第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行は、今後の経過によっては、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があり、引き続き今後の状況の変化を注視してまいります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2020年4月1日から2020年12月31日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響により経済活動が著しく制限されたことから第1四半期連結会計期間(2020年4~6月期)に深刻な景気後退に陥りました。その後、各国での経済活動の再開と中国での経済成長による緩やかな回復は見られましたが、当第3四半期連結会計期間(2020年10~12月期)に入り、先進国を中心に同感染症が再び拡大したことから回復が失速するなど依然として先行き不透明な状況が続きました。このような情勢下、IT市場では、IoT(モノのインターネット)による情報ネットワークの拡大やデータソースの多様化に加え、世界各地で人の移動制限によりモバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルネットワークの重要性が高まり、それらに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。なお、同期間の主要通貨に対する円相場は、各国の景気や金融・貿易政策等に対する見方を反映し、前年同期の平均レートと比較すると対ドル及び対中国元では僅かに円高、対ユーロでは僅かに円安となりました(為替変動による連結業績への影響は、売上高を約19億円押し下げ、営業利益を約3億円押し下げたと試算)。

 

このような事業環境の下、当社グループは、2019年3月期に策定した2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「Wacom Chapter2」の達成に向け、「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」としてペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りつつ、持続的な成長を目指してまいりました。当第3四半期連結累計期間では、2019年3月期よりスタートした経営チームの下で、IoT、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)といった成長分野において、事業モデルを一段と進化させるための将来戦略を協業先とともに推し進め、経営判断の質の向上を通して生産性やコスト構造の改善など経営課題にも全社的に取り組みました。

 

ブランド製品事業については、創造性発揮のための最高体験をお客様にお届けするため、技術革新に取り組むとともに、顧客サービスの向上に努めました。当第3四半期連結累計期間では、主力のクリエイティブソリューションにおいてディスプレイ製品及びペンタブレット製品を中心に販売を伸ばしたことなどから、ブランド製品事業全体としての売上高は、前年同期を上回りました。

 

テクノロジーソリューション事業については、デジタルペン技術(アクティブES:Active Electrostatic、EMR:Electro Magnetic Resonance)の事実上の標準化に取り組むとともに、タブレット・ノートPC市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。当第3四半期連結累計期間では、EMRテクノロジーソリューション他の売上高が堅調に推移したことなどから、テクノロジーソリューション事業全体としての売上高は、前年同期を上回りました。

 

中期経営計画の経営課題に対する全社的な取り組みとしては、利益重視の経営を目指し、組織やオペレーション(資材調達、生産管理等)の改革とコスト構造の改善などに努め、開発エンジニアリングやオペレーションにおいて事業間の垣根を越えた連携を図りました。一方で、販管費については必要性の見極めを行うなど最適化に引き続き取り組みました。また、11月にはアート、テクノロジー、文房具、教育などの異業種・異文化パートナーが参加するコミュニティイベント「Connected Ink(コネクテッド・インク)2020」を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策を施した国内外の会場をオンラインで結ぶハイブリッドな形式で24時間にわたり開催し、最新のデジタルトランスフォーメーション及びインク・テクノロジーと多様なエコシステム・パートナーとの組み合わせにより生み出されるコミュニティを通じて未来の社会のために活動する新たな試みを始めました。

(注)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行による当社グループの事業活動への影響及び取り組みについては、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況 <新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響及び取り組み>」をご覧ください。

 

これらの結果、当第3四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

① 財政状態

当第3四半期連結会計期間末における資産の残高は、71,107,742千円となり、前連結会計年度末に比べ19,952,039千円増加しました。これは主に、現金及び預金が8,621,798千円、商品及び製品が5,623,657千円及び売掛金が4,279,334千円増加したことによります。

負債の残高は、34,891,644千円となり、前連結会計年度末に比べ11,470,715千円増加しました。これは主に、買掛金が8,231,260千円、未払法人税等が2,278,386千円及び賞与引当金が2,094,285千円増加し、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が2,000,000千円減少したことによります。

純資産の残高は、36,216,098千円となり、前連結会計年度末に比べ8,481,324千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益で9,404,103千円増加し、剰余金の配当で1,136,976千円減少したことによります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ3.3ポイント減少し、50.9%となりました。

 

② 経営成績

当第3四半期連結累計期間における売上高は85,194,481千円(前年同期比20.0%増)となり、営業利益は12,773,317千円(123.6%増)、経常利益は12,573,841千円(130.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は9,404,103千円(同117.6%増)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

なお、事業環境の変化に適合したより適切な業績説明を行うため、第1四半期連結会計期間より、各セグメントの業績説明におけるカテゴリーの範囲、名称及び記載順を一部変更しております。

 

a. ブランド製品事業

 

