第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は「企業の永続的な発展を追究し、適正な利益を確保することにより、企業を取巻く利害関係者と共に成
長する企業を目指して、薄膜技術で世界の産業科学に貢献する。」ことを経営理念とし、

①社員の創造性を重視し、常に独創的な薄膜技術を世界の市場に送る。

②直販体制を採用し、ユーザーニーズに対応した製品をタイムリーに提供する。

③事業が社会に果たす役割を積極的に認識し、高い付加価値を目標とし、株主、取引先、役員、従業員に対し、適切な成果の配分をする。

を経営方針に掲げ、事業を展開しております。

 

(2)目標とする経営指標

当社は中期的にも収益力の高い企業であり続けようと考えております。装置製造原価率(装置製造原価/販売価格)50%未満としながら売上高を拡大していくことにより売上高営業利益率20%以上を目指しております。売上高の拡大のため、研究開発機市場と生産機市場のそれぞれに対応した製品の拡販に努めるとともに、中期的には海外売上高比率を50%以上に引き上げる方針であります。

 

(3)経営環境及び優先的に対処すべき課題等

今後の経営環境につきましては、変異株による新型コロナウイルス感染症流行の長期化や、地政学的リスクの高まりによる資源・食料価格の高騰、欧米諸国での政策金利の引き上げ、為替変動リスクなど、予断を許さない経済状況が続くことが予想されます。その一方で、当社の主たる事業領域である化合物半導体及び電子部品製造装置のマーケットでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)、自動運転、AI(人工知能)、ロボット、量子コンピューター等の技術革新の進展に伴い、関連企業は設備投資に対して積極的な姿勢を示しております。

このような中にあって、当社は、「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」という経営理念のもと、研究開発型企業として成長してきた高度な技術力に更に磨きをかけると同時に、蓄積した技術を生産機市場で活かすことで、事業規模の拡大を図っております。加えて、当社のコアテクノロジーである「薄膜技術」は医療、バイオ、環境といったライフサイエンス及びエネルギー分野に活かすことが可能であり、中期的には当社の新規事業、新分野として成長させることを目指し、積極的に事業を展開してまいります。

こうした状況を踏まえ、中期経営計画 第44期~第46期(2022年8月1日~2025年7月31日)において“グローバル中堅企業へ”をスローガンとし、次の課題に取り組んでまいります。

 

“グローバル中堅企業”としての姿~中期経営計画より~

・世界中で自由にビジネスを展開し、自社の独自技術を活かし、質の高い製品とサービスを提供し続ける。

・コア技術(薄膜技術)をベースに、参入障壁の高い領域において、特定の製品で圧倒的シェアを有すること

 で、自ら製品に値付けができる力を持ち、高い収益力を維持し続ける。

・売上の規模を求めるだけでなく、継続的に利益を稼げる市場に特化、集中する。

・組織体制は少数精鋭のプロ集団である。

・適正な税金を納め、国家や地域の発展に貢献する。

 

① クラスターツールシステムの拡販

クラスターツールシステムとは、搬送プラットフォームを中心に複数の反応室を接続できる量産用のシステムであり、エッチング工程向けに2021年12月に販売を開始いたしました。当社は非シリコン分野の材料加工のリーディングカンパニーとして本システムを拡販し、量産機市場で複数のトップシェア商品を持つことにより、飛躍的な業容の拡大を目指します。

第44期においては、クラスターツールシステムの販売に特化した専門部隊を新設するとともに、本システムの生産拠点及び体制を整備いたします。

 

② 海外販売の拡大

当社の事業を成長軌道に乗せるため、将来の成長期待の高い海外への事業展開を積極的に行っております。引き続き現地の営業・サービス人員を強化するとともに、本社からのサポート体制を充実させ、海外市場の開拓を図ってまいります。北米、台湾、中国、韓国の既存主要顧客との繋がりを維持、強化しながら、欧州、インド等の新たなマーケットの確立により、海外売上高比率50%以上を目指してまいります。

