文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
1.経営方針
(1) 会社の経営の基本方針
人とIoTの主要インターフェースである「ディスプレイ」及び周辺デバイス、そして電子の目「イメージセンサー」を始めとする半導体の自動検査における、トップリーダーを目指し、世界的企業へと成長し、社会に貢献します。
我々は、人と環境にやさしい技術をとおして、社会に貢献し、地球環境の保全を図り、次の世代に住みよい地球と豊かな社会を残すように努めます。
当社は、この経営理念を具体化するために、以下の経営方針のもとに安定かつ効率的な経営を継続していくことにより、収益性を向上し、会社の発展と社会への還元を図り、株主、顧客、従業員の期待に応えることを経営の基本としております。
企業目的: バイタリティ(生命力)、知恵、創造
行動指針: 量より質、プロセス重視、ゼロから考え直して
計画 : コンセプトデザイン重視
課題解決: 全員で寄って集って課題解決、ベストウエイソリューション、PDCAスパイラルアップ
風土 : 分かち合う。
利益処分: フェア(投資家、従業員、顧客、役員、社内留保)
人事 : 一流のもの、出る杭には油を、加点主義、将来を見据えたマネージメント
(2) 目標とする経営指標
「売上高経常利益率20%以上の確保、配当性向の30%の回復」を目標としております。このため当社は、次世代ディスプレイドライバIC向け検査装置、高精細化著しいイメージセンサー、ディスプレイ(アレイ)分野向け検査装置並びに先端ロジックデバイス向けの検査装置の開発販売を継続し、メインマーケットを市場の消えた日本国内から中国、台湾に移し、事業の拡大を図ってまいります。新たな成長の起爆剤として、中国湖北省武漢市に当社100%の量産工場「偉恩測試技術(武漢)有限公司」(以下、「ウインテスト武漢」という。)を2020年1月から稼働開始したことにより、今後急拡大を続ける中国半導体市場向け装置の柱といたします。引続きIoTヘルスケア関連技術、インダストリー4.0を念頭においた、自重補償型マニピュレータの製品化を進め、マーケティングを通して技術革新を推進、売上の増大を図ってまいります。また徹底したコスト管理を行うことにより、目標とする利益率の確保に努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社の検査装置の対象のひとつであるイメージセンサーの分野は、情報端末の市場拡大もさることながら、スマートフォンの画質を一眼レフに近づける技術開発がすすんでおり、カメラの複眼化が進み、ハイエンド製品では3眼が標準になっていますが、搭載個数がスマートフォンの商品力に直結するため、さらなる多眼化が進み、イメージセンサーの需要は大きく増加、また今後大きな市場が見込まれている高速通信規格である5G(第5世代移動通信システム)技術の普及拡大に合わせた車の自動運転など、本分野も同様に急拡大し2025年には2兆6,460億円(2019年比38.5%増)が予測されています。(株式会社富士キメラ総研:イメージング&センシング関連市場総調査より)
特に当社が力を入れる、ディスプレイドライバIC検査装置では、2020年10月に開発を完了し、2021年1月末より出荷を開始した新装置WTS-577SRの、各有力顧客でのベンチマーク(お客様工場に装置を貸出し、実際の現場で量産半導体の検査ラインに投入し、検査スピードや精度、そしてデータの相関度などを評価頂くこと)は終了し、大阪事業所並びに当社100%製造子会社(ウインテスト武漢)での増産体制構築を完了、順次出荷を行っています。そして現在更に、高速、高精度な次世代機の開発を行っておおり、2023年にリリースを行う方針です。同装置はLCDドライバー検査装置、イメージセンサー検査装置、ロジックデバイス検査装置、そしてフラッシュメモリーの検査にも、内部の一部のリソース基板を差し替えるだけで対応可能な装置として開発を進めております。
2021年中は、WTS-577SRを使った積極的なベンチマークを伴う中国市場攻略の成果として、デザインハウス及びOSAT合わせて15社を超える顧客と商談を進めております。また新型コロナウイルス禍の影響から納入タイミングの調整を頂いておりました出荷分につきましても2022年1月から順次出荷を再開しております。当社グループとしては、今後も検査実績を高めて、台湾の販売店 スパイロックス社及び当社が中国に設立したウインテスト武漢に販売店機能も持たせており、更なる追加受注に向け営業活動をしてまいります。
2.経営環境
当連結会計年度における世界経済は、全世界的に当初の想定を超えて猛威を奮う新型コロナウイルス禍の影響から深刻な半導体不足が発生、当社の顧客においても半導体不足の影響や、サプライチェーン不調に伴う供給制約、資源高、需給ミスマッチによる労働力の不足を伴い、半導体市場においては、上流である半導体デバイスの開発メーカー(以下、「デザインハウス」という。)からの新デバイスのリリースなどにも影響がでたことで、半導体受託組立検査専門会社(以下、「OSAT」という。)では物流の停滞や半導体材料の不足などを原因とし、工場稼働率の低下が叫ばれる事態となりました。そのような状況は、経済市場全方位に影響を与え、例えば大手の車メーカーや電気製品メーカーであっても半導体不足、物流チェーンの乱れなどから大幅な納期遅延が発生しています。
当社への影響としましては、上述の状況から最もビジネスが活発になる下半期に、設備投資のタイミング調整が入ることとなり受注済み製品の納入タイミング調整と、下半期に強い引合いが期待された顧客からの発注に影響が出ることとなり、受注、売上は低調に推移しました。また装置の製造面では、検査装置の製造に欠かせない半導体部材の入手も困難な状態になりつつあったため、2021年上半期に通常より多くの部材の発注を行い、2021年末から2022年の製造に必要な部材の早期調達を行いました。しかし、半導体不足は現在更に深刻な状況となり当社が必要とする製造部材の納期は12カ月から高集積度半導体チップなどは18カ月と大幅な長納期となり、価格は数倍、ものによっては10倍にまで高騰しています。当社は、このような状態に対応するため、2022年においては、必要十分な部材を先行手配し、工場を止めることの無いよう計画的に部材の調達を進めてまいります。
