文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「創造性に満ちた世界のために、私たちが提供できる技術」として「手書きだからこそ伝えられる気持ち」、「手書きでなくては磨き上げられないアイデア」を、デジタルの力でサポートしてまいりました。この理念の下で更に飛躍すべく、新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、「テクノロジー・リーダーシップ」、「アイランド&オーシャン」、「エクストリーム・フォーカス」という3つの全社戦略を柱とします。
①テクノロジー・リーダーシップ
当社ではこれまで磨いてきた技術を改めて重視し、「技術を通じて市場での主導権を発揮する」ことを、「Wacom Chapter2」における最も大切な方針と位置付けています。具体的には、デジタルペンを中心としたコアの技術とコアを取り巻く新技術の取り込みに対する投資を増やし、製品開発に携わる技術者(エンジニア)だけでなく、お客様との窓口にエンジニアを再配置し、お客様との対話を充実させニーズを正確に汲み取り、最高の技術を提供することで最高の感動を届けます。
②アイランド&オーシャン
デジタルペンやデジタルインクの普及に伴い、「手書き」に対する市場の関心が高まる中、当社グループ全体の成長を導いていく戦略として「深耕と普及」を掲げます。「アイランド」は特定のお客様に最高の技術と品質で最高の感動を届ける「深耕」戦略を意味し、「オーシャン」はデジタルペン及びデジタルインクで当社グループの技術を市場全体へ拡大する「普及」戦略を意味します。二つの戦略を使い分けつつ、ブランド製品事業とテクノロジーソリューション事業が、市場へのアプローチにおいて目指すべき方向性を明らかにし、各々の事業の垣根を越えて緊密な連携を図ります。これにより新たな知見を生み出しやすくすることで、イノベーションの加速を推進します。また、2022年3月期連結売上高の1割程度を目安に新たな事業領域を開拓し、持続的な成長を達成する基盤づくりを並行して進めていきます。
③エクストリーム・フォーカス
会社の限られた経営資源を効率的、効果的に活用するため「大胆な選択と集中」を行います。お客様との対話を促す活動や技術革新への投資を積極的に行う一方で、それ以外の投資を最適化することで、安定的に利益を生み出す「利益重視の経営」を目指します。
(2)経営環境
世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響を受け、その成長予測は相当な不確実性を伴っています。2020年後半から経済活動は徐々に回復に向かうとの見方があるものの、一方、感染拡大の長期化や再発などから、経済見通しのリスクは下向きであるとの見方もあり、世界経済の先行きは依然不透明な状況にあります。これらの情勢を背景に、企業業績に与える影響の大きい今後の為替相場の動向についても、対ドル、対ユーロともに不透明感があります。一方、IT市場を中心とする事業環境については、IoTによるデータソースの多様化、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルネットワークなどの技術革新に伴う情報処理の低価格化、利用の容易化がさらに進んでいくことが見込まれております。
(3)目標とする経営指標
このような状況下、前述の3つの戦略を柱に、2022年3月期までに、連結売上高1,000億円、連結営業利益率10%、連結株主資本利益率15%から20%の達成を財務目標とします。(想定為替レート:1ドル105円、1ユーロ130円)
(4)会社の対処すべき課題
①「テクノロジー・リーダーシップ」の推進
a. 最高技術責任者(CTO)による牽引
チーフテクノロジーオフィサー(CTO)のリーダーシップと戦略推進チーム(CTOオフィス)との協働により、基幹技術の開発に加えて、AI(人工知能)やVR(仮想現実)/MR(複合現実)などの先端技術との融合、新しい技術の創出といった技術の方向性(ロードマップ)を提示し、「テクノロジー・リーダーシップ」を牽引します。
b. エンジニアの増員と研究開発投資の引き上げ
エンジニアの採用を強化し増員を図るとともに、お客様の窓口となる組織へエンジニアを再配置し、お客様の声を製品開発に反映させます。また、持続的な成長の観点から、コアとなる基礎技術の革新や先端技術との融合にも注力すべく、研究開発投資を積極的に行いイノベーションを加速させます。
c. 品質管理体制の見直しと強化
品質管理体制の強化と相互牽制体制強化のため、品質管理部門をCEOの直下に配置し、製品開発から製造工程に至る各段階において、相互に機能を高め合う体制を整備します。
また、出荷後の製品に対する品質モニタリング・システムと分析データの活用により、お客様の満足度向上と、製品設計の安定化促進や循環的な品質向上プロセスの強化を図ります。
d. デジタルインクのビッグデータへの活用
当社のデジタルペンから生み出されるデジタルインク(データ)は、「いつ、誰が、どこで、どんな状況で、どのような思いでこれを描(書)いたのか」という人間の軌跡を表すビッグデータであると認識し、インターネット技術やビッグデータとの組み合わせにより、AIやVR/MRといった最先端技術との連携を推進し、新しいデジタルペンの体験と価値を提供することを目指します。
②「アイランド&オーシャン」による緊密な連携
a. 「アイランド&オーシャン」戦略の背景
大手グローバルIT企業を中心に、パソコン、スマートフォン、タブレットなどの様々なデバイスにデジタルペンを付属させる動きが強まる中、中長期的にデジタルペンとデジタルインクを取り巻く市場への爆発的な普及期の到来に備え、プロフェッショナルユーザーを中心とするクリエイティビティ発揮のための最高品質体験を追求する深耕戦略(アイランド)と、デジタルペンとデジタルインクの技術のデファクトスタンダード化(事実上の標準化)を推し進める普及戦略(オーシャン)を使い分け、グループ全体の持続的な成長を目指します。
b. 創造性を追求するお客様へ最高のソリューションを提供(アイランド)
