第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 なお、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況につきましては、次のとおりであります。

 

(継続企業の前提に関する重要事象等について)

 当社グループは、前連結会計年度において、前々年度から続いている半導体のダブつきと民生半導体の需要減による工場稼働率の低迷が長引いたことの影響を受け、売上・受注時期がずれ込み、売上高は417,090千円となりました。また、資産の健全性を確保するために棚卸資産の評価損を計上したことに伴い、売上原価が増加し、営業損失1,083,829千円、経常損失は1,094,080千円、親会社株主に帰属する当期純損失1,105,888千円を計上いたしました。また、営業キャッシュ・フローは、662,304千円のマイナスとなりました。

 前連結会計年度においては、AI関連半導体が集中する米州が前年比45.2%増と突出した成長となり、1,951億2,300万米ドルに達したのにひきかえ、非AI領域市場に偏重する日本を含むアジア、欧州の成長は前年比8.1%減と伸び悩みました。この状況を受け当社の注力する中国・台湾市場においては、多くの半導体製造工場で生産調整から新規設備投資を凍結しておりました。当中間連結会計期間においては、1月から6月において(主に2025年1月から3月の半ば頃から)多くの半導体生産工場は、生産調整を終了し正常化に向けて装置稼働率も順次上昇しております。当社としては、このように装置稼働率が戻りつつあることを受け、4月から6月にかけて半導体市場の本格回復を期待しておりましたが、半導体製造工場各社の製造装置稼働率の状況は、力強さに欠け新規設備投資には依然として慎重な姿勢が崩れず、未だ様子見の状況が続いております。2025年6月のEETIMES社の分析(データは世界半導体市場統計「WSTS」)によると、2025年の半導体市場は2桁成長が期待されるものの当社が所属する「非AI領域」は地政学リスクの影響が色濃く弱含みとの予測が続いております。2025年度の半導体市況として、具体的には、世界半導体市場全体では前年比11.2%増の7,008億7,400万米ドルに達する見込みではありますが、主には生成AI関連半導体の底上げの要因となっており、一方、AI以外の分野(民生、産業、車載)においては、米国の関税政策リスクの影響も無関係ではなく、特にスマートフォンや家電、車載向け半導体の回復は国家間の政策に左右される面があるとし、通年では依然弱含みとした予測であります。そのような中、当社がビジネスを展開する市場領域における顧客の状況は、いまだ新規投資には慎重さはあるものの徐々に上昇に向かいつつあり、概ね下期以降に発売が予定される次世代スマホやPCから順次新機能が搭載されることから、工場の稼働率の正常化、新規投資が期待されつつあります。

 以上より、当中間連結会計期間の売上高は148,316千円にとどまり、営業損失376,817千円、経常損失377,165千円、親会社株主に帰属する中間純損失408,251千円を計上しております。また、営業キャッシュ・フローは、237,745千円のマイナスとなりました。

 上記のとおり、継続的な営業損失及び営業キャッシュフローのマイナスが発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

 

事業施策

1.市場動向と中国市場での営業活動について

 2024年度大きく期待された半導体市場の回復はAI関連の大きな躍進が目立ちましたが、上述のように当社が所属する「非AI領域」は力強さが無く低迷いたしました。各半導体生産工場の装置稼働率は昨年に比較し上昇しておりますが、上昇幅は限定的となっております。足もとの2025年1月から6月の市場の情勢としては、AI関連は順調に推移したものの、民生、産業やEVに関しては内燃機関からの移行機運の出鼻を挫くEV離れが発生、車載関連半導体までも含む各社の製造装置稼働率は大きく低迷、市場は力強さを欠き、特に新規設備投資は様子見の状況が続きました。従いまして、顧客の状況は、新規投資に依然として慎重さはありますが、上述のように次世代情報端末の発売に向け、半導体チップの需要は上昇基調にあり、工場の稼働率の正常化、新規投資の計画も顧客から少しずつ聞こえてくるなど年後半に向けて前向きな状況となりつつあります。