当社グループが属する半導体並びにフラットパネルディスプレイ業界の2021年度及び同市場の長期的展望としては、2021年に想定以上の半導体不足が叫ばれ、製品需要に対し、需給バランスが崩れましたが、今後2022年は、半導体を消費するスマートフォンが安定的に伸びてまいります。その中でも特に5G仕様のハイエンド品が大きな伸びが顕著となっていくと予想されています。パソコン、タブレットなどは世界的なテレワーク等需要の高まりはあるものの半導体及び周辺部材なども、ひっ迫していることから特に2021年下半期は出荷台数が伸び悩み、その状況は今でも余波が続いています。WSTSの11月発表によると、2021年の世界半導体市場成長率は、25.6%増でしたが、2022年も引き続き 11.1%増が見込まれ、半導体全体で2022年は8.8%増となり、2年連続で最高記録を更新する見込みと予想されています。(JEITAが発表する、世界半導体市場統計(WSTS)参照)
「表示デバイス市場」は、PC・タブレット・モニターに使われるITパネルの品薄はまだ続いており、動きも旺盛でありますが、巣ごもり需要増大からひっ迫感が出ていたTV用大型パネルは、やや落ち着きを取り戻し価格も安定したことから、2022年度~2023年度は、比較的新規での大型投資案件は少ないものの、ITパネルをG8.6クラスの大型基板で量産する動きや、新しいパネル製造技術の採用を考慮し、総じて安定した成長が見込まれています。(一般社団法人 日本半導体製造装置協会(SEAJ)参照)
製造装置市場(日本)としては、2022年度は5.8%増の3兆5,500億円の成長が見込まれ、2023年度は4.2%増の3兆7,000億円と、安定的な成長が予測されています。また市場地域では、「中国市場向け」が昨年に続き続伸、世界半導体製造量で見ると2022年中にも中国が世界市場において55%を超えるとも予想されております。(IC Insightsから引用)このような状況から、2022年に向かい当社がメインマーケットと位置づける中国市場の拡大が更に進むものと考えております。
3.対処すべき課題
(1)主たる既存事業への取り組み
当社グループの主要事業である半導体検査装置事業では、高度化、多様化するお客様の検査ニーズにお応えするため、既存検査技術の革新を進め、2020年10月に高速半導体向けとして、WTS-577SRの開発を完了し、2021年1月末より出荷を開始しました。更に、現在次世代検査装置の開発を継続しており、マルチプラットフォーム設計思想とすることで、検査対象の半導体の種類拡充が可能となり、今後持続的な成長が予想されている半導体市場に追随し、当社グループの事業の成長継続と、半導体サイクルにおける市場の急速な変化に対応してまいります。さらに足元の政策として、製造能力の強化、品質管理体制の整備推進を通し、お客様にとってより信頼される企業として成長するために、以下の課題への取り組みを進めてまいります。
当社の主たる事業分野である半導体検査装置事業分野はスマートフォンに代表されるように新製品サイクルが非常に早く、おおよそ、6カ月を目途として新製品がリリースされ、その技術レベルや機能のレベルが上がるごとに新機能を実現するための半導体が要求され開発されています。そのため、当社グループとして検査装置の開発の手を緩めることなく、市場要求に合わせた新機能などの開発が必須となります。その流れは、5G高速低遅延通信規格の普及とともに加速しており、より早い技術革新が当該検査装置にも求められております。
半導体検査装置においては高精度、低コスト、高速化に加え信頼性の向上が求められるだけでなく、更に使いやすいユーザーインタ―フェースと、検査用プログラミング補助機能の強化などを実現する必要があります。それぞれをこれまでにないスピードで推し進めることが、同分野において求められることから、当社グループは当期より組織と業務運営体制を変更し、よりスピーディーな経営判断ができるように改革を行っております。今後とも検査ニーズに対応する検査技術や手法の開発を継続するとともに、随時開発体制の見直しと強化を行ってまいります。
世界の半導体市場はもはや中国を抜きに語れないところまできております。当社は引続き、中国と台湾をメインマーケットとし、現地顧客のニーズを把握し当社100%出資の中国湖北省武漢市に設立した製造子会社の能力を最大限に高め、製造から納品までのタイムラグをなくすことで、現地顧客の信頼、ニーズを先取りした経営を行ってまいります。
当社第30期となります2022年からは、ウインテスト武漢に開発部を正式に設立し、新機能や高速化を目的とした開発や改良を行わせることとし、製造品質の強化、営業部の拡充を進めてまいります。当社の台湾における販売店、スパイロックス社の上海中国本部及び蘇州オフィスと共同で新規顧客へのアプローチ、既存顧客からのリピート受注の促進を図ってまいります。
また、2022年初頭に開発の完了した次世代SSDR4.0(次世代機向け高速データ転送機能)他、2021年から開発中であった、次世代装置向けである、いくつかの新機能の開発は終了或いは最終段階に入っており、現状最新機種であるWTS-577/WTS-577SRにも搭載可能とし、出荷を始めました。現在開発中の次世代検査装置は、マルチプラットフォームを強く意識した構造とし、LCDドライバーIC、フラッシュメモリー、イメージセンサーをはじめ、高速ロジックIC検査にも対応するなど多様な半導体の検査ができることとし、それらの検査を制御するソフトウエアや専用インターフェースを共通化して使えるようにすることで、お客様においても、製造ライン内における資源の汎用化を実現、現場での開発スピードのアップだけでなく、導入コスト、導入リスクを大きく下げる提案が可能となります。当社は、このような新たな発想による新たな検査ニーズに対応する検査技術や手法の開発を新組織の下、進めてまいります。
