当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、社員と企業の「革新と成長」を通じ、人と社会と地球環境に貢献することを企業理念とし、電池で培った先進のエネルギー技術で世界のお客様へ快適さと安心をお届けして参ります。以下の経営の基本方針に従って、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指して参ります。
・サステナビリティ課題の解決に貢献し、社会と共に永続的に成長します。
・公正で健全な経営を遂行し、持続的な成長を支える強固な事業基盤を保持します。
・多様なステークホルダーと対話し理解を得ながら、信頼関係を構築します。
当社グループは、2023年4月に長期ビジョン「Vision2035」並びに「第六次中期経営計画」を策定いたしました。第六次中期経営計画をVision2035で描くありたい姿の実現に向けた変革のための土台作りの期間と位置づけ、事業構造変革に向けた以下の諸施策を実行して参ります。
・本田技研工業㈱との合弁会社を活用した高容量・高出力なリチウムイオン電池開発
・モビリティ・社会インフラビジネス拡大のためのBEV用電池生産/供給体制整備
・徹底した付加価値創出と収益性改善
・国内産業電池電源事業における圧倒的な優位性による利益の最大化
・中国事業見直しを含む地域戦略の転換、主要拠点へのリソース集中と利益の最大化
・事業構造転換を可能にするDX推進
・社会課題解決に貢献する新規事業創出
当社グループは、2025年5月にアップデートしました「第六次中期経営計画」において、2026年3月期の連結での売上高6,000億円、営業利益520億円(のれん等償却前)、ROE9.5%、ROIC13.0%、総還元性向23.6%を目標数値としています。なお、各指標はのれん等償却前利益(営業利益・当期純利益)に対するものです。
カーボンニュートラルの動きは世界規模で加速しており、特に欧州や中国、日本では電動化や再生可能エネルギーの導入に向けた動きが顕著になっています。当社の事業はサステナビリティとの親和性が高く、気候変動やエネルギー資源の問題解決が人類全体のテーマとなる中で、当社の社会的使命と責任はさらに大きくなっています。
当社がこれからの社会に貢献していくためには、培ってきた電気を蓄える・使う技術の更なる革新とともに、それらの技術を社会インフラとして広く実装・運用していくことが重要です。エネルギーデバイスの開発・製造・販売から、エネルギーを社会全体で使いこなすためのエネルギーマネジメント、さらにその先にあるエネルギー資源循環にまで視野を広げ、サステナブルな社会の実現に貢献して参ります。
カーボンニュートラルの潮流を時代の変節点と捉えており、急激に市場環境が変化する中、2035年に向けた長期ビジョン「Vision2035」を策定しました。Vision2035で「2035年のGSユアサのありたい姿」を示した上で、実現に向けた変革のための土台作りの期間として、2023年度から2025年度までの3年間の第六次中期経営計画を策定しています。第六次中期経営計画で挙げる事業構造変革に向けた諸施策を実行することが当社の課題であると認識しています。
需要変動への迅速な対応と在庫削減を両立する供給体制を構築するとともに原材料価格等の適正な売価反映による収益率の向上を図ります。また、中国事業の抜本的見直しを推進する一方、ASEAN拠点の強化による利益の最大化に取り組み、選択と集中による将来に向けた経営体制の変革と収益の強化を図って参ります。
常用分野において次世代の成長を取り込む事業基盤を構築すべく長期的な社会インフラビジネス拡大に向けた準備を進めるとともに、非常用分野においてはこれまでのビジネスモデルを拡張したサービスの事業化や顧客への更なる付加価値提供を通して収益性向上を図ります。また、海外市場における製品ラインアップ拡充による競争力の強化に取り組みます。
ハイブリッド車用電池の更なる増産体制の構築ならびに収益性の向上を図るとともに、BEV用電池については本田技研工業㈱との共同研究による高容量・高出力な電池の開発、生産/供給体制の整備に取り組んで参ります。
