第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 1.経営方針

  (1)会社の経営の基本方針

AV関連事業においては、主力製品であるワイヤレステレビチューナー「XIT-AIR120CW」及び「LTE対応 SIMフリーホームルーター PIX-RT100」の安定供給と販売機会の最大化を目指しています。

また、強みであるソフトウェア及びハードウェア開発の技術力を活かし、今回調達した資金を新製品開発に投入します。新興ブランドとして、ウェアラブルIoTデバイス、特にスマートリングを中心に、スキンケア、ヘアケア、オーラルケアなど、健康維持や美容に貢献する製品群を新たに展開する計画です。幅広いプラットフォームに対応できるソフトウェア、ハードウェア開発の技術力と新しい技術トレンドを取り入れ、特徴のある製品、サービスの開発を継続する所存です。

家電事業においては、家電事業の成長と競争力強化に向けて、戦略的な取り組みを推進してまいりました。具体的には、調理家電、季節家電、理美容家電の各分野において、市場ニーズを先取りした革新的な製品開発に注力し、製品ラインナップの拡充を図っております。同時に、SNSを活用した効果的な製品ブランディングやターゲット顧客層に合わせたマーケティング施策を展開し、ブランド価値の向上に努めております。販売面では、自社ブランド製品の販売強化に加え、大手EC事業者向けOEM製品の拡販にも注力し、販売チャネルの多様化を進めております。これらの施策により、市場シェアの拡大、ブランド認知度の向上、安定的な収益基盤の構築、そして新たな顧客層の獲得を目指しております。

さらに、AV関連事業と家電事業の両分野で一貫したブランドイメージを構築し、各事業部門の強みを活かしつつグループ全体としての一貫したストーリーを展開することでシナジー効果の創出を目指します。これにより、グループ全体の認知度と信頼性が高まり、市場での競争優位性が確立されます。これらの施策によって、当社は急速に変化する市場環境に適応しつつ、ブランド価値の向上と顧客基盤の拡大を図ります。

 

  (2)目標とする経営指標

当社グループは、既存事業の効率化では、製品ラインナップの整理、コミュニケーション戦略の強化、製品デザインの改善、Webサイトの充実などを進めています。さらに、当社は新規成長戦略として「ウェルネス・ヘルスケア×Web3」を掲げています。ウェルネス・ヘルスケア市場への新規参入を図り、予防医療、パーソナライズドヘルスケア、メンタルウェルネスに注力し、AIやIoTを活用した革新的な製品・サービスの開発を進めています。同時に、Web3技術を戦略的に活用し、ブロックチェーンによるヘルスケアデータの安全管理、NFTやトークンエコノミーによるユーザーエンゲージメント向上、分散型自律組織(DAO)によるコミュニティ主導のエコシステム構築を目指しています。今後の展望としては、革新的な健康管理プラットフォームの構築、グローバル市場での顧客基盤拡大、データ駆動型の新規ビジネスモデルの確立を通じて、Web3ヘルスケア分野でのリーディングカンパニーを目指しています。当社は、この新戦略を通じて従来のヘルスケア市場の枠を超えた価値創造を実現し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。厳しい経営環境の中でも、迅速かつ大胆な事業構造の転換と持続可能な成長戦略の実行に全力で取り組んでいます。

 

  (3)中長期的な会社の経営戦略

AV関連事業においては、ウェルネス及びヘルスケア関連の新製品開発に本格的に取り組んでおり、ウェアラブルIoTデバイス、スマートリングをリリースしました。引き続きこれまでの技術的な経験を活かし、機能拡充をすすめお客様に魅力的で革新的な製品とサービスを提供することで、新たな価値を創出することを目指しています。

家電事業は、急成長が見込まれる理美容製品市場とオーガニックプロダクト市場に特に注力してまいります。理美容製品分野では、高機能ヘアケア機器やスキンケアデバイスの開発、プロフェッショナル向け美容機器の強化を進めます。オーガニックプロダクト市場では、天然素材を使用した調理家電の開発やエコフレンドリーな製品設計の導入、オーガニック認証取得製品の展開を計画しております。これらの新たな注力分野は、健康志向や環境意識の高まりを背景に急成長している市場であり、当社の技術力と既存の顧客基盤を活かした事業拡大が期待できます。高付加価値製品の投入により利益率の向上を目指すとともに、環境に配慮した製品開発を通じてSDGsへの貢献と長期的な企業価値向上を実現してまいります。

当社は、これらの戦略的取り組みを通じて、家電事業の持続的成長と企業価値の向上に努めてまいります。成長市場への積極的な展開と既存事業の強化により、中長期的な収益拡大を目指してまいりますので、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 2.経営環境及び対処すべき課題

デジタル機器の市場は力強さを欠く状況が続いておりますが、一方で、IoTやAI、ビッグデータなどの技術を活用した革新的な機器やサービスの市場は拡大しつつあります。このような環境において当社グループが対処すべき課題は、以下のとおりであります。

 

①事業の選択と集中

当社は、近年の市場環境の変化に対応し、持続的な成長と収益性の向上を目指して大幅な事業構造の転換を進めています。これまでAV関連事業では、TVチューナー周辺のソフトウェア開発を中心に事業を展開してまいりましたが、最近の「TV離れ」やインターネットによるコンテンツ再配信の影響で、当社のコア技術であるTVチューナー関連のニーズが大きく減少しました。この状況を受けて、製品ラインナップの整理やコミュニケーション戦略、製品デザイン、Webサイトの充実など、様々な施策を講じてきましたが、市場ニーズの減少には抗えず、TVチューナー周辺のソフトウェア開発プロジェクトにおいて選択と集中を実施することとなりました。

