第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

1.経営方針

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、社会から信頼される企業集団となることを目指し、人間尊重、豊かな価値の創造、そして人々の生活・文化への貢献を経営理念に掲げています。

 この経営理念の下、

① コーポレート・ガバナンスを構築し、コンプライアンスの遵守を推進してまいります。

② 常に顧客の満足する製品の開発と品揃えにより、売上高と利益の拡大を図り、社会に貢献し、株主還元、従業員の生活向上の糧としてまいります。

③ 健全な事業活動を通じて、顧客、株主、従業員をはじめ、すべての人々を大切にしてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、企業価値の向上と財務基盤の強化を目指すため、売上高、利益の成長を第一の目標として「ROE(自己資本利益率)10%以上」に取り組んでまいります。

 

(3)経営戦略

① 時代と顧客のニーズに適合した製品の品揃え。

② 取引先拡大とあらゆる製品との組み合わせによる「ソリューション販売」の提案営業。

③ 従業員の技術力向上による製品サポート体制の強化。

 

2.経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、これまで培ってきたストレージソリューションの提供力をさらに強化し、それぞれの分野におけるニッチトップを目指し、競争力のある製品・サービスを展開してまいります。

 IT市場

 企業の基幹システムを支えるハイエンドストレージ製品の取り扱いを強化し、大容量ストレージ市場に加えて新たな領域を開拓します。また、生成AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、データ処理の高度化が進む中、当社の強みであるGPU搭載ハイパフォーマンスサーバやエッジコンピュータの需要拡大が見込まれます。これを受け、当社はこれらの製品の拡販を一層強化し、さらなる市場拡大を目指します。

 非IT市場

 医療ヘルスケア、監視カメラ、デジタルサイネージ、リッチコンテンツ向けのストレージ製品のラインナップを充実させ、OEM製品の供給拡大に努めます。また、昨年度より本格始動したキッティング事業については、さらなる業務拡大を進め、高品質なサービス提供体制を強化してまいります。

 これらの戦略を通じて、当社グループは安定した成長と利益率の改善を実現し、さらなる企業価値の向上を図ってまいります。

(1)営業活動の強化

 「お客様に最も信頼されるストレージソリューションプロバイダー」を目指し、営業部門ではエンドユーザーとの対話を通じて市場のニーズを的確に把握し、最適な製品・ソリューションを提供してまいります。さらに、Webセミナーや展示会の開催、パートナー企業との連携強化など、多様な営業施策を推進してまいります。

 また、販売パートナー、OEM先、協業メーカー、仕入れ先、業務委託先、エンドユーザーとの共創を通じて、持続的な成長を可能とする事業基盤を構築してまいります。

[ハイエンドクラスへ参入]

 データの大容量化が進む中、スピード・信頼性・効率性・持続可能性が求められています。当社は、「MAGNAシリーズ」を昨年度より市場投入し、オールフラッシュ、スケールアップ、バックアップのフルラインナップを展開しております。セキュリティ強化や独自のアルゴリズムを採用し、業界標準となるストレージ基盤を目指します。

[新規事業への取組み]

 持続的な成長を実現するため、新規事業の開発を加速させる「営業戦略室」を強化致します。本部署は、新製品開発や市場開拓の中核を担う専門組織として、社内の技術・営業部門と連携し、迅速な事業化と市場投入を実現することを目的としています。

 現在、本部署では業界初となる革新的な製品や付加価値の創出に注力しており、主な取組事例は次の通りです。

1.次世代GPUワークステーションの開発

 AI・ディープラーニング、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)分野における多様なニーズに対応するため、特定のGPUに依存しないGPUワークステーションの提供を推進してまいります。幅広いGPUアーキテクチャに対応可能な柔軟な設計を採用し、お客様の用途や要件に応じた最適な選択肢を提供します。

 また、GPUに特化した企業との連携により、ソフトウェア最適化やシステムチューニングの強化を行い、高い計算性能と効率性を兼ね備えた次世代ワークステーションの開発・市場投入を加速してまいります。

