文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創業以来、「パチンコファンが喜ぶこと」を発想の原点としており、アミューズメントの世界において誰もが楽しめる新しいシステムやサービスの開発にチャレンジしてきました。今後も独自の発想と技術力でコンピュータを中心に時代の変化を読みとり、ニーズを先取りする市場創造型の製品を提案し続けることによって、社会へ貢献していくことを基本方針としております。また、ブランド力の向上により、顧客からの支持を強めることが、企業として継続的な業績発展につながるとの考えから、『顧客からの支持は、継続的業績発展につながる』を当社グループの企業品質方針として掲げ、企業活動を行っております。
当社グループは、経営の効率化、高付加価値化を推し進めることにより収益力を高めることが、企業価値・株主価値を向上させることであると考え、売上高営業利益率を重要な経営指標としております。
パチンコ業界を支援する情報システム企業として、業界の新しい成長を生み出す、どこよりも優れた情報インフラを提案していくことが当社グループの使命と考えております。
そして、ファン層の拡大(集客)こそが業界全体の発展につながるとの信念を持ち、パチンコホール、遊技機メーカーとパチンコファンを信頼で結び、三者が共に利益と満足を得るビジネスを構築してまいります。
そのために、全国のパチンコホールに対しては、遊技機の有効活用、パチンコファン集客のためのホールコンピュータをはじめとする情報システム機器の提供やネットワークサービスにより、企業経営・店舗運営を支援する一方、遊技機メーカーに対しては、より魅力のあるソフト開発や表示・制御ユニットを提案し続けてまいります。また、パチンコファンに対しては、スマートフォン及びパソコン向け情報サービスをさらに強化し、より一層有用なホール情報を提供してまいります。
パチンコ業界におきましては、依然としてパチンコホールの営業店舗数や遊技機設置台数が減少する厳しい経営環境にありますが、市場では動向が注目されていたスマート遊技機の登場から1年余りが経過しました。2024年3月末時点におけるスマート遊技機の導入状況ですが、2022年11月より先行して導入が始まったスマートパチスロ機の設置割合は、ファンから高い支持を得た機種が複数市場投入されたため36.4%(前年同期比+28.2ポイント)と期初の想定より導入が進みました。2023年4月から導入が始まったスマートパチンコ機の設置割合は4.7%(同+4.7ポイント)となりました。
このような市場環境のもと、情報システム事業におきましては、パチンコホールの業績がコロナ禍前の水準に回復していただけることを最優先課題と捉え、ファンが安心して遊技していただける環境を整え、パチンコホール経営企業の業績向上を実現する当社ホールコンピュータシステムの普及と少人数ホールスタッフによるフロアオペレーションやパチンコホールへの集客を目的とする市場分析サービスによる経営支援サービスの実現を目指してまいります。
アミューズメント事業におきましては、開発管理の一層の強化と業務効率の向上による開発コストの低減をはかるとともに、既存のパチンコ遊技機向け事業に加え、事業の主軸を「スマートパチスロ」に移行し、事業領域の拡大を推進してまいります。
事業セグメント毎の優先的に対処すべき課題は以下の通りです。
情報システム事業
① スマート遊技機や新紙幣流通への対応など、変化する市場環境に合わせた価値ある製品・サービスをタイムリーに提供し、パチンコホール経営企業の業績向上につながる提案を強化します。
② 新たな遊技性やスペックをファンにより魅力的に伝えるための情報公開強化や、複雑化する遊技性に合わせたデータ管理手法と省人化実現のための支援機能強化に努めます。
③ 商圏分析サービス「Market-SIS」(マーケット-エスアイエス)、クラウドチェーン店管理システム「ClarisLink」(クラリスリンク)、AIホールコンピュータ「Χ」(カイ)の普及促進と活用提案の強化を継続し、ホール経営企業の業績向上につながる経営支援サービスの価値向上を目指します。
アミューズメント事業
① パチンコ機の製造・販売体制の構築を行うとともに、遊技機のソフト開発ラインを拡充することにより、スマート遊技機への対応を進めていきます。
② グループ会社間の連携を更に強化し、企画開発から製造・販売までの業務効率向上とともに、遊技機の商品力向上に取り組みます。
③ 遊技機市場の先を見据えた有力コンテンツ(IP)の獲得とともに、商品価値の最大化を目指し、他分野も視野に入れたアライアンスに取り組みます。
(1) サステナビリティ全般に関する考え方
当社は、サステナビリティ活動を持続的かつ体系的に推進し、ESGやSDGsを重視した経営を推進するため、サステナビリティ委員会において「サステナビリティ基本方針」を策定し、「マテリアリティ(重要課題)」を特定しました。
全てのステークホルダーの期待に応えるべく、経営理念である「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります」に基づき、中長期的な企業価値を創出してまいります。
<サステナビリティ基本方針>
ダイコク電機グループは、経営理念に基づく事業活動を通じて社会課題を解決しステークホルダーの皆さまとともに、持続可能な社会の実現とグループの成長を目指します。
<マテリアリティ(重要課題)>

サステナビリティに関するガバナンス・リスク管理体制

<ガバナンス>
当社は、環境・社会に係るサステナビリティ経営について取締役会傘下のサステナビリティ委員会において基本方針を策定し、マテリアリティを特定しました。サステナビリティ委員会ではリスクと機会の特定や目標設定を協議・審議しております。サステナビリティ委員会で協議・審議した事項は少なくとも年1回以上取締役会へ報告し、取締役会で審議・決議しております。
サステナビリティ委員会の指示のもと、サステナビリティ部会・ダイバーシティ部会では定期的に具体的な活動を企画、立案、管理をし、推進しております。
サステナビリティ委員会
サステナビリティ活動を持続的かつ体系的に推進し、ESGやSDGsを重視した経営を推進するため、取締役会の下にサステナビリティ委員会を設置しております。
本委員会は、気候変動を含むサステナビリティ推進活動などに関する協議・審議を随時行い、取締役会に報告や提言を行います。本委員会は、取締役会長を委員長とし 、代表取締役社長、代表取締役専務によって構成されております。