③ 生産体制の拡充

売上高の増加に対応し、生産体制の拡充を行います。

当社の製造に関しては、自社の企画設計により協力会社に製造を委託し、製品出荷前に調整、性能・品質検査を行い販売しております。生産量の拡大に伴い、出荷前検査の自社工場スペースの拡大と、新規協力会社の開拓及び既存協力工場の活用を進めてまいります。

 

④ 成膜装置販売の強化

2020年7月に第2生産技術棟内に開設した成膜装置(CVD装置、ALD装置等)のデモルームの活用によりプロセス開発を強化し、国内外企業からのサンプルのデモ処理や、大学・研究機関・企業など社外との共同研究により、顧客との連携を拡大していく計画であります。

 

⑤ 新規事業の立上げ

現在の製品群であるCVD装置、エッチング装置、洗浄装置を新たな事業領域へ展開し、新規事業として業績へ寄与させることを目指しております。具体的には、第38期よりヘルスケア分野へ進出し、医療分野における滅菌装置の開発、及び医療計測分野におけるヘルスケアチップの加工装置の開発・販売を行っております。

また、新たなマーケット開拓のため、本社ナノ薄膜開発センター、米国オプトフィルムス研究所での研究開発、国内外の大学や各種クラスターとの共同研究の継続により、薄膜事業に関連する新規事業を創出し、成長を加速させてまいります。

 

⑥ 更なる成長に向けた人材育成・活用

当社にとって最大の資産は人材であります。既存の人材を強化・育成し、新たに優秀な人材を獲得することが当社の企業価値を決定し、成長の大きな原動力となります。第41期より課題として人材育成の強化に着手しており、外部講師を招いた「部長塾」や「課長塾」、主任・係長向けの「成長塾」を開催し、中長期的な幹部候補の育成に注力するとともに、65歳以上になっても働き続けられる会社を目指し、シニア社員が十分社会に貢献できるような再教育にも取り組んでまいります。

 

⑦ 社内環境対策(サムコ環境方針)への取り組み強化

2021年10月開催の取締役会において、気候変動に係るリスク及び機会、自社の事業活動や収益に与える影響についてのデータ収集と分析を行うため、「社内気候変動対策チーム」(構成員~社長、総務部長、経営企画室、広報・IR室他)を立ち上げ、以降、取締役会に進捗状況を定期報告しております。第44期中に、当社ホームページ上に新たなページを設け、「社内ガバナンス体制」、「リスク管理体制」、「温暖化ガス排出量実績」の3項目の開示を行う予定です。

 

サムコ環境方針

 「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」を経営理念とする一方、「環境保全」を重視し、産業と環境の両面で社会貢献に努める。

1)環境方針の周知徹底

環境方針を全社員に周知する。また、協力会社へも周知し、理解と協力を要請する。

2)環境教育を推進し、全社員の環境意識の向上を図る。

3)環境関連法規の遵守

法規制、条例およびその他の要求事項を遵守する。

4)環境重視の製品開発

環境に調和するプロセス開発に取り組むとともに、それを活かした製品においては、製造から廃棄に至るまでを考慮した環境負荷軽減型の製品開発に努める。

5)グリーン調達

調達する原材料、部品について、環境影響を考慮するよう調達先に働きかける。

6)環境負荷の軽減

エネルギーの効率的な利用および3R(リデュース・リユース・リサイクル)に積極的に取り組み、環境負荷の軽減に努める。

7)全てのサムコ製品は省エネルギー、省スペースを基本に製造・販売を行い、環境負荷の軽減に努める。

 

株主、取引先、従業員等のステークホルダーにとって魅力ある企業を目指し、成長力と収益力の向上を図り、適切な利益配分により企業価値の向上を目指してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社ではこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、その発生を回避するための対応策を中期経営計画や年度計画の課題に組み入れ、また、リスクが顕在化した場合に備え、ガバナンス体制の強化、維持を進めております。一方、経営環境の変化の中で適切にリスクテイクしていくことにより今後の企業の持続的な成長に繋がるとの考えにより、それぞれのリスクについて悪影響を回避するとともに、リスクテイクの認識も強化し対応しております。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 市場変動リスク

