当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行は、今後の経過によっては、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があり、引き続き今後の状況の変化を注視してまいります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下、世界経済はロシア・ウクライナ情勢に起因した地政学的緊張の高まりに加えて、エネルギーや食料価格の高騰と主要国での中央銀行の金融引き締めによる金利上昇、ウイルスの変異株台頭による感染の再拡大による影響もあったことなどから、経済成長の減速が見られました。このような情勢下、IT市場では、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルネットワークの重要性が高まり、それらに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。なお、同期間の主要通貨に対する円相場は、各国の景気や金融・貿易政策等に対する見方を反映し、前年同期の平均レートと比較すると対ドル及び対中国元では円安、対ユーロでも小幅に円安となりました(為替変動による連結業績への影響は、売上高を約124億円押し上げ、営業利益を約11億円押し上げたと試算)。
このような事業環境の下、当社グループは、2021年5月12日に発表した2025年3月期を最終年度とする中期経営方針「Wacom Chapter3」に則って、引き続きペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握り、「意味深い成長(財務的な成長だけではなく、私たちのお客様が製品・サービスのユーザー体験を通じて感じる成長であり、私たちが日々の暮らしを営む社会やコミュニティ全体が新たな学びを積み重ねていくことであり、一人一人の自己実現を通じた成長で構成される多面的な意味を持つ成長)」を目指して事業運営にあたりました。当第3四半期連結累計期間では、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)、教育といった成長分野において、事業モデルを一段と進化させるための戦略を協業パートナーと推し進めるとともに、生産性やコスト構造の改善にも全社的に努め、経営判断の質の向上を通して経営課題に取り組みました。
ブランド製品事業については、創造性発揮のための最高体験をお客様にお届けするため、技術革新に取り組むとともに、顧客サービスの向上に努めました。当第3四半期連結累計期間では、主力のクリエイティブソリューションにおいてプロ向けディスプレイ製品の販売は伸ばしましたが、ディスプレイ製品、ペンタブレット製品ともに中低価格帯モデルの販売が減少したことなどから、ブランド製品事業全体としての売上高は、前年同期を下回りました。
なお、製品ポートフォリオ強化の一環としてプロ向けディスプレイ製品の新製品を2022年9月に発表しました。
テクノロジーソリューション事業については、デジタルペン技術(アクティブES:Active Electrostatic、EMR:Electro Magnetic Resonance)の事実上の標準化に取り組むとともに、タブレット・ノートPC市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。当第3四半期連結累計期間では、AESテクノロジーソリューション及びEMRテクノロジーソリューション他ともに売上高が前年同期を上回ったことから、テクノロジーソリューション事業全体としての売上高は、前年同期を上回りました。
中期経営方針の戦略軸に沿った全社的な取り組みとしては、株式会社セルシス(アートスパークホールディングス株式会社は、その子会社である株式会社セルシスと2022年9月1日付で合併し、商号を株式会社セルシスに変更しております。以下、セルシス)との資本業務提携及び第三者割当増資の引受けを2022年4月11日開催の取締役会において決議しました。セルシスは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至る事業を推進し、イラスト・マンガ・アニメーション制作アプリを当社ペンタブレット製品へ付属するなど、20年以上におよぶ協業の歴史を当社と共有しております。当業務提携により教育など特定用途に向けたクリエイティブ創作体験の共同開発、デジタル著作権管理や創作にまつわる権利保護に向けた技術の実装とサービス運営の検討などを行ってまいります(詳細は、2022年4月11日付公表の「アートスパークホールディングス株式会社との資本業務提携及び第三者割当増資の引受けに関するお知らせ」をご参照ください)。成長の促進を図るため、新たなコア技術やビジネスモデルの開発への積極的な投資を行うとともに、2022年11月には、人間の創造性の源に思いを馳せ、アート、教育、テクノロジーなど多様な領域のパートナーと共創する「創造的混沌」をテーマとしたコミュニティイベント「Connected Ink(コネクテッド・インク)2022」を開催しました。最新のデジタルインク・テクノロジーを駆使した教育向けAIやクリエイターの権利保護、メタバース空間での創作の可能性など、多様な分野でのパートナーとの取り組みを発表しました。
また、当社では、ベトナムでの生産の増加が見込まれることから、安定的な生産の確保と品質の維持を担保するため、ベトナムに生産管理、品質維持のための子会社を当社全額出資により設立することを、2022年9月28日開催の取締役会において決議しました。
(注)当社グループの事業活動への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における影響及び取り組み、並びにロシア・ウクライナ情勢による影響及び取り組みについては、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況 <新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における事業活動への影響及び取り組み>、<ロシア・ウクライナ情勢による事業活動への影響及び取り組み>」をご覧ください。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
① 財政状態
当第3四半期連結会計期間末における資産の残高は、77,503,534千円となり、前連結会計年度末に比べ4,171,060千円増加しました。これは主に、商品及び製品が5,257,150千円、原材料及び貯蔵品が3,135,335千円、投資その他の資産が3,059,935千円増加し、現金及び預金が8,561,928千円減少したことによります。
負債の残高は、34,415,894千円となり、前連結会計年度末に比べ4,586,472千円増加しました。これは主に、短期借入金が7,000,000千円増加し、未払法人税等が1,512,416千円減少したことによります。
純資産の残高は、43,087,640千円となり、前連結会計年度末に比べ415,412千円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益で3,675,546千円、為替換算調整勘定が490,219千円増加、自己株式が138,994千円減少し、剰余金の配当で3,179,516千円、自己株式の消却等に伴い資本剰余金が1,274,577千円減少、その他有価証券評価差額金が267,998千円減少したことによります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ3.7ポイント減少し、55.6%となりました。