サステナビリティ部会
当社は、全社的なサステナビリティ活動を推進するため、サステナビリティ委員会の下にサステナビリティ部会を設置しております。本部会は、サステナビリティ推進活動の企画、立案、管理をし、定期的にサステナビリティ委員会への報告を行い、推進しております。
ダイバーシティ部会
当社は、全社的なダイバーシティ活動を推進するため、サステナビリティ委員会の下にダイバーシティ部会を設置しております。本部会は、ダイバーシティ推進活動の企画、立案、管理をし、定期的にサステナビリティ委員会への報告を行い、推進しております。
<リスク管理>
サステナビリティ全般に関するリスクについて、サステナビリティ委員会主導のもと、サステナビリティ部会とダイバーシティ部会が事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止をはかっております。リスクは、サステナビリティ部会とダイバーシティ部会を中心に、各部門のサステナビリティ全般に関するリスクの洗い出しを行った上で特定、重要度の優先順位付けをし、ルール、基準等の策定とその他リスクの予防、回避のために有効と思われる施策についての検討、実施をしております。リスクを特定後、サステナビリティ部会とダイバーシティ部会からサステナビリティ委員会へ報告を行い、サステナビリティ委員会で影響度合いを評価した上で、取締役会に報告を行います。気候変動などの重要な事項は、取締役会の監督・指示のもと、継続的にモニタリングを行っております。
(2) 気候変動に関する開示
当社は、気候変動課題を重要な経営課題と認識しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しております。TCFDの考えに基づき、気候変動課題がどう事業活動に影響を与えるかサステナビリティ委員会とサステナビリティ部会を中心に定期的に検証しております。
気候変動のガバナンス・リスク管理体制

<戦略>
気候変動に関連する当社事業へのリスクと機会を分析しております。分析にあたっては下表に記載したシナリオを想定して行っております。
シナリオ分析の対象となる事業は「情報システム事業」と「アミューズメント事業」の2事業です。「情報システム事業」は当社において主要な事業領域であり、売上に占める割合が大きく、「アミューズメント事業」は当社子会社で遊技機の製造・販売まで行っており、両事業とも世界的な脱炭素化への動きに対して影響を受けやすいことからシナリオ分析の対象事業として選択しました。
■リスク・機会一覧表
移行リスク・物理リスクに分けてリスク(支出の増加、収益の減少につながるもの)・機会(支出の減少、収益の増加につながるもの)を評価・分析しております。
移行リスクは低炭素社会に移行していくことにより生じるリスク・機会で2℃以下シナリオの影響が大きくあると想定されます。一方、物理リスクは気候変動が今以上に深刻化した際に起きるリスク・機会で4℃シナリオの影響が大きくなると想定されます。
※「時間軸」については短期:1~3年前後、中期:7~10年前後、長期:それ以上(20~30年以上)を想定して検討しております。
※「評価」については財務的インパクトの結果を参考にしながら、影響金額が500万円以上の場合は評価「大」、500万円未満または影響金額が不明の場合は評価「中」として評価しております。
4℃シナリオにおいては、異常気象の激甚化が予想される世界観において洪水被害や営業停止など物理リスクの影響が大きく、移行リスクの影響は軽微という試算結果となりました。
2℃以下シナリオにおいては、物理的リスクの影響があるものの4℃シナリオと比較すると影響は小さいという試算結果となりました。その他、本シナリオでは移行リスクとしてIEA WEO2021による予測パラメータでは炭素税が増加、IEA WEO2019による予想パラメータでは再生可能エネルギーの普及により電力価格が上昇するとの予測があり、その影響により支出が増加するものと想定しております。
しかし、両シナリオそれぞれにおける影響額の合計で当社の営業利益に占める割合は5%未満であり、事業活動における影響は軽微であると判断しております。
リスク影響による支出増加を最小化するためにソーラーパネルシステムを導入し炭素税・排出権取引に関わる支出の削減を行うなど、対応を進め今後範囲を拡大していく計画を進めております。
<指標と目標>
当社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けての目標を現在策定しております。その過程で以下の取り組みを行っております。
① Scope1、Scope2、Scope3(カテゴリ1等)のCO2排出量算出
② Scope3のCO2排出量算出に向けての情報収集(カテゴリ11等)
③ 春日井事業所にソーラーパネルを設置し、再生可能エネルギー利用によるCO2排出削減量のモニタリング
※Scope3のCO2排出量算出について、カテゴリ1が多くを占めているためカテゴリ1を下記に記載しております。
※Scope3(カテゴリ1)のCO2排出量は売上の大部分を占める「情報システム事業」が行う仕入れを対象に、
購入金額×排出原単位にて算定しています。
2024年3月期(2023年4月~2024年3月)のScope1・2のCO2排出量は以下になります。
(3) 人的資本・多様性に関する開示
当社は、人的資本・多様性を重要な経営課題と認識しており、サステナビリティ委員会とダイバーシティ部会を中心に様々な取り組みを推進しております。
人的資本・多様性のガバナンス・リスク管理体制

<戦略>
「イノベーション」を経営理念に新しい価値を創造し続ける。それを支えているのが人の力だと考えております。個人の能力とそれを活かす組織の力、そのシナジーで新しい価値を生み出し、社会を動かし続けます。そのために、当社は教育研修などに代表される人材育成には支援を惜しむことなく人を育てていく一方で、個人の力が最大限に発揮されるような自由闊達な組織風土づくりにも変わることなく取り組み、社内環境を整備しております。そうした変化を続けることで社会への貢献を果たしながら、持続的な成長を目指します。
<指標と目標>
○主な指標(目標及び実績)
[女性活躍推進]
従来補助的業務を行う社員として一般職という区分がありましたが、2019年にその区分を廃止しました。女性活躍推進については、ダイバーシティ部会における重要課題と捉え、現状把握・分析を行い、課題別に取り組みテーマを掲げて、各種制度、労働環境、教育・研修の見直しとともに、働き方改革、ワーク・ライフ・バランスの更なる推進を進めています。
