第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(経営方針・経営戦略等)

スローガン:

「夢・挑戦・創造」

基本理念  :

「情報通信&エンターテインメントで人々を幸せにする」

経営方針  :

「挑戦する精神」

 

① 情報通信とエンターテインメントへの集中

 

② 企業価値の向上を図る

 

③ ベンチャー精神で自ら行動する

 

 

(経営方針)

当社グループでは、「情報通信とエンターテインメントへの集中」、「企業価値の向上を図る」、「ベンチャー精神で自ら行動する」を経営方針に掲げ、中長期的な経営戦略として、以下の3点を推進しております。

① 情報通信(セキュリティ、M2M/IoT)関連分野での新たな顧客価値の創造

② エンターテインメント(遊技機及びゲーム)関連分野での新たなIPの創造

③ グローバル市場におけるビジネス構築及び拡大

具体的には、ハードウエアとソフトウエアの両方の技術を持つエンジニア集団として、お客様から信頼いただける商品・サービスに徹底的にこだわり、企画・開発・販売戦略をもって、新たな価値を提供し、収益に貢献するビジネス展開を図ります。また、外部からの視点やノウハウを積極的に活用し、変化はチャンスととらえ、失敗を恐れず、更なる成長を目指してワールドワイドで取組んでまいります。

 

(目標とする経営指標)

当社グループでは、継続的・安定的に収益を確保し事業規模の拡大を図るためにも、売上高及び売上総利益の成長、これらを踏まえた営業利益・経常利益・キャッシュ・フローを重要な経営指標と位置付けております。

 

(経営環境及び対処すべき課題)

今後の経済情勢としましては、世界的なインフレに伴う金融不安及びウクライナをはじめとする地政学的リスクに加え、今後の米国及び日本の政策金利の動向が予測できない面もあり、依然として不透明な状態にあると認識しています。

このような経済情勢の中、当社グループでは、競争優位性を確保できると見込まれる複数の事業領域を持つことで事業の継続性を高める活動をしております。具体的には、グローバルデータインテリジェンス事業及びエンターテインメント関連事業に加え、新規IT関連事業としてIoT・AR・AI等の最新技術を活用していく社会的な流れを汲み、新たな主力製品・サービスの構築と、複数の市場に対応できるようマーケテイングの強化や販売パートナーとの連携強化を行っております。一方、事業ポートフォリオの管理も重要と考え、当社が許容できるリスクの範囲内で市場動向・競合動向・自社経営資源など総合的に勘案し、最適なポートフォリオ構成になるよう取り組んでおります。

1)社員の育成と採用

当社グループは人財の育成と採用を強化するため、以下の取り組みを進めております。

① 人的資源の育成

② イノベーションを創出する組織づくり

③ 働きやすい職場環境の構築

④ 人財の獲得

 

テクノロジーの進化が著しい時代において、その高度な技術を企業価値の向上に結び付けられる優秀な人財をいかに育成・獲得していくかが重要と考えており、継続的な募集、教育・研修制度、人事・処遇制度の拡充による定着化に加え、各分野で蓄積したノウハウを共有することで社員の「人財資本化」を推進しております。

 

2)高収益体質への改革

当社グループは、収益に資する商材を豊富に擁すこと、経費等の効率化をすすめること、及び収益構造の改善を重要命題とし、高収益体質の成長企業となるべく様々な改革を推進しております。具体的には、既存の各事業がカバーしている市場のみならず、その周辺や新規市場におけるマーケティングの強化により、ニーズを発掘し、より付加価値の高い商材を開発する事業体制を構築してまいります。また市場が成長段階にあるグローバルデータインテリジェンス事業や新規IT関連事業につきましては、中長期的な成長持続のために必要な投資を継続してまいります。

3)資本・業務提携等による事業領域の拡大

当社グループは、今までに蓄積してきました最新の技術を積極的に自社事業展開に応用し、これらの技術を軸とした、自社事業とのシナジー効果が見込まれるビジネスに対して、パートナーとの資本・業務提携等を積極的に行ってまいります。

また、当社グループでは中長期の持続的な成長を実現するため、新規IT関連事業の次なる主力事業と期待される事業の確立に取り組んでおります。多様な事業分野におけるノウハウや営業網を活用しつつ、資本・業務提携等を通じたパートナー企業との協業、各分野における開発期間の短縮化、マーケティング、お客様開拓を効率的に進め、早期の事業確立を実現することで、新たな顧客価値の創造を通じた収益の増大に取り組んでまいります。

 