2.新たなビジネスモデルの創出

 従来の製品提供にとどまらず、IaaS(Infrastructure as a Service)型クラウドストレージサービスなど、新たなビジネスモデルの確立に取り組んでいます。

[ストレージ・ソリューション販売の拡充と推進]

 AI・ディープラーニング、医療ヘルスケア、監視カメラ、リッチコンテンツ市場向けに、

専門エンジニアが参画するプロジェクトチームが中心となり市場ニーズを的確に把握し、

ハードウェアだけではなくソフトウェアを組み込んだ高付加価値のアプライアンス製品や

サービス提供を強化してまいります。

[OEM製品供給の推進]

 ミラーカード、RAIDコントローラ等のOEM製品供給を継続拡大し、ビジネス規模を拡張します。また、当社独自の検査基準を満たしたSSD・HDDの拡販を推進し、品質面でも優位性を確保してまいります。

[製品企画開発力の強化]

 営業・技術・開発部門が連携し、市場の変化やニーズを迅速に反映した製品企画・開発を強化します。業界初となる革新的な製品を創出し、持続的な成長を実現するための新たな付加価値創出にも注力してまいります。

 

(2)生産体制の強化

[品質管理体制の強化]

 ストレージ製品にはお客様の貴重なデータが保存されております。安価な製品でもSSD・HDDが大容量化することに伴い膨大なデータが保存されています。当社の使命は、いかなる製品の場合においてもお客様データを喪失することなく確実に保存することと考えております。

 そのためには、製品開発、部品選定、評価、生産、検査といった上流から下流までの品質をそれぞれ向上させることが極めて重要なことであり、採用SSD・HDDメーカーの技術・開発チームとも協力し、体制および技術力の向上に努めております。

 また、大手メーカーの品質保証部門の監査にも耐えうる品質管理体制を敷き、当社独自の既設SSD・HDD検査装置の効果的な運用も含め、引き続き製品品質の向上に一層注力してまいります。

[生産の効率化と仕入れ価格の削減]

 当社グループの特徴であるファブレス生産体制を強化し、生産委託先との緊密な連携を行うことで、自社開発製品の生産効率化、品質向上、仕入れ価格及び在庫の削減を図ります。また、海外調達先との連携を図り、価格競争力強化および調達スピード、品質向上を更に目指します。

 

(3)情報セキュリティに対する取り組み

 より高度化するセキュリティリスクへ対応すべく「セキュリティ対策委員会」を運営しておりますが、定例会のフィードバックで様々な対策を講じ一定の成果が出ております。今後も企業価値の毀損が発生しないよう、各委員の知識レベルを引き上げ社内外を監視してまいります。

 

(4)サステナビリティについての取り組み

 ニューテックグループはEnvironmental(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)に着目し、未来につながるITインフラの一端を担う事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

1. E(環境)

 CO排出量低減活動など環境にやさしいものづくり、ISO認証、省エネ促進、紙の使用量削減、廃棄物3R活動、事業所周辺の清掃美化活動参加

2. S(社会)

 安全な職場環境の維持向上活動、心身の健康維持・増進、社内教育充実、資格取得支援、働き方改革推進、多様な人材が働きやすい職場づくりと雇用平等

3. G(企業統治)

 強靭なIT基盤を構築するストレージ製品開発、法令遵守・公正公平

 

(5)働き方改革への取り組み

 政府主導で働き方改革への取り組みが多くの企業で推進されています。当社グループでは、仕組みを作るだけではなく、管理職主導で非効率な現行業務をリスト化したうえで見直し、必要であればRPAを駆使し改善に取り組み、全従業員がより良く幸せに働ける環境を構築してまいります。

 

(6)人材育成及び確保への取り組み

 継続的な成長を遂げるため、市場でのシェア拡大を図るために人材の増員と育成が必要であると認識しています。当社グループでは、継続的に採用活動を実施し、より質の高い人材を確保してまいります。また、多様な個が活躍できる環境・組織風土を整備し新たな労働環境を見据えた働き方推進、最適な配置等、社員のエンゲージメント向上に取り組んでまいります。新入社員を含めた社内教育プログラムを策定し継続的な人材育成に努めます。

