当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2019年4月1日から2019年6月30日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、世界経済は、米中貿易摩擦の激化などによる景気後退への懸念が一層高まりを見せました。IT市場では、IoT(モノのインターネット)による情報ネットワークの拡大やデータソースの多様化に加え、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルネットワークに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。なお、同期間の主要通貨に対する円相場は、各国の景気や金融・貿易政策等に対する見方を反映し、前年同期の平均レートと比較すると対ドルでは僅かに円安、対ユーロ、対中国元でそれぞれ僅かに円高となりました(為替変動による連結業績への影響は、売上高を約1億円押し下げ、営業利益を約2億円押し下げたと試算)。
このような事業環境の下、当社グループは、前期(2019年3月期)に策定した2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「Wacom Chapter2」の達成に向け、「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」としてペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りつつ、持続的な成長を目指してまいりました。当第1四半期連結累計期間では、前期よりスタートした経営チームの下で、IoT、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)といった成長分野において、事業モデルを一段と進化させるための将来戦略を協業先とともに推し進め、経営判断の質の向上を通して生産性やコスト構造の改善など経営課題にも全社的に取り組みました。
ブランド製品事業については、創造性発揮のための最高体験をお客様にお届けするため、技術革新へ取り組むとともに、顧客サービスの向上に努めました。当第1四半期連結累計期間では、主力のクリエイティブビジネスにおいて、前期に市場投入したディスプレイ製品の新製品の拡販に努めました。しかし、コンシューマビジネスやビジネスソリューションの売上高が前年同期を下回ったことなどから、ブランド製品事業全体としての売上高は、前年同期を僅かに下回る結果となりました。
テクノロジーソリューション事業については、OSプラットフォームの壁を越えてデジタルペン技術(EMR:Electro Magnetic Resonance、アクティブES:Active Electrostatic)の事実上の標準化に取り組むとともに、タブレット・ノートPC市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。当第1四半期連結累計期間では、タブレット・ノートPC向けにメーカー各社からの需要が増加しましたが、スマートフォン向けへの需要のタイミングが前年同期より後ろ倒しとなったことなどから、テクノロジーソリューション事業全体としての売上高は、前年同期を小幅に下回る結果となりました。
中期経営計画の経営課題に対する全社的な取り組みとしては、利益重視の経営を目指し、組織やオペレーションの改革とコスト構造の改善などに努めました。当第1四半期連結累計期間には、開発エンジニアリングやオペレーション(資材調達、生産管理等)において事業間の垣根を超えた連携を図りました。そして、米国の対中追加関税問題に対する施策の一つとして、当社の生産委託先による中国を中心とした生産および当地よりグローバルな販売拠点へ輸出する体制に対し、小規模な製品ラインの生産を中国以外に移管する取り組みを始めました。また、中期経営計画における全社戦略の1つである「テクノロジー・リーダーシップ」を推進するため研究開発費への積極投資を行いつつ、一方で、それ以外の費用については必要性の見極めを行うなど販管費の最適化に引き続き取り組みました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
① 財政状態
当第1四半期連結会計期間末における資産の残高は、51,562,665千円となり、前連結会計年度末に比べ11,558千円増加しました。これは主に、受取手形及び売掛金が1,428,485千円、IFRSを適用している在外連結子会社でのIFRS第16号「リース」適用等に伴い有形固定資産が859,451千円、投資その他の資産が417,684千円それぞれ増加し、商品及び製品が1,329,327千円及び現金及び預金が1,283,912千円減少したことによります。
負債の残高は、27,646,830千円となり、前連結会計年度末に比べ1,523,677千円増加しました。これは主に、買掛金が2,084,564千円増加し、賞与引当金が746,007千円減少したことによります。
純資産の残高は、23,915,835千円となり、前連結会計年度末に比べ1,512,119千円減少しました。これは主に、為替換算調整勘定が413,320千円、親会社株主に帰属する四半期純損失で119,411千円及び剰余金の配当で974,551千円減少したことによります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.9ポイント減少し、46.4%となりました。
② 経営成績
当第1四半期連結累計期間における売上高は17,100,007千円(前年同期比4.3%減)となり、営業損失は259,054千円(前年同期は営業損失388,499千円)、経常損失は516,810千円(前年同期は経常損失323,657千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は119,411千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失115,446千円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの業績をより適切に反映させるために、全社費用の配賦基準を見直し、事業セグメントの利益又は損失の算定方法の変更を行っております。前年同期のセグメント情報については、変更後の算定方法により作成したものを使用しております。
a. ブランド製品事業
<クリエイティブビジネス>
クリエイティブビジネスは、ディスプレイ製品の売上高が前年同期を大幅に上回ったことなどから増収となりました。
○ ペンタブレット製品