 当社グループが「主力装置」と位置付けるディスプレイ・ドライバーIC検査装置は、液晶パネルに使われるディスプレイ・ドライバーIC(ディスプレイに絵や文字を表示するIC)の検査に使用されており、また、それら情報機器ではディスプレイ・ドライバーICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーICと検査用高精度光源装置(TOF機能搭載)、制御用ロジックICなど多種にわたる周辺半導体デバイスが使われております。現状、足元では上述のように新規設備投資は足踏み状態が続いておりますが、中期的には需要も戻り更に大きな伸びが期待される分野です。

 当社市場領域においては、米国トランプ政権の関税政策等に世界が揺さぶられている状況ですが、地政学的な状況を勘案してもなお、現状においては、半導体の製造工場数や製造量で中国市場を無視できない状況です。当社としては引続き中国半導体市場をメインターゲットとした販売戦略を推し進めてまいります。新戦略として、2025年初頭から推し進めている中国の当社グループ関連企業との開発、製造並びに営業活動においてより密接に連携を取り、顧客における新規投資のタイミングを逃さず中国市場攻略を進めてまいります。

 また、当社の100%中国製造子会社「偉恩測試技術(武漢)有限公司」(以下、「ウインテスト武漢」という。)の営業体制を見直し、上述のように、当社グループ会社の営業力を活用し中国・台湾において、グループ力による受注を強化します。また、営業とアフターサポートセクションである「テスト技術部」との情報共有を促進し、より顧客に寄り添った営業活動を図ってまいります。工場運営では、現地出張を含む積極的な日本からの応援を行い、顧客対応力(クレーム解決力)の強化、更なる最終組立工程の製造品質の向上に取り組み、中国国内市場への深耕を図ってまいります。

 上述のような理由から、当中間連結会計期間においては、受注は低迷いたしましたが、当社のハイエンド主力検査装置「WTS-577SX」並びに普及版の「WTS-577SR」、そしてフラッグシップとなる3,500チャンネル越えの能力を持つ「WTS-9000」を主軸として市場攻略をしてまいります。なお、受注済み案件は下期中の売上を予定しております。

 

2.技術開発の強化

 先端ロジック半導体検査装置に搭載される先進機能(I/O 1024チャンネル、デジタルスピード1.6Gbps)に関しては、2024年12月のセミコンショーにて発表をいたしましたWTS-577SX、WTS-9000等に注力したため、現状一時ストップさせ、予定を遅らせておりますが、次世代LCDデータキャプチャーボードとともに2025年中に再度スタートをかけ直し、2026年度上半期中には販売の開始を計画しております。また、引続き次世代向け機能として超高速デジタルパターンスピード発生装置USDRとして4.0Gbpsを発生する高速リソースの開発は継続中ですが、2026年夏までには開発を終了し、顧客への提供を開始する予定です。

 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、AI関連分野に直接結びつき引続き、市場拡大が見込まれるシステムオンチップ(SoC)市場に進出するために、当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用し、且つ当社並びにウインテスト武漢の技術陣に加え、当社グループ企業との開発連携を行い実現いたします。

 パワー半導体向け検査装置の市場は一時的なEV離れにより停滞気味ですが、中長期的には、今後とも安定的な伸びが期待できる分野です。現在2026年末を目途に設計と開発に日々邁進しております。

 また国内市場に目を向けると、汎用デジタル市場の検査分野、ハイエンドCMOSイメージセンサー分野、そして2027年までにデバイス検査の新たなアプローチとして注目の集まるSLT(システムレベルテスト)に対応する検査装置の開発を有力顧客との連携のもとに完了いたします。

 

3.隣接領域の展開と製品化

 特許である自重補償機構技術(以後、「MGC技術」と言う)を使ったトラック用テールゲートリフターについては、慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、最終段階に入っております。これは、昨年に話題となった2024年問題で揺れる「物流業界」において、主流となっているテールゲートパワーリフター(重量物荷役補助装置)に代えて、モーターや油圧を利用せず安価に利用できる荷役装置としての実用化を行うものです。並びに同MGC技術を使った昇降機能付き台車の製品化を考えており、2025年10月26日に開催される全日本トラックショーに展示することを目標に開発製造を進めております。

