当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、以下に掲げる「企業理念」を経営の基本方針として、法令遵守はもとより、当社が社会的存在であることを常に意識した活動を推進しております。
企業理念
Mission:洗練された製品・サービスの創造を通じ、世の中の革新に貢献しよう
Vision :先端テクノロジー企業として、グローバルに活躍することを目指そう
Values :顧客の満足を第一としよう
プロフェッショナルとして挑戦することを楽しもう
多様性を尊重し、仲間と、より大きな事を為そう
スピードを上げよう
(2)目標とする経営指標
当社グループは、企業価値向上を意識した経営を推進しており、中長期的に資本コストを上回るROE(自己資本利益率)を達成することが経営上の重要な課題であると認識しております。このため、ROEを経営上の重要な指標として位置付けており、「ROE10%の達成」を目標に掲げております。当社グループでは資本コストを上回る収益性の確保に向けて、開発投資の経済合理性を検討する会議体を設置し、主要な開発プロジェクトごとに資本コストを意識した投下資本に対する収益性を検証することとしております。
また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載の通り、新規事業の確立が目下の課題であり、既存事業と新規事業の収益規模を中長期的に同程度まで引き上げることも目標に掲げております。セグメント別では、LSI開発販売関連セグメントは主力製品であるグラフィックスLSI及びメモリモジュール製品の販売個数及び市場シェア、新規事業関連セグメントはスタートアップ事業であることを鑑み、売上高の成長率をKPIとして事業評価の社内指標としております。
(3)経営者の問題意識と今後の方針について
現在の主力市場であるパチンコ・パチスロ機市場は成熟産業であり、株主の負託に応えた持続的な成長を実現させるためには、新規事業を確立させることが重要であると認識しております。現在当社グループでは、医療機器や産業用機器等の組み込み機器に向けたグラフィックスLSIの販売拡大に加え、AIやブロックチェーン等の先進技術を活用した新規事業領域における早期事業化に向けた活動に注力しており、これら事業の展開を加速させる観点から、組織再編やM&A、アライアンス等も積極的に検討していく必要性も認識しております。また、今後の事業規模の拡大や対象市場の多様化を踏まえて、業態や事業規模に対応した管理体制の整備及び品質保証体制の強化も重要であると考えております。
当社は、先端テクノロジー企業として、洗練された製品・サービスの創造を通じ、世の中の革新に貢献することを企業理念として掲げております。当社グループではコア・コンピタンスである研究開発力を存分に発揮し、現在の主たる市場であるパチンコ・パチスロ機市場に加えて、同市場に続く第二第三の柱を早急に確立させるための経営施策を実行してまいります。
(4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループでは持続的な成長のため、以下の課題に取り組んでまいります。
①パチンコ・パチスロ機市場での安定収益の確保について(LSI開発販売関連セグメント)
当社グループの主力市場であるパチンコ・パチスロ機市場(年間新台販売台数)は、2006年以降縮小傾向にありましたが、2020年度には市場が底打ち、その後は安定した市場規模を維持しております。一方で、当社製品を含む構成部材のリユース(再利用)の進展により、市場需要が縮小するという厳しい影響も受けています。しかしながら、同市場は当社グループ製品をはじめとする電子部品の需要が旺盛な巨大な市場であることに加え、当社グループにおいて事業化が可能な未参入領域も残されており、引き続き重要な市場であると考えております。同市場に向けましては、グラフィックスLSI及びメモリモジュール製品を中核製品とし、同製品を搭載した基板製品の展開、さらには同市場内における新たな領域への製品開発など製品の多様化を図ってまいります。また、顧客の開発負荷を軽減する開発支援環境の整備向上を図り、顧客とより密着した付加価値の高いソリューションを提供してまいりたいと考えております。このような施策を有機的に展開し、厳しい市場環境においても安定収益の確保と中長期的な成長を実現してまいりたいと考えております。
②新規事業の早期確立について(新規事業関連セグメント)
当社グループが株主の負託に応えた持続的な成長を実現していくためには、事業の多角化等による新たな収益機会の獲得が必要不可欠であると考えております。現在、事業の多角化に向けた取り組みとして、主にAI等の先進技術を活用した新規事業領域への進出に注力しております。また、医療機器や産業用機器等の組み込み機器に向けたグラフィックスLSIの販売拡大も行っております。このため、当社グループでは、事業の多角化を支える体制の強化や内部管理体制の充実を図りながら、事業の成長を加速するための戦略的な提携、M&A、及び事業投資の機会を積極的に探求しております。これらの取り組みにより、新たな市場での競争力を確立し、早期の事業確立と規模拡大を目指してまいりたいと考えております。
③知的財産権の保護・保全及び他社の知的財産権の侵害リスクを排斥するための取り組みについて