このような取り組みの結果、2019年は役職者3名でしたが、2024年4月より女性管理職1名と役職者以上8名となっており、今後もますます女性役職者が増加するものと考えております。
[働き方改革]
仕事と育児の両立支援については、出産の前後や育児における休暇・休業・職場復帰制度、時短勤務制度などの諸制度を設けるなど、働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組んでおります。
これらの取り組みの結果、育児休業の取得率は男女ともに100%です。
また、次のような認定・認証を取得しています。
・2020年12月15日 名古屋市 「名古屋市ワーク・ライフ・バランス推進企業認証」
・2021年10月1日 愛知県 「あいち女性輝きカンパニー」に認証
・2021年11月17日 総務省 「テレワーク先駆者百選」に認定
・2022年3月23日 ㈱労務研究所 「ハタラクエール2022 福利厚生推進法人」に認証
・2022年12月16日 愛知県 「ファミリー・フレンドリー企業」に認定
[従業員エンゲージメント]
当社は従業員のエンゲージメントが重要な指標と考えており、2019年より定期的に組織診断サーベイを実施しています。サーベイの結果から、課題の分析と施策を掲げ、従業員の満足度やモチベーションを向上するための取り組みを全社で行い、エンゲージメントスコアは、4年間で44.5→56.2まで推移しております。昨年度は慢性的な繁忙期が続く中で横ばいとなりました。今年度より、新たなサーベイシステムへと切替を行い、現状把握と次の打ち手を重点的に強化することで自走できる組織を目指し、今後も継続的にエンゲージメントスコアを伸ばしていきます。

[障害者の雇用]
主要な事業所において障害をもつ従業員の雇用を推進し、活躍できる職場を目指しております。
当社の障害者雇用率は法定雇用率を下回り2.15%となりました。理由としましては、体調不良による欠勤が複数人で重なり、労働時間不足によりカウントできない事象が発生したためです。
(4) 「当連結会計年度における主な取り組み」
E:地球環境への貢献
① TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に対応するため、スコープ1.2.3について算定しました。
② 環境関連の戦略や取り組みなどを評価・認定する国際的な非営利団体CDPから、気候変動対応への取り組みでマネジメントレベル「B」スコアを獲得し、前年度の「B-」スコアから評価を伸ばしました。
S:イノベーションによるソリューション提供
① 名古屋市と岩手県陸前高田市との「絆交流」の一環として、陸前高田市立中学校の生徒に、当社が常設教室を運営している小学生向けプログラミング教室『ロボキューブ』において、職場体験をしていただきました。
② 騒音環境からホールスタッフの耳を守るパチンコホール特化型ノイズキャンセリングイヤホン「Wellph」を開発、販売しました。
S:人材活躍の推進
愛知県ファミリー・フレンドリー企業としてワークライフバランスに取り組み、2021年から継続している男性育休取得100%の実績が評価され、愛知県労働局より男性育休取得促進・企業取組事例として取材を受けました。
S:依存症への対応
社会課題であるギャンブル依存症への対応策の一つとして、ギャンブル依存症チェックゲーム「チェッパチ」を2022年度にリリース。好評につき第2弾を開発しています。
S:その他
① 当社が2拠点を置く愛知県春日井市で開催された春日井まつりに協賛し、当社が所属するパチンコ業界の横断的組織「一般社団法人 日本遊技関連事業協会(日遊協)」と連携し、地域清掃活動を行いました。
② 令和6年能登半島地震への被災地支援として、石川県へ義援金1,000万円を寄付いたしました。
今後も、持続可能な社会の実現と当社グループの成長に向けて、「マテリアリティ(重要課題)」を中心に推進してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社はリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」で定めており、その基本方針及び管理体制に基づき、「コンプライアンス・リスクマネジメント委員会」や内部統制活動としての「財務報告会」を定期的に開催し、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止をはかっております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制について
情報システム事業の顧客であるパチンコホールは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下、「風営法」という。)に定める基準に従って営業することが義務づけられており、パチンコホールが当社グループの製品を含めて店内の設備投資を行う場合、「風営法」に基づいて、あらかじめ各都道府県公安委員会に届出書を提出して、承認を受けなければなりません。また、パチンコホールの営業上、「風営法」のほか、「各都道府県条例」による規制を受けるとともに、過度な射幸性を抑制する目的等から、パチンコホールの業界団体が自主規制を行うことがあります。このような法的規制や新たな自主規制の実施により、パチンコホールの営業に制限が課せられた場合、パチンコホールの設備投資動向に急激な変化を生じる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報収集の徹底と迅速な戦略立案により在庫リスクや販売低迷に対処し、リスク低減に努めてまいります。
(2) 遊技機の型式試験について
当社グループ及び当社グループの取引先が製造販売するパチンコ遊技機及びパチスロ遊技機は、「風営法」第20条第5項に基づき、国家公安委員会の指定試験機関の型式試験に合格した機種だけが販売を許可されます。その後、各都道府県公安委員会による検定に適合することが必要となり、適合した機種だけがパチンコホールに導入されます。
型式試験は、各パチンコ遊技機及びパチスロ遊技機メーカーから持ち込まれた遊技機が国家公安委員会の「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」の規格に適合するかどうかを判断するものです。