 

(7)広告宣伝活動の強化

 当社グループはストレージ市場で一定の認知度を有しておりますが、IT市場全般や非IT市場(監視カメラ、リッチコンテンツ、デジタルサイネージ、HPC市場など)における認知度向上が課題と認識しております。この課題を克服するため、コーポレートサイトをリニューアルし、さらにSNSや展示会を活用したマーケティング活動を強化してまいります。特に、Web広告やデジタルマーケティング戦略を駆使し、国内外におけるブランド価値の向上を図る方針です。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、E=Environmental(環境)、S=Social(社会)、G=Governance(企業統治)に着目し、未来につながるITインフラの一端を担う事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

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ニューテックグループは、SDGsを支持し、未来につながるITインフラの一端を担う事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

ニューテックグループは、E=Environmental(環境)、S=Social(社会)、G=Governance(企業統治)に着目して、各種取り組みを実施しております。

 

(Enviromental_環境)

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・環境にやさしいものづくり

 開発製品のエネルギー消費効率改善

 CO2排出量低減活動

 (製品軽量化、効率的な生産と物流の工夫)

 RoHS対応部品調達

 グリーン調達

 梱包材・緩衝材の脱プラスチック推進

・ISO認証

・省エネ促進

 節電

 空調の設定温度管理

 LED照明

・紙の使用量削減

 文書電子化

 コピー用紙使用量削減

・廃棄物の3R活動

 リデュース(Reduce/減)

 リユース(Reuse/再利用)

 リサイクル(Recycle/再生利用)

・大船事業所周辺の清掃美化活動参加

 

(Social_社会)

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・安全な職場環境の維持向上活動

 安全衛生委員会の設置

 安全衛生パトロールとリスクアセスメント

・心身の健康維持・増進

 健康診断

 産業医カウンセリング

 MY HEALTH WEB活用による健康管理

・社内教育の充実・資格取得支援

・働き方改革推進

 女性活躍推進

 子育てサポート企業「くるみん」認定取得

 育児休業制度(男性社員も取得しやすい環境整

 備)

 介護休業制度

 業務の省力化・効率化

・多様な人材が働きやすい職場づくりと雇用平等

 シニア人財活用、外国人雇用

 人権教育

 同一労働同一賃金

 

(事業活動とGovarnance_企業統治)

 

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・強靭なIT基盤を構築するストレージ製品開発

・法令遵守・公平公正

 コーポレートガバナンスの強化

 法律、コンプライアンスに関する教育

 内部統制システムおよびリスク管理

 

 

(1)ガバナンス

当社グループのサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監視・管理は、取締役会が責任と権限を有し、サステナビリティ対応方針や実行計画の審議・監督を行っています。

環境負荷低減については、品質保証部門と生産部門の合同メンバーによるSDGs活動月次会議と環境マネジメントシステム(ISO14001)事務局において、それぞれの専門分野の問題点を洗い出し、対策を検討・提案します。その後、社内報告と承認を経て、具体的な施策を実行しています。また、人的資本については、隔月開催の健康経営推進委員会において、年間計画に基づく活動の進捗状況を確認し、職場環境の整備など健康づくりを推進しています。この体制により、環境・社会の側面をバランスよく監視・管理し、統制を強化する仕組みになっています。

 

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(2)戦略

 当社グループは、環境負荷の低減を経営の重要課題の一つと位置付け、省エネルギー施策を推進しています。特に、事業活動における電力消費量の削減を通じて、CO排出量の抑制に取り組んでいます。

① 2024年度

倉庫内シャッターの断熱施工を実施し、外気の影響を抑えて空調効率を向上。

脱プラスチック施策として、梱包箱・緩衝材を紙素材に変更。

② 2024年度から順次実施中:オフィス照明のLED化

 2025年度予定:省電力PCへの入れ替え

 

