第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、テクノロジーの可能性を追求し、顧客に新たな価値を認めていただける製品を他社に先駆けて創造、提案し、顧客の満足を得ることを経営の基本方針としております。このため、当社は映像技術を核とした市場や顧客のニーズに応じた最適な映像環境ソリューションを提案する「Visual Technology Company」として、世界トップレベルの高品質かつ信頼性の高い映像製品の提供、システムソリューションの提案を行っております。

 

(2) 経営戦略

当社は、2021年度を初年度とする第7次中期経営計画において「Amplify Imaging Value ~映像をもっと便利に、価値あるものに~」を掲げ、Products & Systemsで「映像」の価値を高め事業領域を拡大することを計画しております。製品の更なる進化を推し進め、独自アルゴリズムやAI等を要素に、モニター、カメラ、ネットワークエンコーダ等の各種製品を強化してまいります。加えて、これら製品群で構成する「撮影、記録、配信、表示」のImaging Chainをシステム事業として展開し、DXの加速により更に情報量が増大する「映像」の利便性を向上させ、その価値を高めてまいります。このシステム事業「EIZO Visual Systems」(EVS)により、システム事業で製品をより強く、そして強い製品でシステム事業もより強くすることで、ビジネスモデルをNEXTステージに進化させます。

 

(3) 経営環境

当社の属する電子機器業界は、絶え間ない技術の進化、液晶パネルに代表される電子デバイス業界の変容等、激しく変化しております。その環境下で、ソリューションビジネスが拡大するとともに、新たな価値創造に向けた取組みが進展しております。

そうした中、当社はB&P(Business & Plus)で培った要素技術・品質・ノウハウを核に、ヘルスケア等の特定市場に深く根差した製品を開発し、相互にシナジーを生む事業を展開し、強いビジネスモデルを構築してきました。さらにグループ会社のカリーナシステム㈱とともに、Imaging Chainを一貫したシステムとして顧客に提供できる体制を整備しております。

当社が認識する各市場の経営環境は次のとおりです。

 

B&P(Business & Plus)

ビジネス用途では作業効率の向上を図るための表示画面の大型化及び高解像度化が進んでおります。また、サステナビリティへの意識の高まりにより、環境に配慮した製品への需要が高まると見込んでおります。なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を契機に人々の生活様式や働き方の多様化が進み、ノートPCとの親和性等、機能の高度化に対するニーズが高まっております。

 

ヘルスケア

診断用途については、欧州・米国・日本といった先進国では読影環境の改善を目的とした高解像度モニターの需要が高まることに加え、中国や新興国においても医療の先進化により需要が高まる見込みです。また、欧米において導入が進んでいる遠隔診断は、その他地域にも拡がることが見込まれます。内視鏡及び手術室用途については、低侵襲手術などの先端医療への需要が高まっており、高解像度手術用モニターや術野カメラ、映像記録・配信システムなどの映像関連機器の需要が高まる見込みです。

 

クリエイティブワーク

静止画分野については、色の再現性が重要な写真や印刷用途での底堅い需要が存在します。映像制作向けについては、4K・HDR制作環境が浸透しており、特に映画制作や動画ストリーミング配信サービス分野における需要が高まる見込みです。またゲーム制作向けの需要についても高まることが見込まれます。

 

V&S(Vertical & Specific)

多種多様な業種・分野を対象としており、幅広く需要を見込みます。ATC向けについては、全世界における市場シェアNo.1のポジションを維持しております。米国を始めとした全世界の更新需要に加え、空港新設による需要や付加価値の高い高解像度モニターの需要についても高まることが見込まれます。

監視向けについても、全世界でセキュリティ意識の高まりを背景に、市場が拡大することが見込まれます。船舶向けについては、操舵室の電子化・システム化に伴い船級規格を備えたモニターの堅調な需要が見込まれる他、船内監視ニーズ、自動航行システム実現に向けた研究活動等、市場は多様化の動きを見せております。

 

アミューズメント

新規則機への入替需要の反動減により、翌2022年度の販売は減少する見通しです。当市場は引き続き遊技人口の減少により厳しい環境となりますが、魅力ある商品の提供及び製品の安定供給に努め、市場でのトップメーカーの地位を維持してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上の課題

① ビジネスモデルの進化と新たな価値の創造

第7次中期経営計画では、ProductsとSystemsの両面から「映像」の価値を高め、事業領域を拡大します。当社製品の更なる進化と拡がりを目指し、独自アルゴリズムやAI等を要素に、モニター、カメラ、ネットワークエンコーダ等の各種製品を強化し、圧倒的な差別化を図ります。加えて、これらの製品群で構成する「撮影、記録、配信、表示」のImaging Chainを「EIZO Visual Systems」(EVS)として展開し、DXの加速により情報量が増大する「映像」の利便性を向上させ、その価値を高めてまいります。

システム事業の展開と当社の強みをより一層活かした製品づくりにより、当社独自のビジネスモデルをNEXTステージに進化させ、新たな価値の創造に努めてまいります。

 

