(1)業績
当連結会計年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで)における当社グループを取り巻く事業環境は、世界経済が第3四半期までは先進国を中心に緩やかな回復基調を維持していましたが、中国など新興国での景気減速が強まる中で、欧州での難民問題の深刻化、さらに原油価格の低迷などから、第4四半期に入り世界的な景気の先行き不透明感が急速に広がりました。主要通貨に対する円相場は、前年同期と比べて対米ドルでは円安で推移してきましたが、第4四半期に入り急速に円高へと反転しました。また、アジア通貨に対しても第3四半期に入り円高へと反転し、対ユーロでは年度を通して円高で推移しました。IT分野では、モバイル、クラウド、ソーシャルネットワークなどが社会に浸透することで、業界の構造変化が進むとともに、当社製品を取り巻く市場環境も急激に変化しています。
ブランド製品事業のクリエイティブビジネス分野では、映画やコミック、ゲームといったデジタルコンテンツ制作が、アジアや南米などの新興国で急速な拡大を見せています。また、先進国では、3Dコンテンツへの関心の高まりとともに、従来の2Dから3Dへとアプリケーションの利用移行が進み、その入力デバイスとして直感的な作業に優位性を持つデジタルペンに注目が集まっています。一方、デザイン制作現場では、従来のデスクトップから、場所を選ばないクラウドをベースとしたモバイル環境が広がるとともに、作業効率を高めるカラーマネジメント機能の進化も加速しています。コンシューマビジネス分野では、タブレットに簡単に描画やメモ入力できるスタイラスペン市場が広がりを見せるとともに、紙に手書きしたアイデアをクラウドから編集・保存・検索できる、アナログとデジタルを融合したデジタル文房具が新たな市場を開拓しています。ビジネスソリューション分野においては、医療、教育、金融など幅広い分野でペーパーレス化や電子サイン認証へのニーズが高まっており、デジタルワークフローによるコスト抑制効果や情報セキュリティ向上の観点から、液晶サインタブレットの導入が進んでいます。
テクノロジーソリューション事業の分野では、スマートフォン市場において中低位機種が新興国を中心に急速に成長する一方、上位機種の成長が緩やかになったことから、業界内での競争激化と構造変化が生じています。タブレット市場は、アンドロイドOS搭載モデルの販売低迷などから成長鈍化が見られました。また、ノートPC市場も、買い替えサイクルの長期化やキーボード着脱型タブレットモデルへの需要シフトなどから低調に推移しました。そのような環境の中で、ビジネスや教育用途で、読むだけでなく書くことを可能とするデジタルペン技術へのニーズが、タブレット市場を中心に広がりを見せています。また、幅広いユーザー層を持つ文房具市場においても、デジタル化へ移行する動きが活発化してきており、デジタルペンを使ったソリューションへのニーズが着実に高まっています。
このような急速に変化する事業環境の下、当社はグローバルリーダーとしての地位をより一層強固にするために、各事業での製品ラインの拡充と将来の成長基盤構築のための投資の強化に取り組んでいます。
ブランド製品事業においては、プロフェッショナルからコンシューマーまでの幅広いユーザーのニーズに応えるべく、クラウドをベースとした製品ライン拡充のための製品開発を進めました。テクノロジーソリューション事業においては、アクティブES(Active Electrostatic)方式デジタルペンの既存大手タブレットメーカーへの量産拡大を進めるとともに、新たな顧客獲得にも取り組み、中国大手タブレットメーカーであるファーウェイ社への供給も新規に開始しました。
さらに、顧客基盤のグローバル化やe-コマース(電子商取引)化が急速に進む中、柔軟かつ迅速な生産計画を可能にするサプライチェーンの再構築とIT基盤の整備に長期的かつグローバルな観点から取り組んでいます。あわせて、平成27年4月より顧客カテゴリー別のグローバルビジネスユニット(事業部)の新組織体制に移行し、事業戦略の統合とグローバル規模での事業成長加速に取り組みました。
デジタルインク技術の領域では、OSの違いを越えたデジタルインクの標準化を通じてデジタルインクの交換や共有を可能にする「WILL(Wacom Ink Layer Language)」のパートナー企業の拡大に努めました。その一環として、スマートフォンやタブレットなどに手書き入力したデジタルインクを活用するアプリケーションソフト開発イベント「Inkathon(インカソン)」を開催し、デジタル・ステーショナリー・コンソーシアムの設立に向けた準備を進めました。デジタルペン技術の領域では、マイクロソフト社からウィンドウズ対応のペン技術に関するライセンス供与を受けることを平成28年3月に合意し、今後当社は、独自技術のアクティブES 方式とMicrosoft Penの両技術を1本のペンに搭載していくことが可能となりました。このように、当社は、多くのパートナー企業との協調を前提とするオープンパートナーシップポリシーの下、ペンとインク両方のデジタル技術のイノベーションを通じて、世界中の多くのお客様が様々な用途でクリエイティビティ(創造性)を発揮できるよう取り組んでまいります。
また、当社は、急激な経営環境の変化を踏まえて、新規市場の開拓と既存事業の更なる強化に取り組むことなどにより事業成長を図る「ワコム戦略経営計画 SBP-2019」(平成28年3月期から平成31年3月期まで)を平成27年4月に発表いたしました。同計画に沿って、平成31年3月期に連結売上高1,200億円、連結売上高営業利益率12%、連結株主資本利益率20%以上の達成を目標として、更なる企業価値向上を目指してまいります。
これらの結果、当連結会計年度の業績は売上高が77,568,014千円(前年同期比4.0%増)となり、営業利益は3,664,362千円(同40.3%減)、経常利益は3,776,509千円(同37.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,309,514千円(同33.5%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① ブランド製品事業
クリエイティブビジネスやコンシューマビジネスにおける新製品の投入効果や中国市場の継続的拡大、為替の影響などで、売上高は前年同期を順調に上回りました。
<クリエイティブビジネス>
○ ペンタブレット製品
「Intuos(インテュオス)」の中国での売上が第2四半期までに大きく伸長しました。また、平成27年9月に発表した新製品が、よりきめ細かく顧客セグメントのニーズに対応した製品ラインアップで高い評価を受け、順調に推移しました。これらにより、売上高は前年同期を上回りました。
○ モバイル製品