当社は、中国・台湾のマーケットに参入するため、スパイロックス社と連携、ウインテスト武漢の営業部及び日本のテスト技術課が三位一体になった新規顧客向け検査装置貸出評価活動(以下「ベンチマーク」という。)や販売戦略プロジェクトを推進し、なお一層販売体制を強化し、拡大が続く中国マーケットに深耕してまいります。加えて、2022年も引き続き中国における製造工場としてのエンジニアや管理組織の人員の雇用を促進し量産に向けた製造体制の強化を推し進めつつあり、中国国内の顧客から、大きな注目と期待を寄せて頂いております。また、蘇州に拠点を有するスパイロックス社オフィスにも数名のエンジニアを常駐させ、共同でサポートやデモ、ベンチマークを行える拠点とし、受注体制の拡充とスピードアップを図り、拠点からの直接サポート、納入ができる体制を整備しております。
さらに、今後、当社グループとしての具体的な営業技術戦略として、ウインテスト武漢に開発機能を持たせることは前述いたしましたが、アフターサポートの重要な面としてアプリケーションサポート要員を育成、メーカーとして現地顧客からの信頼を獲得してまいります。製造・開発面では、ウインテスト武漢を強化することで、大阪事業所は、本来のミッションである新技術の開発、新型次世代検査装置の開発並びにそれら新型装置の製造に専念できることとなります。
(2)産学連携等による新技術への取り組み
当社は、業務範囲の拡充を目的に、産学連携を行っております。しかしながら2020年1月に顕在化した新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、各大学機関は2022年現在も完全に元に戻っておらず、リモート授業が続き研究室も一部が活動に制限のある状況でありますが、2021年後半からは、順次条件付きながら再開しつつあることから、以下にそれらの進捗につきご説明申し上げます。
インダストリー4.0を念頭においた検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)、当該技術については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、2021年9月の段階で、より製品に近い重量キャンセル型アームのプロトタイプが完成しており、各部動作の検証を進めております。なお、特許等の申請については、既にお知らせのとおり手続きは終了しております。また今後の進め方につき大学側と調整中でございます。当該技術は当社の検査装置とウエーハ搬送装置との間のドッキングアダプター(以下「ポゴタワー」という。)の着脱(約25㎏~30㎏)をオペレータ一人で簡単に安全に行うための補助アーム(以下「マニピュレータ」という。)で製品化を目指し、当面の目標として、その搬送可能重量を50㎏前後で製品化を行います。その後応用製品としてインダストリー4.0を推進する「半導体製造工場内FA化システム」、「半導体工場内物流搬送システム」等への応用が可能と考えております。
和歌山大学と進めておりました脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、研究室が2021年4月に奈良県立大学に異動となりましたので、現在は同大学並びに株式会社TAOS研究所とアライアンスを継続し、製品化を急いでおります。現在、最終製品化に向けて共同開発を進め、センサーを組込んだバイタル情報インターフェースを完成させ、いくつかの試作モデルを使いあらゆる年代におけるデータのばらつきなどを取得し検証を進めております。なお、ヘルスケア管理システムの販売に関しましては、TAOS研究所に一任する方向です
。
(注)インダストリー4.0 検査装置向け工場FA化機器技術に使われる「自重補償機構技術」とは
一般的な「重量物搬送装置」は、電気モーターやエンジン等の動力源を持ち、かつ、重いカウンターウエイトや油圧・圧縮空気の出力を借りることで、数十キロから数百キロの重量物の移動をアシストしますが、装置が大掛りで重量が重くなることや、重量物に見合う外部動力が必要となるといった課題を有しています。これらの課題克服のため、当社と慶應義塾先端科学技術研究センターは、いかなる動力や重いカウンターウエイト、そして油圧・空圧機器をも使用しない「自重補償機構」の開発を進め、バネの弾性力を応用した軽量かつシンプルな構造を内蔵したロボットアームの継続開発を行っております。今般開発した試作機は、被搬送物の重量が変化した場合でもその重さに見合った自重補償ができる構造となっており、回転軸を除く各軸にて搬送する重量物の自重補償を達成し、自身の腕部分の自重をも含め、より安全な自重補償を成立させています。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)市場動向の変動
当社グループの主力事業である半導体検査装置事業は、イメージセンサー、ディスプレイ(アレイ)、ディスプレイドライバIC等の半導体検査に特化した事業戦略をとっておりますが、当該事業はデジタル家電や携帯電話、パソコンといった情報端末関連機器で使用される、イメージセンサーやフラットパネルディスプレイを使用する機器等の市場動向に左右されやすい面もあります。
これらの機器市場、及び検査対象となるデバイス市場は、世界的な感染症の発生や、半導体業界における一時的な在庫調整並びに、デジタル家電製品のトレンドに左右されるシリコンサイクルの影響を受けやすい特性を有します。
当社グループは各分野の装置において、独自技術を活かした先端・ハイエンドデバイス検査に重きを置きつつ、ニッチ市場を開拓することにより、これらの影響を受けにくい体制作りを推し進めております。
なお、これらの機器市場、デバイス市場は、IT技術の進化とともに普及が進むモバイル・リビング端末を中心とした基幹産業として、5Gなどの通信の高速化技術の進展に伴い当面は拡大基調を継続すると思われますが、世界的な感染症の発生や、複数の消費国における天変地異、或いは金融関連の予想外の市場収縮時には当社装置の売上が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合の状況(当社グループの主要製品である検査装置に関して)
イメージセンサー関連では、強力な国内外競合メーカーが3社程度存在すると考えております。当社グループでは、競合他社と比較して、よりコストパフォーマンスが高い装置の供給に独自のノウハウを保有していると考えておりますが、今後は被測定ICの高速駆動と検査スピードの低減を進めるとともに検査データの高速転送と機能強化を行うなど更なる高コストパフォーマンスを実現し、競合他社との差別化を図る必要があり、現在2022年末の完成を目指したマルチプラットフォーム次世代検査装置の開発を加速させております。また同時にTOF検査を可能とする専用光源の開発に着手しており、当社検査装置の性能を100%引き出せる専用光源と共にリリースする計画です。