② 安定した資材調達と製品供給への取組み

当社は、取引先との間で相互繁栄を基本とした信頼関係を構築し、互いが長期に発展できるパートナーシップを築くことを方針としております。各取引先とは、当社の資材調達方針に加え、当社のサステナビリティに関する取組みを共有し、パートナーシップを強化しております。また、自然災害の発生、感染症の流行、国際紛争や市場の変化により資材調達が困難な時においても顧客への安定的な製品供給を実現するため、資材調達におけるBCPを強化するとともに十分な材料在庫の保有を戦略的に行っております。これらの取組みにより、安定供給を継続、維持してまいります。

 

③ 事業成長のための生産性向上と競争力強化

Products & Systemsによる事業成長のため、事業基盤を支えるITインフラの刷新を行うなど業務効率化と生産性向上を進めてまいります。また、当社独自のビジネスモデルを進化させ、当社固有の技術と強いシナジーを発揮するノウハウ、技術等を取得するため、今後も必要に応じ機動的なM&Aを実施いたします。

 

④ 持続可能な社会の実現に向けた価値創造の推進

当社は、「映像を通じて豊かな未来社会を実現する」という企業理念のもと、エルゴノミクスや環境に配慮した高品質な製品づくりや、誰もが生き生きと活躍できる職場環境の構築支援など、製品づくりと事業活動を通じて社会課題の解決に取組んでおります。2022年3月には社会課題と当社経営戦略の観点から重要性の高い事項をマテリアリティ(重要課題)として特定しました。それらを全社目標マネジメントシステムとリンクさせることで持続可能な社会の実現に向けた取組みを一層強化し、中長期的な企業価値の向上に努めております。

2020年からはグローバルサプライチェーンにおけるCSRの推進に取組む企業連合「RBA(Responsible Business Alliance)」に加盟しており、人権と多様性の尊重の取組みをさらに強化・徹底していくため、2022年4月に「EIZOグループ人権方針」を新たに制定しました。引き続き、サプライチェーンを含めたサステナビリティに関する取組みを推進してまいります。

 

⑤ 気候変動対策への取組み

気候変動対策への取組みとして、2021年5月にTCFD(※1)に賛同表明し、世界的な気候変動による当社事業への影響を分析し、関連情報の開示と必要な対策を着実に進めております。また、パリ協定(※2)が定める気候変動に関する目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets(以下「SBT」という。)」に対しても、当社の温室効果ガス排出削減目標を設定し、認定を受ける予定です。

(※1) TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース(the Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

(※2) パリ協定:2015年にフランス・パリにおいて開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択された、2020年以降の気候変動問題に関する包括的な国際協定

 

当社はEIZOブランドの立上げ以来一貫して最先端の環境対応に取組んでおり、製品の省エネ性能を追求するとともに、事業活動全体における温室効果ガス排出削減目標を策定するなど、気候変動対策に取組んでいます。

また、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとの良好なコミュニケーションが図れるよう、TCFDのフレームワークに基づき、情報開示(ガバナンス・リスク管理・戦略・目標と指標)を進めています。

 

<ガバナンス>

気候変動関連に関する課題についてはサステナビリティ委員会を設置し取組んでいます。また、気候変動関連に関するリスクと機会の評価と対応については、下部組織に気候変動対策分科会を設置し、専門的観点から検討しています。サステナビリティを巡る課題への対応は、サステナビリティ委員会の委員長である代表取締役社長がその責任を負っています。

当社取締役会は、気候変動関連事項に対処するためのゴールとターゲットに関して、サステナビリティ委員会による温室効果ガス排出削減やシナリオ分析に基づく機会実現のための戦略の策定、および年4回の業務執行状況の報告により、その進捗状況をモニタリングし、監督しています。

 

◆サステナビリティ・マネジメント体制

 

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<リスク管理>

当社は、当社グループをとりまくリスクを適切に管理することが経営目標の達成や事業戦略の実行のために不可欠であると捉え、統合的・一元的にリスクを管理する全社的リスクマネジメント体制を構築・運用しています。

気候変動に関連するリスクと機会は、全社的リスクマネジメントと連携し、TCFDが示す長期的かつ専門的なリスクと機会への対応を包含するために、サステナビリティ委員会・気候変動対策分科会にて分析・評価し、対策を検討しています。

 

<戦略>

当社は、脱炭素社会への移行に伴い不確実性の高い将来を見据えて、どのようなビジネス上の課題が顕在しうるか、IPCC(※3)第6次評価報告書において示された2℃シナリオ(SSP1-2.6)と4℃シナリオ(SSP5-8.5)のそれぞれにおいて、TCFDが提言するシナリオ分析を行いました。

また、サステナビリティ委員会において、EIZOグループにとっての重要課題である「マテリアリティ」を特定しました。その中で気候変動問題が重要な課題であるという認識にいたっており、長期的な視点での気候変動関連のリスクと機会について、「サステナビリティマネジメント基本規程」に従って、次ページ「◆2℃/4℃シナリオに基づく気候関連リスク・機会」のように特定しました。

なお、リスクの重要度評価の基準としては、売上及び利益・損失に対する一定規模以上の影響と発生可能性を考慮して決定しています。

(※3) IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル)

 

◆2℃/4℃シナリオに基づく気候関連リスク・機会

リスク

/

機会

区分

気候変動関連項目

期間

対応策

影響度

該当シナリオ

温室効果ガス排出価格上昇(炭素税導入)による税負担(公租公課)の増加

中期

長期

・SBT水準における長期的なCO₂削減目標の設定と、削減活動の実行

2℃/4℃

調達コストの高騰による製造原価の増加

短期

中期

・仕入先とのパートナーシップの強化

・製品における原材料構成の見直し

(再生プラスチックの利用率向上、脱プラ等梱包材見直し、バイオプラスチックの利用検討等)

