1 【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名 称 株式会社 RS Technologies

所在地 東京都品川区大井一丁目47番1号

 

2 【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1) 意見の内容

当社は、2024年5月31日開催の取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様のご判断に委ねる旨を決議いたしました。

なお、当社は、下記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした取引(本公開買付けを含み、以下「本取引」といいます。)が当社グループ(持株会社である当社並びに当社の連結子会社をいいます。以下同じとします。)の中長期的な企業価値の向上に資するものであると判断し、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明しております。他方で、本公開買付けの買付け等の価格である825円は、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の現在の市場価格に対するプレミアムが支配関係のない会社同士かつ完全子会社化を目的とした公開買付けの他の同種事例と比べても遜色ないプレミアム水準が確保されていると考えており、当社の一般株主に直近の市場株価に比較して大幅に有利な投資回収機会を提供する観点では一定の合理性があると評価できるものの、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、当社の特別委員会より、本公開買付価格は、本公開買付けにおいて当社取締役会が応募推奨意見を述べるべき水準にまでは至らないと考える旨の見解を含む答申書を受領していることから、当社取締役会では、特別委員会の当該見解を最大限尊重して、株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することはせず、本公開買付けに応募するか否かは当社の株主の皆様のご判断に委ねることとしております。

なお、上記取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑦ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。

 

(2) 意見の根拠及び理由

以下の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

 

① 本公開買付けの概要

公開買付者は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第370条及び公開買付者定款の規定に基づく取締役会の決議に替わる2024年5月31日付の書面決議により、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。以下同じです。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とする本取引の一環として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者は当社株式を所有していないとのことです。

 

公開買付者は、本公開買付けにおいて12,098,600株(所有割合(注):66.67%)を買付予定数の下限として設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(12,098,600株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、公開買付者は、本公開買付けにおいて当社株式の全てを取得することにより、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としていることから、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限(12,098,600株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。なお、買付予定数の下限(12,098,600株)は、当社が2024年5月7日に公表した「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2024年3月31日現在の発行済株式総数(22,806,900株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(4,659,041株)を控除した株式数(18,147,859株)に係る議決権の数(181,478個)に3分の2を乗じた数(120,986個、小数点以下を切り上げ)に当社の単元株式数(100株)を乗じた株式数(12,098,600株)としたとのことです。これは、公開買付者が、本取引において、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者が当社の総株主の総議決権数の3分の2以上を所有することで、当該要件を満たすことができるように設定したものであるとのことです。

 

(注) 「所有割合」とは、当社決算短信に記載された2024年3月31日現在の当社の発行済株式総数(22,806,900株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(4,659,041株)を控除した株式数(18,147,859株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入)をいいます。以下、所有割合の計算において同じとします。

 

公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより当社株式の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者のみとし、当社を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施する予定とのことです。

 

公開買付者は、本公開買付けに係る決済等に要する資金を、自己資金並びに株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)及び株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)からの借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。本銀行融資に係る融資条件の詳細は、三菱UFJ銀行及び三井住友銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定める予定とのことです。

 

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

公開買付者は、世界の半導体メーカーに1984年1月からサービスを提供してきたラサ工業株式会社よりシリコンウェーハ(注1、2)再生事業の資産を承継して、2010年12月に発足したとのことです。2015年3月には東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場し、その後2016年9月に東京証券取引所市場第一部へ市場変更、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、市場第一部からプライム市場へ移行したとのことです。

本書提出日現在、公開買付者の企業グループは、公開買付者、連結子会社10社、持分法適用会社1社及び非連結子会社1社と合わせて13社(以下「公開買付者グループ」といいます。)で構成され、「地球環境を大切にし、世界の人々に信頼され、常に創造し挑戦する。」という経営理念に基づき、以下のウェーハ再生事業、プライムシリコンウェーハ製造販売事業、半導体関連装置・部材事業、その他事業を展開しているとのことです。

(注1) 「ウェーハ」とは、半導体の基板材料のことをいうとのことです。

(注2) 「シリコンウェーハ」とは、半導体の基板材料となる高純度シリコン(純度99.999999999%)の円盤状の薄い板のことをいうとのことです。

 

 

(a) ウェーハ再生事業
(ア) シリコンウェーハ再生事業

シリコンウェーハ再生事業は、半導体メーカーから預かった使用済みテストウェーハを加工し、使用可能な状態にする事業とのことです。半導体製造には数百から二千程度もの工程があるとのことですが、一ヶ所で不良が生じそのまま最終工程まで加工した場合、不良品が発生し多大な損害が生じる可能性があるとのことです。これを防止するため、半導体メーカーは半導体製造工程に製品用シリコンウェーハ(プライムシリコンウェーハ(注3))と同時にモニタ用シリコンウェーハ(モニタウェーハ(注4))や、ダミー用シリコンウェーハ(ダミーウェーハ(注5))と呼ばれるテストウェーハを投入するとのことです。モニタウェーハやダミーウェーハは、チップとしてカッティングされる最終工程の前の各工程で抜き取られるため形状は円盤のままであるものの、様々な情報が組み込まれているとのことです。そのままの状態では工程へ再投入することは出来ず、公開買付者グループがこれを再生加工することにより、半導体メーカーは新品と同等の品質に再生されたテストウェーハを新品のシリコンウェーハと比べて低コストで利用することが可能となるとのことです。

 

(注3) 「プライムシリコンウェーハ」とは、カッティングされICチップとして製品化されるウェーハのことをいうとのことです。

(注4) 「モニタウェーハ」とは、半導体製造工程のモニタリングを実施するために使用するウェーハのことをいうとのことです。

(注5) 「ダミーウェーハ」とは、製造装置の立ち上げで装置の安定性を上げたり確認するために投入され、通常は搬送チェックや加工形状の評価において使用されるウェーハのことをいうとのことです。サイズや厚みが一致していればよく、ウェーハの電気特性や極度の精度(たとえば平坦度)等は必要とされないとのことです。

 

(イ) シリコンウェーハ販売事業

シリコンウェーハ販売事業は、公開買付者が仕入れたモニタウェーハ及びダミーウェーハ(200mm、300mm)を再生し、ニーズに合わせて販売する事業とのことです。

 

(ウ) 酸化膜成膜加工サービス事業

酸化膜成膜加工サービス事業は、絶縁膜として使用される酸化膜の生成を行うものであり、シリコンウェーハの表面の加工を行う事業とのことです。

 

(b) プライムシリコンウェーハ製造販売事業

プライムシリコンウェーハ製造販売事業は、公開買付者グループの1社である北京有研RS半導体科技有限公司の子会社の有研半導体硅材料股份公司、山東有研半導体材料有限公司及び山東有研RS半導体材料有限公司が、主に中国半導体メーカーのニーズに合わせて125mm、150mm、200mm、300mmのプライムシリコンウェーハの製造販売を行っているとのことです。これらは、半導体メーカーが半導体を製造する上で基板材料として用いられるとのことです。

 

(c) 半導体関連装置・部材等事業

半導体関連装置・部材等事業は、超音波検査装置、レーザーダイオード、中古の半導体製造装置等の電子部品を仕入れて販売する商社機能と、半導体製造装置に使用される石英及びシリコン部材(消耗品)の加工・販売を行う製造機能の2つを有しているとのことです。そのうち公開買付者の子会社である株式会社ユニオンエレクトロニクスソリューション(以下「ユニオンエレクトロニクスソリューション」といいます。)では、上記各電子部品の仕入れ及び販売を、株式会社DG Technologies(以下「DG Technologies」といいます。)では、石英及びシリコン部材の加工・販売を行っているとのことです。

 

 

(d) その他

ソーラー事業は、2012年から開始した再生エネルギー推進政策を基に、同年、同事業への参入を決定し、公開買付者の経営理念の一つ“地球環境を大切に”を実践すべく2013年10月より約1MWの発電を開始し、2015年12月の増設により約1.59MWの発電事業を行っているとのことです。

技術コンサルティング事業は、半導体ウェーハ製造工程の技術コンサルティング事業として技術指導、教育サービスを提供しているとのことです。

 

世界の長期的な半導体需要は拡大傾向にあり、半導体メーカーからの需要も増加しているとのことです。このような状況の下、公開買付者グループとしては国内外の半導体メーカーの需要を取り込むとともに、日々進歩しているプライムシリコンウェーハ製造工程における結晶技術や、再生ウェーハ加工工程における微細化技術の開発にも対応していく必要があると考えているとのことです。

公開買付者グループは、2024年2月13日に公表した2024年12月期から2026年12月期までの中期経営計画のベースプランにおいて、ウェーハ再生事業は、国内、台湾、中国の3拠点で引き続き継続的な設備投資を実施し、生産能力増強を図ること、プライムシリコンウェーハ製造販売事業は、中国における200㎜及び300㎜でのシェア拡大に向けた継続した設備投資を実施すること、半導体関連装置・部材事業は、新市場開拓や新規顧客獲得に向けた営業活動を実施することを掲げているとのことです。また、従前から取り組んでいる事業ポートフォリオの多角化も引き続き重要な戦略と位置づけ、新規事業及びM&Aを通じた成長を見込んで設定したアップサイドプランの目標値として、M&Aによって3年間で約430億円の売上高を達成することを掲げているとのことです。

 

一方で、当社は、1976年10月5日に、一般照明用ハロゲンランプの生産・販売を目的とするフェニックス電機株式会社として創業し、1989年12月に社団法人日本証券業協会の店頭市場に登録しましたが、1995年11月に会社更生法に基づく会社更生手続開始の申立てを行ったため、同月に日本証券業協会の店頭管理銘柄に登録され、1996年4月に会社更生手続開始決定がなされたことに伴い同年5月に日本証券業協会の店頭管理銘柄の登録が取り消されております。その後、1998年2月に会社更生計画認可決定がなされ同年7月に更生手続が終結し、2002年12月に日本証券業協会のJASDAQ市場に上場(2004年12月にJASDAQ市場の株式会社化に伴い株式会社ジャスダック証券取引所に上場し、その後2010年4月に株式会社ジャスダック証券取引所と株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)の合併に伴い大阪証券取引所JASDAQ市場に、同年10月に大阪証券取引所ヘラクレス市場、同取引所JASDAQ市場及び同取引所NEO市場の各市場の統合に伴い大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場しながら、2005年4月に東京証券取引所市場第二部に重複上場し、2006年5月に東京証券取引所市場第一部に指定替えしております。その後、2009年4月に現商号に変更するとともに、分社型新設分割を行い、事業子会社であるフェニックス電機株式会社(以下「フェニックス電機」といいます。)を設立し、また、同年7月に当社の子会社であるナカンテクノ株式会社(以下「ナカンテクノ」といいます。)が、ナカン株式会社より液晶製造装置の製造・販売事業を譲り受け、事業を開始いたしました。そして、2013年7月に東京証券取引所と大阪証券取引所の市場統合に伴う市場選択により、東京証券取引所市場第一部を選択し、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)との重複上場を解消し、その後、東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、2022年4月4日に東京証券取引所市場第一部から東京証券取引所スタンダード市場へ移行しております。

 

本書提出日現在、当社グループは、当社及び連結子会社4社の合計5社で構成されており、ランプ事業及び製造装置事業を主たる事業としております。ランプ事業は、産業用ランプ、一般照明用ハロゲンランプ及びLEDランプ等の製造販売を行っており、フェニックス電機の「小回りを効かせて、顧客の利便性を向上させる」という行動指針のもと、独自の競争戦略を構築し、競争力を発揮できるニッチな市場で存在価値のある企業であることを目指しております。また、製造装置事業は、配向膜印刷装置(注6)、特殊印刷機(注7)及び露光装置用光源ユニット(注8)の製造販売を行っており、ナカンテクノの精密印刷技術力をコアにして製品開発力を更に向上させ、新たな分野を開拓し、新製品を開発しております。このように、当社グループでは、各事業において、他社が追随できない高付加価値製品・サービスの開発、提供を追求するとともに、事業シナジー効果の創出と成長の加速化を通じて、事業の拡大、経営基盤の安定化を目指しております。

