当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
なお、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況につきましては、次のとおりであります。
(継続企業の前提に関する重要事象等について)
当社グループは、前連結会計年度において半導体需要のダブつきによる工場稼働率の調整が長引いたことの影響を受け、売上・受注時期がずれ込み、売上高407,449千円にとどまり、営業損失558,459千円、親会社株主に帰属する当期純損失554,572千円を計上いたしました。また、営業キャッシュ・フローは、558,267千円のマイナスとなりました。
前連結会計年度においては、市場は民生半導体のダブつき解消に注力し、多くの半導体製造工場では生産調整から新規設備投資を凍結しておりました。当中間連結会計期間の1月から3月において、多くの半導体生産工場の生産調整は、順次終了し、半導体の超過在庫も最悪の6か月超から3か月程度に改善しており、半導体市場は、順次増産に舵を切り始める方向となりました。当社としては、このように市場在庫の適正化が進んでいることを考慮し、当中間連結会計期間の4月から6月にかけて半導体市場の本格回復を期待しておりましたが、多くの半導体製造各社において半導体の超過在庫は改善しているものの、新規設備投資に関し依然として様子見の状況を続けている状況です。IT及び半導体の市場の指標の一つとしてスマートフォンの出荷見込み台数がありますが、日経XTECH社によると2023年は11億3,400万台(前年比6%減)でありました。期待されている2024年は11億7,100万台(前年比3%強増)との予測から、慎重さを見せつつも市場の本格回復は第3四半期以降となる見込みとなりました。第3四半期における当社の営業状況見込みについて、各お客様の状況は、依然新規投資に慎重さはあるものの上昇に向かいつつあり、2024年7月に約1.3億円の新規受注を頂きました。当該受注装置の出荷売上計上は第3四半期中を予定しております。(用語 製造工場:受託製造工場でOSATとも呼ぶ、製造会社:デザインハウスと受託製造工場全体を指す)。
以上より、当中間連結会計期間の売上高は237,415千円にとどまり、営業損失251,542千円、親会社株主に帰属する中間純損失219,790千円を計上しております。また、営業キャッシュ・フローは、168,936千円のマイナスとなりました。
上記のとおり、継続的な営業損失及び営業キャッシュフローのマイナスが発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。
事業施策
1.中国国内での受注販売活動の促進
2023年末まで引き続いた民生向け半導体の在庫調整から一転し、2024年上半期中の各社OSAT(半導体チップの組立検査受託会社)は増産に転じるものと予測されておりました。当中間連結会計期間の1月から3月は市場回復直後であり、想定どおり新規の設備投資は控えめでした。期待のかかった当中間連結会計期間の4月から6月の状況としては、大方の予想を裏切り市場回復ペースはゆっくりであり、本格回復までには当初の想定以上の時間がかかる状況となりました。2024年の市場の状況として、民生IT関連市場における指標の一部ともいわれるスマートフォンの想定出荷台数予想推移は上述のとおり比較的ゆるやかに推移しており、ウエアラブル端末の増加やスマートフォンの機能向上に合わせた価格上昇傾向が続いていることから、足元では新製品のニーズは緩慢な状況にあります。ユーザーの買い替え期間が長期化していることを受け、修理市場向け半導体チップの需要もゆるやかに増加している傾向にあります。このことから、2024年の下半期から2025年にかけて半導体製造工場における設備投資もゆるやかに増加していくものと考えております(引用:日経XTECH)。
SEMI(国際半導体製造装置材料協会)によると、2024年下半期から本格回復が予想される半導体製造装置市場は2025年に1,090億米ドルから1,280億米ドルへと大きく伸長し、その要因として「中国の好調な設備投資の継続」や「AIコンピューティングに向けたDRAM及びHBM(広帯域メモリ)への投資」また先端ロジックやメモリ関連の需要増としております。当社ビジネスに大きな影響のある新世代スマートフォンに於いては2024年下半期から2025年にかけ、AI連携機能を搭載した新世代製品が計画されており、また中国に於いてスマートフォンやPCに搭載されるLCDドライバーチップなどの検査を目的にOSATなど新工場の建設ラッシュが続いております。従いまして、2024年下半期以降中国OSAT各社の動きが今後活発化して行くものと考えております。
