第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度の世界経済は、先進国を中心に緩やかな回復基調が続きましたが、中国や新興国に景気の減速が見られました。欧州では個人消費が底堅く推移し、景気は緩やかな回復が持続しました。米国では個人消費や雇用環境の改善が続き、景気は底堅く推移しました。日本では企業収益や設備投資に改善が見られ緩やかな回復基調で推移しましたが、海外経済の不確実性に対する懸念から、依然として先行き不透明な状況が続きました。

 当社グループの属する映像機器関連市場における液晶モニター及び関連商品は、金融機関、医療機関、映像制作、公共施設、交通機関等、様々な用途で使用されており、更なる用途の拡大やシステム対応によりその市場は広がりを見せております。

 このような経営環境の中、当社グループは第五次中期経営計画の下、「Visual Technology Company」を目指して事業展開を進めてまいりました。特に重要市場と位置付けるメディカル、グラフィックス及び産業市場の特定市場で製品開発や販売体制の強化に取り組み、売上の拡大を図りました。

 主な取組みとして、メディカル市場向けでは手術室における医用画像や患者情報を集約し操作するシステム「CuratOR Surgical Panel」を、グラフィックス市場向けでは4K対応の高密度表示モニターを、産業市場向けでは航海情報の複数表示を可能とする46型の大画面モニターを発売する等、ラインナップの充実を図ってまいりました。また、B&Pでは、複数のモニターを並べて同時に閲覧する環境下での作業効率を向上させるフルフラット・フレームレスデザインの製品を投入しました。

 このほか、メディカル事業強化のため、平成27年10月、イメーション株式会社よりメディカル市場向けシステムインテグレーション事業を買収し、同年11月よりEIZOメディカルソリューションズ株式会社として事業を開始しました。また、特定市場での需要の増加に対応するため、石川県の本社敷地内に新工場棟を建設し、生産能力の増強を図りました。

 

 当連結会計年度における全体の売上高は、74,878百万円(前期比3.2%増)となりました。品目別の売上高は、次のとおりであります。

[映像表示システム]

 売上高は、54,626百万円(前期比12.5%増)となりました。

 B&P市場は、国内及び海外共に好調に推移し、特にフレームレスモニターの販売が大きく増加したことから、売上高が増加しました。

 特定市場は、海外では診断用途等のメディカル市場向けの販売が好調であったことに加え、グラフィックス市場向けの売上が好調に推移しました。また、国内でもメディカル市場向けの販売が増加したことや、当連結会計年度より新たに加わったEIZOメディカルソリューションズ株式会社の売上寄与があったことに加え、ATCや船舶等の産業市場向けの売上が好調であったことから、売上高が増加しました。

 

[アミューズメント用モニター]

 売上高は、15,279百万円(前期比1.0%増)となりました。

 アミューズメント市場を巡る環境は嗜好の多様化や遊技人口の減少、業界での自主規制の適用等、厳しい状況が依然として続いております。このような状況下でも、市場環境にいち早く対応したことで売上高は前期並みの水準を維持しました。

 

[その他]

 売上高は、4,973百万円(前期比43.9%減)となりました。

 これは主に、アミューズメント用ソフトウェア受託開発の売上高が減少したことによります。

 

 利益面につきましては、映像表示システムの増収効果や、リーンな企業体質への改善を進めたこと等により販売費及び一般管理費が減少したこと等から、営業利益は5,081百万円(前期比13.6%増)となりました。また、資金運用目的で取得した有価証券の売却益を営業外収益に計上したこと等も寄与し、経常利益は5,698百万円(同21.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は4,202百万円(同26.5%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ2,198百万円増加し、20,221百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動で獲得した資金は、6,772百万円(前連結会計年度は1,445百万円の獲得)となりました。これは主に、法人税等を1,262百万円支払ったものの、税引前・減価償却等前当期純利益を7,691百万円計上(税金等調整前当期純利益+減価償却費+のれん償却額)したことによります。

 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動で使用した資金は、3,033百万円(前連結会計年度は3,426百万円の使用)となりました。これは主に、固定資産を取得したことによります。

 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動で使用した資金は、1,386百万円(前連結会計年度は923百万円の獲得)となりました。これは主に、配当金の支出が1,385百万円あったことによります。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 

