文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、新規事業領域への進出及び既存事業の拡大を通じた企業価値の向上とブランド力の強化に努めることを経営方針としております。既成概念にとらわれない柔軟な発想とチャレンジ精神のもと、新しいビジネスの創出と更なる事業運営の活性化を図り、「株主価値の最大化」、「効率を重視した組織経営」を実践するとともに、企業経営の透明性を高め、事業活動のあらゆる局面においてコンプライアンスを徹底することで、すべてのステークホルダーに満足いただける企業グループを目指しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
国内経済におきましては、新型コロナウイルス感染症が2023年5月に5類へ移行したことに伴い、行動制限緩和による個人消費やインバウンド需要が回復し、春季生活闘争による賃上げが前年を上回る見通しであること等により日銀がマイナス金利を解除するなど、景気は緩やかな回復基調となっております。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・ガザ地区情勢などの地政学リスクに起因する原油などのエネルギー価格や原材料価格の高騰による物価上昇、世界的な金融引き締め等による円安基調の継続、2024年元旦に発生した能登半島地震により甚大な被害を受けるなど、依然として景気は先行き不透明な状況が続いております。
このような状況において、当社が持続的な成長を果たし、企業価値を向上させるため、以下の事項を主な経営課題として位置付け、積極的に取り組んでまいります。
① 既存事業の強化
既存事業における収益体質の強化を図るため、各事業が有するノウハウ、技術、サービス等の営業資産の活用による売上高の増加及びグループ内の人的資源の最適配分や積極的な内製化の推進による各事業の抜本的なコスト構造改革を実施するとともに、優秀な人材の確保・育成や、柔軟で多様な発想や価値観を持つ人材の活用による企業の活性化のためダイバーシティ経営を推進し、より強固な組織体制の構築に努めてまいります。
② 新規事業領域への進出
当社グループが企業価値を向上し安定的な成長を続けるためには、既存事業に加え、新規事業領域への進出が重要な課題であると認識しております。当社グループでは、グループ各社の顧客基盤、営業基盤の共有、技術・サービスの相互支援や、協力会社とのアライアンス、積極的なM&A展開による各事業の周辺領域の獲得を通じて事業多角展開等を進め、新規ビジネスの拡大に努めてまいります。
③ 内部管理体制の強化
当社グループが継続的な成長を続けることができる企業体質の確立に向けて、コーポレート・ガバナンスと内部管理体制の更なる強化が対処すべき重要な課題の一つと認識しております。当社はこれまで、当社グループ各社の業容規模に応じた内部管理体制を確立してまいりましたが、今後につきましても、ステークホルダーに対して経営の適切性や健全性を確保し、更なる持続的かつ健全な成長を図るため、引き続きコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化に取り組み、グループ全体の業務の適正を確保するための体制を整備してまいります。
④ ダイバーシティ経営の推進
当社グループは、ひとりひとりが能力を最大限に発揮するための働き方改革と、国籍・性別・性的指向・年齢・障がいの有無等の人材の多様性を尊重し、様々な視点や考え方を事業活動に取り入れ組織全体の競争力を高めるダイバーシティ経営の推進が、当社グループの成長に必要不可欠であるとの認識の下、多様な人材が活躍できる環境の整備を通じて、企業グループとして持続的な成長の実現を目指してまいります。
(3) 今後の見通し
当社グループの2025年3月期通期連結業績の見通しは以下のとおりです。
2025年3月期につきましては、システム開発事業領域においては、引き続き新規顧客獲得に向けた営業活動の強化を図るとともに人材採用・育成の強化により収益率の向上に努めることで、更なる収益基盤の拡大と利益の確保を目指す方針としております。他方、再生可能エネルギー事業領域においては、引き続き太陽光発電関連事業に係る案件の譲渡交渉を継続するとともに、その他の再生エネルギー事業領域に関連する新規事業についても検討を進めておりますが、これまでの経緯と現在の状況から、太陽光発電関連事業に係る案件の譲渡交渉は今後も想定以上の時間を要する可能性があること、新規事業については検討段階であるため具体的な収益見通しが未定であること等から、現時点で通期の連結業績予想を合理的に算定することは困難であると判断し、2025年3月期の業績予想につきましては未定としております。今後、業績予想の合理的な算定が可能となった段階で、速やかに公表いたします。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社グループは、既存事業の拡大及び新規事業領域への進出によるグループ全体の企業価値向上とブランド力の強化に努めることで、当社グループの持続的な成長を目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいりたいと考えております。
(2) 具体的な取組み
① ガバナンス
当社が持続的な成長の実現と持続可能な社会の実現に貢献するため、企業行動規範に則り、公正で透明性の高い経営に取り組むことを基本的な考えとしております。
当社は、経営方針並びに重要事項を決定するための最高意思決定機関として、取締役会を原則月1回開催しております。取締役会には、取締役会から独立した監査役が出席し、業務執行の監視及び業務活動の適正性・有効性の監査を行っております。また、内部監査担当者により内部監査を実施し、監査結果を代表取締役及び取締役会へ報告しております。
② リスク管理