当社は、半導体等電子部品製造装置の製造及び販売を行っております。当社が事業を展開する化合物半導体市場は、通信用レーザーやマイクロLEDなどのオプトエレクトロニクス分野や、高周波デバイス、パワーデバイス、各種センサー等の電子部品・MEMS分野を中心に、中長期的には大きな成長が期待されています。その反面、ニーズや経済環境の変化によっては、需給バランスが大きく崩れることもあり、これに伴う顧客の設備投資の凍結や減産、計画変更等が発生した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

一方、足元では、新型コロナウイルス感染症の蔓延により新しい生活様式が生まれ、特に情報通信分野等では技術革新が加速し化合物半導体市場は大きく拡大しております。このような急激な需要の増加に対応できなかった場合には、顧客に製品をタイムリーに供給できず、機会損失が生じるなど、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、原則販売代理店を通さない直販体制を構築しており、既存顧客については営業・技術担当者が直接顧客の設備投資動向を把握することを可能にしております。また、創業当初より繋がりの深い国内外の大学や研究機関から常に最先端技術や情報を得ることができ、最新の市場動向を把握した上で、製品開発や設備投資、生産、人員計画の適正化を図っております。

 

(2) カントリーリスク

当社は、北米、欧州、中国、台湾、韓国、東南アジア、インド等の世界各国で事業を行っており、今後も海外市場での拡販は当社の重要な経営課題となっております。しかしながら、海外事業展開においては、各国の法令、政治・社会情勢、文化宗教、商慣習の違いに起因するリスクに対処できないことにより、想定通りの成果を上げることができない可能性があり、この場合には当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、米中貿易摩擦が、当社の関わる化合物半導体及び電子部品製造装置のマーケットにも影響を与える事態になれば、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、自国第一主義が進展した場合、各国の技術開発競争がより一層加速することが予想され、研究機関や民間企業が次世代の最先端技術の研究に対する取り組みを強化させることになれば、当社の関わる事業領域において新たなマーケットが創出される可能性があります。

当社では、海外子会社・事業所社員は責任者含め原則現地採用としており、本社の日本人社員は出張やリモートにて現地を支援する体制としております。現地サイドの情報を適時、的確に把握することで、リスクの早期発見とリスク発現時の適切な対応に努めております。

 

(3) 資材等の調達に関するリスク

当社の生産活動には、原材料、部品等が適時、適切に納入されることが必要ですが、原材料、部品等の一部については、その特殊性から仕入先や外注先が限定されているものや代替の困難なものがあります。世界的な半導体不足に伴う製造装置需要の急激な拡大に加え、仕入先や外注先の災害や事故、人手不足や後継者難による廃業・倒産等で、部品の安定的調達が確保できない可能性があります。その場合は、製品の出荷遅延による機会損失等が発生し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社では、仕入先や外注先と長年にわたり良好な関係を維持し、複数社購買を実施するなど安定的な調達を図っております。加えて、重要部品の先行手配や仕様共通化等の対策により、安定供給体制の確立と適正在庫の確保に取り組んでおります。

(4) 人材の確保に関するリスク

当社の持続的成長を実現するため、高度なスキルを有する管理者、技術者、営業担当者、メンテナンス・サービス要員の確保と育成は極めて重要であり、社員の教育を体系的・継続的に実施する必要があります。しかしながら、必要な人材の確保が計画通りに進まなかった場合には、当社の将来の成長と業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社では、人材の育成・活用を重点課題として取り組んでおり、多様な人材の確保と育成のため、海外の大学への直接求人の実施、シニア社員の活用・待遇の見直し、社内研修体系の制度化等を進めております。

 

(5) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク

新型コロナウイルス感染症の拡大により、海外を含めた事業所の一時閉鎖、外出自粛の要請等による営業活動の制限や、材料調達、製造、物流といったサプライチェーンの停滞等による生産活動の制限を受ける事態が発生した場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社では、2020年3月に代表取締役社長をメンバーに含む「新型コロナウイルス感染症対策チーム」を立ち上げ、国内及び海外出張の制限、事業所における感染予防策の徹底、来客への対応、各種会議の運営、社内行事の延期・縮小等の諸対策を講じ、業績への悪影響を最小限に抑えております。

 

