当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、安全・快適で豊かな社会の実現のために、つねにNEW WAYを探求し、新たな価値を提供してまいります。また、社員の雇用とその家族の生活の安定と向上、新たな需要の創出、社会への還元のために、正々堂々と事業を行い、適正な利益を追求してまいります。
そして情報板メーカーから道路交通安全を守る総合設備企業へ変容し、新たなモビリティー形態に対応するインフラ整備を促進することで、国内外の市場に挑戦し、ニーズを先取りした新システムで社会に貢献できる企業を目指してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、中長期的に成長できる強固な経営基盤を確立するために、ソリューション創出型企業への進化を目指しております。
情報装置事業においては、高速道路等の新規建設需要が減少し、維持更新需要にシフトしていく中で、インフラの維持・保全における施工現場ニーズに対応したシステムや近年甚大化する大規模災害に対応した防災・減災システムなど、持続可能なインフラ整備を推進するため、時代に即したシステムラインナップを拡充してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長を目指し、売上高220億円及び営業利益率10%以上、新システム販売比率10%以上、ROE10%以上、配当性向30%以上を経営指標として設定し、PBR1倍以上を目指して取り組んでおります。利益を原資として、他社との協業を加速し、事業領域の拡大を推進していくために、収益管理とコストダウンの徹底を図り目標の達成を目指してまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
政府はデフレ脱却を確かなものとするため、賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現するため、日本銀行と緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っております。
当社グループを取り巻く環境は、公共事業は底堅く推移していくと見込まれるものの、道路建設など新規投資が減少し、維持更新需要にシフトしつつあります。また、近年甚大化する自然災害に対する防災対策や、交通環境下の安全確保といった社会課題の解決が急務となっております。
当社グループは、情報板メーカーから道路交通を守る総合設備企業への変容を目指し、ソリューション創出型企業へ進化してまいります。
インフラ大規模修繕の現場におけるニーズを取り込んだ新システムの開発として「省力化・安全化ソリューション」、近年の気候変動による自然災害に対し、IoTセンサーなどを活用し、必要な情報を必要な人にタイムリーに提供できるシステムの開発として「防災・減災ソリューション」、機器を再利用することや環境負荷を低減するなど、持続可能なインフラ整備を推進する「DX・GXソリューション」、これら3つのソリューション分野の具現化、さらに、自動運転社会に対応したソリューションを探求するため、他社との連携、オープンイノベーションを活性化してまいります。
名古屋電機工業グループは、経営理念に基づき、事業活動を通じて安全・快適で、豊かな社会の実現につながる価値の提供を行い、企業価値の向上に努めております。当社グループが提供する製品やサービスは、交通事故や交通渋滞の抑止・低減、自然災害リスクの最小化や、屋外労働環境の改善と労働力不足の解消を支援するなど、社会課題の解決に高い親和性を有しております。一方、ステークホルダーの皆様からの期待や社会の要請に対し、グループ一体となって応えていくために、気候変動への対応は優先度の高い課題として認識しております。このことから、気候変動シナリオ分析に着手しております。
(ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
G20金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」から、最終報告書「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」が2017年6月に公表されました。これに従い、2022年度に気候変動シナリオ分析の試行を開始し、継続してTCFD提言への対応を進めております。
a.サステナビリティに関するガバナンス
重要な気候関連リスク・機会を特定し、適切にマネジメントするために、サステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会では、気候変動対応を含むサステナビリティに関連する重要なリスク・機会を特定し、それらの対応に係る年度計画を策定し、重点課題に関するグループ全体の取り組みを推進・サポートし、進捗をモニタリングするとともに、対応方針の立案と関連部署への展開を行っております。また、これらの結果は定期的に取締役会に報告され、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行っております。
サステナビリティ推進体制
b.戦略
当社は、TCFDの「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」に従い、気候変動シナリオ分析を試行いたしました。生産関連事項を中心に試行いたしましたが、今後は範囲を拡大し、気候変動による市場の変化への対応など調達や商品に関する対応策にも力を入れて分析を進めてまいります。
名古屋電機工業グループのリスクと事業インパクト
名古屋電機工業グループの事業機会
リスク・機会に対する当社グループの対応策の事例
- 防災・減災関連製品開発の促進
- 低消費電力製品の開発
- BCP対応の強化