プロフェッショナルユーザーを対象としたクリエイティブビジネスの市場でも、3D(三次元)技術の利用を含めた映画、コミックやゲームアプリケーションなどのデジタルコンテンツ製作が増加し、新興国を中心に新規参入企業が増加しています。このような潮流に対し、3Dプログラム/アプリケーション操作に対応した製品をリリースするなど、ユーザーのニーズに即した製品をいち早く市場に投入するとともに、圧倒的な品質と最高のサービスを提供することで、競争優位を維持していきます。VR向け3Dモデリングツールを開発する英国のソフトウェア会社Gravity Sketch Limited(グラビティ・スケッチ)に投資し、VR/MRなど先端技術との融合を目指していますが、今後、外部の技術を取り込むオープンイノベーションを通じた製品の共同開発も進めていきます。個々のお客様との密接な相互コミュニケーション実現のため、Wacom IDを導入し、きめ細かなカスタマーサポートを提供し、当社グループが提供するクラウドサービス(Inkspace)や電子商取引サービス(Marketplace)と共に、お客様のクリエイティブ活動を強力にサポートするワークフローを提案します。
c. デジタルペンとデジタルインク技術の業界標準化(オーシャン)
当社グループの強みであるデジタルペンとデジタルインクの技術を活用し、パートナーとして関連市場に参入している大手グローバルIT企業と共に、当該技術の業界標準確立を目指しています。この一環として、2014年から当社のデジタルペンが他社の機器上でも作動する「ユニバーサル・ペン・フレームワーク(UPF)」を推進し、OEM各社や主要IT企業とともに互換性の確保に努めてきた結果、デジタルペン「Bamboo Ink」をコンシューマ向けの市場に導入し、Windowsデバイスにおいて初めて互換性を実現しました。今後さらに、オペレーティングシステム(OS)に左右されないデジタルペン向けカートリッジの量産体制を確立し、文具メーカーのデジタル化の動きなど他業界の新規市場の創出を支援、促進するビジネスを活性化させていきます。また、デジタル文具の普及や市場の発展推進のために設立した非営利団体「デジタルステーショナリーコンソーシアムインク(DSC)」を通じて、OS間の垣根を越えた互換性を実現するデジタルインク技術「WILL™(Wacom Ink Layer Language)」の普及を推進しており、ビッグデータとしてのビジネス用途拡大の可能性を軸に、新しい価値の創造と普及を加速させていきます。
③「エクストリーム・フォーカス」に基づく行動の徹底
a. 利益重視の経営
お客様との対話を起点に、最高の体験を届けるために必要か否かを判断基準とし、経営資源の大胆な選択と集中を進めます。エンジニアの増員や研究開発に関する投資を積極的に行うと同時に、費用の最適化を通じて全体のコスト構造の改善につなげ、適切な売上成長との組み合わせにより安定的な利益を生み出す「利益重視の経営」を目指します。
b. パートナー企業との関係強化
研究開発、資材調達、生産、流通、販売・マーケティング、アフターサービス等の各オペレーションにおいて、パートナー企業との関係強化を図ります。各パートナー企業との関係構築を通じて、より広範で深い知見を共有しオペレーション品質の向上を図ります。
c. グローバルビジネスシステムプロジェクトに関する今後の方針
2016年4月に欧米の子会社での運用を開始した新基幹システムの稼働について一部の投資資産の減損処理を第34期に行いました。現在、日本及びアジア地域の子会社を中心に稼働している基幹システムと欧米で稼働を始めた新基幹システムが併存した運用体制となっています。グローバル組織に対応したグローバルビジネスシステムを運用することの有効性は変りませんが、中期経営計画においては基幹システムの変更に伴う大規模なシステム投資は想定しておらず、最適なシステムのあり方を検討し、実現可能性を追求してまいります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月29日)現在において、当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)経営環境に関するリスク
①為替レートの変動
当社グループの製品の販売は、日本国内に関しては当社で、海外に関しては大半を海外子会社で、また、製品の生産は、中国を中心とした外注製造会社にて行っております。現在、決済通貨は米ドル、ユーロ、日本円等ですが、そのうち米ドルによる決済額が最も大きくなっております。米ドルに関しては、主に中国からの製品購入と、アメリカ及びアジア・オセアニア地域への製品販売の決済額をバランスさせることを基本としていますが、販売地域別の製品ラインの動向や為替変動などを総合的に勘案しつつ、為替リスクの回避に努めております。また、ユーロなどの米ドル以外の通貨に関しては、変動幅などを考慮しつつ、為替予約等の柔軟な運用により為替リスクの回避に努めております。しかしながら、為替に急激な変動がある場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業活動に関するリスク
①業績の季節的変動
当社グループの業績は、年末商戦や国内における年度末需要などの影響により、下期に増加する傾向があります。また、製品投入の時期によって四半期の業績が変動する可能性があります。
②市場環境の変化
当社グループは、世界各国で販売活動を行っていることや、クリエイティブビジネスにおける主なユーザーがデザイン制作現場等のプロフェッショナルクリエイターであること、当社のテクノロジーソリューション事業の主要顧客がスマートフォンメーカー、ノートPC・タブレットメーカーであること等から、世界各国の経済動向、グラフィックス業界の動向、PC市場動向等が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の製品は、Windows OSやMac OSに対応した製品を主力としており、製品構成上は、ハードウェアは共通であり、ドライバーソフトウェアのみが対応するOSによって異なっております。今後、当社製品が新規に登場又は普及するOSやCPU等の新しいプラットフォームへの対応に遅れた場合や、互換性確保に問題が起きた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、市場環境の著しい悪化に伴い、当社グループが保有する固定資産の収益性が低下した場合には、減損損失の計上により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③海外進出及び国際的活動