当社といたしましては、品質重視の基本姿勢に基づいた事業運営によりお客様に安心と信頼を提供するとともに、「革新と成長」の企業理念のもと、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向けた事業基盤の構築に努めて参ります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、グループ全体でサステナビリティへの取り組みを中長期的かつ多角的に推進するため、取締役会の監督のもと、サステナビリティ推進委員会を中心とした体制を整備しています。また、2024年10月には、中核事業子会社である㈱GSユアサの経営会議メンバーで構成され、代表取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を新設しました。これにより、最高経営層のリーダーシップのもと、サステナビリティ経営の推進体制をさらに強化しています。
本体制では、当社取締役社長が「サステナビリティ推進最高責任者」としてグループ全体のサステナビリティ活動を統括するとともに、取締役会を中心としたコーポレートガバナンス体制がグループ全体のサステナビリティ経営の適切性を監督・管理しています。また、㈱GSユアサには、サステナビリティ課題に関する協議、立案、推進を担う会議体としてサステナビリティ推進委員会を設置し、グループ全体でのサステナビリティ経営の推進に取り組んでいます。
サステナビリティ推進委員会で協議された重要事項については、サステナビリティ委員会が審議を行い、効果的なサステナビリティ経営を実践するための指針をサステナビリティ推進委員会にフィードバックします。サステナビリティ推進委員会は、このフィードバックを基に対応策や経営資源等を検討し、当社及び㈱GSユアサの取締役会での決議を経て、グループ全体に展開しています。
なお、当社グループのサステナビリティ情報を社外に公表する際には、サステナビリティ推進委員会のレビューを経た後、取締役会が最終的なレビューと承認を行い、開示する情報の透明性と信頼性を確保しています。
サステナビリティ推進体制

コーポレート・ガバナンス体制の詳細は、「
当社グループは、当社グループの不変的な価値観を示した企業理念を基盤としたサステナビリティ推進プロセスを運用することによって、企業価値とステークホルダー満足度を向上させることを目指しています。
当社グループでは、企業理念を実践するために、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指す方向性を示したサステナビリティ経営方針を策定しています。本方針では、ステークホルダーとの対話を重視し、サステナビリティ課題の解決への貢献や強固な事業基盤を保持する旨をコミットメントしています。
サステナビリティ経営方針の達成に向けては、中長期的な事業戦略プロセス(サステナビリティ課題を考慮した長期ビジョンの達成に向けた中期経営計画等)を運用しています。また、本方針の達成に向けて制定した従業員の行動指針(以下、CSR方針)に関連するサステナビリティ課題への取り組みを推進しています。いずれも、ステークホルダーのニーズ・期待及び社会・環境・経済に関する課題を考慮に入れた上で、社会及び当社グループの経済的な成長と持続性を確保するための事業計画を策定しています。また、サステナビリティ課題に関連する重要なリスクや機会への対応状況を適切に分析・評価し、必要な計画の見直しを行うことで、サステナビリティへの取り組みに対する継続的改善を図っています。なお、CSR方針の実践に向けては、責任ある企業行動における具体的な行動基準を明確にしたCSR行動規範を策定して、従業員に周知しています。
サステナビリティ推進プロセスの概要

CSR方針に関連するサステナビリティ課題への取り組みの概要
●公正、透明かつ健全な事業活動の推進と腐敗の防止
●人権の尊重
●適正な労働環境の維持、向上
●安全、安心な製品、サービスを提供する責任の遂行
●地球環境の保全
●地域社会との共生
●サプライチェーンにおける社会的責任活動の推進
企業理念、サステナビリティ経営方針、行動指針の詳細は、「
company/philosophy.php)
長期ビジョンの詳細は、「
CSR方針に関連するサステナビリティ課題への取り組みの詳細は、「
com/jp/csr/)