 

(注6) 「配向膜印刷装置」とは、液晶ディスプレイ生産ラインの配向膜形成工程においてÅレベル(µメートル以下)の膜厚を安定して印刷できる装置のことをいいます。

(注7) 「特殊印刷機」とは、高速印刷・高品位塗布が可能なインクジェット印刷機、オフセット方式により高精度印刷を実現した精密グラビア印刷機等のことをいいます。

(注8) 「露光装置用光源ユニット」とは、プリント基板露光や液晶パネル用カラーフィルター露光、UV接着剤硬化露光など、幅広い用途に用いられる光源ユニットのことをいいます。

 

当社は、当社グループを取り巻く事業環境について、ランプ事業では、一般照明として従来主力であった蛍光灯や電球、水銀灯はLED器具に置き換わり、また、産業用ランプについてもLED化が進み、今後もその勢いは加速するものと考えております。製造装置事業では、当社の主要顧客である液晶ディスプレイパネルメーカー向けに、付加価値を高める様々な形態や機能を搭載したディスプレイの登場が見込まれ、顧客ニーズはより一層高度化していくものと考えております。

 

このような状況のもと、現時点における当社の経営課題として、ランプ事業については、世界的に照明器具のLED化が加速していくことに併せて、従来以上に顧客の個別仕様に対応したオリジナルランプの需要に対する対応力を高めていく必要があり、一方の製造装置事業については、主要顧客が液晶ディスプレイパネルメーカーにやや偏重していることから、当社が持つ技術を応用しつつ現在の製造装置から更にバリエーションを広げ、顧客ベースの拡大・多様化をしていく必要があるものと強く認識しております。当社は、かかる認識のもと、各事業における要素技術及び納入実績を活かし、既存事業の強化と並行して半導体関連の新規事業の開発にも注力しております。具体的には、ランプ事業では、液晶パネル用カラーフィルター露光装置の光源ユニットランプとして液晶業界で高いシェアをもつ他社製露光装置に組み込まれ、主要なパネルメーカーへ納入することで培った豊富な光学設計技術、自社製造装置の設計製作の過程で創意工夫を凝らすことで培った各顧客の要望する仕様ニーズにマッチした高レベルの機械設計技術、及びランプ特性を熟知した点灯技術の蓄積に基づく電気回路設計技術をもとに、半導体製造装置の一部として使用される各種LEDユニット製品の開発を進めております。製造装置事業では、既存の液晶配向膜フレキソ印刷機(注9)については、これまで多くの液晶フラットパネルディスプレイ生産ライン装置の納入実績がある中国において、アフターメンテナンス業務を強化するとともに各顧客に応じた最良な印刷版の更なる拡販に注力し、液晶パネルのライフサイクル全体を通じて製品・サービス提供を行える仕組みづくりを図っております。また、インクジェット印刷機については、幅広い業種において今後も採用が見込まれますが、特に近年では、自動車のEV化の進展、車載コネクテッドサービスの導入あるいは導入の検討が進むなど内装のデジタル化が加速し、車載用ディスプレイの需要が一段と高まりを見せているとともにその重要性も増しており、生産難易度が高く高収益の車載ディスプレイの生産用途においても採用が見込まれることから、「異形や局面に対する塗布技術」と「Color化の技術」に開発を注力し、様々な形状・色彩に対応したより付加価値の高い意匠デザインや多様な場面で印刷が実現できる装置の開発に努めております。更に、長年にわたる印刷機製造で培ったÅレベル(µメートル以下)の膜厚を安定して印刷できる精密・高度な設計・組み立てに関する技術及びノウハウを活用し、新たに半導体製造装置事業を立ち上げ、半導体ウェーハ研磨(注10)工程で使用する装置の納入に向けた開発を進めております。

 

 

(注9) 「液晶配向膜フレキソ印刷機」とは、液晶パネルを製造する工程において配向膜を形成するために、ポリイミド樹脂を塗布する印刷機のことをいいます。

(注10) 「半導体ウェーハ研磨」とは、半導体の基盤となるシリコン単結晶の薄い板(ウェーハ)を研磨する工程のことをいいます。

 

公開買付者グループは、ウェーハ再生事業の世界市場シェアにおいてトップ企業としての地位を確立(注11)していると考えているとのことですが、前述のとおり事業ポートフォリオの多角化も重要な戦略と位置づけており、2018年1月には中国プライムシリコンウェーハのメーカーである有研半導体材料有限公司を連結子会社化、2018年5月には株式会社日立パワーデバイスの製品等を取扱う総合電機部品商社であるユニオンエレクトロニクスソリューションの完全子会社化、2019年1月には半導体生産装置向けの消耗部材の製造・販売を行うDG Technologiesの完全子会社化を行う等、M&Aを通じた事業領域の拡大及び公開買付者グループ各社が有する顧客基盤を最大限活用することによる継続的な業績拡大を実現してきたとのことです。

 

(注11) グローバルネット株式会社の運営する半導体産業に関する情報サイトである「SEMI-NET」の情報及び公開買付者における再生ウェーハの出荷数に基づき、世界市場シェアは33%と公開買付者が推計したとのことです。

 

今後更なる事業拡大及び企業価値の向上を目指していくために、業種を問わず、M&Aを通じた新市場の開拓や新規顧客の獲得を模索している中、公開買付者は、2023年1月下旬、第三者から当社に関する情報提供を受け、当社グループが製造装置事業並びにランプ事業において競争力を有する商品を取り扱うことを背景に、国内のみならず公開買付者グループにおいても重要な市場である中国での顧客基盤を有していることから、両社の事業と顧客基盤を掛け合わせることで事業上のシナジーを生み出せるのではないかと考え、当社の有価証券報告書等の公開情報等を通じ、当社グループとの間で想定されるシナジーや当社との間で資本関係を構築するために当社株式の取得を行うことについて検討を行っていたとのことです。

 

当社は、半導体関連ビジネスへの本格的な参入を検討していた中で、2022年12月末に当該第三者から公開買付者の紹介を受けましたが、公開買付者は2023年2月13日、当該第三者を通じた当社からの打診を受けたことにより、2023年3月27日、当社との間で、両社での協業について対話を行う機会があり、それ以降2023年8月下旬までの間、公開買付者グループの中で中国を主要取引先としているプライムシリコンウェーハ製造販売事業、中国を含みグローバルに事業を展開するウェーハ再生事業、当社グループの製造装置事業において想定される顧客ニーズに関する協議や、当社グループにて検討している新規事業である半導体製造装置事業等の方針等を含めて、公開買付者と当社の間で互いの成長戦略や協業可能性について意見交換を行ってきたとのことです。これらの議論を通じ、公開買付者グループは2023年8月下旬に、両社が企業価値を最大化するためには、両社が連携し顧客基盤やノウハウを融合させることが不可欠であり、そのためには一体となって事業運営を行うべく当社を公開買付者の完全子会社とすることが望ましいと考えるに至ったとのことです。具体的には、当社グループとの間で以下のシナジーの実現や、協業によるメリットの享受が期待できると考えたとのことです。

 

(ア) 顧客基盤の拡大及び中国における事業拡大

公開買付者グループは、プライムシリコンウェーハ製造販売事業により中国国内の半導体メーカーを中心とした顧客基盤を有しているとのことです。他方、当社グループは特に製造装置事業において中国国内の大手液晶メーカーを取引先としており、液晶関連事業は半導体関連事業と業界が近しいことから、両社において重要な市場である中国国内におけるそれぞれの事業の既存顧客に対して他方の事業に関する共同営業活動を行うことにより、一層の収益拡大が実現できると考えているとのことです。

 

 

(イ) 事業ポートフォリオの分散によるリスクヘッジ

公開買付者グループは、ウェーハ再生事業、プライムシリコンウェーハ製造販売事業、半導体関連装置・部材事業を中心に運営している一方、当社グループは製造装置事業、ランプ事業を中心に運営していると認識しており、業界は近しいものの、実際には重複した事業分野は中古半導体製造装置、中古液晶製造装置といった中古製造装置の販売事業のみと理解しているとのことです。具体的には、公開買付者グループにとって、当社グループのランプ事業は新規事業領域であり、また製造装置事業に関しても、主要製品である液晶配向膜フレキソ印刷機等の液晶パネル関連の製造装置等は公開買付者グループで取扱いが僅かな商材となっているとのことです。他方、当社グループにおいても、中古製造装置の販売を除いて公開買付者グループと同一の事業を行っていないものと認識しているとのことです。そのため、両社の顧客層の重複は少ないものと想定しており、両社間の送客による顧客基盤の強化が見込めるのみならず、事業上及び商品上もポートフォリオを分散することでリスクヘッジが可能になると考えているとのことです。

 

(ウ) 収益力の向上

両社がそれぞれ有する工場のオペレーションノウハウを共有することで、コスト改善や生産性向上が見込まれるとのことです。加えて、公開買付者グループも行っている中古製造装置の販売において、実際に製造装置の製造を行っている当社グループの査定力及びノウハウを活用することによって、公開買付者グループにおける事業の収益力向上を図ることが可能と考えているとのことです。

具体的には、①当社グループのナカンテクノでの開発推進事業における研磨装置の開発、製造及び販売については、同社が開発を行った研磨装置の実証実験を公開買付者グループにて行うことにより開発の効率化が見込まれ、また、②当社グループのフェニックス電機での石英部品の製造事業については、公開買付者グループのDG Technologiesにおける火加工事業のノウハウを活用することにより、一部製品の販売数量の増加が見込まれるため、限界利益の改善に繋がること、及び公開買付者グループの一部製品においてフェニックス電機に間接的に発注されていた製品を同社からの直接発注とすることにより、中間マージンの削減に繋がり、コスト改善が見込まれると考えているとのことです。更に、③当社グループの株式会社ルクス(以下「ルクス」といいます。)での太陽光・蓄電池事業については、公開買付者グループの株式会社LEシステム(以下「LEシステム」といいます。)における蓄電池技術との融合及びルクスの販売チャネルを活用した営業網を構築することで、販売数量の増加及び収益化を図っていくことが可能と考えているとのことです。

 

一方で、公開買付者は当社における株式の非公開化に伴うデメリットについても検討したとのことです。デメリットとしては、一般的に知名度や社会的信用の向上といった上場企業としてのメリットが享受できなくなることが挙げられるものの、本取引を通じて当社が公開買付者グループの傘下に入ることで、当社が公開買付者グループの有する知名度や社会的信用も得られることを踏まえて、当社における株式の非公開化に伴うデメリットは限定的であると考えたとのことです。

 

 

そこで、公開買付者は、2023年8月28日、当社に、公開買付者が当社を完全子会社化することに関する提案を行い、同日、当社から当該提案を踏まえた検討を開始する旨の回答がありました。その後、2023年9月上旬から10月下旬にかけて複数回に亘り、公開買付者が当社を完全子会社とした場合に公開買付者が想定する公開買付者グループと当社グループにもたらされるシナジーや協業によるメリットの享受等についても当社と意見交換を行ったとのことです。加えて、2023年10月31日に当社とシナジーや協業によるメリットの享受等について更なる意見交換を行った際に、当社より、公開買付者が当社を完全子会社化して公開買付者と当社が協業することにより、当社の事業の多角化、具体的には、当社が公開買付者と同一の企業グループに属することでこれまでアクセスできなかった相互の顧客網の活用の促進、及び半導体事業に精通した公開買付者グループの製品評価能力や半導体製造装置向け石英部品の製造ノウハウ、両社の人材共有等を通じて、特に新規事業の推進において一定の相乗効果を見込むことができると考えていることから、当社を公開買付者の完全子会社とすることを主眼として検討したい旨の返答を受け、その後2024年1月上旬まで、当社との間で複数回にわたって意見交換を行ってきたとのことです。その後、公開買付者は2024年1月上旬、本取引の本格的な検討を進めるにあたり公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を選任した上で、2024年1月17日に本取引に係る意向表明書を提出したところ、同日、当社より、本取引の実施に向けた検討・協議を開始することを了承し、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築する旨の回答を受けたとのことです。これを受け、公開買付者は、外部のリーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所、第三者算定機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。)をそれぞれ選任した上で、当社に対して2月上旬から同年4月上旬までデュー・ディリジェンスを実施したとのことです。