今後は、大きな成長が見込まれるウェルネスやヘルスケア関連の製品やサービスに大きくシフトしていく計画です。収益性の低いプロジェクトを廃止することで効率化を進め、収益構造を改善してまいります。特に、当社が強みとするソフトウェアおよびハードウェア開発技術を活かし、新興ブランドとしてウェアラブルIoTデバイス、特にスマートリングを中心に、健康維持や美容に貢献するスキンケア、ヘアケア、オーラルケア製品群を新たに展開する予定です。

家電事業においては、「心地をリデザインする」というコンセプトのもと、ウェルネスブランドとしてリブランディングしたRe・Deと、ミニマリスト向けジェネリック家電として展開しているA-Stageという2つのブランドを中心に事業を進めてきました。今年で5年目を迎えるRe・Deはさらなる成長を目指し、理美容家電分野やオーガニック製品分野への進出を計画しています。

これらの取り組みを通じて、安定的に売上と利益を上げる仕組みづくりを推進し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。投資家の皆様には、この新たな方向性にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

②自社製品ブランドの確立

当社は、AV関連事業および家電事業における競争力強化と持続的成長を目指し、戦略的なブランディングとマーケティング施策を展開しています。これらの取り組みにより、当社製品の市場認知度向上と顧客ロイヤルティの強化を図り、中長期的な企業価値の向上を目指します。

当社の新たな戦略の中心には、ブランドストーリーテリングを活用したマーケティングアプローチがあります。この手法により、単なる製品訴求を超えて、当社の価値観や歴史、使命を包括的に伝えることで、顧客との感情的なつながりを築くことを目指します。具体的には、高度なCRM(顧客関係管理)システムを導入し、顧客データの統合と分析を通じてカスタマーエクイティー(顧客生涯価値)の向上を図ります。顧客の嗜好やニーズを詳細に分析し、それぞれのセグメントに合わせたストーリーテリングを展開することで、既存顧客の維持率向上と顧客単価の増加を実現し、安定的な収益基盤を構築します。

また、従来のメディアに加え、SNSを活用した効果的なプロモーション戦略も展開します。各チャネルの特性を活かしつつ、一貫したブランドストーリーを展開することでブランドイメージの強化と浸透を図ります。ターゲット顧客層に合わせたコンテンツ制作と情報発信によって、費用対効果の高いマーケティングが実現されます。自社Webサイトやアプリなどのオウンドメディアも戦略的に育成し、直接的な顧客接点を増やすことで、当社製品やサービスに関する深い洞察や背景ストーリーを提供し、ブランドへの理解と愛着を深めます。この取り組みにより、マーケティングコストの最適化と顧客データの直接取得が可能になります。

さらに、AV関連事業と家電事業の両分野で一貫したブランドイメージを構築し、各事業部門の強みを活かしつつグループ全体としての一貫したストーリーを展開することでシナジー効果の創出を目指します。これにより、グループ全体の認知度と信頼性が高まり、市場での競争優位性が確立されます。これらの施策によって、当社は急速に変化する市場環境に適応しつつ、ブランド価値の向上と顧客基盤の拡大を図ります。

同時に、高品質な製品開発と革新的な技術の追求も継続し、それらをブランドストーリーの中核に据えることで製品の差別化と競争力強化が実現されます。当社はこれらの取り組みにより売上高の増加、利益率の改善、そして株主価値の向上を実現してまいります。投資家の皆様には、この新たな成長戦略にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

③経営戦略資金の確保

第16回新株予約権につきましては、当連結会計年度において65百万円の新株予約権の行使が行われました。なお、第16回新株予約権につきましては、2023年12月において、残存する全ての当該新株予約権を取得するとともに、取得後直ちに消却しております。

また、当連結会計年度においてEVO FUNDを割当先とする第18回新株予約権及び第19回新株予約権を発行しました。

第18回新株予約権につきましては、当連結会計年度において全ての新株予約権が行使され、8億18百万円調達しております。

第19回新株予約権が権利行使された場合には、4億円の資金調達が可能であります。

また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、第10回無担保普通社債1億50百万円及び第11回無担保普通社債6億円を発行しました。

さらに、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、2024年9月26日付の取締役会決議において、2024年11月22日開催の臨時株主総会に、EVO FUNDを割当予定先とする第20回新株予約権の発行について付議することを決議し、本臨時株主総会で承認可決されました。第20回新株予約権が権利行使された場合には、15億円の資金調達が可能であります。

引き続き、必要に応じて事業資金の確保を図ってまいります。

 

④固定費削減と原価低減コスト削減による収益体質への構造改革

当社は、市場環境の変化に迅速に対応し、持続可能な成長と収益性の向上を実現するため、大規模な事業構造改革を実施いたしました。この改革は、当社の経営資源を成長分野に集中させ、企業価値の最大化を図ることを目的としています。

具体的な施策と成果として、テレビチューナー関連の開発を大幅に縮小し、高い収益性が見込める製品に経営資源を集中させました。これにより、市場ニーズに即した効率的な事業運営が可能となる事業ポートフォリオの最適化を実施いたしました。また、2023年3月末時点で製品事業本部の約60%の人員削減を実施し、さらに2024年7月には当社グループ全従業員の約26%の人員削減を行いました。この施策により、固定費の大幅な削減と組織の効率化を実現、人員体制の適正化を実施いたしました。さらに、2023年6月に大阪本社オフィスから退去し、2024年7月には東京オフィスの移転を実施しました。これにより、オフィス関連コストの削減と働き方改革の推進を同時に達成し、オフィス戦略の見直しを実施いたしました。

これらの構造改革により、当社の月々の固定費は大幅に削減され、収益構造が大きく改善されました。その結果、より機動的かつ効率的な経営体制が構築され、黒字転換への道筋が明確になりました。