前期末に発表した、高機能クリエイティブタブレット「Cintiq Companion(シンティックコンパニオン)2」が、引き続き市場で好感され、特に平成27年5月に発表した最上位モデルが売上に大きく貢献しました。さらに、自社のWebサイトでの限定販売から特定量販店に販売網を拡大したことが売上に寄与しました。一方で下期に入り、競争環境の変化や製品ライフサイクルの移行期による需要の減少が見られました。これらにより、モバイル製品全体の売上は、前年同期から順調に伸長しました。
○ ディスプレイ製品
前期末に発表した、高精細な大型ディスプレイとカラーマネジメント機能を備え色再現力に優れたフラッグシップモデル「Cintiq(シンティック) 27QHD」及び「Cintiq 27QHD touch」が順調に推移し、3D制作ツールとしても新たな市場を開拓しました。さらに、大型ディスプレイと操作性を兼ね備えた「Cintiq 22HD」、省スペースでありながら十分な描画エリアを確保した「Cintiq 13HD touch」など、すべての製品ラインアップで売上を伸ばしたことから、売上は前年同期を上回りました。
<コンシューマビジネス>
デジタル文房具への新たな取り組みとの一環として平成27年9月に発表した、手書きノートをデジタル化し、クラウドで共有できる新製品「Bamboo Spark(バンブースパーク)」の販売が順調に推移しました。一方で、スタイラスペン製品は、同9月に発表した「Bamboo Fineline(バンブーファインライン)2」が好評を得たものの、一部のアジア・オセアニア地域を除いて苦戦しました。これらの結果、コンシューマビジネス全体の売上高は、前年同期を大きく上回りました。
<ビジネスソリューション>
前年同期に大型案件があった反動や対ユーロでの円高影響などにより欧州での売上高が大幅に減少しました。さらに、世界的な景気の先行き不透明感が広がる中で、複数の顧客企業での設備投資案件の長期化が見られたことなどから、ビジネスソリューション全体での売上高は、前年同期を下回る結果となりました。
<地域別>
米州では、ディスプレイ製品を中心に販売が伸び、さらに円安の恩恵を受けたことで、売上高は前年同期から順調に伸長しましたが、現地通貨ベースでは、ペンタブレット製品の売上高が減少したことなどで、前年同期を僅かに上回る程度の伸びとなりました。欧州では、クリエイティブビジネスの販売が堅調に推移し、また、コンシューマビジネスの「Bamboo Spark」の販売も順調に推移したことで、ビジネスソリューションの売上高が前年同期を下回ったものの、全体としては前年同期並みの売上高となりました。日本国内では、クリエイティブビジネスが順調に売上高を伸ばし、ビジネスソリューションの販売も順調だったため、コンシューマビジネスの売上高が前年同期を下回ったものの、全体の売上高では前年同期から順調に伸長しました。アジア・オセアニア地域は、デジタルコンテンツ制作が急速に拡大していることなどから、中国を中心にすべての地域で売上高が前年同期を上回りました。
この結果、売上高は48,931,153千円(前年同期比12.2%増)、営業利益は8,035,559千円(同34.7%増)となりました。
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※ クリエイティブビジネス: |
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ペンタブレット製品 …………………………………… |
Intuosシリーズ (旧Bambooペンタブレットを含む。) |
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モバイル製品 …………………………………………… |
Cintiq Companion、Intuos Creative Stylus |
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ディスプレイ製品 ……………………………………… |
Cintiqシリーズ |
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コンシューマビジネス: |
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スタイラスペン製品、タッチパッド製品、 |
………… |
Bambooシリーズ |
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デジタル文房具製品 |
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ビジネスソリューション: |
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液晶サインタブレット製品 …………………………… |
STUシリーズ |
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液晶ペンタブレット製品 ……………………………… |
DTシリーズ |
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② テクノロジーソリューション事業
タブレット向けペン・センサーシステムの出荷が順調に推移し、デジタル文房具市場など新規分野の開拓にも努めましたが、ノートPC向けペン・センサーシステムの売上高が大きく減少したことで、売上高は前年同期を小幅に下回りました。
<スマートフォン向けペン・センサーシステム>
ペンカートリッジ化による自動生産や新規顧客の獲得に取り組んだ中、サムスン電子のGalaxy Note5向けの量産出荷が前モデル向けを下回って推移したことで、売上高は前年同期と比べて低調に推移しました。
<タブレット向けペン・センサーシステム>
教育タブレット案件のトルコ共和国政府向けの量産出荷が売上拡大に大きく貢献したことや、当社独自の新技術であるアクティブES方式デジタルペン技術が、米系大手タブレットメーカーであるHP社やデル社、中国大手のレノボ社など既存顧客での評価を得て量産化が進んだことや、新規顧客の獲得にも取り組み、中国大手のファーウェイ社への供給も新規に開始したことなどで、売上高は前年同期を上回りました。
<ノートPC向けペン・センサーシステム>
キーボード着脱型タブレットの増加によりデジタルペンの需要がノートPCからタブレットにシフトしたことやノートPC市場全体の在庫調整などから、売上高は前年同期から大幅に減少しました。
これらの結果、売上高は27,974,243千円(前年同期比7.6%減)、営業利益は3,130,082千円(同32.6%減)となりました。
③ その他