今後の半導体市場は、各国で声高に叫ばれていた電気自動車(EV)は期待に反し大きく鈍化するとの観測もありますが、ChatGPTなどに代表される生成A.I.向けGPU(画像を含む高速情報処理チップ)などのハイエンド・ミックスデバイスや各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展、脱炭素化推進に向けたペーパーレス化に伴うデータセンターの増設、拡大、高齢化社会に向け期待の高まる自動運転や5G、6Gなどの高速通信環境がもたらす新しい世界(VRやメタバース)が急速に拡大し、各種AIクラウドデータセンターは勿論、GX投資(グリーン投資)など、官民連携によるインフラの整備がけん引役となり、力強く成長すると見られております(Techinsight)。また、同Techinsight社によると、今後の10年の半導体市場では、これまでスマートフォン、PC等情報端末が占めていた半導体チップやディスプレイパネル等のニーズは、将来的に産業用途・医療・自動車向けのものに変わるものと予想されています。
当社グループが「主力装置」と位置付けるディスプレイ・ドライバーIC検査装置は、液晶パネルに使われるディスプレイ・ドライバーIC(ディスプレイに絵や文字を表示するIC)の検査に使用されており、また、それら情報機器ではディスプレイ・ドライバーICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーICと検査用高精度光源装置(TOF機能搭載)、制御用ロジックICなど多種にわたる周辺半導体デバイスが使われております。現状足元では、新規設備投資は足踏み状態が続いておりますが、中期的には需要も戻り更に大きな伸びが期待される分野です。
当社事業に密接な関係がある2024年のスマートフォン市場は、より高度な消費者の需要を満足させる動向であり、具体的には、AIの統合・バッテリー寿命の延長・プライバシー保護の強化をする動きが活発化しています。そのためにスマートフォンメーカー各社は、より高性能なプロセッサ・大容量のバッテリー・クリアなディスプレイ、そして優れたカメラを備えた新機種を2024年秋から2025年にかけて相次いで発表するものと考えられます。当社においては、現在各デザインハウスやOSAT(受託製造工場)と密接に情報交換を行い、受注に結びつけて行く計画です。
上述のような理由から、当中間連結会計期間においては、受注は低迷いたしましたが、当社の主力検査装置「WTS-577SR」につきましては、2021年から販売を開始し、改良と改版を重ね信頼性も向上いたしました。その結果、新規設備投資低迷期であったにも関わらず、当中間連結会計期間の2024年1月から3月に約1.4億円の受注を受け売上を計上し、また新たに2024年7月に約1.3億円の受注を頂くことができました。なお、当該7月の受注案件はすべて第3四半期中の売上を予定しております。
新戦略として、中国国内において当社グループ企業と開発、製造並びに営業戦略で共同戦略を押しすすめ、米国圧力による対中規制強化に影響を受けない中国市場攻略を進めてまいります。
また、当社の中国製造子会社「偉恩測試技術(武漢)有限公司」(以下、「ウインテスト武漢」という。)の営業体制を見直し、上述のように、当社グループ会社の営業力も活用し中国、台湾において、グループ力による受注を目指します。また、営業とアフターサポートセクションの情報共有を促進し、よりお客様に寄り添った営業活動を図ってまいります。
ウインテスト武漢においては、積極的な日本からの応援を行い顧客対応力(クレーム解決力)の強化、更なる最終組立工程の製造品質の向上に取り組み、中国国内市場への深耕を図ってまいります。
2.技術開発の強化
先端ロジック機能(I/O 1024チャンネル、デジタルスピード1.6Gbps)に関しては、次世代LCDデータキャプチャボートとともに2024年10月から12月にかけ順次リリースの予定です。また、引続き次世代向け機能として超高速デジタルパターンスピード発生装置USDRとして4.0Gbpsを発生する高速リソースの開発を継続しており、同じく2024年10月から12月には開発を終了し、お客様への提供を開始する予定です。更に「WTS-9000S」次世代のフラッグシップ検査装置に先立ち「WTS-577SX」のリリースを同じく2024年10月から12月を目途に計画をしております。「WTS-577SX」に関して、国内、台湾、中国顧客向けを想定した開発を継続しており、多くの部分を現在開発中の次世代LCDドライバー検査装置へ共用の上、使い勝手の向上に向けて新GUIを装備し、コスト削減と市場への早期リリースができるように計画しております。