さらに、この構造改革を基盤として、当社は新たな成長分野の開拓に着手しています。市場動向や技術トレンドを見据え、高い成長性と収益性が期待できる分野に経営資源を集中投下することで、中長期的な企業価値の向上を目指します。

具体的には、IoTとAIを活用したスマートホーム製品の開発、ヘルスケア・ウェルネス関連デバイスの展開、サブスクリプションモデルを活用したサービス事業の強化に注力してまいります。

これらの新規事業は、当社の既存技術と新たに獲得する技術を融合させることで、独自の競争優位性を確立することを目指しています。

投資家の皆様におかれましては、この大規模な構造改革と新規成長戦略が、当社の持続的な成長と企業価値向上につながるものと確信しております。今後も市場環境の変化に迅速に対応し、効率的な経営を推進することで、株主価値の最大化に努めてまいります。引き続きのご支援とご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、当社及び連結子会社においてサステナビリティに関する取り組みを進めております。本項目では、当社グループのサステナビリティに関する取り組みの中でも重要性の高い取り組みについて記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 当社グループは「社会・環境と調和する自律した個の力を結集し、次世代スタンダードとなる新価値を創出する」という経営理念を基に事業活動を継続してまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社のコーポレート・ガバナンス体制は、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要に記載の通りであります。サステナビリティへの取り組みについても、この体制の下で管理・運営しております。

 

(2)戦略

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループは経営理念に基づいた人材の育成や多様な人材が活躍できる組織を目指しております。事業が持続的に成長していくために、多様な視点や考え方を取り入れ、性別、国籍、キャリア採用問わず多様な人材活用を推進してまいります。

また、コロナ禍を契機に全部門へ導入したリモートワークを併用しつつ、リアルコミュニケーションによる関係強化・活性化を図り、仕事と生活の調和を図り働きやすい環境整備を実施しております。

 

(3)リスク管理

当社は、事業運営に関する様々なリスクに対して的確に対応するため、リスク管理基本規程を定めております。経営に重大な影響を与えるリスクについては、経営計画の策定および重要な意思決定にあたり各部門が把握・評価し、取締役会および常務会において審議または報告を行っております。具体的には、リスク管理基本規程に従い各部門は、年1回定期的にリスクを把握・評価し、リスク対策の状況を管理部門に報告するとともに、リスク対策を反映した業務計画を策定し、業務を遂行しております。

 

(4)指標及び目標

当社の経営理念に基づいた人材の育成や多様な人材が活躍できる組織を目指しておりますが、現在のところ具体的な指標及び目標を設定しておりませんが、今後も、継続して環境整備をはじめとした取り組みを推進してまいります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業活動におけるリスク

①当社グループ製品の需要変動について

当社グループが属するパソコン周辺機器、デジタルAV家電、モバイル機器等のデジタル機器市場は需給変動の大きい市場であるため、その増減により当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。当社グループでは、市場動向を注視しながら開発資源の振り分けを行い、需給の変動に合わせて外部への生産委託を調整することにより、急激な変動への対応と余剰在庫の発生を抑制するよう対策を講じておりますが、事業環境の急激な変化により当社グループ製品の需要が予測を大幅に下回る事態となった場合には、手配した人員、資材、製品等が余剰となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

②OEM(相手先ブランドによる生産)による販売について

当社グループ製品の一部はOEMによる販売を行っております。OEM供給先である顧客企業が、当社グループ製品と同様の機能を持つハードウエア、ソフトウエアを自社開発し、内製化に踏み切った場合、当社グループ製品に対する需要減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③OS(オペレーティングシステム;基本ソフトウエア)の開発動向について

当社グループは、様々なOSへの対応を図っておりますが、そのOS市場の大部分を掌握する米国マイクロソフト社、米国アップル社及び米国グーグル社が、OSに当社グループの製品群と同様の機能を標準搭載した場合は市場を失う可能性があり、これらOSの開発動向によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④競合について
 1) 価格競争について

デジタル機器市場は、世界中の大小様々な企業が参入する競争の激しい市場であるため、常に販売価格の低下リスクにさらされております。当社グループは原価低減や高付加価値化を図っておりますが、これらを上回る市場からの価格低下圧力、OEM供給先である顧客企業からのコストダウン要求等により、十分に利益を確保できる価格設定が困難となった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 2) 技術革新について

デジタル機器は、急速な技術革新及び競合先による新製品の投入等により、製品のライフサイクルは非常に短くなっております。また、国際的な大企業から優れた技術を有する中小企業まで様々なタイプの企業と競合しております。当社グループにおいては、積極的な先行投資により新技術の習得に努めておりますが、投資を競合他社と同程度、適時に実施できなかったことにより新技術及び新製品開発への対応が遅れた場合は、当社グループの技術及び製品が陳腐化し、競争力の低下を招く可能性があります。

特にデジタル放送関連の技術につきましては、当社グループは日本の規格に準拠したデジタルテレビ放送受信のための技術、ノウハウ、人材等を蓄積しており、今後も競争の上で優位になると考えております。しかしながら、この分野は高い成長が見込まれると同時に競争の激化も予想され、競合製品に対する当社グループの対応によっては優位性を失い、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑤開発投資について

デジタル機器市場において、将来にわたって売上高を維持・拡大していくためには、急速な技術革新への対応及び消費者のニーズに適応した新製品の開発が不可欠であるため、積極的かつ多大な開発投資を必要とします。このため、市場動向の変化や当社グループの技術を代替し得る技術革新が予測を超えて起こった場合は、期待していた製品需要が見込めず製品化できない、売上が予測から大きく乖離する、開発期間が長期化する等の理由により開発費用を十分回収できず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑥製造について
 1) 原材料等の調達について

当社グループの製造にとって、十分な品質の原材料等を適時に必要量を入手することは不可欠であり、信頼のおける仕入先を選定し、部品の共通化及び取引単位の引き上げ等の対策を講じております。