当社グループは、サステナビリティ経営方針を達成するための行動指針(CSR方針)に係るリスク・機会を特定し、事業及び社会への影響を評価してCSR方針に関連する重要なサステナビリティ課題(マテリアリティ)を明確にしています。また、事業基盤の強化や企業価値の向上等の観点を考慮した上で、マテリアリティに対応する事業計画(マテリアリティ対応計画)を策定し、計画の進捗状況を図る経営指標及び目標を設定しています。なお、マテリアリティ及びマテリアリティ対応計画の内容については、当社グループのサステナビリティを推進する会議体(サステナビリティ推進委員会)が、ステークホルダーのニーズ・期待やサステナビリティ課題等を考慮して、定期的に見直して決定しています。また、CSR方針に係る重要なリスクについては、当社グループのリスク管理システムを活用して、適切なリスク対応を実施しています。
当社グループは、マテリアリティを長期ビジョンや中期経営計画に組み込んだビジネスプロセスを運用することにより、財務・非財務の両面で経営の質を向上させ、事業と社会の持続可能な成長を目指しています。
長期ビジョン、中期経営計画の詳細は、「当社グループHP
マテリアリティの特定プロセス
●ステップ1:CSR方針に係るリスク及び機会の抽出
サステナビリティ経営方針に基づいて策定した中期経営計画の重要課題を考慮に入れて、CSR方針に係るリスク及び機会を抽出しています。リスク及び機会を抽出する際には、責任ある企業行動に係る国際的なガイドラインを参考にしています。
●ステップ2:CSR方針に係る重要なリスク及び機会の特定
ステップ1で抽出したリスク及び機会に対するスコアリング評価を実施して、事業影響の大きなリスク及び機会を特定しています。次に、事業影響の大きなリスク及び機会に対して、当社グループの事業活動が社会に与える影響を評価して、CSR方針に係る重要なリスク及び機会を特定しています。
CSR方針に係る重要なリスク及び機会を特定する領域(CSRの重点領域)

●ステップ3:マテリアリティの決定
ステップ2で特定したリスク及び機会を分析して、CSR方針に関連する重要なサステナビリティ課題(マテリアリティ)を決定しています。なお、マテリアリティの適切性を確保するために、外部有識者等のステークホルダーの意見を取り入れて、マテリアリティを決定しています。
当社グループは、2023年度を初年度とする中期経営計画を展開する際に、当該計画におけるサステナビリティ課題を組み込んだ新たなマテリアリティ対応計画を策定しました。2022年度のマテリアリティ対応計画の総括やマテリアリティの見直しを行った上で2023年度以降のマテリアリティ対応計画を策定しています。本計画では、指標や目標を設定してサステナビリティ課題における社会への影響を管理するだけでなく、事業への影響を把握する財務的な指標を用いて計画の達成状況を評価しています。
マテリアリティについては、測定可能な目標管理や管理基準に基づく運用管理等を実施して、継続的な改善や効果的な維持管理を図っています。なお、策定した計画内容については、サステナビリティ課題やステークホルダーのニーズ・期待の変化に応じて、必要な見直しを行っています。
当社グループのマテリアリティに対応する計画の概要と本計画が社会及び事業に及ぼす影響については、「
当社グループは、気候関連課題が重要な経営課題の1つであると認識しており、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を2019年12月に表明し、TCFDフレームワークに基づく気候関連の情報開示に取り組んでいます。
詳細は、
当社グループでは、中核事業会社である㈱GSユアサにおいて、気候変動への対応策を立案・実施しており、当社は取締役会において、㈱GSユアサから定期的にこれらの進捗の報告を受け、必要に応じて指導する等し、グループ全体を統括しております。
2024年10月以降は、他のサステナビリティ課題と同様に、気候関連に関わる方針/目標や重要事項は、取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会にて立案/協議され、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会に報告/審議する体制へと移行し、気候関連課題をグループ全体でのサステナビリティとして推進する体制としました。審議された重要事項に関するサステナビリティ委員会からのフィードバックをもとに、サステナビリティ推進委員会にて対応策や経営資源の配分が検討され、当社及び㈱GSユアサの取締役会での決議を経て、グループ全体に展開されます。