当社グループは、開発した各種技術に係る知的財産権の保護・保全に加え、当社グループの事業規模の拡大に応じて、他社の知的財産権の侵害リスクが高まるとの認識のもと、他社の権利を侵害しないための体制整備が重要な課題であると認識しております。以上の課題に対し当社グループでは、社長直轄の知的財産権全般にわたる担当部署を設置するとともに弁理士との緊密な関係構築や知的財産権に関する社内セミナーの開催といった取り組みを継続的に実施しております。今後におきましても、研究開発担当者、知的財産権を統括する部署及び弁理士との連携強化を進め、さらなる実効性の向上に努めてまいりたいと考えております。
④コーポレート・ガバナンスの充実について
当社グループは、継続的な企業価値向上及び持続可能な成長を実現するためには、コーポレート・ガバナンスの充実が重要であると考えており、業態、事業規模等に見合ったコーポレート・ガバナンス体制を適宜構築していくことが重要な課題であると考えております。
コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方
当社は、企業理念に定める「Mission」「Vision」「Values」の価値観を共有して事業に取り組む。また、この理念のもと、企業組織として社会的倫理観をもって事業活動を行うとともに、経営の健全性、透明性、効率性を高めることにより、企業価値の向上と持続可能な成長を目指す。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「企業理念」のもと、世の中の革新に貢献する洗練された製品やサービスを提供する先端テクノロジー企業として、環境・社会の課題解決に真摯に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献します。そして、様々なステークホルダーとの対話を通じて、社会に信頼される企業を目指すことを基本方針としています。また、AIやブロックチェーン等の先端技術の社会実装を通じて、持続可能な社会の実現に貢献できるよう、スピード感をもって事業活動に注力していきます。
(1)ガバナンス
当社では、組織横断的なメンバーで構成された“サステナビリティ推進プロジェクト”を中心に、アクセルグループのサステナビリティを巡る課題に取り組んでおります。マテリアリティについては、同プロジェクトメンバーを中心とした、従業員間のディスカッションを通じて、事業継続における重要課題を抽出し、取締役会での検討・確認を経て特定しております。また、当社では“サステナビリティ推進プロジェクト”を中心に、同取り組みに関する検討や協議した内容を定期的に取締役会に報告することとしております。取締役会では、報告された内容を審議するとともにモニタリングしていくことで、サステナビリティに関する課題に主体的に取り組むように努めております。
(2)戦略
当社では以下をマテリアリティとして特定しています。これらマテリアリティへの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上に注力していきます。
1:人的資本
「やりがい」と「成長実感」を生み出す エンゲージメントの向上
創立以来、最先端の技術開発に取り組み、顧客との良好な関係を構築し、洗練された製品を提供し続けてきた当社にとって、「人」は最も重要な資産です。従業員一人一人が働きやすく、やりがいや成長実感を持って職務を遂行できることが、より新しい価値を創出し続ける原動力となります。人的資本を企業活動の原動力そのものと捉えて、「エンゲージメント」の向上を経営上の重要な課題としています。
2:知的資本
常に技術革新・既存製品の性能向上や新しい独自技術の開発に取り組み、成長を図る
常に最先端の技術トレンドを捉え、技術革新を行い、既存製品の性能向上や独自技術の開発に取り組むことができる技術力を保持しています。また、その高い技術力を、洗練された製品・サービスの創出につなげ、さらには顧客に対して“きめ細かな提案”を可能とし、盤石な信頼関係を構築できる点に競争力があります。この競争優位性を今後も継続して保持することを経営上の重要な課題としています。
3:社会関係資本
パートナーや顧客を含めた バリューチェーンの維持・強化
顧客・取引先、従業員、社会・環境、株主といった全てのステークホルダーとの信頼関係を重視しています。たとえば顧客・取引先との関係性では、LSI開発販売領域において、「顧客から真っ先に相談いただける関係」が構築できており、その盤石な信頼関係は当社にとって重要な資産と捉えています。このような信頼性の構築は、当社事業の継続においては、様々な領域で必須と考えており、そのためバリューチェーンの維持・強化やパートナーとの連携を経営上の重要な課題としています。
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
「人材」が企業の成長性の源泉であることを認識し、創業以来「人材」をかけがえのない経営資源として位置付け、従業員エンゲージメントを重視しています。多様性を尊重するとともに、従業員が生き生きと働くことができ、やりがいや成長実感を得られる環境整備に努めています。また、人材開発・教育に力を入れて取り組んでおり、従業員が自分の役割を理解して課題に挑戦し、仕事を通じて成長できるよう、また、一人一人が期待されるパフォーマンスを発揮できるよう、チーム内コミュニケーションの質の向上、および問題解決・課題達成のための思考力の向上につながるさまざまな教育研修を実施しています。また、人材育成に向けた社内環境整備として、以下の取り組みを推進しております。
・イントラネットによる情報発信
・経営層との対話
・働き方に関する制度整備と促進(在宅勤務制度など)
・社員の健康促進、心身の健康サポート(ストレスチェック実施)、産業医サポート
・社内外相談窓口
・各種セミナー案内
・社内イベントなど
(3)リスク管理