当社グループは、国境・地域を越えた生産、販売等を行っているため、地政学的観点から地域紛争が発生する場合や現地の労使関係に問題が発生した場合などは、生産委託先による製品の製造や物流活動、当該地域の当社子会社の販売活動等に支障を生じる可能性があります。その他、主要な海外市場における経済情勢の悪化、競争激化、移転価格税制等の国際税務リスクが発生した場合においても、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④特定の販売先への依存
当社グループの販売先は多岐にわたっておりますが、テクノロジーソリューション事業の総販売実績に対する、主要販売先であるサムスングループへの販売実績の割合は、前連結会計年度は21.4%、当連結会計年度は24.7%であります。
サムスングループへの売上高は、サムスングループ製品の需要動向の影響を間接的に受ける可能性があります。また、サムスングループの経営戦略の変更等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤他社との競争
当社グループは、グローバル市場を指向した製品開発、マーケティングを基本戦略としていますが、特定の地域に特化した競合メーカーが、地域内シェアの獲得のために極端な市場戦略をとったり、国内産業保護政策などを利用して当社グループの参入を阻害する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、技術開発については、技術動向に留意し他社技術を積極的に評価しつつ、現行のペンやインクのデジタル技術に限定されずに進めていく必要がありますが、当社技術が短期間で陳腐化したり、想定していなかった新たな入力手段が出現し、それが急速に普及した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、技術的環境の著しい悪化に伴い、当社グループが保有する固定資産の収益性が低下した場合には、減損損失の計上により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥外部企業への製造依存
当社グループにとって生産委託先は、大量生産能力とコスト競争力に加えて、急速な需要変動に対応する供給力を備えており、当社事業戦略上の重要な位置を占めております。前述のとおり、中国を中心とした外注製造会社に生産を委託しているなか、一部製品ラインの生産については中国以外の地域に移管するなど、コスト面にも配慮しつつ生産委託先の最適化・分散化を進めております。しかしながら、今後、生産委託先の経営上の問題、あるいは、生産委託先の工場において自然災害等の不慮の事故が発生し、製品の継続的生産が難しくなる場合、もしくは、生産委託先の工場を変更又は追加し、工場側の習熟に時間を要する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦基幹部品、部材の供給と価格
今後、プラスチックケースや汎用部品のコストが上昇したり、IC、プリント基板、液晶等の汎用基幹部品が不足する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ペンスイッチ用セラミック部品やカスタムICなど当社独自の基幹部品についても、自然災害等によりセラミックメーカーやICメーカーからの継続的供給に問題が発生するなど、供給体制に問題が生じる場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、基幹部品についてのセカンドソースの早期確保や代替部品の開発に努めておりますが、汎用部品に関しては、長期需要予測による早期部品手配などによりリスクとコストの削減を図る必要があります。なお、当社グループ又は生産委託先が調達する部品に含まれる重金属・プラスチック等の素材について、各国の法規制又は当社製品の販売先の基準等により使用又は使用量の制限等に変更がある場合には、部品・設計の変更等が必要となり、製造コストや管理コストが上昇するなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、かかる部品を含む製品を販売した後に、これらの規制又は基準が変更された場合にも、製品の取替えが要求されるなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧製品の欠陥又は重大な品質問題
当社グループは、品質維持に万全を期しておりますが、製造物責任賠償や大規模なリコールにつながる欠陥が明らかとなった場合は、賠償金その他による多額のコスト負担はもとより、当社グループ及び当社製品への信頼・評価に深刻な影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨人材の確保
当社グループは、企画、開発、設計、製造、販売、サービス等の各機能に必要な人材確保にグローバルで努めております。しかしながら労働市場における人材の獲得競争は激化しており、有能な人材の採用や雇用の継続が困難になった場合は、研究開発に十分な資源を投入できないことによる製品競争力の低下や労働力不足による製品の安定供給への支障など、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、有能な人材が流出してしまった場合には、今後の事業展開に制約を受けることとなり、その結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩情報セキュリティ