これらの検討・協議及びデュー・ディリジェンスの結果を踏まえて、公開買付者は2024年4月16日、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を675円(2024年4月15日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値495円に対して36.36%のプレミアムを加えた価格)(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)とする本取引に関する提案書を当社に提出したとのことですが、2024年4月25日、当社より、当該提案価格は当社の一般株主にとって十分なものではなく、当該提案価格では本公開買付けに賛同及び応募推奨の意見を出すことは困難であるとして、本公開買付価格の再提案を要請する旨の回答があったとのことです。

公開買付者は、当社からの上記要請を踏まえて再検討を行い、2024年5月2日、本公開買付価格を760円とする提案、及び本公開買付価格として提案した760円は、2024年5月1日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値466円に対して63.09%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値486円(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対し56.38%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値532円に対し42.86%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値520円に対し46.15%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、当社の一般株主に対して一定のプレミアムを付した上で当社株式の売却機会を提供するものであり、また本事業計画(下記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」、「(ⅱ) 当社株式に係る算定の概要」に定義します。以下同じとします。)について、公開買付者にて蓋然性の検証を行い、合理的と考える水準に修正した数値を前提として算定された株式価値評価のレンジ等を勘案しているものである旨の説明を当社に実施したとのことですが、2024年5月7日、当社より、当該提案価格は、依然として当社が考える当社株式の本源的価値を十分に反映したものではなく、当社の一般株主にとって納得感のある価格水準ではないとして、本公開買付価格の再提案を公開買付者に要請する旨の回答があったとのことです。

 

公開買付者は、当社からの上記要請を踏まえて再検討を行い、2024年5月15日、本公開買付価格を825円とする提案、及び本公開買付価格として提案した825円は、2024年5月14日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値500円に対し65.00%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値485円に対し70.10%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値527円に対し56.55%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値523円に対し57.74%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、当社の一般株主の利益を最大限配慮すべく真摯に検討を行い、また、当社からの要請を最大限尊重した結果であり、公開買付者として提案可能な最大限の価格である旨の説明を当社に実施したとのことですが、2024年5月16日、当社より、当該提案価格では、本公開買付けの応募推奨の意見を出すことは困難であると判断した旨の回答があったとのことです。

公開買付者は、当社からの上記回答を踏まえて再検討を行い、2024年5月21日、本公開買付価格を825円(2024年5月20日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値504円に対して63.69%のプレミアムを加えた価格)とする提案を再度行い、また本公開買付価格として提案した825円は公開買付者として提案可能な最大限の価格であり、合理性のある水準にある妥当な価格であると考えている旨の最終提案書を当社に提出し、2024年5月24日までの回答を要請したところ、2024年5月24日、当社から、本取引に関し、当社グループの中長期的な企業価値の向上に資するものであると考えられるため、賛同の意見を表明することは可能であるものの、2024年5月16日に回答したとおり825円では、本公開買付けの応募推奨の意見を出すことは難しいため、本公開買付けに応募することを推奨することの是非については中立の立場をとった上で、最終的に株主の皆様の判断に委ねるのが相当であると考えられる旨の伝達を受けたとのことです。その後、2024年5月28日、当社から、特別委員会からの意見も踏まえて、正式な意思決定は2024年5月31日に開催予定の臨時取締役会で承認されることを前提として、本取引に関し賛同の意見を表明するものの、本公開買付けに応募することを推奨することの是非については中立の立場を取った上で、最終的に当社の株主の皆様の判断に委ねるのが相当である旨の伝達を改めて受けたとのことです。

公開買付者は、当社からの上記回答を踏まえて、当社は本公開買付けに応募することの是非について中立の立場となる見込みながら、本公開買付価格として提案した825円は、公開買付者として当社の一般株主の利益を最大限配慮した結果であり一般株主の皆様の賛同も得られると考えたことから、同日、口頭にて、本公開買付価格を825円として本公開買付けを開始する意向を当社に伝達したとのことです。

以上の当社との協議・交渉を踏まえ、公開買付者は、2024年5月31日、本公開買付価格を825円とし、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。

 

③ 本公開買付け後の経営方針

公開買付者は、本取引後も当社の独立性を尊重し、シナジーの早期実現に向けた最適な経営体制について、本取引の完了後に当社と協議しながら決定する方針とのことです。

本取引後の役員体制については、公開買付者としては、シナジーの早期実現に向けて公開買付者が指名する取締役を派遣することを想定しているとのことですが、当社との間でその具体的な人数、時期及び候補者等についての具体的な協議はしておらず、現時点で決定事項はなく、本取引の完了後に当社の意向も踏まえて方針を決定する予定とのことです。

 

 

④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
(ⅰ) 公開買付者からの提案及び検討体制の構築の経緯

当社は、半導体関連ビジネスへの本格的な参入を検討していた中で、2022年12月末に、第三者を通じて公開買付者の紹介を受けました。その後、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2023年2月13日、当該第三者を通じた当社からの打診により、2023年3月27日、公開買付者との間で、両者での協業について対話を行う機会があり、それ以降2023年8月下旬までの間、公開買付者グループの中で中国を主要取引先としているプライムシリコンウェーハ製造販売事業、中国を含みグローバルに事業を展開するウェーハ再生事業、当社グループの製造装置事業において想定される顧客ニーズに関する協議や、当社グループにて検討している新規事業である半導体製造装置事業等の方針等を含めて、公開買付者と当社の間で互いの成長戦略や協業可能性について意見交換を行いました。また、当社は、2023年8月28日、公開買付者から、公開買付者が当社を完全子会社化することに関する提案を受け、同日、当社から当該提案を踏まえた検討を開始する旨を回答し、当社としては資本関係を伴わない業務提携等も考えられるものの、当社の完全子会社化がもたらすシナジーや当社が享受できるメリット次第では、公開買付者による当社の完全子会社化が今後の協業にあたり取り得る選択肢の一つであると考えたことを踏まえ、2023年9月上旬から10月下旬にかけて複数回に亘り、公開買付者が当社を完全子会社とした場合に公開買付者が想定する公開買付者グループと当社グループにもたらされるシナジーや協業によるメリットの享受等についても公開買付者と意見交換を行いました。更に、当社は、2023年10月31日に公開買付者とシナジーや協業によるメリットの享受等について更なる意見交換を行った際、公開買付者が当社を完全子会社化して公開買付者と当社が協業することにより、当社の事業の多角化、具体的には、当社が公開買付者と同一の企業グループに属することでこれまでアクセスできなかった相互の顧客網の活用の促進、及び半導体事業に精通した公開買付者グループの製品評価能力や半導体製造装置向け石英部品の製造ノウハウ、両社の人材共有等を通じて、特に新規事業の推進において一定の相乗効果を見込むことができると考え、当社が公開買付者の完全子会社となることを主眼として検討したい旨を公開買付者に伝達し、それ以降2024年1月上旬までの間、公開買付者が当社を完全子会社化することを主眼として、公開買付者と複数回の意見交換を行いました。

そして、当社は、2024年1月17日に公開買付者から本取引に関する初期的な意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を受領いたしました。そこで、2024年2月5日、当社は本取引の実施に向けた具体的な協議・検討の準備を行うため、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。)を、法務アドバイザーとしてTMI総合法律事務所をそれぞれ選任いたしました。そして、当社は、本公開買付けの結果、公開買付者が当社の支配株主となった場合、本公開買付け後に予定されている本スクイーズアウト手続は、支配株主による従属会社の買収に該当し、公開買付者と少数株主との間に構造的な利益相反状態が生じ得るところ、本取引はこれらが一連の取引としてなされるものであることを踏まえ、本取引の公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益相反を回避するために、公開買付者から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始いたしました。

 

具体的には、当社は、2024年2月22日開催の当社取締役会における決議により、公開買付者及び当社との間に利害関係を有しない、名倉啓太氏(当社社外取締役)、木下玲子氏(当社社外取締役)、四宮章夫氏(当社社外監査役)、鈴木智子氏(当社社外監査役)の4名から構成される特別委員会(特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付価格の公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、特別委員会に対し、(a)本取引の目的の合理性(本取引は当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項、(b)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)に関する事項、(c)本取引の手続の公正性に関する事項(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)、(d)上記(a)乃至(c)を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本取引において公開買付けが実施される場合、当該公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)を決定することが当社の少数株主にとって不利益なものでないこと(以下、これらを総称して、「本諮問事項」といいます。)を諮問し、最終的に答申書(以下「本答申書」といいます。)にまとめ、当社取締役会に提出することを委託いたしました(特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。また、当社取締役会は、特別委員会の設置にあたり、本取引に関する意思決定を行うに際して、特別委員会の判断を最大限尊重して意思決定することを決議しました。更に、当社取締役会は、特別委員会に対し、(ⅰ)本取引に係る調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、本諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明を求めることを含む。)を行うことができる権限、(ⅱ)当社に対し、(a)特別委員会としての提案その他の意見又は質問を提案者に伝達すること、及び(b)特別委員会自ら提案者(本取引に関与するその役職員及び本取引に係るそのアドバイザーを含む。)と協議する機会の設定を要望することができる権限、(ⅲ)当社が選任したアドバイザーの独立性に問題があると判断した場合、当社が選任したアドバイザーを承認しないことができ、その場合、当社は特別委員会の意向を最大限尊重しなければならないものとする権限、(ⅳ)特に必要と認めるときは、当社の費用で、特別委員会独自のアドバイザーを選任することができる権限を付与することを決議しております。なお、特別委員会は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、上記の権限に基づき、2024年4月8日、独自のリーガル・アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を選任する旨を決定いたしました。

また、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、特別委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるKPMG並びに当社の法務アドバイザーであるTMI総合法律事務所について、その独立性及び専門性に疑義を生じさせる事由がないことの確認を受けております。

更に、当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制について独立性及び公正性に抵触する事由がないことについて特別委員会の確認を受けております(当社における公開買付者から独立した検討体制の構築については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における独立した検討体制の構築」をご参照ください。)。

 

 

(ⅱ) 検討・交渉の経緯

当社は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や当社の足元の株価動向等を踏まえ、KPMGから当社株式の価値算定結果に関する報告、公開買付者との交渉方針に関する助言その他の財務的見地からの助言を受けるとともに、TMI総合法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応等についての法的助言を受けながら、公開買付者との間で、複数回にわたる協議・検討を重ねた上で、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に検討を行ってまいりました。

具体的には、2024年4月16日、当社は、公開買付者より、同年2月上旬から4月上旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、当社の財務状況、当社株式の直近の市場株価推移及び本事業計画に基づく当社株式の初期的な価値評価分析を踏まえた取引条件の検討結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、本公開買付価格を675円(2024年4月15日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値495円に対して36.36%のプレミアムを加えた価格)とする提案を受領いたしました。これに対し、2024年4月25日、当社はファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるKPMGによる当該時点における当社株式の価値算定結果、及び当該算定結果を踏まえた特別委員会の意見を踏まえて検討した結果、本公開買付価格として提案された675円は、当社の一般株主にとって十分なものではなく、当該提案価格では本公開買付けに賛同及び応募推奨の意見を出すことは困難であると判断して、本公開買付価格の再提案を公開買付者に要請いたしました。

