【注記事項】

(継続企業の前提に関する注記)

当社は、当事業年度において、7期連続で営業損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当社では、当該状況を解消するため、以下の施策を実施しております。
 

①事業の選択と集中

 当社は、近年の市場環境の変化に対応し、持続的な成長と収益性の向上を目指して大幅な事業構造の転換を進めています。これまでAV関連事業では、TVチューナー周辺のソフトウェア開発を中心に事業を展開してまいりましたが、最近の「TV離れ」やインターネットによるコンテンツ再配信の影響で、当社のコア技術であるTVチューナー関連のニーズが大きく減少しました。この状況を受けて、製品ラインナップの整理やコミュニケーション戦略、製品デザイン、Webサイトの充実など、様々な施策を講じてきましたが、市場ニーズの減少には抗えず、TVチューナー周辺のソフトウェア開発プロジェクトにおいて選択と集中を実施することとなりました。

 今後は、大きな成長が見込まれるウェルネスやヘルスケア関連の製品やサービスに大きくシフトしていく計画です。収益性の低いプロジェクトを廃止することで効率化を進め、収益構造を改善してまいります。特に、当社が強みとするソフトウェアおよびハードウェア開発技術を活かし、新興ブランドとしてウェアラブルIoTデバイス、特にスマートリングを中心に、健康維持や美容に貢献するスキンケア、ヘアケア、オーラルケア製品群を新たに展開する予定です。

 これらの取り組みを通じて、安定的に売上と利益を上げる仕組みづくりを推進し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

②自社製品ブランドの確立

 当社は、AV関連事業および家電事業における競争力強化と持続的成長を目指し、戦略的なブランディングとマーケティング施策を展開しています。これらの取り組みにより、当社製品の市場認知度向上と顧客ロイヤルティの強化を図り、中長期的な企業価値の向上を目指します。

 当社の新たな戦略の中心には、ブランドストーリーテリングを活用したマーケティングアプローチがあります。この手法により、単なる製品訴求を超えて、当社の価値観や歴史、使命を包括的に伝えることで、顧客との感情的なつながりを築くことを目指します。具体的には、高度なCRM(顧客関係管理)システムを導入し、顧客データの統合と分析を通じてカスタマーエクイティー(顧客生涯価値)の向上を図ります。顧客の嗜好やニーズを詳細に分析し、それぞれのセグメントに合わせたストーリーテリングを展開することで、既存顧客の維持率向上と顧客単価の増加を実現し、安定的な収益基盤を構築します。

 また、従来のメディアに加え、SNSを活用した効果的なプロモーション戦略も展開します。各チャネルの特性を活かしつつ、一貫したブランドストーリーを展開することでブランドイメージの強化と浸透を図ります。ターゲット顧客層に合わせたコンテンツ制作と情報発信によって、費用対効果の高いマーケティングが実現されます。自社Webサイトやアプリなどのオウンドメディアも戦略的に育成し、直接的な顧客接点を増やすことで、当社製品やサービスに関する深い洞察や背景ストーリーを提供し、ブランドへの理解と愛着を深めます。この取り組みにより、マーケティングコストの最適化と顧客データの直接取得が可能になります。

 さらに、AV関連事業と家電事業の両分野で一貫したブランドイメージを構築し、各事業部門の強みを活かしつつグループ全体としての一貫したストーリーを展開することでシナジー効果の創出を目指します。これにより、グループ全体の認知度と信頼性が高まり、市場での競争優位性が確立されます。これらの施策によって、当社は急速に変化する市場環境に適応しつつ、ブランド価値の向上と顧客基盤の拡大を図ります。

 同時に、高品質な製品開発と革新的な技術の追求も継続し、それらをブランドストーリーの中核に据えることで製品の差別化と競争力強化が実現されます。当社はこれらの取り組みにより売上高の増加、利益率の改善、そして株主価値の向上を実現してまいります。

 

③経営戦略資金の確保

第16回新株予約権につきましては、当事業年度において65,000千円の新株予約権の行使が行われました。なお、第16回新株予約権につきましては、2023年12月において、残存する全ての当該新株予約権を取得するとともに、取得後直ちに消却しております。