当社グループは、コンピューターウイルス等によるサイバー攻撃に対しての備えとして、IT環境の整備・強化や社員の情報リテラシー(情報活用能力)を高めるため定期的な教育等の対応を継続的に行っておりますが、想定外の攻撃によるリスクは残るものと考えております。そのため、外部からのサイバー攻撃やコンピューターウイルスの侵入等によるデータの棄損や漏洩を完全に防止できるものではなく、被害の規模により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪自然災害と事故等
当社グループでは、自然災害・事故等の発生に備えたリスク管理を実施しておりますが、大地震等の大規模自然災害や火災等の突発的な事故が発生した場合や、製造設備の損害等によりサプライチェーン全体へ支障が生じるおそれがあり、被害の規模により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型の感染症等が拡大した場合も同様に、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に拡大しておりますが、収束の時期についての見通しは立っておらず、業績に与える影響を合理的に予測することは困難であります。
(3)法的規制及び訴訟等に関するリスク
①知的財産権への抵触・侵害
当社グループは、新製品の開発・発売に際し、他社及び個人の特許権・商標権等への抵触・侵害が発生しないよう現地特許事務所等を利用して事前調査を行い、可能性が予見できる場合には回避策をとるなど、他社及び個人の知的財産権の侵害を未然に防止できるよう、万全の注意を払っております。しかしながら、各国の法制度の違いや、データベース調査の限界によって予見できない場合や、当社製品の発売後に権利化された特許権等に抵触するなどの可能性は完全に排除することはできません。そのような場合には、他社又は個人から特許権等の知的財産権の侵害としてクレームを受けたり、提訴される可能性があります。一方、他社から侵害があった場合も、クレームや訴訟等断固たる処置をとりますが、経過によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの特許権等の知的財産権の権利期間が満了したり、あるいは、特許訴訟や無効審判請求などによって特許権の権利範囲の変更や無効の判断が出された場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
②法的規制等
当社製品が販売されている各国においては、電磁波規制や安全規制、製造物責任(PL)関連法等が定められています。当社グループは、法規制の動向に留意し、製品・サービスの迅速な対応に努めておりますが、新規規制の制定や規制変更に関して十分な対応がとれない場合、また、我が国又は当社製品の生産委託先国において、輸出規制又は輸入規制の変更があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、関税などの監督当局による法令の解釈、規制、税率の変更などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③独占禁止法適用等
世界主要地域において、当社グループのペンタブレット市場シェア(国内シェア:98.9%(期間:2019年1月1日~12月31日 株式会社BCN調べ)※)がさらに拡大し、各国政府より当社グループが技術の発達や自由な競争を妨げ、市場の発展や顧客利益を損なっていると判断された場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(※)世界シェアについては、公表されたデータがないため、記載しておりません。
④機密情報及び個人情報の管理
当社グループは、事業上の重要情報及び事業活動の過程で入手した個人情報や顧客、取引先、提携先等の機密情報を保有しておりますが、昨今、国内外においてはGDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)に代表される個人情報を主体とする各種情報の保護に対する法令の制定が進んでおり、その遵守のためのルール整備や情報システムの強化が求められております。当社グループにおいても、関係法令遵守のため、当社グループの個人情報保護方針を明示し、社内規程類の整備と運用及び社員への教育を行っておりますが、万一、不測の事態によってこれらの情報が漏洩した場合や、違反に対する当局からの制裁金や訴訟による損害賠償金等を支払うこととなった場合は、被害の規模により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤コンプライアンス
当社グループは、国内外で事業活動を行っており、また、関連する法令や規則は広範囲にわたっております。国内では、会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、知的財産法、情報管理・個人情報保護法、労働法、貿易・環境規制など、海外でもその地域における事業活動に関連する法令や規則を遵守することが求められております。
当社グループでは、コンプライアンス リスク コミッティや第三者が運営する内部通報制度であるWacom Speak-up Lineを設置し、コンプライアンス推進体制を確立しております。役員及び従業員に対しては、ワコム倫理・行動規範を社内ポータルサイトに掲示し、定期的なオンライン教育やセミナーを実施するなどして、コンプライアンスの全社的な徹底を図っております。
しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスクを完全に取り除くことは困難であり、関連する法令や規則の義務を実行できない事態が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、世界経済は、米中貿易摩擦の激化などにより貿易と投資が低迷したことに加え、2020年に入り新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により経済活動が著しく制限されたことから、景気に深刻な悪影響を及ぼしました。IT市場では、IoT(モノのインターネット)による情報ネットワークの拡大やデータソースの多様化に加え、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルネットワークに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。なお、同期間の主要通貨に対する円相場は、各国の景気や金融・貿易政策等に対する見方を反映し、前年同期の平均レートと比較すると対ドルでは僅かに円高、対ユーロ、対中国元ではそれぞれ小幅に円高となりました(為替変動による連結業績への影響は、売上高を約22億円押し下げ、営業利益を約9億円押し下げたと試算)。