当社は、あらゆる外部環境の変化によるリスク及び機会を迅速かつ的確に把握・対応するため、リスク管理委員会において、サステナビリティ関連を含む全社的なリスクのモニタリング・評価・分析を行い、各部門へのリスク対応の指示・監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会へ報告することとしております。
③ 戦略
当社グループは、当社グループの持続的な成長の実現と持続可能な社会の実現に貢献するためには、人的資本の増強を最重要課題であると捉え、「国籍、性別、年齢、採用ルート等の区別なく、能力や適性を総合的に判断し、すべての従業員に平等な育成支援と評価・登用の機会を設けること」、「従業員ひとりひとりが能力を発揮できるよう、安全・健康で働きやすい職場環境を提供すること」を基本的な方針として人材戦略に取り組んでおります。
人材育成に向けた具体的な取組みとして、階層別の研修、従業員それぞれの能力・志向に応じた専門的知識の強化、キャリア形成研修等の受講機会を提供するなど、従業員ひとりひとりが個性を生かして能力を発揮できるよう育成支援を行っております。また、働きやすい職場環境づくりの一環として、フレックス制度や在宅勤務、時間単位有給休暇、ノー残業デイ、リフレッシュ休暇等の導入及び運用を行っております。
④ 指標及び目標、実績
当社グループは、前述の方針に基づき、当社単体及び当社グループの主要事業であるシステム開発事業を営む各社において、以下の項目を指標として各取り組みを推進してまいります。
年次有給休暇取得率(2024年3月期実績:78.1%)
当期取得率は前期実績及び全国平均値を上回っており、今後も水準維持向上を目指してまいります。
男性育児休業取得率(2024年3月期実績:100.0%)
当期取得率は全国平均値を上回っており、今後も水準維持を目指してまいります。
有資格者率(2024年3月期実績:23.9%)
各従業員の職務遂行に関連する国家資格、公的資格等(基本情報技術者・応用情報技術者等)の保有割合を示しております。当期有資格者率は前期実績を上回っており、今後の水準向上を目指してまいります。
離職率(2024年3月期実績:8.2%)
当期離職率は前期実績及び全国平均値を下回っており、今後更なる水準の低減を目指してまいります。
以下に、当社グループ(当社及び連結子会社)の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、事業上のリスクとして具体化する可能性は必ずしも高くないと見られる事項を含め、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社は、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
① M&Aについて
当社グループは、今後の事業拡大及び収益力向上のため、国内外を問わず企業の買収や子会社設立、合弁事業の展開、アライアンスを目的とした事業投資等を実施する場合があります。当社グループといたしましては、投融資案件に対しリスク及び回収可能性を十分に事前評価し、投融資を行っておりますが、投融資先の事業の状況が当社グループに与える影響を確実に予測することは困難な場合があり、投融資額を回収できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社は、当社グループの各子会社について、今後もシナジーを最大限に活用し、グループ全体の企業価値向上を目指してまいりますが、事業展開が計画通りに進まない場合は企業会計基準適用指針に基づき減損損失の計上を行う必要が生じる等、予測不能な事態が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 持株会社体制について
当社は、他の会社の持分の所有及び管理を主たる事業として営んでおり、その主たる収入は子会社及び関連会社からの経営指導料、受取配当等であります。このうち受取配当については、一定の状況下で、会社法等の規制により子会社及び関連会社が当社に支払うことのできる金額が制限される場合があります。また、子会社及び関連会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して経営指導料または配当を支払えない状況が生じた場合には、当社単体の売上利益が減少する等の影響が生じる可能性があります。
③ 感染症の流行
社会的影響の大きい感染症等が流行した場合、営業活動の自粛、停止措置を実施する可能性があり、その程度によっては、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。当該リスクが顕在化した場合には、新規案件獲得の低下、社内での感染拡大による一時的な事業活動の停止等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、2019年3月期以降、6期連続して営業損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しているものと認識しております。
当社グループといたしましては、当該事象又は状況を早期に解消するため、主要事業であるシステム開発セグメント各社において、営業活動の強化や人材採用・育成の強化等による売上高の伸長を図るとともに、受託開発案件の積極的な内製化等によるコスト削減に努めることで収益体質の早期改善に取り組んでまいります。また、これら既存事業の強化に加え、積極的なM&A戦略による新たな収益基盤の構築を目指し、当社グループの安定した収益力の確保と企業価値向上に努めてまいる方針であります。
なお、財務面においては、当連結会計年度末において626,298千円の現金及び預金を有しており、当面の事業資金を確保していることから資金繰りにおいて需要な懸念はありません。