 当社グループは、映像機器及びその関連製品の開発・生産・販売が主であり、実質的に単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を行っておりません。以下は、品目別の状況を記載しております。

 

※当連結会計年度より、従来は「コンピュータ用モニター」としておりました名称を「映像表示システム」に変更するとともに、「その他」に区分しておりましたグラフィックスボード、品質管理ソフトウェアや各種周辺機器等の生産高及び売上高を「その他」から「映像表示システム」に含めて集計しております。前期比較にあたっては、前連結会計年度を変更後の区分に組み替えて比較しております。

 

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

金額(百万円)

前期比(%)

映像表示システム

49,757

111.7

アミューズメント用モニター

13,422

97.2

合計

63,180

108.3

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当連結会計年度の受注高及び受注残高は、次のとおりであります。なお、映像表示システム及びその他の一部製品は見込生産を行っております。

品目

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

アミューズメント用モニター

15,407

101.5

559

129.6

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

金額(百万円)

前期比(%)

映像表示システム

54,626

112.5

アミューズメント用モニター

15,279

101.0

その他

4,973

56.1

合計

74,878

103.2

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月 1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月 1日

至 平成28年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社ジェイ・ティ

22,130

30.5

18,960

25.3

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社は、品質・信頼性において世界トップレベルの映像表示システムやアミューズメント用モニターの開発から生産・販売までを一貫して行い、顧客満足度の高い商品を提供してまいりましたが、今後の一層の成長を図り、当社の優位性を確固たるものとするため、従来強みとしてきた映像技術をベースに「Visual Technology Company」へと展開しております。

 この方針の下、以下の課題に取り組んでおります。

 

(1)商品開発の強化

・最新で最適なデバイスを用いた高品質・高信頼性の映像表示システムを開発し、圧倒的な差別化を図るよう努めております。また、市場ニーズにいち早く応えるため、商品企画のスピードアップに注力するとともに、新技術の開発、システムソリューションによる付加価値の創出及び開発期間の短縮や開発効率の改善を進めております。

 

(2)企業体質の強化

・全業務プロセスでリーン化を推進し、業務遂行の迅速化、効率化を図っております。

・事業の拡大や競争力の強化、当社既存の技術と強い相乗効果を発揮する技術やノウハウ等を取得するため、必要に応じM&Aを実施します。

 

(3)第五次中期経営計画における市場別の重点施策

メディカル市場向けでは、診断分野で高いマーケットシェアを持つ日本、欧州にて事業領域の拡大を図るとともに、米国、中国、インド及び中東を戦略市場と位置付けて拡販を進めております。また、手術室向けソリューション事業を展開しております。

・グラフィックス市場向けでは、静止画分野でNo.1を維持するとともに、映像制作分野でもNo.1を目指しております

・産業市場向けでは、ATC、船舶、鉄道、監視及びFA市場を重点市場と位置付け、ビジネスを展開しております。

・アミューズメント市場向けでは、パチンコ遊技機の市場縮小に対し、開発体制の構造改革を行うことで生産性の向上を図り、当分野でのトップメーカーとしての地位を維持します。

 

(4)会社の支配に関する基本方針について

 当社は、株主全体の利益を保護する観点から、当社株式に対する大規模買付が行われた際に、大規模買付行為に応じるか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報と十分な時間を提供することを目的として、株式の大量取得行為への対応方針を導入しております。

 

①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容
 当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社の取締役会の賛同を得ずに行われる、いわゆる「敵対的買収」であっても、当社や株主の皆様の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。特定の者の大規模買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、本来、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。
 一方で、製造業を営む当社グループの事業の運営には、企画・開発・製造・販売・サービス等のあらゆる場面で幅広いノウハウと豊富な経験が必要であり、国内外の顧客・取引先・社員等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠です。そのため、当社の財務及び事業の方針を決定するに当たりこれらに関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を毀損してしまう可能性があります。