2℃/4℃

再エネ導入費、省エネ対応設備投資費の増加

短期

中期

2℃

温室効果ガス排出抑制のためのモーダルシフトによる輸送コスト上昇(モーダルシフトに限らず、現状の輸送手段における低炭素化に伴うコスト増)

中期

長期

2℃/4℃

災害対策に関する規制が強化され、従業員の安全や、事業継続に関する対策が義務化される可能性がある

中期

長期

・労働安全衛生マネジメントシステムにおける運用

・労働安全衛生目標の設定とモニタリング

2℃

製品の省エネ、低炭素化における目標達成の未達

中期

長期

・製品の省エネ、低炭素化目標達成に向けたKPIの設定とモニタリング

2℃

低炭素化の目標達成に向けた研究開発投資の増加

中期

長期

・低炭素化の目標達成に向けた研究開発投資の継続

2℃/4℃

再エネ比率の高まり、石油価格高騰によるエネルギーコストの上昇

中期

長期

・建物及び生産設備のエネルギー効率向上

・業界No.1を実現する低消費電力製品の開発

・SBT水準における長期的なCO2削減目標の設定と、削減活動の実行

2℃/4℃

[B&P、ヘルスケア、クリエイティブワーク、V&S]

環境性能の高い製品ニーズ増加による販売拡大

短期

中期

・業界No.1の環境性能を実現する製品の開発

2℃/4℃

[ヘルスケア]

気候変動に伴う健康リスクの増大により健康と福祉を重視する価値観が醸成され、市場が拡大

中期

長期

・HC事業の継続強化

・EVSを中核としたシステム事業の拡大

2℃/4℃

[V&S]

気候変動による自然災害が激甚化する中でレジリエントな社会ニーズに適応する製品およびシステムニーズの拡大

中期

長期

・V&S製品のラインナップ拡充

・EVSを中核としたシステム事業の拡大

2℃/4℃

※評価指標 <期間>短期:~3年程度、中期:3~10年程度、長期:10年以上

<影響度>大:損失のリスク及び収益の機会が1,000百万円以上、中:同100百万円以上、小:同100百万円未満

 

当社では、2℃及び4℃の世界観におけるシナリオ分析によって、2030年時点で具体的にどの程度の財務インパクトが生じるのかを分析しました。

2℃シナリオの場合、カーボンプライシング政策が強化されることによって、事業運営コストの上昇による財務影響が大きいと想定しています。また4℃シナリオの場合は、気候変動による物理的な影響から、バリューチェーンにおける物流の寸断や、調達コストへの影響も連動して負担となることを予測しています。

一方で、脱炭素化に向けて顧客の製品選択基準が変化し、省エネ性能、温室効果ガス低排出製品のニーズがより高まることから、環境性能の高い当社製品は低炭素社会への移行に伴って、ますますビジネス機会を創出する可能性が高まると想定しています。

 

<指標と目標>

気候変動のリスクと機会を管理する指標として、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標であるSBT基準の1.5℃水準の野心的な目標設定を行いました。

Scope1+2 (※4)

2030年度までに温室効果ガス排出量を2019年度基準で70%削減

Scope3  (※5)

2030年度までに温室効果ガス排出量を2019年度基準で27.5%削減

(※4) Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

(※5) Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

(今後の取組み)

当社では、現在SBT基準に準拠した温室効果ガス排出削減目標を設定していますが、今回のシナリオ分析によってその重要性を改めて認識しました。当社では、Scope1、Scope2の排出量において、基準年を2019年度として2030年度までに70%削減、2040年度までに100%削減(実質ゼロ)を目指しています。またScope3排出量においては、2030年度までに温室効果ガス排出量を27.5%削減するという目標を掲げています。

 

製品のカーボンフットプリント(※6)の低減は市場ニーズとしてますます高まるため、当社の低炭素製品の開発を積極的に推進することで、さらなる販売の拡大につながると考えています。当社は、持続可能な社会の実現に向け、製品をつくる過程・ユーザーが使う過程双方の観点で環境に配慮したサステナブルな製品開発の推進を中期経営計画に掲げています。

(※6) カーボンフットプリント:商品・サービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出された温室効果ガスの量を追跡し、得られた全体量をCO₂に換算して表示すること

 

2【事業等のリスク】

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。但し、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。当社グループではこうしたリスクを認識した上で、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項」に記載のリスク管理体制に基づき、全社的リスクマネジメント体制を整備しております。

なお、本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2022年5月27日現在において判断したものです。

 

<市場および事業活動に関するリスク>

(1) 急激な市場の変化

当社グループは、先進性のある技術を積極的に開発し、多様化する市場ニーズを満たし、常に他社の一歩先を見据えた製品づくり、システム・サービスの提供を行っております。これにより製品、システムの付加価値を高め、市場における圧倒的な差別化を図っております。しかしながら、競争力のある他社製品の出現や新規企業の参入による競争の激化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 欧州における市場変動