「Wacom Intuos Pro(ワコム インテュオス プロ)」は、2019年5月にコンパクトサイズの「Wacom Intuos Pro Small(ワコム インテュオス プロ スモール)」を発表しましたが、既存モデルの販売が引き続き減速したことなどから、前年同期の売上を下回りました。中低価格帯モデル「Wacom Intuos(ワコム インテュオス)」は、競争環境の影響を受けたことにより売上が停滞しました。低価格エントリーモデル「One by Wacom(ワン バイ ワコム)」は、中国を中心に好調な販売を継続し前年同期の売上を大幅に上回りました。これらの結果、ペンタブレット製品全体の売上高は、前年同期を下回りました。
○ ディスプレイ製品
前期に市場投入した液晶ペンタブレットのプロ向けモデルならびにエントリーモデルの各新製品の拡販に努めました。2019年1月に発表したエントリーモデル「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)」の16インチサイズモデルの売上が貢献したことにより、ディスプレイ製品全体の売上高は、前年同期を大幅に上回る結果となりました。
○ モバイル製品
デジタルペン搭載タブレット市場が拡大し競争環境が大きく変化するなか、主力製品である「Wacom MobileStudio Pro(ワコム モバイルスタジオ プロ)」は、製品ライフサイクルの後期に入ったことで売上は引き続き停滞しました。この結果、モバイル製品全体の売上高は、前年同期を大幅に下回りました。
<コンシューマビジネス>
マイクロソフト社との共同開発によるWindowsタブレットでのデジタルインク活用に最適なスタイラスペンの第2世代として、「Bamboo Ink(バンブー インク)」と「Bamboo Ink Plus(バンブー インク プラス)」を2019年6月に発表しました。しかし、当第1四半期連結累計期間での売上回復に至らず引き続き停滞しました。この結果、コンシューマビジネス全体の売上高は、前年同期を大幅に下回りました。
<ビジネスソリューション>
デジタルペンとインクを活用した業務のペーパーレス化、効率化を進める金融機関など法人向けに液晶サインタブレットならびに液晶ペンタブレットの拡販に努めました。しかし、液晶サインタブレット「STU(エスティーユー)」シリーズの売上が米国で減少したことにより前年同期を大幅に下回りました。この結果、ビジネスソリューション全体の売上高は、前年同期を下回りました。
これらの結果、ブランド製品事業の売上高は9,161,331千円(前年同期比3.3%減)、セグメント損失は206,870千円(前年同期はセグメント損失13,561千円)となりました。
b. テクノロジーソリューション事業
<スマートフォン向けペン・センサーシステム>
主要顧客であるサムスン社からの需要のタイミングが前年同期より後ろ倒しとなったことから、スマートフォン向けペン・センサーシステム全体の売上高は、前年同期を大幅に下回りました。
<タブレット・ノートPC向けペン・センサーシステム>
タブレット・ノートPCメーカー各社からアクティブES方式デジタルペン製品への高い評価を得たことから、タブレット・ノートPC向けペン・センサーシステム全体の売上高は、前年同期を小幅に上回りました。
これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は7,938,676千円(前年同期比5.3%減)、セグメント利益は912,952千円(同7.6%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、1,283,912千円減少(前年同期は2,327,134千円減少)し、当第1四半期連結会計期間末には15,478,814千円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、678,583千円(前年同期は955,543千円の使用)となりました。これは、当第1四半期連結累計期間において仕入債務の増加額2,179,753千円、たな卸資産の減少額1,059,762千円及び減価償却費631,196千円などの収入要因が、売上債権の増加額2,060,216千円、引当金の減少額731,720千円及び税金等調整前四半期純損失516,087千円などの支出要因を上回ったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、563,445千円(前年同期は530,645千円の使用)となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出563,014千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,030,354千円(前年同期は869,690千円の使用)となりました。主な内訳は、配当金の支払額949,259千円であります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社グループの目的である創造性にあふれる活き活きとした世界を実現し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的に向上させるためには、知的財産の拡大、付加価値の高い技術と製品の実現とともに、グローバルな企業文化の育成、競争力の高いグローバルな事業モデルの強化など長期的な事業成長と価値の向上への取組みが必要と考えています。また、その前提として、株主の皆様、お客様、取引先、従業員等のステークホルダーとの安定的な関係の構築が必要と考えています。
当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株券等の大量買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社グループは、2018年5月に新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、2022年3月期において、連結営業利益率10%、連結売上高1,000億円、連結株主資本利益率15%から20%を達成することを目標とする経営指標としております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社株式の大量買付を実施しようとする買付者には、大量買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断を行うために必要かつ十分な情報の提供を求め、情報開示を行います。また、買付者から提供された情報について当社取締役会の意見等の開示を行うなど、金融商品取引法、会社法、その他関係法令の範囲内で、適切な措置を講じます。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、1,060,010千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。