(3)リスク管理

当社グループは、環境関連リスクを経営上の重要リスクの一つと認識し、以下の取組を通じて適切なリスク管理を行っています。

① 法規制リスクの管理

環境マネジメントシステム(ISO14001)の運用の一環として、エネルギー使用に関する環境規制及び事業活動に関連する環境法規制の動向を継続的に監視し、遵守状況を定期的に確認しています。また、必要に応じて改善措置を講じています。

② 環境負荷のリスク評価と機会の識別・評価

SDGs活動会議及び環境マネジメントシステム(ISO14001)事務局において、環境負荷に関するリスク評価とサステナビリティの機会の識別・評価を行っています。検討結果や対策提案は、内容と決定権限に応じて、幹部会、経営会議、取締役会へと報告又は決定されます。これにより、経営レベルでの意思決定と全社的な対応を確実に実施する体制を構築しています。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、2025年度末までの省電力化の進捗を以下の指標で管理し、継続的な改善を図ります。

① 消費電力量削減目標:34kWh

② CO₂排出量削減目標:14t

 省電力PC及びLED照明の導入率:100%

 

(人的資本政策)

 人的資本経営については、持続可能な競争優位性構築のための重要なファクターであり、従業員を中心に据えて、資本としての価値を最大限に引き出すことを重要課題と認識しています。

(1)人財戦略

① 自律型人財の育成

・自発的学習を促進する幅広い研修プログラムの提供

・資格取得支援を通じてスキルの向上をサポート

② ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン (DE&I) 推進

・子育てサポート企業「プラチナくるみん」認定に向けた職場環境整備

・女性活躍

・人権教育

③ ウェルビーイング経営

・ メンタルヘルス対策と女性の健康課題に焦点を当て、健康経営優良法人の認定取得を目指す。

・ 健康経営推進委員会活動により職場環境の改善、維持向上に努める。

(2)リスク管理と指標及び目標

 当社は、男女を問わずワークライフバランスを実現できる働きやすい職場環境を整え、すべての社員がその能力を十分に発揮し、活躍できるようにするため、以下のとおり行動計画を策定し、指標及び目標を定めています。また、本行動計画では、データ収集 → 施策の実施 → 評価・改善のプロセスを通じてリスク管理を行い、必要に応じて対策を講じます。現在の計画は達成見込みであり、2025年度以降は内外環境の変化を踏まえた施策を検討し、人的資本に関する戦略的な取組を推進してまいります。

※当社子会社は小規模のため、本行動計画、指標及び目標は当社のみを対象としています。

① 計画期間 2023年4月1日~2025年3月31日

② 内容

■次世代育成支援対策推進法 目標と対策■

目標1:年次有給休暇の計画的取得・促進取り組みを行い、2025年3月までに年次有給休暇の取得日数を、一人当たり平均年間8日以上とする。

<対策>

・年度初め、個人別に連続2日を含む3日の有給休暇計画付与を行う。

・各年3月・9月 全社会議で啓蒙活動を行う。

・各年8月・2月 安全衛生委員会と幹部会で有給休暇の取得状況を報告する。

取得状況が計画通り進んでいない場合は、原因を明確化して対応を検討する。

目標未達成の可能性がある者への対策を立案する。

 

目標2:計画期間中に、育児休業取得を次の水準以上にする。

男性社員1人以上 女性社員取得率100% ※ただし対象者がいる場合に限る

<対策>

・全社会議等で制度の周知を行い、制度の普及を促進する。

・対象社員に円滑な休業取得のための各種情報提供等を行う。

■女性活躍推進法 目標と対策■

目標:計画期間中に女性の管理職(課長級以上)を1人以上増やす。

<対策>

・キャリアアップのための研修プログラムを策定し、上司と人事部門と連携して個別にアドバイスやフォローアップを行う。

・各年3月 課長職への昇格申請状況を分析し、経営会議の議題とする。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難なため記載しておりません。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)製造を外部委託していることについて