- 生産拠点や生産設備の防災対策強化
- 省エネの推進
c.リスク管理
当社では、サステナビリティ委員会、リスク管理・コンプライアンス委員会や環境マネジメントシステム(ISO14001)で、上記b.に記載した気候関連のリスクを管理しております。リスク管理のプロセスは、リスクの識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けした上で、委員会等で回避・軽減・移転・保有などの対策を決定し、進捗管理を行います。重要リスクについては定期的に取締役会に報告しております。
d.指標及び目標
当社は気候変動の緩和のための長期的な指標として、2013年度対比で温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ1、2)を2030年度までに50%以上、2050年度までに100%削減することを目標としております。なお、目標につきましては、世界的なカーボンニュートラルに関する技術革新の動向等も勘案しながら、適宜見極めてまいります。
(イ)多様な人材が活躍できる風土と仕組みづくり
a.戦略
[人権の尊重]
当社グループは、すべてのステークホルダーと良好な関係を築きながら企業活動を行うために、「人権の尊重」は欠くことのできない企業経営の基本であると考えております。そのため、人権意識の啓発・向上に努めるとともに、「リスク管理・コンプライアンス行動指針」、「ハラスメントの防止に関する規程」並びに「就業規則」において人権尊重をうたい、出生、国籍、人種、民族、信条、宗教、性別、年齢、身体、趣味、学歴などに基づく非合理なあらゆる差別を一切禁止しております。
また、暴力、罵声、誹謗・中傷、威迫による業務の強制、いじめやいやがらせによる人権侵害行為についても決して容認しないことを「リスク管理・コンプライアンス行動指針」で明記しております。さらに、当社では「ハラスメントの防止に関する規程」を定め、セクシャルハラスメント・マタニティハラスメント・パワーハラスメントを容認しない方針及び防止管理体制を全役職員に周知しております。
[人材育成と多様性の確保]
当社グループは、これまで主として「道路情報板メーカー」のドメインで事業を展開してまいりましたが、中期経営計画「N-PLAN2026」において、ドメインを拡大させ、「道路交通安全を守る総合設備企業」に変容する旨を宣言しました。これは、従来からの「優れた技術に立脚したものづくり」に加え、当社グループがもつあらゆるスキル、ノウハウや経験を活用した新発想をもって、理想とする豊かな社会づくりを企画し、社会とともに発展する企業となる決意を表明したものです。メインテーマは「理想をかなえる、に ひたむき。」としました。
ビジネスモデルを大きく変化させ、持続的成長を図るためには、人材育成やIT関連投資の強化を通じた生産性の向上などによる体制強化が必要です。当社グループは、女性活躍と多様な働き方の包摂を重要なテーマの一つとして位置づけ、キャリア形成や就業環境の改善に取り組んでおります。また、働き方改革や健康経営の実践などを通じ、当社で働く人の体と心の健康への配慮にも注力しております。さらに、新たな事業領域の獲得のため、イノベーションを生み出す土壌づくりに取り組み、従業員に自由なアイデアを出しやすい場を提供しております。こうした取り組みにより、戦略的なイノベーションを実現し、競争優位性を維持しております。
|
リスクと機会(●リスク、○機会) |
主な取り組み内容 |
|
● 労働人口減少および採用市況の変化に伴う採用競争力の低下 |
・女性活躍と多様な働き方の包摂 ・当社で働く人の体と心の健康への配慮 ・イノベーションを生み出す土壌づくり |
|
● 多様な人材不足による競争力の低下 |
|
|
○ モチベーション向上による企業成長 |
|
|
○ イノベーションが起きやすい環境の醸成 |
|
|
○ 優秀な人材確保、定着化を促進 |
b.指標及び目標
a.で記載したリスクと機会、及び主な取り組み内容を踏まえ、2030年度までに達成すべき指標を以下のとおり定めました。
女性活躍と多様な働き方の包摂
当社が携わる道路や河川をはじめとする社会インフラは性別等を問わず、全ての人が平等に利用するものである一方、製造業であり建設業でもある当社は、歴史的に男性が事業活動を主導してきた実態があります。そのため、男性が支配的な職場文化が根付いており、女性が参画しにくい環境が依然として存在していることを認識しております。職場におけるダイバーシティ・インクルージョンの重要性が増す中、また、利用者の立場に立った商品・サービス提供への意識を高めることの重要性にも着目し、性別を問わず働きやすい環境を整えるための取り組みを行っております。
|
KPI |
|
2024年度実績 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
具体的な施策例:
- 主任、管理職への計画的な育成や、登用の推進
- 育児のための諸制度に関する社内周知
- 「子ども参観日」の実施
- 子育て両立支援の取り組み
半日単位、時間単位の有給休暇制度の実施
配偶者が出産する際の特別休暇の付与
小学校3年生までの短時間勤務制度
在宅勤務、フレックスタイム制度の実施
- アンコンシャス・バイアスを取り除くための社内研修の実施
社員の体と心の健康への配慮
経営理念のもとに社会に貢献できる製品づくりをスローガンに掲げ、労働安全衛生に配慮した企業活動に取り組んでおります。社会のさらなる発展に貢献していくためには、労働環境の拡充や働き方改革の推進を通じて、働きがいを向上させることが重要です。その為には一人ひとりが安全かつ健康でいきいきと働き、充実した生活を送ることが大切だと考えております。このような認識のもと安全安心な労働環境の整備と、当社で働く人の活力向上に資する取り組みを行っております。
|
KPI |
|