当社グループでは、㈱GSユアサの各事業部及び本社部門によるプロジェクトチームにて、全社横断的にシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析では、1.5℃及び3℃の気温上昇を想定し、IPCCやIEA等の国際機関のシナリオを参照しています。また、シナリオ分析の終了年は、短期(2025年)、中期(2030年)、長期(2050年)と設定しました。
シナリオ分析実施の結果、例えば、1.5℃シナリオにおける重要な移行リスクとして、「炭素税の上昇、再エネ導入対応に伴うコスト増」、「自動車市場の変化(ガソリン車市場の縮小、電動車市場の拡大)」を特定しています。また、3℃シナリオにおける重要な物理的リスクとして、「風水害による施設損害、事業停止による利益損害の増加」、「激甚災害対策のための非常用電源の需要拡大」を特定しています。また、特定した重要なリスク・機会に対して、対応策を検討し取組を進めています。
気候変動によるリスクを完全に予測することは困難ではありますが、1.5℃、3℃それぞれのケースにおけるリスク・機会を認識し、適切に対応することで、レジリエンスを高めてまいります。
当社グループでは上記ガバナンス体制の下、以下のとおり、気候関連のリスク・機会の特定及び評価を実施しています。

また、シナリオ分析の実施により特定した重要なリスクと機会は、上記のガバナンス体制の下で管理しています。
当社グループでは、2021年5月に「GY環境長期目標2030」(2030年度CO2排出量を2018年度比30%以上削減)を公表し、CO2の削減を推進しています。そして、2050年までにカーボンニュートラル達成を目指します。
また、2022年3月にはインターナルカーボンプライシング(ICP)制度の導入を公表しています。2025年度の価格設定は15,000円/t-CO2とし、この価格を炭素コストとして設備投資判断に加味することで、事業活動におけるCO2削減を推進します。
●人的資本に対する考え方
創業以来、企業理念である「革新と成長」と100年にわたり磨き上げた蓄電池技術の持続的な発展という技術革新へのこだわりは、今後も変えてはならないものです。
企業理念「革新と成長」を実現し、「Vision2035」を達成するには、未来を創る人材の力が必要であり、社会課題を解決し様々な環境変化や新たな価値提供に向けた事業構造・技術変革に挑戦していく柔軟性と強靭性が重要となります。
当社では、多様性こそ競争力の源泉であると考え、経営課題の一つとしてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I)を掲げています。人事領域においても、人事部基本方針として、「当社で働く一人ひとりの個性・能力を尊重し、いきいきとやりがいを持って働ける環境を提供する」ことを掲げ、第六次中期経営計画では、「DE&Iの推進」と「経営戦略との連動」を人事戦略の大きな柱としています。
人事戦略の実行により、いきいきとした組織が増え、誰もが今後の「革新と成長」をリードする自律型人材となり、生産性向上とイノベーション創出を加速していくために戦略的な人的資本への投資を実施しています。
●「Vision2035」の実現に向けて
人的資本のありたい姿として、誰もが持てる自身の価値観、経験、技術、知識を最大限に発揮できる挑戦の機会が与えられており、個人と会社がともに成長している実感が持てるウェルビーイングな状態(※)でありたいと考えています。
※選択可能であること、個人にとっても、会社にとっても良い状態になっていること
そのための戦略として、人材の成長・活躍の仕組みとなる人材育成方針と多様性発揮のための社内環境整備の二軸で取り組みを展開しています。
当社グループでは、中核事業会社である㈱GSユアサにおいて、人的資本・多様性への対応を立案・実施しており、当社は取締役会において、㈱GSユアサから定期的にこれらの進捗の報告を受け、必要に応じて指導する等し、グループ全体を統括しております。
㈱GSユアサでは、人的資本関連の方針/目標や重要項目は、サステナビリティ推進委員会で立案/協議され、取締役社長が責任者を務めるサステナビリティ委員会及び経営ヒアリング・経営会議へ報告されます。
◆人事戦略体系図