 当社グループは、製品の開発、設計、品質管理及び販売に経営資源を集中し、製造については大部分を外部に委託するファブレス型のモデルを採用しております。RAIDの主要構成部材(コンポーネンツ)は、ハードディスク・コントローラ・メモリー・電源装置等いずれも高度に規格化・標準化された部品であり、当社グループは、これらの部材をそれぞれの専業メーカからの供給に依存しております。当社グループは、これら部材の調達を特定の会社に集中しないよう国内外のメーカとの間で資材調達ネットワークを構築しておりますが、将来、部材市況価格の急激な上昇や調達先の経営悪化、供給能力ダウン及び品質問題の発生等により当社の部材調達に支障が発生し、当社グループが適切な時期に製品出荷ができなくなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、現在、筐体の製作や製品組み立て等の加工作業を外注先に委託しております。当該加工作業については、作業の性格上代替先の確保に格別の困難は生じないと考えられますが、将来当社グループの外注先の経営悪化、製造能力及び品質問題の発生等により当社製品の出荷遅延又は停止等の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)主力製品への依存度が高いことについて

 当社グループのストレージ関連製品売上高は、2025年2月期の当社売上高の59.8%を占めており、同製品への依存度が高い収益構造となっております。

 当社グループの主力とする中規模ストレージ機器は、主に企業の情報処理システムの中枢を担うサーバコンピュータに接続する専用の外部記憶装置であることから、当社グループの業績は国内サーバ市場の動向に影響を受けます。従って、不況の長期化等により企業の情報関連投資意欲が減退して国内サーバ需要が減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、ストレージ機器は技術革新が激しいため、製品のライフサイクルが1~1.5年程度と比較的短い傾向にあります。当社グループは、機動的な資材調達ネットワークの構築と需要予測に基づいたきめ細かな発注ロット管理により在庫を必要最小限にとどめるための諸施策を講じておりますが、需要予測の見誤り、他社新製品の投入等により当社製品在庫の陳腐化が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ストレージ関連機器は、デジタル社会の発展に伴うデータ量の増大と企業の情報処理システムが複数のサーバを使用した分散処理型に移行していくことを主要因として、今後の成長が期待される分野であります。現在のところ、中規模のストレージ機器を専業とするメーカは少数でありますが、将来大手メーカ等多数の競合会社が当市場に参入してきた場合には、その参入状況によっては当社の製品競争力・価格競争力が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)為替変動の影響について

 当社グループの仕入額のうち、輸入仕入が占める割合は低いものの、輸入仕入額の多くは外貨建てであります。

 今後輸入仕入の比率が高まった際は、外国為替相場の変動による外貨決済の影響を回避するため、仕入決済を実需に基づく為替予約等により為替リスクヘッジを行う予定ではありますが、すべての影響を回避することができず、当社グループの業績がその影響を受ける可能性があります。また、為替変動による輸入価格上昇により、価格競争力が低下し、販売活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

(1) 経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、穏やかな景気回復が続く中、賃上げ等による雇用環境の改善やインバウンド需要の高まりが経済の押し上げ要因となりました。またDX関連投資や各種設備投資も増加の傾向にあります。一方、不安定な国際情勢、関税リスクの顕在化、資材をはじめとする物価高騰など、先行き不透明な状況は続いております。

 このような環境の下、当社では開発から販売、保守までを一貫して自社で行うストレージの専業メーカーとしてAI・ディープラーニング、監視カメラ向けストレージサーバやアプライアンス製品の拡売に継続して注力し、当連結会計年度の売上高は4,695,130千円(前年同期比26.5%増)の実績となりました。

 当期の製品売上に関しては、ハイエンド市場向けストレージ(MAGNAシリーズ)が順調に推移し、RAID製品の売上高は668,058千円(前年同期比110.9%増)と、高伸長の実績となりました。NAS製品については、1,525,454千円(前年同期比8.5%増)、ミラーカードは456,120千円(前年同期比8.9%減)となりました。結果、ストレージ及び周辺機器の製品売上高は、2,807,524千円(前年同期比17.0%増)の結果となりました。

