当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ12.4%減少し、6,933億円となりました。為替レートが改善したものの、当社グループが推進している事業の選択と集中により、中小型パネル向け表示ドライバICなどの携帯端末および民生電子機器向けなどの半導体売上高が減少したことが主な要因であります。また、当社グループの主力事業領域である半導体売上高は、前連結会計年度と比べ10.3%減少し6,756億円となりました。当社グループの販売子会社が行っている半導体以外の製品の販売事業、当社グループの設計および生産子会社が行っている半導体の受託開発、受託生産などが含まれている、その他売上高は177億円となりました。
当社グループの主力事業である半導体売上高を、「自動車向け事業」、「汎用向け事業」およびこれらに属さない「その他半導体」に分類した、各々の売上高は次のとおりであります。
当連結会計年度における自動車向け事業の売上高は、前連結会計年度と比べ0.4%減少し、3,217億円となりました。主に「車載制御」の売上が増加したものの、「車載情報」の売上が減少したことによるものであります。汎用向け事業の売上高は、前連結会計年度と比べ17.9%減少し、3,494億円となりました。主に「産業・家電」の売上が横ばいで推移したものの、当社グループが推進している事業の選択と集中などにより、「OA・ICT」および「汎用製品」において売上が減少したことによるものであります。特に「汎用製品」においては、中小型パネル向け表示ドライバICを事業対象とする㈱ルネサスエスピードライバの全株式を平成26年10月1日付で米国Synaptics Incorporatedの欧州子会社に譲渡したため、前連結会計年度と比べ売上が減少しました。その他半導体事業の売上高は、前連結会計年度と比べ3.4%減少し46億円となりました。
当連結会計年度の営業利益は1,038億円となり、前連結会計年度と比べ6億円の減少となりました。これは、当社グループが推進している事業の選択と集中により売上高が減少したものの、構造改革施策の実行により売上総利益率などの収益構造が改善したことに加え、米ドル為替レートが改善したことなどによるものであり、前連結会計年度とほぼ同水準となりました。
当連結会計年度の経常利益は1,021億円となり、前連結会計年度と比べ32億円の減少となりました。これは、為替差益などの営業外収益が減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は863億円となり、前連結会計年度と比べ39億円の改善となりました。これは、平成26年10月の㈱ルネサスエスピードライバの株式譲渡により、同社に係る法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益が減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,263億円の収入となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益を908億円計上したこと、およびその中に含まれる減価償却費などの非資金損益項目を調整したことなどによるものであります。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、336億円の支出となりました。これは主として、有形固定資産の売却や貸付金の回収による収入があったものの、有形固定資産の取得による支出を430億円計上したことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは927億円の収入となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、303億円の支出となりました。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高と比べ547億円増加し、3,984億円となりました。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品群であっても、その性能、構造、形式などは必ずしも一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いことなどから、品目ごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注および販売の状況については「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析」における半導体売上高の主要な事業内容に関連付けて示しております。
なお、主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 比率(%) | 金額(百万円) | 比率(%) | |
㈱リョーサン | 108,843 | 13.8 | 99,033 | 14.3 |
(注) 上表金額には消費税等を含んでおりません。
前述「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおり、当期における当社グループの業績は、連結売上高が減少したものの、連結営業損益は前期とほぼ同水準を維持することができました。これは、当社グループが構造改革を着実に推進し、収益構造を改善したことなどによるものですが、当社グループとしては、今後の事業環境の変化にフレキシブルに対応し、安定的に事業運営を行うためには、より一層収益性を高めていくことが必要であると考えています。
そのため、今後、当社グループは、これまで取り組んできた「変革プラン」の成果を着実に刈り取るとともに、「さらなる効率的な生産構造への革新」、「注力事業への経営資源の集中的な投入」および「効率的な生産構造への革新と注力事業への経営資源の集中的な投入の推進を基礎づける体制の整備」という課題を実行してまいります。
(1) さらなる効率的な生産構造への革新
当社グループでは、「変革プラン」に基づき、これまで「生産効率の向上」、「市場の急激な変動に対するフレキシブルな生産体制の構築」および「優位化技術の保有によるコスト競争力のある自家工場の維持・継続」の実現に向けて、生産構造改革を遂行し、一定の成果を得ることができました。当社グループは、今後も、さらなる生産効率性の向上を志向し、様々な生産構造の革新に取り組んでまいります。