しかしながら、これらの対策にも関わらず、供給が中断・悪化した場合や需給環境の変化などにより原材料等が高騰した場合は、原材料等によっては特定の業者しか供給できないものもあり、当社グループの生産や原価に影響を与える可能性があります。

 2) 製造委託について

当社グループは、経営資源を技術開発をはじめとする事業投資に集中させるため、製造業務は生産能力・生産品質を考慮して選定した国内外の製造会社に委託しております。製造委託先との間では、長期納入契約は締結しておりませんが、当社グループ製品は製造委託先の特殊な製造技術に基づくものではなく一般的な製造技術で製造が可能であり、また、製造に必要な技術及びノウハウは全て当社で管理しているため、万が一、製造委託先の倒産等の重大な問題が発生するなど特定の製造委託先への生産委託が不可能となった場合においても、他の製造会社への移管は可能であると考えております。

しかしながら、代替委託先を受け入れ可能な条件で迅速に手当できない、あるいは移管完了までに長期間を要した場合等には、当社グループの生産に大きな影響を与える可能性があります。

また、海外の製造委託先については、当該国における政治・経済・社会的要因により、当社グループの生産に影響を与える可能性があります。

 3) 為替変動リスクについて

当社グループの製品の一部は、海外の製造委託先より製品を米ドル建てで仕入れ、全量を国内にて販売しております。当社グループでは売上代金の一部をドル建てにするなど、為替レート変動の影響の軽減に努めておりますが、急激な為替変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) コンプライアンスによるリスク

①知的所有権について

当社グループでは、社内のチェック体制の強化により他社の知的所有権を侵害しないように努めております。自社開発、受託開発を問わず当社グループが開発・販売する製品及びプログラムに関し、万一、他社の所有する知的所有権(発明、考案、意匠、著作物、標章、ノウハウ、技術情報等)の侵害の事実が認定された場合には、当社グループにとって重要な技術を利用できない、当該侵害に対する損害賠償責任、特許使用料の支払等により、当社グループの開発や業績に大きな影響を与える可能性があります。

また、当社グループが注力するデジタルテレビ放送技術においては、放送規格、画像・音声の符号化/復号化技術規格、著作権保護規格等の業界の標準規格があり、その規格に準拠した場合は特許の使用料を支払っております。

一方、当社グループにおいては、自社技術に係る知的所有権の取得を積極的に推進しておりますが、今後、他社から当該権利を侵害される事態が発生した場合、係争事件への発展も含め当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループの知的所有権が第三者により無効とされる、特定の地域では十分な保護が得られない、あるいは知的財産権の対象が模倣される可能性もあり、知的財産権が完全に保護されないことによって当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

②製品の不具合・欠陥の発生について

当社グループは、品質管理基準に基づき、開発段階から出荷に至る全ての段階で製品の品質向上に最善の努力をしております。しかしながら、近年の製品に用いられる技術の高度化、他社製品との組み合わせ、顧客における製品の使用方法の多様化等により、製品の品質・信頼性の問題に起因する事故、市場回収、生産停止等が生じる可能性があります。この場合、生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任や製品の返品や修理など多大な対策費用が発生し、当社グループの業績に大きく影響を与える可能性があります。また、当該問題に関する報道により、当社グループの市場評価の低下、社会的信用の失墜、顧客の流出等を惹起し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③情報セキュリティについて

当社グループは、事業の過程で、個人情報や他企業等の機密情報を入手することがあります。これらの情報が誤ってまたは避けられない理由で外部に流出した場合には、被害者に対する賠償責任の発生や、当社グループの市場評価の低下、社会的信用の失墜、顧客の流出等を惹起し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループの機密情報が第三者等の行為により不正、過失により流出する危険もあり、その結果、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。

 

(3) その他のリスク

①将来の見通し等の未達リスク

当社グループが参入するデジタル機器市場、家電市場は、技術革新・高度化の加速が早く、かつ近年その競争は激化しております。また、新規参入する新事業分野におきましては、基礎研究開発段階からの開発となっております。そのため、いずれの市場、分野も、事業環境の変化や、その他本項に記載される様々な要因等により、公表しておりますすべての目標の達成、あるいは期待される成果の実現に至らない可能性があります。

②関係会社の業績・財政状態

当社は、子会社2社及び関連会社1社の株式を保有しており、うち子会社1社及び関連会社1社は債務超過状態であるため、関係会社の業績・財政状態が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社グループは、当連結会計年度において、7期連続で営業損失を計上していること及び11期連続で営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当社グループでは、当該状況を解消するため、以下の施策を実施しております。

 

①事業の選択と集中

 当社は、近年の市場環境の変化に対応し、持続的な成長と収益性の向上を目指して大幅な事業構造の転換を進めています。これまでAV関連事業では、TVチューナー周辺のソフトウェア開発を中心に事業を展開してまいりましたが、最近の「TV離れ」やインターネットによるコンテンツ再配信の影響で、当社のコア技術であるTVチューナー関連のニーズが大きく減少しました。この状況を受けて、製品ラインナップの整理やコミュニケーション戦略、製品デザイン、Webサイトの充実など、様々な施策を講じてきましたが、市場ニーズの減少には抗えず、TVチューナー周辺のソフトウェア開発プロジェクトにおいて選択と集中を実施することとなりました。

 今後は、大きな成長が見込まれるウェルネスやヘルスケア関連の製品やサービスに大きくシフトしていく計画です。収益性の低いプロジェクトを廃止することで効率化を進め、収益構造を改善してまいります。特に、当社が強みとするソフトウェアおよびハードウェア開発技術を活かし、新興ブランドとしてウェアラブルIoTデバイス、特にスマートリングを中心に、健康維持や美容に貢献するスキンケア、ヘアケア、オーラルケア製品群を新たに展開する予定です。