 また、特定の者の大規模買付行為がなされた場合、当社株主の皆様が当該大規模買付行為の当否について適切な判断を行うためには、当該大規模買付行為の内容、当該大規模買付行為が当社企業価値に与える影響、当該大規模買付行為に代わる提案の有無等について、当社株主の皆様に必要十分な情報が提供される必要があると考えます。
 そこで、当社取締役会は、議決権割合が20%以上となる当社株式の買付行為に際しては、当該買付行為を行う買付者から事前に、株主の皆様の判断のために必要かつ十分な大規模買付行為に関する情報が提供されることを目的として、このような買付行為に関する一定の合理的なルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設定することが、当社及び当社株主全体の利益を守るために必要であると考えます。

②当社財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他会社支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組みの概要

 当社は、昭和43年設立以来、強みである映像技術を活かし、高品質・高信頼性の映像表示システムやアミューズメント用モニター等の映像機器の開発から生産・販売までを一貫して行ってまいりました。また、これにより培ってきた技術、情報、ノウハウ等を更に追求・発展させ「Visual Technology Company」へと展開すべく、映像のスペシャリストとして市場ニーズに最適な映像ソリューションを提案してまいりました。

 今後とも、これまで培ってきた技術力、開発力を活かし、他社の追随を許さない魅力的な付加価値を提供してまいります。

 また、当社グループの事業の拡大や競争力の強化、当社の持つ技術と強い相乗効果を発揮するノウハウ、技術等を取得するため、必要に応じM&Aも実施します。

 

③会社支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要

 当社は、上記①で述べた基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、「当社株式の大量取得行為への対応方針(買収防衛策)」(以下「本対応方針」といいます。)を定めています。

 本対応方針は大規模買付行為に際して株主の皆様が適切な状況判断を行えるようにするため、大規模買付者に対して、その目的や内容、買付対価の算定根拠等の十分な情報提供と、適切な評価期間の確保を要請し、さらに、当社取締役会による当該大規模買付行為に対する意見の公表や、代替案の提示等を行う機会を確保することを目的として導入されたものです。

 本対応方針の詳細に関しましては、当社ウェブサイト(http://www.eizo.co.jp/ir/news/2016/DC16-004.pdf)に掲載しておりますので、そちらをご覧ください。

 

④本対応方針が会社支配に関する基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないこと、当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

イ.本対応方針が会社支配に関する基本方針に沿うものであること

 本対応方針は、大規模買付ルールの内容、大規模買付行為がなされた場合の対応方針、独立委員会の設置、株主及び投資家の皆様に与える影響等を規定するものです。本対応方針は、大規模買付者に大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を開示していただいた後に、十分な評価期間を経た上で大規模買付行為が開始されるものとしており、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断される際に必要な情報及び期間を確保することを目的としております。また、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合でも、当該買付行為が当社の企業価値ひいては株主価値を著しく損なうと判断される場合には、大規模買付行為に対する対抗措置を発動し、株主全体の利益が毀損されることを防止します。このように本対応方針は、上記①で述べた基本方針に沿うものであると考えられます。

ロ.本対応方針が株主の皆様の共同の利益を損なうものではないこと

 本対応方針は、当社株主に対して大規模買付行為に応じて当社株式を売却するか否かの判断のために必要な情報を提供することを目的としており、本対応方針によって株主の皆様は必要な情報に基づく適切な判断ができることとなりますから、本対応方針は当社の株主価値を損なうものではなく、むしろ、その利益に資するものであると考えます。

 さらに、本対応方針の発効・継続が当社株主の皆様の承認を条件としており、当社株主が望めば本対応方針の廃止も可能であることは、本対応方針が当社株主の共同の利益を損なわないことを担保していると考えられます。

ハ.本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

 本対応方針は、大規模買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、本来、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきことを大原則としつつ、当社の企業価値ひいては株主価値を守るために必要な範囲で大規模買付ルールの遵守の要請や対抗措置の発動を行うものです。本対応方針は、当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前にかつ具体的に規定しており、対抗措置の発動はかかる規定に従って行われます。さらに、対抗措置の発動等に際して取締役会に勧告を行う独立委員会の設置等、取締役会の恣意的な判断を防止する仕組みを有しております。

 以上のことから、本対応方針は当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えます。

 

4【事業等のリスク】

 