かかる要請に対し、2024年5月2日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を760円とする提案、及び本公開買付価格として提案した760円は、2024年5月1日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値466円に対し63.09%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値486円に対し56.38%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値532円に対し42.86%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値520円に対し46.15%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、当社の一般株主に対して一定のプレミアムを付した上で当社株式の売却機会を提供するものであり、また本事業計画について、公開買付者にて蓋然性の検証を行い、合理的と考える水準に修正した数値を前提として算定された株式価値評価のレンジ等を勘案したものである旨の説明を受領いたしました。これに対し、2024年5月7日、当社は、特別委員会の意見や当社のファイナンシャル・アドバイザーの助言を踏まえて検討した結果、本公開買付価格として提案された760円は、依然として当社が考える当社株式の本源的価値を十分に反映したものではなく、当社の一般株主にとって納得感のある価格水準ではないとして、本公開買付価格の再提案を公開買付者に要請いたしました。

 

かかる要請に対し、2024年5月15日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を825円とする提案、及び本公開買付価格として提案した825円は、2024年5月14日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値500円に対し65.00%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値485円に対し70.10%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値527円に対し56.55%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値523円に対し57.74%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、当社の一般株主の利益を最大限配慮すべく真摯に検討を行い、また、当社からの要請を最大限尊重した結果であり、公開買付者として提案可能な最大限の価格である旨の説明を受領いたしました。これに対し、2024年5月16日、当社は、特別委員会より、本公開買付価格として提案された825円では本公開買付けにおいて当社取締役会が応募推奨意見を述べるべき水準にまでは至らないと考える旨の意見を受けたことや当社のファイナンシャル・アドバイザーの助言を踏まえて検討した結果、本公開買付価格として提案された825円では、本公開買付けの応募推奨の意見を出すことは難しい旨を公開買付者に伝達いたしました。これに対し、2024年5月21日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格として提案した825円(2024年5月20日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値504円に対して63.69%のプレミアムを加えた価格)とする提案を再度受け、また本公開買付価格として提案した825円は、公開買付者として提案可能な最大限の価格であり、合理性のある水準にある妥当な価格であると考えている旨の最終提案書を受領し、2024年5月24日までの回答を要請されました。これに対し、2024年5月24日、当社は、本取引に関し、当社グループの中長期的な企業価値の向上に資するものであると考えられるため、賛同の意見を表明することは可能であるものの、2024年5月16日に回答したとおり825円では、本公開買付けの応募推奨の意見を出すことは難しいため、本公開買付けに応募することを推奨することの是非については中立の立場をとった上で、最終的に株主の皆様の判断に委ねるのが相当であると考えられる旨を公開買付者に伝達いたしました。その後、2024年5月28日、当社から、特別委員会からの意見も踏まえて、正式な意思決定は2024年5月31日に開催予定の臨時取締役会で承認されることを前提として、本取引に関し賛同の意見を表明するものの、本公開買付けに応募することを推奨することの是非については中立の立場を取った上で、最終的に当社の株主の皆様の判断に委ねるのが相当である旨を改めて伝達いたしました。これに対し、公開買付者より、当社は本公開買付けに応募することの是非について中立の立場となる見込みながら、本公開買付価格として提案した825円は、公開買付者として当社の一般株主の利益を最大限配慮した結果であり一般株主の皆様の賛同も得られると考えたことから、同日、口頭にて、本公開買付価格を825円として本公開買付けを開始する意向である旨の伝達を受けました。

(ⅲ) 当社の意思決定の内容

以上の経緯の下で、当社は、2024年5月31日開催の取締役会において、TMI総合法律事務所から受けた法的助言、KPMGから受けた財務的見地からの助言並びに2024年5月29日付でKPMGから提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議及び検討を行いました。

その結果、以下のとおり、当社としても、公開買付者の完全子会社となることにより、シナジーの創出を見込むことができることから、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであるとの結論に至りました。

 

 

当社グループにおける売上及び利益は、ナカンテクノの液晶フラットパネルディスプレイ向けフレキソ印刷装置をはじめとする印刷装置類の製造・販売がその大部分を占めておりますが、昨今においては、液晶フラットパネルディスプレイに関する新規設備投資は縮小傾向にあることに伴い、液晶フラットパネルディスプレイ市場は成熟した状況にあり、このような市場動向の影響を受けて、フレキソ印刷装置をはじめとする液晶フラットパネルディスプレイ向け印刷装置の需要動向としても、新規設備投資需要が限定的となる結果、受注件数の伸びが限定的になるなど、多大な影響を受けております。また、主たる新規事業として参入を企図している半導体製造装置市場においては、半導体シリコンウェーハ研磨機の製造及び販売分野を含め、高度かつ専門的な技術やノウハウの蓄積を要することから、高い参入障壁が存在するものと認識しております。このため、同市場への本格的な参入のためには、当社グループ内における開発技術の確立のみならず、その評価先となる需要者や適切な人材を確保することが不可欠であり、半導体事業に精通した企業との連携による人的・物的資源の拡充も課題となると考えております。一方で、当社が公開買付者の完全子会社となることにより、当社と公開買付者がそれぞれ有している顧客ネットワークを一体的かつ機動的に活用することが可能となり、新規ルートの開拓による事業規模の拡大を相互に見込むことができるのみならず公開買付者グループの有する半導体シリコンウェーハ研磨機に関する評価能力を十分に活用することができ、人的・物的資源の双方の観点から、当社における新規事業の創出促進を期待することができると考えております。

 

かかる状況において、公開買付者から2024年1月17日に本意向表明書の提出により本取引の提案を受け、上記「(ⅱ) 検討・交渉の経緯」のとおり検討を進めてまいりました。その結果、このような不透明な事業環境の中、上記課題を解決し両社のシナジー効果を最大限に発揮するためには、両社が中長期的なビジョンを共有し一体となって事業展開を行うことが必要であると考えました。

 

当社が本取引により公開買付者の完全子会社となることで実現可能と考える具体的なシナジーは以下のとおりです。

 

(ア) 液晶装置中古装置事業の拡大及び半導体製造装置中古装置事業への参入

当社グループでは、ナカンテクノにおいて、液晶フラットパネルディスプレイ製造装置ラインの中古装置の解体・梱包・移設等のアレンジメントを行っているところ、液晶フラットパネルディスプレイ市場が成熟した状況にあり、案件規模及び件数も縮小傾向にあります。一方で、公開買付者は、中古製造装置の仕入及び販売事業を行っているところ、ナカンテクノにおける中古装置の査定力の提供と引換えに、相互の顧客網の活用を通じたクロスセルにより、相互に新規ルートの開拓による事業規模の維持及び拡大を見込めると考えております。

また、公開買付者は、半導体製造装置中古装置の仕入及び販売を行っているところ、中古製造装置の解体・梱包・移設等のアレンジメントに関するノウハウは、装置の特性を一定程度に再現して活用しうる可能性があるため、公開買付者の有する仕入及び販売に関する顧客網を活用することにより、従来の液晶フラットパネルディスプレイ製造装置の中古装置事業と並んで半導体製造装置中古装置事業に参入することができると見込んでおります。

このような相乗効果と現状の半導体製造装置中古装置市場の規模が相まって、当社の中古製造装置分野の拡充を図ることができると考えております。

 

(イ) 半導体向け石英部品の製造及び販売事業の開拓

当社グループでは、フェニックス電機において、火加工により製造される半導体製造装置向け石英部品の製造技術の獲得に向け、同部品の製造販売事業の立上げが企画されているところ、火加工による石英部品の製造は、その性質上、高度な技術が要求されるものであり、十分な加工技術を有する人材の安定的な確保が課題となるとともに、販売ルートの確保が課題となっております。

 

かかる課題状況の中、当社が公開買付者の完全子会社となることを通じ、公開買付者グループにおける火加工事業のノウハウを一体的に活用することで、一部製品の販売数量の増加を見込むことができると考えております。一方で、公開買付者グループにおける半導体製造装置向け石英部品の加工販売事業においては、火加工によるものに比して機械加工によるものが主流となっており、公開買付者においても、当社の連携による更なる火加工技術の獲得及び火加工部品の製造販売を期待することができる点で両社の利害が一致していると考えております。このような認識のもと、当社が公開買付者の完全子会社となることを通じて相互に製造資源を利用し、販売網を活用することで、火加工による半導体製造装置向け石英部品の製造及び販売事業の実現をより効率的に図ることができると考えております。

 

(ウ) 半導体シリコンウェーハ研磨機の開発促進

当社グループは、ナカンテクノにおいて、半導体シリコンウェーハ研磨機の製造及び販売事業への参入を目指し、その開発に取り組んでいるところ、同事業への本格的な参入を実現するためには、当社グループにおける研磨装置の開発技術の確立のみならず、その需要者による評価を経た開発技術の更なる精緻化というプロセスが必須であると考えております。一方で、かかるプロセスを経て同事業に本格的に参入していくためには、半導体シリコンウェーハ研磨装置の開発技術の確立に係る当社グループの企業努力のみならず、評価先となる需要者の協力が必要不可欠となることから、半導体事業に精通した企業との連携による人的・物的資源の拡充も課題となると考えております。

かかる課題状況の中、公開買付者グループは、プライムシリコンウェーハ(125㎜~300㎜)の製造及び販売事業を営んでおり、その研磨機の十分な評価能力を有するため、当社が公開買付者の完全子会社となることを通じ、機動的かつ効率的にその開発を促進することで、同事業への本格的な参入の実現を期待することができると考えております。

 

(エ) 太陽光パネル及び蓄電池事業の拡充

当社グループでは、ルクスにおいて、太陽光パネルの施工及び投資額抑制型蓄電池の仕入及び販売事業を営んでいるところ、従前の市場の状況に比べて世界的にエネルギー政策やその実現のための法制度の整備等が進んでいることなどの市場の活性化要因の発生に伴い、太陽光事業が全体として成長傾向にある状況のなか、一部において太陽光パネルと蓄電池とを組み合わせたハイブリット型の発電・蓄電システムの開発が進んでいることから、商社としての機能を営むルクスとしては、このような市場の活性化要因を踏まえ、太陽光パネルの施工と蓄電池の販売をセットで行う形でのエネルギー産業への進出を企図しております。これに関し、公開買付者グループであるLEシステムにおける蓄電池技術との融合によって販売数量の増加及び収益化を図っていくことが可能と考えております。

 

 

当社は、かかる検討プロセスにおいて、上場維持の可能性についても検討を行いましたが、露光装置及び光源製品の拡販と採算性の向上、並びに液晶フラットパネルディスプレイ市場の成熟性に起因する新たな用途の印刷機開発が必要といった既存事業における当社の課題に対応するためには、市場の動向等に応じ、これまで存在しなかった新たなニーズの発掘をはじめとする各種の課題に対応していくことが不可欠であり、かかる課題の解消には相当程度の期間を要すると見込まれ、また、これらの課題の解消と並行して従来より進めてきた半導体製造装置事業をはじめとする新規事業の創出を実現するためには、開発技術の確立のみならずその需要者による評価、適切な人材の確保その他のプロセスを経ることを要するなどといった参入障壁を乗り越える必要があり、既存事業における上記の課題とかかる新規事業における課題の双方を同時的かつ効率的に解消するためには、公開買付者との一体的な連携を通じた事業シナジーを最大限に発揮する必要があり、本取引を通じた完全子会社化のもとに中長期的な視点に立って事業化を進めることが、企業価値向上ひいては株主共同の利益に資するものと考えております。他方、上場廃止によって、ビジネス、人材獲得及び資金調達等の面において当社の事業に悪影響が生じる可能性が一般的には挙げられるものの、むしろ東京証券取引所プライム市場に株式上場している公開買付者のグループ会社となることで、総合的な知名度や社会的信用力及び資金調達力の向上、更に上場維持コストの削減も見込まれることからすれば、当社における株式の非公開化のデメリットは限定的と考えております。また、当社の喫緊の課題は、既存事業の維持及び拡大を図りつつ、半導体製造装置事業をはじめとする新規事業の創出を図らなければならない点にあると認識しており、本取引が実現することにより、当社と公開買付者との一体的な連携のもと、これらの課題に効率的に対応することが可能となりうることからすれば、上場廃止による限定的なデメリットが生じる可能性を考慮してもなお、公開買付者による完全子会社化が最適であると考えるに至りました。