当社グループの連結売上高に占める欧州向けの売上割合は、当連結会計年度は35.1%(前期は36.2%)となっております。そのため、欧州の景気が低迷する場合、新たな関税やその他の輸出障壁が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 外国為替の変動

当社グループは欧州、米国、中国等の主要販売地域での取引においては現地通貨建てでの販売を行っており、売上割合が高い欧州の通貨、特にユーロ建ての売上の比重が高くなっております。一方、米ドルにつきましては、米国その他の地域における米ドル建の販売より部品調達において支払う米ドルの金額が大きくなっております。従いまして、売上高・各段階利益につきまして、円に対してユーロ高は正、ドル高は負の影響を受けることとなります。為替変動リスクについては為替予約や米ドル建の販売拡大等の直接的・間接的なリスクの軽減又は回避に努めておりますが、為替変動により取引価格や売上高等が影響を受け、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 使用部品の調達

当社グループは、製品を構成する液晶パネル・半導体や機構材等すべての部品を外部供給者から調達しており、採用する部品の選定や仕入先の決定は、安定供給能力や事業継続計画の有無等の総合的な評価により行っております。また、仕入先との長期的な信頼関係の構築、顧客への安定的な製品供給を実現するための戦略的な在庫の積み増し、部品選定において複数購買先、複数工場・材料あるいは代替品の事前認定等、部品の調達問題に起因する影響を最小限に抑える管理体制を構築しております。しかしながら、世界的な半導体需給の逼迫や原材料の高騰による調達困難、仕入先の事業の統合や売却等による業界再編や生産撤退または事故や自然災害等の影響により使用部品の供給が逼迫した場合、一定期間において当社グループにおける生産の停止、販売の遅延等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 品質問題

当社グループは、品質に不具合のある製品の市場流出を確実に防止するため、統一された品質基本方針に基づき、国際標準化機構(ISO)による各種品質マネジメント規格の認証の下、企画・開発から、製造・販売・アフターサービスに至るすべてのプロセスにおいて、当社独自の一貫した品質マネジメントシステムを構築し、継続的に各プロセスの改善を推進しております。また、万が一、安全や品質に関わる問題が発生した際は、迅速かつ的確な対応を実施し、問題の多発拡大を防止する体制を整えています。しかしながら、当社グループの製品に重大な品質問題が発生した場合には、ブランドの失墜、信頼性の毀損、損害賠償の発生、市場の喪失、製品販売の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人材の確保・育成

当社グループが、将来にわたって継続的に企業価値の向上を図るためには、国内外で優れた人材を確保し、育成する必要があります。そのために、人材育成が重要であると考え、進化・成長を促す自由闊達な企業文化の醸成に力を入れております。また、AIやRPAなどの技術の導入やITインフラを活用した業務プロセスの改革を推進し、仕事の無駄や長時間労働を無くし、効率良く働く環境を整えることで、社員のモチベーションと充実感を高めるよう努めております。しかしながら、常に優秀な人材を安定的に採用・確保できる保証はなく、優れた人材が多数離職した場合や育成が計画通りに進まない場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 濫用的買収に伴う企業価値の毀損

当社グループでは、強みである映像技術を活かし、高品質かつ高信頼性の映像製品を開発、生産、販売し、市場や顧客ニーズに応じた最適な映像環境ソリュ-ションを提供しております。これらの取組みにより業績向上と財務体質の強化に努め企業価値の向上を図っております。しかしながら、当社グループの企業価値を毀損する濫用的な買収が行われた場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) アミューズメント市場向けモニター固有のリスク

①法的規制による変動

当社の主力製品のひとつであるアミューズメント市場向けモニターは、遊技機に組み込まれて使用されます。この遊技機の開発・販売にあたっては、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」等様々な法規制・基準を遵守する必要があります。当社はこの法規制・基準の動向について注視し、改正・変更がある場合には速やかに対応しておりますが、法規制等に重大な改正がなされた場合、その影響を受ける可能性があります。

 

②製品のライフサイクル、販売数量等の変動

アミューズメント市場向けモニターが組み込まれている遊技機の販売動向は、市場でのユーザーの嗜好及び当社の販売先遊技機メーカーである三洋物産グループの遊技機の販売、開発、製造状況により左右されます。また、近年パチンコホール数や遊技人口の減少により市場における総販売台数が縮小傾向にあります。このような中、当社グループは市場情報の収集、調査及び分析に努め、市場のニーズを取り入れた新機種の企画・開発を積極的に推進しております。しかしながら、当社のアミューズメント市場向けモニターが搭載される遊技機が人気機種になるとは限らず、また、今後さらに市場が縮小した場合には販売数量が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<公的規制・コンプライアンス、税務に関するリスク>

(1) カントリーリスク

当社グループは、海外においても開発、製造及び販売拠点を有し、グローバルに事業の拡大を進めております。これらの国又は地域での事業活動に当たっては、政治的・社会的な混乱、国際紛争やテロ等の地政学的リスク、経済不安等のカントリーリスクが常に内在しております。当社グループは、当該国又は地域におけるリスクの特性を十分に把握した上で適切な拠点を選択し、有事の際の損害を最小限に抑えるべくリスクマネジメントの強化に努めております。しかしながら、上記リスクの程度によっては当社グループの事業活動が中止又は制限される可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは従来スウェーデン所在の販売グループ会社にてロシア市場向けの販売活動を行ってまいりましたが、今般のロシア・ウクライナ情勢に鑑み、同市場向けの出荷、新規の受注及びマーケティング・販売活動を全て停止しております。ロシア市場向けの販売実績は2022年3月期では海外売上高の1%未満であり、本対応が当社グループ全体の業績に与える影響は軽微となっております。