<事業課題>

グローバルデータインテリジェンスでは、近年の犯罪捜査において、犯罪現場から証拠を最大限入手するには、従来の物理的証拠に加え、デジタル(データ)証拠の保存の重要性が益々高まっており、Cellebrite社のInseyets等、最新鋭のデジタルインテリジェンスツールは今や必要不可欠なソリューションとして米国の警察組織への導入が広がりを見せております。一方、①データの大容量化、②スマートフォンのセキュリティの高度化、③IoTを採用するアプリケーションの増加により、クラウドコンピューティング、リモートデバイスの監視及びワイヤレスデバイスを介したデータ送信等、新たな需要へ対応するために必要なデータ収集・抽出・分析の難易度は継続的に高まっております。

また年々巧妙化・組織化するサイバー犯罪に対峙する犯罪現場においては、インシデント発生後に調査・解析をするデジタルインテリジェンス(フォレンジック)だけではなく、法執行機関に向けた、インシデントを事前に予知し、防止するためのアクティブサイバーディフェンスや脅威インテリジェンスとの相互関連性が高まっております。

当事業では、これらの事業機会において安定的な収益機会の獲得及びデジタルフォレンジックに拘らない新デジタルツール/ソリューションの提供を事業課題ととらえ、ストックビジネスの増加を目指してアップセル・クロスセルによる販売機会の強化や解約率の減少、及び当社が有するグローバルなネットワークを生かした高付加価値製品の探索を進めてまいります。

エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業では、レジャーの多様化等により、継続的に市場が縮小している状況となっております。当社では、映像研究やゲーム開発で得られたノウハウなどを通じ、常に新しい表現を追求し、遊技機の商品性向上に努めております。また、スマート遊技機等、業界が変化していく中で、顧客との関係を強化しつつ、市場にマッチした遊技機の開発にも努めております。一方、今後も事業環境は厳しい状態が続くものと考えており、コストパフォーマンスの最大化に向けて開発・製造・販売それぞれにおいて、効率的な事業運営を図る取り組みを進めております。

新規IT関連事業では、人手不足解消や業務改善に向けたIoT化の提案は継続して取り組んでおり、また多様化する通信規格、インターフェイスの変化に対応すべく、Roosterシリーズで展開するルータ・ゲートウェイ製品の開発も継続して行っております。

また技術分野が多岐にわたり複雑になりがちなIoTを、当社のルータ・ゲートウェイをHUBとしたセンサーデバイスやスマートグラスを使った遠隔支援などを用いてワンストップでトータルコーディネートし、IoTによる業務改善・効率化・イノベーションを「かんたん」に実現する遠隔監視・制御ソリューションを展開してまいります。

一方、IoT分野における課題や顧客ニーズに対して、より高度かつ柔軟に対応するためには、パートナー企業とのアライアンスも欠かせないと認識しております。顧客満足度向上を目指し、IoTでのソリューションを一層強化し、スピード感をもって対応してまいります。

 

<財務課題>

2021年8月にCellebrite社が米国ナスダック市場へ上場したことに伴う資金調達により、事業成長のための戦略的投資等に活用できる目処が立つ等、財務不安は大きく改善されております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、「情報通信&エンターテインメントで人々を幸せにする」を基本理念に、挑戦する精神をもって事業活動に取り組んでおりますが、当社の活動、製品及びサービスのあらゆる面における環境負荷の低減と汚染防止を目指した環境保全活動を同時にすすめていくことが、地球及び労働環境への配慮と公正かつ適正な取引の実現につながる誠実な企業活動であると考えております。そのため「環境管理規程」と「環境マネジメントシステム」を構築し、経営基盤のひとつとして定着させ、推進しており、環境改善活動の継続的な向上・発展及び汚染の予防を積極的に図っております。

 

(2) 戦略

当社グループでは、「人」は会社にとって最大の財産と捉え、働きやすい職場環境と制度を整え、社員一人一人の能力を引き出すとともに、ライフステージに寄り添った対応を重ねることが、組織としての活性化につながると考えております。

 

(3) 人財の育成及び社内環境整備に関する方針・戦略

当社グループでは、全ての職種において外国籍人財のほか、ジェンダー平等に配慮した人財の採用を進めております。また仕事と育児等の両立を支援するために、出産前後や育児における休暇・休業・時短勤務制度など働きやすい職場環境の整備に取り組んでおり、男性従業員による育児休職制度の利用も徐々にではありますが浸透してきております。加えて自己啓発や社員相互の交流・活性化を支援する各種制度も取り揃えております。更に就業時間の徹底管理と長時間労働の削減に努めると同時に健康診断の実施や生活習慣病の指導、メンタルヘルス相談窓口の拠点ごとの設置など、従業員の心身の健康管理を推進することが、ひいては生産性を向上させ、企業価値の向上に繋がるものと考えております。

なお、具体的な指標については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」をご覧ください。また当社では、まだ測定可能な数値目標の設定には至ってはおりませんが、引き続き、積極的に検討してまいります。