 商品売上は、医療系の取り扱いが順調に伸び、また新規キッティングサービスビジネスで受注を獲得し1,319,012千円(前年同期比69.6%増)と増加しました。サービス売上では、保守契約を中心に、568,593千円(前年同期比6.4%増)の実績となりました。

 以上の結果、収益面につきまして、前年を大きく上回る実績となりましたが、資材高騰にともなう調達価格上昇、販売価格へのコスト転嫁の遅れ等も影響し売上総利益率は前年同期比4.7ポイント減となり、売上総利益は1,204,347千円(前年同期比7.0%増)となりました。

また、販売費及び一般管理費では人件費、研究開発費等の増加により841,496千円(前年同期比10.3%増)となりました。

以上の結果、当期の営業利益は362,850千円(前年同期比0.0%増)、経常利益は372,074千円(前年同期比5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は267,078千円(前年同期比8.2%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ415,611千円増加し2,988,189千円となりました。

 なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は381,155千円(前連結会計年度は29,479千円の収入)となりました。主な資金増加要因は、税金等調整前当期純利益372,074千円、減価償却費17,629千円、仕入債務の増加116,313千円、前受収益の増加71,326千円、その他の負債の増加28,593千円等であり、主な資金減少要因は売上債権の増加75,697千円、棚卸資産の増加73,456千円、法人税等の支払い75,493千円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は20,463千円(前連結会計年度は40,911千円の使用)でありました。これは敷金及び保証金の差入による支出2,862千円、有形固定資産の取得による支出10,670千円、無形固定資産の取得による支出4,004千円等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は54,920千円(前連結会計年度は123,414千円の使用)でありました。これは、長期借入れによる収入200,000千円に対し、長期借入金の返済による支出49,313千円、配当金の支払額95,728千円等があったことによるものであります。

 

 

生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、ストレージ(外部記憶装置)本体及び周辺機器の開発、製造、販売及び保守サービスを行う単一セグメントであるため、「生産、受注及び販売の実績」につきましては、主要品目であるストレージ本体を記載しております。

(1)生産実績

 当社の生産実績は、次のとおりであります。

品目別

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

ストレージ本体(千円)

2,652,085

116.1

 (注)金額は販売価格によっております。

 

(2)商品仕入実績

 当社の商品仕入実績は、次のとおりであります。

品目別

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

商品(千円)

1,209,917

183.5

 

(3)受注実績

 当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。

(4)販売実績

 当社グループの販売実績を品目別に区分して示すと、次のとおりであります。

品目別

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

ストレージ本体(千円)

2,649,633

119.2

周辺機器(千円)

157,891

90.0

製品計(千円)

2,807,524

117.0

商品(千円)

1,319,012

169.6

サービス(千円)

568,593

106.4

合計(千円)

4,695,130

126.5

 (注)1件当たり取引先に全体売上構成比10%以上の取引先がないため記載しておりません。

 

経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。

 当社グループの連結財務諸表の作成において、損益及び資産の状況に影響を与える見積りは、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 見積り及び判断に影響を及ぼす重要な会計方針としては以下のものがあると考えております。

製品保証引当金

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

(2)財政状態の分析

 当連結会計年度末における資産・負債及び純資産の主な増減要因は、次のとおりであります。

① 流動資産

 流動資産は、前連結会計年度末と比較して584,413千円増加し4,496,714千円となりました。これは主に、現金及び預金415,611千円、売掛金81,564千円、棚卸資産73,406千円、前払費用23,436千円が増加し受取手形5,866千円、その他の流動資産3,739千円が減少したことによるものであります。

 現金及び預金の残高は2,988,189千円、売上債権(受取手形及び売掛金の合計)は969,222千円となりました。なお、当連結会計年度の売上債権回転率は年4.8回転であり、前連結会計年度4.2回転に比べやや低下しました。

 棚卸資産(商品及び製品、原材料及び仕掛品の合計額)は前連結会計年度末に比べ73,406千円増加の419,100千円でありました。

 

② 固定資産

 固定資産は前連結会計年度末と比較して14,432千円増加し、230,196千円となりました。これは主に、繰延税金資産10,433千円、差入保証金2,812千円、長期前払費用4,235千円等が増加し、有形固定資産2,134千円、無形固定資産4,019千円が減少したことによるものであります。