新製品「ECAD dio(イーキャドディオ)DCX R2」や「ECAD dio 2016」の出荷があった一方、マイクロソフト社がWindows XPのサポートを終了したことに伴う買い替え需要が落ち着いたことで、売上高は前年同期を僅かに上回る程度となりました。
これらの結果、売上高は662,618千円(前年同期比1.2%増)、営業利益は35,767千円(同35.1%減)となりました。
※ グローバル組織機構改革に伴い、事業及び製品区分は以下のとおりとなっております。
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前期 |
当期 |
名称変更 |
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ブランド製品事業 |
ブランド製品事業 |
無 |
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クリエイティブビジネス |
クリエイティブビジネス |
無 |
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コンシューマビジネス |
コンシューマビジネス |
無 |
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特定業務分野向けビジネス |
ビジネスソリューション |
有 |
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コンポーネント事業 |
テクノロジーソリューション事業 |
有 |
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ソフトウェア事業 |
エンジニアリングソリューション |
有 |
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べ、2,321,588千円減少(前年同期は1,292,680千円増加)し、14,365,031千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,009,164千円(前年同期は6,782,233千円の収入)となりました。主な増加は、税金等調整前当期純利益3,597,489千円、減価償却費2,003,718千円及び賞与引当金の増加額422,113千円であり、主な減少は、仕入債務の減少額2,780,336千円及び法人税等の支払額1,634,978千円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4,878,124千円(前年同期は3,277,764千円の使用)となりました。主な内訳は、工具、器具及び備品等の有形固定資産の取得による支出1,166,777千円、グローバルITインフラ等のソフトウエアの取得による支出3,924,963千円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,209,282千円(前年同期は2,849,518千円の使用)となりました。主な内訳は、短期借入れによる収入3,400,000千円(純額)、長期借入れによる収入2,000,000千円、自己株式の取得による支出1,244,532千円及び配当金の支払額2,991,749千円です。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
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ブランド製品事業(千円) |
24,894,550 |
119.9 |
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テクノロジーソリューション事業 (千円) |
17,840,975 |
81.6 |
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報告セグメント計(千円) |
42,735,525 |
100.3 |
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その他(千円) |
58,993 |
209.1 |
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合計(千円) |
42,794,518 |
100.3 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
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ブランド製品事業(千円) |
125,724 |
110.6 |
|
テクノロジーソリューション事業 (千円) |
- |
- |
|
報告セグメント計(千円) |
125,724 |
110.6 |
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その他(千円) |
94,578 |
66.1 |
|
合計(千円) |
220,302 |
85.8 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)受注状況
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ブランド製品事業(千円) |
48,931,153 |
112.2 |
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テクノロジーソリューション事業 (千円) |
27,974,243 |
92.4 |
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報告セグメント計(千円) |
76,905,396 |
104.1 |
|
その他(千円) |
662,618 |
101.2 |
|
合計(千円) |
77,568,014 |
104.0 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
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サムスン電子グループ |
18,587,403 |
24.9 |
16,771,052 |
21.6 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.サムスン電子グループには、主に、Samsung Electronics Co., Ltd.、Samsung Electronics Vietnam Co., Ltd.、Samsung Electronics Huizhou Co., Ltd.が含まれております。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「a world alive with creativity」(創造性にあふれる活き活きとした世界)をビジョンとし、より豊かで創造的な暮らしを実現したいと願っております。そのために、自然で直感的な技術により人間のクリエイティビティを広げ、世界に貢献するグローバルリーダーを目指しております。