当社の業務遂行等にあたり想定されるさまざまなリスクの発生の事前予防、発生した場合の迅速かつ的確な対応及びその後の再発防止について、危機管理規程及びその他関連規程類で定め、被害、損害等を最小限に抑えるための体制を構築しています。サステナビリティに関するリスクについても、定期的に評価分析を行い事前予防に努めるとともに、対応策についての検討を定期的に行うこととしています。また、サステナビリティを巡る課題は、事業継続のリスクであると同時に、課題解決への取り組みはビジネスチャンスであることを認識し、リスクの低減に努めるとともに、社会課題の解決に努めることにより、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長の両立を目指します。
(4)指標及び目標
人材育成及び社内環境整備の方針に関する指標の目標値は、女性社員の採用数及び管理職に占める女性労働者の割合以外は具体的に定めておりませんが、当社グループの外国人社員を含め多様性や有休取得率等の状況を表す指標及び実績は、「
なお、人的資本に関する指標等の実績につきましては、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
LSI開発販売関連セグメントのリスク
①パチンコ・パチスロ機市場について
(ⅰ)市場動向(規模)について
LSI開発販売関連セグメントに含まれるパチンコ・パチスロ機市場は当社連結売上高の95%程度を占める市場であり、その市場動向は当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題 ①パチンコ・パチスロ機市場での安定収益の確保について(LSI開発販売関連セグメント)」に記載の取り組みにより、このような環境下においても一定の収益を確保できるビジネスモデルの構築に努めておりますが、同市場の規模が様々な要因により、大幅な縮小傾向を示した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)法的規制及び業界団体による自主規制について
当社グループが行う事業は直接の法的規制を受けておりませんが、当社グループの製品が搭載されるパチンコ・パチスロ機の製造、販売は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」及び関連諸法令による法的規制を受けております。また、法的規制以外にも、過度な射幸性を抑制する目的等から、業界団体が自主規制を行うことがあります。これら法的規制や新たな自主規制の実施により、パチンコ・パチスロ機の販売動向(規模)に大きな影響が出た場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅲ)特定製品への依存について
当連結会計年度において、同市場向けグラフィックスLSI及びメモリモジュール製品の売上高は、連結売上高の約82%(2025年3月期)を占めております。当社グループといたしましては、当該製品の高機能化や顧客の開発負荷を軽減するサポート体制の充実を図ること等により、同市場での差別化を図っております。しかしながら、他のメーカー等が当社グループ製品の性能を凌ぐ製品を擁して参入を果たした場合、又はその他要因により価格競争を強いられる状況等が発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅳ)製品展開について
当社グループでは、各種製品の高機能化や多機能化を推進することに加え、モジュール製品やLEDドライバLSIをはじめとする製品の多様化を図ることにより、同市場での事業の安定及び拡大を図っております。しかしながら、同市場における高機能化、多機能化のニーズが停滞・後退した場合、又は製品の多様化の展開に期待している成果が上がらない場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅴ)当社製品のリユースについて
近年、メーカーにおけるコスト意識の高まりから、当社グループの製品を含むパチンコ・パチスロ機の構成部材のリユース(再利用)が本格化しております。当社グループでは、顧客ニーズを充足する次世代製品の開発を行い新製品への移行を促進すること等により、リユースの影響を低減させたいと考えております。さらには同市場に向けた新たな領域への製品開発など製品の多様化を図ることにより、業績全体への影響を最小化させてまいりたいと考えております。しかしながら、次世代製品への移行が進展せずリユースの比率が大幅に高まった場合、又は製品多様化の展開に期待している成果が上がらない場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅵ)製造委託について
当社グループは水平分業型のビジネスモデルを採用しており、主に研究開発や営業戦略に特化した事業活動を行っております。従いまして、製品製造に関しては外部企業に委託することとなるため、当社グループにおいて製造委託は極めて重要な要素となっております。このような認識のもと、当社グループでは常に最適な製造委託先を確保するとの観点から、製品製造を委託する半導体メーカー等と良好な関係を構築し、維持していくことが重要と考えております。現在、製造委託先との関係も良好な状態にあり、ビジネスモデルの継続に支障を来す要因は発生しておりません。しかしながら、各製造委託先において十分な生産枠が確保できない場合や通常想定することができない事象により製造委託先に問題等が発生した場合、又は製造委託契約が終了した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、生産枠を確保し顧客への安定供給を継続するために、一部製造委託先と長期調達契約を締結しております。当該調達契約では契約期間における一定の調達数量の合意がなされております。当社グループでは顧客ヒアリング等をもとに十分な需要予測を実施したうえで、長期調達契約を締結しておりますが、今後の市場動向等により、当該契約において合意された調達数量と実際の需要動向が大きく乖離した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(補足)