パチンコファンのニーズの多様化や電子技術の進歩により遊技機の技術構造は飛躍的に進化しており、それに伴い試験の準備手続きや技術的仕様は複雑化に拍車がかかっています。そのため、型式試験の通過に予想を超える時間を要したり、試験に不適合となったりした場合には、アミューズメント事業の顧客である遊技機メーカーの販売計画に大きな狂いが生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、遊技機開発におけるグループ会社の役割を明確にすることで専門性を高め、業務効率追求により設計品質と開発生産性の向上をはかることでリスクの低減に努めております。
(3) 製品開発について
コンピュータシステムにおけるソフトウエアについては、プログラムの誤りであるバグを無くすことが重要な経営課題でありますが、今日のように高度なソフトウエア上でバグを皆無にすることは、一般的には困難と言われております。当社グループにおいても自社開発のプログラムを事前にテスト&デバックをすることで対処しておりますが、特定の入力データや操作、想定していなかった設定の組合せにおいて、顧客であるパチンコホールに製品を納入した後にバグが発見されるケースが過去に発生しております。このようなバグの中でもシステムを止めるような内容や、正確さに欠けるデータの表示等が発見された場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの品質管理につきましては、市場クレームはもとより生産工程内不良の解析力を強化し、製造・購買・開発など関連部門と協力の上、再発防止・潜在的不良の予防に取り組んでリスクの低減に努めております。また、社内に導入しております分析装置や外部解析機関の検査手法を取り入れ、ハード面においても常に品質安定を視野に入れた活動を行っております。もしもソフトウエア上のバグが発生した場合には、プログラム上の発生個所や原因を早急に突き止め、迅速に適切な対処を行うことに努めてまいります。
(4) 需要の大幅な変動について
遊技機の市場動向は、特定の人気機種が大きく販売を伸ばす一方、数千台で終息してしまう機種も増加し、機種ごとの優勝劣敗の傾向が強くなっております。大幅に需要変動する傾向のある遊技機市場環境のなか、当初計画した各メーカーへの納入台数が達成できなくなる、あるいは受注がキャンセルされること等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、遊技機市場動向を把握した中での需要予測や遊技機メーカー販売部門との連携による最新営業情報の収集により、予期せぬコスト負担を最小限に抑えるべく努めております。
(5) 知的財産権の保護について
当社グループは、知的財産権の重要性が高まるなか、特に特許権に関しては最重要の経営資源と位置付け、その創出と保護に努めるとともに、他社の特許権を侵害しない製品づくりに努めております。
しかしながら、当社グループの知的財産権に対する侵害行為は、その全てを把握することは困難であり、当社グループの権利を完全に防護することは不可能です。また昨今、知的財産権はその量、内容共に膨大であり、調査分析を徹底しておりますが、当社グループが他社の特許権を侵害しているとして、何らかの請求を受ける可能性があります。
また、映像や音声の制作において、版権や楽曲を使用しないオリジナル作品の場合、類似や模倣という観点が明確でないため、細心の注意を払っていても、意図せず著作権や不正競争防止法に抵触しているとして何らかの請求を受ける可能性があります。
さらに、著作権の許諾を受けていても著作者もしくは権利元の意向により影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、知的財産権の確実な取得及び保全に努めております。
(6) 検定型式の均一性に関して
パチンコ遊技機及びパチスロ遊技機は、検定機関の検査に適合後、検定型式と同一の製造均一性を担保するため、その製品に使われている部品の互換が認められておりません。当社が遊技機メーカーに納入するユニット製品に使用している電子部品が生産中止となった場合、もしくは何らかの理由(企業の倒産、災害)により電子部品の供給が受けられなくなった場合は、当社製品の製造及び供給ができず業績に影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、部品を選定する際の規定で「継続供給担保」※の基準を設け、合格した部品のみ採用する仕組みを構築し、リスクの回避に努めております。
※「継続供給担保」の基準は以下の3点であります。
① 継続供給可能なことの確認
② 生産中止の際は事前報告履行の担保
③ パチンコ業界での採用事例の確認
(7) 感染症等の拡大や大規模災害等の異常事態リスク
当社グループは、パチンコホール向けにホールコンピュータをはじめとする情報システム機器の開発・製造・販売と、各種情報サービスの提供を行っております。新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックや大規模災害等の異常事態が当社の想定を超える範囲で発生し、パチンコホールの休業が長期化した場合は、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
また、休業が長期化した場合にはパチンコファンの減少も想定するリスクと考えられます。
(8) 減損会計適用の影響
当社グループは、事業用の不動産をはじめとする固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなると減損処理が必要となる場合があり、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 創業者との取引
提出会社と創業者との2024年3月31日(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)における取引は次のとおりであります。
(注) 1 上記金額のうち、取引金額には消費税等は含まれておりません。
2 取引条件及び取引条件の決定方針等
給与については、常勤顧問規程に基づいて金額を決定しております。
3 栢森新治は代表取締役社長 栢森雅勝及び代表取締役専務 栢森健の実父であります。