このような事業環境の下、当社グループは、前期(2019年3月期)に策定した2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「Wacom Chapter2」の達成に向け、「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」としてペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りつつ、持続的な成長を目指してまいりました。当連結会計年度では、前期よりスタートした経営チームの下で、IoT、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)といった成長分野において、事業モデルを一段と進化させるための将来戦略を協業先とともに推し進め、経営判断の質の向上を通して生産性やコスト構造の改善など経営課題にも全社的に取り組みました。
ブランド製品事業については、創造性発揮のための最高体験をお客様にお届けするため、技術革新に取り組むとともに、顧客サービスの向上に努めました。当連結会計年度では、主力のクリエイティブビジネスにおいて、ディスプレイ製品の新製品の拡販に努めましたが、ペンタブレット製品などの販売が前年同期を下回ったことにより同ビジネスの売上高は前年同期を僅かに下回りました。さらに、コンシューマビジネスとビジネスソリューションの売上高も前年同期を下回ったことから、ブランド製品事業全体としての売上高は、前年同期を小幅に下回りました。
テクノロジーソリューション事業については、デジタルペン技術(EMR:Electro Magnetic Resonance、アクティブES:Active Electrostatic)の事実上の標準化に取り組むとともに、タブレット・ノートPC市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。当連結会計年度では、タブレット・ノートPC向けの売上が前年同期を僅かに下回りましたが、スマートフォン向けの売上が前年同期を上回ったことなどから、テクノロジーソリューション事業全体としての売上高は、前年同期を僅かに上回りました。
中期経営計画の経営課題に対する全社的な取り組みとしては、利益重視の経営を目指し、組織やオペレーション(資材調達、生産管理等)の改革とコスト構造の改善などに努め、開発エンジニアリングやオペレーションにおいて事業間の垣根を越えた連携を図りました。そして、中国を中心とした当社の生産委託先による生産体制に対し、一部製品ラインの生産を中国以外に移管するなどの最適化に取り組みました。また、株式会社NTTドコモの「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」のメンバーとして第5世代移動通信システム(5G)を使った仮想空間デザインの提案を行うなど中期経営計画における全社戦略の一つである「テクノロジー・リーダーシップ」を推進するため研究開発費への積極投資を行いました。一方で、それ以外の費用については必要性の見極めを行うなど販管費の最適化に引き続き取り組みました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における資産の残高は、51,155,703千円となり、前連結会計年度末に比べ395,404千円減少しました。これは主に、現金及び預金が4,778,741千円及び機械装置及び運搬具(純額)が490,889千円増加し、商品及び製品が4,060,066千円、無形固定資産のその他が981,191千円、原材料及び貯蔵品が457,273千円及び流動資産のその他が163,694千円減少したことによります。
負債の残高は、23,420,929千円となり、前連結会計年度末に比べ2,702,224千円減少しました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が2,000,000千円、買掛金が1,247,598千円及び流動負債のその他が464,416千円増加し、長期借入金が4,000,000千円及び短期借入金が2,500,000千円減少したことによります。
純資産の残高は、27,734,774千円となり、前連結会計年度末に比べ2,306,820千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益で3,917,486千円増加し、為替換算調整勘定が636,140千円及び剰余金の配当で974,551千円減少したことによります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ4.9ポイント増加し、54.2%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における売上高は88,579,866千円(前年同期比1.0%減)となり、営業利益は5,566,709千円(同34.1%増)、経常利益は5,194,262千円(同25.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,917,486千円(同1.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、4,778,741千円増加(前年同期は2,394,401千円減少)し、当連結会計年度末には21,541,467千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、13,057,842千円(前年同期は1,054,298千円の収入)となりました。