まず、当社グループでは、新規設備等と比較して生産効率が低い設備や生産プロセスで生産を継続している生産工場が一部存在しており、生産構造の最適化が必要な状況にあります。お客様からの中長期的なニーズに応えられるよう、さらなる生産効率の向上や生産コストの低減を通じた生産構造の最適化を不断に推進していく所存です。
また、当社グループは、生産活動の革新にも注力し、高品質・高信頼性製品の提供、高い生産性の確立およびリードタイムの短縮を目的として、生産工場のスマートファクトリー化を進めてまいります。具体的には、生産工場にAI(Artificial Intelligence)システムを導入し、個々の生産設備の動作をビッグデータとして蓄積・分析し、品質問題の未然防止、装置の予防保全、自動搬送システムの高度化、効率的な生産工場運営等を推進します。現在、当社グループの最先端の生産工場である那珂工場において、当社グループ製品である「R-IN」製品を用いたAIシステムを導入し、その実証実験を行っておりますが、今後は、その成果を活用したスマートファクトリー化を加速させていくことを検討してまいります。
(2) 注力事業への経営資源の集中的な投入
当社グループでは、「車載制御」、「車載情報」、「産業・家電」、「OA・ICT」および「汎用製品」という5つのアプリケーション群を当社グループが強みを持ち、競争力を発揮できる事業ドメインと位置づけています。当社グループは、それらの事業ドメインにおける安定的な利益成長の実現に向けて、製品や事業領域の選択と集中を加速することにより、製品ミックスの改善を行い、製品競争力の強化を図ります。
まず、当社グループは、当期においても引き続き非注力製品と定義した低収益製品群からの撤退などを進め、製品ミックスの改善を推進してきましたが、一方で注力製品中にも存在する低収益製品群についても、原価低減など利益改善に取り組んでいます。今後もこれらの事業ドメインにおいて確固たる強みを維持・強化できるよう、継続して、事業の選択と集中による利益成長の実現を目指します。
また、当社グループは、その強みである高品質・高信頼性を訴求でき、長期のライフサイクルを持つアプリケーション群に注力することにより、高い収益性を確保・維持できる事業構造の実現を目指します。具体的には、事業ドメインを当社グループの強みと収益性の観点からさらにブレークダウンし、全社的な視点で事業ポートフォリオを構築します。これにより、当社グループが注力すべき事業ポートフォリオを可視化し、そのポートフォリオへ経営資源を集中的に投入する一方、当社グループの目指す事業構造に適さないものについては、撤退に向けた施策を展開していきます。
また、当社グループは、技術開発力の維持・強化を図るため、各製品に共通して活用されるIP(設計資産)、設計技術、製造技術などの共通技術の中から、将来的な必要性・重要性、当社グループの技術的なポジションなどを考慮した技術ポートフォリオを構築し、当社グループが注力すべき重点共通技術を選定しました。当社グループは、それらの重点共通技術に経営資源を集中的に投入してまいります。
さらに、当社グループでは、事業・技術ポートフォリオの見直しを継続的に行い、多様な手段を視野に、当社グループの利益成長の実現に取り組んでまいります。
(3) 効率的な生産構造への革新と注力事業への経営資源の集中的な投入の推進を基礎づける体制の整備
当社グループでは、前述した効率的な生産構造への革新と注力事業への経営資源の集中的な投入を推進するにあたり、従業員の能力開発・組織活性化とIT環境の刷新をグローバルに展開していきます。
具体的には、当期において海外グループ会社に導入を開始した人事諸制度やKPI(Key Performance Indicator:重点業績評価指標)に基づく業績評価制度について、さらなる展開・浸透を図っていきます。また、物流、SCM(Supply Chain Management)、販売会社、生産工場等との情報の整流化をはじめとしたBPI(Business Process Integration)の見直しやスマートワークスタイル化を推し進め、これらの実現に必要となるIT環境を刷新してまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクとして、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市況の変動
当社グループは、世界各国の景気循環、最終顧客の製品の需要の変化などに起因する、半導体市場の市況変動の影響を受けております。当社グループでは、常に市況の動向を見極めながら事業活動を遂行しておりますが、その影響を完全に回避することは困難であるため、市況が下降した局面においては、製品需要の縮小、生産・在庫数量の増加および販売価格の低下を招く可能性があります。その結果、当社グループの売上の減少や、工場稼働率の低下に伴う原価率の悪化につながり、収益が悪化する可能性があります。
(2) 為替相場および金利の変動
当社グループは、世界各地域において様々な通貨を通じて事業活動を行っております。そのため、為替相場が大きく変動した場合、外貨建取引の売上高、外貨建の資材コスト、海外工場の生産コストなど当社グループの業績および財政状態が影響を受ける可能性があります。また、当社の外貨建の資産・負債を日本円に換算表示すること、さらに、海外子会社における外貨表示の財務諸表を日本円に換算表示することによっても、当社グループの資産・負債および収益・費用は変動します。
また、金利の変動により、当社グループの事業運営に係る経費、資産および負債の価値が影響を受けるため、これにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(3) 自然災害など
地震、台風、洪水などの自然災害、事故、テロ、感染症をはじめとした当社グループがコントロールできない事由によって、当社グループの事業活動が悪影響を受ける可能性があります。特に、当社グループは、地震が発生する確率が世界の平均より高いと考えられる地域に重要な施設・設備を保有しており、地震の発生時に、その影響により当社グループの施設・設備が損傷を受け、操業を停止せざるを得ないなど、多くの損害が発生する可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクに備えて、各種事前対策、緊急対策等を定めたBCP(事業継続計画)などを策定・運用するとともに、各種保険に加入しておりますが、それにより全ての損害を補填できるという保証はありません。
(4) 競争