なお、栢森新治は、1996年6月代表取締役を退任、取締役相談役に就任。1997年3月取締役相談役を退任後、常勤顧問規程により常勤顧問(相談役)に就任。多方面に渡る親交により、財界を中心とした渉外活動を通じて、当社事業展開が円滑に行われるよう、日々注力いたしております。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する規制が緩和されたことにより、社会経済活動の正常化が進み、景気はゆるやかな回復基調で推移しました。しかしながら、国際情勢に起因するエネルギー価格や原材料価格の高騰による物価上昇の影響により、消費者の節約志向が高まるなど、依然として先行き不透明な状況が続きました。
当社グループが携わるパチンコ業界におきましては、警察庁の集計(2024年4月発表)によると、2023年12月末時点のパチンコホールの営業店舗数は7,083店(前年比92.4%)、遊技機設置台数はパチンコ機・パチスロ機ともに減少し、342万5,246台(前年比96.1%)と厳しい市場環境が続いておりますが、1店舗当たりの設置台数は483.6台と前年比+18.6台と大幅に増加し、パチンコホールの大型化が進んでおります。市場ではスマート遊技機の登場から1年余りが経過しました。当連結会計年度末時点におけるスマート遊技機の導入状況は、パチスロ機全体におけるスマートパチスロ機の設置割合は36.4%(第3四半期末比+5.4ポイント、前年同期比+28.2ポイント)、パチンコ機全体におけるスマートパチンコ機の設置割合は4.7%(第3四半期末比-0.2ポイント、前年同期比+4.7ポイント)となりました(当社「DK-SIS」データ参照)。
次に遊技機の稼動状況ですが、2024年1月~3月の期間平均で前年同期比106.4%、前年度(2022年4月1日~2023年3月31日)比較では105.6%となりました。種別稼動状況につきましては、パチスロ機はファンから高い支持を得たスマートパチスロ機が複数市場投入されたため、前年同期比117.7%、前年度比較では122.1%と好調に推移しました。パチンコ機は前年同期比99.5%、前年度比較では97.1%とやや低迷しましたが、今年3月よりラッキートリガーという新たな遊技性を持った遊技機が複数登場し、ファンから高い支持を得た遊技機があったため、3月単月では前年同期比103.1%と上昇しました(当社「DK-SIS」データ参照)。スマート遊技機は、今後もファンの支持を得ながら順調に設置割合を増やしていくと見込んでおり、スマート遊技機に対応するための設備投資需要は堅調に推移するものと思われます。
このような市場環境のもと、情報システム事業におきましては、2024年2月~3月にかけて全国主要都市で5年ぶりとなるリアル展示会&セミナーを開催し、多くのパチンコホール経営企業に参加していただきました。展示会場では、業界最大かつ最高画質となる13.3インチフルHD液晶、タッチパネルを採用した「情報公開端末「REVOLAⅡ」(レボラツー)」や、業界史上最大のデュアルセグを搭載し、出玉数や盛況感をアピールする「上部設置端末「DUALINA」(デュアリナ)」、業界初となる耳への負担軽減でホールスタッフを騒音環境から守るパチンコホール特化型「ノイズキャンセリングイヤホン「Wellph」(ウェルフ)」の3製品を発表しました。セミナーでは、2023年のパチンコ機・パチスロ機毎の業績を振返り、パチンコホールの業績回復に向けた遊技機管理手法について、受講者参加型のリアルタイムアンケート結果を踏まえながら講演を行いました。また、スマート遊技機による市場変化への対応に関連したMIRAIGATEサービスのさらなる拡大を目指し、煩雑な機種入替時の作業が短時間で完了し業務効率化に貢献する「楽らく入替運用オプション」、クラウドチェーン店管理システム「ClarisLink」(クラリスリンク)、周辺エリアの集客状況を提供する商圏分析サービス「Market-SIS」(マーケット-エスアイエス)の普及を促進しました。
アミューズメント事業におきましては、スマートパチスロ事業への早期参入に向け、アロフト社及び2023年4月より孫会社化したライリィ社との連携による「パチスロ機の企画・ソフト開発」、DAXEL社との連携による「ハード開発及び製造・販売体制の構築」を推進しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高538億61百万円(前年同期比69.2%増)、営業利益120億1百万円(同198.6%増)、経常利益121億2百万円(同184.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益84億64百万円(同189.1%増)となりました。
セグメント業績は次のとおりであります。なお、従来「制御システム事業」としていた報告セグメントの名称を「アミューズメント事業」に変更しております。
当連結会計年度におきましては、パチンコホール経営企業において、スマート遊技機導入による活発な設備投資需要が継続しております。このような市場環境のもと、『パチンコホール向け製品等』の売上は、スマート遊技機専用を含む当社カードユニット「VEGASIA」(ベガシア)、情報公開端末「REVOLA」(レボラ)、「BiGMO PREMIUM」(ビグモプレミアム)の販売台数が好調に推移し、また、2024年7月からの新紙幣流通に先駆けてカードユニットの改刷対応需要により、前年同期を大幅に上回りました。『サービス』の売上は、主要なサービスが堅調に推移し、スマート遊技機登場による市場変化への対応に関連したMIRAIGATEサービスの加盟店舗数が増加したこともあり、前年同期を上回りました。
この結果、当事業の売上高は494億12百万円(前年同期比88.5%増)、セグメント利益146億3百万円(同166.0%増)となりました。
当連結会計年度におきましては、市場全体のパチンコ機販売台数が減少した影響もあり、遊技機向けの表示ユニット及び制御ユニット販売は前年同期を下回りましたが、部品販売は前年同期を上回りました。
この結果、当事業の売上高は44億99百万円(前年同期比20.2%減)、セグメント損失3億90百万円(前年同期はセグメント利益1億40百万円)となりました。
(注) セグメント業績の金額には、セグメント間取引が含まれております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は製造原価によっております。
