(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2018年4月1日から2018年6月30日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、IT市場では、IoT(モノのインターネット)による情報ネットワークの拡大やデータソースの多様化に加え、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルメディアに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。同期間の主要通貨に対する円相場では、主要各国の金融政策の違いを反映し、前年同期で平均レートを比較すると対ドルで円高、対ユーロや対中国元で円安となりました(為替変動による業績への影響は、連結売上高を約1億円押し下げ、連結営業利益を約1億円押し上げたと試算)。
このような事業環境の下、当社グループは、当期(2019年3月期)を初年度とする中期経営計画「Wacom Chapter 2」を策定し、「テクノロジー・カンパニー」としてペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りつつ、持続的な成長を目指してまいります。当第1四半期連結累計期間については、IoT、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、3D(三次元)プリンティング、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)といった成長分野において事業モデルを一段と進化させるための将来戦略を新たな経営チームの下で作り上げるとともに、経営判断の質の向上を通して生産性やコスト構造の改善など経営課題にも全社的に取り組みました。
ブランド製品事業については、お客様に創造性発揮のための最高体験をお届けするため、技術革新へ取り組むとともに顧客サービスの向上に努めました。このような中、当第1四半期連結累計期間については、クリエイティブビジネスにおいて、ディスプレイ製品の新製品の供給が市場の需要を十分に満たすことができなかったこと、モバイル製品では製品ライフサイクルの後期に入った既存製品の販売が減少したこと、ペンタブレット製品では新製品の市場浸透が遅れ気味であったことなどから、ブランド製品事業全体としての売上高は前年同期を下回る結果となりました。
テクノロジーソリューション事業については、OSプラットフォームの壁を越えてデジタルペン技術(EMR: Electro Magnetic Resonance方式、アクティブES: Active Electrostatic方式)の業界標準化に取り組むとともに、タブレット市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。このような中、当第1四半期連結累計期間については、スマートフォン向けの需要が早期化したことや、タブレット向けの売上が好調に推移したことなどから、テクノロジーソリューション事業全体としての売上高は前年同期を大幅に上回る結果となりました。
中期経営計画の経営課題に対する全社的な取り組みとしては、利益重視の経営を目指し、組織やオペレーションの改革とコスト構造の改善などに努めました。当第1四半期連結累計期間については、販管費の最適化に引き続き取り組んだことで、売上高販管費率は36.4%と前年同期と比較して6.4ポイント低下しました。また、オペレーションの効率性改善や利益性向上の観点から、稼働中のグローバル基幹業務システム(ソフトウエア資産)に対しても見直しを行い、販管費の削減につながることから一部除却を決定し、固定資産除却損(142,091千円)を計上しました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
① 財政状態
当第1四半期連結会計期間末における資産の残高は、51,520,857千円となり、前連結会計年度末と比べ611,344千円増加しました。これは主に、受取手形及び売掛金が514,161千円、商品及び製品が760,283千円、その他流動資産が977,918千円、投資その他の資産が566,997千円増加し、現金及び預金が2,327,134千円減少したことによります。
負債の残高は、29,876,602千円となり、前連結会計年度末に比べ1,635,570千円増加しました。これは主に、買掛金が2,384,559千円増加し、賞与引当金が615,902千円減少したことによります。
純資産の残高は、21,644,255千円となり、前連結会計年度末に比べ1,024,226千円減少しました。これは主に、為替換算調整勘定が47,479千円増加し、親会社株主に帰属する四半期純損失で115,446千円、剰余金の配当で974,227千円減少したことによります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.5ポイント減少し、42.0%となりました。
② 経営成績
当第1四半期連結累計期間における売上高は17,861,057千円(前年同期比11.9%増)となり、営業損失は388,499千円(前年同期は営業損失137,859千円)、経常損失は323,657千円(前年同期は経常損失45,730千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は115,446千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益172,324千円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
a. ブランド製品事業
<クリエイティブビジネス>
クリエイティブビジネスは、主な製品ラインの売上が前年同期を下回ったことから減収となりました。
○ ペンタブレット製品
「Intuos Pro(インテュオス プロ)」は、順調に売上を伸ばしました。一方で、「Intuos」は、3月に発表した新製品の市場浸透に遅れが生じたことなどが影響し売上が減少しました。また、昨年多くの新規ユーザーを獲得した新興地域向けの低価格エントリーモデル「One by Wacom(ワン バイ ワコム)」も、同様に売上が減少しました。これらの結果、ペンタブレット製品全体の売上高は前年同期を僅かながら下回りました。
○ ディスプレイ製品
液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro (ワコム シンティック プロ)」の製品ラインアップの強化を図りました。一方で、新製品の供給が市場の需要を十分に満たすことができなかったことなどから、ディスプレイ製品全体の売上高は前年同期を大幅に下回りました。
○ モバイル製品
デジタルペン搭載タブレット市場が拡大し競争環境が大きく変化するなか、主力製品である「Wacom MobileStudio Pro(ワコム モバイルスタジオ プロ)」は、製品ライフサイクルの後期に入ったことで売上が大幅に減少しました。この結果、モバイル製品全体の売上高は前年同期を大幅に下回りました。
<コンシューマビジネス>
昨年6月に発表したマイクロソフト社との共同開発によるWindows対応タブレットに最適なスタイラスペン「Bamboo Ink(バンブー インク)」は、北米を中心に売上が拡大しました。この結果、コンシューマビジネス全体の売上高は前年同期を上回る好調な結果となりました。
<ビジネスソリューション>
液晶サインタブレット製品「STU(エスティーユー)」シリーズは、北米の金融機関向けを中心に売上が大幅に拡大しました。この結果、ビジネスソリューション全体の売上高は前年同期を大幅に上回りました。
これらの結果、ブランド製品事業の売上高は9,475,758千円(前年同期比9.6%減)、セグメント利益は686,960千円(同53.8%減)となりました。
b. テクノロジーソリューション事業
<スマートフォン向けペン・センサーシステム>
主要顧客であるサムスン社からの需要の早期化により、売上高は前年同期を大幅に上回りました。
<タブレット・ノートPC向けペン・センサーシステム>
アクティブES方式デジタルペン製品は、メーカー各社から高い評価を得て需要が拡大しており、売上高は前年同期を大幅に上回りました。
これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は8,385,299千円(前年同期比58.2%増)、セグメント利益は1,049,019千円(同52.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ、2,327,134千円減少(前年同期は1,035,679千円減少)し、当第1四半期連結会計期間末では、16,829,993千円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、955,543千円(前年同期は1,204,313千円の使用)となりました。主な増加は、減価償却費582,396千円及び仕入債務の増加額2,400,172千円であり、主な減少は、税金等調整前四半期純損失462,652千円、引当金の減少額605,775千円、売上債権の増加額1,580,944千円及びたな卸資産の増加額1,190,451千円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、530,645千円(前年同期は279,152千円の使用)となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出520,667千円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、869,690千円(前年同期は123,741千円の収入)となりました。内訳は、自己株式の処分による収入21,924千円及び配当金の支払額891,614千円です。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社グループの目的である創造性にあふれる活き活きとした世界を実現し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的に向上させるためには、知的財産の拡大、付加価値の高い技術と製品の実現とともに、グローバルな企業文化の育成、競争力の高いグローバルな事業モデルの強化など長期的な事業成長と価値の向上への取組みが必要と考えています。また、その前提として、株主の皆様、お客様、取引先、従業員等のステークホルダーとの安定的な関係の構築が必要と考えています。
当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株券等の大量買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社グループは、2018年5月に新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、2022年3月期において、連結営業利益率10%、連結売上高1,000億円、連結株主資本利益率15%から20%を達成することを目標とする経営指標としております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要(買収防衛策)
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、2016年6月開催の定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を更新しました。
本プランは、当社株式の大量買付が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との交渉の機会を確保することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。
具体的には、当社の発行済株式総数の20%以上となる株式の買付又は公開買付けを実施しようとする買付者には、必要な情報を事前に当社取締役会に提出していただきます。一方、当社取締役会は独立性の高い(ⅰ)当社社外取締役、(ⅱ)社外の有識者のいずれかに該当する委員3名以上で構成される独立委員会を設置し、独立委員会は外部専門家等の助言を独自に得た上、買付内容の検討、株主の皆様への情報開示と当社取締役会による代替案の提示、買付者との交渉等を行います。買付者が本プランの手続を遵守しない場合や、当社の企業価値・株主共同の利益を侵害する買付であると独立委員会が判断した場合は、対抗措置の発動(買付者等による権利行使は認められないとの行使条件を付した新株予約権の無償割当ての実施)を取締役会に勧告します。
④ 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み及び本プランがいずれも基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
当社取締役会は、前記「当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要」についての各施策はいずれも当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させることを目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。
また、当社取締役会は、本プランは基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。その理由は以下の(イ)ないし(チ)に記載のとおりです。
(イ) 買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しています。
(ロ) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本プランは、当社株券等に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることを目的として導入されました。
(ハ) 株主意思を重視するものであること
本プランは、当社株主総会において本プランに係る委任に関する議案が承認されることにより導入されました。
また、当社取締役会は、一定の場合に本プランの発動の是非について、株主意思確認総会において、株主の皆様の意思を確認することとしています。さらに、本プランには、有効期間を約3年間とするいわゆるサンセット条項が付されており、かつ、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において上記の委任決議を撤回する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。
(ニ) 独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本プランの発動に際しては、独立性の高い社外取締役から構成される独立委員会による勧告を必ず経ることとしています。さらに、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者専門家等の助言を受けることができるものとされており、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとなっております。
(ホ) 当社取締役の任期は1年であること
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の任期を1年としております。従って、毎年の取締役の選任を通じても、本プランにつき、株主の皆様のご意向を反映させることが可能となります。
(ヘ) 合理的な客観的要件の設定
本プランは、合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。
(ト) 第三者専門家の意見の取得
買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を受けることができるものとしています。
(チ) デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株券等を大量に買付けた者が指名し、株主総会で選任された取締役により、廃止することができるものとして設計されており、いわゆるデッドハンド型買収防衛策ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、いわゆるスローハンド型買収防衛策でもありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、878,621千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。