当社グループは、今後のユーザーインターフェイス技術の世界的な進化と拡大を見据えて、更なる技術力・開発力の強化、優秀な人材の確保とともに、今日までに築き上げたグローバルな事業組織、企業文化やブランド、そしてオープンパートナーシップポリシーの下、幅広い顧客との関係に基づいた競争力の高いグローバルな事業モデルの更なる強化により、長期的かつ安定的な事業成長と企業価値の向上を図れるものと考えております。
また、グローバルに事業を展開するに際して、企業の果たすべき社会的責任を真摯に受け止め、コンプライアンスの徹底とコーポレート・ガバナンスの継続的な強化に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、平成27年4月に「ワコム戦略経営計画 SBP-2019」を策定し、市場と経営環境の著しい変化に当社の事業モデルを柔軟に対応させた成長戦略を定めて新たな経営目標を設定しました。ビジネスモデルのモバイル、クラウドベースへの進化を軸とする基本戦略を引き続き維持しつつ、新たなグローバル事業組織の下で、グローバル新規市場の開拓と既存事業の更なる強化に取り組んでいます。平成31年3月期に連結売上高1,200億円、連結売上高営業利益率12%、連結株主資本利益率20%以上の達成を財務目標としてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは、上記「ワコム戦略経営計画 SBP-2019」の実現に向けた成長戦略を、次の7つの項目にまとめ、それらを着実に実行し成果につなげることを対処すべき課題と捉え取り組んでおります。
(対処すべき課題)
① ビジネスモデルをモバイル、クラウドへと進化させる
② 新グローバル事業体制によって統合を強化し成長を加速する
③ モバイル製品ラインの強化、3D市場の拡大、新興市場への投資によってクリエイティブビジネスを加速する
④ デジタル文房具とクラウド統合で新たなコンシューマーユーザーを獲得する
⑤ アクティブES技術と「WILL(Wacom Ink Layer Language)」により、テクノロジーソリューション事業を拡大する
⑥ 「WILL」と電子サインソリューションで、ワークフローとセキュリティビジネスを強化する
⑦ グローバルビジネスシステムの活用により効率とスピードと収益性を向上させる
(具体的な対処方針等)
当社の成長戦略は、近年のビジネスプラットフォームの急速な変化に対応するとともに、ブランド製品事業とテクノロジーソリューション事業の両事業の成長を加速させることを軸としています。そのために事業組織体制を従来の地域別から顧客カテゴリー別のグローバル組織に組み換え、さらにITインフラをグローバルベースで活用することにより両事業の成長を支えてまいります。
① ビジネスモデルをモバイル、クラウドへと進化させる
普及が進んでいるスマートフォン、タブレット等のモバイル情報機器とクラウドコンピューティングによる新しいITプラットフォームに対応するため、当社製品ラインを従来のPC向けからモバイル情報機器分野及びクラウドをベースとしたアプリケーションとサービスを統合したエコシステムへと拡大してまいります。
② 新グローバル事業体制によって統合を強化し成長を加速する
グローバルな事業統合による成長を実現するため、平成27年4月に、従来の地域販社を中心とする販売体制から顧客カテゴリー別のグローバルビジネスユニット(事業部)への再編を行いました。これにより、地域に関わりなく各事業単位で顧客カテゴリーごとの戦略をグローバルに推進する体制を整え、事業成長を加速させてまいります。
③ モバイル製品ラインの強化、3D市場の拡大、新興市場への投資によってクリエイティブビジネスを加速する
従来のPC向けが中心であった当社の製品ラインに加えて、平成26年3月期より発売を開始したモバイル製品ラインは、今後も高い成長が見込まれています。これらのモバイル製品ラインに引き続き新製品を開発・投入し、市場の拡大を図ってまいります。また、デジタルデザインの最先端では3Dモデリングや3Dデザイン、3Dプリンティングといった分野の更なる進化と拡大が見込まれています。さらに、中国、インド、南米といった新興地域においてもデザイン産業の拡大が見込まれております。当社はユーザーのニーズに応える新製品を投入し、グローバルな市場における事業基盤を強化していくことで、クリエイティブビジネスの積極的な拡大を図ってまいります。
④ デジタル文房具とクラウド統合で新たなコンシューマーユーザーを獲得する
近年のモバイル情報機器とソーシャルネットワークの急速な普及と発展によって、コンシューマーのオリジナリティと発信力が大きく拡大しつつあります。また、スマートフォンやタブレットに加えて、アイデアを従来の紙とペンと同様に直感的に書きとめて共有できる新たなデジタル文房具へのニーズも高まってきています。当社は、新たなデジタル文房具の開発・投入とクラウドと統合された独自のエコシステムを構築し、新たなコンシューマー市場を創出してまいります。また、グローバルなWebコミュニケーションの活用により、コンシューマーとモバイルユーザーに対するブランド認知を高め、ユーザーコミュニティーの形成を行ってまいります。
⑤ アクティブES技術と「WILL(Wacom Ink Layer Language)」により、テクノロジーソリューション事業を拡大する
テクノロジーソリューション事業においては、平成27年4月期に量産を開始したアクティブES方式のデジタルペンに顧客の注目が集まっており、採用機種が大幅に増加しています。従来からのEMR方式のデジタルペンに加えて技術の複線化を図ることで、顧客にデジタルペン採用の選択肢を増やし、市場の創出・拡大を図ってまいります。また当社が開発した「WILL」は、デジタルインクデータを標準化し、OSの違いを越えた交換や共有を可能とするもので、これによりデジタルインクの利用拡大とデジタルペンの更なる普及を促進し、テクノロジーソリューション事業の拡大に寄与することを目指しています。
⑥ 「WILL」と電子サインソリューションで、ワークフローとセキュリティビジネスを強化する
ビジネスソリューション分野では、電子サインの利用によるワークフローの効率向上と高いセキュリティが注目され、今後の拡大が見込まれています。これらの市場に対して、当社は液晶サインタブレット製品だけでなく、「WILL」やサイン認証等のセキュリティ技術を活かしたサインソリューションを強化し、より迅速で効率的かつ安全な業務フローソリューションを提供してまいります。ハードウェア、ソフトウェアが統合したソリューションを顧客に提供することで金融・流通分野での浸透を図り、ビジネスソリューションの事業拡大につなげてまいります。
