当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国の経済環境は、インバウンド需要が好調に推移し、個人消費や企業収益の持ち直しの動きが見られた一方、円安等の影響による資源価格の高騰、物価上昇への懸念やウクライナ紛争や中東情勢、中国経済の停滞等の不安定な世界情勢により先行きの不透明感が継続しております。
このような環境の下で、当社グループは2024年を目標年次とする中期経営戦略「5G&Beyond-NE」を進めております。近年のコロナ禍に代表される大きな事業環境の変化に対応し、新しい成長ユースケースを定義して2022年度からの3年間を新たな中期経営戦略「5G&Beyond-NE(NewEra)」として策定し、戦略5ゴールを発展させ、それらを通じて営業利益の3倍増を目指しております。
当中間連結会計期間の売上高は、20億47百万円(前期比16.5%減)、売上総利益は10億86百万円(前期比14.6%減)となり、前期比で減収となりましたが、期首計画に対しては売上で約10%の伸びを達成することができました。LSI事業においては、中国市場を中心とした海外市場において需要の回復傾向がみられた一方、国内市場においては顧客の在庫調整等の影響が継続し、全体として前期比27.5%の減少となりましたが、期首計画に対しては約20%の伸びを実現できました。AIOT事業では、ドライブレコーダ、自動販売機、エレベータ遠隔監視用途向け等の通信モジュール製品の出荷は順調に推移し、全体として概ね計画通りの進捗となり、前期比8.8%の増加となりました。
販売費および一般管理費については、中期経営戦略「5G&Beyond-NE」目標の達成に向けた戦略的な研究開発投資(5億64百万円、前期比8.6%増)を行った結果、販売費および一般管理費全体として、11億88百万円(前期比3.5%増)となりました。これらの結果、当中間連結会計期間の営業損失は1億2百万円(前期は営業利益1億24百万円)、減価償却費およびのれん償却費等を考慮しない営業利益(EBITDA※)はマイナス54百万円(前期はEBITDA 2億27百万円)となりました。また、前期末比で為替が大幅に円安に進行した影響により為替差益2億49百万円を計上する等した結果、経常利益は1億56百万円(前期比42.8%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は1億59百万円(前期比6.7%減)となりました。
また、当社グループは生成AI等の活用が急速に進展する中、経済活動の一層の生産性の向上に貢献するため、AIOT事業の一環としてNVIDIA製GPUを含めた計算資源を搭載するデーターサーバーを提供するサーバー事業を開始することとし、ザイン・ハイパーデータ株式会社を2024年6月に設立し事業を開始いたしました。
※EBITDA(Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)
当社グループでは簡易的に営業利益に減価償却費、のれん償却費を加えて算出しております。
セグメント別の状況
当社グループは、LSI事業とAIOT事業を軸として事業活動を推進しており、これらを事業セグメント区分としております。
(単位:百万円)
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2024年12月期 中間期 |
2023年12月期 中間期 |
増減率(%) |
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LSI事業 |
売上高 |
1,233 |
1,702 |
△27.5 |
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営業利益 |
△152 |
129 |
― |
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EBITDA |
△107 |
165 |
― |
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AIOT事業 |
売上高 |
813 |
747 |
+8.8 |
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営業利益 |
50 |
△5 |
― |
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EBITDA |
52 |
61 |
△14.8 |
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合計 |
売上高 |
2,047 |
2,450 |
△16.5 |
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営業利益 |
△102 |
124 |
― |
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EBITDA |
△54 |
227 |
― |
※セグメント間の取引を相殺消去後の金額で記載しております。
(LSI事業)
当中間連結会計期間のLSI事業の売上高は、中国市場等の海外市場を中心に需要の回復傾向がみられ、期首の計画に対し約2割上回って推移しましたが、主に日本市場における顧客を中心とした在庫調整等の影響が継続し、前期比では27.5%の減少となりました。