ディスプレイのアレイ検査分野では、検査ニーズが抜き取り検査に限定されるなど、極わずかではありますが、当社の技術の維持を目的に新技術の研究継続と販売は続けるべきであると考えており、本分野における検査技術の特許維持は続けてまいります。また、今後は他の競合企業がより優れた技術を持って当該分野へ参入する可能性もあるものと考えておりますが、サービス体制の見直しを通じた、顧客満足度向上への活動を充実させ、今後特に普及が予測される有機EL検査装置、また引き続きプロジェクターなどで多用されるLCOSデバイスや高温ポリシリコン型デバイスの検査技術については顧客とともに新たな検査技術開発を継続します。
ディスプレイドライバIC関連では国内外競合メーカーが3社程度存在すると考えております。当社グループは製品のコストパフォーマンスで優位性を保ちつつ、今後の4Kそして8K画像に対応する高度化が見込まれるするデバイス性能に適応してゆくためのデータの高速転送技術や、駆動周波数の高速化、そして高速データ処理技術等、検査機能拡張と検査の高速化オプションを継続開発し市場投入することで、顧客ニーズに応え続けるとともに他社との差別化を図ります。加えて、開発中の次世代検査装置は、筐体及びインターフェース、制御ソフトウエアを当社で今後開発する他の用途の検査装置と共通化(マルチプラットフォーム)することで、開発期間の短縮につながり、開発資源の有効活用の最大化を実現できることとなります。これは当社顧客、特にテストハウスにとって、一度購入した装置に新たに必要となる機能ボードを入れ替えることで、別の検査ニーズに対応する事ができることが可能となることを意味します。従って顧客視点で見れば、導入リスクや検査コストの低減につなげることができるため、利益の最大化が可能となり、ひいては当社の売上に繋がり、ベンチマークなどの販売に係るコストを低減できることで、利益の確保そして企業価値の増大に大きく結びつくものと考えております。
今後、検査装置事業は全般に競争が激しくなることが予想されますが、当社グループとしては、台湾並びに中国をメインマーケットと捉え、スパイロックス社との関係強化に加え当社の100%子会社ウインテスト武漢にベンチマーク向けデモ機を配備し協力に中国での営業活動を推進し、積極的に新規顧客の開拓を進めるとともに、既存ユーザーに対する製品のカスタマイズ・サポートを行うことで一層緊密な取引関係を構築、マーケットシェアの拡大を目指す方針であります。
しかしながら、競合他社がさらに経営資源を投入した場合、あるいは国内外で新たな企業の参入があった場合には、当社グループの市場競争力及びマーケットシェアに影響を及ぼす可能性があります。
(3)技術革新
当社グループは、イメージセンサー、液晶ディスプレイ(アレイ)、LCD/有機ELドライバIC検査装置の販売並びに技術サポートを行っておりますが、これらデバイスの製造過程、あるいは検査手法に将来、予想もされないような劇的な技術革新が生じ、当社グループがこれに対応できない場合、現製品の需要減少などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(4)特定の販売先への依存について
当社グループが主たる市場と考える中国・台湾向けの販売ルートは、当社の販売店であるスパイロックス社及び中国の当社製造子会社ウインテスト武漢を窓口としており、その比率は凡そ8:2となっております。
当社グループは同販売代理店と良好な関係を維持しておりますが、今後も同社との関係強化に努めると同時に、2021年より、当社の中国製造子会社ウインテスト武漢へのベンチマーク用デモ機配備など製造子会社の営業機能強化とリスクの分散を考えております。
スパイロックス社とウインテスト武漢を通じた販売店戦略及び代理店戦略を取ってまいりますが、未来において、両社の販売先(チャンネル)に変化があった場合や、また政治的に大きな変化が発生したような場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)運転資金負担
当社グループの事業に関しては、検査装置の受注、部材購入から納品、検収までに約半年から約1年の期間がかかる場合があります。また、その売上高は大規模なシステムになると、数千万円から1億円程になり、それらの支払方法の多くは、ファクタリングや手形取引、また国際手形LCなどであります。一方、仕入先及び外注先に対する買掛金の支払いは、検収後約1か月後となっております。
このような事業特性上、当社グループには絶えず運転資金負担が発生し、大量の受注が集中した場合には、相当額の運転資金負担が予測されます。
(6)仕入先、外注先との関係について
当社グループと、仕入先、外注先との関係は良好でありますが、取引先の信用リスクを含む何らかの理由で現仕入先、外注先との関係を維持できなくなった場合は、代替委託先の選定及び技術指導にある程度の時間を要し、出荷スケジュールに遅れが発生する可能性があります。また、業容を拡大していく上で安定的な外注先の確保ができない場合には、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(7)M&Aに関するリスク
当社グループは、成長戦略のひとつとして、今後、市場拡大が見込まれる汎用ロジック検査分野、メモリーデバイス検査分野、それらに加えて、中長期目標としてパワーデバイス検査装置分野への参入を目的に、当該分野におけるM&Aによる企業価値の向上を計画してまいります。
M&Aの実施に当たっては、事前に収益性や投資回収可能性に関する十分な調査及び検討を行っておりますが、買収後における事業環境の変化や想定外の事態の発生等により、買収事業が当初の目標どおりに推移せず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況の概要