 

(4) リスク管理

当社グループでは、地球規模で広がる気候変動や紛争と、それらに起因する難民や人権問題、更にパンデミックの発生など当社グループの事業に与えるリスクを認識し、モニタリングを継続しながら、発生段階に応じた事業継続の在り方等を検討するなど、リスク管理体制を構築しております。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を与える可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、以下に記載しました将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応についてリスク管理体制を構築しておりますが、以下の記載は当社グループの事業に関連するリスクのすべてを網羅するものではありません。

 

1.当社グループの事業について

① グローバルデータインテリジェンス事業

・最近の動向と当社グループの対応について

当事業は、持分法適用関連会社であるCellebrite社において開発・製造されるデジタルインテリジェンス・ソリューション及び、海外他社のセキュリティ商材の国内販売を行っております。戦争やパンデミック等による大幅な物流遅延や為替変動により当事業の経営成績が影響を受ける可能性があります。

② エンターテインメント関連事業

・法令規則の影響等について

エンターテインメント関連事業の販売に係る製品の顧客は、パチンコ業界の遊技機メーカーであります。パチンコ業界は、「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」等の法令規則の規制を受けております。また、遊技機メーカーまたはパチンコホールの業界団体は、行政の指導により自主的な規制を行うことがあります。このため、法令規則の改正及び自主規制により遊技機メーカー及びパチンコホールの経営環境が急激に変化した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、エンターテインメント関連事業は、需要変動が比較的大きな傾向を有しております。当社グループでは、市場動向への適切な対応に努めるべく各種の施策を講じておりますが、これらの施策にもかかわらず当社グループの経営成績が大きく変動する可能性があります。

・遊技機制御基板

ⅰ) 最近の動向と当社グループの対応について

最近の市場動向としましては、遊技人口の減少やパチンコホールの減少等により、遊技機メーカーの販売台数は、減少傾向に推移することが推測されます。このような状況の中、パチンコホールの新機種導入は、ゲーム性が高く集客が見込める機種に集中する傾向が高まっております。

当社グループでは、このような市場環境に対応すべく、遊技機の開発及び生産面において、取引先に対する協力体制の構築に努めており、従来の取引関係、開発・販売実績等から、安定的な取引関係を有しているものと考えております。しかしながら、競合状況等によっては、現在の取引関係が今後も維持し得るかは明らかではありません。

また、遊技機の需要動向等により業績が大幅に変動する場合があります。

ⅱ) 法的規制について

当事業が製造・販売する制御基板が組込まれる遊技機は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に基づき、国家公安委員会規則第四号(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)で定められた「技術上の規格」に適合することが必要であります。そのため、機種毎に国家公安委員会の指定試験機関による型式試験及び各都道府県の公安委員会による型式検定を受けており、指定試験機関の型式試験に合格した機種が販売を許可され、その後、各都道府県公安委員会による検定に適合した機種だけがパチンコホールに導入されます。

今後、これらの法律・規制等に重大な変更が加えられた場合、遊技機の開発・製造・販売のため新たな対応を余儀なくされる可能性があります。当事業はこれらの要因に対し、適切な対応を図るよう努めておりますが、これらの対応にもかかわらず、当事業の販売計画・経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

ⅲ) 特定の取引先との取引関係について

当社グループが開発・製造する遊技機制御基板の販売は、少数かつ特定の遊技機メーカーに限定されております。なかでも、株式会社藤商事に対する販売実績比率が高くなっております。

当事業では、これら少数かつ特定の遊技機メーカーとは、安定的な取引関係にあり、企画提案力の向上を図る等、より一層の関係強化に努めておりますが、これら販売先の販売状況・仕入方針・他の遊技機制御基板メーカーとの競合の状況によっては、当事業の経営成績が影響を受ける可能性があります。

ⅳ) 需要の大幅な変動について

遊技機は、新機種の発売当初に急激に需要が増加し、ヒット機種以外ではその後の需要は急速に減少する傾向を有しております。また機種毎の需要動向は、遊技者の嗜好の変化、遊技機メーカーの競合の状況、遊技機の規制の変更等により、大幅に変動する傾向を有しております。このため、当社グループが開発・製造・販売を行っている遊技機制御基板の需要動向も、大幅に変動する傾向を有しております。

当事業では、このような需要動向の変化に対応できる生産体制をとっておりますが、昨今の半導体の調達難も相まって、想定していない需要が生じた場合、又は製品への需要が想定を大幅に下回った場合等には、新たな対応を余儀なくされ、そのような場合には、当事業の経営成績が影響を受ける可能性があります。