2024年度実績 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
人間ドック受診率および二次健診受診率については、2030年度の目標をそれぞれ20.0%、30.0%に設定しておりましたが、2024年度時点でこれらの目標を達成したことから、新たに60.0%を2030年度の目標値として見直しました。今後も健康経営の推進を通じて、より心身ともに健やかに働ける環境の実現に取り組んでまいります。
具体的な施策例:
- 標準化やDX化推進による作業効率の向上
- 適切な労務管理
有給休暇の取得促進
時間外勤務の抑制
- 補助金支給による人間ドック受診支援
- 二次健診促進
- 脱たばこへの支援
イノベーションを生み出す土壌づくり
市場環境やニーズの変化に対応し、将来の成長を促すためには、組織の硬直化を防ぐ企業文化の醸成に取り組むとともに、若手がその力を発揮することができる環境を整えることが重要であると考えております。そのため、組織全体の柔軟性と対応力を高め、持続的なイノベーションを実現するための基盤作りに取り組んでいます。
施策例:
- 豊富な社内外教育・研修の機会の提供
- NEW WAYを尊重する人事評価制度への見直し
- 社内コミュニケーション活動の支援
- オフィス環境の整備
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) リスク管理体制
当社グループは、経営に重大な影響を及ぼすリスクに対して、方針および重要事項の決定を担うとともに、適切なリスク管理体制の構築と維持を指示する最高機関としてリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、グループ全体のリスク情報を一元管理することで日常よりリスクの低減活動に取り組んでおります。
これらの活動状況については、隔月ごとに開催するリスク管理・コンプライアンス委員会に報告され、リスクの状況及び対策の有効性についての評価を実施し、その結果を取締役会に報告しております。
(2) 主要な事業活動の前提となる事項について
当社グループが営む情報装置事業は、建設業許可が必要であり、当社において次のとおり建設業許可を受けております。
・特定建設業許可
電気工事業、電気通信工事業
・一般建設業許可
とび・土木工事業、鋼構造物工事業、機械器具設置工事業、消防設備工事業
これらの建設業許可は5年ごとの更新が義務付けられており、本書提出日現在の許可の有効期限はいずれも2025年8月であります。
これらの建設業許可は、建設業法第8条及び同法第17条に欠格要件が規定されており、当該要件に抵触した場合、許可等の取消し、又は期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命じられる可能性があります。また、建設業法第29条に建設業許可の取消し、第28条において業務停止等の処分の要件が規定されており、当該要件に抵触した場合には、許可の取消しまたは期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命じられる可能性があります。
当社には、現時点において許可の取消しまたは業務の停止等の事由となる事実はないと認識しておりますが、当該許可の取消しまたは業務の停止等を命じられた場合には、社会的信頼の毀損や契約破棄等により当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) リスクの分類
|
分類 |
内容 |
発生の可能性 |
影響度 |
|
コンプライアンスリスク |
①入札制度 |
中 |
大 |
|
経営環境リスク |
②受注競争 |
中 |
大 |
|
|
③官公庁の依存度 |
中 |
大 |
|
|
④物資不足 |
中 |
大 |
|
|
⑤売上時期 |
高 |
中 |
|
|
⑥企業買収 |
低 |
大 |
|
人材リスク |
⑦人材確保 |
低 |
中 |
|
災害リスク |
⑧自然災害 |
中 |
大 |
|
品質リスク |
⑨賠償責任 |
低 |
大 |
|
財務リスク |
⑩与信管理 |
低 |
中 |
|
|
⑪資産管理 |
中 |
中 |
|
情報リスク |
⑫情報セキュリティ |
中 |
大 |
①入札制度に関する影響について
情報装置事業におけるエンドユーザーは道路管理者(国土交通省、各高速道路会社、地方公共団体等)が中心であり、官公庁が事業主となる公共事業への依存度が高くなっております。そのため、これらの販売については各事業体が実施する入札に応募し、落札することが前提条件となっております。これら入札手続きにおける書類の不備など何らかの不手際があった場合は、営業停止や指名停止の処分が科せられることがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②受注競争に関する影響について
当社グループは情報装置事業のパイオニアとして独自技術を確保・維持しており、特許等も保有しております。今後更なる技術力向上とコスト競争力強化に努めてまいりますが、今後、類似製品の競合による競争の激化や入札制度に予期せぬ変更が生じ、入札価格が著しく下落した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③政府の道路整備計画や財政政策等の影響について
情報装置事業におけるエンドユーザーは道路管理者(国土交通省、各高速道路会社、地方公共団体等)が中心であり、官公庁が事業主となる公共事業への依存度が高くなっております。そのため、政府の道路整備方針の転換や整備期間の延期、財政政策など当社ではコントロール出来ない外部環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループではこのようなリスクを回避するため、新規市場の開拓や新製品の開発、新規事業の創出により官公庁への依存度を低減させることに取り組んでおりますが、これら活動が想定どおりに進捗しない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④原材料の物資不足、価格変動の影響について