当社グループは、前連結会計年度においては決算期末を12月末に変更したことにより5か月間となりましたが、15期ぶりに黒字転換を果たし、営業利益37,089千円を計上、親会社株主に帰属する当期純利益31,703千円を計上しております。なお、営業キャッシュ・フローは、売上債権の増加等により384,256千円のマイナスとなりました。
また、当連結会計年度において、当社グループの半導体検査装置事業については、中国・台湾において新型コロナウイルス禍中ではあるものの、特に前期発表した新LCDドライバーIC検査装置WTS-577SRの引き合いも多く、複数顧客からの要請により、導入を前提とした評価目的としての装置の貸出を伴う積極的なベンチマークを行っております。しかしながら、昨今の半導体不足に端を発する有力顧客であるデザインハウスの新デバイスのリリース遅延から、OSATのライン稼働率の急激な低下を受け、引合いのあった売上・受注時期がずれ込み、業況は低調に推移した結果、当連結会計年度における売上高は240,250千円となりました。
新エネルギー関連事業についても、太陽光システムの保守点検・整備・保証管理領域に注力しておりましたが、まん延防止等重点措置並びに緊急事態宣言下の制約もあり、出張を伴う野外作業が主となることから、作業の延期・中止等の要請により業績は伸び悩み、売上高は59,394千円となりました。
よって、当社グループの連結ベース売上高は307,576千円となり、半導体検査装置事業の利益率が低調であったこと及び労務費、一般管理費も増加したことから、営業損失730,710千円となり、親会社株主に帰属する当期純損失を629,178千円計上しております。 なお、営業キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失及び受注に対応する棚卸資産の増加により856,085千円のマイナスとなっております。
以上のとおり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
そこで当社グループは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(7)継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を改善するための対応策等」に記載のとおり、具体的な対応策を実施し当該状況の解消と改善に向けて努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社は、2020年10月29日に開催の第27期定時株主総会において「定款の一部変更の件」を決議し、第28期より、決算期を7月31日から12月31日に変更いたしました。経営成績及び各セグメントにおける対前年度比については、前年度連結会計期間との比較は行っておりません。
①経営成績の状況
当社の半導体検査装置事業におきましては、数年前より、スマートフォンやタブレットなどの高機能情報端末向け半導体分野への精力的な設備投資が続くアジア圏(台湾及び中国本土)に新たな商機を求め、現地の顧客ニーズに適合したLCDドライバーIC検査装置を開発し、2020年10月にはWTS-577の後継となるWTS-577SRの開発を完了しリリースいたしました。当社の販売店である、スパイロックス社及び当社の子会社ウインテスト武漢との協業強化により、新顧客の開拓に注力しております。
その結果、既存のWTS-577並びに新開発のWTS-577SRそれら検査装置については、検査コスト低減に繋がる検査装置の効率的な機能がベンチマークの結果、高く評価され、現在、既存・新規顧客への導入に向け最終的な交渉を行っております。
2021年中に当社がメインとするLCDドライバーIC検査装置、WTS-577SRを使った積極的なベンチマークを伴う中国市場攻略の成果として、デザインハウス及びOSAT合わせて15社を超える顧客と商談を進めております。また新型コロナウイルス禍の影響から納入タイミングの調整を頂いておりました出荷分につきましても2022年1月から順次出荷を再開しております。当社グループとしては、今後も検査実績を高めて、台湾の販売店 スパイロックス社及び当社が中国に設立した当社の100%製造子会社、偉恩測試技術(武漢)有限公司(以下、「製造子会社」という。)に販売店機能も持たせており、更なる追加受注に向け営業活動をしてまいります。
2020年からの2年間は、2020年1月から顕在化した新型コロナウイルス禍の影響を大きく受けましたが、その間、「ファブレスからの脱却」、「半導体市場において大きな成長を遂げる中国マーケットに進出できる体制の構築」、セグメントを整理し「半導体検査事業に集中」するなど、経営体制の見直しを含む新体制移行に邁進してまいりました。今後もウインテストグループとして、横浜本社、大阪事業所における開発環境整備、人材育成及び増員に努め、組織の強化を行い、総務経理部を含む各部署における業務推進体制を革新するため、ERPやITを駆使した、より機動的かつ最新の環境で、設計、開発及び経営能力を強化するとともに、トータルコストの削減、納期の短縮と品質の向上を目指し、顧客満足度を上げることで受注増、業績の向上、企業価値の増大を図り、株主様の利益につなげてまいります。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は307,576千円、営業損失は730,710千円、経常損失は668,818千円、親会社株主に帰属する当期純損失は629,178千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(半導体検査装置事業)
半導体検査装置事業では、昨今の半導体不足に端を発する有力顧客であるデザインハウスの稼働率低下を受け、売上・受注時期がずれ込み低調に推移しました。
この結果、売上高は240,250千円、セグメント損失は722,773千円となりました。
(新エネルギー関連事業)
新エネルギー関連事業においては、新型コロナウイルス禍の影響により現地作業などに大きな影響が出ました。
この結果、売上高は59,394千円、セグメント損失は4,327千円となりました。