また、パチンコ業界に対する行政指導等、予想し得ない変化が発生した場合、当事業の経営成績が影響を受ける可能性があります。

・樹脂成形品及び金型

当事業は、イードリーム株式会社において射出成形による樹脂成形品及び金型の製造・販売を行っております。射出成形・金型加工技術は、当社グループの遊技機関連事業・情報通信関連事業の製品製造に不可欠であり、同社の射出成形・金型加工技術の維持向上を図り、パチンコ業界への企画提案営業を推進しております。しかしながら、主要な販売先は遊技機メーカーであるため、遊技機の需要動向等によっては、当事業の経営成績が影響を受ける可能性があります。

③ 新規IT関連事業

・IoT向け通信機器

ⅰ) 最近の動向と当事業の対応について

IoT通信機器市場は、モバイル通信インフラの急速な高速・大容量化と通信料金の固定化・低価格化、またクラウド環境のインフラを利用し、あらゆる機器がインターネットへつながるIoT(Internet of Things)への関心の高まりと相まって、その規模は急速に拡大しておりますが、他業種からの新規参入も相次ぎ、IoT通信機器関連製品及び関連サービスの競争は激しさを増しております。

当事業では、特に産業用IoT(IioT)市場に焦点をあて、そのニーズを的確に捉えた新製品の開発をいち早く行うことで、価格競争に巻き込まれない事業展開を図りますが、対応が遅れたり、予想し得ない新技術が普及し新たな対応を余儀なくされた場合、更には、他社との競合状況等によっては、当事業の経営成績が影響を受ける可能性があります。

ⅱ) 法的規制について

当社グループが開発・製造・販売を行っているIoT向け通信機器は、電気通信事業法に基づき、総務省が定める技術基準に適合することが必要であり、このため機種毎に指定試験機関(一般財団法人電気通信端末機器審査協会(JATE)及び一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC))による審査・認定を適宜受けております。

今後、これらの法律・規格等の改廃が行われた場合、当事業において新たな対応を余儀なくされる可能性があり、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

2.当社グループの財政状態及び経営成績の変動について

当社グループは、連結財務諸表作成時において、在外連結子会社及び持分法適用関連会社の財務諸表は円換算されるため、米ドル、イスラエル・シェケル、マレーシア・リンギット等の為替の変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

3.その他事業遂行上のリスクについて

① 事業投資等について

当社グループは、今までに蓄積してきました最新の技術を積極的に自社事業展開に応用し、これらの技術を軸とした、自社事業とのシナジー効果が見込まれるビジネスパートナーとの資本・業務提携等を積極的に行ってまいります。

しかしながら、当初想定していた相乗効果が得られない場合、また、投資金額の回収が困難である場合等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

② 情報セキュリティについて

当社及び国内連結子会社は、経営に関する情報・取引先に関する情報・個人に関する情報の保護の観点から、情報システムセキュリティに関する社内規程を整備し、個人情報保護方針の策定、ITセキュリティの強化、従業員教育等を実施しております。

しかしながら、過失や外部からの攻撃等により情報漏洩・改ざん等の問題が発生した場合には、損害賠償金等の費用発生、信用低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

③ 知的財産権について

当社グループでは、製品・サービスの企画・開発過程で創造される発明案件につきましては、法務・知的財産部が管理を行い、顧問弁護士・弁理士と連携の上、速やかに特許申請等を行える体制を構築しております。また、特許申請を行わない方が競争優位に立てると判断した発明案件につきましては、意図的に特許申請を行わない場合もあります。しかしながら、他社による類似製品及びサービス等の製造・販売を効果的に防止できない可能性があります。

一方、他社の知的財産権の侵害を回避するため、法務・知的財産部において事前調査を実施しておりますが、当社グループが他社の知的財産権を侵害していると司法判断され、知的財産権の使用料・損害賠償金等を請求された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

④ 海外事業展開について

当社グループは海外への事業展開を積極的に進めており、当社グループが事業展開する国・地域における政治、社会、経済状況、関連法規制等につきましては、現地の動向を随時把握し、適切に対応していくよう努めております。

しかしながら、当該国・地域における紛争・自然災害・疾病流行等の発生、社会環境の変化、関連法規制の変更等、不測の事態が発生し、計画通りの事業展開が見込めない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

2023年2月2日に行われたEKTech Holdings Sdn. Bhd.との企業結合について前連結会計年度に暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の見直し後の金額を用いております。

なお、当社グループ内の業績管理区分の一部変更等に伴い、当連結会計年度より「モバイルデータソリューション事業」を「グローバルデータインテリジェンス事業」に報告セグメントの名称を変更しております。当該変更による、セグメント情報に与える影響はありません。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績

全体の売上高は、100億45百万円(前年同期比73.2%減)となりました。これは主に、連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましても、上記減収の影響もあり、29億63百万円(前年同期比88.4%減)となり、売上総利益率は29.5%(同38.7pt減)となりました。