また、当事業年度においてEVO FUNDを割当先とする第18回新株予約権及び第19回新株予約権を発行しました。

第18回新株予約権につきましては、当事業年度において全ての新株予約権が行使され、818,800千円調達しております。

第19回新株予約権が権利行使された場合には、400,000千円の資金調達が可能であります。

また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、第10回無担保普通社債150,000千円及び第11回無担保普通社債600,000千円を発行しました。

さらに、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、2024年9月26日付の取締役会決議において、2024年11月22日開催の臨時株主総会に、EVO FUNDを割当予定先とする第20回新株予約権の発行について付議することを決議し、本臨時株主総会で承認可決されました。第20回新株予約権が権利行使された場合には、1,500,000千円の資金調達が可能であります。

引き続き、必要に応じて事業資金の確保を図ってまいります。

 

④固定費削減と原価低減コスト削減による収益体質への構造改革

 当社は、市場環境の変化に迅速に対応し、持続可能な成長と収益性の向上を実現するため、大規模な事業構造改革を実施いたしました。この改革は、当社の経営資源を成長分野に集中させ、企業価値の最大化を図ることを目的としています。

 具体的な施策と成果として、テレビチューナー関連の開発を大幅に縮小し、高い収益性が見込める製品に経営資源を集中させました。これにより、市場ニーズに即した効率的な事業運営が可能となる事業ポートフォリオの最適化を実施いたしました。また、2023年3月末時点で製品事業本部の約60%の人員削減を実施し、さらに2024年7月には当社グループ全従業員の約26%の人員削減を行いました。この施策により、固定費の大幅な削減と組織の効率化を実現、人員体制の適正化を実施いたしました。さらに、2023年6月に大阪本社オフィスから退去し、2024年7月には東京オフィスの移転を実施しました。これにより、オフィス関連コストの削減と働き方改革の推進を同時に達成し、オフィス戦略の見直しを実施いたしました。

 これらの構造改革により、当社の月々の固定費は大幅に削減され、収益構造が大きく改善されました。その結果、より機動的かつ効率的な経営体制が構築され、黒字転換への道筋が明確になりました。

 さらに、この構造改革を基盤として、当社は新たな成長分野の開拓に着手しています。市場動向や技術トレンドを見据え、高い成長性と収益性が期待できる分野に経営資源を集中投下することで、中長期的な企業価値の向上を目指します。

 具体的には、IoTとAIを活用したスマートホーム製品の開発、ヘルスケア・ウェルネス関連デバイスの展開、サブスクリプションモデルを活用したサービス事業の強化に注力してまいります。

 これらの新規事業は、当社の既存技術と新たに獲得する技術を融合させることで、独自の競争優位性を確立することを目指しています。

 

しかしながら、これらの施策を実施してもなお、新株予約権の行使状況及び今後の経済情勢等により収益が計画どおり改善しない可能性があり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

なお、財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しておりません。

 

 

(重要な会計方針)

1 有価証券の評価基準及び評価方法

(1) 子会社株式及び関連会社株式

移動平均法による原価法を採用しております。

(2) その他有価証券

市場価格のない株式等以外のもの

時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)を採用しております。

市場価格のない株式等

移動平均法による原価法を採用しております。

 

2 棚卸資産の評価基準及び評価方法

製品、原材料、仕掛品

移動平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。

 

3 固定資産の減価償却の方法

(1) 有形固定資産(リース資産を除く)

定率法(ただし、1998年4月1日以降取得の建物(建物附属設備は除く)並びに2016年4月1日以降取得の建物附属設備及び構築物は定額法)によっております。

なお、主な耐用年数は以下のとおりであります。

建物…8~18年
車両運搬具…6年
工具器具備品…2~15年

(2) 無形固定資産(リース資産を除く)

市場販売目的のソフトウエアについては関連製品の販売計画に基づく償却額と残存有効期間(3年以内)に基づく償却額を比較し、いずれか大きい額を償却費として計上する方法によっております。
 また、自社利用目的のソフトウエアについては社内における利用可能期間(5年)に基づく定額法によっております。

