第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、景気は緩やかな回復基調にはあったものの、個人消費は力強さに欠け、総じて横ばいの状態が続きました。海外においては、欧州では個人消費を背景に回復の兆しが見られ、米国は雇用情勢の改善などにより企業業績の回復や個人消費の増加など、引き続き好調に推移いたしました。一方で、中国の成長鈍化と資源価格の下落などにより新興国全体の経済は低迷し、先行き不透明な状況となりました。

当社グループの属する電子部品業界におきましては、自動車向けや照明機器向けなどの需要の高い製品について受注は堅調に推移いたしましたが、スマートフォン、タブレットPCなどの多機能携帯端末などは、主要な市場で需要が一巡したことによる生産調整が見られたほか、民生機器やPC関連、液晶テレビなどの家電製品においては、一部の高級機種を除いては需要低迷が続き、弱含みで推移いたしました。

このような情勢の中で、当社グループの当連結会計年度の連結売上高は40,345百万円(前年同期比2,508百万円減、5.9%減)、営業利益は5,633百万円(前年同期比1,951百万円減、25.7%減)、経常利益は5,805百万円(前年同期比2,314百万円減、28.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,302百万円(前年同期比2,040百万円減、38.2%減)となりました。

当社グループの種類別区分ごとの業績でありますが、集積回路は、販売価格の低下および受注の伸び悩みにより、売上高は35,240百万円(前年同期比2,475百万円減、6.6%減)となりました。機能部品は、サーマルプリントヘッド、特定用途向けセンサー需要が一巡したため、売上高は5,095百万円(前年同期比30百万円減、0.6%減)となりました。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益、有形固定資産の減価償却等により当連結会計年度末には21,927百万円となり、前連結会計年度末より1,445百万円の増加(7.1%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は4,305百万円(前年同期の増加した資金は7,372百万円)となりました。主な資金増加の要因は、税金等調整前当期純利益4,753百万円、減価償却費2,044百万円等によるものであり、主な資金減少の要因は、仕入債務の減少額187百万円、法人税等の支払額3,327百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は1,739百万円(前年同期の減少した資金は2,215百万円)となりました。主な資金増加の要因は、投資有価証券の売却による収入307百万円等であり、主な資金減少の要因は、有形固定資産の取得による支出1,975百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は975百万円(前年同期の減少した資金は849百万円)となりました。資金増加の要因は、長短借入金の借入れによる収入1,640百万円であり、主な資金減少の要因は、長短借入金の返済による支出1,557百万円、社債の償還による支出300百万円、配当金の支払額707百万円等によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

事業部門

金額(千円)

前年同期比(%)

集積回路

35,153,488

93.5

機能部品

5,113,115

102.5

その他

合計

40,266,603

94.5

(注)1.金額は、販売価額によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注実績

事業部門

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

集積回路

35,170,290

93.3

549,348

95.3

機能部品

5,069,255

97.4

648,069

97.1

その他

9,869

73.1

合計

40,249,415

93.8

1,197,417

96.3

(注)1.金額は、販売価額によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

事業部門

金額(千円)

前年同期比(%)

集積回路

35,240,238

93.4

機能部品

5,095,179

99.4

その他

9,869

73.1

合計

40,345,288

94.1

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日亜化学工業㈱

17,553,748

41.0

17,024,936

42.2

ミツミ電機㈱

4,454,282

10.4

3,803,410

9.4

合計

22,008,031

51.4

20,828,347

51.6

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

景気が後退し需要が低迷する市場の中にあって、「革新と創造」を続け、常に前進する企業グループを目指して、以下の経営戦略により取り組んでまいります。

(1) 目まぐるしく変化する世界情勢を見据え、戦略的事業を展開する。

(2) 技術のシナジー効果により、新商品の創出と拡大につなげる。

(3) 世界規格を作れるような技術者を育てる。

(4) 主導性をとれる品質を「求明」する。

(5) 弛まぬ改善の提案・実行・継続で原価低減に徹する。

(6) あらゆる分野・業務に「意」を浸透させる。

(7) 環境を重んじ、社会に調和する企業となる。

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 当社製品について

当社グループの売上高はIC、モジュール、LED等の集積回路部門が約8割を占めており、その大部分がアセンブリ(組立、測定検査)事業であります。

アセンブリ事業は顧客との委託加工契約に基づいて当社グループがIC等の組立、測定検査を行うものであり、大手系列に属さない独立系のアセンブリ工場として、その供給先は約50数社に及んでおりますが、顧客の販売状況等により当社グループの受注が左右される可能性があります。