営業利益は3億12百万円(前年同期は営業損失17億11百万円)となりました。これは主に、連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。

 

<各セグメントの概況>

a.グローバルデータインテリジェンス事業

 

2023年3月

(百万円)

2024年3月

(百万円)

前年同期比
増減額

(百万円)

前年同期比

増減率

(%)

売上高

29,152

994

△28,158

△96.6

セグメント利益又は損失(△)

△1,525

131

1,656

 

連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等により、281億58百万円の減収となりました。

 

b.エンターテインメント関連事業

 

2023年3月

(百万円)

2024年3月

(百万円)

前年同期比
増減額

(百万円)

前年同期比

増減率

(%)

売上高

6,259

6,051

△208

△3.3

セグメント利益

706

802

95

13.5

 

遊技機関連事業につきましては、遊技機部品等の出荷数量が減少したことにより売上減となりましたが、半導体不足が解消傾向にあること、その他経費の削減に努めたことにより、減収増益となりました。

 

c.新規IT関連事業

 

2023年3月

(百万円)

2024年3月

(百万円)

前年同期比
増減額

(百万円)

前年同期比

増減率

(%)

売上高

2,064

3,022

957

46.4

セグメント利益

138

230

92

66.6

 

M2M事業につきましては、原材料高騰の影響は残るものの、部品調達難が解消傾向にあることから、セグメント全体では増収増益となりました。

 

 

<財政状態>

 

資 産

(百万円)

負 債

(百万円)

純資産

(百万円)

自己資本比率

(%)

2024年3月

46,838

9,579

37,259

79.3

2023年3月

41,767

6,753

35,013

83.6

増 減

5,071

2,825

2,245

△4.3ポイント

 

(資産)

総資産は468億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億71百万円の増加となりました。

流動資産は234億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億86百万円の減少となりました。

主な減少要因としては、未収入金38億5百万円、現金及び預金14億6百万円の減少であります。一方、主な増加要因としては、金銭の信託33億円及び原材料16億55百万円の増加であります。

固定資産は233億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億57百万円の増加となりました。

主な増加要因としては、投資有価証券90億17百万円の増加であります。一方、主な減少要因としては関係会社株式34億67百万円の減少であります。

(負債)

負債は95億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億25百万円の増加となりました。

流動負債は49億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億80百万円の増加となりました。主な増加要因としては、短期借入金9億33百万円、未払法人税等3億58百万円及び契約負債1億9百万円の増加であります。一方、主な減少要因としては支払手形及び買掛金4億21百万円及び賞与引当金47百万円の減少であります。

固定負債は46億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億45百万円の増加となりました。主な増加要因としては、繰延税金負債19億73百万円の増加であります。

(純資産)

純資産は372億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億45百万円の増加となりました。主な増加要因としては、その他有価証券評価差額金63億4百万円及び為替換算調整勘定9億80百万円の増加であります。一方、主な減少要因としては、利益剰余金42億30百万円の減少及び自己株式8億37百万円の増加であります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、15億19百万円(前期末残高29億34百万円)となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、前年同期は135億18百万円の支出に対して、25億9百万円の収入となりました。主な資金の増加要因としては、法人税等の還付額38億44百万円であります。一方、主な減少要因としては、棚卸資産の増加額21億88百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、前年同期は251億31百万円の支出に対し、35億62百万円の支出となりました。主な資金の減少要因としては、金銭の信託の取得による支出40億円、無形固定資産の取得による支出1億68百万円及び有形固定資産の取得による支出1億19百万円であります。一方、主な増加要因としては、金銭の信託の解約による収入7億円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、前年同期は255億74百万円の収入に対して、3億85百万円の支出となりました。主な資金の減少要因としては、自己株式の取得による支出9億3百万円及び配当金の支払額4億52百万円であります。一方、主な増加要因としては、短期借入金の増加9億91百万円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループは、エンターテインメント関連事業の一部において生産を行っております。当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エンターテインメント関連事業

4,286,984

94.8

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

 2 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、グローバルデータインテリジェンス事業において、連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。

b. 受注状況

当社グループは、エンターテインメント関連事業の一部において受注生産を行っております。当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

エンターテインメント関連事業

5,248,934

85.7

1,755,778

76.6

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

エンターテインメント関連事業

6,029,195

96.7

グローバルデータインテリジェンス事業

994,033

3.4

新規IT関連事業

3,022,357

146.4

合計

10,045,586

26.8

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

 2 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、グローバルデータインテリジェンス事業において、連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。