経営上の重要な契約を締結している製造委託先につきましては、「5 重要な契約等」に記載の通りであります。これら製造委託先との契約には債務不履行時などの一般的な解除条項が定められておりますが、これまで当該解除条項に該当した事実はありません。
(ⅶ)製品製造について
昨今の半導体業界におきましては、ロシア・ウクライナ情勢に伴う原油や原材料価格の高騰により、製造コストは上昇傾向にあります。さらにはアメリカの通商政策によるサプライチェーンの混乱や製造コストへの影響が懸念されております。当社グループでは一部製品において販売価格への転嫁を進めておりますが、当該影響が長期化することにより、製造原価がさらに上昇し、製造原価の上昇に比して販売価格への転嫁が十分に行うことができない場合、又は製品製造にかかる期間が長期化することにより収益機会の損失等が顕在化した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅷ)販売体制について
当社グループは、販売代理店商社を介した事業活動を主に展開しており、中でも緑屋電気株式会社に向けた売上高は、連結売上高の50%を超える規模となっております。現在、緑屋電気株式会社をはじめとする各販売代理店とは良好な関係を構築しており、ビジネスに支障を来す要因は発生しておりません。しかしながら、今後各販売代理店との関係に問題が生じた場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(補足)
経営上の重要な契約を締結している販売代理店につきましては、「5 重要な契約等」に記載の通りであります。なお、販売代理店との契約には債務不履行時などの一般的な解除条項が定められておりますが、これまで当該解除条項に該当した事実はありません。
(ⅸ)棚卸資産の評価について
当社グループでは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、期末及び四半期末において、棚卸資産の適正な評価を実施しています。具体的には、期末時点の予定販売価額を正味売却価額とし、取得原価を下回る場合には帳簿価額を切り下げ、差額を売上原価として計上しています。また、販売実績のない滞留在庫や、販売実績のある製品でも一定の経過期間を超えた在庫については、社内で定めた基準に従い、規則的に帳簿価額を切り下げています。
今後、急激な市場環境の変動、顧客需要の不確実な変化、競争激化、技術革新等の影響により、棚卸資産の正味売却価額が帳簿価額を下回る場合や保有している製品に滞留が生じた場合、評価損を追加計上する必要が生じ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
新規事業関連セグメントのリスク
②事業の早期確立について
当社グループは、単一市場への依存度が高い事業活動のリスクを認識しており、パチンコ・パチスロ機市場以外での早期事業化を目指しております。現在、医療機器や産業用機器等の組み込み機器市場に向けたグラフィックスLSIに加え、AIやブロックチェーン等の先進技術を活用した新規事業領域における早期事業化に向けた取り組みにも注力しております。しかしながら、これら新たな事業の構築を目指している市場の規模が予想に反して小規模な場合、又は事業化の展開速度が極めて遅々としたものとなった場合、投下資本を回収できず当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。さらには、新規事業領域・新市場への参入にあたっては、その事業、市場固有のリスクが新たに加わる可能性があります。
全社共通のリスク
③会社がとっている配当政策について
当社の配当方針につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。当社におきましては、記載の方針に基づき配当額を決定しているため、各期の経営成績及び内部留保資金の状況等が配当額の算定に影響を及ぼす可能性があります。なお、1株当たり配当額の実績は、2023年3月期78円、2024年3月期81円となっております。また、2025年3月期は45円を予定しております。
④管理体制について
当社グループは、当連結会計年度末においてグループ従業員数は132名という会社規模であり、管理体制もこのような規模に応じたものになっているものと認識しております。また、当社グループはこれまでファブレス半導体メーカーとしての体制構築に最適化してまいりましたが、今後は新規事業の進展に伴い、人員増加への対応に加え、新たなビジネスモデルに対応した内部管理体制の整備も必要になるものと考えております。このような人員の増加や事業の拡大に応じて内部管理体制の整備が適宜適切に対応できなかった場合、当社グループの事業展開に制約が生じ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤研究開発について
(ⅰ)研究開発要員の確保について