 

(2) 環境規制

当社グループは、従来から製品への有害物質や紛争鉱物の使用を排除し、リサイクル性や分解容易性に優れた機構・デザインの採用や製品使用時の消費電力削減に取組む等、一貫して環境に配慮した製品づくりを経営方針としております。また、環境に関する社会動向についても、関連する業界団体に積極的に参画し、情報の収集に努めております。しかしながら、今後新しい環境規制等が施行されることにより、規制に対応する追加コストが発生する場合や適合製品の開発又は市場投入が遅れる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) コンプライアンス

当社グループは、事業を遂行するに当たって世界各国において様々な法令、規則を遵守するため、EIZOグループ行動指針をグループ内に周知しております。また、社内規程の制定によるコンプライアンス体制の整備等、法令遵守には細心の注意を払うとともに内部統制や全社的リスクマネジメント体制の充実・強化を図っております。しかしながら、法規制が複雑化、グローバル化する中、万一法令違反行為が発生した場合や、新たな法規制の制定や改廃に対応できない事態が生じた場合、当社グループの事業活動の制限、社会的信頼の毀損、罰金・課徴金の賦課により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 情報セキュリティ

当社グループは、事業活動を通じて、機密情報や個人情報を取扱っております。このような重要情報の外部流出防止のために、システム及びセキュリティ対策の評価及び強化、社内規程の整備による社内管理体制の強化、役員及び従業員へのサイバー攻撃に対しての訓練や情報管理に対する重要性の啓発・教育に努めております。しかしながら、コンピュータウイルスへの感染、不正アクセスなどにより、システムの停止、情報の消失、漏洩、改ざんなどの事態が発生した場合には、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 知的財産権

当社グループが属する映像機器関連業界は、技術革新が著しく、同業他社も含め、各社が特許権、実用新案権、商標権、意匠権等を積極的に出願しております。

当社グループは、独自の技術等について積極的に出願を行うとともに、不用意に他社の特許等を侵害しないよう情報収集を図り、業界標準に対しては適切なライセンス契約を締結するなど、知的財産権の管理を強化しております。また、当社グループの特許権や商標権等の知的財産権に対する他社の侵害状況についても監視や警告体制を強化しております。しかしながら、予期しない特許侵害警告、訴訟、損害賠償請求、ライセンス契約等による多額の弁護士費用等の負担、和解費用、ライセンス費用の支払いが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 税務

当社グループを構成する各法人においては、各国の税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っております。なお、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っておりますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。

 

<感染症、気候変動、自然災害に係るリスク>

(1) COVID-19等の感染症

COVID-19の世界的な拡大に対して、当社グループは事業活動への影響が最小限になるよう対応しております。部品の調達面においては、サプライチェーンの機能不全により当社グループへの部品供給に影響を及ぼす可能性があり、また販売面においては、当社製品の販売時期の延期、顧客訪問の制約に伴う新規顧客や案件の開拓の遅れにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

今後新たな感染症が発生した場合にも、影響を最小限に抑える取組みを実施しますが、同様の影響を受ける可能性があります。

 

(2) 気候変動

当社は、昨年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同表明し、世界的な気候変動による当社グループへの財務影響を分析し、それらの適切な対策の検討と情報開示を進めております。当社グループは開発、資材調達、生産、販売等においてグローバルに事業を展開しており、各国における気候変動に対する政策及び法規制等が強化された場合や気候変動が事業環境の変化をもたらす場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 自然災害

当社グループは、国内外に製造工場や研究開発施設を有しております。そのため、地震や台風、洪水等の自然災害について防災対策を進め、それらに伴う影響を最小限に抑えるべく、事業継続計画(BCP)を策定し、体制の整備に努めております。しかしながら、不測の大規模な自然災害が発生した場合には、当社グループの開発や生産、資材調達、物流等事業に重大な影響を及ぼす可能性があり、一定期間の操業の中断、被害を被った設備の修理や交換等の損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況については、前連結会計年度末と比較し、資産の部は受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により5,397百万円増加し155,459百万円となりました。負債の部は主に買掛金の増加により1,268百万円増加し36,876百万円、純資産の部は親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことで4,129百万円増加し118,582百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における世界経済は、COVID-19の影響による厳しい状況が続く中、経済活動の停滞は緩和されつつあるものの、今後については半導体需給の逼迫や原材料価格の高騰に加え、ウクライナ情勢に伴う世界経済への影響など景気の先行きは不透明な状況が続く見込みです。
 

当連結会計年度における業績につきましては、売上高は86,789百万円(前期比13.4%増)と前期を大きく上回りました。半導体需給の逼迫やCOVID-19の感染拡大に起因した一部材料の供給不足により、10月から11月にかけて生産調整を実施しましたが、100%自社開発・生産の強みを活かして短期間での設計変更も実施し、12月以降挽回生産を強化しました。第4四半期では強さを増した期末の需要に対して国内外ともに製品在庫が一部不足したものの、可能な限り供給の維持に努めました。これらを通じ、市場における競争優位性を高め、販売を伸張させることができました。市場別では、B&P(Business & Plus)・ヘルスケア・クリエイティブワークにおいて販売が好調に推移しました。アミューズメント市場向けにおいては、新規則機への入替需要に円滑に対応し、前期を上回る売上高となりました。