②財務状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,870,782千円となり、前連結会計年度末に比べ514,617千円の減少となりました。これは主に現金及び預金が706,674千円減少したことによるものです。
固定資産は25,429千円となり、前連結会計年度末に比べ376千円の減少となりました。これは主にソフトウェアが1,439千円減少し、投資その他の資産が1,063千円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は201,873千円となり、前連結会計年度末に比べ29,324千円の減少となりました。これは主に未払法人税等が22,837千円減少したことによるものです。
固定負債は103,910千円となり、前連結会計年度末に比べ56,027千円の増加となりました。これは主に長期借入金が59,944千円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,590,428千円となり、前連結会計年度末に比べ541,697千円の減少となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失により繰越利益剰余金が629,178千円減少したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は219,109千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は856,085千円となりました。これは主に、棚卸資産の増加額557,946千円等による資金の減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は21,852千円となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入23,992千円等による資金の増加があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は68,617千円となりました。これは主に、長期借入金による収入80,000千円による資金の増加があったことによるものです。
④生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績、受注実績及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
半導体検査装置事業(千円) |
310,476 |
- |
|
合計(千円) |
310,476 |
- |
(注)1.金額は、製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|||
|
受注高 |
受注残高 |
|||
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
半導体検査装置事業 |
381,881 |
- |
692,481 |
- |
|
合計 |
381,881 |
- |
692,481 |
- |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
半導体検査装置事業(千円) |
240,250 |
- |
|
新エネルギー関連事業(千円) |
59,394 |
- |
|
報告セグメント計(千円) |
299,644 |
- |
|
その他(千円) |
7,931 |
- |
|
合計(千円) |
307,576 |
- |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主要な輸出先及び輸出販売高及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年8月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日本 |
127,862 |
15.9 |
233,967 |
76.1 |
|
台湾 |
573,651 |
71.3 |
21,682 |
7.0 |
|
中国 |
100,144 |
12.4 |
2,665 |
0.9 |
|
インドネシア |
3,389 |
0.4 |
49,261 |
16.0 |
|
合計 |
805,047 |
100.0 |
307,576 |
100.0 |
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年8月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
Spirox Corporation |
570,711 |
70.9 |
- |
- |
|
Jilin Province New Century OpticElectric Co., Ltd. |
100,144 |
12.4 |
- |
- |
|
PT.EPSON BATAM |
- |
- |
49,261 |
16.0 |
|
日本放送協会 |
- |
- |
48,650 |
15.8 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主にたな卸資産評価損、固定資産の減損、貸倒引当金及び製品保証引当金であり、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1経営方針 (2)目標とする経営指標」記載の通り、
当社は、「売上高経常利益率20%以上の確保、配当性向の30%の回復」を目標としております。当連結会計年度
においては、売上高経常利益率はマイナスとなっており、配当は行っておりません。その主な理由は、半導体不足に端を発する有力顧客であるデザインハウスの新デバイスのリリース遅延とOSATのライン稼働率の急激な低下、それに伴う売上と受注時期のずれ込みにあると考えております。
対応策に関しましては「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7)継
続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を改善するための対応策等」に記載のとおりであり