 3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社藤商事

4,973,843

13.3

4,868,505

48.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。

なお、自然災害の増加、半導体不足の影響や主要顧客の情勢等、先行きを予想することは極めて困難でありますが、入手可能な外部の情報等を踏まえ、当連結会計年度末時点で合理的であると思われる様々な要因を勘案した上で、会計上の見積りを行っております。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 5.会計方針に関する事項」に記載のとおりです。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

<外部環境について>

グローバルデータインテリジェンス事業が属するデジタルインテリジェンス市場につきましては、年々巧妙化・組織化するサイバー犯罪、デジタル証拠量増加への対応に伴い、デジタルインテリジェンスツールに対する旺盛な需要が続いています。

Cellebrite DI Ltd.(以下、「Cellebrite社」という。)のInseyets等の最新鋭のデジタルインテリジェンスツールは今や必要不可欠なソリューションとなっており、各国の警察組織への導入が広がりを見せております。

エンターテインメント関連事業のうち、パチンコ・パチスロ市場につきましては、2022年11月からスマート遊技機が導入され始め、稼働が好調なタイトルがでてきたことも影響し、スマートパチスロを中心に新台の需要が高まってきております。一方、世界的な半導体不足による供給難は回復の傾向が見えてきましたが、継続している原価高騰、円安、パチンコホールの減少等、将来的な不透明感が依然として存在しております。

ゲームコンテンツ市場につきましては、コロナ禍においては、在宅で楽しめるエンターテインメントとしての地位を確立しましたが、他のレジャーの消費も回復した現在は、先進諸国ではやや縮小の傾向が見られます。また、技術の進歩によりゲーム開発はパソコン一台、一人からできる時代となり、各プラットフォームでリリースされるゲームの数も拡大傾向にあるため、競争が激化している状態にあります。

新規IT関連事業のうち、IoT市場につきましては、人手不足解消や生産性向上として遠隔地からアクセスする監視/制御システムの需要は増加しており、当社の強みである長時間安定稼働運用を可能とする産業用ネットワーク機器「Rooster」の導入が広がりを見せております。また各通信キャリアが2026年3月までに3G回線を順次停波するため、3GからLTE(4G)へのマイグレーションが順調に進んでおります。半導体全体の供給については回復しつつあるものの、円安による部材高騰は続いており、当社製品の供給や利益に影響が出る可能性もあり、現時点では不透明な状況にあります。

上記のように、市場環境が不透明な主力事業も存在する中、当社グループの更なる業績向上を図るため、IoT・AR・AI等の最新技術を活用していく社会的な流れを汲み、新たな主力製品・サービスの構築に取り組んでおります。

 

 

<競争優位性>

グローバルデータインテリジェンス事業につきましては、デジタル証拠量の爆発的な増加に加え、テクノロジーに精通した犯罪者(組織)に対峙する法的執行機関に対して、捜査リソースの生産性を向上させるための最新鋭なデジタルインテリジェンスツールとともに、トレーニング及びサービスを長年に渡り提供しております。2024年1月にリリースいたしました次世代ソリューション「Inseyets」は、Premiumの高度な抽出と次世代のUFEDを組み合わせると同時に、Physical Analyzer(リーダー含む)・Cloud・Commanderの機能を包括するオールイン型のデジタルフォレンジックソリューションとなり、捜査機関の業務時間を大幅に短縮することに貢献いたします。日本市場においては2024年4月から本格納入を開始いたしました。

エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、業界及び顧客を特化することで、強力な信頼関係の構築及び特定分野における表現力・技術力を蓄積し、高い商品力を有したコンテンツ開発や高品質の制御基板開発を実現することで、競争優位性を高めております。

ゲームコンテンツ事業につきましては、知名度の高い「上海」ブランドを使ったコンシューマー機向けゲーム、モバイルゲームを社内で開発から運営まで完結し、コスト効率の良い収益を長期にわたり維持することが可能となっております。また、当社が多くのIPを保有する「レトロゲーム」ジャンルは、欧米市場を中心に人気が再来しており、その有効活用により更なる収益の拡大が見込める状況にあります。

新規IT関連事業につきましては、各通信キャリア・SIerなどパートナーと強力な信頼関係を構築しつつ、長年培ってきた技術をベースに3G回線からLTE(4G)回線へのマイグレーションに関連した特許を取得し、技術的競争優位性を維持しつつ、5GやエッジAIをキーワードに製品開発を進め、更なる競争力強化を図っております。産業用ネットワーク機器「Rooster」はデュアルSIM対応で、それぞれ異なる通信キャリア回線が冗長化することが可能となりました。これにより通信キャリア網が障害発生時には自動検知し主回線から副回線に自動切換え、回線の通信断を防ぎ、遠隔監視・制御・データ収集を止めることなく運用することができるようになり、販売が好調に推移しております。