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある重要な事項には、次のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、当社グループの事業等にはこれら以外にも様々なリスクを伴っており、ここに記載されたものがリスクのすべてではありません。

 

(1)映像表示システムについて

①競争の激化

 当社グループは、販売数量のみを追うのではなく、先進性のある技術を積極的に開発し、多様化する市場ニーズを満足させ、常に同業他社の一歩先を見据えた製品づくりを進め、付加価値を追求する方針をとっております。製品の開発に当たっては、画像品質や信頼性、機能等を最優先するメディカル市場、グラフィックス市場、産業市場等の特定市場向けの製品開発に力を入れており、相対的に価格競争の影響を受けにくい事業構造の構築を図っております。しかしながら、市場における競合状況は日々変化しており、代替性若しくは競争力のある他社製品の出現や新規企業の参入による競争の激化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

②欧州市場の動向

 当社グループの連結売上高に占める欧州向けの売上割合は、当連結会計年度は34.6%(前期は34.8%)となっております。そのため、EU圏内の景気低迷や新たな関税及びその他の輸出障壁により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、欧州地域の取引においては主にユーロ建て取引を行っており、為替相場の変動の影響を直接的に受け易くなっております。為替変動リスクについては軽減及び回避に努めておりますが、為替変動により取引価格や売上高等が影響を受け、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③カントリーリスク

 当社グループは、世界各国に開発、製造及び販売拠点を有し、海外事業の拡大を進めております。これらの国又は地域での事業活動にあたっては、政治的・社会的な混乱、紛争やテロ等の地政学的リスク、経済不安等のカントリーリスクが常に内在しております。当社グループは、当該国又は地域におけるリスクの特性を十分に把握したうえで適切な拠点を選択し、有事の際の損害を最小限に抑えるべくリスクマネジメントの強化に努めております。しかしながら、上記リスクの程度によっては当社グループの事業活動が中止又は制限される可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)アミューズメント用モニターについて

①法的規制

 当社の主力製品のひとつであるアミューズメント用モニターは、パチンコ・パチスロ遊技機(以下「遊技機」)に組み込まれて使用されます。この遊技機は、一般財団法人保安通信協会の型式試験を受けることが義務づけられています。今後、法律、関係規則の改正等がある場合や試験結果の状況によっては、新機種の開発、市場投入等に準備期間が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

②製品のライフサイクル、販売数量等の変動

 アミューズメント用モニターが組み込まれている遊技機の売上動向は、市場での利用者の嗜好及び他社から販売される機種との競合により左右されます。同一機種の販売期間は、通常1か月から2か月程度となっております。当社グループは市場情報の収集、調査及び分析に努め、市場のニーズを取り入れた新機種の企画・開発を積極的に推進しております。しかし、当社のアミューズメント用モニターが搭載される遊技機が人気機種になるとは限らず、結果として、販売数量及び生産数量が当初の予定数量を下回り、専用部品等の廃棄費用が発生する場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、パチンコホール数や遊技人口の減少により市場の総販売台数が減少しており、当社の販売数量が想定よりもさらに減少することも考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③特定の取引先等への依存

 当社のアミューズメント用モニターは、遊技機メーカーである三洋物産グループ向けであります。三洋物産グループの遊技機の販売、開発、製造状況等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④使用部品の変更

 当社のアミューズメント用モニターが組み込まれている遊技機は、一般財団法人保安通信協会の型式試験を受け、合格する必要があります。一度合格した機種に使用している部品を変更するためには再度、型式試験を受け合格する必要があります。当社は、仕入先と綿密に情報交換を行い、使用部品を安定的に調達するよう努めておりますが、不測の事態等によって当モニターに使用している部品が調達不能となった場合、代替部品を使用した機種を販売するまでに一定の時間を要するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)使用部品の市場変動について

①部品の調達

 当社グループは、液晶パネルや半導体等すべての部品を外部供給者に依存しており、その調達に当たっては、調達先の安定供給能力や事業継続計画の有無等の総合的な評価により、採用する部品や仕入先を決定しております。また、一定量以上の在庫を確保するとともに、部品選定において複数種類を選定する等、部品の調達問題に起因する影響を最小限に抑える管理体制を構築しております。

