第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2018年4月1日から2018年12月31日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、IT市場では、IoT(モノのインターネット)による情報ネットワークの拡大やデータソースの多様化に加え、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルメディアに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。なお、同期間の主要通貨に対する円相場は、各国の景気や金融・貿易政策等に対する見方を反映し、前年同期の平均レートと比較すると対ドルや対中国元で僅かに円高、対ユーロで僅かに円安となりました(為替変動による業績への影響は、連結売上高を約5億円押し下げ、連結営業利益を約5千万円押し下げたと試算)。

 

 このような事業環境の下、当社グループは、当期(2019年3月期)を初年度とする中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、「テクノロジー・カンパニー」としてペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りつつ、持続的な成長を目指してまいりました。当第3四半期連結累計期間では、IoT、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、3D(三次元)プリンティング、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)といった成長分野において、事業モデルを一段と進化させるための将来戦略を協業先とともに新たな経営チームの下で推し進め、経営判断の質の向上を通して生産性やコスト構造の改善など経営課題にも全社的に取り組みました。

 

 ブランド製品事業については、創造性発揮のための最高体験をお客様にお届けするため、技術革新へ取り組むとともに、顧客サービスの向上に努めました。当第3四半期連結累計期間では、クリエイティブビジネスにおいて、ペンタブレット製品の売上高前年同期を下回ったことなどから、ブランド製品事業全体としての売上高は、前年同期を小幅に下回る結果となりました。

 

 テクノロジーソリューション事業については、OSプラットフォームの壁を越えてデジタルペン技術(EMR:Electro Magnetic Resonance方式、アクティブES:Active Electrostatic方式)の事実上の標準化に取り組むとともに、タブレット・ノートPC市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。当第3四半期連結累計期間では、スマートフォン向けならびにタブレット・ノートPC向けにメーカー各社からの需要が増加したことなどから、テクノロジーソリューション事業全体としての売上高は、前年同期を大幅に上回る結果となりました。

 

 中期経営計画の経営課題に対する全社的な取り組みとしては、利益重視の経営を目指し、組織やオペレーションの改革とコスト構造の改善などに努めました。第1四半期連結累計期間には、オペレーションの効率性改善や利益性向上の観点から、稼働中のグローバル基幹業務システム(ソフトウエア資産)に対しても見直しを行い一部除却を決定し、固定資産除却損(142,091千円)を計上しました。また、当第3四半期連結累計期間では、研究開発費の投下時期や広告宣伝費などの費用の必要性の見極めを行い、グローバル基幹業務システムに関連した経費の削減など、販管費の最適化に引き続き取り組んだことで、売上高販管費率は26.7%と前年同期と比較して6.4ポイント低下しました。

 

 これらの結果、当第3四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

① 財政状態

当第3四半期連結会計期間末における資産の残高は、62,078,456千円となり、前連結会計年度末に比べ11,168,943千円増加しました。これは主に、受取手形及び売掛金が3,543,497千円、商品及び製品が4,996,883千円及びその他流動資産が1,970,739千円増加したことによります。

負債の残高は、36,108,438千円となり、前連結会計年度末に比べ7,867,406千円増加しました。これは主に、買掛金が6,517,887千円及び未払法人税等が2,389,802千円増加したことによります。

純資産の残高は、25,970,018千円となり、前連結会計年度末に比べ3,301,537千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益で4,332,848千円増加し、剰余金の配当で974,227千円減少したことによります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.7ポイント減少し、41.8%となりました。

 

② 経営成績

当第3四半期連結累計期間における売上高は73,733,948千円(前年同期比13.0%増)となり、営業利益は6,062,123千円(同51.3%増)、経常利益は6,045,882千円(同43.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,332,848千円(同8.9%増)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

a. ブランド製品事業

 

<クリエイティブビジネス>

クリエイティブビジネスは、商戦期に追加的な販売促進策を実施しましたが、ペンタブレット製品の売上高が前年同期を下回ったことなどから減収となりました。

 

○ ペンタブレット製品

「Wacom Intuos Pro(ワコム インテュオス プロ)」は、2017年1月の発表から約2年が経過し、販売が減速し始めたことから、前年同期の売上を僅かながら下回りました。「Wacom Intuos(ワコム インテュオス)」は、2018年3月に発表した新製品の市場浸透が進まなかったこと、また、競争環境の影響を受けたことにより売上が減少しました。新興地域において昨年多くの新規ユーザーを獲得した低価格エントリーモデル「One by Wacom(ワン バイ ワコム)」も、前年同期の売上を僅かながら下回りました。これらの結果、ペンタブレット製品全体の売上高は、前年同期を下回りました。

 

○ ディスプレイ製品

液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro(ワコム シンティック プロ)」の製品ラインアップの強化を図りました。それらの新製品の売上が、市場の需要を満たすまでに供給体制を整えたことで増加しました。一方で、既存製品の売上が減少したことから、ディスプレイ製品全体の売上高は、前年同期を小幅に上回る結果となりました。

 

○ モバイル製品

デジタルペン搭載タブレット市場が拡大し競争環境が大きく変化するなか、主力製品である「Wacom MobileStudio Pro(ワコム モバイルスタジオ プロ)」は、製品ライフサイクルの後期に入ったことで売上が大幅に減少しました。この結果、モバイル製品全体の売上高は、前年同期を大幅に下回りました。

 