半導体市場は熾烈な競合状態にあり、当社グループは、製品の性能、構成、価格、品質などの様々な面で、国内外の多くの同業他社との激しい競争にさらされております。当社グループでは、競争力の維持強化に向けて、先端技術の設計、開発のプラットフォーム化、原価低減の推進などの様々な施策に取り組んでおりますが、これらの施策を適時適切に行えなかった場合、製品のマーケットシェアが低下し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、熾烈な市場競争により、当社グループ製品の販売価格が急激に下落し、それを原価低減では補いきれずに、粗利益率の悪化に見舞われる可能性があります。
(5) 事業戦略・構造改革の推進
当社グループは、急激に変化する経営環境下で、収益基盤を強化するため、様々な事業戦略および構造改革を遂行しております。しかしながら、経済・事業環境の変化、将来の不確実な要因、予期できない要因などにより、その遂行が困難になる可能性や当初計画していた効果を得られない可能性がある他、追加で構造改革費用が発生する可能性があり、その結果、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) グローバルな事業展開
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますが、潜在的な顧客と現地企業との間の長期に亘る関係などの障壁、投資、輸出入に関する制限、関税、公正な取引などの各種規制、政治的・社会的・経済的リスク、疾病またはウィルスの流行または感染、為替変動、賃金水準の上昇などの様々な要因により悪影響を受ける可能性があります。その結果、当社グループは、グローバルな事業展開に関する当初の目的を達成できず、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 戦略的提携および企業買収
当社グループは、事業拡大や競争力の強化などを目的として、重要な技術や製品の研究開発、生産などの分野において、第三者との間で、共同出資関係を含む戦略的提携や企業買収を実施することがあります。当社グループでは、これらの提携や買収にあたって、投資回収や収益性などの可能性について様々な観点から検討していますが、事業遂行、技術、製品、人事などの面で統合に時間と費用を要することに加え、資金調達、技術管理、製品開発などの経営戦略について提携先と不一致が生じたり、提携先において財務上その他の事業上の問題が生じた場合などに、提携関係を維持できなくなる可能性があります。また、提携や買収が当初の期待通りの目的を達成できる保証はありません。
(8) 資金調達
当社グループは、事業資金を金融機関などからの借入などにより調達しておりますが、新製品を発売し、事業・投資計画を実行し、製造能力を拡張し、技術もしくはサービスを取得し、または負債を返済するため、将来、追加的に資金を調達しなければならない可能性があります。半導体業界の事業環境の悪化、金融・証券市場の環境の悪化、貸手側の融資方針の変更などにより、当社グループが必要な資金を適時に調達できない、または資金調達コストが増加する可能性があることなどにより、当社グループの資金調達が制約される可能性があります。なお、当社グループが金融機関などと締結している借入に係る契約の一部には財務制限条項が定められております。万一、当社グループの財務内容などの悪化により同条項に抵触し、上記借入について期限の利益を喪失する場合、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 追加ファイナンスについて
平成24年12月10日開催の取締役会決議に基づく第三者割当増資の実行後、当社において更なる成長資金が必要となった場合、㈱産業革新機構より合計500億円を上限として、追加の出資または融資を行う用意がある旨の申し出を受けております。かかる追加の出資または融資の具体的条件および時期は現時点において何ら決定しておらず、かかる追加の出資または融資が確実に実行される保証はありません。当該申し出に基づき、出資が実行された場合には、更なる既存株式の希釈化が生じ、当社株価に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当該申し出に基づき融資が実行された場合には、当社有利子負債が増加し、事業活動などが制約を受ける可能性があります。さらに、今後、金利の変動が発生した場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(10) 議決権の過半数を所有する大株主との関係について
当社は、平成25年9月30日に第三者割当増資の方法により、㈱産業革新機構等を割当先として普通株式を発行し、㈱産業革新機構は、当該株式の引受けにより当社の議決権総数の過半数を所有する大株主となりました。㈱産業革新機構による当社株主総会における議決権行使などにより、当社グループの事業運営が重大な影響を受ける可能性があります。また、㈱産業革新機構は、投資目的で当社株式を所有しており、将来において当該株式を市場売却した場合には、売却時の市場環境などにより、当社株式の市場価格などに重大な影響を与える可能性があります。
(11) 急速な技術革新など
当社グループが事業を展開している半導体市場は、急速な技術変化と技術標準の進展などを特徴としております。そのため、当社グループがこうした変化について、研究開発などにより適切に対応できなかった場合、当社グループ製品の陳腐化、代替製品の出現などにより、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(12) 製品の生産
① 生産工程
半導体製品は、非常に複雑な生産工程を経て生産されております。当社グループは、歩留り(材料当たりの製品良品率)を改善するため、生産工程の適切な管理および改良に継続して取り組んでおりますが、この生産工程に何らかの問題が発生した場合は、歩留りの悪化による製品出荷の遅延や出荷数量の減少、最悪の場合は出荷停止の結果を招く可能性があります。
② 原材料、部品、生産設備等の調達
半導体製品の生産にあたっては、その生産に必要となる原材料、部品、生産設備などを適時に調達する必要があります。当社グループは、これらの調達に関連する問題の発生を回避するため、複数の供給者との緊密な関係構築に努めておりますが、原材料などの中には特定の供給者からしか入手できないものも含まれているため、需給が逼迫した場合や、供給者において自然災害や事故、経営状況の悪化、事業撤退などの事象が発生した場合、これらを適時に調達できず、また調達できる場合でも調達価格が大幅に上昇する可能性があります。