 

③ 流動負債

 流動負債は前連結会計年度末と比較して306,231千円増加し1,916,508千円となりました。これは主に、買掛金116,313千円、1年内返済長期借入金53,796千円、未払費用6,082千円、未払法人税等42,715千円、前受収益71,326千円、その他16,493千円等が増加したことによるものであります。

 

④ 固定負債

 固定負債は前連結会計年度末と比較して96,955千円増加し110,254千円となりました。これは主に、長期借入金96,891千円が増加したことによるものであります。

 

⑤ 純資産

 純資産は、前連結会計年度末と比較して195,658千円増加し2,700,148千円となりました。これは、自己株式処分差益17,353千円の計上による資本剰余金の増加、親会社株主に帰属する当期純利益267,078千円の計上に対し、配当金の支払い95,836千円があったことによる利益剰余金171,241千円の増加および、自己株式6,974千円の減少によるものであります。

 1株当たり純資産は、1,398円02銭となり、自己資本比率は57.1%となりました。

 

(3)経営成績の分析

 当社グループは、中長期的に資本コストを上回るROE(自己資本利益率)の向上を目指す価値創造企業で有りたいと考えております。このため、ROEを重要な指標として位置付けROE10.0%以上を目指しており、当連結会計年度におけるROEは10.3%(前連結会計年度12.1%)でありました。また、同様に重要な指標として位置付ける経常利益率10.0%に対しては、7.9%(前連結会計年度10.6%)となりました。引き続き当該指標の改善に邁進していく所存であります。

 国内のIT関連投資に関しては、AIへの関心の高まりとともにIT関連の設備投資は増加傾向にあります。当社グループでは、ストレージ製品の案件を獲得すると共に、医療系の顧客向け販売、保守サービスの拡大に注力しました。

 その結果、当連結会計年度の売上高4,695,130千円(前年同期比26.5%増)、経常利益372,074千円(前年同期比5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益267,078千円(前年同期比8.2%減)となりました。

 当連結会計年度の経営成績に影響を与えた主な要因は、次のとおりであります。

① 売上高

 ストレージ本体を中心とした製品売上高は、ハイエンド市場向けストレージ(MAGNAシリーズ)が順調に推移し、当連結会計年度の売上高は2,807,524千円(前年同期比17.0%増)となりました。

 商品売上高は、医療系の顧客向けが伸長し、当連結会計年度の売上高は1,319,012千円(前年同期比69.6%増)となりました。

 サービス売上高は株式会社ITストレージサービスの取扱った他社製品の保守契約も加わり、当連結会計年度の売上高は568,593千円(前年同期比6.4%増)となりました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は4,695,130千円(前年同期比26.5%増)となりました。

 

② 売上原価

 売上原価は3,490,782千円(前年同期比35.0%増)となり、売上原価率は74.3%となり前年同期比4.6ポイント増加しました。なお、期中に不要部材の廃棄処理を行い、売上原価率にプラス0.1ポイント影響しております。

 

③ 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は841,496千円(前年同期比10.3%増)であり、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は17.9%となりました。このうち、人件費の占める割合は60.8%であります。

 

④ 営業利益

 営業利益は、362,850千円(前年同期比0.0%増)となりました。

 

⑤ 営業外収益及び費用

 営業外収益及び費用は、純額で9,224千円の収益(前連結会計年度は31,515千円の収益)となりました。この主な内訳は、受取利息1,616千円、受取配当金5,202千円、為替差益1,266千円、助成金収入3,720千円、支払利息1,046千円、売上債権売却損1,915千円等であります。

 

⑥ 経常利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益

 上記の結果、経常利益372,074千円(前年同期比5.6%減)、税金費用104,996千円を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は267,078千円(前年同期比8.2%減)となりました。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フローの分析

 第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の(2)キャッシュ・フローをご参照ください。

 キャッシュ・フローに関する各指標は、次のとおりであります。

 