なお、主要な事業を営む会社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行なわれているものの、連結グループに属する全ての会社では行なわれてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関しては、原則として連結グループにおける主要な事業を営む会社のものを記載しております。
人材育成方針
企業理念である「革新と成長」を体現する「自律型人材」を育成し、多様な人材が活躍できる仕組みを構築するためのフローを描き、施策を展開しています。
また、自律型人材である成長意欲の高い人材により積極的に投資していきます。誰もが、自己革新のための主体的に学べる機会を得られる教育体系を整備しており、年齢や経験年数に関係なく重要な役割・仕事に就き、仕事の成果に見合った評価ができる人事制度の導入を検討しています。
これらの取り組みにより、社内の人材の流動性を高め、社員自身が選択し、成長していくことで、エンゲージメントを高め、新たな価値創造を加速させます。
また、持続的な当社グループの成長には、グローバルな視点でのリーダー育成が重要です。事業間の人材の流動性だけではなく、次世代を担う人材への教育とタレントマネジメントによる計画的な育成を推進していきます。
<人材情報の一元管理の開始>
経営戦略と連動した適所適材の人材配置の実現のために人材情報の一元管理を進めています。タレントマネジメントの活用推進により、グローバルな革新と成長をリードする次世代リーダーの育成と事業を取り巻く環境の変化に合わせたスムーズな社内の人材の流動性を確保し、経営戦略にスピーディーに対応することができると考えています。
従業員は、自身のスキル・能力の伸長度合いの可視化による成長実感を持つことや、社内公募する他ポジションへのキャリアチェンジを図ることができ、自律型人材の育成に寄与すると考えています。
<人事処遇制度の改定>
2025年度より管理職への当社独自のジョブ型人事制度を導入しております。これまでの制度よりも、年齢や経験年数に関係なく、より役割・仕事に求められる専門性に紐づいた処遇を行い、従来よりもチャレンジングな役割・仕事への挑戦をしやすくすることで、自律的なキャリア形成と経営戦略へのスピーディーな対応を実現します。
<次世代リーダー育成>
企業理念「革新と成長」を実現し、「Vision2035」を達成するためには、当社を牽引する次世代リーダーの育成は最も重要な課題であり、次世代の経営を担う人材の早期育成を目指して次世代リーダー育成研修を実施しています。
2023年度、2024年度と実施し、研修参加者のエンゲージメント、メンタルタフネス度は年々向上しており、研修プログラムと実践を通じた良い変化が見られました。エンゲージメントの波及とリーダーシップを発揮できるよう適所適材の配置による機会提供等を行いながら、継続的な育成を図っていきます。
<多様な研修体系の整備>
従業員一人ひとりが描くキャリアビジョンの実現と会社の新たな価値創造を両立させるための研修体系を整備しています。従業員の多様なキャリア開発を支援するために、これまで実施してきた階層別のキャリア開発研修に加え、キャリア自律のための階層別・年齢別のキャリアデザイン研修を導入しています。また、キャリア面談を有効に実施していくために、全管理職に対してキャリア面談サポート研修を実施しており、従業員のキャリア自律を支援する基盤を強化しています。
キャリア自律を促す仕掛けとして、公募制の研修も拡充しており、自薦制のビジネスリーダー研修には課長18名、リーダー23名が参加しました。
経営戦略と連動したスキル習得に向けては、今後の事業の競争力を生み出す上で重要となるDX人材育成を目的とした「育成道場」を立ち上げ、3年で100名の卒業生輩出を目標としています(2024年度時点54名)。今後は、個々の業務に応じて必要となる技術・技能習得等学べるビジネススキル研修や新規事業創出に活かすための発想力研修等従業員自身が選択して受講できる仕組みを導入する予定です。また、獲得したスキルを発揮する場のひとつに、新規事業創出のチャレンジ活動である「Bizチャレ」を立ち上げています。「Bizチャレ」は、全従業員を対象とした新規事業のアイデア創出・提案ができる仕組みであり、当社の誰もがこれからの「革新と成長」のための機会を生み出すことができます。
<社内公募制の導入>