世界的な感染症や紛争の発生等によるサプライチェーンの乱れや原材料価格の高騰により、部材調達の長納期化や価格上昇が発生する可能性があります。当社グループにおいては、日常から調達状況の情報収集に努め、前倒しで確保するなど安定調達に努めるとともに、代替部品による設計変更などの対策を行っておりますが、この状況が長期化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤売上時期の影響について
情報装置事業においては、基本的に「単年度発注、単年度納め」である官需が中心のため、予算執行期間の年度後半に工事物件の完工が集中する傾向にあります。そのため、当社グループの売上高は下半期、特に第4四半期に集中する傾向があります。
また、入札時に発注仕様を確認することで入札金額を決定し、落札した工事物件をその発注仕様に基づいて施工しておりますが、発注者からの追加工事の要請や実際の施工現場の状況が入札時の想定と異なるなど、発注仕様から変更を要する場合、発注者と協議のうえ、追加工事や工法を見直すことがあります。その場合、原価の発生時期と追加工事や工法変更に係る設計変更契約の締結時期にずれが生じ、原価が先行することで一時的に収益が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
2025年3月期における四半期毎の売上高及び営業利益は次のとおりです。
|
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
|
売上高 |
2,441 |
3,186 |
4,281 |
7,353 |
|
営業利益 |
29 |
313 |
678 |
1,730 |
⑥企業買収等について
市場再編による淘汰が起こった場合、経営権を握るための一方的な大量の株式の買付を行う動きが想定され、当社グループが企業買収の対象となる場合があります。敵対的の買収には買収防衛策を導入することで対策を講じておりますが買収に至った場合、買収の目的や買収後の経営方針によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の事業展開によっては、当社グループが他企業の買収を実施する場合があります。企業買収は十分な検討のもと、成長に資すると判断したものを実施することになりますが、買収後の施策の進捗が思わしくない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦人材確保の影響について
当社グループが事業を展開・拡大していくためには、常に顧客ニーズに応えた製品を提供し続けていくことが重要であり、そのための一定水準の技術力をもった人材を確保し、育成していくことが課題であります。常に仕事の質と量に見合った組織と人員体制を維持していくため、キャリア採用による即戦力人材の獲得と将来を見据えた新卒採用に取組むとともに、研修と実務経験の連携による技術者の育成と技術力の向上・維持に取組んでおりますが、優秀な人材を確保出来ない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧自然災害の影響について
地震や台風などの自然災害により、当社グループの生産拠点及び外注先が壊滅的な損害を被る可能性があります。この場合は当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上高の減少や巨額の復旧費用を要する可能性があります。そのため、不測の事態への備えとして建物の災害対策補強の実施、安否確認システムの導入、リモート環境での業務遂行の円滑化に取り組んでおりますが、想定外の事象が発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨製品の欠陥による影響について
当社グループは顧客ニーズに応じた製品の開発・製造・施工業務を行っております。これらの品質に関しては常に万全を期しており、さらに製造物責任賠償・請負賠償に備え関連保険に加入しておりますが、予期せぬ欠陥や施工における事故が原因で顧客に深刻な損失をもたらした場合、損失に対する責任を問われる可能性があります。また、これらの損害が発生した場合の社会的責任を問われることや信用失墜も想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩取引先の信用の影響について
当社グループは、国内外において様々な顧客や仕入先との取引を行っております。取引先の信用については、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、貸倒引当金の計上など、信用リスク管理のための施策を講じておりますが、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪保有資産の影響について
当社グループは様々な資産を保有しており、定期的な不動産の現状確認や政策保有株式に関する管理体制を構築し、適切な評価・管理に努めております。しかしながら、建物や土地、政策保有株式などの資産価値が急激に下落した場合又は、収益性が悪化した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫情報セキュリティの影響について