 家電事業においては、「心地をリデザインする」というコンセプトのもと、ウェルネスブランドとしてリブランディングしたRe・Deと、ミニマリスト向けジェネリック家電として展開しているA-Stageという2つのブランドを中心に事業を進めてきました。今年で5年目を迎えるRe・Deはさらなる成長を目指し、理美容家電分野やオーガニック製品分野への進出を計画しています。

 これらの取り組みを通じて、安定的に売上と利益を上げる仕組みづくりを推進し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

②自社製品ブランドの確立

 当社は、AV関連事業および家電事業における競争力強化と持続的成長を目指し、戦略的なブランディングとマーケティング施策を展開しています。これらの取り組みにより、当社製品の市場認知度向上と顧客ロイヤルティの強化を図り、中長期的な企業価値の向上を目指します。

 当社の新たな戦略の中心には、ブランドストーリーテリングを活用したマーケティングアプローチがあります。この手法により、単なる製品訴求を超えて、当社の価値観や歴史、使命を包括的に伝えることで、顧客との感情的なつながりを築くことを目指します。具体的には、高度なCRM(顧客関係管理)システムを導入し、顧客データの統合と分析を通じてカスタマーエクイティー(顧客生涯価値)の向上を図ります。顧客の嗜好やニーズを詳細に分析し、それぞれのセグメントに合わせたストーリーテリングを展開することで、既存顧客の維持率向上と顧客単価の増加を実現し、安定的な収益基盤を構築します。

 また、従来のメディアに加え、SNSを活用した効果的なプロモーション戦略も展開します。各チャネルの特性を活かしつつ、一貫したブランドストーリーを展開することでブランドイメージの強化と浸透を図ります。ターゲット顧客層に合わせたコンテンツ制作と情報発信によって、費用対効果の高いマーケティングが実現されます。自社Webサイトやアプリなどのオウンドメディアも戦略的に育成し、直接的な顧客接点を増やすことで、当社製品やサービスに関する深い洞察や背景ストーリーを提供し、ブランドへの理解と愛着を深めます。この取り組みにより、マーケティングコストの最適化と顧客データの直接取得が可能になります。

 さらに、AV関連事業と家電事業の両分野で一貫したブランドイメージを構築し、各事業部門の強みを活かしつつグループ全体としての一貫したストーリーを展開することでシナジー効果の創出を目指します。これにより、グループ全体の認知度と信頼性が高まり、市場での競争優位性が確立されます。これらの施策によって、当社は急速に変化する市場環境に適応しつつ、ブランド価値の向上と顧客基盤の拡大を図ります。

 同時に、高品質な製品開発と革新的な技術の追求も継続し、それらをブランドストーリーの中核に据えることで製品の差別化と競争力強化が実現されます。当社はこれらの取り組みにより売上高の増加、利益率の改善、そして株主価値の向上を実現してまいります。

③経営戦略資金の確保
 第16回新株予約権につきましては、当連結会計年度において65百万円の新株予約権の行使が行われました。なお、第16回新株予約権につきましては、2023年12月において、残存する全ての当該新株予約権を取得するとともに、取得後直ちに消却しております。

 また、当連結会計年度においてEVO FUNDを割当先とする第18回新株予約権及び第19回新株予約権を発行しました。

 第18回新株予約権につきましては、当連結会計年度において全ての新株予約権が行使され、8億18百万円調達しております。

 第19回新株予約権が権利行使された場合には、4億円の資金調達が可能であります。

 また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、第10回無担保普通社債1億50百万円及び第11回無担保普通社債6億円を発行しました。

 さらに、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおり、2024年9月26日付の取締役会決議において、2024年11月22日開催の臨時株主総会に、EVO FUNDを割当予定先とする第20回新株予約権の発行について付議することを決議し、本臨時株主総会で承認可決されました。第20回新株予約権が権利行使された場合には、15億円の資金調達が可能であります。

 引き続き、必要に応じて事業資金の確保を図ってまいります。

 

④固定費削減と原価低減コスト削減による収益体質への構造改革
 当社は、市場環境の変化に迅速に対応し、持続可能な成長と収益性の向上を実現するため、大規模な事業構造改革を実施いたしました。この改革は、当社の経営資源を成長分野に集中させ、企業価値の最大化を図ることを目的としています。

 具体的な施策と成果として、テレビチューナー関連の開発を大幅に縮小し、高い収益性が見込める製品に経営資源を集中させました。これにより、市場ニーズに即した効率的な事業運営が可能となる事業ポートフォリオの最適化を実施いたしました。また、2023年3月末時点で製品事業本部の約60%の人員削減を実施し、さらに2024年7月には当社グループ全従業員の約26%の人員削減を行いました。この施策により、固定費の大幅な削減と組織の効率化を実現、人員体制の適正化を実施いたしました。さらに、2023年6月に大阪本社オフィスから退去し、2024年7月には東京オフィスの移転を実施しました。これにより、オフィス関連コストの削減と働き方改革の推進を同時に達成し、オフィス戦略の見直しを実施いたしました。

 これらの構造改革により、当社の月々の固定費は大幅に削減され、収益構造が大きく改善されました。その結果、より機動的かつ効率的な経営体制が構築され、黒字転換への道筋が明確になりました。

 さらに、この構造改革を基盤として、当社は新たな成長分野の開拓に着手しています。市場動向や技術トレンドを見据え、高い成長性と収益性が期待できる分野に経営資源を集中投下することで、中長期的な企業価値の向上を目指します。

 具体的には、IoTとAIを活用したスマートホーム製品の開発、ヘルスケア・ウェルネス関連デバイスの展開、サブスクリプションモデルを活用したサービス事業の強化に注力してまいります。