キャリア開発については、自己申告制度を用いたキャリア形成に関するレビューと、各階層へのキャリア開発研修を展開し個人のキャリア形成を支援しています。個人が目指すキャリアをサポートする仕組みとして、社内公募制を導入し、自律的なキャリア形成を促進しています。これまで4回実施し、延べ97名の応募があり45名のマッチングが成立しています。社内公募による異動者は、メンタリティ・マネジメント診断においても「会社との適合感」や「前向きに考え直す行動」等キャリアの見通しや新たな環境を前向きに捉えている様子がうかがえ、社内の人材の流動性を高めることにつながっています。一方で、人材の流動による影響もあり、応募の偏りの解消に向けた募集ポジションの組織ミッションの開示や異動元の部署へのキャリア採用による人員補充等の課題への対応も行っています。今後もキャリア自律を促す機会と社内でのスキル交換による経営戦略と連動した動的な人材ポートフォリオを実現する仕組みとして、タレントマネジメントとリンクさせた仕組みとして活性化させていきます。
◆人材育成の基本

◆研修体系

※㈱GSユアサにおける人事部が主催する研修の体系
◆人材育成に関する研修時間(2024年度)
※ ㈱GSユアサにおける人事部が主催する研修の実績です。
※ 対象期間は2024年4月から2025年3月までです。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者を含み、他社からの出向者は除きます。
※ 有期労働者には、契約社員、再雇用社員、嘱託社員を含み、派遣社員は除きます。
環境整備方針
人事部基本方針に基づき、一人ひとりの個性・能力を尊重し、いきいきとやりがいを持って働ける環境を提供するために、働きやすさと働きがいを重視した取り組みを実施しています。
いきいきと働くことができる働きやすさと働きがいを生み出すために、社員一人ひとりのライフステージに応じた柔軟な働き方ができる仕組みと、多様性の拡大や理解推進のための教育機会の提供、エンゲージメントを高めることができる組織風土のウェルビーイングな醸成に積極的に取り組んでいます。
<メンタリティ・マネジメント診断結果を活用した組織改善活動>
当社では、従業員が能力を十分に発揮し、心身ともに健康で働き続けられる環境を整備することが、労働生産性の向上、イノベーションの創出、多様な人材の確保に寄与すると考えています。
そして、従業員・組織の状態をモニタリングするために、エンゲージメントとメンタルヘルスを掛け合わせたメンタリティ・マネジメント診断を導入し、年1回測定しています。
ワークエンゲージメントとメンタルヘルスの双方が良好な「いきいき組織」づくりを推進するほか、様々な人事施策の効果を確認するために、個人のキャリア自律に対する捉え方、上司・同僚等の信頼関係や心理的安全性の担保、ダイバーシティへの対応状況等の結果を複合的な視点で分析し、施策の効果検証と改善に活用しています。集団分析結果を用いた組織改善活動が定着し、部署間での好事例の共有等、ウェルビーイングな組織づくりに取り組んでいます。
当社の中核事業会社である㈱GSユアサにおいては、経営課題及び人事部基本方針としてDE&Iを積極的に推進しています。2018年度に「GYみらいプロジェクト」を発足し、多様な人材の採用と育成、及び一人ひとりが最大限能力を発揮できる環境整備を推進しています。一人ひとりの特性を活かし、多様な働き方やキャリアビジョンの価値観が尊重され、ウェルビーイングな状態であり続けることを支援しています。
<多様な人材の確保>
●キャリア採用の強化
多様な専門性、バックグラウンドを持つキャリア人材の採用を積極的に行っています。また、キャリア人材がこれまで培ってきた個性・能力を早期に最大限発揮できるよう、キャリア入社者同士の相互の人材交流や、企業理念の理解浸透に向けた当社の歴史を知るための研修を開催しています。リファラル採用等様々な採用手法を展開し、応募者が前年比160%まで増加、117名を採用しています。
◆新規雇用者の人数と比率(2024年度)
※ ㈱GSユアサにおける全労働者の実績です。
※ 全労働者には正規雇用労働者と有期労働者を含みます。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者を含み、他社からの出向者は除きます。
※ 有期労働者には、契約社員、再雇用社員、嘱託社員を含み、派遣社員は除きます。