IoT分野における導入から運用フェーズへの移行に際し、遠隔地に多数設置されたIoTデバイスの運用管理は負荷が増大し、それをいかに軽減するかが課題になっております。この課題に対処するために、「SunDMS」は死活監視や「Rooster」の一元管理を可能とし、遠隔でセキュアに運用管理を実現いたします。これにより、オンサイト保守にかかる人員や稼働調整・移動時間などのコストを削減し、運用の負荷を大幅に削減することが可能となっております。更に「SunDMS-Insight」の展開を進めております。これにより「おくだけセンサー」やPLC(Programmable Logic Controller)など、あらゆるデバイスやネットワークデータを収集・制御・可視化することが可能となります。また、将来にはBI/AIによる集計・分析・検知を行い、IoT分野における遠隔運用管理の効率性やセキュリティが向上し競争優位性を確保していきます。

 

<経営施策>

グローバルデータインテリジェンス事業につきましては、年々巧妙化・組織化するサイバー犯罪に対峙する犯罪現場において、インシデント発生後に調査・解析をするデジタルインテリジェンス(フォレンジック)だけではなく、法執行機関に向けた、インシデントを事前に予知し、防止するためのアクティブサイバーディフェンスや脅威インテリジェンスとの相互関連性が高まっております。各種犯罪手法に我が国の法的執行機関が対応できるように、より専門的なトレーニング・サポート体制を強化すると同時に、新たな技術を備えた商材を取り揃えるべく活動の他、アジア太平洋地域の営業強化を進めてまいります。また、多様化するサイバー犯罪への対応する要求の高まりを受けて、当社が保有するグローバルなデジタルインテリジェンスツールの情報を基に、対応する新たな商材提供を国内に対して開始いたしました。

新規IT関連事業につきましては、産業用ネットワーク機器「Rooster」の更なる販売の拡大、「おくだけセンサーソリューション」をはじめとしたソリューション開発に努め、データ可視化・分析などデータビジネスに注力し、サービス強化をすることにより付加価値を高め、ストックビジネスの拡大を図っております。また、収益力向上のため、2022年10月にマーケティング部と技術開発部を統合した研究開発部門では、データビジネスの推進として、人工知能(AI)・ヘルスケアの技術開発を進めつつ、「SunDMS」の次のソリューションソフトウェアに注力し強化しており、技術シーズを持つ大学との共同研究を進めることで、更なる強化による差別化した製品開発を目指してまいります。

 

 

<商品・サービスの概況>

グローバルデータインテリジェンス事業につきましては、従来のデジタルインテリジェンス商品に加え、脅威インテリジェンスやアクティブサイバーディフェンス関連商材及び関連サービス・サポ―トの提供を進めております。持分法適用関連会社であるCellebrite社では、民間部門向けのモバイルデバイス調査用の「Inseyets」のリリースを発表いたしました。オールインワンアプリケーションである「Inseyets」は、企業調査中の事実を迅速に明らかにし、収集・抽出・レポートのプロセスを加速いたします。また同時に「Pathfinder」の販売に注力し増販しております。更に新規取扱商品として通常目の届かない情報を検索できる「Cybersixgill」の拡販を目指しております。

エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、パチンコ・パチスロの企画から設計・映像制作・プログラムまでのトータルのコンテンツ開発と、制御基板の設計から製造までを一貫して受託しております。また、コンテンツ開発のノウハウを活かし、スマートフォン向けのパチンコ・パチスロの実機シミュレーションアプリを展開しており、実機の市場での稼働貢献・コンテンツの知名度向上を図っております。

ゲームコンテンツ事業につきましては、レトロゲームIPを活用した企画を複数進めており、2024年2月29日にマルチプラットフォーム(コンシューマー機)で「へべれけ2」をグローバルで発売し、グローバルのゲーム評価サイトで好評を得ております。他にも「いっき団結」Switch版を2024年4月18日にリリースいたしました。

新規IT関連事業につきましては、複数の大手飲料オペレーターが管理コスト削減や商品補充などのオペレーションの効率化を図るため、飲料自販機向け戦略製品「A330」・「A900」が採用され既に50万台以上が導入されました。Rooster等のルータ製品においては回線冗長化およびデバイスマネジメントサービス「SunDMS」との連携で他社との差別化を打ち出し売上高も堅調に推移しております。また更なる事業拡大に向けAI画像解析搭載可能なエッジコンピュータとして2023年9月「LBX8110」をリリースいたしました。エッジコンピュータは新たなIoT領域での新商材となり画像解析などAI技術をベースに新たなソリューションを提供いたします。また、センサーデバイス「おくだけセンサー」については食品衛生管理(HACCP)での温度管理や加速度(振動)センサーによる予知保全として、本格導入フェーズとなりました。