これは、当連結会計年度において税金等調整前当期純利益4,859,512千円、たな卸資産の減少額4,162,233千円及び減価償却費2,620,085千円などの収入要因が、法人税等の支払額722,620千円などの支出要因を上回ったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,959,907千円(前年同期は2,436,540千円の使用)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,724,518千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、5,824,509千円(前年同期は951,481千円の使用)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出4,000,000千円、短期借入金の返済による支出2,500,000千円、長期借入れによる収入2,000,000千円及び配当金の支払額972,371千円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ブランド製品事業(千円) |
20,374,802 |
71.8 |
|
テクノロジーソリューション事業 (千円) |
30,026,205 |
99.7 |
|
合計(千円) |
50,401,007 |
86.2 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ブランド製品事業(千円) |
90,784 |
158.7 |
|
テクノロジーソリューション事業 (千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
90,784 |
158.7 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ブランド製品事業(千円) |
42,587,052 |
93.7 |
|
テクノロジーソリューション事業 (千円) |
45,992,814 |
104.4 |
|
合計(千円) |
88,579,866 |
99.0 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
サムスン電子グループ |
19,144,343 |
21.4 |
21,899,720 |
24.7 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.サムスン電子グループには、主に、Samsung Electronics Japan Co., Ltd.、Samsung Electronics Suzhou Computer Co., Ltd.、Samsung Electronics Co., Ltd.が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
当社グループのセグメントごとの業績に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの業績をより適切に反映させるために、全社費用の配賦基準を見直し、事業セグメントの利益又は損失の算定方法の変更を行っております。前年同期のセグメント情報については、変更後の算定方法により作成したものを使用しております。
◎ ブランド製品事業
<クリエイティブビジネス>
クリエイティブビジネスは、ペンタブレット製品の売上高が前年同期を下回ったことなどから僅かに減収となりました。
○ ペンタブレット製品
「Wacom Intuos Pro(ワコム インテュオス プロ)」は、既存モデルが発表から3年が経過し、販売が減速したことなどから、前年同期の売上を下回りました。中低価格帯モデル「Wacom Intuos(ワコム インテュオス)」は、競争環境の影響を受けたことにより売上が前年同期を下回りました。低価格モデル「One by Wacom(ワン バイ ワコム)」は、中国を中心に好調な販売を維持し前年同期の売上を大幅に上回りました。これらの結果、ペンタブレット製品全体の売上高は、前年同期を下回りました。
○ ディスプレイ製品
前期に市場投入した液晶ペンタブレットの各新製品のほか、2019年7月には「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)22」、2020年1月には「Wacom One(ワコム ワン)液晶ペンタブレット13」を発表して拡販に努め、エントリーモデルが中心となって売上に貢献しました。これらの結果、ディスプレイ製品全体の売上高は、前年同期を上回りました。
○ モバイル製品
デジタルペン搭載タブレット市場が拡大し競争環境が大きく変化するなか、Windows 10搭載クリエイティブタブレット「Wacom MobileStudio Pro 16」を2019年10月に、「Wacom MobileStudio Pro 13」を2019年12月に発表し、製品ラインアップを更新しました。既存モデルの売上が停滞したことから、モバイル製品全体の売上高は、前年同期を大幅に下回りました。
<コンシューマビジネス>
マイクロソフト社との共同開発によるWindowsタブレットでのデジタルインク活用に最適なスタイラスペンの第2世代として、「Bamboo Ink(バンブー インク)」と「Bamboo Ink Plus(バンブー インク プラス)」を2019年6月に発表しましたが、売上は引き続き停滞しました。この結果、コンシューマビジネス全体の売上高は、前年同期を大幅に下回りました。
<ビジネスソリューション>
デジタルペンとインクを活用した業務のペーパーレス化、効率化を進める金融機関など法人向けに液晶サインタブレット並びに液晶ペンタブレットの拡販に努めました。しかし、市場動向や競争環境の変化による影響を受けたことなどに伴い、液晶サインタブレット「STU(エスティーユー)」シリーズの売上が米国で減少し、前年同期を下回りました。この結果、ビジネスソリューション全体の売上高は、前年同期を下回りました。