 

4 繰延資産の処理方法

(1) 新株予約権発行費

新株予約権発行費は3年以内のその効果の及ぶ期間にわたり定額法によって償却しております。

(2) 社債発行費

社債発行費は償還までの期間にわたり定額法によって償却しております。

(3) 株式交付費

株式交付費は3年間の定額法によって償却しております。

 

5 引当金の計上基準

(1) 貸倒引当金

債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

(2) 契約損失引当金

将来の契約履行に伴い発生する可能性のある損失に備えるため、損失の見込額を計上しております。

 

6 収益及び費用の計上基準

当社の顧客との契約から生じる収益に関する主要な事業における主な履行義務の内容及び当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)は以下のとおりであります。

当社は、主にデジタルAV家電製品等の販売、製品の保守サービス、ライセンス使用許諾をしております。

製品の販売においては、引き渡し等により顧客に支配が移転した時点で履行義務が充足されることとなりますが、収益認識に関する会計基準の適用指針第98項の代替的な取扱いを適用し、出荷時点において収益を認識しております。また、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベート、返品及び販売促進費等の名目で顧客に支払う対価の一部について控除しております。

製品の保守サービスについては、一定の期間を設けその期間内において製品の修理・交換等のサービスを提供するものであり、期間の経過により履行義務が充足されることから、一定の期間にわたり収益を認識しております。

ライセンスの使用許諾料は、契約期間内にわたり知的財産等を提供するサービスであるため、顧客への履行義務の充足は一定期間にわたり認識すべき性質のものであることから、契約期間にわたり収益を認識しております。

 

7 その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項

 退職給付制度

当社は、従業員の退職金の支給に備えるため、確定拠出年金制度を採用しております。

 

 

(重要な会計上の見積り)

1.棚卸資産の評価

(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額

 

 

(千円)

 

前事業年度

当事業年度

製品

119,424

57,221

原材料

156,006

21,945

 


(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報

「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 1.棚卸資産の評価 (2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報」に記載のとおりであります。

 

2.資産除去債務

(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額

 

 

(千円)

 

前事業年度

当事業年度

資産除去債務(流動負債)

468

資産除去債務(固定負債)

18,516

13,643

 

 

(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報

「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 2.資産除去債務 (2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報」に記載のとおりであります。

 

(表示方法の変更)

(貸借対照表関係)

前事業年度において「流動資産」の「その他」に含めておりました「未収入金」(前事業年度4,328千円)について、金額的重要性が増したため、当事業年度においては区分掲記しております。

 

 

(会計上の見積りの変更)

当事業年度において、当社の東京支社の賃貸借契約等に基づく原状回復義務として計上していた資産除去債務について、原状回復費用の新たな情報入手に伴い、より精緻な見積りが可能となったことから見積りの変更を行いました。

この見積りの変更による資産除去債務13,107千円を変更前の資産除去債務残高に加算するとともに、同時に計上した有形固定資産について減損損失13,034千円を特別損失に計上しました。

当該見積りの変更の結果、当事業年度の税引前当期純損失が13,107千円増加しております。

 

(貸借対照表関係)

※1 関係会社に対する金銭債権・債務(区分表示したものを除く)

 

前事業年度

(2023年9月30日)

当事業年度

(2024年9月30日)

金銭債権

12,935

千円

13,501

千円

金銭債務

430

千円

553

千円

 

※2 担保資産及び担保付債務

   担保に供している資産及び担保付債務は次の通りです。

 

前事業年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

当事業年度

(自  2023年10月1日

至  2024年9月30日)

売掛金

千円

48,703

千円

 

 

 

前事業年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

当事業年度

(自  2023年10月1日

至  2024年9月30日)

買掛金

千円

47,709

千円

 

 

 

(損益計算書関係)

 ※1 販売費及び一般管理費

前事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日

販売費に属する費用のおおよその割合は3.6%、一般管理費に属する費用のおおよその割合は96.4%であります。

 