 

 

他方で、当社は、本公開買付価格である1株当たり825円は、(a)当該価格が、下記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の本株式価値算定書におけるKPMGによる当社株式の価値算定結果のうち、市場株価平均法による算定結果のレンジの上限額を上回っており、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの範囲内に入っており、(b)本公開買付価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2024年5月30日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値477円に対して72.96%、同日までの直近1ヶ月間(2024年5月1日から2024年5月30日まで)の終値単純平均値492円(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して67.68%、同直近3ヶ月間(2024年3月1日から2024年5月30日まで)の終値単純平均値514円に対して60.51%、同直近6ヶ月間(2024年12月1日から2024年5月30日まで)の終値単純平均値522円に対して58.05%のプレミアムがそれぞれ加算されたものであり、かつ、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2024年3月31日までに公開買付けが成立した、支配関係のない会社同士かつ完全子会社化を目的とした公開買付けの事例35件におけるプレミアムの中央値(公表日前営業日の終値に対して42.64%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して41.60%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.69%、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して45.20%)をいずれも上回っており、他の同種事例と比べても遜色ないプレミアム水準が確保されている価格と考えられることから、直近の市場株価に比較して大幅に有利な投資回収機会を提供する観点では一定の合理性があるものの、(c)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、当社の特別委員会より、本公開買付価格は、本公開買付けにおいて当社取締役会が応募推奨意見を述べるべき水準にまでは至らないと考える旨の見解を含む答申書を受領していることから、当社取締役会では、特別委員会の当該見解を最大限尊重して、株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することはせず、本公開買付けに応募するか否かは当社の株主の皆様のご判断に委ねるべきであると判断いたしました。

なお、本公開買付価格である825円は、直近の当社の簿価純資産から算出した1株当たり純資産額(890円)を下回っておりますが、本公開買付価格を前提とした株価純資産倍率(PBR)は0.93倍であり、更に2024年3月期の期末配当予定額(1株当たり35円)を控除した後の1株当たり純資産(855円)との比較においては、PBRは0.96倍であるため、本公開買付価格が1株当たり純資産と乖離する水準は僅少なものと考えております。また、純資産価額は必ずしも会社の清算時に株主に配当される残余財産の価値を示すものではなく、例えば、当社が現に保有する製品在庫等(2024年3月31日現在、「商品及び製品」221百万円、「仕掛品」1,602百万円、合計1,823百万円)が2024年3月31日現在の当社の簿価純資産に占める割合は11.29%であるところ、仮に当社の株主総会において解散決議がなされ当社が清算する場合、当社は主として個々の顧客の指定する仕様に合わせてカスタマイズした製品の販売を行っているところ、かかるカスタマイズを実施できなくなり、また当社の顧客は製品保証の責任を当社に期待できなくなることなどから、当社が当該製品在庫等を売却することは著しく困難となることや、清算結了までには相当な時間とコストを要すること等を考慮すると、仮に当社が清算する場合には簿価純資産額がそのまま株主に配当される残余財産の価額となるものではなく、相当程度毀損する可能性があることから(なお、当社においては、清算を予定しているわけではなく、また上記のとおり、本公開買付価格と2024年3月期の期末配当予定額を控除した後の1株当たり純資産の乖離する水準は4%にとどまるため、清算を前提とする見積書の取得までは行っておらず、本公開買付価格が、具体的な検討を経て概算された想定清算コスト等を勘案して算出される清算価値を上回っていることの確認までは行っておりません。)、1株当たり簿価純資産額を下回っていることから直ちに本公開買付価格が当社の清算時に当社の株主に配当される1株当たりの残余財産の価値を下回るとまでは判断することはできないと考えております。

 

 

以上より、当社は、2024年5月31日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様のご判断に委ねる旨を決議いたしました。当該取締役会における決議の方法については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑦ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

 

(3) 算定に関する事項

① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ) 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

当社は、本公開買付けを含む本取引に関する意見表明を行うにあたり、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付者から独立した第三者算定機関として、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるKPMGに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年5月29日付で、本株式価値算定書を取得しました。なお、KPMGは、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るKPMGに対する報酬には、本取引の公表を条件に支払われる報酬が含まれておりますが、当該報酬は本取引の成立・不成立に依存しない報酬であり、独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりKPMGを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないことを確認し、特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、特別委員会において確認しております。

 

(ⅱ) 当社株式に係る算定の概要

KPMGは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価平均法及び将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF法を用いてそれぞれ株式価値の算定を行い、当社はKPMGから2024年5月29日付で本株式価値算定書を取得しました。なお、当社は、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施しており、本公開買付けに係る公正性が十分に担保されていると判断したことから、本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

上記各手法において算定された当社株式1株当たりの価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

 

市場株価平均法:485円から523円

DCF法     :816円から965円

 

市場株価平均法では、本公開買付けに関する当社取締役会決議の前々営業日にあたる2024年5月29日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値485円、基準日までの直近1ヶ月間(2024年4月30日から2024年5月29日まで)の終値単純平均値492円、基準日までの直近3ヶ月間(2024年3月1日から2024年5月29日まで)の終値単純平均値515円及び基準日までの直近6ヶ月間(2024年11月30日から2024年5月29日まで)の終値単純平均値523円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を485円から523円までと算定しております。

 

DCF法では、当社の2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業計画(以下「本事業計画」といいます。)、一般に公開された情報等の諸要素を前提として当社が2025年3月期より将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、事業リスクを考慮した適切な割引率で現在価値に割り引いて当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を816円から965円と算定しております。なお、DCF法で前提とした本事業計画において、計画期間を通じて大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2024年3月期実績において、ランプ事業、製造装置事業ともに主力製品が順調に推移したことにより、営業利益は14億72百万円となりましたが、2025年3月期においては、ランプ事業の露光装置用光源ユニット用ランプ等において一時的な供給増が落ち着くものと見込んでいることから、2025年3月期の営業利益が大幅な減益(前年対比33.4%減)を見込んでおり、また2024年3月期に、大口案件における前受金が当該期末に一時的に集中したこと、投資有価証券の売却による特別利益の計上に伴い未払法人税等が例年より増加した一方で、2025年3月期以降は運転資本を平準的な水準で予測していることから、2025年3月期においてフリー・キャッシュ・フローの大幅な減少を見込んでおります。また2026年3月期においては、運転資本の増減が小さくなることから、対2025年3月期でフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。また、本公開買付けの実施による影響を具体的に見積もることが困難であったことから、本事業計画は、本公開買付けの実行を前提としておりません。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本事業計画には加味されておりません。もっとも、本事業計画は、基本的には、本取引が行われることを前提としないスタンドアローン・ベースの事業計画ではあるものの、本事業計画において想定している施策の一部には、公開買付者と当社の間の取引関係又は協力関係によって実現の蓋然性がより高まるものも含まれていることから、そのような意味においては、本事業計画には、本取引によるシナジーの一部が織り込まれているとも評価できると考えられます。

 

② 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関であるプルータスに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、プルータスは公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。

プルータスは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、また、将来の事業活動を評価に反映するためにDCF法をそれぞれ算定方法として採用して当社株式の株式価値の算定を行い、公開買付者はプルータスから2024年5月30日付で株式価値算定書(以下「買付者株式価値算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、公開買付者は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の措置の実施を通じて、当社の一般株主の利益には十分配慮がなされていると考えられることから、プルータスから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。

プルータスによる当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。

 

市場株価法:477円から522円

DCF法   :797円から971円

 

市場株価法では、算定基準日を2024年5月30日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の算定基準日の終値477円、算定基準日までの直近1ヶ月間の終値の単純平均値492円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じとのことです。)、直近3ヶ月間の終値の単純平均値514円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値522円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を477円から522円までと算定したとのことです。

 

DCF法では、当社から提供され公開買付者が合理的と考える水準に修正した2025年3月期から2029年3月期までの事業計画、2024年2月上旬から同年4月上旬まで公開買付者において実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2023年3月期第4四半期以降に当社が将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことにより当社の企業価値や株式価値を評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を797円から971円までと算定したとのことです。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映していないとのことです。

 

公開買付者は、プルータスから取得した買付者株式価値算定書の算定結果において、市場株価法による算定結果を大きく上回ること、DCF法による算定結果のレンジの範囲内であることに加え、2024年2月上旬から同年4月上旬まで公開買付者において実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向(本公開買付けの公表日の前営業日である2024年5月30日の当社株式の終値(477円)、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値(492円)、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値(514円)、及び同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値(522円)及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2024年5月31日付の書面決議により、本公開買付価格を1株当たり825円とすることを決定したとのことです。

 

本公開買付価格825円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2024年5月30日の当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値477円に対して72.96%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じとのことです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値492円に対して67.68%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値514円に対して60.51%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値522円に対して58.05%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。

 

(4) 上場廃止となる見込み及びその事由

当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されていますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、当社株式は所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。

また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことですので、当該手続が実施された場合には、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、当社株式は所定の手続を経て上場廃止となります。なお、当社株式が上場廃止となった後は、当社株式を東京証券取引所において取引することができなくなります。

 

 

(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社を公開買付者の完全子会社とするための本取引の一環として本公開買付けを実施するため、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより当社株式の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、当社株式の全ての取得を目的とした本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。

 

① 株式売渡請求

公開買付者は、本公開買付けの成立後、公開買付者の所有する当社の議決権数が当社の総株主の議決権数の90%以上となった場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第179条に基づき、当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全てを売り渡すことを請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。本株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を本売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して本株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により本株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、本売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、本株式売渡請求において定めた取得日をもって、本売渡株主からその所有する当社株式の全てを取得するとのことです。そして、公開買付者は、本売渡株主に対し、本売渡株主の所有していた当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。なお、当社は、公開買付者より本株式売渡請求がなされた場合には、当社取締役会において本株式売渡請求を承認する予定です。

本株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、本売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 

② 株式併合

本公開買付けの成立後、公開買付者の所有する当社の議決権数が当社の総株主の議決権数の90%未満である場合には、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、当社に対し、(ⅰ)会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び(ⅱ)本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を、2024年9月を目途に開催することを要請する予定とのことです。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。この場合、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条及び第234条第2項乃至第5項その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付される予定とのことです。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった当社の各株主(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。また、本株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者が当社株式の全てを所有することとなるよう、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう当社に要請する予定とのことです。なお、当社は本公開買付けが成立した場合には、結果的に、本公開買付価格について、当社の株主の皆様の多数の賛同が得られたと評価できるため、かかる事実を勘案し、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。

 

本株式併合に関する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、当社の株主は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 

上記①及び②の各手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性がありますが、その場合でも、本公開買付けに応募しなかった当社の各株主(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者が当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。

なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任において税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

本書提出日現在において、公開買付者は、当社株式を所有しておらず、本公開買付けは、支配株主による公開買付けには該当いたしません。また、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することは予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)取引にも該当いたしません。もっとも、本公開買付けの結果、公開買付者が当社の支配株主となった場合、本公開買付け後に予定されている本スクイーズアウト手続(上記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。)は、支配株主による従属会社の買収に該当するところ、本取引はこれらが一連の取引としてなされるものであることに照らし、本取引の公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益相反を回避すべく、公開買付者及び当社は以下の措置を講じております。

なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

 

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関であるプルータスに対して、当社の株式価値の算定を依頼し、2024年5月30日付で買付者株式価値算定書を取得したとのことです。公開買付者がプルータスから取得した当社の株式価値の算定結果に関する買付者株式価値算定書の詳細については、上記「(3) 算定に関する事項」の「② 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。