当社グループでは、優秀で経験豊富な技術者を継続的に確保することを重要な課題と認識しております。しかしながら、機械学習/AI領域、アルゴリズム開発、グラフィックス関連技術及びLSI設計技術に携わる優秀な技術者は希少であり、その確保には困難が予想されます。このような理由から、必要とする技術者が計画通り採用できない場合、又は在籍している技術者が外部に流失した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)研究開発費について
当社グループは、先端プロセスを用いた各種LSI製品の研究開発にも注力しており、使用するプロセスの微細化に伴いLSIの開発コストは増大しております。そのため、開発した製品に期待した収益が十分に確保できない場合、又は複数のLSI製品に係る開発案件の検収タイミングが重なり、試作開発費等の費用計上が同時期に集中した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、研究開発費(連結)の実績は、2023年3月期1,552百万円、2024年3月期1,579百万円、2025年3月期1,547百万円となっております。
(ⅲ)技術革新について
当社グループが事業を展開する半導体開発やAI/機械学習、ブロックチェーン等の領域は、継続した技術革新を遂げております。当社グループでは、技術革新に対応するために、最新の技術動向や市場環境を的確に把握するための体制構築に加え、優秀な開発人員を継続的に獲得・育成すること等により、技術革新や技術革新に伴う顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、想定を超える技術革新等により事業環境が変化し、当社グループ製品の競争力が著しく低下した場合、又は顧客ニーズの急速な変化に対応できなかった場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑥製品の品質及び信頼性について
現在まで、当社グループの製品に対して製造物責任法又はその他の法律に基づく製造物責任に関する訴訟が発生した事実はありません。しかしながら、今後におきましても、このような訴訟が発生しないという保証は無く、さらに一般的に最終顧客等に損害を与える可能性を有する不具合を持つLSI製品等の提供を必ず回避できる保証はありません。製造物責任による損失は、大きなリスクであるとの認識のもとに、当社グループは社長直轄による品質保証を担当する独立した部署を設置するとともに、2005年7月におきましてISO9001:2000の認証を取得、2009年7月にはISO9001:2008、2017年7月にはISO9001:2015への更新を果たしております。しかしながら、上記のような取り組みにもかかわらず、当社グループの製品の不具合が原因で製造物責任を問われる事故等が発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑦知的財産権について
(ⅰ)知的財産権の保護・保全について
当社グループは、LSI製品又はその技術等に関して可能な限り知的財産権の登録出願等を行い、その知的財産の法的保護を図る方針でありますが、これらの保護が及ばない場合やその権利行使に困難が伴う場合において、類似の製品等が他社より開発販売され、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)知的財産権の侵害等について
当社グループは、製品の開発に当たり周辺特許を含む知的財産権への抵触の有無に関してクリアランス調査を実施し、知的財産権侵害等による係争を未然に回避するための措置を講じております。しかしながら、上記のクリアランス調査によっても完全に侵害の事実がない旨の検証は不可能であり、当社グループの事業に関連する知的財産権が第三者に成立した場合又は認識していない知的財産権が既に存在した場合等において、第三者の知的財産権を侵害したとの主張に基づく訴訟を提起される可能性があります。このような訴訟を提起された場合、その対応のために多大な時間や費用等の経営資源を当該訴訟に費やすこととなります。加えて、結果として当該訴訟において敗訴した場合、訴訟の対象となる技術を含む製品の販売を中止するとともに多額の損害賠償債務を負担することや権利者に対し実施権許諾等への対価の支払義務が生ずることなど、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑧固定資産の減損について
当社グループは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど有形・無形の固定資産を計上しております。これらの資産については、今後の収益動向や時価の下落等によって、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に帳簿価額を回収可能価額まで減損処理することが必要となる場合があります。これらの処理が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度において新規事業関連にかかる固定資産9百万円を減損損失として特別損失に計上しております。
⑨情報管理について