2023年2月期

2024年2月期

2025年2月期

自己資本比率(%)

57.4

60.7

57.1

時価ベースの自己資本比率(%)

65.9

69.3

63.0

債務償還年数(年)

0.1

0.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

2,262.1

272.9

344.6

 (注)1.各指標の算出式は、次のとおりであります。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.各指標は、連結ベースの財務数値に基づき算出しております。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

 

4.有利子負債は、連結貸借対照表に記載されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

5.2024年2月期において有利子負債はないため、債務償還年数は記載していません。

 

② 財務政策

 当社グループでは、運転資金及び決済資金は自己資金により賄うことを基本方針としております。また、当社グループが製造を外部に委託するファブレス型モデルを採用することで設備投資を検査測定器・金型等に絞っていることから、基本的に多額の設備資金需要はありません。更に、研究開発資金についても自己資金により賄うことを基本方針としております。

 当社グループの現金及び預金の保有残高の適正水準は、当社の売掛金の回収サイト(平均約60日)をベースとして毎月の経費及び海外からのスポット仕入れ等への対応などを考慮の上で手元資金の安定性を勘案いたしますと、金額にして12億円程度(概ね平均月商の4ヶ月分)であると考えております。当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金残高は2,988,189千円であり、当連結会計年度の業務計画等を考慮すれば、当連結会計年度末の現金及び預金残高は、今後の業務計画遂行に特段の支障はないものと判断しております。

 

(5)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、長期的・継続的な企業価値の向上および株主資本の効率的活用が重要であると認識しており、次の3項目の経営指標を掲げております。

① 自己資本比率        60.0%以上

② 自己資本利益率(ROE)  10.0%以上

③ 経常利益率         10.0%以上

 当社グループは、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の施策を継続的に進めていくことが経営指標の持続的向上に寄与すると判断しており、今後も引き続きこれらの指標を確保、向上させるべく努めてまいります。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループは、RAID製品の心臓部である「RAIDコントローラ」のソフトウェア開発に軸足を置き、更にコントローラチップロジック(FPGA)を含むハードウェアの開発も行うことにより、ハードウェアとソフトウェアの密接な連携を強みとした当社グループの個性が出せる製品を、限られた人的資源の中でもタイムリーに開発、出荷できるような体制を取っています。

 ソフトウェアおよびハードウェアを自社開発することにより、柔軟性のある機能実装、高い品質、カスタマイズの容易性を実現しています。

日本市場のニーズや個々のお客様のご要望に合わせたカスタマイズを提供することは、弊社ならびにお客様における製品の差別化・強みにつながる重要な特徴であり、自社開発による強力なサポート体制の提供と合わせ、お客様にValueをお届けするとともに、ビジネスチャンスの拡大に寄与しています。

 今後当社グループが取り組んでいる研究テーマは、次のとおりであります。

(1) 新ミラーリングコントローラ

 SSDの主流ホストインターフェースがSATAからPCIベースへの移行が著しく進む市場に向けて、PCIベースのインターフェースを持つコストパフォーマンスに優れたミラーリングコントローラ製品の開発を進めます。

 

(2) RAID6コントローラ応用製品

 開発中のRAIDコントローラおよびその派生モデルを開発することにより、多岐にわたる製品への搭載を可能とし、RAIDコントローラ単体のみならず本製品を搭載した弊社製品群の拡充を進めてまいります。

 

(3) 監視ソフトウェア

 ミラーリングコントローラ、RAIDコントローラのみの監視ソフトウェアだけではなく、システムレベルの監視を行う統合的ソフトウェアの対象機種の増加、機能強化・改善を進めます。

 

(4) バックアップシステム

 ウィルス感染やランサムウェア等のハードウェア冗長化システムだけでは守りきれないデータをシンプルな手順でバックアップできるシステムの開発を進めます。

 

 当社グループは、今後も研究開発活動に積極的に取り組み、くわえてこれまで以上に環境を意識した製品の開発を進めるとともに、更なる差別化と競争力の強化を行ってまいります。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は74,395千円であります。