以上により、当社グループにおいては、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(重要なリスク)
① 債権管理について
当社グループは取引先に対して、売掛金や受取手形、未収入金等の債権を有しております。与信管理については充分に注意しておりますが、取引先の財政状態の悪化等が発生した場合、回収遅延や債務不履行などにより、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保について
当社グループの各事業では、継続的な事業発展のため、様々な媒体、手法により新卒、中途の採用を積極的に行うとともに、継続的な社内教育研修の実施等により、優秀な人材の確保に努めております。しかしながら、日本国内人口における少子高齢化に伴う労働人口の減少や産業構造の変化を背景に、必要な人材を継続的に確保するための競争は厳しくなっており、今後の競争激化により、必要な人材の確保が計画通りに進まなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ システムトラブルについて
当社グループは、多くの業務をIT化しており、また業務の効率化のためのシステム開発や改修、設備機器の導入・入替等を継続的に行っております。これらシステムの変更に係る管理、運用保守及び情報のバックアップには万全を期しておりますが、万が一、大災害や予期せぬ理由により大規模なシステム障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 内部管理体制について
当社の子会社及び関連会社については、規模・業態は様々であり、内部管理体制の水準も様々であります。当社グループといたしましては、より組織的な経営を目指し、かつコンプライアンス体制を強化するため、業容の規模に応じて人員の確保、社員の育成等を実施する方針ですが、今後、業容が拡大し、適切かつ十分な人的・組織的対応ができない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 法的規制について
当社グループは、会社法、金融商品取引法、法人税法に加え、グループ各社で多様な事業を営む上で、独占禁止法、特定商取引法、景品表示法、個人情報保護法、貸金業規制法等の法的規制を受けております。当社グループでは、各社事業に係る諸法令による規制の遵守に努めておりますが、万が一、法令等に違反するような行為があった場合には、社会的信用の低下や賠償金の支払い等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、今後の社会情勢の変化等により、諸法令等の改正や新たな法令等の制定、法令解釈の変更や規制範囲の拡大等があった場合には、ビジネスモデルの変更や対応費用の発生等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 機密情報・個人情報の漏洩及び情報管理について
当社グループでは、各事業の営業活動やシステム開発において、機密情報やノウハウ及び顧客・個人情報を取り扱っております。そのため機密情報管理体制の整備、社内教育の徹底や情報漏洩防止ソフトウェアの活用等の対策により、ネットワークを通じた機密情報への侵入、情報データの持ち出し等による機密情報の漏洩防止に努めております。しかし、外部からの当社コンピュータへの不正アクセス、当社役員及び従業員の過誤等による情報漏洩、その他不測の事態により、これらの情報が外部に流出する可能性は皆無ではなく、この様な事態が生じた場合、営業的損失や業務停止による損失に留まらず、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、対応費用を含め当社当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 重要な訴訟
当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合、当社グループの社会的信用の低下や賠償金の支払い等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 災害について
当社グループでは、各事業の本社事務所、営業所拠点等が継続的かつ安定的に運営できるよう、機械、設備などの適切なメンテナンスを実施しておりますが、大規模な自然災害、事故等が発生した場合、営業停止等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 知的財産権について
当社グループでは、知的財産権を確保する措置を講じており、また、現在までに当社グループの知的財産権に関わる訴訟を提起される等の問題が生じたことはございません。しかしながら、今後、万が一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があるほか、当社グループが保有する知的財産権が第三者により侵害される、当社グループの保有する権利の登録ができない等の事象が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑩ 再生可能エネルギー事業について