(6) 新製品開発リスク

当社は、半導体製造装置業界におけるCVD装置、エッチング装置、洗浄装置において、顧客が求めるニーズに対応した研究開発を継続的に実施し、新製品をタイムリーに市場投入してまいりました。しかしながら、技術革新や製品開発のスピードが速い半導体製造装置業界において、将来のニーズを予測し、それに見合った新製品を開発し続けることは容易ではありません。他社製品に対して優位性ある新製品をタイムリーに適正な価格で市場に投入できない場合、市場の技術トレンドや製品仕様が当社の開発内容と異なる方向に向かった場合、あるいは当社の新製品の開発が著しく遅れた場合は、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社では、社内にて常に業界における最先端技術や情報を共有し、研究開発テーマや技術開発に関する事項を決定する機関として、代表取締役会長、代表取締役社長、技術開発統括部長、営業統括部長などを構成員とする定例会議を毎月開催しております。また、同会議にて新製品の開発等に著しい遅延が生じないよう、その進捗を管理しております。

 

(7) 環境対応に関するリスク

当社を取り巻くステークホルダーをはじめ、世界全体でサステナビリティに関する社会的要請が高まっております。こうした中、脱炭素社会への移行に伴う各国の気候変動政策、環境法令や業界行動規範、技術革新や顧客ニーズ等に適切に対応できなかった場合には、社会的信用の低下や製品競争力の低下等により、当社業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社では、経営計画の課題として社内環境対策(サムコ環境方針)への取り組み強化を掲げ、2022年8月には「社内気候変動対策チーム」を、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」に改組いたしました。今後、取締役会は同委員会の活動報告を受け、当社の気候変動に関するリスク・機会及びこれらへの対策の状況を把握し、それによる財務への影響や中長期経営計画への影響、更なる環境負荷提言への取り組み等に対する検討を行ってまいります。

 

(8) その他のリスク

当社が事業を遂行するにあたって、上記の主要なリスク以外にも、経営環境の変化により、場合によっては当社の業績に影響を及ぼすことが想定されるその他のリスクとして、以下のようなものがあります。なお、これらは、当社に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクも存在します。

 

① 特定地域、特定顧客への販売依存度

生産用途向け製品の売上高比率の増加に伴い、海外の特定地域や国内外の特定顧客からの受注が集中することにより、期毎の売上高が大きく増減する可能性があります。特定地域、特定顧客の設備投資が低迷し装置需要が減少した場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 製造物責任

当社が提供する製品は、厳しい品質管理のもとに設計・製造されておりますが、万一顧客に深刻な損失をもたらした場合には損失に対する責任を問われる可能性があります。さらに、これらの問題による当社の企業イメージの低下は、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 知的財産権

当社は、独自技術の専有化、他社製品との差別化及び競争力強化のために、様々な技術やノウハウを開発しており、その技術やノウハウが第三者の特許権その他の知的財産権を侵害しないよう厳重に管理しております。しかしながら、既に多くの特許権その他の知的財産権が存在し、日々新しい特許権その他の知的財産権が次々と取得される中で、見解の相違などにより第三者から特許権侵害等で提訴される可能性があります。また、当社の事業展開に必要な技術についてライセンスを取得できなかった場合には、当社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 債権回収

当社は顧客に関する信用リスクの管理強化策や軽減策を実施しておりますが、経済状況の急変により予想外の倒産や支払遅延が発生した場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 為替変動

当社の海外取引のうちアジア向けは原則日本円建、欧米向けは原則米国ドル建でありますが、今後も海外取引を拡大する方針であり米国ドル建の取引が増加することになれば為替予約を活用したとしても為替変動リスクを被る可能性があります。また、当社は外貨建資産(未予約の現預金等)も保有しております。そのため、円建資産に転換する場合だけでなく財務諸表作成のための換算においても為替変動の影響を受ける可能性があります。

 

⑥ 情報セキュリティ

当社は、事業遂行にあたり、重要情報や取引先等の秘密情報を有しております。これらの情報については、法令や社内規程に基づき厳格に管理しておりますが、予期せぬ事態によってこれらの情報が漏洩した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 災害等による影響