③ 外部への生産委託
当社グループは、半導体製品の生産の一部を外部のファウンドリ(受託生産専門会社)などに委託しております。これらの外注先の選定にあたっては、技術力や供給能力などについて、あらかじめ厳しく審査を行い、信頼できる会社を選定しておりますが、外注先の責による納入の遅延や製品の欠陥をはじめとした、生産面でのリスクが生じる可能性を否定できず、製品需要が高い場合には、外注先の生産能力不足により、当社グループが十分な製品供給を行えない可能性があります。
(13) 品質問題
当社グループでは、様々な施策を通じて、当社グループ製品の品質向上に取り組んでおりますが、これらの製品に用いられる技術の高度化、顧客における製品の使用方法の多様化などにより、出荷時に発見できない欠陥、異常または故障が製品に存在する可能性があり、顧客への出荷後にそれらが発見される場合があります。この場合、製品の返品や交換、損失の補償、製品の採用打ち切りなどの結果につながり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。こうした事態に備えて、当社グループでは、生産物賠償責任保険(PL保険)、生産物回収費用保険(リコール保険)などの保険に加入しておりますが、それにより損失を全額補填できるという保証はありません。
(14) 製品の販売
① 主要顧客への依存
当社グループは、当社グループ製品の顧客に対する売上高の多くを特定の主要顧客に依存しております。これらの主要顧客が当社グループ製品の採用を中止し、または著しくその発注数量を減らした場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
② 顧客固有の仕様に基づいた製品に係る顧客からの計画の変更など
当社グループは、顧客からその顧客固有の仕様に基づいた製品の開発を受注することがあります。しかし、受注後に、発注元の顧客がその製品を搭載する予定であった最終製品の市場への投入を延期または中止したり、その製品の機能・性能が顧客の要求に満たない場合には、その製品の採用を中止する可能性があります。また、顧客は、その製品を組み込んだ最終製品の売れ行きが芳しくない場合、その製品の発注数量を減少させ、または納入期日を延期することがあります。
こうした特定顧客向け製品に係る顧客からの製品計画の変更、発注の減少や延期などは、当社グループの売上や収益性を低下させる可能性があります。
③ 販売特約店等への依存
当社グループは、日本国内およびアジア地域では、多くの当社グループ製品を特定の主要な販売特約店などを通じて販売しております。当社グループがこれらの販売特約店などに対して、競争力ある販売報奨金やマージンを提供できない場合または販売特約店などにとって適切な売上数量を確保できない場合、販売特約店などはその取扱製品を競合他社の製品に切り替え、その結果、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(15) 人材の確保
当社グループは、事業を展開していくうえで、経営、技術開発、営業その他において優秀な人材の確保に努めております。しかしながら、こうした優秀な人材は限られているため、かかる人材を求める競争は熾烈であります。そうした状況下で、当社グループが優秀な人材を確保することができない可能性があります。
(16) 退職給付債務
当社グループが計上している退職給付に係る資産や負債は、割引率や長期期待運用収益率などの数理計算上の前提に基づいて算出されています。金利変動や株式市場の下落などにより、数理計算上の前提と実績に乖離が生じ、退職給付債務が増加もしくは年金資産が減少した場合、退職給付制度における積立不足が増加し、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(17) 固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産など多くの固定資産を保有しています。当社グループは、減損の兆候がある場合に、固定資産から得られる将来のキャッシュ・フローによる資産の帳簿価額の回収可能性を検討しております。当該資産が十分なキャッシュ・フローを生み出さない場合には、減損を認識しなければならない可能性があります。
(18) 情報システム
当社グループの事業活動において、情報システムの重要性が増大しております。当社グループでは、情報システムの安定的運用に努めておりますが、自然災害、事故、コンピューターウィルス、不正アクセスその他の要因により情報システムに重大な障害が発生した場合、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(19) 情報管理
当社グループは、事業活動の遂行に関連して、多数の秘密情報や個人情報を有しております。これらの情報については、法令や社内規則に基づき管理しておりますが、予期せぬ事態により情報が流出するおそれがあり、そのような事態が生じた場合、顧客の信用や社会的信用の低下を招き、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(20) 法的規制
当社グループは、事業を展開する国および地域において、事業や投資の認可、輸出制限、関税、会計基準・税制、環境法令をはじめとする様々な規制の適用を受けております。今後、法的規制の強化などに伴う事業活動の制約、コストの増加などにより、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(21) 環境問題
当社グループは、地球温暖化、大気汚染、水質汚濁、産業廃棄物、有害物質、土壌汚染などに関する様々な環境法令の適用を受けております。当社グループは、これらの規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、過失の有無にかかわらず、環境問題に対して法的もしくは社会的責任を負う可能性があり、そのような事態が生じた場合、その対応のために多額の費用負担が発生する可能性や当社グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。
(22) 知的財産権
当社グループは、知的財産権の確保に努めておりますが、その国や地域などによっては知的財産権に対する十分な保護を得られない可能性があります。また、当社グループ製品には第三者からライセンスを受けて開発・製造・販売しているものがありますが、今後、第三者から必要なライセンスを受けられない可能性や、ライセンスを受けられるとしても従前よりも不利な条件でしかライセンスを受けられない可能性があります。