当社グループの再生可能エネルギー事業において、事業展開予定地における地権者並びに地域住民との合意形成、農地一時転用に係る許認可取得等に想定以上の時間を要した場合や、政府のエネルギー政策の変更又は方針転換、法改正及びこれに伴う電力接続(系統連系)の遅れ、天候・気候の大幅な変動による設備開発工事遅延、風力発電設備の劣化や故障等が発生した場合、当初計画していたプロジェクトスケジュールに遅延が生じ、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が2023年5月に5類へ移行したことに伴い、行動制限緩和による個人消費やインバウンド需要が回復し、国内では春季生活闘争による賃上げが前年を上回る見通しであること等により日銀がマイナス金利を解除するなど、景気は緩やかな回復基調となっております。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・ガザ地区情勢などの地政学リスクに起因する原油などのエネルギー価格や原材料価格の高騰による物価上昇、世界的な金融引き締め等による円安基調の継続、2024年元旦に発生した能登半島地震により甚大な被害を受けるなど、依然として景気は先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要事業が属する情報サービス産業においては、テレワークの普及や業務効率化・自動化、生産性向上などを目的として、あらゆる領域でDX化への取り組みが進められております。さらに、IoTやAIの活用などの社会的需要、最近では生成AI技術の商用利用への関心が高まっており、企業のIT投資は堅調に拡大しております。また、エネルギー分野においては、環境問題の解決に向けた脱炭素化のための再生可能エネルギーの需要が高まっている状況であります。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、既存事業であるシステム開発事業領域において、収益性の一層の向上を図るため、人材採用・育成の強化、給与水準の引き上げ等の人的資本投資に係る取り組みを進めるとともに、新規顧客開拓や受託開発案件の積極的な内製化に向けた取組等、事業体制を強化するための施策を実行してまいりました。
一方、2022年より開始いたしました再生可能エネルギー事業領域においては、太陽光発電関連事業に係る案件の大半が、電力接続のための連携工事に係る所要工期が長期化する見通しとなったこと、および開発予定地関係者との合意形成に想定以上の時間を要していること等から見送ることとなり、残る案件についても案件譲渡交渉が成立に至らなかったこと、当該1案件の譲渡交渉は引き続き継続する方針であるものの、これまでの経緯と現在の状況から今後も想定以上の時間を要する可能性があること、その他の再生エネルギー事業領域に関連する新規事業についても検討を進めているものの具体的な収益見通しは未定であること等から、株式会社BS ENERGY及び井の三風力発電株式会社に係るのれん507,981千円を減損損失として、太陽光発電関連事業に係る仕掛品100,000千円を棚卸資産評価損として特別損失に計上いたしました。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は948,446千円(前連結会計年度末と比較して216,956千円減)となりました。これは主に、株式会社BS ENERGYの営農型太陽光発電設備の縮小等に伴う棚卸資産評価損の計上等により仕掛品が111,786千円減少したこと、貸付金の回収および長短区分の振替により短期貸付金が64,652千円減少したこと等によるものであります。
固定資産は347,538千円(前連結会計年度末と比較して574,669千円減)となりました。これは主に、長短区分の振替により長期貸付金が67,241千円増加した一方、株式会社BS ENERGYおよび井の三風力発電株式会社の取得に係るのれんの償却及び減損処理によりのれんが636,290千円減少したこと等によるものであります。
この結果、総資産は1,295,984千円(前連結会計年度末と比較して791,626千円減)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は190,035千円(前連結会計年度末と比較して26,264千円増)となりました。
これは主に、短期借入金が11,000千円増加したことおよびその他の流動負債が8,886千円増加したこと等によるものであります。
固定負債は123,963千円(前連結会計年度末と比較して7,757千円減)となり、これは主に、繰延税金負債が7,151千円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は313,999千円(前連結会計年度末と比較して18,506千円増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は981,985千円(前連結会計年度末と比較して810,133千円減)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が813,124千円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,276,789千円(前年同期比1.8%減)、営業損失216,670千円(前年同期は営業損失187,216千円)、経常損失190,152千円(前年同期は経常損失164,232千円)、税金等調整前当期純損失798,634千円(前年同期は税金等調整前当期純損失168,153千円)、そして親会社株主に帰属する当期純損失813,124千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失183,175千円)となりました。
なお、当社グループの報告セグメントは、従来「システム開発」「その他」の2つのセグメントでありましたが、当連結会計年度より、事業区分及び事業活動の実態を適切に表すとともに、事業内容を明瞭に表示する目的で、報告セグメントの区分を「システム開発」「再生可能エネルギー」「その他」に変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報につきましても、変更後の名称で記載しています。
1) システム開発