② 経営成績
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が84,020,701千円(前年同期比3.5%増)、営業利益は4,296,747千円(同65.2%減)、経常利益は4,851,269千円(同62.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,675,546千円(同61.8%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
a. ブランド製品事業
<クリエイティブソリューション>
クリエイティブソリューションは、プロ向けディスプレイ製品の販売を伸ばしましたが、ディスプレイ製品、ペンタブレット製品ともに中低価格帯モデルの販売が減少したことなどから、前年同期の売上高を下回りました。
○ ディスプレイ製品
「Wacom Cintiq Pro(ワコム シンティック プロ)」は、営業活動を活発に行い、前年同期の売上高を上回りました。また、2022年9月にはプロ向け大型モデル「Wacom Cintiq Pro 27」を発表しました。「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)」は、需要に落ち着きが見られたことなどから、前年同期の売上高を下回りました。「Wacom One(ワコム ワン)液晶ペンタブレット13」も同様に、前年同期の売上高を下回りました。これらの結果、ディスプレイ製品全体の売上高は、前年同期を小幅に下回りました。
○ ペンタブレット製品
「Wacom Intuos Pro(ワコム インテュオス プロ)」は、経年等の影響があるなか、営業活動を活発に行いましたが、前年同期の売上高を下回りました。「Wacom Intuos(ワコム インテュオス)」は、経年に加え、需要に落ち着きが見られたことなどから、前年同期の売上高を大幅に下回りました。「One by Wacom(ワン バイ ワコム)」も同様に、前年同期の売上高を大幅に下回りました。これらの結果、ペンタブレット製品全体の売上高は、前年同期を大幅に下回りました。
○ モバイル製品他
デジタルペン搭載タブレット市場が拡大し競争環境が大きく変化するなか、Windows 10搭載クリエイティブタブレット「Wacom MobileStudio Pro(ワコム モバイルスタジオ プロ)」は、前年同期の売上高を大幅に下回りました。また、モバイル製品以外のスタイラスペン製品を中心とした売上高は、前年同期を下回りました。これらの結果、モバイル製品他全体の売上高は、前年同期を下回りました。
<ビジネスソリューション>
流動的な市況や案件進捗の動向の影響があるなか、ビジネスソリューション全体の売上高は、前年同期を僅かに下回りました。
これらの結果、ブランド製品事業の売上高は33,484,374千円(前年同期比20.4%減)、セグメント損失は1,310,243千円(前年同期はセグメント利益8,870,984千円)となりました。
b. テクノロジーソリューション事業
<AESテクノロジーソリューション>
OEM提供先のメーカー各社から引き続き高い評価を得ており、AESテクノロジーソリューション全体の売上高は、前年同期を上回りました。
<EMRテクノロジーソリューション他>
OEM提供先の製品ポートフォリオの変化が奏功し、EMRテクノロジーソリューション他全体の売上高は、前年同期を大幅に上回りました。
これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は50,536,327千円(前年同期比29.1%増)、セグメント利益は9,223,689千円(同37.7%増)となりました。
<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における事業活動への影響及び取り組み>
当第3四半期連結累計期間での当社グループの事業活動への影響及び取り組みについては、以下のとおりであります。
ブランド製品事業では、当第3四半期連結累計期間において、前年同期と比べて落ち着きが見られた需要が、クリエイティブソリューションのディスプレイ製品やペンタブレット製品の中低価格帯モデルの販売に影響を及ぼしました。さらに、中国でのゼロコロナ政策の徹底と一部地域でのロックダウンの実施などを受けて、中国での販売にも影響を及ぼしました。
テクノロジーソリューション事業では、当第3四半期連結累計期間において、中国でのゼロコロナ政策の徹底と一部地域でのロックダウンの実施を受けて、生産サプライチェーンオペレーションの制約などがありましたが、AESテクノロジーソリューション及びEMRテクノロジーソリューション他の業績に与える影響は軽微でありました。
全社的な取り組みとしては、全世界的に、テレワークの実施等柔軟な勤務体制を継続することで、コロナ禍後の新しい働き方の在り方を検討するとともに、従業員の安全確保、感染拡大防止に向けた社会的責任の遂行を図りました。
<ロシア・ウクライナ情勢による事業活動への影響及び取り組み>
当第3四半期連結累計期間での当社グループの事業活動への影響及び取り組みについては、以下のとおりであります。
当社グループは、ロシア及びウクライナに事業拠点を有しておらず、また、金融や物流等の困難な状況を鑑み、2022年3月期の第4四半期連結会計期間(2022年1~3月期)に、同地域への直接的な出荷を一時停止しました。当第3四半期連結累計期間においては、ウクライナ向けの出荷を再開しましたが、両国での売上実績は前年同期を大幅に下回りました。なお、前年同期における、連結売上高に対する両国での売上高の割合は、約1%であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、8,561,928千円減少(前年同期は14,316,506千円減少)し、当第3四半期連結会計期間末には13,226,933千円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、9,140,125千円(前年同期は3,387,740千円の使用)となりました。これは、当第3四半期連結累計期間において棚卸資産の増加額8,106,902千円及び法人税等の支払額4,030,056千円などの支出要因が、税金等調整前四半期純利益4,638,957千円などの収入要因を上回ったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,736,501千円(前年同期は1,245,565千円の使用)となりました。主な内訳は、投資有価証券の取得による支出1,601,321千円及び有形固定資産の取得による支出968,102千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、2,094,475千円(前年同期は10,402,063千円の使用)となりました。内訳は、短期借入れによる収入7,000,000千円、配当金の支払額3,175,977千円、自己株式の取得による支出1,167,911千円及びリース負債の返済による支出561,637千円であります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、4,969,112千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。