<クリエイティブソリューション>

クリエイティブソリューションは、ディスプレイ製品及びペンタブレット製品の売上高が前年同期を大幅に上回ったことなどから、大幅な増収となりました。

 

○ ディスプレイ製品

「Wacom Cintiq Pro(ワコム シンティック プロ)」は、営業活動の制約、経年等により、前年同期の売上高を大幅に下回りました。一方で、前期に発表したエントリーモデル「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)22」、「Wacom One(ワコム ワン)液晶ペンタブレット13」を中心に拡販に努めました。これらの結果、ディスプレイ製品全体の売上高は、前年同期を大幅に上回りました。

 

○ ペンタブレット製品

「Wacom Intuos Pro(ワコム インテュオス プロ)」は、営業活動の制約、経年等の影響がある中、前年同期の売上高を上回りました。また、オンライン教育及びテレワークの普及に伴う需要増加により、「Wacom Intuos(ワコム インテュオス)」、「One by Wacom(ワン バイ ワコム)」は、いずれも前年同期の売上高を大幅に上回りました。これらの結果、ペンタブレット製品全体の売上高は、前年同期を大幅に上回りました。

 

○ モバイル製品他

デジタルペン搭載タブレット市場が拡大し競争環境が大きく変化するなか、前第3四半期連結会計期間に発表したWindows 10搭載クリエイティブタブレット「Wacom MobileStudio Pro(ワコム モバイルスタジオ プロ)」の寄与により、モバイル製品の売上高は、前年同期を僅かに上回りました。一方で、モバイル製品以外のスタイラスペン製品を中心とした売上高は、前年同期を大幅に下回りました。これらの結果、モバイル製品他全体の売上高は、前年同期を下回りました。

 

<ビジネスソリューション>

液晶サインタブレット「STU(エスティーユー)」シリーズの売上高は、営業活動の制約が生じ、前年同期を大幅に下回りました。この結果、ビジネスソリューション全体の売上高は、前年同期を下回りました。

 

これらの結果、ブランド製品事業の売上高は44,478,702千円(前年同期比37.7%増)、セグメント利益は8,366,097千円(同463.7%増)となりました。

 

b. テクノロジーソリューション事業

 

<AESテクノロジーソリューション>

生産、サプライチェーンオペレーションの制限があった中、AESテクノロジーソリューション全体の売上高は、前年同期を僅かに上回りました。アクティブES方式デジタルペン製品については、OEM(相手先ブランド名製造)提供先のメーカー各社から引き続き高い評価を得ております。

 

<EMRテクノロジーソリューション他>

OEM提供先のメーカー向けの売上高は、全体として増加しました。この結果、EMRテクノロジーソリューション他全体の売上高は、前年同期を上回りました。

 

これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は40,715,779千円(前年同期比5.2%増)、セグメント利益は7,897,004千円(同11.1%増)となりました。

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響及び取り組み>

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行による当第3四半期連結累計期間での当社グループの事業活動への影響及び取り組みについては、下記のとおりであります。

ブランド製品事業では、当第3四半期連結累計期間において、新製品に対する導入・販促活動が十分に展開できず、また、営業活動が制約されました。特に後者については、主にビジネスソリューションやクリエイティブソリューションのプロ向けのディスプレイ製品の販売に影響を及ぼしました。一方で、家庭でのオンライン教育の志向の高まりなどにより、主にクリエイティブソリューションのペンタブレット製品の中低価格帯モデル(「Wacom Intuos」、「One by Wacom」)に加えて、ディスプレイ製品のエントリーモデル(「Wacom Cintiq」、「Wacom One 液晶ペンタブレット13」)の販売が好調に推移しました。

テクノロジーソリューション事業では、当第3四半期連結累計期間において、生産、サプライチェーンオペレーションが制限されたことや法人向けPC需要の一部伸び悩みなどから、主にAESテクノロジーソリューションの業績に影響を及ぼしました。

全社的な取り組みとしては、全世界的に、テレワークの実施等柔軟な勤務体制を継続することで、従業員の安全確保、感染拡大防止に向けた社会的責任の遂行を図りました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、5,483,798千円増加(前年同期は2,424,131千円増加)し、当第3四半期連結会計期間末には27,025,265千円となりました。

 

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、13,877,433千円(前年同期は10,080,321千円の収入)となりました。これは、当第3四半期連結累計期間において税金等調整前四半期純利益12,519,408千円及び仕入債務の増加額8,123,680千円などの収入要因が、たな卸資産の増加額5,933,257千円などの支出要因を上回ったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、4,221,323千円(前年同期は1,741,772千円の使用)となりました。主な内訳は、定期預金の預入による支出3,138,000千円及び有形固定資産の取得による支出886,379千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、3,945,030千円(前年同期は5,735,603千円の使用)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出2,000,000千円、配当金の支払額1,136,291千円及び短期借入金の返済による支出500,000千円であります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、3,285,091千円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。