当社グループは業務上、顧客が保有する機密情報を取り扱っており、コンピューターウイルスや不正アクセスをはじめとするサイバー攻撃、人為的過失当により情報の漏洩が発生する可能性があります。当社グループでは、外部への情報流出や外部からの不正侵入を防ぐセキュリティ対策など未然に防止するよう努めるとともに、セキュリティ教育を定期的に実施することにより社員のセキュリティに対する意識向上を図っておりますが、万一情報漏洩が発生した場合には顧客からの損害賠償請求や信用失墜等の事態を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による各種政策の効果もあり、雇用・所得環境が改善する中で、緩やかな回復が続くことが期待されております。一方、物価上昇の継続や通商政策などアメリカの政策動向による影響がわが国の景気を下押しするリスクとなっており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの主要事業であり、官需を主とする情報装置事業につきましては、老朽化したインフラの大規模修繕を中心に、公共事業は底堅く推移しております。そのような状況下、社会インフラの維持・保全、災害に対する防災・減災等、ニーズを先取りした道路交通安全を守るシステム開発に注力し、社会課題の解決に取り組んでおります。
当連結会計年度におきましては、新システムの提案による新規受注の獲得を進めてまいりましたが、工事保安機材の買換え需要落込みの影響もあり、売上は前年同期を下回りました。利益面につきましては、品質管理やコスト管理を強化し、ロスコストの発生防止及びコストダウンを推進したことにより前年同期を上回りました。
これらの結果、当連結会計年度におきましては、売上高17,262百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益2,752百万円(前年同期比17.4%増)、経常利益2,782百万円(前年同期比18.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,206百万円(前年同期比31.3%増)となり減収増益となりました。
また、当連結会計年度末の受注残高は16,655百万円となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は19,146百万円(前年同期18,973百万円)となり、172百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金(前年同期比549百万円減)、原材料及び貯蔵品(前年同期比375百万円減)、契約資産(前年同期比264百万円減)が減少したものの、売掛金(前年同期比1,345百万円増)が増加したことによるものであります。固定資産は8,390百万円(前年同期8,267百万円)となり、123百万円の増加となりました。これは主に、有形固定資産(前年同期比58百万円増)、投資その他の資産(前年同期比49百万円増)が増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は27,537百万円(前年同期27,241百万円)となり、前連結会計年度末と比べ295百万円の増加となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,881百万円(前年同期6,032百万円)となり、1,151百万円の減少となりました。これは主に、未払法人税等(前年同期比118百万円増)、未払金(前年同期比109百万円増)、賞与引当金(前年同期比83百万円増)が増加したものの、電子記録債務(前年同期比1,570百万円減)が減少したことによるものであります。固定負債は256百万円(前年同期446百万円)となり、190百万円の減少となりました。
この結果、負債合計は5,137百万円(前年同期6,479百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1,341百万円の減少となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における株主資本は21,737百万円(前年同期19,923百万円)となり、1,813百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金(前年同期比1,796百万円増)が増加したことによるものであります。その他の包括利益累計額は661百万円(前年同期837百万円)となり、176百万円の減少となりました。これは、退職給付に係る調整累計額(前年同期比99百万円減)、その他有価証券評価差額金(前年同期比76百万円減)が減少したことによるものであります。
この結果、純資産合計は22,399百万円(前年同期20,761百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1,637百万円の増加となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は549百万円減少(前年同期は786百万円の増加)し、4,442百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は433百万円(前年同期は1,410百万円の収入)となりました。これは主に、仕入債務の増減額△1,633百万円、売上債権の増減額△871百万円の減少要因はあるものの、税金等調整前当期純利益2,888百万円の増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は563百万円(前年同期は213百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出△402百万円、関係会社株式の取得による支出△124百万円の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は409百万円(前年同期は409百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払額△409百万円の減少要因によるものであります。