(23) 法的手続
当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、様々な国で訴訟、規制当局の調査その他の法的手続の当事者になる可能性があります。
特に、現在、当社グループは、複数の国・地域において、独占禁止法違反の可能性に関連して、規制当局の調査の対象になるとともに、民事訴訟を提起されております。
当社の米国、欧州および韓国の子会社は、TFT液晶ディスプレイに関する独占禁止法(反トラスト法・競争法)違反の可能性について、それぞれ、米国司法省、欧州委員会および韓国公正取引委員会の調査の対象となっております。
当社グループは、スマートカードチップに関する独占禁止法(競争法)違反の可能性に関連して、同製品の購入者からカナダで民事訴訟を提起されております。また、当社および当社の欧州子会社は、スマートカードチップに関する独占禁止法(競争法)違反の可能性に関連して、同製品の購入者から英国で民事訴訟を提起されております。
当社グループが現在当事者となり、または今後当事者となる可能性のある法的手続について、その結果を予測することは困難ですが、その解決には相当の時間、費用などを要するとともに、その結果によっては、当社グループが損害賠償責任などを負う可能性があるなど、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの事業遂行上、重要な契約とその内容は、次のとおりであります。
(1) 技術援助契約およびこれに類する契約
契約および相手方の名称 | 契約締結日 | 契約の概要 |
① Texas Instruments Incorporated との特許クロスライセンス契約 | 平成23年3月2日 | 半導体に係る特許権のクロスライセンス(子会社を含む。) |
② ARM Limitedからの技術導入契約 | 平成27年12月22日 | 半導体の設計に係る技術の導入 |
(2) 借入契約
契約および相手方の名称 | 契約締結日 | 契約の概要 |
① ㈱三菱東京UFJ銀行、㈱みずほ銀行、三井住友信託銀行㈱および三菱UFJ信託銀行㈱とのシンジケートローン方式による金銭消費貸借契約 | 平成25年9月11日 | 運転資金および構造改革資金2,086億円の借入 |
② ㈱日立製作所との金銭消費貸借契約 | 平成25年9月11日 | 構造改革資金137億円の借入 |
③ 三菱電機㈱との金銭消費貸借契約 | 平成25年9月11日 | 構造改革資金145億円の借入 |
④ 日本電気㈱との金銭消費貸借契約 | 平成25年9月11日 | 構造改革資金137億円の借入 |
(1) 研究開発活動の体制および方針
当社グループの研究開発活動は、現在必要な、または近い将来に必要となるであろうソフトウェアおよびシステム開発などを、車載制御、車載情報に関する製品は第一ソリューション事業本部が、産業・家電、OA・ICTおよび汎用製品に関する製品は第二ソリューション事業本部が担当し、デバイス開発やデバイス応用技術などのデバイスソリューション開発を担うルネサスシステムデザイン㈱と協力しながら取り組んでおります。デバイス・プロセス技術、新規実装技術、設計手法などの部門横断的な共通技術については、主に第一ソリューション事業本部と生産本部とが協力しながら担当するという体制で取り組んでおります。
また、コンソーシアムや外部研究機関などへの研究委託や、幅広い分野やお客様へ最適なサポートを行うためのサード・パーティの活用など、自社の研究開発リソースのみならず社外のリソースも必要に応じて活用しております。
電子機器や社会インフラの急速なネットワーク化により訪れるスマート社会では、これまでマイコンが主に使われてきた制御機器と、システムLSIが主に使われてきたIT機器が急速に融合しており、マイコンを軸にした新たな制御機器市場の拡大が期待されます。当社グループは、こうした市場変化に対応するため、マイコンとアナログ&パワー半導体などを組み合わせたセットを提供するキットソリューションを強化するとともに、アプリケーションごとに共通して使用できるIP(設計資産)やOSなどのソフトウェアをプラットフォームとして提供するための研究開発活動を通じて、新市場での成長を実現してまいります。
(2) 主な研究開発の成果
① 自動運転に向けコンピューティング性能向上と自動車用機能安全規格に対応した世界最先端の車載SoCの製品化
当社グループは、車載情報システムや安全運転支援システムに幅広く適用できる新たな半導体ソリューションとして、車載SoC「R-Car」の第3世代製品「R-Car H3」を製品化し、平成27年12月からサンプル出荷を開始しました。
近年、衝突防止や自動運転の実現に向けて、安全運転支援システムの高度化が急速に進んでいます。安全性向上のためには、自動車に数多くのカメラやセンサを搭載し、その情報を正確かつ迅速に処理して、即時に衝突回避などの判断を行う必要があり、従来の何倍ものコンピューティング性能が求められます。また、こうした自動車の状態をドライバーに適切に負荷なく伝え、安全性と快適性を両立するディスプレイ表示が必要になるため、高度なグラフィック性能も要求されます。
そこで、本製品では、高いコンピューティング性能を実現するために、ARM Limitedの高性能な64ビットCPUコア「ARM® Cortex®-A57/53」(※)を各4個搭載しました。また、ドライバーにとって必要な情報を適切に表示する表現力強化のために、グラフィックスの演算処理性能が極めて高い専用の最先端GPU(注1)を採用しました。さらに、衝突回避などを実現するための技術として、カメラが撮影した映像を高速でメモリ部分に読み書きできる内蔵SRAM技術(注2)や、映像の歪みの補正を超高速で行えるカメラ画像処理回路(注3)等を独自に開発し、本製品に搭載しました。これらの高い性能を1チップで実現するために、車載SoCとして、世界で初めて(平成27年12月時点)16ナノメートル(注4)の最先端の微細プロセスを採用しました。
これらにより、本製品は、当社グループの従来製品「R-Car H2」の車載情報システムを中心にした利用から用途を広げ、安全運転支援システムにも利用できる、自動運転時代に向けた新たな車載コンピューティング・プラットフォームとなりました。