2 情報システム事業において、提出会社は製品の製造はOEM先で行っており、当社内で製造作業は行っておりません。また、提出会社の子会社は金額的重要性がないため記載を省略しております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 情報システム事業について、提出会社は見込み生産をしており、工事は製品販売に伴う付帯工事のため受注扱いしておりません。また、提出会社の子会社は金額的重要性がないため記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 総販売実績に対する相手先別の販売実績の割合が10%未満のため、主要な販売先については記載を省略しております。
当連結会計年度の総資産は、当第4四半期連結会計期間の業績が好調に推移したことで営業債権が増加しており、営業債権等が決済されたことなどにより現金及び預金が増加しております。また、スマート遊技機導入に伴うパチンコホール経営企業の活発な設備投資需要に対応すべく商品及び製品が増加しており、前連結会計年度末に比べて109億83百万円増加の592億81百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、製品仕入及び研究開発費等の増加に伴う営業債務が増加しております。また、業績が好調に推移したことによる所得の増加に伴う未払法人税等が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ36億62百万円増加の185億61百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、配当の支払などがありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前連結会計年度末に比べ73億20百万円増加の407億20百万円となりました。自己資本比率は68.7%(前連結会計年度末比0.5ポイント下落)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ35億11百万円増加の204億34百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動におけるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、84億29百万円(前年同期は29億83百万円の収入)となりました。その主な要因は、支出として売上債権の増加21億18百万円や、棚卸資産の増加54億33百万円などがありましたが、収入として税金等調整前当期純利益119億21百万円、減価償却費16億47百万円、仕入債務の増加19億19百万円などがあったことによります。
(投資活動におけるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、17億34百万円(前年同期は19億76百万円の支出)となりました。その主な要因は、収入として期日到来による有価証券の償還がありましたが、社内システム構築用備品及び既存製品に関連したバージョンアップ用ソフトウエアなどの固定資産の取得による支出があったことによります。
(財務活動におけるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、31億83百万円(前年同期は6億66百万円の支出)となりました。その主な内訳は、短期借入金の返済と配当金の支払によります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
当連結会計年度末の流動資産につきましては、「現金及び預金」は、前連結会計年度に比べて大きく増加いたしました。また、スマート遊技機に対応するための設備投資需要が高まったことにより「電子記録債権」などの営業債権が大幅に増加いたしました。たな卸資産につきましても、スマート遊技機導入に伴うパチンコホール経営企業の活発な設備当時需要に対応すべく「製品」は大幅に増加いたしました。また、保有している無担保普通社債が満期日を迎えたことにより「有価証券」が減少いたしました。この結果、流動資産は前連結会計年度末に比べ103億29百万円増加の439億55百万円となりました。
固定資産につきましては、社内システム構築用備品及び既存製品に関連したバージョンアップ用ソフトウエアの取得、ライリィ社の株式取得による子会社化によるのれんの計上を行いました。これらにより、固定資産は前連結会計年度末に比べ6億54百万円増加の153億26百万円となりました。
これらの結果により、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ109億83百万円増加の592億81百万円となりました。
流動負債につきましては、前述したとおりスマート遊技機導入による設備投資需要に応えたこと、また、翌連結会計年度からの新紙幣流通に伴うカードユニットの改刷対応のための在庫確保を先行して行ったことにより「電子記録債務」が大幅に増加いたしました。また、「短期借入金」の返済を行いましたが、業績が好調に推移したことによる所得の増加に伴う「未払法人税等」が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ37億2百万円増加の176億68百万円となりました。
固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ39百万円減少の8億93百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ36億62百万円増加の185億61百万円となりました。
純資産につきましては、配当金の支払いがありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前連結会計年度末に比べ73億20百万円増加の407億20百万円となりました。以上により自己資本比率は68.7%(前連結会計年度末比0.5ポイント下落)となりました。
(b) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
パチンコホール経営企業におきましては、パチンコホール営業店舗数が年々減少する厳しい市場環境にありますが、導入から1年余りが経過したスマート遊技機につきましては、ファンからの支持を得ながら順調に設置数を伸ばしており、スマート遊技機の普及とともにパチンコホール経営企業の設備投資は、大手企業を中心に堅調に推移しております。
このような市場環境のもと、中期経営計画の2年目におきましては、将来の市場環境の変化に対応するため、事業領域の再設定を重点施策として、事業部毎に以下の取り組みを行いました。