当社グループの資本の財源および資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入れのほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましても自己資金を基本としております。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期増減率(%) |
|
情報装置事業(千円) |
19,190,475 |
0.7 |
(注)金額は販売価格により記載しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期増減率(%) |
|
情報装置事業(千円) |
150,946 |
△13.8 |
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期増減率 (%) |
受注残高(千円) |
前年同期増減率 (%) |
|
情報装置事業 |
16,234,807 |
△0.8 |
16,655,423 |
△5.8 |
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期増減率(%) |
|
情報装置事業(千円) |
17,262,298 |
△1.8 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
中日本高速道路株式会社 |
2,389,834 |
13.6 |
2,580,192 |
14.9 |
|
西日本高速道路株式会社 |
2,295,537 |
13.1 |
1,901,590 |
11.0 |
|
東日本高速道路株式会社 |
2,109,068 |
12.0 |
1,593,097 |
9.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は17,262百万円(前年同期比1.8%減)、売上総利益は5,907百万円(前年同期比10.0%増)となり、売上総利益率34.2%となりました。工事保安機材の買換え需要減少により売上は減少しましたが、前期以前に受注した高速道路向けの収益性の高い案件が順調に推移したことやコストダウンに努めたことにより減収増益となりました。販売費及び一般管理費は3,155百万円(前年同期比4.3%増)を計上し、営業利益は2,752百万円(前年同期比17.4%増)となりました。また、法人税等調整額を含む法人税等合計は682百万円(前年同期比1.6%増)となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,206百万円(前年同期比31.3%増)となり、減収増益となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、情報装置事業のエンドユーザーの大半は道路管理者(国土交通省、各高速道路会社、地方公共団体等)が中心であり、官公庁への依存度が高くなっております。そのため、政府の整備計画等に基づく支出や財政政策等が経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、安全・快適で豊かな社会の実現のために、道路交通安全を守る設備を総合的に提案してまいります。当社グループ製品だけでなく他社との連携を活性化し、社会課題の解決を行ってまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、材料費、外注費と労務費、販売費及び一般管理費等があります。また、設備投資需要としては生産設備更新等に加え情報処理のための無形固定資産投資等があります。当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金は、内部資金を中心に活用を行っております。また、運転資金の効率的な調達を行うため国内金融機関において当座貸越契約を締結しております。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、利益を原資とした新たな価値の提供、需要の創出のために、業績の向上が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え営業利益及び営業利益率を重要な指標として位置づけております。当連結会計年度における営業利益は2,752百万円(前年同期比17.4%増)、営業利益率は15.9%(前年同期比2.6ポイント増)でした。引き続きこれらの指標が改善されるよう努めてまいります。
該当事項はありません。
当社グループは研究開発活動に関し、経営戦略本部が中心となり、ドメインの拡大、次の柱を構築、成長投資の積極推進を掲げております。
「ソリューション創出型企業への進化」の方針のもと、現在から近未来の社会課題の解決に応えられる企業であり、サービス提供者への進化を目指しております。
当社グループは安全・快適で豊かな社会の実現のために、3つの推進分野にてソリューションの提供を進めております。
「省力化・安全化ソリューション」としてインフラの大規模修繕における省力化・安全化ニーズを取り込んだシステムの開発に取り組んでおります。
「防災・減災ソリューション」として安全に必要な情報を必要な人々へタイムリーに提供できるシステムの開発に取り組んでおります。
「DX・GXソリューション」として、機器の再利用やソフトソリューションで環境負荷を低減し、持続可能なインフラ整備の推進に取り組んでおります。
そして、自動運転社会に対応したソリューションの探索に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、