こうした当社グループ製品の性能向上により、自動車が自動的に、障害物の検知やドライバーの状態の認識、さらには危険予測や危険回避判断等の複雑な処理を行い、ドライバーはより安心・安全な運転を行うことが可能になり、より高度で快適な自動車とのインタフェースを体験できるようになります。また、本製品は、世界的な自動車用機能安全規格「ISO 26262(ASIL-B)」にも対応しており、半導体自身の故障リスクを最小化し、高度化するシステムにおいても安全性を担保しています。
当社グループは、車載向け半導体ソリューションの提供力の強化に向けて「R-Carコンソーシアム」を主宰していますが、170社を超えるパートナー企業と連携し、車載情報システムや安全運転支援システムのソリューションを拡充し、安心・安全・快適なクルマ社会の実現に貢献してまいります。
② IoT製品など組込み機器の開発スピードに革新を促す「Renesas SynergyTMプラットフォーム」の提供開始
当社グループは、成長を続けるIoTや組込み機器市場に向けて、「Renesas SynergyTMプラットフォーム」の提供を平成27年10月から北米にて、同年12月から欧州および日本にて開始しました。
あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT機器の開発では、現在、通信やセキュリティなどの新規技術の導入が必要になり、システムの複雑化が進んでいます。この複雑化により、特にIoT市場で多い新規市場参入者を中心に、機器の開発期間や総費用の増大が大きな課題となっています。
そこで、当社グループは、Renesas SynergyTMプラットフォームとして、動作保証されたソフトウェアパッケージ、マイクロコントローラ、開発環境、開発例などのソリューション、ソフトウェアをクラウドで公開するギャラリーの提供を開始しました。
これまでも半導体用のソフトウェアは、当社またはパートナー企業から提供していましたが、お客様の量産製品に対して動作保証をするものではありませんでした。今回提供するソフトウェアパッケージは、組込みシステムに必須となる標準的なマイクロコントローラ用ソフトウェアを一式取り揃え、さらに、必要に応じてお客様が追加的に機能を拡張できるよう、当社パートナー企業が提供するソフトウェアも用意し、当社が動作保証を行います。これらにより、お客様は独自のアプリケーションの開発やサービス提供に集中できるため、お客様の機器開発の優位化を図ることができるとともに、大幅な開発スピードアップにより短期での市場参入が期待できます。
当社グループは、本製品の提供に際して、ソフトウェアのアップデートにも継続的に対応し、一元的にお客様をサポートすることで、お客様側での開発着手の際のイニシャルコストの極小化だけでなく、メンテナンスにかかる総費用の低減、時間や労力の削減にも貢献してまいります。当社グループは、本製品などを通じて、様々な企業のIoT市場での成功を支援し、IoT・組込み機器市場を活性化させてまいります。
(注)1 GPU:Graphics Processing Unitの略で、3Dグラフィックス表示など、画像処理専用の計算処理を行う半導体のことです。
2 内蔵SRAM技術:平成27年12月に「電子デバイス国際会議IEDM 2015(International Electron Device Meeting 2015)」で同技術を発表しました。
3 カメラ画像処理回路:平成28年2月に「国際固体素子回路会議ISSCC 2016(International Solid-State Circuit Conference 2016)」で同回路を発表しました。
4 ナノメートル:1ナノメートルは、10億分の1メートルです。
※ARM、Cortexは、ARM Limitedの登録商標または商標です。その他、文中の製品名やサービス名は、すべてそれぞれの権利者に属する商標または登録商標です。
(3) 研究開発費
当連結会計年度の研究開発費の実績は、974億円であり、主に製品設計、システム開発、デバイス開発、プロセス技術開発、実装技術開発に使用しました。
なお、当社グループは半導体事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成28年3月31日)において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、期末日における資産、負債、偶発資産および偶発債務ならびに会計期間における収益および費用に影響を与えるような見積りや仮定を必要とします。これらの見積りや仮定は、過去の経験やその他の合理的と思われる種々の要因に基づいて設定されております。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
次の重要な会計方針の適用において、見積りや仮定は連結財務諸表に重要な影響を与えると考えております。
① 貸倒引当金
当社グループは、債権に対し貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、過去の貸倒損失の実績および回収可能性に疑義がある債権の個別評価に基づいて計上しております。入手可能な情報に基づき貸倒引当金は充分であると考えておりますが、将来、債権先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
② たな卸資産
当社グループは、たな卸資産を原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により評価しております。滞留および陳腐化したたな卸資産については、将来の需要や市場の状況に基づいて市場価値の見積額まで評価減を行っております。将来の需要や市場の状況が悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループは、減損の兆候がある場合に固定資産の貸借対照表計上額について、当該資産から得られる将来のキャッシュ・フローにより資産の残存価額を回収することができるかどうかを検討しております。当該資産が十分なキャッシュ・フローを生み出さない場合には、減損を認識しなければならない可能性があります。
④ 投資有価証券
当社グループは、その他有価証券のうち時価のあるものについて、期末日の市場価格などに基づく時価法により評価しております。評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定しております。その他有価証券のうち時価のないものについては、移動平均法による原価法または償却原価法により評価しております。時価もしくは実質価額が著しく下落した場合には、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損しております。将来、時価または実質価額が著しく下落し、回復が見込めない場合には、臨時の損失が発生する可能性があります。