また、サーマルプリントヘッド、センサー等の機能部品部門の製品の大半は、顧客が販売する搭載機器(最終製品)の企画段階からプロジェクトに参画し、その搭載機器向けに当社グループが開発・設計したカスタム部品を納入するものであり、顧客の販売状況等により当社グループの受注が左右される可能性があります。

(2) 当業界を取り巻く状況

当社グループの属する電子部品業界は、技術革新による製品の陳腐化が激しいため、製品の世代交代が頻繁に発生します。この時期には需要に対して供給が追いつかず、逆にシェア獲得を目指して大型の設備投資が実行された後には供給過剰に陥る、ということが周期的に繰り返されてまいりました。このような半導体市況の変動が当社グループの業績に与える影響は顕著であります。

(3) 価格競争および為替の変動

当業界は生産拠点の海外進展および国際間競争の影響による価格競争がますます激しくなっており、今後も販売価格の下落傾向は続くものと思われます。また、当社グループの売上高に占める輸出比率は7.3%(平成28年3月期)と低いものの、当社グループ製品が搭載されるセット製品の輸出比率が年々増加していることもあり、海外市況および為替相場の変動が当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 原材料価格の変動

原材料価格の変動は全産業に影響を及ぼしておりますが、とりわけ当社グループの属する電子部品業界にあっては、金、銀、銅、すず、ニッケル、ルテニウム他、希少金属を含め金属類の価格上昇による影響が顕著であります。これらの価格変動が生産コストに影響を与え、その結果当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 品質問題

当社グループは品質マネジメントシステムの国際基準ISOに基づき、「お客様を満足させる品質を提供することで信頼を確保する」という基本方針のもと、品質管理活動に継続的に取り組んでおります。しかしながら、すべての製品において欠陥がなく、将来に製品の欠陥に起因する損害賠償請求等が発生しないという保証はなく、大規模な製品回収や損害賠償請求につながる欠陥の場合には、多額の費用発生や社会的信用の低下により、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 知的財産権

当社グループは独自技術について、必要に応じて出願、登録を行っておりますが、出願した技術内容等について権利を得られずに保護が受けられない場合があります。また、海外の地域により知的財産権の保護が十分でなく、第三者が類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。一方、新製品の開発にあたっては、公知技術等の調査を実施しておりますが、当社グループが認識し得ない知的財産権が存在し、他社の知的財産権を侵害しているとして第三者が申し立てをすることが発生しないという保証はなく、当該知的財産権の使用禁止もしくはロイヤリティーの支払発生、訴訟の提起がなされることによる費用負担の発生等により、製品の製造、販売に制約が生じるなど、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 電力問題

国内の電力事情により需給が逼迫し、計画停電などの供給電力量の低下がある場合には、生産に影響を及ぼす可能性が生じます。また、当社の操業地域の電力事情のみに留まらず、他地域の電力事情によっては当社製品の納入先における操業低下や当社製品に係る原材料の仕入先からの供給低下などが、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

当社は平成27年9月1日開催の取締役会において、株式会社テラプローブ(横浜市港北区)がその事業の一部を分割して新設する会社の発行済全株式を当社が取得することに関し、基本合意することを決議し、同社との間で基本契約書を締結いたしました。

(1) 新設分割設立会社の概要

名 称     青梅エレクトロニクス株式会社

所在地     東京都青梅市藤橋3-3-2

設立日     平成28年4月1日

事業内容    ウエハレベルパッケージに関する事業

(2) 株式取得の主な目的

当社は、集積回路を中心とする電子部品事業を展開いたしておりますが、グローバルな競争の激化とスマートフォン、タブレットなど携帯機器向け等の超小型電子部品のニーズがますます高まることを想定し、今回の決定をいたしました。本取引により当社においてウエハレベルパッケージの一貫生産が可能となり、業務の効率化と顧客サービスの向上が図れ、事業拡大に寄与するものと考えております。また、株式会社テラプローブと当社は、それぞれの強みを生かし、引き続きパートナーとして様々な顧客ニーズに対応してまいります。

(3) 株式取得の概要

株式取得日   平成28年4月1日

取得する株式数    180,000株

取得した議決権比率    100%

(4) 支払資金の調達および決済方法

平成28年4月1日付で自己資金により、決済しました。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、新製品の開発を行う製品開発部門と生産システムの開発・改善を行う設備開発部門が担当し、専門的な活動を行う一方、必要に応じてプロジェクトチームを編成し活動いたしております。

 多様化するエレクトロニクス業界において、技術革新と市場環境の変化に対応した製品開発、顧客の要求する品質、数量をタイムリーに低コストで提供するための新技術・新設備の開発を行うべく研究開発体制の強化を図り、また、研究開発の効率的推進による高水準技術の維持を重要課題として取り組んでおります。