 これらの新規事業は、当社の既存技術と新たに獲得する技術を融合させることで、独自の競争優位性を確立することを目指しています。

 

しかしながら、これらの施策を実施してもなお、新株予約権の行使状況及び今後の経済情勢等により収益が計画どおり改善しない可能性があり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループの2024年9月期連結会計年度においては、厳しい経営環境に直面しましたが、新たな成長戦略を策定し、事業構造の転換を進めています。現在、当社はグローバルな環境変化、既存事業の苦戦、およびコスト面の圧力という主要な課題に直面しています。具体的には、ウクライナ情勢の長期化による資源・原料供給網の弱体化、円安の進行、世界的な半導体部品の供給不足といったグローバルな問題に加え、AV・家電製品需要の減退やテレビ市場縮小によるコア技術の需要低下など、既存事業の苦戦が顕著となっています。さらに、原材料価格、光熱費、物流コストの急激な上昇がコスト面での圧力となっています。これらの課題に対応するため、当社は構造改革に取り組んでいます。コスト削減策として、テレビチューナー周辺技術開発の大幅縮小や東京支社移転による固定費削減を実施しました。既存事業の効率化では、製品ラインナップの整理、コミュニケーション戦略の強化、製品デザインの改善、Webサイトの充実などを進めています。さらに、当社は新規成長戦略として「ウェルネス・ヘルスケア×Web3」を掲げています。ウェルネス・ヘルスケア市場への新規参入を図り、予防医療、パーソナライズドヘルスケア、メンタルウェルネスに注力し、AIやIoTを活用した革新的な製品・サービスの開発を進めています。同時に、Web3技術を戦略的に活用し、ブロックチェーンによるヘルスケアデータの安全管理、NFTやトークンエコノミーによるユーザーエンゲージメント向上、分散型自律組織(DAO)によるコミュニティ主導のエコシステム構築を目指しています。今後の展望としては、革新的な健康管理プラットフォームの構築、グローバル市場での顧客基盤拡大、データ駆動型の新規ビジネスモデルの確立を通じて、Web3ヘルスケア分野でのリーディングカンパニーを目指しています。当社は、この新戦略を通じて従来のヘルスケア市場の枠を超えた価値創造を実現し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。厳しい経営環境の中でも、迅速かつ大胆な事業構造の転換と持続可能な成長戦略の実行に全力で取り組んでいます。

AV関連事業においては、ウェルネス及びヘルスケア関連の新製品開発に本格的に取り組んでおり、ウェアラブルIoTデバイス、スマートリングをリリースしました。引き続きこれまでの技術的な経験を活かし、機能拡充をすすめお客様に魅力的で革新的な製品とサービスを提供することで、新たな価値を創出することを目指しています。

また、家電事業においては、家電事業の成長と競争力強化に向けて、戦略的な取り組みを推進してまいりました。具体的には、調理家電、季節家電、理美容家電の各分野において、市場ニーズを先取りした革新的な製品開発に注力し、製品ラインナップの拡充を図っております。同時に、SNSを活用した効果的な製品ブランディングやターゲット顧客層に合わせたマーケティング施策を展開し、ブランド価値の向上に努めております。販売面では、自社ブランド製品の販売強化に加え、大手EC事業者向けOEM製品の拡販にも注力し、販売チャネルの多様化を進めております。これらの施策により、市場シェアの拡大、ブランド認知度の向上、安定的な収益基盤の構築、そして新たな顧客層の獲得を目指しております。

今後の成長戦略として、急成長が見込まれる理美容製品市場とオーガニックプロダクト市場に特に注力してまいります。理美容製品分野では、高機能ヘアケア機器やスキンケアデバイスの開発、プロフェッショナル向け美容機器の強化を進めます。オーガニックプロダクト市場では、天然素材を使用した調理家電の開発やエコフレンドリーな製品設計の導入、オーガニック認証取得製品の展開を計画しております。これらの新たな注力分野は、健康志向や環境意識の高まりを背景に急成長している市場であり、当社の技術力と既存の顧客基盤を活かした事業拡大が期待できます。高付加価値製品の投入により利益率の向上を目指すとともに、環境に配慮した製品開発を通じてSDGsへの貢献と長期的な企業価値向上を実現してまいります。

当社は、これらの戦略的取り組みを通じて、家電事業の持続的成長と企業価値の向上に努めてまいります。成長市場への積極的な展開と既存事業の強化により、中長期的な収益拡大を目指してまいりますので、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

これらの結果、売上高は11億63百万円(前期比19.8%減)、営業損失は8億46百万円(前期は12億38百万円の営業損失)、経常損失は8億46百万円(前期は12億51百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は12億2百万円(前期は14億13百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

〔AV関連事業〕

ホームAV関連製品に関しましては、新SoC用新4K衛星放送対応TVスタックソフトウェアのターンキーソリューションの家電メーカーでの採用は継続していますが、そのロイヤリティの売上高が68百万円(前期比105%増)となりました。Xit-AirBoxは前期を上回りましたが、Xit-Stickは、前期より引き続き低調に推移し、売上高はそれぞれ1億96百万円(前期比6.9%増)、22百万円(前期比48.7%減)となりました。EWBS対応の海外向けSTBは新規引き合いが継続的にあるものの受注前の段階であり、売上高はゼロとなりました。また、業務ブランド「BIZmode」と「BIZmode」を元に開発したサイネージ事業ブランド「pipico」でのAndroid TV搭載の4Kスマートチューナー、4K衛星放送対応スマートテレビの受注およびソフトウェアロイヤリティは低調に推移し、3百万円(前期比90.4%減)となりました。その他として発売済みSTBの追加販売およびソフトウェアの有償保守費用等で12百万円(前期比70.8%減)の売上高があり、その結果、売上高は3億3百万円(前期比10.6%減)となりました。