 

 

② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてKPMGを選任し、当社株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2024年5月29日付で本株式価値算定書を取得しております。本株式価値算定書の概要については、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。

なお、KPMGは、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。

 

③ 当社における独立した法律事務所からの助言

当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、公開買付者及び当社から独立した法務アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。

なお、TMI総合法律事務所の報酬については、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、TMI総合法律事務所は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。

 

④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
(ⅰ) 設置等の経緯

上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社取締役会は、公開買付者からの2024年1月17日付の本意向表明書の提出を受け、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性等を排除し、その公正性を担保することを目的として、2024年2月22日開催の当社臨時取締役会における決議により、公開買付者及び当社との間に利害関係を有しない、名倉啓太氏(当社社外取締役)、木下玲子氏(当社社外取締役)、四宮章夫氏(当社社外監査役)、鈴木智子氏(当社社外監査役)の4名から構成される特別委員会を設置いたしました。なお、特別委員会の委員は設置当初から変更しておりません。

その上で、当社は特別委員会に対し、本諮問事項について諮問いたしました。また、当社取締役会は、特別委員会の設置にあたり、本取引に関する意思決定を行うに際して、特別委員会の判断を最大限尊重して意思決定することを決議しました。更に、当社取締役会は、特別委員会に対し、(ⅰ)本取引に係る調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、本諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明を求めることを含む。)を行うことができる権限、(ⅱ)当社に対し、(a)特別委員会としての提案その他の意見又は質問を提案者に伝達すること、及び(b)特別委員会自ら提案者(本取引に関与するその役職員及び本取引に係るそのアドバイザーを含む。)と協議する機会の設定を要望することができる権限、(ⅲ)当社が選任したアドバイザーの独立性に問題があると判断した場合、当社が選任したアドバイザーを承認しないことができ、その場合、当社は特別委員会の意向を最大限尊重しなければならないものとする権限、(ⅳ)特に必要と認めるときは、当社の費用で、特別委員会独自のアドバイザーを選任することができる権限を付与することを決議しております。

なお、特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定報酬を支払うものとしており、本取引の成否等を条件とする成功報酬は採用しておりません。

 

 

(ⅱ) 検討の経緯

特別委員会は、2024年2月22日から同年5月28日までの間に合計10回、合計約12時間にわたって開催されたほか、各会日間においても頻繁に電子メールやWeb会議を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項に係る職務を遂行しております。

具体的には、特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるKPMGについて、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、特別委員会としてもKPMGから専門的助言を受けることに異議がないことを確認し、当社の法務アドバイザーであるTMI総合法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認しております。

また、特別委員会は、2024年4月8日、公開買付者及び当社から独立した独自の法務アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を選任する旨を決定いたしました。特別委員会は、中村・角田・松本法律事務所について、その専門性・実績等並びに公開買付者及び当社からの独立性に問題がないことを確認しております。

その上で、特別委員会は、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。

特別委員会は、KPMGから受けた財務的見地からの助言を踏まえつつ、当社が作成した本事業計画の内容及び作成経緯等について合理性を確認しております。当社は、特別委員会による本事業計画の確認を踏まえ、公開買付者に提示しております。その上で、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、KPMGは、本事業計画を前提として当社株式の価値算定を実施しておりますが、特別委員会は、KPMGから、当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、質疑応答を行い、その算定結果について検討した上で、これらの事項について合理性を確認しております。

また、特別委員会は、公開買付者に対し、本取引を実施する意義、目的・理由等、本取引によるシナジー等、本取引の手続・条件等、本取引後の当社の経営方針等について、公開買付者の経営陣らから直接説明を受け、質疑応答を行っております。

加えて、特別委員会は、当社の代表取締役社長である佐藤良久氏に対し、本取引の意義等、本取引後の当社の経営方針等、本取引の条件等について質疑応答を行っております。

 

また、特別委員会は、2024年4月16日に当社が公開買付者から本公開買付価格を1株当たり675円(2024年4月15日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値495円に対して36.36%のプレミアムを加えた価格)とする最初の提案を受領して以降、当社が公開買付者から公開買付価格についての提案を受領する都度、当社及び当社において交渉を担当するKPMGから適時にその内容及び交渉経過等について報告を受け、KPMGから聴取した財務的見地からの意見も踏まえてその内容を審議・検討を行いました。また、KPMGから公開買付者に対する交渉方針及び回答書について事前に説明を受け、必要に応じて意見を述べ、質疑応答を行った上で承認し、KPMGに対して指示・要請を行う等、本取引の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与しました。その結果、当社は、2024年5月15日、公開買付者から本公開買付価格を1株当たり825円(2024年5月14日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値500円に対し65.00%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値485円に対し70.10%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値527円に対し56.55%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値523円に対し57.74%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とすることを含む提案を受領し、公開買付者として提案可能な最大限の価格であり、合理性のある水準にある妥当な価格であると考えているとして本公開買付価格を825円とする旨の最終提案を受けた2024年5月21日まで、協議・交渉を行い、結果として、計2回、最初の価格提案から22.22%(小数点以下第三位を四捨五入。)の価格の引上げを受けるに至っております。

 

 

(ⅲ) 判断内容

以上の経緯で、特別委員会は、KPMGから受けた財務的見地からの助言、並びに2024年5月29日付で提出を受けた本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、同日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。

 

(a) 答申内容

ⅰ 本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的は合理的である。

ⅱ 本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含め、本取引に係る取引条件については、当社が当社の株主の皆様に本公開買付けに応募するよう推奨する水準には及ばないものの、当社が本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、応募するか否かについて当社の株主の皆様のご判断に委ねる等の本取引についての決定を行うに当たって必要となる妥当性を満たしているものと認められる。

ⅲ いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含め、本取引の手続の公正性は確保されている。

ⅳ 上記ⅰからⅲまでを踏まえ、当社取締役会による本取引を行うことの決定(当社が本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募するか否かについて当社の株主の皆様のご判断に委ねる旨の本公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)は、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」に相当する議決権の数を上回る株数を買付予定数の下限とする本件公開買付け成立後に、当社の少数株主には少なくも本公開買付価格を下回らない価格で当社株式を換価する機会が確保されていると認められること等から、不利益ではないと考えられる。

 

(b) 答申理由
ⅰ 本取引の目的の合理性(本取引は当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項
(1) 本取引により期待されるシナジーに関する当社の説明
ア 当社の予測しているシナジー

特別委員会は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ) 当社の意思決定の内容」に記載の当社が期待する本取引のシナジーについて、現在の当社が置かれた経営環境の中、公開買付者がいかなる企業価値向上の施策案を構想し、それがどの程度具体的で実践的か、それを実行に移すために本取引を実施する必要性はあるのか、本取引の実施が当社の事業上どのようなメリットをもたらすのか等を含めて、総合的に検証を行った。

当社の認識及び説明には、当社の従前の開示内容と矛盾した点や一見して客観的事実に反している点もなく、特に不合理な点は認められない。また、特別委員会の委員は、全員が当社の社外役員を務めているところ、これまで取締役会等において当社の経営陣と議論を積み重ねてきた当社の経営課題(相当のスピード感を持って既存事業の維持・拡大と新規事業の創出のための事業構造改革を実現する必要がある一方で、同時に上場会社として、上場コストを負担しつつマーケットからの資本効率性の要求等に応えていく必要もあること)や今後の企業価値向上の施策の方向性等とも軌を一にするものであって、一定の合理性を認めることができる。

 

イ 上場廃止が不可避であること

本取引は当社の上場廃止を伴うものであるところ、それが不可避なのかについて、当社からは上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ) 当社の意思決定の内容」に記載の説明を受けた。

また、特別委員会は、公開買付者からのヒアリングにおいても、公開買付者が本取引を提案するに当たっては、当社を完全子会社化することが大前提である旨の説明を受けている。

このような状況からすれば、当社を公開買付者の完全子会社とすることが不合理なものとはいえない。

 

 

ウ 本取引による当社へのデメリットの有無

さらに、特別委員会は、当社に対して、本取引による上場廃止に伴うデメリットについても確認したところ、当社からは、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ) 当社の意思決定の内容」に記載の説明を受けた。なお付言すると、公開買付者からは、本取引後も当社の従業員の雇用を維持する予定である旨の意思表示を受けた。

以上より、本取引を行うことで当社に生じるデメリットについて、本取引により期待されるシナジーを上回るものは見当たらないと考えることができる。

 

(2) シナジーに関する当社の説明と公開買付者の説明との一致

ところで本取引に伴うシナジーについて、本取引の当事者間における認識の齟齬がないかを確認する必要があるが、特別委員会が当社の2024年5月31日付のプレスリリース「株式会社RS Technologiesによる当社株券に対する公開買付けの開始に関する賛同の意見表明のお知らせ」についての本答申書作成時点でのドラフト(以下「当社プレスリリース」という。)及び公開買付者のヒアリングにより確認したところ、本取引に伴うシナジーに関する公開買付者の認識は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおりである。

このように、本取引のシナジーに対する公開買付者の認識と当社の認識との間に齟齬がないことが確認された。

 

(3) 小括

以上のとおり、当社における今後の課題認識について不合理な点はなく、また、本取引の実行後のシナジーが見込まれる要素についても一定の具体性のある説明がされており、当社側の説明と公開買付者側の説明とで、矛盾している点や大きな認識の齟齬もない。

したがって、本取引が当社の企業価値向上に資することが認められるほか、本取引が上場廃止を伴う点もやむを得ないものと認められる。

以上からすれば、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、その目的は合理的であると認められる。

 

ⅱ 本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)に関する事項
(1) 検討のアプローチ

経済産業省作成の2019年6月28日付「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「M&A指針」という。)は、特別委員会に対して、M&Aにおける条件の妥当性の検討に当たって、①買付者との取引条件に関する協議・交渉過程において、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況を確保すること、②取引条件の妥当性の判断の重要な基礎となる株式価値算定の内容と、その前提とされた財務予測や前提条件等の合理性を確認すること、③買収対価の水準だけでなく、買収の方法や買収対価の種類等の妥当性についても検討することを求めている(M&A指針3.2.2)。

また、経済産業省作成の2023年8月31日付「企業買収における行動指針」(以下「買収行動指針」という。)も、取締役会が買収に応じる方針を決定した場合には、株主が享受すべき利益が確保される取引条件で買収が行われることを目指して合理的な努力を行うべきであると指摘しており(買収行動指針3.2.1)、これは上記①と同趣旨の指摘である。

そこで、特別委員会としても、上記①②③を通じて、本取引における条件の公正性(妥当性)の検討を行う。

 

 

(2) 交渉状況の確保

まず、「一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況の確保」について、本取引においてはそもそも当社と公開買付者は独立した存在にある。したがって、当社の取締役はもともと善管注意義務の一環として公正価値移転義務を負っており、利益相反によってその善管注意義務が十分に履行されないおそれがあるといった類型的な危険性は存在しない。

その上で、本公開買付価格は、当社がKPMGの助言を受けながら数回に亘る値上げの要請を行う形で行われ、最終合意に至ったものである。その一連の交渉経緯について、特別委員会でも随時報告を受けたが、当社の業務執行取締役において、不適切な交渉態度で交渉をしていたといった事実は認められない。

以上からすれば、本取引の条件は、当社と公開買付者との間における独立当事者間同士での議論を踏まえた結果決定されたものであることが推認され、決定プロセスの透明性や公正性を疑わせるような事情は見当たらなかった。

なお、本公開買付価格は当社の1株当たり簿価純資産を下回る条件であるが、後述するように、本取引においては間接的な形でマーケット・チェックが採用されており、本公開買付けの期間中に他の潜在的な買収者が公開買付者を上回る条件での対抗提案を行うことが可能な環境も構築されている。

したがって、本取引が、当社の採り得る手段の中で最善であるかどうかは、以上のようなマーケット・チェックを経ることによって担保されるものである。

 