<コンシューマビジネス>

マイクロソフト社との共同開発によるWindows対応タブレットに最適なスタイラスペン「Bamboo Ink(バンブー インク)」は、2017年6月の発表から1年を超え、販売が減速したことから、前年同期と比較して不調な結果となりました。この結果、コンシューマビジネス全体の売上高は、前年同期を下回りました。

 

<ビジネスソリューション>

液晶サインタブレット製品「STU(エスティーユー)」シリーズは金融機関向けを中心に、液晶ペンタブレット製品「DT(ディーティー)」シリーズは教育機関向けを中心に、それぞれ米国で好調に売上を伸ばしました。これらの結果、ビジネスソリューション全体の売上高は、前年同期を上回りました。

 

これらの結果、ブランド製品事業の売上高は35,560,511千円(前年同期比5.0%減)、セグメント利益は4,496,181千円(同17.9%減)となりました。

 

b. テクノロジーソリューション事業

 

<スマートフォン向けペン・センサーシステム>

主要顧客であるサムスン社の最新モデル向けの売上がデジタルペン製品の機能強化により増加したことや、既存モデル向けの売上も継続したことから、スマートフォン向けペン・センサーシステム全体の売上高は、前年同期を大幅に上回りました。

 

<タブレット・ノートPC向けペン・センサーシステム>

アクティブES方式デジタルペン製品の需要がメーカー各社から高い評価を得て増加したことから、タブレット・ノートPC向けペン・センサーシステム全体の売上高は、前年同期を上回りました。

 

これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は38,173,437千円(前年同期比39.4%増)、セグメント利益は7,558,455千円(同43.5%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、697,295千円減少(前年同期は4,646,313千円増加)し、当第3四半期連結会計期間末では、18,459,832千円となりました。

 

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、2,453,978千円(前年同期は5,309,550千円の収入)となりました。主な増加は、税金等調整前四半期純利益5,905,960千円及び仕入債務の増加額6,620,557千円であり、主な減少は、売上債権の増加額5,229,542千円及びたな卸資産の増加額5,206,221千円です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、2,205,094千円(前年同期は310,971千円の使用)となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出2,197,109千円です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、951,092千円(前年同期は972,301千円の使用)となりました。主な内訳は、自己株式の処分による収入21,840千円及び配当金の支払額972,932千円です。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 

(株式会社の支配に関する基本方針)

① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要

当社グループの目的である創造性にあふれる活き活きとした世界を実現し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的に向上させるためには、知的財産の拡大、付加価値の高い技術と製品の実現とともに、グローバルな企業文化の育成、競争力の高いグローバルな事業モデルの強化など長期的な事業成長と価値の向上への取組みが必要と考えています。また、その前提として、株主の皆様、お客様、取引先、従業員等のステークホルダーとの安定的な関係の構築が必要と考えています。

当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株券等の大量買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。

 

② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要

当社グループは、2018年5月に新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、2022年3月期において、連結営業利益率10%、連結売上高1,000億円、連結株主資本利益率15%から20%を達成することを目標とする経営指標としております。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要(買収防衛策)

当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、2016年6月開催の定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を更新しました。

本プランは、当社株式の大量買付が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との交渉の機会を確保することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。

具体的には、当社の発行済株式総数の20%以上となる株式の買付又は公開買付けを実施しようとする買付者には、必要な情報を事前に当社取締役会に提出していただきます。一方、当社取締役会は独立性の高い(ⅰ)当社社外取締役、(ⅱ)社外の有識者のいずれかに該当する委員3名以上で構成される独立委員会を設置し、独立委員会は外部専門家等の助言を独自に得た上、買付内容の検討、株主の皆様への情報開示と当社取締役会による代替案の提示、買付者との交渉等を行います。買付者が本プランの手続を遵守しない場合や、当社の企業価値・株主共同の利益を侵害する買付であると独立委員会が判断した場合は、対抗措置の発動(買付者等による権利行使は認められないとの行使条件を付した新株予約権の無償割当ての実施)を取締役会に勧告します。

 

④ 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み及び本プランがいずれも基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて

当社取締役会は、前記「当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要」についての各施策はいずれも当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させることを目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。

また、当社取締役会は、本プランは基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。その理由は以下の(イ)ないし(チ)に記載のとおりです。

(イ) 買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること

本プランは、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しています。

(ロ) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること

本プランは、当社株券等に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることを目的として導入されました。

(ハ) 株主意思を重視するものであること

本プランは、当社株主総会において本プランに係る委任に関する議案が承認されることにより導入されました。

また、当社取締役会は、一定の場合に本プランの発動の是非について、株主意思確認総会において、株主の皆様の意思を確認することとしています。さらに、本プランには、有効期間を約3年間とするいわゆるサンセット条項が付されており、かつ、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において上記の委任決議を撤回する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。

(ニ) 独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示

本プランの発動に際しては、独立性の高い社外取締役から構成される独立委員会による勧告を必ず経ることとしています。さらに、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者専門家等の助言を受けることができるものとされており、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとなっております。

(ホ) 当社取締役の任期は1年であること

当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の任期を1年としております。従って、毎年の取締役の選任を通じても、本プランにつき、株主の皆様のご意向を反映させることが可能となります。

(ヘ) 合理的な客観的要件の設定

本プランは、合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。

(ト) 第三者専門家の意見の取得

買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を受けることができるものとしています。

(チ) デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと

本プランは、当社の株券等を大量に買付けた者が指名し、株主総会で選任された取締役により、廃止することができるものとして設計されており、いわゆるデッドハンド型買収防衛策ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、いわゆるスローハンド型買収防衛策でもありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、2,890,321千円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。