 しかしながら、予想を上回って需給バランスが崩れ逼迫状態となった場合や、調達先の事業の統合や売却等、業界再編等に伴う事業方針の変更があった場合、また、自然災害等により仕入先からの部品供給が中断された場合には、一定期間において生産の停止、販売の遅延、受注のキャンセル等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

②主要部品の価格変動

 液晶モニターの販売価格は、主要部品である液晶パネルの調達価格に大きく左右されます。また、当社グループが調達する液晶パネルをはじめとした主要部品は、国際価格として米ドル建てで取引される場合があり、日本円に対し米ドルが急激に上昇する局面では、部品調達価格の高騰から製造コストが上昇し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)次世代技術について

 当社グループは、主力製品に液晶パネルを用いておりますが、今後、映像技術の革新に伴って、液晶パネルに代わる次世代映像表示デバイスが市場の主流になる可能性があります。

 当社グループにおいては、国内外の主要な映像表示デバイスメーカーと長期的な信頼関係を構築し、次世代映像表示デバイスの評価検討等、必要な研究開発を積極的かつ継続的に実施しております。しかしながら、映像技術や生産技術の革新により、当社の想定を上回る次世代映像技術の画期的な進歩や、製造コストの低下により次世代映像表示デバイスが急激に普及する可能性があります。このような場合、市場に製品をタイムリーに投入できないことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります

(5)人材の確保について

 激しい技術革新と厳しい競争の業界環境の中で将来にわたって継続的に企業価値の向上を図るためには、国内外で優れた人材を確保する必要があります。また、人材の育成も重要であると考え、評価制度、能力開発を支援する教育プランの提供や適材適所の配置等を通じて、社員のモチベーションを高め、社員の定着と育成に努めております。

 しかしながら、雇用関係の流動化が進んでいる中、常に優秀な人材を安定的に採用・確保できる保証はなく、優秀な人材が多数離職した場合及び優秀な人材の獲得や育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(6)品質問題について

 当社グループは、品質に不具合のある製品の市場流出を確実に防止するため、製品の開発・設計から製造に至るまで一貫した品質管理システムを構築し、更に改善を進めております。また、5年間の製品保証期間を主要な映像表示システムで採用し、顧客満足度を高めるよう努力しております。しかしながら、当社グループの製品で品質問題が発生した場合には、ブランドの失墜、信頼性の毀損、損害賠償の発生、市場の喪失、製品販売の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)知的財産権について

 当社グループが属する映像機器関連業界は、技術革新が著しく、同業他社も含め、各社が特許権、実用新案権、商標権、意匠権等を積極的に出願しております。

 当社グループは、独自の技術等について積極的に出願を行うとともに、他社の特許等の情報収集を図り、知的財産権の管理を強化しております。また、当社グループの特許権や商標権等の知的財産権に対する他社の侵害状況についても監視や警告体制を強化しております。しかしながら、他社の出願状況や内容は一定期間公表されない等の理由により、予期しない特許侵害警告、訴訟、損害賠償請求、ライセンス契約申入等を受けることがあります。また、場合によっては販売停止、多額の和解金、賠償金、訴訟対応費用の支出、不利なライセンス契約等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)環境規制について

 当社グループは、従来から製品への有害物質や紛争鉱物の使用を排除し、リサイクル性や分解容易性に優れた機構・デザインの採用や製品使用時の消費電力の削減に取り組む等、一貫して環境に配慮した製品づくりを経営方針としております。また、環境に対する社会動向についても、関連する業界団体に積極的に参画し、情報の収集に努めております。しかしながら、今後新しい環境規制等が施行されることにより、規制に対応するための追加コストが発生する場合や適合製品の開発又は市場投入が遅れる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)情報漏洩リスクについて

 当社グループは、事業活動を通じて、顧客やその他関係者に関する機密情報を入手する場合があります。当社グループは、このような情報の外部流出防止のために、情報保護プログラムに基づき社内の組織体制を整備し、従業員への情報管理に対する重要性の啓蒙・教育に努めております。しかしながら、不測の事態等により当社グループが気づかないうちに、情報が外部に漏洩した場合には、影響を受けた顧客やその他関係者に対する損害賠償の発生、関連法令等に基づく罰則の適用及び当社グループに対する社会的信用が損なわれ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)コンプライアンスに係るリスクについて