 

利益面については、増収効果及び高付加価値製品の販売増に加え、円安ユーロ高による利益貢献もあり、売上総利益は30,859百万円と前期比で16.2%増加し、売上総利益率は35.6%と前期比で0.9ポイント上昇しました。また、販売費及び一般管理費については前期抑制した広告宣伝費等の営業活動費用の増加及び研究開発投資の増加により、前期比5.1%増の19,560百万円となりました。その結果、営業利益は11,299百万円(前期比42.4%増)、経常利益は12,110百万円(同37.4%増)となりました。特別損失としてカリーナシステム㈱のM&Aに伴い発生していたのれん及び同社固定資産の減損損失1,243百万円を計上しました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7,794百万円(同26.6%増)と過去最高となりました。
 

市場別の売上高の分析は、次のとおりです。

 

[B&P(Business & Plus)]

売上高は、17,544百万円(前期比4.0%増)となりました。材料調達コストの上昇に業界全体が影響を受ける中、当社が安定的な価格で供給を継続したことにより競争力を発揮しました。加えて、生産調整による減産分を取り戻すべく12月以降に順次生産を拡大し、その結果、海外において販売は好調に推移しました。国内においても、法人需要に対応し販売が堅調に推移しました。

 

[ヘルスケア]

売上高は、31,905百万円(前期比18.5%増)、過去最高の売上高となりました。海外においては、欧州での需要が底堅く推移し、北米では一定の需要回復が見られ、診断用途の販売が好調に推移しました。国内においても、政府補助金効果の影響もあり設備投資への回復基調が継続し、販売が好調に推移しました。また内視鏡用途向けでは、高解像度製品の販売が好調で、日本、欧米、中国での販売増につながりました。
 

[クリエイティブワーク]

売上高は、6,278百万円(前期比14.5%増)となりました。海外においては、欧州におけるHDR対応のハイエンドモデルの販売が好調に推移したこと、北米で映像制作向けの需要が回復基調であったことや中国でも需要が伸びたことにより販売が伸張しました。国内においては、ゲームクリエイター向けのテレワーク需要が高まった前期と比較して、売上高は減少しました。

 

[V&S(Vertical & Specific)]

売上高は、8,337百万円(前期比3.8%減)となりました。海外においては、監視向けの販売が回復基調となった一方、ATC向けは北米向けの販売が一巡し、自動車産業を始めとした各種産業向けはCOVID-19の影響を受けいまだ本格的な需要回復には至っておらず、売上高は前期並みとなりました。国内においては、監視向けやATC向けを始めとする産業市場向けの販売が拡大しましたが、顧客要求に対応したカスタマイズ製品の販売が一巡したことにより売上高は前期を下回りました。

 

[アミューズメント]

売上高は、18,141百万円(前期比25.6%増)となりました。規則改正に伴う旧規則機から新規則機への入替需要に対し、確実に製品を供給したことにより、前期を上回る売上高となりました。一方で、遊技人口の減少や店舗数の減少等により、当業界を取り巻く市場環境は厳しい状況が継続しております。
 

[その他]

売上高は、4,581百万円(前期比9.6%増)となりました。アミューズメント用ソフトウェア受託開発の売上高が増加したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ3,505百万円増加し、22,387百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動で獲得した資金は、8,429百万円(前連結会計年度は6,600百万円の獲得)となりました。

主に、収入として税金等調整前当期純利益11,286百万円、減価償却費及びのれん償却費2,612百万円、仕入債務の増加946百万円等、また支出として売上債権の増加4,933百万円、法人税等の支払3,241百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動で使用した資金は、2,394百万円(前連結会計年度は3,333百万円の使用)となりました。これは主に、航空管制用を始めとした特定市場向けグラフィックスボード等を開発・製造・販売するアメリカ子会社において、事業拡大を目的として新オフィスを取得したことや、電子回路基板を製造する国内子会社において、生産能力増強・生産性向上を目的とした設備等への投資によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動で使用した資金は、2,899百万円(前連結会計年度は2,648百万円の使用)となります。これは主に、配当金の支出2,558百万円があったことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 

当社グループは、映像機器及びその関連製品の開発・生産・販売が主であり、実質的に単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を行っておりません。以下は、品目別の状況を記載しております。

 

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を市場別に示すと、次のとおりです。

市場

金額(百万円)

前期比(%)

映像機器(アミューズメント除く)

53,926

108.4

アミューズメント

16,818

131.7

合計

70,744

113.2

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績及び受注残高は、次のとおりです。なお、映像機器及びその他の一部製品は見込生産を行っております。

品目

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

アミューズメント

16,643

114.5

180

10.8

(注)金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を市場別に示すと、次のとおりです。

市場

金額(百万円)

前期比(%)

B&P (Business & Plus)

17,544

104.0

ヘルスケア

31,905

118.5

クリエイティブワーク

6,278

114.5

V&S (Vertical & Specific)