当社グループは、経営・管理情報、営業情報、技術情報、個人情報など事業遂行に必要な膨大な情報を有しております。当社グループは、これら情報に対するセキュリティレベルを向上するため、情報管理規程の制定、セキュリティ向上委員会による定期点検、情報セキュリティシステムの構築等を講じております。また、情報管理においては情報を取り扱う者の意識向上が重要であるとの認識のもと、外部セミナーや研修等により役職員の情報管理に対する意識向上に努めております。しかしながら、これらの体制構築等によっても情報流出の可能性を完全に排除することは困難であり、何らかの理由により重要情報が社外に流出した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑩大規模災害の発生について
当社グループは、巨大地震や大型台風等の自然災害や感染症の蔓延等の大規模災害に対する被害を最小限にとどめるため、必要な対応策の整備等を図っております。大規模災害が発生した場合においても、現在策定している災害発生時対応マニュアルやBCP(Business Continuity Planの略で事業継続計画のこと)に則り、即座に災害対策本部を設置することをはじめ、情報収集や被災レベルに応じた復旧対策を速やかに実行できる体制を構築しております。当社グループでは、これらの事前対策を行っておりますが、現実に大規模な災害等が発生した場合には、事業活動の中断や著しい縮小を余儀なくされ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑪為替変動に関するリスク
当社グループは、開発及び製品製造等についてのグローバル化を進めており、外貨による決済額が増加しております。また、円建てで取引される製品の一部においても、一定期間の為替相場をもとに円建ての仕入及び販売の価格設定が行われるなど、為替変動の影響を受けております。当社グループでは、為替予約を行うなど、為替変動の影響を最小限にする努力を行っておりますが、為替動向は当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の一部に足踏みが残るものの全体的な景気は持ち直しの動きがみられ、今後も緩やかな回復が期待されております。しかしながら、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や通商政策などアメリカの政策動向による影響などが景気を下押しするリスクとなっており、先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの主力市場であるパチンコ・パチスロ機市場は、スマート遊技機の普及が進む中で、次世代機種への期待は継続しているものの、全体としては一部に減速感も見られる一年となりました。パチスロ機市場は、前年にスマートスロットの人気を背景に市場が拡大した反動減の影響もあり、2024年度は販売台数が前年を下回る水準となりました。一方、パチンコ機市場は、スマートパチンコ専用の新ルールを搭載した機種の導入が継続する中で、前年並みの販売台数を維持しており、底堅い推移を見せております。その結果、当社の市場規模の目安となるパチンコ・パチスロ機の年間新台販売台数は、前期161万台に対して153万台程度だったものと推計しております。
かかる環境の中で当社グループは、パチンコ・パチスロ機市場での安定収益確保に向けた取り組み、組み込み機器市場に向けたグラフィックスLSIの販売拡大、さらにはAI領域を中心とする新規事業の規模拡大に向けた取り組みに注力いたしました。また、新規事業の展開を加速させる観点から、アライアンスや出資の検討等を積極的に実施いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は前期比2,325百万円減(同13.2%減)となる15,244百万円、売上総利益は同1,209百万円減(同21.6%減)となる4,388百万円となりました。売上総利益率は製品ミックスの変動による影響等により3.1ポイント低下となる28.8%となっております。販売費及び一般管理費は業績連動賞与の減額等に伴う人件費の減少に加え、広告宣伝費の減少等により、前期比244百万円減(同7.7%減)となる2,926百万円となりました。また、販売費及び一般管理費のうち研究開発費は同31百万円減(同2.0%減)となる1,547百万円となっております。
以上により、営業利益は前期比965百万円減(同39.8%減)となる1,461百万円、経常利益は前期比906百万円減(同37.0%減)となる1,542百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同792百万円減(同44.8%減)となる978百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次の通りであります。また、下記セグメントのほか、各セグメントに配分していない全社費用が654百万円となっております。
⑴ LSI開発販売関連
LSI開発販売関連は既存事業であるパチンコ・パチスロ機向け製品で構成されており、売上高は前期比2,133百万円減(同12.6%減)となる14,804百万円、セグメント利益は同1,077百万円減(同29.2%減)となる2,610百万円となりました。製品別では、主力製品であるパチンコ・パチスロ機向けグラフィックスLSIは、前期に比較して約13万個減少となる約51万個の販売となりました。また、新規販売ベースでのメモリモジュール製品は、前期を下回る販売数となりました。なお、当期末の同セグメントの受注残高は10,992百万円となっております。
⑵ 新規事業関連