⑦ グローバルビジネスシステムの活用により効率とスピードと収益性を向上させる
現在構築中であるグローバルサプライチェーンやグローバルe-コマース(電子商取引)をはじめとした統合ITインフラの活用により、生産から販売・顧客サポートに至るまでの効率とスピードを大幅に改善し、収益性の向上につなげてまいります。
上記戦略の実行に注力する一方で、テクノロジーソリューション事業においては、市場環境と顧客動向の変化が激しいため不確実性が高く、業績が不安定に推移すると予想されます。そのため、ユーザー層の更なる拡大を図り、今後の事業の安定性向上に取り組んでまいります。
なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は、以下のとおりであります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社グループが株主の皆様に還元する適正な利潤を獲得し、企業価値・株主共同の利益の持続的かつ中長期的な向上を実現するためには、株主の皆様はもちろん、ステークホルダーにも十分配慮した経営を行う必要があります。
当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株券等の大量買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社グループは、平成27年4月に中期経営計画「ワコム戦略経営計画 SBP-2019」を策定し、平成31年3月期に連結売上高1,200億円、連結売上高営業利益率12%、連結株主資本利益率20%以上の達成を財務目標としております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要(買収防衛策)
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、平成28年6月22日開催の第33回定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を更新しました。
本プランは、当社株式の大量買付が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との交渉の機会を確保することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。
具体的には、当社の発行済株式総数の20%以上となる株式の買付又は公開買付けを実施しようとする買付者には、必要な情報を事前に当社取締役会に提出していただきます。一方、当社は、独立性の高い(ⅰ)当社社外取締役又は(ⅱ)社外の有識者のいずれかに該当する委員3名以上で構成される独立委員会の委員を選任し、独立委員会は外部専門家等の助言を独自に得た上、買付内容の検討、株主の皆様への情報開示と当社取締役会による代替案の提示、買付者との交渉等を行います。買付者が本プランの手続を遵守しない場合や、当社の企業価値・株主共同の利益を侵害する買付であると独立委員会が判断した場合は、対抗措置の発動(買付者等による権利行使は認められないとの行使条件を付した新株予約権の無償割当ての実施)を取締役会に勧告します。
④ 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み及び本プランがいずれも基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
当社取締役会は、「当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み」についての各施策はいずれも当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させることを目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。
また、当社取締役会は、本プランは基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。その理由は以下の(イ)ないし(チ)に記載のとおりです。
(イ) 買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を全て充足しています。
(ロ) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本プランは、当社株券等に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行ったりすること等を可能とすることを目的として導入されました。
(ハ) 株主意思を重視するものであること
本プランは、当社株主総会において本プランに係る委任に関する議案が承認されることにより導入されました。
また、当社取締役会は、一定の場合に、本プランの発動の是非について、株主意思確認総会において株主の皆様の意思を確認することとしています。さらに、本プランには、有効期間を約3年間とするいわゆるサンセット条項が付されており、かつ、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において上記の委任決議を撤回する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。
(ニ)独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本プランの発動に際しては、独立性の高い社外取締役等から構成される独立委員会による勧告を必ず経ることとしています。さらに、独立委員会は、当社の費用で、独立した第三者専門家等の助言を受けることができるものとされており、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとなっております。
(ホ)当社取締役の任期は1年であること
当社の監査等委員である取締役を除く取締役の任期は1年であります。従って、毎年の株主総会での選任を通じても、本プランにつき、株主の皆様のご意向を反映させることが可能となります。
(ヘ)合理的な客観的要件の設定
本プランは、合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。
(ト)第三者専門家の意見の取得
買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、税理士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を受けることができるものとしています。