⑤ 繰延税金資産
当社グループは、将来減算一時差異および繰越欠損金が持つ将来の課税所得を減額する効果に関して、繰延税金資産を計上しております。また、実現可能性が低いと考えられるものに対して、評価性引当金を計上し、繰延税金資産を減額しております。
評価性引当金の必要性を評価するにあたっては、個々の会社毎に、過去の損益状況を始め、将来の課税所得の見積や一時差異の解消時期などの入手可能なあらゆる情報を考慮しております。
繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った会計年度に繰延税金資産の調整額を税金費用として計上します。同様に、計上額の純額を上回る繰延税金資産が回収可能であると判断した場合は、当該判断を行った会計年度の税金費用を減少させることになります。
⑥ 退職給付債務
当社グループは、従業員の退職給付債務および費用について、将来の従業員数の変動や、割引率、将来の昇給率、年金資産の長期期待運用収益率などの数理計算上の前提条件に基づいて計上しております。これらの前提条件を変更した場合または前提条件と実際の結果が異なる場合には、その差異を従業員の平均残存勤務期間にわたって償却しております。
⑦ 偶発債務
当社グループは、いくつかの訴訟や損害賠償請求案件を抱えておりますが、現時点で合理的にその損失を見積ることができる場合には、偶発損失を計上しております。
(2) 業績概況
(単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前連結会計年度比 | |
売上高 | 7,911 | 6,933 | △978 | △12.4% |
(半導体売上高) | 7,533 | 6,756 | △777 | △10.3% |
(その他売上高) | 378 | 177 | △201 | △53.2% |
営業利益 | 1,044 | 1,038 | △6 | △0.6% |
経常利益 | 1,053 | 1,021 | △32 | △3.1% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 824 | 863 | 39 | 4.8% |
米ドル為替レート(円) | 108 | 121 | - | - |
ユーロ為替レート(円) | 140 | 133 | - | - |
当連結会計年度における連結業績は以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ12.4%減少し6,933億円となりました。為替レートが改善したものの、当社グループが推進している事業の選択と集中により、中小型パネル向け表示ドライバICなどの携帯端末および民生用電子機器向けなどの半導体売上高が減少したことが主な要因であります。
(半導体売上高)
当連結会計年度の半導体売上高は、前連結会計年度と比べ10.3%減少し6,756億円となりました。当社グループの主要な事業内容である「自動車向け事業」、「汎用向け事業」およびこれらに属さない「その他半導体」の各売上高は、以下のとおりであります。
<自動車向け事業>:3,217億円
自動車向け事業には、自動車のエンジンや車体などを制御する半導体を提供する「車載制御」とカーナビゲーションなどの車載情報機器向け半導体を提供する「車載情報」が含まれています。当社はそれぞれマイクロコントローラ、アナログ&パワー半導体およびSoC(システム・オン・チップ)を提供しております。
当連結会計年度における自動車向け事業の売上高は、前連結会計年度と比べ0.4%減少し3,217億円となりました。主に「車載制御」の売上が増加したものの、「車載情報」の売上が減少したことによるものであります。
<汎用向け事業>:3,494億円
汎用向け事業には、産業機器や白物家電など向け半導体を提供する「産業・家電」、複合機などのOA(Office Automation)機器やネットワークインフラなどのICT(Information and Communication Technology)機器向け半導体を提供する「OA・ICT」およびその他の汎用半導体を提供する「汎用製品」が含まれています。当社はそれぞれマイクロコントローラ、アナログ&パワー半導体およびSoCを提供しております。
当連結会計年度における汎用向け事業の売上高は、前連結会計年度と比べ17.9%減少し3,494億円となりました。主に「産業・家電」の売上が横ばいで推移したものの、当社グループが推進している事業の選択と集中などにより、「OA・ICT」および「汎用製品」において売上が減少したことによるものであります。特に、「汎用製品」においては、中小型パネル向け表示ドライバICを事業対象とする㈱ルネサスエスピードライバの当社が保有する全株式を平成26年10月1日付で米国Synaptics Incorporatedの欧州子会社に譲渡したため、前連結会計年度と比べ売上が減少しました。
<その他半導体事業>:46億円
その他半導体事業には、主に受託生産やロイヤルティ収入が含まれております。
当連結会計年度におけるその他半導体事業の売上高は、前連結会計年度と比べ3.4%減少し、46億円となりました。
(その他売上高)
その他売上高には、当社の販売子会社が行っている半導体以外の製品の販売事業、当社の設計および製造子会社が行っている半導体の受託開発、受託生産などが含まれております。
当連結会計年度のその他売上高は、前連結会計年度と比べ53.2%減少し、177億円となりました。主に、当社の海外子会社が営んでいた液晶再販事業を平成27年4月に譲渡したことに加え、平成26年10月の㈱ルネサスエスピードライバの株式譲渡後に一時的に行った同社製品の中小型パネル向け表示ドライバICを代行販売を終了したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は1,038億円となり、前連結会計年度と比べ6億円の減少となりました。これは、当社グループが推進している事業の選択と集中により売上高が減少したものの、構造改革施策の実行により売上総利益率などの収益構造が改善したことに加え、米ドル為替レートが改善したことなどによるものであり、前連結会計年度とほぼ同水準となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は1,021億円となり、前連結会計年度と比べ32億円の減少となりました。これは、為替差益などの営業外収益が減少したことなどによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は863億円となり、前連結会計年度と比べ39億円の改善となりました。これは、平成26年10月の㈱ルネサスエスピードライバの株式譲渡により、同社に係る法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益が減少したことなどによるものであります。