当社は災害等による影響を最小限に留めるため必要とされる安全対策や事業の早期復旧のための対策を実施しておりますが、大規模な台風や地震等の自然災害、疫病の流行、テロ、大規模な停電、火災、事故等の不測の事態が発生した場合、本社機能や製品生産に影響を与え、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

なお、当事業年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、前事業年度との比較においては、受注残高を除き、適用前の数値と比較しております。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展と積極的な経済対策に支えられて力強い回復が見られたものの、急回復した需要の増加に供給が追い付かない状況となり、加えて変異株の感染拡大による中国でのロックダウンの影響等もあり、世界的な部材不足や物流の目詰まりといった供給制約の問題が発生いたしました。さらにウクライナ情勢を受けた資源・食料価格の高騰、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利の引き上げ、為替変動など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

半導体等電子部品業界におきましては、当社の関わる化合物半導体及び電子部品製造装置の販売マーケットにおいて5G(第5世代移動通信システム)スマートフォン向けや自動車向けセンサーなどの電子部品分野、あるいはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems=微小電気機械素子)といった先端分野での開発投資が幅広い企業で進み、本格生産への移行が着実に進んでおります。加えて、新しい生活様式の浸透によるオンライン化が急速に進んでいることにより、半導体等電子部品製造装置の需要は拡大しております。

このような状況の下、当社ではオプトエレクトロニクス分野では通信用レーザーやLED用途、電子部品・MEMS分野では高周波デバイス、パワーデバイス、量子デバイス用途、シリコン分野では欠陥解析用途、表示デバイス分野ではVRディスプレイ用途、その他分野では、医療・バイオテクノロジー用途向けの製造装置の販売実績がありました。また、新規事業(ヘルスケア事業)の創出に向けた技術開発への取り組みや、水蒸気を用いたプラズマ処理装置であるAqua Plasma(アクアプラズマ)洗浄装置の拡販による新たな事業領域の拡大に注力いたしました。

その結果、国内売上高は4,138百万円(前期比25.4%増)、海外売上高は2,263百万円(前期比7.4%減)となり、海外売上高比率は35.4%となりました。また、当事業年度の受注高は8,401百万円(前期比23.3%増)となり、当事業年度末の受注残高は5,027百万円(前期比66.1%増)となりました。

以上の結果、当事業年度における業績は、売上高が6,401百万円(前期比11.4%増)、営業利益は1,371百万円(前期比38.6%増)、経常利益は1,481百万円(前期比41.8%増)、当期純利益は1,052百万円(前期比39.3%増)となりました。

主な品目別の売上高は、次のとおりであります。なお、当社は半導体等電子部品製造装置の製造及び販売事業の単一セグメントであるためセグメント毎の記載はしておりません。

(CVD装置)

オプトエレクトロニクス分野の半導体レーザー、電子部品分野での高周波デバイスやパワーデバイスにおける各種絶縁膜、保護膜形成用途での販売により、1,092百万円(前期比19.8%増)となりました。

(エッチング装置)

電子部品分野での高周波デバイス、パワーデバイスや各種センサー用、オプトエレクトロニクス分野の通信用レーザーなど幅広い用途での販売により、2,934百万円(前期比0.1%増)となりました。

(洗浄装置)

オプトエレクトロニクス分野の半導体レーザーの洗浄用の生産機や、医療・バイオ関係の表面有機物除去用などの販売により、504百万円(前期比17.3%減)となりました。

(その他)

生産用装置のメンテナンスに伴う部品販売が拡大し、1,869百万円(前期比44.7%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(流動資産)

当事業年度末における流動資産の残高は、8,840百万円で前事業年度末に比べ1,125百万円増加いたしました。

(固定資産)

当事業年度末における固定資産の残高は、4,539百万円で前事業年度末に比べ183百万円増加いたしました。

(流動負債)

当事業年度末における流動負債の残高は、2,314百万円で前事業年度末に比べ493百万円増加いたしました。

(固定負債)

当事業年度末における固定負債の残高は、1,007百万円で前事業年度末に比べ169百万円増加いたしました。

(純資産)