8,337

96.2

アミューズメント

18,141

125.6

その他

4,581

109.6

合計

86,789

113.4

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月 1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月 1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社ジェイ・ティ

17,199

22.5

21,408

24.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等について

当連結会計年度の売上高は、前期比13.4%増の86,789百万円、営業利益は同42.4%増の11,299百万円、経常利益は同37.4%増の12,110百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同26.6%増の7,794百万円となりました。

詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりです。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

当連結会計年度は、市場別売上ではB&P・ヘルスケア・クリエイティブワーク・アミューズメントにおいて販売は好調に推移しました。また、地域別売上でも日本・欧州・北米のいずれにおいても前期を上回りました。以上により、当連結会計年度の売上高は86,789百万円となりました。

利益面では、増収や高付加価値製品の販売が増加したことにより売上総利益は増加し、販売費及び一般管理費は営業活動費用や研究開発投資は増加する一方でコストを適切にコントロールしたことにより、営業利益は11,299百万円、営業利益率は13.0%となりました。以上の結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高を更新しました。

 

当社グループは2021年度を初年度とする第7次中期経営計画「Amplify Imaging Value ~映像をもっと便利に、価値あるものに~」を策定しております。最終年度である2023年度の数値目標は、売上高88,000百万円、営業利益13,200百万円、営業利益率15%であります。

この達成に向けて、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上の課題」に記載した取組みを行うとともに、成長分野への投資を積極的に行います。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

財務戦略の基本方針

当社グループは、変化の激しい電子機器業界において強固な財務基盤を堅持し、企業価値向上のために戦略的かつ機動的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。

 

経営資源の配分に関する考え方

当社グループは、イベントリスクへの十分な備えを持ちつつ、長期にわたり持続的な成長を図るため、必要な資金を確保することが重要と考えております。

具体的な資金需要は、次のとおりです。

(事業の成長・競争力向上)

・開発創造型企業として、新たな価値を絶えず追求するための研究開発資金

・100%自社生産による優位性をさらに高めるべく、生産性の向上や生産能力の増強に係る設備投資資金

・世界100か国以上にて、タイムリーな供給を維持するための製品や材料の在庫資金

・ビジネスモデルをより強くするための戦略的なM&Aを実施する資金

(事業の安定)

・部品の調達リスクを吸収し、顧客への長期安定供給を実現するための資材調達・在庫資金

・経済環境の急激な変化や自然災害等により一時的な操業停止を余儀なくされるような場合の運転資金

以上の手許資金を確保し将来の見通しを立てた上で株主還元を行います。株主還元は、会社の成長に応じて安定的に株主配当を行うことを基本方針としており、その還元率は連結当期純利益40~50%を目標水準としております。具体的な配当政策については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」に記載のとおりです。

 

資金調達の方法

当社グループは、事業活動の維持及び拡大に必要な資金について、基本的には営業活動で生み出された内部資金で賄うこととしておりますが、資金需要の大きさや時期、為替相場の状況に応じ、自己資金以外での資金調達を実施しております。調達方法のひとつとして、為替の変動リスクを軽減するために外貨建て借入金を利用してリスクヘッジをしております。また、資金調達の状況によっては、必要な資金を確保するために投資有価証券の売却を検討いたします。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示、並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っております。このため、会計上の見積りはその性質上不確実であり、実際の結果と異なる場合があります。

当社グループの経営成績等に対して重要な影響を及ぼす会計上の見積り及び判断が必要となる項目は次のとおりです。なお、COVID-19による影響は当連結会計年度末時点において軽微であると判断の上、これらの見積りに反映しております。

 

売上債権の貸倒引当金

当社グループは、売上債権の貸倒損失に備え回収不能となる可能性のある金額を合理的に見積り、その額を貸倒引当金として計上しております。将来、販売先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

棚卸資産の評価

当社グループは、棚卸資産の市場需要に基づく将来の販売見込み及び正味売却価額から、棚卸資産が将来に獲得可能なキャッシュ・フローを見積り、必要な評価減を計上しております。実際の市場における需要又は正味売却価額が当社の見積りより悪化した場合には、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

有形固定資産の減損

当社グループは減損会計を適用しております。当社グループでは、固定資産の種類別、所在地別又は目的別に、物理的及び経済的な価値並びに耐用年数を見積り、償却手続きを実施するとともに、必要に応じて有姿除却等の措置をとっております。また、当該資産の除却に関して法令又は契約にて要求される法律上の義務及びそれに準じるものを資産除去債務として見積り、負債として認識しております。しかしながら、固定資産の価値、耐用年数の見積り、その評価又は除却に係る算定等で使用した前提条件と大きく異なる状況が生じた場合には、償却や損失の追加が必要となる可能性があります。

また、のれんについては、買収した事業の超過収益力に応じて評価し、10年以内に償却しております。重要性のないのれんについては取得時に一括して償却しております。当初見込んだ回収期間の中途において、買収事業の収益力が低下した場合、買収事業を撤退する場合、あるいは適正価値より低い価額での売却を行った場合には、臨時の損失が発生する可能性があります。

 