 株式会社TAOS研究所と連携のもと進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、バイタルセンサー部分に新型のものを採用し改善を行い、病院で取る心電図相当のデータ取得を可能とするなど、検査精度の向上、分析機能の改善改良と強化を進めております。なお、一部機能につき現在最終の実装を行っており、量産の準備を行っており、8月より量産に入る計画です。ただし、当初は生産数量の関係があるため、販売方法に関しましては一部の有力代理店を通じた販売方式を考えております。

 次に当社独自で進めておりました水素ナノバブルイオン洗浄水製造装置に関しましては、2025年6月19日付「株式会社レドックステクノロジーとの開発協業開始のお知らせ」にてお知らせいたしましたように、同社の特許技術が入った高性能電解槽を当社装置に使った新バージョンに移行し、大幅に精製能力と洗浄水の品質の向上を図ることができました。現在製造体制(量産)の整備を計画しており、遅くとも下期中には販売の開始を行います。

 2025年7月17日付「先端技術を駆使した液体レンズ「RYUGU」正式販売開始のお知らせ」で販売の開始をいたしました液体レンズ「RYUGU」は、6月11日から3日間開催された「画像センシング展 2025」にて先行展示を行い100社越えに上るご来場者の皆々様から、大きな反響をいただきました。これは従来のガラスなどで作られるレンズに代えて特殊な液体を組み合わせたレンズ構造とし、プログラムされた電圧を加えることで厚さ(焦点)を瞬時に制御できる製品となります。デモ製品はテレセントリックレンズに組込み、来場した顧客に順次アプローチを行いました。また、当製品は余りに多くの反響をいただきましたので、本年9月15日から3日間にわたり、パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1-1-1)にて開催されるSSDM(国際固体素子・材料コンファレンス)への出展を計画しております。

 「WTS-CT130」 マイクロCT、X線照射3D断層撮影検査装置に関しまして、2024年12月のセミコンショーにおいて、多くの顧客からデモのご依頼を受けました。2024年から引き続き、顧客立合いのもと、顧客による「持込み試料」について、X線によるデモを実施しております。

 

財務施策

 財務面については、事業拡張を考えた財務戦略として財務基盤を強化する目的のため、2024年10月31日付取締役会の決議において、GFA株式会社を割当先とする10,000千株の第三者割当による第12回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行を決議し、同年11月20日付で第三者割当による第12回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行に係る払込完了が行われ、順調に行使が進み2025年7月22日付で、すべての行使が完了、合計約8億円の調達をしております。なお、一部資金使途及び支出予定時期の見直しをしております。今後とも新規開発、営業並びに新規事業方面での資金需要を鑑み、機動的なファイナンスを計画するとともに有力半導体検査周辺機器メーカーやパワー半導体専門メーカーなどのM&Aも計画し、日本市場においても注目を集める検査分野への進出を目指し、資本提携や協力体制を積極的に進め、新規市場参入を加速し対応可能検査範囲の拡充、収益基盤固めに取り組んでまいります。

 また必要に応じ当社のグループ企業あるいは金融機関等からの借入を計画し、事業成長に資する資金確保についての施策を継続的に検討実施してまいります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 当中間連結会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)におけるWSTS世界半導体市場統計は、前年比+11.2%と二桁成長が維持されるものと予測されておりました。AIに関連するデータセンター投資の恩恵を受けるメモリー製品やロジック製品(SoC)については高成長をすると予測されておりました。しかし、ふたを開けてみると、世界半導体市場統計(WSTS)の2025年6月3日(火)15:00 公表の資料では、当社の主市場であるAI関連以外では年初予想から下方修正され、当該市場は中国の補助金政策により足下はスマートフォンや家電向けなどで押し上げ要因が見られるものの、アメリカ発の関税問題や輸出規制を含む地政学的リスクの高まりなど不透明要素が多いことから、通年では弱含んだ予測となりました。

 同様に、SEMI(本部:米国カリフォルニア州)によると後工程装置は、力強い回復を継続すると予想されています。半導体テスト装置の売上高は、2024年に前年比20.3%という力強い成長を記録した後、2025年にはさらに23.2%増加し、過去最高の93億ドルに達すると予測されています。組立及びパッケージング装置の売上高は、2024年に25.4%増加しており、2025年には7.7%増加して54億ドルに達すると予測されています。この成長は、主にAI及び高帯域幅メモリ(HBM)半導体に対する厳しい性能要件によって牽引されています。しかしながら、このセグメントの成長は、民生用を始めとした、自動車、産業向けなどの最終市場の継続的な低迷によって部分的に相殺されてしまうとのことです。