また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、2025年中には当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用し、且つ当社並びにウインテスト武漢の技術陣に加え、当社グループ企業との開発連携で、今後市場拡大が見込まれるシステムオンチップ(SoC)市場やAIチップ検査市場に進出する計画です。国内では、汎用デジタル市場の検査分野、ハイエンドCMOSイメージセンサー分野そして2027年までにデバイス検査の新たなアプローチとして注目の集まるSLT(システムレベルテスト)対応検査装置の構築を完了いたします。機動的なファイナンスを行い有力半導体検査周辺機器メーカーやパワー半導体専門メーカーなどのM&Aも計画し、日本市場においても注目を集める検査分野への進出を目指し、資本提携や協力体制を積極的に進め、新規市場参入を加速し対応可能検査範囲の拡充、収益基盤固めに取り組んでまいります。
3.隣接領域の展開と製品化
検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、特許等の申請については終了しております。当該技術は当社の検査装置とウエーハ搬送装置との間のドッキングアダプター(以下「ポゴタワー」という。)の着脱(約25㎏~30㎏)をオペレータ一ひとりで簡単に安全に行うための補助アーム(以下「マニピュレータ」という。)で製品化を目指しておりますが、ロボットを得意とする専門工場と協議し、2024年問題で揺れる「物流市場」におけるトラック向け荷役補助装置並びに同技術を使った昇降機能付き台車の製品化を考えており、製品化後の量産工場の選定などの協議を続けております。
奈良県立大学と進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、協力病院及び大規模介護施設向けに試験販売と検査情報収集を継続し、同大学並びに株式会社TAOS研究所と連携のもと、機能の改善改良強化を進めております。なお、個人家庭向け製品につきましては、機能面の見直しと量産体制が整い次第、お知らせいたします。なお、量産に関し国内の有力企業様と折衝を始めました。年内での一般市場投入を計画しております。
財務施策
財務面については、事業拡張を考えた財務戦略として財務基盤を強化する目的のため、当中間連結会計期間中には2024年2月19日の取締役会の決議において、GFA株式会社を借入先とする1億円の借入を決議し、2024年2月26日に実行されております。また、同目的のため、2024年2月20日の取締役会の決議において、楽言海外国際(香港)有限公司を借入先とする1億円の借入を決議し、2024年2月20日、21日及び22日の3回に分けて実行されております。筆頭株主である武漢精測と諮りながら、武漢精測グループ及び投資機関からの資本増強あるいは必要に応じ同グループからの借入を計画し、資金確保についての施策を今後とも継続実施してまいります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間(2024年1月1日~2024年6月30日)におけるWSTS世界半導体市場統計は、前年比でプラス16%の増加としていましたが、台頭が著しいAI関連を除くと、2023年に発生した半導体のダブつきによる市場の在庫調整の余波はまだ残っており、2024年上半期中までの半導体需要は低調に推移いたしました。2024年下半期から2025年には、AI関連の需要に加え、環境対応や自動運転等の成長領域を念頭に半導体市場の継続的な成長を予測しており、本格回復は2024年下半期へとズレることが予測されております。また、SEMI(国際半導体製造装置材料協会)によると、2024年の世界半導体製造装置市場は、前年比3.4%増の1,090億米ドルに達し過去最高の規模となる見通しであり、2025年も市場は続伸し売上高は1,280億米ドルになると予測しております。この成長要因は、特に「中国の好調な設備投資の継続」や「AIコンピューティングに向けたDRAM及びHBM(広帯域メモリ)への投資」と言われております。また当社ビジネスに関係する後工程装置の市場規模は過去2年間の減少から、「2024年後半」より市場回復が見込まれており、中でも「半導体テスト装置」は7.4%増の67億米ドル、OSAT(受託組立検査企業)で使われる「組み立ておよびパッケージング装置」は10.0%増の44億米ドル、という予想がされております。
2025年も後工程装置市場は拡大する見通しでありテスト装置は30.3%増、組み立て及びパッケージング装置は34.9%増と大きな伸びとなる予想です。この要因として「ハイパフォーマンス・コンピューティング用半導体デバイスの複雑化」と「車載、工業、コンシューマーエレクトロニクスの最終製品市場からの需要回復」があり、加えて中国、米国、日本の前工程ファブの建設ラッシュ、後工程工場(OSAT)の建設ラッシュも後工程装置需要を押し上げる好要因とされております。