投資有価証券の減損

当社グループは、取引金融機関、販売又は仕入に係る取引先等の株式を保有しております。これらの株式のうち、上場株式では株式市場の価格変動リスクを負っているため、連結決算日の時価が取得価額から50%以上下落した場合には減損損失を認識いたします。また、連結決算日の時価が取得価額から30%以上50%未満下落した場合には、回復可能性の判定を合理的な基準に基づき行い、回復する見込みがあると判断したものを除き、減損損失を認識いたします。非上場株式では投資先の純資産額における当社持分額が取得価額より50%以上下落した場合には、減損損失を認識いたします。そのため、保有株式の時価評価額が下落した場合は、投資有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少する場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

また、繰延税金資産は当連結会計年度末における法定実効税率に基づき計上しておりますが、将来において税制改正により税率が変更された場合には繰延税金資産の残高が減少し、それに伴い税金費用が計上される可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 

開発体制としましては、日本、ドイツ、米国及び中国に有する開発拠点各々が企画・製造・販売部門と連携しており、市場ニーズに合致した製品をタイムリーに投入できる体制を構築しております。

 

当連結会計年度の主な研究開発活動は、次のとおりです。

B&P市場向けにおいては、24.1型の液晶モニター「FlexScan EV2485」を開発しました。24.1型サイズにA4サイズの2ページ見開きが収まるWUXGA(1920×1200)の解像度を実現することでビジネス文書の作成・閲覧時の作業効率を向上させています。さらに、テレワークやオフィスのフリーアドレス導入などの働き方の多様化に伴い、デスクトップPCから持ち運びに便利なノートPCへの移行が加速する中、USB Type-Cケーブル1本でノートPCとシンプルに接続でき、マルチモニターの広い作業領域を実現しています。

また、EV2485を含むFlexScanシリーズの8機種において、2021年12月にIT機器の国際サステナビリティ認証「TCO Certified Generation 9」を世界で初めて取得しました。当認証はオフィス機器の安全性、人間工学、電磁界放射、環境(有害物質・リサイクル・省エネルギー)、人権、安全衛生や倫理など多岐にわたる要求事項が規定されています。認証取得に向けて、環境、人体への安全性を考慮し、TCO指定の安全な難燃剤・可塑剤を電源基板と外装プラスチックに使用するなどの研究開発活動を強化いたしました。

 

ヘルスケア市場向けにおいては、3メガピクセル対応の21.3型医用画像表示カラーモニター「RadiForce RX370」を開発しました。従来機種からの新規開発機能としてモニターの輝度を一時的に通常時の約2倍に引上げる「Instant Backlight Booster」を搭載し、医用画像の細部をより見やすく表示することが可能になりました。

また、院内ビデオカンファレンスシステム「ADMENIC LNX」を開発しました。既設の院内ネットワークを使用してサーバーを介さずに会議室や医局、医師控室など場所を選ばずにビデオ会議をセキュアに開催することができ、時間の節約や業務効率の向上を実現しています。

 

V&S市場向けにおいては、「撮影、記録、配信、表示」のImaging Chainをシステム事業として新たに展開しておりその一環として、当社ブランド初となるレンズ内蔵型の超高感度HDズームカメラ「SSZ-9700」と超高感度HDカメラ「SSC-9700」をグループ会社であるカリーナシステム㈱と共同で開発しました。両機種ともに超高感度なため、人の目や一般的なビデオカメラでは見えない暗闇などの低照度環境においても、カラーで鮮明な映像を撮影することができ、河川・港湾などのインフラ施設の監視や、警察捜査などでの活用が見込まれます。

また、2020年4月より日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」のDFFAS(Designing the Future of Full Autonomous Ship)コンソーシアムに参画し、船舶が多数行き交う海域で無人航行を行う世界初の取組みにおいて、2年間の研究開発を経て実証実験成功に漕ぎ着けました。30社のコンソーシアムにおいて、当社は超高感度カメラでの撮影、映像の船陸間の伝送・録画、陸上支援センターでの統合表示を担い、Imaging Chainを具現化したシステム構築を行いました。

 

クリエイティブワーク市場向けにおいては、HDR映像の制作に適した27型のカラーマネージメント液晶モニター「ColorEdge CG2700X」「ColorEdge CG2700S」を開発しました。クリエイターに求められる正確な色表示を実現する現行機種の各種性能は踏襲しつつ、ノートPCとUSB Type-Cで接続することで画面表示やUSB信号の伝送のみならず、ノートPCへの給電や有線LAN接続を実現する機能追加を行いました。これにより、ハイエンドノートPCでの制作時もモニターをドッキングステーション代わりに利用でき、クリエイターの利便性を大幅に向上させました。また、映像制作向けの機能を強化しており、現行機種を超える高輝度・高コントラスト比を実現しました。制作用のHDR表示に対応し、映画や放送の国際規格に準じる専用カラーモードも標準搭載することで、幅広いコンテンツの編集・プレビューを可能にしました。

 

環境に配慮した製品づくりのため脱プラスチック推進の一環として、段ボールや新聞の再生紙を原料とするパルプモールドを「FlexScan EV2490」「RadiForce RX370」の製品梱包材に初めて採用しました。これまで梱包材には発泡スチロールを使用してきましたが、パルプモールドに切替えることで廃棄時の環境負荷を低減しました。

 

当連結会計年度の研究開発活動に要した費用は、前連結会計年度と比べ191百万円増加し、5,834百万円となりました。