(1) 情報システム事業
AIやビッグデータ等の最新技術を活用したサービスをスピーディに提供するためのプラットフォームの構築に向けて、グループ会社と連携し、既存サービスのクラウド化を推進しました。
(2) アミューズメント事業
スマートパチスロ事業への早期参入に向け、グループ会社の連携による「パチスロ機の企画・ソフト開発」、「ハード開発及び製造・販売体制の構築を推進しました。
サステナビリティへの取り組みにおきましては、地球環境への貢献について、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に対応するため、スコープ1,2,3について算定しました。また、環境関連の戦略や取り組みなどを評価・認定する国際的な非営利団体CDPから、気候変動対応への取り組みについて、マネジメントレベル「B」スコアを獲得し、前年度の「B-」スコアから評価を伸ばしました。イノベーションによるソリューション提供については、業界初となる耳への負担軽減でホールスタッフを騒音環境から守るパチンコホール特化型ノイズキャンセリングイヤホン「Wellph」を開発、販売しました。
当社グループが携わるパチンコ業界は、業界固有の法規制等が業績動向や経営戦略に影響を及ぼす可能性があります。2018年2月1日に施行された新規則により、2022年1月末に旧規則機の撤去は完了し、パチンコ・パチスロ機は共に新規則機に置き換わりました。動向が注目されていたスマート遊技機ですが、「スマートパチスロ」は2022年11月、「スマートパチンコ」は2023年4月より市場導入が始まりました。今後もスマート遊技機の導入は順調に進み、これに対応するための設備投資は引き続き堅調に進むものと思われます。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ、220億37百万円増加の538億61百万円(前年同期比69.2%増)となりました。
情報システム事業におきましては、スマート遊技機導入による活発な設備投資需要が継続しており、スマート遊技機専用を含むカードユニット及び情報公開端末の販売台数は好調に推移しました。また、2024年1月より市場に設置されている当社製カードユニットへの改刷対応(有償)が始まったことにより『パチンコホール向け製品等』の売上は前年同期を大幅に上回りました。『サービス』の売上は、主要なサービスが堅調に推移したほか、クラウドチェーン店管理システム「ClarisLink」、周辺エリアの集客状況を提供する商圏分析サービス「Market-SIS」、スマート遊技機登場による市場変化へ対応するため、MIRAIGATEサービス加盟店舗数が増加したこともあり、前年同期を上回りました。
アミューズメント事業におきましては、市場全体のパチンコ機販売台数が減少した影響もあり、『表示・制御ユニット等』の売上は前年同期を下回りました。『部品・その他』の売上では、部品販売は前年同期を上回りましたが、その他の売上は減少したため、こちらも前年同期を下回りました。
(営業利益)
売上総利益は、売上高の増加により前連結会計年度に比べ104億74百万円増加の249億81百万円(前年同期比72.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費では、主に人件費や研究開発費、販売促進費の増加により、前連結会計年度に比べ24億92百万円増加の129億80百万円(同23.8%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ79億81百万円増加し、120億1百万円(同198.6%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外収益は、雇用調整助成金が無くなったことにより、前連結会計年度に比べ1億34百万円減少の1億66百万円(前年同期比44.7%減)となりました。この結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ78億41百万円増加し、121億2百万円(前年同期比184.1%増)となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ55億36百万円増加し、84億64百万円(同189.1%増)となりました。
(情報システム事業)
当事業におきましては、新店や大規模改装工事が減少する厳しい状況が続くなか、『サービス』売上につきましては、前連結会計年度に比べ1億58百万円増加の66億32百万円(前年同期比2.4%増)となりました。「サービス」の中でも、パチンコホールの運営支援や分析支援により経営のサポートを行う「MIRAIGATEサービス」は継続的に収益が得られるストック型収益モデルであり、商圏分析サービス「Market-SIS」やクラウドチェーン店管理システム「ClarisLink」等のサービスを次々に市場投入し、成長させ続けることが重要と認識しております。AIホールコンピュータ「X」(カイ)の普及促進と活用提案の強化を継続し、パチンコホール経営企業の業績向上につながる経営支援サービスの価値向上を目指してまいります。
(アミューズメント事業)
当事業におきましては、1機種当たりの販売台数減少など事業環境の厳しさが増すなか、開発管理の一層の強化と業務効率向上によるコスト低減をはかるとともに、事業部の主軸を「パチンコ機」から「スマートパチスロ」に移行し、事業領域の拡大を推進してまいります。パチンコ機向け事業におきましては、遊技機メーカーのニーズにこたえた有力コンテンツ(IP)の提供を行うことで、ハード・ソフト案件の獲得につなげてまいります。
(c) 経営成績に重要な影響を与える要因について
[第2 事業の状況 3 事業等のリスク]に記載されておりますように、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」や一般財団法人保安通信協会による遊技機の型式試験の改正や許認可方針の変更等が行われた場合に、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(d) 経営戦略の現状と見通し
パチンコ業界を支援する情報システム企業として、どこよりも優れた情報インフラを提供していくことが当社の使命と考え、全国のパチンコホールに対しては、「DK-SIS」による遊技機の有効活用や、煩雑な機種入替時の作業が短時間で完了し業務効率化に貢献する「楽らく入替運用オプション」の提案、周辺エリアの集客状況を提供する商圏分析サービス「Market-SIS」の普及など、MIRAIGATEサービスの拡充を推進し、堅調に推移しております。