 上述のように台頭が著しいAI関連を除くと、1月から3月にかけては動きが大きくありませんでした。当初の目論見では4月から6月にかけて半導体市場の本格回復を期待しておりましたが、半導体製造工場各社の製造装置稼働率の状況は、上述の状況が裏打ちするように、依然力強さに欠けることとなり新規設備投資に関し慎重な姿勢を見せ、昨年に続き様子見の状況が続いております。2025年度の半導体市況として、AI以外の分野(民生、産業、車載)においては、依然として地政学的リスクの影響が大きく、特にスマートフォンや家電、車載向け半導体の回復は国家間の政策の影響が強く表れている状況といえます。

 しかし、そのような中ではありますが現場の声としましては、顧客の状況は新規投資には慎重さはあるものの上昇に向かいつつあり、概ね下期以降に発売が予定されるスマホやPCから順次新機能が搭載されることから、工場の稼働率の正常化、新規投資も計画が持上がる等、前向きな状況も見えつつあります。

 当社としましては、足元で注力する中国・台湾の半導体市場の状況を踏まえ、当中間連結会計期間における市場の上昇機運は予想に反し弱かったものの、下半期に向け社内の体制を整え、引続き顧客のニーズを取り込んだ、既存装置の改良、改善そして次世代デバイス向けテスト技術の開発を継続することで、2025年後半から2026年に続く上昇が予想される当該市場に注力してまいります。

 以上のように、2025年下半期以降では回復の兆しが叫ばれるものの、当中間連結会計期間中となった2025年上半期では、同市場における新規設備投資に半導体製造工場各社は慎重さを見せ、期待どおりの受注にはいたりませんでした。

 この結果、当中間連結会計期間の当社グループの売上高は148,316千円(前年同期比37.5%減)、営業

損失376,817千円(前年同期は営業損失251,542千円)、経常損失377,165千円(前年同期は経常損失210,865千円)、親会社株主に帰属する中間純損失408,251千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失219,790千円)となりました。

 

 

(2)財政状態に関する説明

(資産)

 当中間連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度に比べ21,952千円増加し、1,193,345千円

(前連結会計年度末比1.9%増)となりました。この主な要因は、仕掛品が60,205千円減少し、また原材料が148,026千円減少したものの、現金及び預金が232,849千円増加したことによるものです。

 固定資産は、前連結会計年度に比べ318千円減少し、23,589千円(前連結会計年度末比1.3%減)となりました。この主な要因は、投資その他の資産のその他が318千円減少したことによるものです。

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度に比べ177,472千円減少し、199,159千円(前連結会計年度末比47.1%減)となりました。この主な要因は、返済により短期借入金が100,000千円減少したこと、買掛金が56,597千円減少したことによるものです。

 固定負債は、前連結会計年度に比べ8,286千円減少し、110,453千円(前連結会計年度末比7.0%減)となりました。この主な要因は、資産除去債務が8,659千円増加したものの、長期借入金が16,449千円減少したことによるものです。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度に比べ207,393千円増加し、907,322千円(前連結会計年度末比29.6%増)となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する中間純損失408,251千円を計上したことにより、利益剰余金が408,251千円減少したものの、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ324,739千円増加したことによるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて232,849千円増加し、当中間連結会計期間末には323,552千円となりました。

 当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果減少した資金は237,745千円(前年同期は、168,936千円の減少)となりました。これは主に、売上債権の減少額57,973千円、棚卸資産の減少額139,808千円により資金の増加があったものの、税金等調整前中間純損失407,004千円等による資金の減少があったことによるものです。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は29,838千円(前年同期は、該当はありませんでした)となりました。これは無形固定資産の取得よる支出29,223千円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果増加した資金は524,654千円(前年同期は、83,749千円の増加)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入640,354千円があったことによるものです。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は101,401千円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。