これらの結果、ブランド製品事業の売上高は42,587,052千円(前年同期比6.3%減)、セグメント利益は1,706,386千円(同6.3%減)となりました。また、在庫水準の適正化を図ったことなどにより、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ6,664,455千円減少の12,456,365千円となりました。
◎ テクノロジーソリューション事業
<スマートフォン向けペン・センサーシステム>
主要顧客であるサムスン社の最新モデル向けの売上増加により、スマートフォン向けペン・センサーシステム全体の売上高は、前年同期を上回りました。
<タブレット・ノートPC向けペン・センサーシステム>
タブレット・ノートPCメーカー各社からアクティブES方式デジタルペン製品への高い評価を得ております。タブレット・ノートPC向けペン・センサーシステム全体の売上高は、主要顧客群への販売は増加しつつも前年同期を僅かに下回りました。
これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は45,992,814千円(前年同期比4.4%増)、セグメント利益は7,650,091千円(同14.9%増)となりました。また、在庫水準の適正化を図ったことなどにより、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ816,528千円減少の9,751,363千円となりました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による当連結会計年度での当社グループの事業活動への影響及び取り組みについては、下記のとおりであります。
ブランド製品事業では、当第4四半期連結会計期間(2020年1~3月期)において、新製品に対する導入・販促活動が十分に展開できなかったこと、営業活動が制限されたことなどから、主にクリエイティブビジネスのディスプレイ製品やモバイル製品の販売に悪影響を及ぼしました。一方で、家庭でのオンライン教育の環境整備が進んだことなどにより、クリエイティブビジネスのペンタブレット製品において低価格モデルへの需要が見られました。
テクノロジーソリューション事業では、当第4四半期連結会計期間(2020年1~3月期)において、生産、サプライチェーンオペレーションに困難をきたしたこと、営業活動が制限されたことなどから、主にタブレット・ノートPC向けペン・センサーシステムの販売に悪影響を及ぼしました。
全社的な取り組みとしては、全世界的に、在宅勤務(テレワーク)の実施等柔軟な勤務体制を敷くことで、従業員の安全確保、感染拡大防止に向けた社会的責任の遂行を図りました。なお、財務施策面からは、当連結会計年度末において金融機関との間で30億円(前連結会計年度末よりも10億円の増額)のコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性も確保しております。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社グループは、これらのリスクに対して、継続的にモニタリングを行って現状把握に努めるとともに、低減・回避等の対応に努めております。なお、当連結会計年度末現在において、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載されたリスクに関する重要な事象等は存在しておりません。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、AI(人工知能)やVR(仮想現実)/MR(複合現実)分野といった成長市場に対応した新製品や次世代デジタルペン技術にかかる研究開発費、量産出荷のための金型設備投資、コーポレート部門における業務効率向上のためのITシステム投資です。なお、設備もしくはシステムとして資産計上される資本的支出の規模は、毎期20億円~25億円程度を目安としております。当連結会計年度においては、製品量産用金型や自動組立機への投資などがあり、総額約18億円となりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金調達、資金運用等に関する取り組み方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)」に記載のとおりであります。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、約90億円(借入金85億円、リース負債約5億円)であります。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、約215億円であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り項目特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、会計上の見積りを行うに際して使用した重要な仮定は、合理的であると判断しております。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループが保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。減損損失の認識にあたり使用する回収可能価額の算定にあたっては、将来キャッシュ・フローを適正な割引率で割り引いた使用価値等様々な仮定を用いております。市場環境の変化や競合その他の理由によって事業の収益性が低下し、保有する固定資産が十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額します。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が会計上の見積りに与える影響については、将来の業績の不確実性の程度が会計上の見積りに与える感応度は低い状況であると判断し、評価時点において入手可能な情報に基づく最善の見積りを行っております。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年3月期を初年度とする新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、その最終年度である2022年3月期において以下の経営指標を達成することを目標としております。