遊技機メーカーに対しては、市場環境の変化に対応した迅速な戦略の立案により、魅力のあるユニット及び遊技機の新たな企画提案に取り組み、徐々に実績を上げております。
また、ファンに対しては、スマートフォン向けのパチンコ情報アプリ「パチロボ」で大当たり回数、各ランキング、動画、収支帳をはじめ、自分が打った台のその後がわかる便利な機能等を提供しており、今後もファンが楽しめる機能強化に取り組んでまいります。
(e) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、独自の発想と技術力で市場創造型の製品を提案し、経営の効率化と高付加価値化を推し進め、収益力を高めることが、競争力を維持強化し、企業価値の増大に繋がるものと考え、「売上高営業利益率」を重要な経営指標としております。当連結会計年度の「売上高営業利益率」は、前連結会計年度に比べ9.7ポイント増加の22.3%となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、35億11百万円増加の204億34百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動により得られた資金は84億29百万円となり、前連結会計年度と比べ54億45百万円の増加となりました。主な増加要因は、業績が好調に推移したことにより税金等調整前当期純利益が77億84百万円増加したことによります。主な減少要因は、棚卸資産の増減であります。スマート遊技機用カードユニット、翌会計年度から販売予定の情報公開端末、新紙幣流通に伴うカードユニットの改刷対応のための在庫確保による製品在庫が増加したことにより13億39百万円減少いたしました。
投資活動により使用した資金は17億34百万円となり、前連結会計年度に比べ2億41百万円いたしました。主な要因は、投資有価証券が当連結会計年度で償還されたことによります。
財務活動により使用した資金は31億83百万円となり、前連結会計年度に比べ25億17百万円増加いたしました。主な要因は、短期借入金20億円を返済したことによります。また、一株当たりの配当金が前連結会計年度に比べ35円増加したことも要因の一つとなっております。
(b) 財政政策
当社グループは運転資金及び設備資金において、営業収益による内部資金及び金融機関からの調達を基本方針としております。子会社の資金需要は当社において調達をいたします。当社は、取引先金融機関と当座借越の枠を設けていただいており、使用用途及び金利情勢等を鑑みて短期借入金及び長期借入金を決定いたします。
中期的な方向性としましては、当社グループは営業活動による収益力の向上により営業キャッシュ・フローを増加させ、健全な財政状態を維持した上で、適時適切な設備投資を既存事業及び新規事業に積極的に投下することにより、事業の持続的成長に繋がると考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
オムロンアミューズメント株式会社OAM特約店基本契約
(注) 提出日現在において契約期間を延長しております。
(1) 研究開発体制と開発内容
開発スタッフ215名により「情報システム事業」及び「アミューズメント事業」各々の研究開発を行っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は
(情報システム事業)
当連結会計年度における情報システム事業の研究開発活動の実績は以下のとおりであり、開発スタッフ57名、研究開発費は
① ホールコンピューティングシステムの主な開発活動
・全国から収集した「客入数データ」をパチンコホール向けに公開する商圏分析サービス「Market-SIS」において、より身近に利用できるようにスマートフォンアプリ「Market-SIS QUICK」(マーケット-エスアイエス クイック)を開発しました。
・チェーン店のホールデータの閲覧・分析を可能とするクラウドサービス「ClarisLink」において、主要な申請書システムとの連携を強化し、作業効率化を実現しました。
・騒音環境からホールスタッフの耳を守るパチンコホール特化型ノイズキャンセリングイヤホン「Wellph」を開発しました。
② 情報公開製品の主な開発活動
・フルカラー7セグ表示と、高精細フルHDタッチパネル液晶を組み合わせた高級感のあるハイブリッド情報公開端末の「REVOLAⅡ」を開発しました。
・台毎計数機やスマート遊技機コーナーの盛況感をデュアルセグで華やかに演出する上部設置端末「DUALINA」を開発しました。
・情報公開端末製品において、遊技機の多様なゲーム性をファンに分かりやすく伝える「ゲームフローナビ」機能を実現しました。
③ プリペイドシステムの主な開発活動
・各種カードユニット及び精算機において新札対応を行いました。
(アミューズメント事業)
当連結会計年度におけるアミューズメント事業の研究開発活動の実績は以下のとおりであり、開発スタッフ158名、研究開発費は
・今後の遊技機市場を見据え、規則が変更されたスマート遊技機をターゲットとした新しいゲーム性の考案に取り組みました。
・ソフト開発における効率化ツールの開発及びバージョンアップを行い、ソフト開発の受託範囲拡大に取り組みました。
・新規ハード及び新規取引メーカー向けに対応したベースプログラムの開発を行い、ソフト開発の受託範囲拡大に取り組みました。
・遊技機の魅力を高める有力コンテンツの調査・発掘・獲得を行うとともに、コンテンツの特長を活かした企画考案に取り組みました。
・パチスロ遊技機の企画開発において、グループ会社と連携しスマートパチスロの開発に取り組みました。
・アミューズメントコンテンツでは、スマートフォン向け自社ライブラリの開発中複数案件向け個別機能の保守対応と、開発のコスト削減を実現する為のゲームエンジン研究、自社タイトルのプロト版開発を行いました。
(2) 知的財産権に関する活動
年々、知的財産権の重要性が高まる中、当社は特に特許権に関しては最重要の経営資源と位置付け、企業利益に貢献する活動を行っております。
その基本方針としましては以下のとおりであります。
① 散発的な出願ではなく、戦略的系統的な出願をする。
② 特許報奨制度のインセンティブ付与により出願の質を高める。
③ 社内への知的財産権に関する危機管理の浸透をはかる。
④ 適切な特許権行使をする。