 

<損益計算書(連結)について>

全体の売上高は、100億45百万円(前年同期比73.2%減)となりました。これは主に、連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましても、上記減収の影響もあり、29億63百万円(前年同期比88.4%減)となり、売上総利益率は29.5%(同38.7pt減)となりました。

 

<販売費及び一般管理費について>

連結の販売費及び一般管理費は、26億50百万円(前年同期比90.3%減)となりました。これは主に、連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。

 

<営業利益について>

連結の営業利益は3億12百万円(前年同期は営業損失17億11百万円)となりました。これは主に、連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。

 

<経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益について>

連結の経常損失は41億14百万円(前年同期は経常利益141億74百万円)となりました。これは、Cellebrite社におけるデリバティブ評価損が影響し、当社が持分法による投資損失44億98百万円を計上したことが主たる要因です。また、親会社株主に帰属する当期純損失は37億77百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益68億78百万円)となりました。

 

 

<キャッシュ・フローについて>

キャッシュ・フローの成長性につきましては、特にフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)を重視しております。当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは、法人税等の還付があったものの、金銭信託の取得による支出等があり、10億52百万円の減少となりました。今後も安全性を高められるようにビジネスモデル等も活かしながら、フリー・キャッシュ・フローの増大に取組んでまいります。

 

<資本の財源及び資金の流動性についての分析>

a.資金需要

当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、販売及び一般管理活動、研究開発活動のための人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。当社は特に大きく設備投資を必要とするビジネスモデルではありませんが、一方で技術変化の早い事業分野に属しており最新技術の研究開発や複数年度にまたがる受託開発、ソフトウエアの更新等のための研究開発活動に係る資金需要が生じております。

b.財務政策

当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、短期借入金により調達することとしております。また内部資金の一部には、複数年度にわたってソフトウエアを更新するための研究開発活動のために事前に受け取る前受収益が含まれております。流動資産から流動負債を控除した運転資本につきましては、当連結会計年度の末日も含め、以前から流動資産が上回っております。

また、半導体不足に伴う在庫確保等で必要な手元資金残高を平常時より増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図っていきます。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。

 

当社グループの経営陣は、事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営計画及び経営戦略を立案するように努めております。

当社グループの情報通信事業を取り巻く環境は、技術進化の著しい分野であり、市場の変化や多様化が大きく、予断を許さない状況ではありますが、高付加価値製品やソリューションをいち早く投入し、従来のフロー型ビジネスに加え、ストック型ビジネスの展開を加速していきます。更なる成長を目指し、グローバルな事業展開を図るとともに、情報通信市場へ経営資源を集中し、高い収益力を確保する企業体質の確立を図っていきます。

当社グループのエンターテインメント関連事業を取り巻く環境は、市場環境の低迷、顧客ニーズの変化が大きく、製品の優劣も大きいため、先行きは不透明な状況が続くと予想されますが、エンターテインメント性を追求した製品創りと、ノウハウを持つ通信ネットワーク技術を活かした新たな事業展開も推進していきます。

また、新市場の開拓及び新規事業の育成にも注力し、シナジー効果が見込まれるビジネスパートナーとの提携を積極的に行う等、将来の成長に向けたチャレンジを継続します。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、商品力・品質に優れた高付加価値な商品やサービスを提供し続けていくために、企画・開発等の研究開発活動を継続的に推進しております。

開発スタッフは、グループ全員で153名、研究開発費の総額は1,019百万円であります。

セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

 

(1) エンターテインメント関連事業

遊技機部品の開発では、遊技機の液晶表示・演出制御基板の企画開発を主要な開発課題としております。

当連結会計年度の主要な成果としましては、遊技機制御基板の開発では、企画提案力の強化とともにデザイン性の高い図柄・演出の開発に主眼を置き、高度なコンピュータグラフィック技術を活かし市場ニーズに合致した制御基板及び液晶表示ソフトを企画開発いたしました。パチンコ業界を取り巻く環境は、遊技人口の減少、ニーズの多様化が進んでおり、エンターテインメント性あふれる遊技機器づくりを推進しております。

研究開発費の総額は756百万円であります。

 

(2) 新規IT関連事業

M2M通信機器の開発では、当連結会計年度におきましては、長年培ってきた技術をベースに3G回線からLTE(4G)回線へのマイグレーションに関連した特許を取得し、技術的競争優位性を維持しつつ、5GやエッジAIをキーワードに製品開発を推進しております。

B2B向け業務支援システムの開発では、M2M事業で培ったモバイル通信機器とのシナジーを図り、遠隔支援の視野を広げ、AR、AI技術をベースにDXを推進するすべての企業へ新たなソリューションの開発を推進しております。

研究開発費の総額は262百万円であります。