスクの軽減に努めております。

 

(9) 損失の危機管理に係るもの

当社グループの損失の危険の管理に関しては、組織規程、職務権限規程、関係会社管理規程等に従った、当社の各部署及び担当執行役員、並びにグループ会社における自主的な管理を基礎とし、グループ横断的なリスク管理を強化してまいりました。しかしながら、取引先の急激な信用悪化など、従来想定していなかった世界的リスクの発生により、損失や引当金の計上が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、これらに対応するため、グループ各社との横断的なリスク管理に関する諸規程等について、リスクの再評価、対応策の構築、及び日常業務における管理方法の明確化などに加え、取引先の与信管理の強化及び生産委託先から自社グループへの生産移行を進め、リスク管理体制の更なる強化に努めております。

 

(10) 人材の確保、育成に係るもの

当社グループの成長には、人材の育成と確保が不可欠であり、重要な経営課題の一つとして認識しておりますが、少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少により、計画通りに人材育成と確保が出来なかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはこのような状況に対応するため、経営理念である「人間尊重の精神で人材の育成に力を注ぎ明日を担う企業を創る」のもと、人材の育成と確保を進めるとともに、デジタル技術(DⅩ)の活用や生産の自動化等により業務の効率化を加速させることで、これらリスクの軽減に努めております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

  当連結会計年度の当社が属するプリント配線板業界は、国内では自動車の生産低迷が続いており、家電製品などの生産は増加したものの、需要は依然として足踏みが見られました。また、米国の関税政策による世界経済への影響、中国の景気減速、為替変動、中東情勢の緊迫化による原材料、エネルギー価格の急激な変動など、先行きは依然として不透明な状況にあります。

  このような環境の中、当社グループの国内の状況は、プリント配線板事業では、LED照明等の家電製品や電子部品向け等の金属基板の受注増加、自動車関連分野の新規受注により、前年同期を上回りました。実装関連事業は、AIサーバー向けの受注は増加したものの、産業機器向けの受注減少により、前年同期を下回りました。これらの結果、国内の売上高はプリント配線板事業の増収により、前年同期を上回りました。

  海外においては、LED照明、エアコン等の家電製品や自動車向け付加価値の高い金属基板の受注は増加したものの、自動車向け全体の受注が減少した結果、売上高は、前年同期を下回りました。これらの結果、連結売上高は24,697百万円(前年同期比5.8%減 1,532百万円の減収)となりました。

  利益面は、国内で金属基板の新規量産立上げに伴う費用増加、原材料及び製造経費等の高騰に対し、継続して販売価格適正化やコスト改善等に取り組んだ結果、営業損失が縮小しました。

 海外では減収の影響とインドネシアで生産拡大に向けた設備導入コストの増加等により減益となりました。

 これらの結果、営業利益は825百万円(前年同期比35.4%減 451百万円の減益)、経常利益は547百万円(前年同期比44.9%減 445百万円の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は78百万円(前年同期比87.3%減 536百万円の減益)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(日本)

プリント配線板事業は、LED照明等の家電製品、電子部品向け等の金属基板の受注増加、自動車関連分野の新規受注により、前年同期を上回りました。実装関連事業は、AIサーバー向けの受注は増加したものの、産業機器向けの受注減少により、前年同期を下回りました。これらの結果、売上高はプリント配線板事業の増収により10,672百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比5.1%増 517百万円の増収)、セグメント損失(営業損失)は、金属基板の新規量産立上げに伴う費用増加、原材料及び製造経費等の高騰に対し、継続して販売価格適正化やコスト改善等に取り組んだ結果、39百万円(前年同期比 178百万円の増益)となりました。

 

(中国)

プリント配線板事業は、LED照明等の家電製品や自動車向け付加価値の高い金属基板の受注は増加したものの、アセアン向けの自動車関連と中国で事務機分野等の受注が減少した結果、売上高は12,634百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比12.0%減 1,724百万円の減収)、セグメント利益(営業利益)は、付加価値の高い自動車向け金属基板は好調に推移したものの、減収の影響により、862百万円(前年同期比26.9%減 317百万円の減益)となりました。

 

(インドネシア)

プリント配線板事業は、増産に向けた設備増強のための稼働調整の影響により、売上高は2,761百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比2.5%減 69百万円の減収)、セグメント損失(営業損失)は、減収や設備導入コストの増加等により、162百万円(前年同期比 168百万円の減益)となりました。

 

(メキシコ)

実装治具事業の受注減の影響により、売上高は135百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比15.0%減 23百万円の減収)、セグメント損失(営業損失)は、プリント配線板事業の売上増加により6百万円(前年同期比 1百万円の増益)となりました。

 

(ベトナム)

プリント配線板事業は、インド向けエアコンの新規受注により家電製品分野は増加したものの、アセアンと北米向けの自動車関連分野の受注が減少した結果、売上高は3,909百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比9.0%減 387百万円の減収)、セグメント利益(営業利益)は、減収の影響により、118百万円(前年同期比57.7%減 161百万円の減益)となりました。

 