(収益性) 連結営業利益率 10%
(事業規模) 連結売上高 1,000億円
(資本効率) 連結株主資本利益率 15~20%
当連結会計年度においては、連結営業利益率6.3%(前年同期は4.6%)、連結売上高886億円(前年同期比1.0%減)、連結株主資本利益率14.7%(前年同期は16.0%)となりました。引き続きこれらの指標について改善されるよう取り組んでまいります。
該当事項はありません。
当社グループは、中期経営計画「Wacom Chapter2」の達成に向け、「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」としてペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りつつ、また、持続的な成長を目指し、IoT、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)といった成長分野においても研究開発を推進しております。
当社グループの研究開発体制は、下図のとおりとなっており、活動の内容は、①基礎技術・要素技術の研究、②新製品の企画、商品化開発、③既存製品の改良・改善に大別されます。研究開発部門は、要素技術や製品のシステム構成を反映したグループによって構成されており、それぞれが地域を越えたグローバル組織として構成されています。ハードウェア関連の技術開発、製品開発は国内を中心に行い、クラウドサービスでのデジタルインク関連技術はブルガリア、ドライバーソフトウェアの開発は米国、デジタルサインとセキュリティ関連は英国を中心に開発しています。また、デジタルペンのOEM顧客向けカスタムデザインは台湾でも行うなど、各技術の特徴・要求を考慮した組織を各地域に置き、開発活動を行っております。
新製品の企画・開発においては、製品企画、開発担当に加えて、品質、SCM、マーケティングを交えたプロジェクトチーム制を採用し、地域や組織を越えて柔軟に運用しております。これらにより、グローバルスタンダードとなりうる製品を、企画・開発から市場投入まで一貫して管理し、製品仕様の向上や品質の確保、開発期間の短縮を可能にしております。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
なお、研究開発費については、各セグメントに配分できない基礎研究費用(52,607千円)が含まれており、当連結会計年度の研究開発費の総額は
①ブランド製品事業
世界の先進ユーザーのニーズを先取りして、グローバルスタンダードとなりうる製品を継続的に市場に提供するため、新規技術・新規製品の開発に積極的に取り組むとともに、ユーザーインターフェイスの分野において知的財産権の拡大を図っております。また、急速に普及しつつあるVRコンテンツのデザインに対応する当社独自のVR空間内での描画ソリューションの開発や、ペンの性能と書き心地のさらなる追求のための次世代ペン技術の開発にも取り組んでおります。
クリエイティブビジネスにおいては、ディスプレイ製品では、2019年7月に「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)22」、2020年1月に「Wacom One(ワコム ワン)液晶ペンタブレット13」を発表するなど、エントリーモデルのラインアップ拡大と強化に取り組みました。ペンタブレット製品では、2019年5月にコンパクトサイズのプロ向けペンタブレット「Wacom Intuos Pro Small(ワコム インテュオス プロ スモール)」を、モバイル製品では、2019年10月に「Wacom MobileStudio Pro 16」、12月に「Wacom MobileStudio Pro 13」を発表し、製品ラインアップを更新しました。
コンシューマビジネスにおいては、2019年6月に、Windows10デバイスでのデジタルインク活用に最適な第2世代のスマートスタイラスペン「Bamboo Ink(バンブー インク)」と「Bamboo Ink Plus(バンブー インク プラス)」を発表しました。
ビジネスソリューションにおいては、フルサイズのドキュメントを縦長又は横長で表示したりサインを行ったりできる、高性能液晶ペンタブレット「DTK-1660E」を発表しました。当社独自のサイン認証技術「GSV(General Signature Verification)」の開発を推進しております。
さらに、デジタルインク技術である「WILL(Wacom Ink Layer Language)」の開発を継続しております。
ブランド製品事業に係る研究開発費は
②テクノロジーソリューション事業
EMR(Electro Magnetic Resonance)方式ペン・センサー技術に関しては、スマートフォン市場に加えて文教ソリューション及びデジタル文具市場の開拓を図るべく技術開発とソリューション提供を実施しました。アクティブES(Active Electrostatic)方式デジタルペン技術とタッチ技術については、タブレットや 2 in 1 システムでの搭載を拡大し、加えてフォルダブルディスプレイへの搭載に向けての開発にも取り組んでおります。また、OEM顧客のシステムへ当社技術を搭載していくことに加え、ITエコシステムの中で当社ペン技術が「事実上の標準」として位置付けられるように、OS等のプラットフォームパートナーと共にペンのレベルを進化させていく共同取り組みを実施しており、より付加価値の高いソリューションを顧客へご提供できるように取り組んでおります。
テクノロジーソリューション事業に係る研究開発費は