「システム開発セグメント」は、ITシステムや組込系システム、業務系システム等の受託開発、システムエンジニアリングやバックオフィスに関する人材派遣、PCデータ消去・リサイクル、医用画像表示ソフトウェアの販売等を行っております。当該事業は、主に「人材派遣サービス事業及びシステム開発事業」と「受託開発事業及び産業用グラフィックス事業」から構成されておりますが、各々の事業内容及び経営成績は以下のとおりであります。
<人材派遣サービス及びシステム開発部門>
人材派遣サービス事業は、システムエンジニアリング及びバックオフィス関連業務等の専門性の高い業務に対応できる人材を派遣し、業務の最適化・効率化に貢献するサービスとなります。
システム開発事業は、ハード・ソフトの調達を含めたシステム構築により企業のIT関連をトータルにサポートし、顧客の業務効率化・コスト削減に貢献するために付加価値の高いサービスをワンストップで提供するサービスとなります。
上記以外にも、廃棄パソコンの買取りやサーバーのHDDデータの消去、パソコン本体及び周辺機器のリサイクルなど法人向けのリサイクルサービスを提供しております。
当連結会計年度においては、売上高は、人材派遣サービス事業の受注件数及び稼働時間の増加等による増収要因があった一方、コロナ禍以降に急増傾向となっていた受託開発案件の需要が徐々に落ち着きつつあること、前連結会計年度に中古タブレット販売に係る特需案件があったこと等から、前期比で減収となりました。利益面では、前連結会計年度においては本社移転に伴う経費が発生したこと等から費用は前期比で減少したものの、上述の減収要因等により前期比で減益となりました。
<受託開発及び産業用グラフィックス部門>
受託開発事業は、プリンターや通信機器等の組込システム・各種業務システム・健診システム等の受託開発、ポータルWEBサイト構築・サーバー環境設計/構築/運用/保守・簡易外観検査装置等の受託開発を行っております。
産業用グラフィックス事業は、医療機関で使われる画像参照用モニタの調整や品質管理を行うソフトウェアである「FVT-air」を、当社独自のモニタソリューションとして全国の大小様々な医療機関に導入頂けるよう営業を推進しております。
当連結会計年度においては、売上高は、外注費低減や社内のシステム開発人員の更なる成長を見据えて内製比率の高い案件の受注に注力したこと、既存顧客からの安定的な開発案件受注があったこと等から前期並みとなりました。利益面では、受託開発案件の積極的な内製化のため、社内人員の採用活動の強化および従業員給与のベースアップ等を実施するとともに外注費を削減し利益の効率化に努めた一方、親会社経営指導料の増額により支払手数料が増加したこと等から、前期比で減益となりました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,169,530千円(前年同期比3.2%減)となり、セグメント利益は74,692千円(前年同期比15.2%減)となりました。
「再生可能エネルギーセグメント」は、太陽光発電設備の企画、設計、施工及び管理、再生可能エネルギーに係るコンサルティング、風力発電設備を利用した電力販売等を行っております。当該事業は、主に「太陽光発電関連事業」、「風力発電事業」から構成されておりますが、各々の事業内容及び経営成績は以下のとおりであります。
<太陽光発電関連事業>
太陽光発電関連事業は、営農型太陽光発電所の企画、設計、施工、開発及び管理、再生可能エネルギーに係るコンサルティングを行っております。
当連結会計年度においては、当該事業を推進する株式会社BS ENERGYにより、前期に引き続き営農型太陽光発電設備の開発及び収益化に向けた取り組みを推進してまいりましたが、電力接続のための連携工事に係る所要工期が長期化する見通しとなったこと、開発予定地関係者との合意形成に想定以上の時間を要していること等から、当初見込んでいたプロジェクトの大半を見送るとともに開発スケジュールおよび開発区画の見直しを進め、営農型太陽光発電所の完成後引渡ではなく現段階での案件譲渡も視野に入れて買手候補先企業との案件譲渡交渉を進めたものの、交渉成立には至らず、当初事業計画と比較して売上高・利益ともに大幅な未達となりました。
<風力発電事業>
風力発電事業は、北海道宗谷郡に所有する風力発電所を利用した電力販売事業を行っております。
当連結会計年度においては、風況が堅調に推移し発電量が増加傾向となったこと、電力販売価格が上昇したこと等により、前期比で増収増益となりました。
これらの結果、当セグメントの売上高は53,168千円(前年同期比193.7%増)となり、のれんの償却額128,308千円を計上したこと等により、セグメント損失は145,310千円(前年同期はセグメント損失92,926千円)となりました。
その他事業は、アイラッシュサロン「FLASH」の運営を行っております。
当セグメントの売上高は56,551千円(前年同期比27.8%減)、セグメント損失は12,970千円(前年同期はセグメント損失8,552千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)については、以下の活動により、前連結会計年度末と比較して10,639千円増加し、当連結会計年度末で612,698千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は2,195千円(前連結会計年度は117,965千円の獲得)となりました。これは主に、減損損失507,981千円、のれん償却額128,308千円、棚卸資産評価損100,000千円があった一方、税金等調整前当期純損失798,634千円、未収入金の増加額△29,318千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は5,529千円(前連結会計年度は641,644千円の使用)となりました。