●外国人雇用の取り組み
技術・専門知識を有する外国人を国籍問わず採用できる活動を推進しています。また、それぞれの国の慣習、文化的価値観、宗教等を理解し尊重することが、良好な関係を築き、事業運営を効果的に進めることに繋がると考えています。
●障がい者雇用の促進
特例子会社の㈱GSユアサ ソシエは、障がい者の雇用を積極的に行っています。全国の様々な企業との情報交換や交流を積極的に行っており、障がいの有無にかかわらず、いきいきとやりがいを持って働ける環境づくりにも力を入れています。社内では事業部別に雇用率をモニタリングし、雇用の状況と環境づくりを意識しやすいように可視化しています。また、障がい者採用サイトでは、雇用慣行データの開示や働く従業員、安心・安全で働ける環境についても情報を開示しています。
<柔軟な働き方の整備>
ライフステージやライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができる仕組みを導入しています。
在宅勤務の推進やフレックスタイム制度等自己裁量による生産性向上を意識した制度や、育児・介護と仕事との両立を支援しています。今後は、さらに働き方に関する考え方の多様化が広まっていくと考えられ、多様な人材を確保する上でも、従業員のニーズを踏まえ、いきいきと働ける多様な働き方を検討・展開していきます。
●環境基盤づくり
仕事と家事・育児・介護等の両立支援により、長時間労働の削減と年休取得率が向上しました。また、男性の育児休業取得者が増加し、両立に対する理解が全社に浸透してきました。
●復職支援制度の整備
休職や治療が必要な従業員をサポートする健康経営の取り組みとして復職支援制度を整備しています。
・リワーク制度
円滑な職場復帰及び再発・再休職防止に向けて外部リワーク通所支援制度を導入しました。
・リハビリ勤務制度
本格的な職場復帰をサポートするために復職する職場でのリハビリ勤務を行い、職場復帰の判定をしています。
・仕事と治療の両立支援制度
持病のある従業員等通院・治療が必要な場合には、産業医が認めた上で、仕事と治療の両立支援のために短時間勤務をすることができます。
◆年間平均総労働時間の推移
※ ㈱GSユアサにおける正規雇用労働者の実績(休職者・海外駐在員除く)です。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者を含み、他社からの出向者は除きます。
※ 正規雇用労働者のうち管理職を除く一般社員のみのデータです。
※ 所定労働時間から休暇取得時間及び不在時間(遅刻、早退等)を差し引いた時間です。
※ 毎年度1月から12月を集計期間としています。
◆年次有給休暇取得率の推移
※ ㈱GSユアサにおける正規雇用労働者の実績(休職者・海外駐在員除く)です。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者を含み、他社からの出向者は除きます。
※ 正規雇用労働者のうち管理職を除く一般社員のみのデータです。
※ 法定付与日数に対する取得率(2023年度): 99.2%
※ 毎年度 当年9月から翌年8月を集計期間としています。
◆育児支援制度の活用状況(育児休業)
※ ㈱GSユアサにおける正規雇用労働者の実績です。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者を含み、他社からの出向者は除きます。
<女性活躍推進>
DE&I推進は、全従業員の「キャリア形成」と「仕事とライフイベントの両立」の二軸で進めており、スローガンに3つのL「Link:従業員のつながりを強化して」「Life:仕事とライフイベントの両立を支援し」「Lead:自律と成長の機会へ導こう」を掲げています。更なる多様な人材の活躍による新たな価値創出と生産性向上こそが競争力強化と企業価値向上に繋がるものであり、とりわけ女性活躍推進を最重要課題と位置づけています。
女性活躍推進や従業員エンゲージメント等の項目で構成される当社独自のESG指標を、中核事業会社である㈱GSユアサの役員の短期業績連動報酬算定の評価要素としています。
●経営層との対話
女性活躍推進を「経営戦略」の最重要課題と位置づけ、経営トップが旗振り役となり進めています。また人材の多様性を活かした持続的成長の実現には、中長期の目標や組織の意思決定に関わる女性幹部社員の増員が課題であり、経営層との対話を行いながら取り組んでいます。