当事業年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日

販売費に属する費用のおおよその割合は3.7%、一般管理費に属する費用のおおよその割合は96.3%であります。

 

主要な費目及び金額は次のとおりであります。

 

前事業年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

当事業年度

(自  2023年10月1日

至  2024年9月30日)

役員報酬

74,700

千円

57,050

千円

給料手当

206,547

千円

159,309

千円

業務委託費

57,515

千円

63,722

千円

賃借料

120,372

千円

62,337

千円

販売促進費

14,735

千円

8,741

千円

支払手数料

68,141

千円

104,207

千円

減価償却費

561

千円

452

千円

貸倒引当金繰入額

316

千円

171

千円

 

 

 

 ※2 関係会社との取引高

 

前事業年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

当事業年度

(自  2023年10月1日

至  2024年9月30日)

営業取引による取引高

 

 

 

 

 売上高

△74

千円

△156

千円

 売上原価

33,051

千円

7,150

千円

販売費及び一般管理費

29,307

千円

29,828

千円

営業取引以外の取引による取引高

288

千円

596

千円

 

 

 ※3 有形固定資産売却益の内容は、次のとおりであります。

 

前事業年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

当事業年度

(自  2023年10月1日

至  2024年9月30日)

工具、器具及び備品

4,007

千円

千円

 

 

 ※4 新株予約権戻入益

新株予約権戻入益の内容は、ストック・オプションの権利失効による戻入益によるものであります。

 

(有価証券関係)

前事業年度(2023年9月30日)

子会社株式及び関連会社株式は、市場価格のない株式等のため、子会社株式及び関連会社株式の時価を記載しておりません。

なお、市場価格のない株式等の子会社株式及び関連会社株式の貸借対照表計上額は次のとおりです。

 

 

区分

前事業年度
(千円)

子会社株式

398,458

関連会社株式

0

398,458

 

 

当事業年度(2024年9月30日)

子会社株式及び関連会社株式は、市場価格のない株式等のため、子会社株式及び関連会社株式の時価を記載しておりません。

なお、市場価格のない株式等の子会社株式及び関連会社株式の貸借対照表計上額は次のとおりです。

 

 

区分

当事業年度
(千円)

子会社株式

172,182

関連会社株式

0

172,182

 

 

 

(税効果会計関係)

1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳

繰延税金資産

 

前事業年度

(2023年9月30日)

当事業年度

(2024年9月30日)

棚卸資産評価損

41,528

千円

75,030

千円

減損損失

22,729

千円

21,957

千円

減価償却費

81,242

千円

48,955

千円

貸倒引当金

199,428

千円

199,166

千円

契約損失引当金

千円

47,358

千円

関係会社株式評価損

528,977

千円

645,572

千円

関係会社社債評価損

18,197

千円

18,197

千円

税務上の繰越欠損金

2,437,498

千円

2,393,723

千円

その他

77,192

千円

72,878

千円

繰延税金資産小計

3,406,796

千円

3,522,838

千円

税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額

△2,437,498

千円

△2,393,723

千円

将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額

△969,297

千円

△1,129,115

千円

評価性引当額小計

△3,406,796

千円

△3,522,838

千円

繰延税金資産合計

千円

千円

 

 

2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との差異の原因となった主な項目別内訳

 前事業年度(2023年9月30日

税引前当期純損失が計上されているため記載しておりません。

 

 当事業年度(2024年9月30日

税引前当期純損失が計上されているため記載しておりません。

 

(収益認識関係)

顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報は、連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)」に同一の内容を記載しているので、注記を省略しております。

 

(重要な後発事象)

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に同一の内容を記載しているため、以下に記載の事項を除き注記を省略しております。

 

(子会社への貸付)

当社は、連結子会社である㈱A-Stageとの間で、2024年11月14日付で金銭消費貸借契約を締結し、2024年11月25日付で貸付を実施しております。

資金使途   仕入れ生産資金、新製品等の開発資金

貸付金額   225,000千円

貸付実行日  2024年11月25日

貸付利率   年利1.0%