ます。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主な資金需要は、原材料や商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金であります。また、これらの主な資金調達としては、営業活動および新株予約権の行使による株式発行などの自己資金、金融機関からの借入によっております。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑦継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を改善するための対応策等
当社グループには、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (8)継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況の概要」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社グループはこうした状況を解消するため、以下の取組みを実施しております。
まず、半導体検査装置事業では、2022年以降半導体製造企業の新規投資は、通信の5G化(移動高速データ通信低遅延技術)が普及するにあわせ、LiDARに代表される技術である自動運転や、ミスが許されない遠隔手術やロボット制御、身の回りのあらゆる「物」がインターネットに繋がる、IoTの大きな変革が起きようとしています。これは、半導体集積回路(以下、「IC」という。)の機能面にも大きな変化があることが予想されており、いわゆる5G投資が注目されています。当社でもその技術変化に応じたタイムリーな検査技術の開発が必須となります。特に当社グループが「主力装置」と位置付けるLCDドライバーIC検査装置は、パソコン、タブレット、そしてスマートフォン等に多く使用されている各種半導体、とりわけLCDドライバーIC(画面に絵を表示するIC)の検査に使用されており、また、それら情報端末ではLCDドライバICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーIC、ロジックICなど周辺半導体デバイスの需要も同時に大きく伸びてまいります。当社が2020年10月に発表し、2021年から出荷を開始したWTS-577SRにつきましては、顧客からのベンチマーク要請に積極的に応え、ベンチマーク結果に一定の評価を頂くことができました。2022年度に入り、旧正月明けから徐々にデザインハウス及びOSATの事業活動は、活発化してまいりましたので、2021年度中に出荷を見合わせておりました受注済の検査装置を、2022年1月から順次出荷を開始、2022年中に売上計上を行う予定でおります。今後さらにスパイロックス社、製造子会社と協働での顧客攻略を進めるとともに、アフターサポート体制の拡充と強化を進め、中国における販売チャンネルを活かし、新規、既存顧客等複数企業からの受注活動を強化してまいります。製造子会社においては、コストの削減と顧客対応力の両方を強化を行ってまいりますが、他方、製造品質の向上にも注力するため、日本からのキーエンジニアの常駐も並行して行い、基盤の強化を行います。
今後、既存装置に係る工場機能は主に製造子会社に移し、大阪事業所は、新型次世代検査装置の開発設計と製造に注力してまいります。さらに大きく当社の事業を伸ばすため、当社の製造子会社の製造ライン横に設営しているクラス100(1㎥の空間に埃が100個以下)のクリーンルームを生かし、お客様のIC(アルミウエーハ)を借用したインターナルベンチマークを行うことで、お客様の工場で発生した新たな問題に対し早期解決を図ること、また問題解決にあたり必要以上にお客様の製造ラインを止める必要がなくなります。その結果、顧客信頼度を高めることができます。これは特に製造子会社が受け持つ有力な大型OSAT向けに直接営業を行う上で大変重要な戦略となります。このような戦略を積極的に進めることが、受注・売上の増大を図り、2022年度(当社第30期)の予算を達成する礎となります。
さらに、次世代マルチプラットフォーム検査装置で開発予定の高速ロジックテスターについては、より広範囲のロジックIC検査に対応させる計画であり、2022年度内の完成を見込んでおります。本装置については既に複数のお客様からも問い合わせを受けており、計画どおりの開発完成を目指してまいります。
また、上述しましたとおり、当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を生かし、現在開発中のマルチプラットフォーム検査装置によって、今後の市場拡大が見込まれるメモリーIC、イメージセンサーIC等への検査分野拡大に加え、5G通信規格の台頭とともに新たに注目を集めるパワーデバイス検査分野への進出を、3年後をめどにM&Aなども視野にシナジーの高い事業会社との資本・業務提携、並びに産学連携を積極的に進め、当該分野へ新規参入、対応可能検査範囲の拡充と展開を計画、収益基盤の拡充に取り組んでまいります。
自重補償機構技術プロジェクトは、昨年新型コロナウイルス禍における大学研究室の閉鎖など進捗に大きな支障が出ましたが、昨年後半からは研究室の再開もあり、より製品に近い試作モデルも完成し、当社の検査装置に付属させるマニピュレータの完成イメージに近づいており2022年度中には当社装置に搭載できるものと考えております。詳細は上述しておりますので、そちらをご参照ください。
当社が、奈良県立大学並びにTAOS研究所と進めております脈波(ECG,BCGセンサーを利用したバイタルデータ)を利用したヘルスケア管理システムも同様に、製品化に大きく近づいており、また、バイタルインターフェースの試作モデルが完成しましたので、より多くのデータを取得し、その精度を高める作業に着手しており、当期中の製品化を計画しています。なお、販売はTAOS研究所が自身の既存の販売チャンネルを使って販売をする計画でおります。海外からのお問い合わせがあった場合は当社が輸出販売を行います。