 当社グループは、事業を遂行するに当たっては世界各国において様々な法令規則の適用を受けているため、コンプライアンス体制の整備等、法令順守には細心の注意を払うとともに内部統制やリスク管理体制の充実・強化を図っております。しかしながら、万一法令違反行為が発生した場合や、新たな法規制の制定や改廃に対応できない事態が生じた場合、当社の事業活動が制限されることはもとより、社会的信頼が損なわれ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)自然災害等について

 当社グループは、国内外に製造工場や研究開発施設を有しております。当社グループでは、地震や台風、洪水等の自然災害への防災対策を進め、それに伴う影響を最小限に抑えるような体制の整備に努めております。また、日本、ドイツ及び中国の工場間の連携を高め、生産体制の最適化を図るとともに、災害等に対するリスクの分散を進めております。しかしながら、想定をはるかに超えた大規模な自然災害が発生した場合には、当社グループの開発や生産設備に影響を及ぼす可能性があり、一定期間の操業の中断、被害を被った設備の修理や交換等の損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 

 当社グループは、第五次中期経営計画の下、「Visual Technology Company」を目指しており、ハードウェアの機能強化や各市場に適した映像技術の研究開発を行うとともに、ハードウェア及びソフトウェアを融合した新しいシステムソリューションを提供できるよう、研究開発活動を強化しております。

 開発体制としましては、日本、ドイツ及び米国に有する開発拠点各々が企画・製造・販売と連携しており、市場ニーズに合致した製品をタイムリーに投入できる体制を構築しております。

 当連結会計年度の主な研究開発活動は、次のとおりであります。

・メディカル市場向けでは、画像の細かい部分の不明瞭さを補正し、輪郭をクリアに描き出す技術「Sharpness Recovery」や、手術室において顕微鏡や内視鏡などの術野映像や生体情報、PACSなどの医療情報を統合表示し操作するシステム「CuratOR Surgical Panel」を開発しました。

・グラフィックス市場向けでは、4K対応の高密度表示モニターの開発に加え、モニター画面と写真プリントの色合わせを簡単に行えるソフトウェア「Quick Color Match」を開発しました。

・産業市場向けでは、屋外監視の妨げとなる霧や雨、雪をモニターが自動で判別し鮮明化する技術「Visibility Optimizer」を開発しました。

・B&P市場向けでは、フルフラット・フレームレスデザインの製品開発を行いました。

 以上のように製品の研究開発を積極的に行った結果、映像表示システムの研究開発費は増加しました。一方、アミューズメント用モニターの研究開発費については、開発投資の効率化を図ったことから減少しました。この結果、当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比べ662百万円減少し、5,387百万円となりました。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示、並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っております。このため、会計上の見積りはその性質上不確実であり、実際の結果と異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度における資産、負債及び純資産の状況は、新工場棟の建設に伴い建物及び構築物や、流動負債のその他に含まれる未払金が増加しました。一方、保有株式の時価が下落したことにより投資有価証券の評価額、繰延税金負債及びその他有価証券評価差額金が減少しました。

 以上の結果、資産合計は1,727百万円減少し104,792百万円、負債合計は445百万円減少し26,780百万円、純資産合計は1,282百万円減少し78,011百万円となりました。

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、前期比3.2%増の74,878百万円、営業利益は同13.6%増の5,081百万円、経常利益は同21.1%増の5,698百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同26.5%増の4,202百万円となりました。

 詳細につきましては、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。

(4)キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

(5)流動性及び資金の源泉について

 当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、生産能力の増強や生産性の向上、新しい市場で要求される規格への対応等を目的とした設備投資を予定しております。また、メディカル市場や産業市場向けでの長期安定供給に応えるための在庫資金や、新しい分野への先行的な研究開発資金等、事業を成長・拡大させるための資金需要がある他、必要に応じてM&A等を行う可能性もあります。

 当該資金は、営業活動で生み出された内部資金で賄うこととしておりますが、資金需要の大きさや時期、為替相場の状況によっては、自己資金以外の資金調達の方法を検討する場合もあります。