これは主に、貸付金の回収による収入52,411千円があった一方、貸付けによる支出△55,000千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は18,364千円(前連結会計年度は98,193千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出△17,979千円があった一方、短期借入れによる収入16,000千円、長期借入れによる収入25,704千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。当社はこの連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損、棚卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。当社は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因にもとづき、見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。なお、見積りによる不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合もあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積及び過程のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等、不確実性が大きく、将来事業計画の見込値への反映が困難な要素もあるものの、外部の情報のほか、当社グループ各事業の事業特性や足元の事業進捗状況等、現時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積に依存するため、その見積の前提とした仮定や条件に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
b.固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、回収可能額まで帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積の前提とした仮定や条件に変更が生じ減少した場合、減損損失を計上する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ791,626千円減少し1,295,984千円となりました。これは主に、株式会社BS ENERGYおよび井の三風力発電株式会社の取得に係るのれんの償却及び減損処理によりのれんが減少したこと、株式会社BS ENERGYの営農型太陽光発電開発案件の縮小等に伴う棚卸資産評価損の計上により仕掛品が減少したこと等によるものです。
負債は313,999千円となり、前連結会計年度末に比べ18,506千円増加いたしました。これは主に、繰延税金負債が減少した一方で、短期借入金及び1年内に返済予定の長期借入金が増加したことによるものです。
これらの結果、純資産は前連結会計年度末に比べ810,133千円減少し981,985千円となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前年同期に比べ23,946千円減少の1,276,789千円(前年同期比1.8%減)となりました。これは主に、再生可能エネルギーセグメントにおける風力発電事業の経営成績が通期にわたり寄与した一方で、システム開発セグメントにおいてコロナ禍以降に急増傾向となっていた受託開発案件の需要が徐々に落ち着きつつあること、その他セグメントである株式会社Glotusにおいて人材不足により売上規模が縮小していること等によるものであります。
(営業損益)
営業利益は、前年同期に比べ29,454千円減少し営業損失216,670千円(前年同期は営業損失187,216千円)となりました。これは主に、前連結会計年度においてはオフィス移転に伴う費用が発生したため当該費用部分の減少があった一方で、売上高の減収に伴う減益や、株式会社BS ENERGY及び井の三風力発電株式会社に係るのれんの償却を通期にわたり計上したこと等によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
営業外収益29,015千円(前年同期比13.5%増)、営業外費用2,497千円(前年同期比3.1%減)の計上により、経常損失は190,152千円(前年同期は経常損失164,232千円)となりました。
特別損失は、棚卸資産評価損100,000千円及び減損損失507,981千円の計上により、608,481千円(前年同期比15,417.1%増)となりました。
また、法人税等合計は14,490千円(前年同期比3.5%減)となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は813,124千円(前年同期は183,175千円)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、システム開発に係る労務費及び外注費、人件費であります。また、その資金の原資は主に営業キャッシュ・フローであります。また、当社グループの一部連結子会社において、運転資金として短期借入金を調達しております。当社グループは、財務の健全性を保ち、営業キャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
e.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成の状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続的な事業拡大と企業価値向上のため、売上高、営業利益、営業キャッシュ・フローを指標として経営を執行しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。