(3) 株式価値算定と本公開買付価格の関係
ア 事業計画

本公開買付価格の公正性・妥当性の検討に当たっては、KPMGによる算定結果が中心的な資料となるが、これらはいずれも本事業計画を基礎資料としているから、本事業計画が信用するに足りるかどうかが最初に問題となる。

この点、特別委員会は、本事業計画についても、その作成方法・作成過程及び内容(事業計画が過度に保守的な見積もりに基づくものとなっていないことを含む。)について、当社に対して必要な質問を行うなどの検討を経て、本事業計画が意図的に当社の株式価値評価を押し下げるために抑制されていないかを検証し、その合理性を承認した。

なお、本事業計画は、本取引が行われることを前提とするシナジー等を織り込んでいない、スタンドアローン・ベースの事業計画となっている。もっとも、一般にM&A取引においては、特に被買収側がM&A取引によるシナジーを定量的に見込むことは難しいという事情があり、例えば間接部門のコストカットシナジー等については、被買収側で確度のある分析を行うことは不可能である(M&A指針の31頁脚注52も同旨)。

したがって、本取引でも、スタンドアローン・ベースの本事業計画が算定の基礎とされていることも、不合理ではない。

以上からすれば、本事業計画については、策定プロセスの観点や、その策定方法のいずれからみても、公開買付者の恣意的な圧力が介在した事実は認められず、合理的なものと認められる。

 

イ 算定方法

本取引に関してはKPMGが当社株式の株式価値算定を行っているが、同社が採用した評価手法は、継続企業を前提とした企業価値評価手法(市場株価平均法及びDCF法)であり、企業評価の標準的なアプローチに沿ったもので妥当である。

 

 

ウ 当社株式に関する株式価値評価

以上を前提に、本事業計画を踏まえた当社株式の株式価値に関する具体的な算定の結果を検討すると、KPMGが作成した本株式価値算定書によれば、各算定方法による当社株式の株式価値は、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(ⅱ) 当社株式に係る算定の概要」に記載のとおりである。

上記のとおり、本公開買付価格である1株当たり825円という価格は、(ⅰ)市場株価平均法の算定結果の上限を超えており、かつ、(ⅱ)当社の株式の本源的価値を表すDCF法の算定結果の範囲内にある。なお、上述のとおり、当社の1株当たり簿価純資産は本公開買付価格を上回る。

 

エ プレミアムの検討
(ア) プレミアム

次にプレミアムについて検討すると、KPMGによれば、本公開買付価格は、2024年5月30日までの東京証券取引所における当社株式の終値に対して、それぞれ上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ) 当社の意思決定の内容」に記載のプレミアムを加えた金額となっている。

 

(イ) 他の案件との比較

その上で、本公開買付価格について、本取引と類似している案件(具体的には、M&A指針公表後2024年3月31日までに公表された、資本関係のない第三者間の公開買付けで、かつ、非公開化を前提としたもの(ただし同意なき公開買付けの事例及びディスカウントで行われた事例を除く。)である35件)について、次に掲げる事情を認めることができる。

 

プレミアム

平均値

中央値

公表の直前日の終値

57.4%

42.6%

公表の直前日の過去1ヶ月の平均終値

59.2%

41.6%

公表の直前日の過去3ヶ月の平均終値

60.1%

41.7%

公表の直前日の過去6ヶ月の平均終値

60.7%

45.2%

 

 

こうした他の類似案件と、本公開買付価格のプレミアム水準の比較の観点からみると、本公開買付価格は、いずれの期間をもっても中央値を上回るプレミアム水準にあり、かつ、公表の直前日の過去6ヶ月の平均終値以外との関係では平均値を上回るプレミアム水準にあるものと認められる。

 

 

(4) スキーム等の妥当性

続いて、M&A指針が求める、本取引の実施の方法や対価の種類の妥当性についても検討する(M&A指針3.2.2)。

まず、本取引では上限を設けない公開買付けが想定され、株式交換は想定されていないが、このスキームは一般的なものであり、また上限が設けられておらず強圧性も生じさせないので(買収行動指針3.2.2参照)、スキーム及び対価の種類のいずれの面からも、当社の少数株主に対して不利益を及ぼすものではない。

また、本取引の一環として本スクイーズアウト手続を行うという手段についても、本スクイーズアウト手続により交付される対価が本公開買付価格と同額となることが想定されていること(このことは当社プレスリリースでも宣言されている)及び本スクイーズアウト手続においては会社法上、価格に不満のある少数株主が裁判所に対して価格決定の申立てを行う権利が確保されていることからすれば、やはり当社の少数株主にとって不相当な点は見当たらない。

このような検討からすると、本取引の実施の方法や対価の種類は、妥当なものといえる。

 

(5) 本スクイーズアウト手続における対価

本公開買付けにおける本公開買付価格の妥当性については上記で様々な角度から検討してきたが、本取引においては、本公開買付けが成立した場合には、本スクイーズアウト手続が履践されることが想定されており、かつ、その本スクイーズアウト手続によって少数株主に交付される対価は、本公開買付価格と同額となることが想定されているから、本スクイーズアウト手続における対価の相当性についても別途検討する必要がある。

そこでこの点について検討すると、本取引において本スクイーズアウト手続が行われるのは、本公開買付けが成立し、その結果として公開買付者が当社の議決権比率の3分の2以上を保有するに至った場合であるから(本公開買付けにおける買付予定数の下限は、当社の議決権比率の3分の2に設定されている)、当社の株主の3分の2以上が本公開買付けに応募して初めて本スクイーズアウト手続が実施されるという構造になっている。

ところで、判例上、相互に特別の資本関係がない会社間において、株主の判断の基礎となる情報が適切に開示された上で適法に株主総会で承認されるなど一般に公正と認められる手続により株式移転の効力が発生した場合には、当該株主総会における株主の合理的な判断が妨げられたと認めるに足りる特段の事情がない限り、当該株式移転における株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率は公正なものであるとされている。

また、同じく判例上、大株主による公開買付け及びスクイーズアウトの事案において、利益相反の管理措置が講じられ、スクイーズアウト手続において交付される対価が公開買付けの対価と同額である旨が明示されているなど一般に公正と認められる手続により上記公開買付け及びスクイーズアウト手続が行われた場合には、特段の事情がない限り、裁判所は、スクイーズアウト手続における取得価格を公開買付価格と同額とするのが相当であるとされている。

これらの判例法理からすると、相互に特別の資本関係がない会社間で行われる本取引においても、手続の公正性が確保された上で(この点については、以下「ⅲ 本取引の手続の公正性に関する事項(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)」で詳述する)本公開買付けが開始され、その結果として当社株主の3分の2以上の賛同を得て本公開買付けが成立した場合には、本スクイーズアウト手続において本公開買付価格と同額の対価が少数株主に交付されることは、本スクイーズアウト手続の対価として妥当なものと認めることができる。

 

 

(6) 小括

以上のとおり、本公開買付価格については、下記のような事情が認められるところである。

① 上記(3)ウで述べたとおり、本株式価値算定書の市場株価平均法による算定の上限を超えており、かつ、DCF法による算定結果の範囲内にあること。

② 上記(3)エで述べたとおり、類似案件とのプレミアムの比較の観点からすると、いずれの期間をもっても、中央値を上回るプレミアム水準にあり、かつ、公表の直前日の過去6ヶ月の平均終値以外との関係では平均値を上回るプレミアム水準にあるものと認められること。

③ 上記(4)で述べたとおり、本取引の実施の方法や対価の種類は妥当なものであること。

④ 現時点で本取引に比肩する提案等の本取引の代替となり得る取引の具体的な提案は存在しないこと。

 

その一方で、本公開買付価格について、以下のような点も同時に指摘することができる。

① 本公開買付価格は、本株式価値算定書のDCF法による算定結果の下限にほぼ等しいこと。

② 本株式価値算定書のDCF法による算定結果は、本事業計画を算定の基礎としているところ、本事業計画はスタンドアローン・ベースで作成されていることからすると、本株式価値算定書のDCF法による算定結果は、本取引がなくても当社の株式が有している本源的価値を意味するから、本取引により期待されるシナジーのうち当社の少数株主に分配される部分は必ずしも多いものとはいえない水準であること(M&A指針においては、(a)「M&Aを行わなくても実現可能な価値」は、少数株主を含む全ての株主がその持株数に応じて享受すべきであり、他方で、(b)「M&Aを行わなければ実現できない価値」については、M&Aによって少数株主はスクイーズアウトされることとなるものの、少数株主もその価値のしかるべき部分を享受するのが公正であると指摘されている(M&A指針2.2.1)。このことからすると、本公開買付価格は、(a)については、本株式価値算定書のDCF法による算定結果の下限を下回らない意味で、充足しないとまでは言えない一方で、(b)については「しかるべき部分」を享受するものといえるのかについては、議論もあり得るところではないかと考えられる。)。

③ 本公開買付価格が1株当たり簿価純資産(2024年3月末日時点での簿価純資産額から、2024年3月期の期末配当予定額を控除した、配当権利落ち考慮後の1株当たり簿価純資産額である855円)を下回っていること。

④ 本取引に関しては、入札プロセス等の直接的なマーケット・チェックが行われたものではないこと。

 

以上のような要素も勘案すれば、特別委員会としては、本公開買付価格は、本公開買付けにおいて当社取締役会が応募推奨意見を述べるべき水準にまでは至らないと考えるものの、一方で、当社の現状の株価が本公開買付価格を大幅に下回る水準で推移していることから鑑みると、本公開買付け(ひいては本取引)が、当社の少数株主に対して、足許の市場価格を大きく上回る金額で株式を売却する機会を与えるものであることは事実であるから、当社が本取引に反対することによって、当社の株主からそのような機会を奪うべきではないとも考えられる。

したがって、特別委員会としては、当社が本公開買付けについて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様のご判断に委ねる旨を決定する予定であることに鑑み、本公開買付価格が、当社がそのような決定を行うに当たって必要となる程度の妥当性は有しているものと考える。

また、本スクイーズアウト手続における対価の相当性については、上記(5)で詳述したとおり、本スクイーズアウト手続が本公開買付けが成立して初めて行われるものであり、かつ、少数株主が本公開買付け又は本スクイーズアウト手続のいずれによって対価を得たとしても、本公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることからすれば、その妥当性を認めることができる。

 

したがって、結論として、本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含め、本取引に係る取引条件については、当社が当社の株主の皆様に本公開買付けに応募するよう推奨する水準には及ばないものの、当社が本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、応募するか否かについて当社の株主の皆様のご判断に委ねる旨の本取引についての決定を行うに当たって必要となる妥当性を満たしているものと認められる。

 

ⅲ 本取引の手続の公正性に関する事項(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)

次に、本取引において、公正な手続を通じた一般株主利益の確保が認められるか否かを、M&A指針で挙げられている公正性担保措置の採用・運用状況を確認することを通じて検討する。

(1) 特別委員会の設置

特別委員会は、当社の独立社外取締役2名及び社外監査役2名により構成される委員会である。

また、特別委員会は、当社より、本諮問事項について諮問を受けており、本諮問事項の検討に当たって、M&A指針で特別委員会が果たすべきとされている役割(具体的には、①対象会社の企業価値の向上に資するか否かの観点から、M&Aの是非について検討・判断するとともに、②一般株主の利益を図る観点から、(ⅰ)取引条件の妥当性及び(ⅱ)手続の公正性について検討すること)を実施している(M&A指針3.2.2)。

このほか、特別委員会では下記のような配慮がされている(M&A指針3.2.4参照)。

① 特別委員会は、本取引に係る取引条件が公開買付者と当社との間で決定される前の段階で設置されていること(M&A指針3.2.4.1)

② 特別委員会は、最も特別委員会の委員としての適格性があるとされる社外取締役と、社外取締役を補完するものとして適格性を有するとされる社外監査役のみによって構成されていること(M&A指針3.2.4.2、買収行動指針3.3)