(チ)デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株券等を大量に買い付けた者の指名に基づき株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することが可能であるため、いわゆるデッドハンド型買収防衛策ではありません。また、当社は、取締役の期差任期制を採用していないため、いわゆるスローハンド型買収防衛策でもありません。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境に関するリスク
① 為替レートの変動
当社グループの製品の販売は、日本国内に関しては当社で、海外に関しては大半を海外子会社で、また、製品の生産は、そのほとんどを台湾及び中華人民共和国の外注製造会社にて行っております。現在、決済通貨は米ドル、ユーロ、日本円等ですが、そのうち米ドルによる決済額が最も大きくなっております。米ドルに関しては、主に中華人民共和国からの製品購入と、アメリカ及びアジア・オセアニア地域への製品販売の決済額をバランスさせることを基本としていますが、販売地域別の製品ラインの動向や為替変動などを総合的に勘案しつつ、為替リスクの回避に努めております。また、ユーロなどの米ドル以外の通貨に関しては、変動幅などを考慮しつつ、為替予約等の柔軟な運用により為替リスクの回避に努めております。しかしながら、為替に急激な変動がある場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業活動に関するリスク
① 業績の季節的変動
当社グループの業績は、クリスマス商戦、年末商戦や国内における年度末需要などの影響により、下期に増加する傾向があります。また、製品投入の時期によって四半期の業績が変動する可能性があります。
② 市場環境の変化
当社グループは、世界各国で販売活動を行っていることや、クリエイティブビジネスにおける主なユーザーがデザイン制作現場等のプロフェッショナルクリエイターであること、当社のテクノロジーソリューション事業の主要顧客がスマートフォンメーカー、PC・タブレットメーカーであること等から、世界各国の経済動向、グラフィックス業界の動向、PC市場動向等が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の製品は、Windows OSやMac OSに対応した製品を主力としており、製品構成上は、ハードウェアは共通であり、ドライバーソフトウェアのみが対応するOSによって異なっております。今後、当社製品が新規に登場又は普及するOSやCPU等の新しいプラットフォームへの対応に遅れた場合や、互換性確保に問題が起きた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 海外進出及び国際的活動
当社グループは、国境・地域を越えた生産、販売等を行っているため、地政学的観点から地域紛争が発生する場合や現地の労使関係に問題が発生した場合などは、生産委託先による製品の製造や物流活動、当該地域の当社子会社の販売活動等に支障を生じる可能性があります。また、他の販売地域においても地域紛争などにより販売活動が影響を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定の販売先への依存
当社グループの販売先は多岐にわたっておりますが、テクノロジーソリューション事業における主要販売先であるサムスングループに対する販売実績は、総販売実績に対し、前連結会計年度で24.9%、当連結会計年度で21.6%と比較的高い水準にあります。
サムスングループへの売上高は、サムスングループ製品の需要動向の影響を間接的に受ける可能性があります。また、サムスングループの経営戦略の変更等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、販売実績は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
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サムスン電子グループ |
18,587,403 |
24.9 |
16,771,052 |
21.6 |
⑤ 他社との競争
当社グループは、グローバル市場を指向した製品開発、マーケティングを基本戦略としていますが、特定の地域に特化した競合メーカーが、地域内シェアの獲得のために極端な市場戦略をとったり、国内産業保護政策などを利用して当社グループの参入を阻害する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、技術開発については、技術動向に留意し他社技術を積極的に評価しつつ、現行のペンタブレット技術に限定されずに進めていく必要がありますが、当社技術が短期間で陳腐化したり、ペンタブレットとは全く異なる入力手段が出現し、それが急速に普及した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 外部企業への製造依存
当社グループは前述したように、ほとんどの製品は、主として中華人民共和国の外注製造会社に生産を委託しております。生産委託先は、大量生産能力とコスト競争力に加えて、急速な需要変動に対応する供給力を備えており、当社事業戦略上の重要な位置を占めています。しかしながら、今後、生産委託先の経営上の問題、あるいは、同社工場において自然災害等の不慮の事故が発生し、製品の継続的生産が難しくなる場合、もしくは、生産委託先の工場を変更又は追加し、工場側の習熟に時間を要する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 基幹部品、部材の供給と価格
今後、プラスチックケースや汎用部品のコストが上昇したり、IC、プリント基板、液晶等の汎用基幹部品が不足する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ペンスイッチ用セラミック部品やカスタムICなど当社独自の基幹部品についても、自然災害等によりセラミックメーカーやICメーカーからの継続的供給に問題が発生するなど、供給体制に問題が生じる場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、基幹部品についてのセカンドソースの早期確保や代替部品の開発に努めておりますが、汎用部品に関しては、長期需要予測による早期部品手配などによりリスクとコストの削減を図る必要があります。なお、当社グループ又は生産委託先が調達する部品に含まれる重金属・プラスチック等の素材について、各国の法規制又は当社製品の販売先の基準等により使用又は使用量の制限等に変更がある場合には、部品・設計の変更等が必要となり、製造コストや管理コストが上昇するなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、かかる部品を含む製品を販売した後に、これらの規制又は基準が変更された場合にも、製品の取り替えが要求されるなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 製品の欠陥又は重大な品質問題