経費水準については、大阪事業所並びに中国製造子会社の開設に伴う運転資金及び研究開発費等により増加しておりますが、国内における製品の製造委託コストに変化はないものの、部材調達につきましては、半導体不足の影響を色濃く受けており、その納期の長期化やコストの上昇が深刻ではありますが、経営判断により2021年の早期に思い切った部材調達を行いました。しかし、その甲斐あって、今年度は半導体不足に影響されることなく、装置の納期、サポートともにスピーディに行うことができます。現地での製品やサポートの品質向上にも同時に取り組み、売上予算の達成に向けて邁進いたします。
財務面については、折からの半導体不足が深刻さを増し、当社の検査装置に不可欠な半導体部品の大幅な納期遅延、大幅な価格高騰を受け、タイムリーな装置製造に支障がでる恐れがあるとのことから経営判断により、2021年前半に必要十分な早期の部材仕入れを行った結果、運転資金となる現預金が減少しております。財務基盤の安定化を求め、2021年11月に金融機関からの新規借入を行い、更に2022年1月31日に開催の取締役会において、資本増強につながる割当予定先への第三者割当による新株予約権の発行を決議し、2022年2月21日にその払込も完了いたしました。これにより、今後の事業継続に必要な開発及び運転資金を確保するとともに、2022年後半から2023年の製造に必須となる製造部材の調達に必要な資金の確保及び財務基盤の強化を図りました。また、2022年2月28日には今後の運転資金需要に対応するため金融機関からの追加借入を行っておりますが、引き続き前記の新株予約権行使による資金調達並びに筆頭株主である武漢精測と諮りながら、親会社及び金融機関からの借入等による運転資金確保のための施策を実施してまいります。
以上のとおり、台湾、中国を中心とするビジネス機会や売上・受注の増加が見込まれること、受注済みの検査装置の売上・入金が見込まれること及び上述の資金調達の実施により、今後の運転資金に必要十分な現預金を確保していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約は次のとおりであります。
(株式譲渡契約)
当社は、2021年10月21日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるオランジュ株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:清水 拓也)の全株式を株式会社エネプライムへ譲渡することを決議し、同日付にて株式会社エネプライムと株式譲渡契約を締結し、譲渡が完了いたしました。本件株式譲渡に伴い、オランジュ株式会社は、当社の連結子会社ではなくなりました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
(1)WTS-311NXの機能拡張
当該検査装置につきまして、既存インストール顧客のニーズを汲みデジタルデバイス対応を実現、機能ボードの開発及び、各種アプリケーションのハード・ソフトウエアの開発を終了しました。その後新規中国方面の顧客ニーズにも対応すべく、高速データ転送規格に対応した拡張機能を開発し、今後更なる高速化と画像処理機能の拡充を行う計画であります。また、WTS-377ローコストイメージセンサー用検査装置につきましては、筐体(母体)を下記する開発中のマルチプラットフォームとして新規開発中の筐体に統一し、国内外の有力顧客の要望に基づいた仕様を盛り込み、且つ低消費電力、加えて装置コストを抑えた設計とし、今後更に伸びる同マーケットへ投入するべく開発を継続しております。
(2)WTS-577SRシリーズ
WTS-577SRシリーズLCDドライバー検査装置につきましては、現在開発中の次世代LCDドライバー検査装置用として開発の完了した高速ドライバーなどの新機能リソース(開発中のものを含め)を、被検査デバイスの高速化、高画素化対応に合わせ最適な検査を提供するために、WTS-577SRへ搭載可能として既存または新規顧客へ提供を開始しております。更に現在開発中の次世代検査装置では、筐体デザインを一新し、装置内に実装する機能ボードによって、幅広い被検査デバイスに対応できる設計(マルチプラットフォーム)とし、顧客の要望に基づいた仕様を実現、且つ低消費電力、加えて装置コストを抑えた設計とする計画です。開発中の新装置は、今後更に伸びるLCDドライバーマーケットは勿論、同検査装置の優れたデジタル検査機能を生かした、先端ロジック検査装置分野、メモリーIC検査分野等に参入を計画し開発しております。
(3)検査装置向け工場FA化機器技術「自重補償機構技術」の開発
検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)、当該技術については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、2021年9月の段階で、より製品に近い重量キャンセル型アームのプロトタイプが完成詳細動作の検証を進めております。なお、特許等の申請については、既にお知らせのとおり手続きは終了しております。当該技術は当社の検査装置とウエーハ搬送装置との間のドッキングアダプター(以下「ポゴタワー」という。)の着脱(約25㎏~30㎏)をオペレータ一人で簡単に安全に行うための補助アーム(以下「マニピュレータ」という。)で製品化を目指し、インダストリー4.0推進への入口と考え製品化を行います。その後応用製品として「半導体製造工場内FA化システム」、「半導体工場内物流搬送システム」等への応用が可能と考えております。
(4)ヘルスケア管理システム
和歌山大学と進めておりました脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、研究室が2021年4月に
奈良県立大学に異動となりましたので、現在は同大学並びに株式会社TAOS研究所とアライアンスを継続し、製品化を急いでおります。現在、最終製品化に向けて共同開発を進め、センサーを組込んだバイタル情報インターフェースを完成させ、いくつかの試作モデルを使いあらゆる年代におけるデータのばらつきなどを取得し検証を進めております。なお、ヘルスケア管理システムの販売に関しましては、TAOS研究所に一任する方向です。
(5)研究開発費の総額(セグメント別)
当連結会計年度における研究開発費の総額は