また、財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は24,961百万円となり、前連結会計年度末に比べ207百万円増加しました。当連結会計年度末の負債合計は14,823百万円となり、前連結会計年度末に比べ169百万円増加しました。当連結会計年度末の純資産合計は10,137百万円となり、前連結会計年度末に比べ37百万円増加しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度より261百万円増加し、5,535百万円となりました。各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動による資金の増加額は、1,477百万円(前年同期は1,666百万円の増加)となりました。これは主に減価償却費1,150百万円、税金等調整前当期純利益738百万円、売上債権の減少額343百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動による資金の減少額は、571百万円(前年同期は736百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出895百万円、投資有価証券の売却による収入370百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少額は、660百万円(前年同期は761百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出663百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 (a)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日 本

8,885

△3.1

中 国

7,790

△4.5

インドネシア

2,002

△4.5

メキシコ

132

0.7

ベトナム

3,887

△10.1

合計

22,698

△4.9

 

(注) 1.上記金額は、販売価格で表示しております。

2.上記金額は、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

 (b)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

日 本

10,935

7.6

1,452

22.1

中 国

13,016

△8.3

1,331

40.2

インドネシア

2,946

4.4

540

52.0

メキシコ

135

△15.3

3

22.6

ベトナム

3,713

△18.2

764

△20.4

合計

30,747

△3.5

4,093

18.4

 

(注) 1.上記金額は、販売価格で表示しております。

2.上記金額は、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

 (c)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日 本

10,672

5.1

中 国

12,634

△12.0

インドネシア

2,761

△2.5

メキシコ

135

△15.0

ベトナム

3,909

△9.0

合計

30,112

△5.3

 

(注) 上記金額は、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループは、2026年3月期を最終年度とする5年の中期経営計画を策定し、基本戦略と6つの重点戦略の推進により、当初売上高300億円、営業利益16億円、営業利益率5.3%、ROE(自己資本利益率)8%の達成を目標としてきました。

(売上高)

 中期経営計画の最終年度の売上目標については、国内の自動車関連分野の減産や中国の景気停滞の影響から期初に270億円に見直しをしておりましたが、当連結会計年度の連結売上高は、国内外での自動車関連分野の低迷の結果、24,697百万円(前年同期比5.8%減 1,532百万円の減収)となり、目標未達となりました。

 なお、プリント配線板事業や実装関連事業、セグメント別の状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(営業利益及び営業利益率)

 当連結会計年度における営業利益は、売上の減少に加え、原材料、製造経費等の高騰、国内での金属基板の立上げ、インドネシアで生産拡大に向けた設備導入コストの増加、さらにベトナムでの競争激化により、825百万円(前年同期比35.4%減 451百万円の減益)、営業利益率3.3%(前年同期比1.6%低下)となり、金額、利益率ともに目標未達となりました。

(ROE(自己資本利益率))

 当連結会計年度におけるROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が個別財務諸表において、繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等調整額の計上により、減益となった影響により0.8%(前年同期比6.0%低下)となりました。

 当社グループは、新たに2026年4月より3年間の中期経営計画2029を策定し、大きく変化する事業環境への対応と前中期経営計画の振り返りを踏まえ、既存事業の基板強化と構造改革に取り組みます。また、今後の成長を支える金属基板、厚銅基板分野およびインド、欧州の新市場開拓に挑戦することで、2029年3月期に売上高280億円、営業利益20億円、営業利益率7%、ROE10%、配当性向30%の目標達成を目指してまいります。

 

財政状態の分析

(総資産)

当連結会計年度末における総資産は、主に現金及び預金の増加265百万円、受取手形及び売掛金の減少267百万円、原材料及び貯蔵品の増加464百万円、建設仮勘定の減少394百万円、投資有価証券の増加336百万円等により、24,961百万円(前連結会計年度末比207百万円の増加)となりました。

(負債)

当連結会計年度末における負債は、主に短期借入金の増加242百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加348百万円、長期借入金の減少939百万円、繰延税金負債の増加489百万円等により、14,823百万円(前連結会計年度末比169百万円の増加)となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、主にその他有価証券評価差額金の増加300百万円、繰延ヘッジ損益の減少161百万円、為替換算調整勘定の減少105百万円等により、10,137百万円(前連結会計年度末比37百万円の増加)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

 当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料のほか、製造人件費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備資金需要の主なものは、構造改革投資、基盤強化投資、成長投資とし、重要性、緊急性を勘案し計画的に実施しております。

(資金調達)

 当社グループの運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入により資金調達を行うこととしており、設備資金につきましては、直接金融又は間接金融の多様な手段の中から、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により資金調達を行う方針であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は62百万円であり、セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 (1) 日本

プリント配線板は、電子・電気機器の高機能化、小型軽量化やユーザーニーズの多様化に対応して、一層の高密度化、信頼性の向上と短納期化が要求されております。

当社は、商品開発部門及び工場の連携のもとに、環境配慮の総合的な活動である「Kyosha-ECOMAP」の理念のもと、ものづくりにおける環境負荷の低減活動並びに、電気自動車(大電流)、新エネルギー(太陽光、風力)、LED光源といった環境配慮型商品へ供給される環境対応技術を活かしたプリント配線板製品群の研究開発を行っております。

 

 (2) 中国、インドネシア、メキシコ、ベトナム

   該当事項はありません。