当社グループは、品質維持に万全を期しておりますが、製造物責任賠償や大規模なリコールにつながる欠陥が明らかとなった場合は、賠償金その他による多額のコスト負担はもとより、当社グループ及び当社製品への信頼・評価に深刻な影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制および訴訟等に関するリスク
① 知的財産権への抵触・侵害
当社グループは、新製品の開発・発売に際し、他社及び個人の特許権・商標権等への抵触・侵害が発生しないよう現地特許事務所等を利用して事前調査を行い、可能性が予見できる場合には回避策をとるなど、他社及び個人の知的財産権の侵害を未然に防止できるよう、万全の注意を払っております。しかしながら、各国の法制度の違いや、データベース調査の限界によって予見できないケースや、当社製品の発売後に権利化された特許権等に抵触するなどの可能性は完全に排除することはできません。そのような場合には、他社又は個人から特許権等の知的財産権の侵害としてクレームを受けたり、提訴される可能性があります。一方、他社から侵害があった場合も、クレームや訴訟等断固たる処置をとりますが、経過によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの特許権等の知的財産権の権利期間が満了したり、あるいは、特許訴訟や無効審判請求などによって特許権の権利範囲の変更や無効の判断が出された場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制等
当社製品が販売されている各国においては、電磁波規制や安全規制、製造物責任(PL)関連法等が定められています。当社グループは、法規制の動向に留意し、製品・サービスの迅速な対応に努めておりますが、新規規制の制定や規制変更に関して十分な対応がとれない場合、また、我が国又は当社製品の生産委託先国において、輸出規制又は輸入規制の変更があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、関税などの監督当局による法令の解釈、規制、税率の変更などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 独占禁止法適用等
世界主要地域において、当社グループのペンタブレット市場シェア(世界シェア:88%(期間:平成27年4月1日~平成28年3月31日 当社推定)、国内シェア:98%(期間:平成27年1月1日~12月31日 株式会社BCN調べ))がさらに拡大し、各国政府より当社グループが技術の発達や自由な競争を妨げ、市場の発展や顧客利益を損なっていると判断された場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ コンプライアンスリスク
当社グループは、国内外で事業活動をおこなっており、また、関連する法令や規則は広範囲にわたっております。国内では、会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、貿易関連諸法、環境に関係する法令等を、海外でもその地域における事業活動に関連する法令や規則を遵守することが求められております。
当社グループでは、コンプライアンス リスク コミッティやリスクホットラインを設置し、コンプライアンス推進体制を確立しております。役員及び従業員に対しては、ワコムコンプライアンス・ガイドを配付しセミナーを実施するなどして、コンプライアンスの理解を深める啓蒙活動を行うなど、コンプライアンスの全社的な徹底を図っております。
しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスクを完全に取り除くことは困難であり、関連する法令や規則の義務を実行できない事態が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスク
① 新株予約権(ストック・オプション)の付与
当社グループは、当社及び当社子会社の取締役及び従業員の経営参画意識を高めることを通じて業績向上を図るために、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、ストック・オプションを発行しており、これらのストック・オプションが行使されれば新株が発行されるため、当社の1株当たりの株式価値は希薄化したり、短期的な需給バランスの変動が生じ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、「a world alive with creativity」(創造性にあふれる活き活きとした世界)をビジョンとし、より豊かで創造的な暮らしを実現するために、自然で直感的な技術により人間のクリエイティビティを広げ、世界に貢献するグローバルリーダーを目指すことを基本方針として研究開発を推進しております。
現在の研究開発体制は、下図のとおりとなっており、活動の内容は、①基礎技術・要素技術の研究、②新製品の企画、商品化開発、③既存製品の改良・改善に大別されます。研究開発部門は、要素技術や製品のシステム構成を反映したグループによって構成されており、それぞれが地域を越えたグローバル組織として構成されています。ハードウェア関連の技術開発、製品開発は国内を中心に行い、クラウドサービスでのデジタルインク関連技術はブルガリア、ドライバーソフトウェアの開発は米国、電子サインとセキュリティー関連は英国を中心に開発しています。また、デジタルペンのOEM顧客向けカスタムデザインは台湾で行うなど、各技術の特徴・要求を考慮した組織を各地域に置き、開発活動を行っております。
新製品の企画・開発においては、マーケティングチームを交えた国際プロジェクトチーム制を採用し、地域や組織、グループの枠組みを越えて柔軟に運用しております。これらにより、グローバルスタンダードとなりうる製品を、企画・開発から市場投入まで一貫して管理し、製品仕様の向上や開発期間の短縮を可能にしております。
その他の事業に含まれるエンジニアリングソリューションについては、エンジニアリングソリューション内にエンジニアリングを置き、電気設計分野におけるCADを中心としたソフトウェア製品の企画・開発から市場投入・販売まで一貫体制を取っております。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