IoT関連製品に関しましては、LTEドングルMT100シリーズは、売上高が92百万円(前期比9.2%増)となり、4GLTEルーターの売上高は1億14百万円(前期比77.4%増)となりました。その他、修理費などで売上高は30百万円(前期比47.2%増)となりました。その結果、売上高は2億37百万円(前期比39.6%増)となりました。

パソコン向けテレビキャプチャーをはじめとするテレビキャプチャー関連製品に関しましては、全体で売上高は1億55百万円(前期比27.1%減)となりました。

そのほかに、カメラバンドルソフトの保守等のその他売上高が6百万円(前期比53.3%減)となりました。

以上の結果、当事業の売上高は7億2百万円(前期比4.5%減)、セグメント損失(営業損失)は35百万円(前期はセグメント損失2億65百万円)となりました。

 

〔家電事業〕

家電事業におきましては、Re・Deブランド、A-Stageブランド共に地上波テレビ放送や雑誌等の各種メディアで大きく取り上げられ、市場での認知度を大幅に拡大いたしました。特にRe・Deブランドは、家電事業全体の売上高に対し、売上構成比は40.7%(前期は34.9%)を占める主力製品群へと成長しております。

Re・Deブランド第三弾の新製品Re・De Hairdryを2022年12月より販売を開始し、Re・De Kettle、Re・De Potと共に販売開始からSNSを中心に順調に認知を拡大しました。

ヘアドライヤーの売上高は70百万円(前期比12.4%増)、電気ケトルの売上高は21百万円(前期比44.7%減)、電気圧力鍋の売上高は94百万円(前期比36.3%減)、新規参入のゴミ箱、Re・De Binの売上高は1百万円(前期ゼロ)となりました。

A-Stageブランドの製品群につきましては、黒物家電の防災ワンセグラジオの売上高が増加した一方、洗濯機等の生活家電の売上高は大幅に減少となりました。

カテゴリ別の売上高としては、冷蔵庫や冷凍庫等の白物家電は売上高1億92百万円(前期比36.3%減)、Re・Deブランド、A-Stageブランドを合わせた調理家電は売上高1億34百万円(前期比41.6%減)、4K関連製品や液晶TV等の黒物家電は売上高27百万円(前期比42.4%減)、生活家電は売上高31百万円(前期比51.3%減)、理美容家電等その他売上高76百万円(前期比5.4%増)となりました。

全体として、前年度と比較して売上高は減少、損失もわずかに減少し、Re・Deブランドの売上構成比増加や、ヘアドライヤー、理美容家電カテゴリの成長など、一部製品群では好調な結果を示しております。今後は以下の戦略に注力し、業績回復と成長を目指してまいります。

1. Re・Deブランドのさらなる強化と新製品開発

2. 高成長を示している理美容家電カテゴリの拡充

3. SNSマーケティングの強化による費用対効果の高い販促活動

4. 低調カテゴリの製品ラインナップ見直しと効率化

これらの施策を通じて、市場環境の変化に適応しつつ、持続的な成長と収益性の改善を図ってまいります。引き続き、株主の皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

以上の結果、当事業の売上高は4億60百万円(前期比35.6%減)、セグメント損失(営業損失)は3億42百万円(前期はセグメント損失3億61百万円)となりました。

 

(注) 各セグメントのセグメント損失(営業損失)は、各セグメントに配分していない全社費用4億68百万円(前期比23.3%減)を配分する前の金額であります。

 

当社グループの当連結会計年度末の財政状態については次のとおりであります。

(流動資産)
 当連結会計年度末における流動資産の残高は5億78百万円で、前連結会計年度末に比べ3億1百万円減少いたしました。これは主に、前渡金が57百万円、未収入金が57百万円、現金及び預金が50百万円増加したものの、商品及び製品が2億22百万円、原材料及び貯蔵品が1億35百万円、売掛金が48百万円減少したことなどによるものであります。
(固定資産)
 当連結会計年度末における固定資産の残高は31百万円で、前連結会計年度末に比べ55百万円減少いたしました。これは主に、敷金が47百万円減少したことなどによるものであります。
(繰延資産)
 当連結会計年度末における繰延資産の残高は8百万円で、前連結会計年度末に比べ4百万円減少いたしました。これは主に、新株予約権発行費が3百万円減少したことなどによるものであります。
(流動負債)
 当連結会計年度末における流動負債の残高は3億45百万円で、前連結会計年度末に比べ87百万円減少いたしました。これは主に、契約損失引当金が95百万円、未払金が25百万円、契約負債が23百万円増加したものの、1年内償還予定の社債が1億15百万円、支払手形及び買掛金が85百万円、未払法人税等が26百万円減少したことなどによるものであります。
(固定負債)
 当連結会計年度末における固定負債の残高は73百万円で、前連結会計年度末に比べ54百万円増加いたしました。これは主に、契約損失引当金が59百万円増加したことなどによるものであります。

(純資産)
 当連結会計年度末における純資産の残高は2億円で、前連結会計年度末に比べ3億28百万円減少いたしました。これは主に新株発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ4億41百万円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失を12億2百万円計上したことなどによるものであります。なお、2023年12月28日開催の第42期定時株主総会決議により、2024年2月28日付で資本金及び資本準備金の額の減少及び剰余金の処分による欠損填補を実施し、資本金が57億33百万円減少、資本剰余金が39億91百万円減少、繰越利益剰余金が97億24百万円増加しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ50百万円増加し、94百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、6億55百万円(前期は10億17百万円の使用)となりました。これは、主に、棚卸資産評価損2億32百万円の計上、契約損失引当金の計上1億54百万円、棚卸資産の減少1億26百万円、売上債権の減少76百万円、減損損失68百万円があったものの、税金等調整前当期純損失11億98百万円の計上、仕入債務の減少85百万円があったことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、43百万円(前期は20百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出46百万円があったことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、7億50百万円(前期は7億13百万円の獲得)となりました。これは主に、社債の償還による支出2億65百万円があったものの、新株予約権の行使による株式の発行による収入8億78百万円、社債の発行による収入1億50百万円があったことなどによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