③ 当社が公開買付者と本公開買付価格その他の諸条件について協議する場合には、事前又は事後速やかに特別委員会に確認を求めており、これにより、特別委員会は、適時に交渉状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保していること(M&A指針3.2.4.4)

④ 特別委員会は、当社及び公開買付者から独立した特別委員会独自のリーガル・アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を選任し、手続の公正性や企業価値評価に関する専門的知見に基づき検討・判断をしてきたこと(M&A指針3.2.4.5)

⑤ 本取引の経緯や想定されるシナジーは多岐に亘り、その全ての詳細を一般に公開することは難しいところ、特別委員会が、一般株主に代わり、重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行ったこと(M&A指針3.2.4.6)

⑥ 当社取締役会は、特別委員会に対する本諮問事項について決議するに際し、本取引に関する当社取締役会の意思決定は、特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとしていること(M&A指針3.2.5、買収行動指針3.3)

以上のような特別委員会の設置及び運用の状況からすれば、特別委員会は公正性担保措置として有効に機能していると認められる。

 

(2) 当社における意思決定プロセス

当社においては、本公開買付けに係る決議にあたり、取締役4名及び監査役3名全員が審議及び決議をすることが想定されている。

当社と公開買付者との間においては資本関係がなく、当社の取締役のうち公開買付者との兼務者その他公開買付者との利害関係を有している者がいないことからすれば、かかる判断に不合理な点は見当たらない。

以上からすれば、当社における意思決定プロセスに、公正性に疑義のある点は見当たらない。

 

 

(3) 外部専門家の専門的助言等の取得
ア 法務アドバイザーからの助言の取得

当社取締役会は、意思決定につき、TMI総合法律事務所の弁護士から助言を受けている(M&A指針3.3.1)。

 

イ 第三者評価機関からの株式価値算定書の取得

当社取締役会は、本公開買付価格の公正性を担保するために、第三者算定機関であるKPMGから、当社株式の株式価値に関する資料として、本株式価値算定書を取得している(M&A指針3.3.2.3)。

 

(4) マーケット・チェック

本公開買付けの買付期間は、30営業日に設定されている。これは、公開買付期間を比較的長期に設定することにより、本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者以外にも当社株式の買付け等を行う機会を確保するものと認められる。

また、当社と公開買付者との間において、取引保護条項を含む対抗的買収提案者との接触を制限する旨の合意は行われていない。

このように、本件では、公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築した上でM&Aを実施することによる、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施されている(M&A指針3.4.2)。

特別委員会としても、本取引においては入札プロセスが経られているわけではなく、入札プロセスにおけるような価格交渉がなされたとまでは言いがたいことに照らすと、上記のような間接的な形でマーケット・チェックを実施することによって、本取引の公表後に対抗的な提案が行われ、それが魅力的な提案であれば当該提案についても当社として検討する余地を残しておくことが、少数株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることに資するものと考える(M&A指針3.4.1)。

 

(5) マジョリティ・オブ・マイノリティ

本公開買付けの買付予定数の下限は、公開買付者と利害関係を有さない当社の株主が所有する当社株式の数に係る議決権の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」に相当する議決権の数を上回る数に設定されている。

M&A指針においても、マジョリティ・オブ・マイノリティは、少数株主による判断機会の確保をより重視することにつながり、かつ、少数株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることに資するものであり(M&A指針3.5.1)、公正性担保措置の一環として高い効果を有するものと評価されている(M&A指針3.5.2)。

このことからすれば、本件においても、本公開買付けにおける上記のような下限の設定は、本取引の公正性をより一層担保するものであると認められる。

 

 

(6) 一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上

M&A指針では、一般株主のインフォームド・ジャッジメントが重視されており、そのために、一般株主が取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料を提供することが推奨されている(M&A指針3.6.1)。

具体的には、M&A指針において充実した開示が期待される情報としては、①特別委員会に関する情報、②株式価値算定書に関する情報及び③その他の情報が挙げられている(M&A指針3.6.2)。

まず特別委員会については、M&A指針で(a)委員の独立性や専門性等の適格性に関する情報、(b)特別委員会に付与された権限の内容に関する情報、(c)特別委員会における検討経緯や、交渉過程への関与状況に関する情報、(d)特別委員会の判断の根拠・理由、答申書の内容等の開示が望ましいとされているが(M&A指針3.6.2.1)、当社プレスリリースにおいて、これら(a)から(d)の要素が記載されている。

次に株式価値算定書については、特にDCF法について、算定の前提とした当社のフリー・キャッシュ・フロー予測、及びこれが当該M&Aの実施を前提とするものか否か等が例示されているが(M&A指針3.6.2.2)、当社プレスリリースにおいて、本株式価値算定書についての算定の概要が開示されている。

最後にその他の情報についても、M&Aの実施に至るプロセスや交渉経緯についても、当社プレスリリースにおいて、充実した記載がされているものと認められる(M&A指針3.6.2.3)。

 

(7) 強圧性の排除

本取引のうち本スクイーズアウト手続は、株式併合又は株式等売渡請求を用いるスキームにより実行するとされている。いずれのスキームを用いる場合でも、株主には、価格決定の申立てを行う権利が認められ、しかも、当社プレスリリースでその旨が明示的に開示されている。

さらに、当社プレスリリースでは、本スクイーズアウト手続は本公開買付け終了後速やかに行われること、本スクイーズアウト手続の際に少数株主に対して交付される金銭について、本公開買付価格と同一の価格とすることが予定されている旨が開示されている。

以上からすれば、本取引については、強圧性を排除するための対応が行われていると認められる(M&A指針3.7)。

 

(8) 小括

本取引では、そもそも資本関係のない独立当事者間において交渉が行われているから、少なくとも本公開買付けについては、M&A指針が想定しているMBOや支配株主による従属会社の完全子会社化のような取引と違って、利益相反性は低いものと考えられる。

そのような事情がありつつも、上記(1)から(7)までに記載のとおり、本取引においては様々な公正性担保措置が図られており、(ⅰ)独立当事者間の交渉状況の確保及び(ⅱ)一般株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保という視点(M&A指針2.4)のいずれの面から見ても、本取引にとって必要十分な内容での公正性担保措置が採用されている。

したがって、M&A指針において列記されている公正性担保措置について、それらをどの程度講じるべきかという観点を含めて、本取引においては、公正な手続を通じて当社の一般株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。

 

 

ⅳ 上記ⅰ乃至ⅲを踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本取引において公開買付けが実施される場合、当該公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)を決定することが当社の少数株主にとって不利益なものでないこと

当該事項は、本取引を行うことの決定が当社の少数株主にとって不利益となるか否かを問うものである。

特別委員会としては、上記ⅰ乃至ⅲまでで検討を要請されている事項が、当該事項を検討する際の考慮要素になるものと考える。そして、特別委員会の審議の結果、上記ⅰ乃至ⅲまでについて、いずれも問題があるとは考えられないことは、本答申書で詳細に述べてきたとおりである。

以上から、特別委員会は、当該事項について、当社取締役会による本取引を行うことの決定(当社が本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募するか否かについて当社の株主の皆様のご判断に委ねる旨の本公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)は、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」に相当する議決権の数を上回る株数を買付予定数の下限とする本件公開買付け成立後に、当社の少数株主には少なくも本公開買付価格を下回らない価格で当社株式を換価する機会が確保されていると認められること等から、不利益ではないと考えられる旨の意見を答申する。

 

⑤ 特別委員会における独立した法律事務所からの助言

特別委員会は、上記「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を担保するために講じるべき措置、並びに本取引に係る特別委員会の審議の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。

なお、中村・角田・松本法律事務所は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、中村・角田・松本法律事務所の報酬については、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。

 

⑥ 当社における独立した検討体制の構築

当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社の一般株主の皆様の利益を確保する観点から、公開買付者から独立した立場で、本公開買付けに係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築しております。

具体的には、本意向表明書を受領した2024年1月17日以降、公開買付者から独立した当社の常務取締役1名、経理財務や法務等を担当する従業員2名の計3名からなる検討体制を構築し、特別委員会と共に、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む取引条件に関する交渉過程、及び当社株式の価値評価の基礎となる当社の事業計画の作成過程に専属的に関与し、本公開買付けの公表日までかかる取扱いを継続しております。

上記体制の下、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、TMI総合法律事務所から受けた法的助言、KPMGから受けた財務的見地からの助言並びに当社株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本答申書において示された特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引の取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討いたしました。その結果、当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本取引が当社の企業価値の向上に資するものである一方、上記「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」記載の特別委員会の見解を最大限尊重して、株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することはせず、本公開買付けに応募するか否かは当社の株主の皆様のご判断に委ねる旨の決定をいたしました。

 

 

⑦ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見

当社取締役会は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、TMI総合法律事務所から受けた法的助言、KPMGから受けた財務的見地からの助言並びに本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本答申書において示された特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引の取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討いたしました。

その結果、当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するものであると考えられる一方、本公開買付価格である825円は、当社株式の現在の市場価格に対するプレミアムが支配関係のない会社同士かつ完全子会社化を目的とした公開買付けの他の同種事例と比べても遜色ないプレミアム水準が確保されていると考えており、当社の一般株主に対し投資回収機会を提供する観点で合理性を欠く水準にあるとはいえず、当社の一般株主に投資回収機会を提供する観点では一定の合理性があると評価できるものの、上記「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、当社の特別委員会より、本公開買付価格は、本公開買付けにおいて当社取締役会が応募推奨意見を述べるべき水準にまでは至らないと考える旨の見解を含む答申書を受領していることから、当社取締役会では、特別委員会の当該見解を最大限尊重し、2024年5月31日開催の当社取締役会において、当社の取締役4名の全員において審議の上、全員一致で、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様のご判断に委ねる旨を決議いたしました。

また、上記2024年5月31日開催の当社取締役会には、当社の監査役3名が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。

 

⑧ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置

公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)を30営業日に設定しているとのことです。このように、公開買付期間を法定の最短期間より長期に設定することにより、当社の株主の皆様が本取引の是非や本公開買付価格の妥当性について熟慮し、本公開買付けに対する応募の是非について適切な判断を行うための期間を提供しつつ、対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保することも企図しているとのことです。

また、公開買付者及び当社は、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととしています。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。

 

⑨ マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)条件を満たす買付予定数の下限の設定

上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本書提出日現在、公開買付者は当社株式を所有していないところ、本公開買付けにおける買付予定数の下限(12,098,600株、所有割合:66.67%)は、当社決算短信に記載された2024年3月31日現在の当社の発行済株式総数(22,806,900株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(4,659,041株)を控除した株式数(18,147,859株)の過半数に相当する株式数(9,073,930株、所有割合:50.00%)を上回っているとのことです。すなわち、公開買付者と利害関係を有しない当社の株主の皆様の過半数の賛同が得られない場合には本公開買付けは成立せず、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」条件を充たしたものとなっており、当社の株主の皆様の意思を重視したものであると考えているとのことです。

 

(7) 公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項

該当事項はありません。

 

 

4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

 

氏名

役職名

所有株式数(株)

議決権の数(個)

佐藤 良久

代表取締役社長

73,939

739

秋葉 泰

常務取締役社長室室長

45,666

456

名倉 啓太

取締役

木下 玲子

取締役

鬼塚 達哉

常勤監査役

四宮 章夫

監査役

鈴木 智子

監査役

7名

119,605

1,195

 

(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。

(注2) 取締役の名倉啓太及び木下玲子は、社外取締役であります。

(注3) 監査役の四宮章夫及び鈴木智子は、社外監査役であります。

 

5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

該当事項はありません。

 

6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

該当事項はありません。

 

7 【公開買付者に対する質問】

該当事項はありません。

 

8 【公開買付期間の延長請求】

該当事項はありません。

以 上