産業機器市場向けビジネスは、LSI事業の売上全体の67%を占めております。主に国内市場のOA機器およびアミューズメント機器向けにおいて顧客の在庫調整等の影響が解消されず出荷が低調に推移し、全体で前期比40%の減少となりました。
車載機器市場向けビジネスは、LSI事業の売上全体の18%を占めております。中国や米国市場において需要回復の傾向がみられ、EVパネル向け新製品等の出荷が増加した一方、国内及び台湾市場においては低調に推移したため、全体として前期比8%の減少となりました。
民生機器市場向けビジネスは、LSI事業の売上全体の15%を占めております。前期に策定した次世代高速インターフェース標準技術「V-by-One®HS plus Standard」の提供を進め、前期比154%の大幅な増加となりました。
これらの結果、LSI事業全体の売上高は12億33百万円(前期比27.5%減)、売上総利益は8億41百万円(前期比17.5%減)となりました。
当中間連結会計期間においては、中期経営戦略「5G&Beyond-NE」目標の達成に向けた戦略的な研究開発および次期中期経営戦略を含む中長期的な成長に向けた新規技術開発等を積極的に実施しました。EVパネル向け高速インターフェースV-by-One®HS新製品のラインアップ拡充、新規電源製品の開発、次世代PCI Express向け低消費電力・低遅延光半導体技術の開発、5Gを遥かに超える次世代高速無線通信技術の開発等を行い、これらの活動により、当当中間連結会計期間において研究開発費5億48百万円を計上しました。
これらの結果、LSI事業の当中間連結会計期間における営業損失は1億52百万円(前期は営業利益1億29百万円)、EBITDAはマイナス1億7百万円(前期は1億65百万円)となりました。
(AIOT事業)
当中間連結会計期間のAIOT事業の売上高は、ドライブレコーダ、自動販売機・エレベータ等の遠隔監視、自動体外式除細動器(AED)等向けの製品出荷が順調に推移し、概ね計画通りの進捗となり、前期比では8.8%の増加となりました。これらの結果、AIOT事業の売上高は8億13百万円(前期比8.8%増)、売上総利益は2億45百万円(前期比2.8%減)となりました。
当中間連結会計期間においては、AI・IoTを活用する新ニーズの拡大や第5世代移動通信(5G)による新しいアプリケーション市場の拡大を見据えたAI・IoTソリューションの開発に取り組み、エッジAI処理用モジュール製品の開発、通信型ドライブレコーダの開発、音声通話機能付きゲートウェイ新製品の開発、スマートIoTルーターの開発等を行い、全体として研究開発費16百万円を計上いたしました。なお、同事業のM&A取得に伴うのれんの償却は2023年度で完了しております。また、先述いたしました通り、当社グループはLSI・AIOTに続く第3の事業の柱としてサーバー事業を開始することとし、2024年6月にザイン・ハイパーデータ株式会社を設立いたしました。NVIDIA製GPUであるH100を搭載したAIサーバーを含む各種AIサーバー、データサーバーを日本企業向けに販売して参ります。
これらの結果、AIOT事業の当中間連結会計期間における営業利益は50百万円(前期は営業損失5百万円)、EBITDAは52百万円(前期比14.8%減)となりました。
※「V-by-One」はザインエレクトロニクス株式会社の登録商標です。
(2)財政状態の状況
当中間連結会計期間末における資産合計は、現金及び預金および棚卸資産が増加した一方、売掛金が減少したこと等により、前連結会計年度末と比較して89百万円の減少となりました。また、負債合計は、買掛金が増加した一方、流動負債その他の減少等により17百万円の減少となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する中間純利益を計上および非支配株主持分の増加の一方、新株予約権が減少したこと等により72百万円の減少となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における、営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前中間純利益を2億10百万円計上し、売上債権が2億66百万円減少した一方、為替差益を2億25百万円計上し、法人税等を33百万円支払ったことにより1億11百万円のプラスとなりました。(前年同期は6億87百万円のプラス)
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、固定資産の取得による支出68百万円等により、68百万円のマイナスとなりました。(前期は2百万円のプラス)
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、ストックオプションの行使による収入56百万円等があった一方、配当金の支払1億60百万円および自己株式の取得による支出84百万円により1億61百万円のマイナスとなりました。(前期は1億60百万円のマイナス)
これらの結果により、現金及び現金同等物は全体として78百万円増加して当中間連結会計期間末残高は74億56百万円となりました。
当社グループとしては、機動的な研究開発リソースの確保やM&Aの機会に迅速に対応できるよう内部留保を厚くする方針であり、資金運用に関しても流動性を重視した運用を行うこととしております。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発費の金額は5億64百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。