AV関連事業

468,688

69.4

家電事業

227,363

48.6

合計

696,052

60.9

 

(注)当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。

  AV関連事業においては、ソフトウエア資産の大部分が前連結会計年度において償却完了したこと、及び構造改革に伴い諸経費が大幅に減少したことによるものであります。

  家電事業においては、受注・販売の実績推移を踏まえた上で生産内容の選択と集中を実施し、生産を売上よりも利益を得やすい製品に絞り込んだこと、また円安による製品原価の上昇もあり、生産実績が大きく減少いたしました

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

AV関連事業

715,481

103.1

43,806

143.2

家電事業

462,132

67.2

36,868

103.6

合計

1,177,614

85.2

80,674

121.9

 

(注)1.各セグメント事業の自社ブランド製品のうち、受注予測に基づく見込生産によっているものについては、上記受注実績には

    含めておりません。

  2.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは主に家電事業において、生産実績と同様に選択と集    中を進めた結果、製品構成が絞られた事によるものであります。売上よりも利益を得やすい製品構成となるよう改革を推し進めております。また、受注残高は前期比で増加となり底を打った兆しが見えている事からも、売上と利益の両方を伸ばしていく下地ができつつある状況にあります。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

AV関連事業

702,270

95.5

家電事業

460,865

64.4

合計

1,163,136

80.2

 

 (注)1.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主に家電事業において、生産実績、受注実績と同様に選択と集中を進めた結果、製品構成が絞られた事によるもの、及び売上よりも利益に重点を置いた営業活動を推し進めている事から、テレビなどの製品の取り扱いは一部終了するなど販売製品の変更があったことによるものであります。

   2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

TD SYNNEX㈱

227,895

15.7

257,126

22.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

(売上高及び売上総利益)

売上高は、11億63百万円(前期比19.8%減)となりました。

これは主に、家電事業における白物家電製品及び調理家電製品の売上高の減少によるものです。また、売上総利益率は19.8%で売上総利益は2億30百万円(同70.3%増)となりました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、10億77百万円(前期比21.6%減)となりました。

主な内訳は、人件費(役員報酬・給料手当)3億58百万円(同18.1%減)、業務委託費1億29百万円(同8.7%増)、運送費74百万円(同21.8%減)、賃借料70百万円(同45.1%減)、研究開発費68百万円(同42.6%減)、販売促進費45百万円(同55.7%減)です。

 

(営業損益)

当連結会計年度における営業損失は8億46百万円(前連結会計年度は12億38百万円の営業損失)となりました。

これは主に売上総利益の増加や販売費及び一般管理費が減少したことによるものであります。

(経常損益)

当連結会計年度における経常損失は8億46百万円(前連結会計年度は12億51百万円の経常損失)となりました。主な営業外費用は、新株予約権発行費償却6百万円(前期比56.1%減)、株式交付費償却5百万円(同11.4%減)であります。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

税金等調整前当期純損失は11億98百万円(前連結会計年度は14億8百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。主な特別損失は、契約損失引当金繰入額1億54百万円(前期ゼロ)、棚卸資産評価損1億10百万円(前期ゼロ)、減損損失68百万円(前期比184.0%増)、構造改革費用17百万円(前期比67.6%減)であります。

法人税、住民税及び事業税を差し引いた親会社株主に帰属する当期純損失は12億2百万円(前連結会計年度は14億13百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料の購入、人件費、外注加工費などの製造費用、営業費用や研究開発費、本社費用などの販売費及び一般管理費と設備投資資金です。
 これらの資金は自己資金、社債及び新株の発行などによる調達を基本としております。
 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があることから、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、これまでに培ったソフトウエアとハードウエアの技術と人材を有効に活用し、ウェルネスやヘルスケアに関連する製品やサービスといった新たな製品群の創出のための研究開発に注力しております。ウェルネス関連製品に限らず、これまで販売してきているチューナー関連製品から得られるデータや、Healthcare to EarnやWatch to EarnなどのWeb3技術を活用し応用するサービスの研究開発も進めてまいります。

当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発活動の概要は、以下のとおりであります。

 

(AV関連事業)

ウェルネスやヘルスケアに関連する新製品を今後も継続して投入するに当たり、試作・検証を進めております。また、それら製品から入手できるデータを活用し、特徴のある機能を開発するための研究開発活動を行っております。

さらに、ウェルネス関連製品に限らず、これまでに販売したチューナー関連製品からも取得できるデータを活用し、Web3技術を応用したサービスへ展開するための研究開発をスタートしております。

なお、2024年9月期末現在の従業員36名のうち、研究開発スタッフは22名であり、当連結会計年度における研究開発費の総額は62百万円となっております。

 

(家電事業)

当連結会計年度の研究開発では、都市型ライフスタイルと健康志向の高まりを受け、プレミアムでコンパクトな家電を実現するための設計を進めてきました。市場調査やユーザーニーズの分析をもとに、試作品のデザイン、色味、機能性を細部に至るまで検証し、必要に応じて仕様を調整することで、最高のユーザー体験を提供できる製品を完成させました。

また、操作性を革新する2つのダイヤル設計を採用し、直感的かつ簡単に操作できる製品を開発しました。これにより、忙しい現代のライフスタイルに適応しながらも使いやすさを追求しています。さらに、省エネルギー設計やリサイクル素材の採用など、環境負荷の軽減にも取り組み、サステナブルな製品づくりを推進しています。

当連結会計年度における研究開発費の総額は5百万円となっております。