当事業年度末における純資産の残高は、10,057百万円で前事業年度末に比べ647百万円増加いたしました。自己資本比率は75.2%と前事業年度末に比べ2.8ポイント下降いたしました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ954百万円増加し、3,919百万円(前事業年度末比32.2%増)となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,181百万円(前期比139.4%増)となりました。棚卸資産の増加が525百万円、法人税等の支払が299百万円に対して、税引前当期純利益が1,481百万円、売上債権及び契約資産の減少が157百万円、契約負債の増加が137百万円であったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は214百万円(前期に使用した資金は815百万円)となりました。その主な内容は、定期預金の払戻による収入が2,605百万円に対して、定期預金の預入による支出が2,615百万円、有形固定資産の取得による支出が234百万円であったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は64百万円(前期に使用した資金は210百万円)となりました。これは主に長期借入れによる収入が183百万円に対して、配当金の支払額が240百万円であったことによるものであります。

(2)生産、受注及び販売の実績

当社は、半導体等電子部品製造装置の製造及び販売事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績については、当社の品目別に記載しております。

 

① 生産実績

当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自  2021年8月1日

至  2022年7月31日)

前年同期比(%)

CVD装置(千円)

1,088,227

127.0

エッチング装置(千円)

3,249,167

95.8

洗浄装置(千円)

448,186

72.7

その他(千円)

2,000,996

135.0

合計(千円)

6,786,577

106.9

(注) 金額は販売価格によっております。

 

② 受注実績

当事業年度の受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

CVD装置

1,474,694

134.7

1,153,799

149.4

エッチング装置

3,962,271

108.5

2,676,782

162.3

洗浄装置

829,016

177.6

402,219

515.6

その他

2,135,964

133.1

794,944

150.5

合計

8,401,948

123.3

5,027,746

166.1

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.受注残高の前年同期比は、収益認識会計基準等の適用後の数値により比較しております。

 

③ 販売実績

当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自  2021年8月1日

至  2022年7月31日)

前年同期比(%)

CVD装置(千円)

1,092,963

119.8

エッチング装置(千円)

2,934,933

100.1

洗浄装置(千円)

504,808

82.7

その他(千円)

1,869,165

144.7

合計(千円)

6,401,870

111.4

(注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自  2020年8月1日

至  2021年7月31日)

当事業年度

(自  2021年8月1日

至  2022年7月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

スカイワークスフィルターソリューションズジャパン(株)

845,754

14.7

1,212,356

18.9

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態の分析

(流動資産)

当事業年度末における流動資産の残高は、8,840百万円で前事業年度末に比べ1,125百万円増加いたしました。売掛金及び契約資産が544百万円減少した一方、現金及び預金が1,000百万円、棚卸資産が734百万円増加したのが主な要因であります。

(固定資産)

当事業年度末における固定資産の残高は、4,539百万円で前事業年度末に比べ183百万円増加いたしました。現研究開発センター隣接地の取得により土地が221百万円、繰延税金資産が21百万円増加したのが主な要因であります。

(流動負債)

当事業年度末における流動負債の残高は、2,314百万円で前事業年度末に比べ493百万円増加いたしました。収益認識会計基準等の適用に伴い契約負債が217百万円、買掛金が133百万円増加したのが主な要因であります。

(固定負債)

当事業年度末における固定負債の残高は、1,007百万円で前事業年度末に比べ169百万円増加いたしました。長期借入金が143百万円、退職給付引当金が19百万円増加したのが主な要因であります。

(純資産)

当事業年度末における純資産の残高は、10,057百万円で前事業年度末に比べ647百万円増加いたしました。別途積立金が500百万円、繰越利益剰余金が161百万円増加したのが主な要因であります。自己資本比率は75.2%と前事業年度末に比べ2.8ポイント下降いたしました。

 

② 経営成績の分析

当事業年度の売上高、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益、特別利益及び特別損失、当期純利益の詳細は以下のとおりであります。

(売上高)

売上高は前事業年度より11.4%増加し、6,401百万円となりました。国内売上高は前事業年度より25.4%増加し4,138百万円となり、海外売上高は前事業年度より7.4%減少し2,263百万円となりました。その結果、海外売上高比率は35.4%となりました。

(売上総利益)