(3) 財政状態
<資産、負債および純資産>
(単位:億円)
| 前連結会計年度末 (平成27年3月31日) | 当連結会計年度末 | 前連結会計年度末比 |
総 資 産 | 8,401 | 8,494 | 93 |
純 資 産 | 3,119 | 3,817 | 698 |
自 己 資 本 | 3,095 | 3,795 | 700 |
自己資本比率(%) | 36.8 | 44.7 | 7.8 |
有 利 子 負 債 | 2,597 | 2,443 | △154 |
D/Eレシオ(倍) | 0.84 | 0.64 | △0.20 |
当連結会計年度末の総資産は8,494億円で、前連結会計年度末と比べ93億円の増加となりました。これは、当連結会計年度において、構造改革施策などの推進により税金等調整前当期純利益を計上したことで、一定のフリー・キャッシュ・フローを確保したことにより、現金及び預金が増加したことなどによるものであります。純資産は3,817億円で、前連結会計年度末と比べ698億円の増加となりました。これは、当連結会計年度において、新興国通貨に対して円高となり為替換算調整勘定が悪化したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を863億円計上したことなどによるものであります。
自己資本は、前連結会計年度末と比べ700億円増加し、自己資本比率は44.7%となりました。また、有利子負債は、前連結会計年度末と比べ154億円の減少となりました。これらの結果、D/Eレシオは0.64倍となりました。
<キャッシュ・フロー>
(単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,167 | 1,263 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △266 | △336 |
フリー・キャッシュ・フロー | 901 | 927 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △238 | △303 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 2,659 | 3,437 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 3,437 | 3,984 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,263億円の収入となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益を908億円計上したこと、およびその中に含まれる減価償却費などの非資金損益項目を調整したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、336億円の支出となりました。これは主として、有形固定資産の売却や貸付金の回収による収入があったものの、有形固定資産の取得による支出を430億円計上したことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは927億円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、303億円の支出となりました。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高と比べ547億円増加し、3,984億円となりました。
(4) 外国為替相場変動による影響
当連結会計年度においては、前連結会計年度と比べ、年間の為替平均レートが円安ドル高となったことにより、米ドル建の売上を円換算した金額が増加し、収益を改善させる要因となりました。当連結会計年度においては、営業外収益に30百万円の為替差益を計上しております。なお、海外子会社の資産および負債は貸借対照表日の為替相場で、収益および費用は期中の平均為替相場で換算されております。換算による調整額は累積し、連結貸借対照表の為替換算調整勘定および非支配株主持分に含めて計上されております。詳細に関しては、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。
(5) 流動性および資金の源泉
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、および健全なバランスシートを維持することを基本方針としております。資金の源泉の安定的な確保のため、当社は、平成25年9月30日に㈱産業革新機構、トヨタ自動車㈱、日産自動車㈱、㈱ケーヒン、㈱デンソー、キヤノン㈱、㈱ニコン、パナソニック㈱および㈱安川電機を割当先とする第三者割当増資により、総額1,500億円の資金調達を行いました。また、当社は平成24年9月28日付で主要取引銀行である㈱三菱東京UFJ銀行、㈱みずほコーポレート銀行(現㈱みずほ銀行)、三井住友信託銀行㈱および三菱UFJ信託銀行㈱と締結したシンジケートローン契約(総額2,086億円)に関して借入先と契約条件の変更を協議し、平成25年9月11日付で総額2,086億円のリファイナンス契約を締結し、同年9月30
日付で当該契約を実行しました。当連結会計年度末における借入金、およびリース債務を含む有利子負債の残高は2,443億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,984億円となっております。
(6) オフバランス取引
当社グループは、製造設備の陳腐化による価値下落リスクの回避および収支の平準化を目的としたオペレーティング・リースを行っております。当連結会計年度末でのオペレーティング・リース取引における解約不能のものに係る未経過リース料残高は60億円であります。