なお、研究開発費については、各セグメントに配分できない基礎研究費用(299,984千円)が含まれており、当連結会計年度の研究開発費の総額は4,341,672千円となっております。
① ブランド製品事業
世界の先進ユーザーのニーズを先取りして、グローバルスタンダードとなりうる製品を継続的に市場に提供するため、新規技術・新規製品の開発に積極的に取り組むとともに、ユーザーインターフェイスの分野において知的財産権の拡大を図っております。また、新たなデジタル文房具市場の開拓に向けて新規ハードウェア製品の開発やそれに連携するクラウドソリューションやデジタルインク技術の開発などに取り組んでいます。
当連結会計年度においては、クリエイティブ製品では、ペンタブレット「Intuos(インテュオス)」の新シリーズやWindows OS搭載タブレット「Cintiq Companion(シンティックコンパニオン)2」の最上位機種などを開発しました。また、次期投入予定の新製品の開発にも取り組みました。コンシューマー製品では、新たなデジタル文房具製品「Bamboo Spark (バンブースパーク)」を市場に投入し、また、「Bamboo Fineline(バンブーファインライン)2」や「Bamboo Smart(バンブースマート)」シリーズの新製品も市場投入しました。ビジネス用途向け製品では、液晶ペンタブレット「DTU(ディーティーユー)1141」を市場投入しました。さらに、当社のハードウェアと連携して活用できる「Wacom Cloud(ワコムクラウド)」などを立ち上げるとともに、デジタルインク技術である「WILL(Wacom Ink Layer Language)」を開発し、幅広いライセンス提供を開始しました。
ブランド製品事業に係る研究開発費は2,333,716千円であります。
② テクノロジーソリューション事業
ペン・センサー技術に関しては、電子書籍端末やスマートフォン市場への拡大、マルチタッチ技術に関しては、タブレット市場への強化を図るため、省力化や高速化、低コスト化、業界での標準化及びパートナーシップ強化を推進しています。
当連結会計年度においては、継続して各市場向けの新しいペンとペンコントローラICを開発し、量産出荷を開始しました。
また、アクティブES(Active Electrostatic)方式電子ペンにおける第2世代となるペン・タッチコントローラIC、小型充電式アクティブES方式ペンの開発及び量産出荷を開始し、推進しているパートナーシップ(Universal Pen Framework)への出荷も開始しました。
テクノロジーソリューション事業に係る研究開発費は1,636,480千円であります。
③ その他
製造業全般における製品設計及び設備設計の制御設計分野における開発生産性向上を実現するための、電気制御設計とハーネス設計用CADソフトウェア製品と関連ソリューションの研究開発を進めております。
当連結会計年度においては、次世代型CADと位置付けている既存の「ECAD dio(イーキャドディオ)DCX」シリーズの最新版「ECAD dio DCX R2」を開発し、販売を開始しました。
今後も市場のニーズを製品開発に活かすことで顧客満足度を高め、業務効率の向上に貢献できる製品及びソリューションの開発を進めてまいります。
その他の事業に係る研究開発費は71,492千円であります。
(1)財政状態の分析
当連結会計年度末における資産の残高は、51,566,632千円となり、前連結会計年度末と比べ109,775千円増加しました。主な変動は、ソフトウエアが1,061,524千円、ソフトウエア仮勘定が1,563,239千円増加し、現金及び預金が2,321,588千円減少したことによります。
負債の残高は、20,470,236千円となり、前連結会計年度末に比べ2,872,349千円増加しました。主な変動は、短期借入金が3,400,000千円、長期借入金が2,000,000千円増加し、買掛金が3,100,668千円減少したことによります。
純資産の残高は、31,096,396千円となり、前連結会計年度末に比べ2,762,574千円減少しました。主な変動は、親会社株主に帰属する当期純利益で2,309,514千円増加し、円高の進行に伴い為替換算調整勘定が893,216千円、剰余金の配当で2,998,951千円減少したこと、また、純資産の控除項目である自己株式が1,121,022千円増加したことによります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ5.4ポイント減少し、60.0%となりました。
(2)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(3)経営成績の分析
① 売上高及び営業利益の状況
当連結会計年度における売上高は77,568,014千円(前年同期比4.0%増)、営業利益は3,664,362千円(同40.3%減)となりました。
なお、当連結会計年度における売上高営業利益率は4.7%(前年同期は8.2%)となり、前年同期を3.5ポイント下回る結果となりました。また、売上原価は、売上の増加に伴い46,832,029千円(前年同期比5.2%増)となりました。また、売上高に対する売上原価の比率は60.4%(前年同期は59.7%)となり、前年同期を0.7ポイント上回る結果となりました。
詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。
② 営業外損益及び経常利益の状況
営業外損益は、前連結会計年度の78,057千円の費用(純額)から、112,147千円の収益(純額)となりましたが、経常利益は3,776,509千円(前年同期比37.7%減)となりました。主な要因としては、受取配当金が34,364千円(前年同期はなし)、受取賃貸料が60,474千円(前年同期は9,294千円)であったことがあげられます。
③ 特別損益及び当期純利益の状況
特別損益は、前連結会計年度の957,917千円の損失(純額)から、179,020千円の損失(純額)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,309,514千円(前年同期比33.5%減)となりました。主な要因としては、有形固定資産売却損が3,810千円(前年同期は461,483千円)、減損損失が47,933千円(前年同期はなし)であり、前年同期に計上した投資有価証券評価損316,170千円が当連結会計年度では発生しなかったことがあげられます。
また、1株当たり当期純利益金額は14.00円であり、潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額は13.99円となりました。