 当連結会計年度における主要な研究開発活動といたしましては、集積回路における小型・薄型・軽量パッケージ、センサー、光学関連部品などの主力製品の開発、さらに次世代製品の開発に取り組み、機能部品における高速・省電力印字対応タイプのプリントヘッド等の製品化および新機種の開発に取り組み、さらに、最新の生産技術を用いた高性能設備の開発および既存生産設備の高効率化等に取り組んでおります。

 また、MEMS(微小電気機械システム)分野においては既にリリースしたナノピンセット(極小ピンセット)をはじめとするナノハンドリング装置(極小の操作装置)に加えて、それらの開発で取得した高度な微細化技術と新たに取得した光学技術の融合により、光の利用効率が高い2次元タイプの赤外分光イメージング装置(ハイパースペクトルカメラ)の開発に着手し、さらにそれらの技術を応用した製品の開発に取り組んでおります。

 その結果、当連結会計年度における研究開発費の金額は、1,190百万円となりました。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。当連結会計年度の財政状態および経営成績の分析は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

(1) 重要な会計方針および見積り

「重要な会計方針および見積り」につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

(2) 財政状態

当連結会計年度末の資産の部につきましては、流動資産は一定水準の経常利益を確保したことに伴い現金及び預金が増加し、前連結会計年度末比501百万円の増加となりました。一方、固定資産は退職給付債務の割引率が低下したことに伴い退職給付に係る資産から退職給付に係る負債に転じたことなどにより、前連結会計年度末比779百万円の減少となりました。負債の部につきましては、未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末比1,965百万円の減少となりました。これらの結果、純資産は37,808百万円で前連結会計年度末比1,687百万円の増加となり、自己資本比率は78.6%と3.9ポイントの増加となりました。

なお、借入金および社債の増減の内訳は次のとおりであります。

 

平成27年3月期

平成28年3月期

増減額

短期借入金

190,000

千円

190,000

千円

千円

1年内返済予定の長期借入金

359,192

 

459,188

 

99,996

 

長期借入金

902,020

 

884,501

 

△17,519

 

1年内償還予定の社債

300,000

 

 

△300,000

 

1,751,212

 

1,533,689

 

△217,523

 

 

(3) 経営成績

① 売上高

「1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。

② 売上原価

当連結会計年度における売上原価率は77.4%となり、前連結会計年度に比べ2.7ポイント悪化いたしました。これは主に、売上原価率の高い製品群の売上高が増加したことや新規投資による減価償却費の増加により固定費負担率が増加したことによるものであります。

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3,465百万円となり、前連結会計年度に比べ6.9%の増加となりました。これは主に、研究開発費の増加によるものであります。

④ 営業外収益

当連結会計年度における営業外収益は676百万円となり、前連結会計年度に比べ4.0%の減少となりました。これは主に、為替差益の減少240百万円によるものであります。

⑤ 営業外費用

当連結会計年度における営業外費用は503百万円となり、前連結会計年度に比べ197.6%の増加となりました。これは主に、為替差損の増加125百万円、寄付金293百万円などによるものであります。

⑥ 特別利益

当連結会計年度における特別利益は51百万円となりました。これは主に、投資有価証券売却益50百万円によるものであります。

⑦ 特別損失

当連結会計年度における特別損失は1,103百万円となりました。これは主に役員退職慰労引当金繰入額1,100百万円によるものであります。

(4) キャッシュ・フロー

当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より3,067百万円少ない4,305百万円のキャッシュを得ております。これは当連結会計年度において、売上債権の減少や有形固定資産等の減価償却費の増加等があったものの、税金等調整前当期純利益が3,326百万円減少したことに加え、法人税等の支払額が1,328百万円増加し、結果として営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度より減少しました。

また、投資活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より476百万円少ない1,739百万円のキャッシュの出金となっております。これは主に投資有価証券の売却による収入307百万円によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より126百万円多い975百万円のキャッシュの出金となっております。これは社債の償還、配当金の支払額の増加等によるものであります。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローの入金額が財務活動および投資活動によるキャッシュ・フローの出金額を上回ったため、当連結会計年度末は前連結会計年度末に比べ、1,445百万円のキャッシュの増加となりました。

なお、直近4事業年度における連結ベースの「自己資本比率」、「時価ベースの自己資本比率」、「債務償還年数」および「インタレスト・カバレッジ・レシオ」は次のとおりであります。

 

平成25年3月期

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

自己資本比率

75.1%

74.4%

74.7%

78.6%

時価ベースの
自己資本比率

49.3%

57.0%

126.3%

62.3%

債務償還年数

0.423年

0.573年

0.238年

0.356年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

156.3倍

185.3倍

390.4倍

241.8倍

(算式)自己資本比率=自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率=株式時価総額/総資産

債務償還年数=有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー/利払い