新規事業関連は組み込み機器向けグラフィックスLSIに加え、AIやブロックチェーン等の先進技術を活用した新規事業領域に向けたスタートアップ事業であり、AI領域での売上高を中心に、売上高は前期比192百万円減(同30.4%減)となる440百万円、セグメント損失は同113百万円増(前期は381百万円の損失)となる495百万円となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末との比較で531百万円減少となる15,042百万円(同3.4%減)となりました。主な要因は、売掛金及び契約資産の増加(380百万円)、商品及び製品の増加(1,476百万円)、投資有価証券の増加(583百万円)に対し、現金及び預金の減少(3,315百万円)等であります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末との比較で655百万円減少となる2,026百万円(同24.4%減)となりました。主な要因は、未払法人税等の減少(539百万円)等であります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末との比較で124百万円増加の13,015百万円(同1.0%増)となりました。主な要因は、利益剰余金の増加(93百万円)等であります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は6,600百万円(前期比32.8%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりとなっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により支出した資金は1,575百万円(前期は653百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益(1,404百万円)、仕入債務の増加(184百万円)に対し、売上債権の増加(380百万円)、棚卸資産の増加(1,472百万円)、その他の流動資産の増加(218百万円)、その他の流動負債の減少(311百万円)、法人税等の支払額(964百万円)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により支出した資金は766百万円(前期は811百万円の支出)となりました。これは主に投資事業組合からの分配による収入(61百万円)に対し、有形固定資産の取得による支出(101百万円)、投資有価証券の取得による支出(717百万円)等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により支出した資金は873百万円(前期は755百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額(884百万円)等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は次の通りであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年増減率(%) |
|
|
(百万円) |
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LSI開発販売関連 |
16,260 |
△17.2 |
|
新規事業関連 |
194 |
△40.2 |
|
合計 |
16,454 |
△17.6 |
(注)1.金額は販売価額によっております。
2.上記の金額は、LSI製品及びLSI関連製品に対する金額を記載しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績は次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|||
|
受注高 (百万円) |
前年増減率 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年増減率 (%) |
|
|
LSI開発販売関連 |
11,253 |
54.2 |
10,992 |
△24.4 |
|
新規事業関連 |
359 |
7.1 |
263 |
△1.2 |
|
合計 |
11,612 |
52.2 |
11,256 |
△24.0 |
(注)1.金額は販売価額によっております。
2.LSI開発販売関連セグメントでは、一部製品において需要予測に基づく見込み生産を行っております。上記数値は見込み生産も含めたLSI製品及びLSI関連製品に対する受注実績を記載しております。また、新規事業関連セグメントは、組み込み機器向けLSI製品及びLSI関連製品に対する受注実績及び個別受託開発に対する数値を記載しており、IP製品等のロイヤリティは含めておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次の通りであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年増減率(%) |
|
|
(百万円) |
|
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LSI開発販売関連 |
14,804 |
△12.6 |
|
新規事業関連 |
440 |
△30.4 |
|
合計 |
15,244 |
△13.2 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
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緑屋電気株式会社 |
9,004 |
51.2 |
9,499 |
62.3 |
|
加賀FEI株式会社 加賀電子株式会社 |
4,853 2,170 |