SEMIによれば、2023年の日本市場においては自動車用途などの半導体需要の下支えによって前年比1.9%増、市場規模は約6兆5,637億円でありましたが、2024年は前年比4.6%増とプラス成長を継続し、市場規模は約6兆8,670億円になるものと予測し、2025年は前年比9.3%増と成長が加速し、市場規模は約7兆5,088億円になるものと予測されております。
しかし、上述のように当社が足元で注力する中国・台湾の半導体市場の回復に期待されているように、当社としては、当中間連結会計期間における市場の上昇機運は弱かったものの、同下半期に向け社内の体制を整え、引続きお客様のニーズを取り込んだ、既存装置の改良、改善そして次世代デバイス向け検査装置の開発を継続することで、2024年下半期から2025年に大きな上昇が予想される当該市場に注力してまいります。
以上のように、2024年下半期以降では回復の兆しが叫ばれるものの、当中間連結会計期間中となった2024年上半期では、同市場における新規設備投資に半導体製造工場各社は慎重さを見せ、期待通りの受注には至りませんでした。
この結果、当中間連結会計期間の当社グループの売上高は237,415千円(前年同期比27.4%増)、営業
損失251,542千円(前年同期は営業損失249,453千円)、経常損失210,865千円(前年同期は経常損失239,355千円)、親会社株主に帰属する中間純損失219,790千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失240,594千円)となりました。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度に比べ67,812千円減少し、1,881,263千円
(前連結会計年度末比3.4%減)となりました。この主な要因は、現金及び預金が56,591千円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度に比べ353千円減少し、24,235千円(前連結会計年度末比1.4%減)となりました。この主な要因は、投資その他の資産のその他が353千円減少したことによるものです。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度に比べ112,850千円増加し、277,681千円(前連結会計年度末比68.4%増)となりました。この主な要因は、短期借入金が100,000千円増加したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度に比べ8,771千円減少し、134,879千円(前連結会計年度末比6.1%減)となりました。この主な要因は、長期リース債務が7,629千円増加したものの、長期借入金が16,449千円減少したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度に比べ172,245千円減少し、1,492,937千円(前連結会計年度末比10.3%減)となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する中間純損失219,790千円を計上したことにより、利益剰余金が219,790千円減少したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて56,591千円減少し、当中間連結会計期間末には305,074千円となりました。
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は168,936千円(前年同期は、306,840千円の減少)となりました。これは主に、売上債権の減少額76,712千円により資金の増加があったものの、仕入債務の減少額12,737千円及び税金等調整前中間純損失218,551千円等による資金の減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増減した資金はありませんでした(前年同期は、300千円の減少)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は83,749千円(前年同期は、260,568千円の増加)となりました。これは主に短期借入よる収入100,000千円があったことによるものです。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は114,443千円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。