売上総利益は前事業年度より8.8%増加し、3,189百万円となりました。売上総利益率は、前事業年度より1.2ポイント下降し、49.8%となりました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は前事業年度より6.4%減少し、1,818百万円となりました。

(営業利益、経常利益)

営業利益は前事業年度より38.6%増加し、1,371百万円となりました。

経常利益は前事業年度より41.8%増加し、1,481百万円となりました。

(特別利益及び特別損失)

特別利益はありませんでした。

特別損失はありませんでした。

(当期純利益)

当期純利益は前事業年度より39.3%増加し、1,052百万円となりました。

 

当事業年度の経営成績は前事業年度に比べ増収増益となりました。

なお、業績の詳細、主な品目別の売上高の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要  ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2  事業の状況  1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、装置製造原価率(装置製造原価/販売価格)、売上高営業利益率、海外売上高比率を中長期的な経営の重要指標としており、当事業年度における各指標等の実績は次のとおりであります。

今後についても、更なる原価低減、コスト低減に取り組みながら、海外販売の拡大を進めることで、引き続き中長期的な経営の重要指標の目標達成に努めてまいります。

 

中長期的な

目標

実績

装置製造原価率

50.0%未満

48.7%

売上高営業利益率

20.0%以上

21.4%

海外売上高比率

50.0%以上

35.4%

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因や、当該要因への対応について

「第2  事業の状況  2  事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものは、材料費、労務費、外注費、諸経費や、販売費及び一般管理費等の費用であります。当社は、マーケットの設備投資需要の増減により、月次や四半期単位の売上高の変動が大きくなる傾向があり、製品の製造に必要な資金需要が一時的に増加する可能性があります。その変動に対して機動的に対処できるよう、常に潤沢な手元資金を確保しております。

投資を目的とした資金需要は、主に技術開発、生産拠点及び機械装置等の設備投資によるものであります。

当社の運転資金及び設備投資資金は主として自己資金によって賄っており、必要に応じて借入れによる資金調達を実施しております。

当社の資金状況は、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高が前事業年度末に比べ954百万円増加し、3,919百万円(前事業年度末比32.2%増)となりました。キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要  ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

なお、直近5事業年度におけるキャッシュ・フロー指標の推移は、次のとおりであります。

 

第39期

第40期

第41期

第42期

第43期

自己資本比率 (%)

75.9

76.8

77.9

78.0

75.2

時価ベースの自己資本比率 (%)

89.8

67.2

203.9

204.0

168.7

債務償還年数 (年)

0.9

0.8

1.4

0.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

243.9

245.5

140.8

303.5

(注) 1.各指標は、下記の基準で算出しております。

・自己資本比率:自己資本/総資産

・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

・債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.第39期の債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社は、財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な見積りは、「第5  経理の状況  1財務諸表等  (1)財務諸表  注記事項  (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社は、「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」ことを経営理念としており、「社員の創造性を重視し、常に独創的な薄膜技術を世界の市場に送る」、「直販体制を採用し、ユーザーニーズに対応した製品をタイムリーに提供する」、「事業が社会に果たす役割を積極的に認識し、高い付加価値を目標とし、株主、取引先、役員、従業員に対し、適切な成果の配分をする」ことを経営の基本方針としております。この目標達成のため、技術革新の著しい半導体等電子部品業界の基礎研究から応用研究まで、幅広い研究開発に取り組んでおります。

本社研究開発センターは、装置開発の活性化を目的とした複数のテーマ別にプロジェクトを運営しており、既存装置の改良、改善、新製品の開発、営業支援のためのデモ実験等を行っております。2022年3月に立ち上げましたナノ薄膜開発センターでは、ALD装置を中心とする薄膜形成装置の開発とナノレベルの酸化膜や窒化膜を中心とした成膜プロセス技術の開発、薄膜特性の基礎研究や物性評価などに注力しております。また、米国オプトフィルムス研究所では、新たな半導体材料に係る基礎研究を行っております。一方、社外との共同研究も積極的に実施しており、有望なテーマがあれば、大学等の研究機関と共同研究を行っております。

上記活動に伴い、当事業年度の研究開発費は255百万円となっております。

なお、当社は半導体等電子部品製造装置の製造及び販売事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。