27.6 12.4 |
2,407 2,470 |
15.8 16.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りであります。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「3 事業等のリスク」に記載の通りであります。
上記の通り、現在の主力市場は「LSI開発販売関連」セグメントに含まれるパチンコ・パチスロ機市場であり、売上高の95%程度を同市場向けの製品で占めております。現在、同市場は遊技人口の減少傾向に加え、法改正の影響もあり先行き不透明な状況が続いております。今後安定的な収益を確保し持続的な成長を実現していくためには、同市場の規模が縮小した中でも安定的な収益を確保するためのビジネスモデルの再構築に加え、同市場以外の新規事業を早急に開拓していくことが重要であると考えております。
③財政状態、キャッシュ・フローの分析
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②財政状態の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金需要)
当社グループは主にファブレスメーカーとして事業を展開しており、工場等の多額の設備投資を必要としないビジネスモデルを採用しております。現在の事業活動における資金需要の主なものは、販売費及び一般管理費に計上されるものであり、次世代製品の開発等にかかる研究開発費に加え、事業活動を支えるその他一般管理費等があります。当連結会計年度における販売費及び一般管理費の実績は2,926百万円となっております。また、新規事業の展開を加速させる観点からM&A等も積極的に検討しており、今後はそれに伴う資金需要の発生も見込まれます。
(財務政策)
現在の当社グループの収益構造はLSI開発販売関連セグメントに含まれるパチンコ・パチスロ機向け製品による収益が大半を占めており、当社グループの業績は当該市場環境の影響を強く受けるものと考えております。当社グループでは、事業ポートフォリオの多様化に取り組むなど、特定環境の影響を過度に受けないための施策に注力しておりますが、各期の業績のボラティリティが高くなる可能性も考慮し、全般として財務の健全性を保つことに比重を置いております。
当連結会計年度末における資金は、6,600百万円となっており、この資金は当連結会計年度末における連結貸借対照表上の現金及び預金残高5,000百万円と償還期限3ヶ月以内の合同運用による金銭信託1,600百万円で構成されております。当連結会計年度末における現金及び預金と有価証券の合計額に係る総資産構成比率は44%となっており、当連結会計年度末における資金残高は、財政状態の健全性を確保したうえで、機動的な経営活動及び積極的な研究開発活動を行うために当面必要と考えられる資金額として問題のない水準にあると分析しております。
⑤経営上の目標の達成状況について
当社グループは、「ROE10%の達成」を事業活動の指標として採用しております。当連結会計年度における連結ROEは7.6%となっております。引き続き資本効率を意識した経営を推進することで、ROE10%を達成することを目標にさまざまな経営戦略を実行してまいります。
なお、中長期的な会社の経営戦略は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載の通りであります。
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相手方の名称 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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緑屋電気株式会社 |
当社の特定用途向LSI、顧客専用LSIとその派生品種及び関連製品 |
日本国内における非独占的な 販売代理店契約 |
自2000年12月12日 至2001年12月11日 以降1年ごと自動更新 (注) |
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ルネサス エレクトロニクス 株式会社 |
LSIの開発及びその関連製品 |
開発委託基本契約 |
自2010年2月13日 至2011年2月12日 以降1年ごと自動更新 |
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Semiconductor Components Industries, LLC ON Semiconductor Trading Sárl |
LEDドライバーLSI製品 |
長期供給契約 |
自2023年2月15日 至2027年12月31日 |
(注)緑屋電気株式会社との間で1998年4月に当社製品の販売に関する業務提携をいたしましたが、販売代理店契約の締結は2000年12月12日となっております。
当社グループは、主に以下の研究開発活動に注力しており、当連結会計年度における研究開発費の総額は
LSI開発販売関連セグメント
グラフィックスLSIを中心としたLSI製品やメモリ製品、LSI製品の付加価値の源泉となる要素技術、さらには顧客満足度向上に寄与する開発環境ツール等の研究開発を行っております。
新規事業関連セグメント
エッジ推論に特化したAIフレームワークailia SDKやセキュアな環境下でバックオフィスの様々な業務をAIでサポートするDXアプリailia DX Insight等の研究開発を行っております。