女性活躍推進におけるKPIは、事業戦略へと組み込み、取締役会やサステナビリティ委員会において取り組みの状況及び投資家からの意見を報告し、経営層との議論を定期的に行うことによりコミットメントを高めています。
●従業員との対話
女性活躍推進の取り組みを進める中で、当社中核事業会社である㈱GSユアサの女性社員の現状を把握すべく、意見交換会を実施しました。若手層、中堅層でそれぞれ異なる課題が浮き彫りになり、人事管理上のサポート、能力発揮を促す環境整備、キャリア意識向上のサポートに対する打ち手を展開してきました。
●「GYみらいプロジェクト」の取り組みと成果
当社中核事業会社である㈱GSユアサは2004年に仕事と育児の両立支援を開始、育児をする女性も働き続けられる環境作りからスタートし、2015年からは男女問わず能力を発揮できる環境作りを進めました。2018年GYみらいプロジェクトを発足、ダイバーシティ2.0ガイドラインに沿った活動を加速するために、女性活躍推進ロードマップとKPIを策定し、着実に取り組みを進めています。
●人材の多様化
採用面接官の女性比率を向上させ、ロールモデルを意識しやすい機会を意識的に設ける等、過去4ヵ年の女性採用比率は20%以上を維持、採用力が高まっています。
女性従業員の配属先職場数の拡大により職場の人材が多様化しています。文理別の女性比率は文系が50%前後、理系は20%未満と差がある状況です。理系女子学生をターゲットした施策として、当社の技術系職種の理解と働くイメージを醸成してもらうために女性従業員とコミュニケーションが取れるイベントを実施し、ロールモデルを示し、不安払拭と認知度向上を図っています。イベントの参加者から採用決定する等効果が表れています。
今後はIT領域へのスキルの注目が高まり、情報系の学生も採用ターゲットに加わってきました。様々な領域でロールモデルとなる女性従業員がいることは選社における訴求力となるため、女性活躍推進の取り組みとの良いスパイラルアップを続けていきます。
●人材能力開発
女性キャリア開発研修と上司マネジメント研修を継続開催しており、女性のキャリア意識の向上と上司の多様な人材のマネジメント力の向上を図っています。
●エンゲージメント向上
全従業員を対象に実施しているメンタリティ・マネジメント診断を年1回実施しており、女性活躍の様々な制度拡充やキャリア開発支援の取り組みの効果も確認しています。特に女性活躍推進で着目する「ダイバーシティへの対応」「キャリアへの配慮」「ワークライフバランス」は、直近の測定では男女ともに前年度から改善し、高エンゲージメント割合も上昇しています。「キャリア形成」と「仕事とライフイベントの両立」を二軸として支援してきた効果が表れています。
●外部評価実績
2017年に「くるみん」の認定を受けました。その後、さらなる両立支援の促進とその効果の拡充を図るための行動計画を策定し、育児短時間勤務制度の対象期間の拡大や育児を対象とする在宅勤務制度の導入等をはじめとした環境整備を実現したことで、2020年度に「プラチナくるみん」の認定に至りました。
また、2022年3月に経済産業省と東京証券取引所が共同で主催する「なでしこ銘柄」に選定されました。
●リーダーポジションの多様化
女性活躍推進の取り組みにより、女性従業員の増加、キャリア開発研修の拡充等の人材開発の強化とライフステージに応じた柔軟な働き方ができる仕組みの導入等、キャリア形成のための環境整備を進めてきました。また、2023年度には女性管理職候補者研修、2024年度には次世代リーダー育成研修等、昇格候補者に向けた教育機会も拡充してきました。その結果、管理職の女性比率は向上(2023年度:3.7%→2024年度:4.6%)、全女性リーダーに対する30代女性リーダーの割合は2015年度比で約2倍となっております。(2015年度:17.9%→2024年度:34.8%)研修参加者のエンゲージメントのスコアは全社結果を上回る水準を維持しており、エンゲージメントが高い状態とキャリアアップを図れるよう、役割や業務内容の変化に対する前向きな捉え方や対処スキル等メンタルタフネス度の向上を意識したキャリア面談等支援を継続していきます。
今後も全社的なDE&Iの取り組みの強化とエンゲージメント向上に取り組むことで、多様性に富んだリーダーが育ち、活躍する環境づくりを行っていきます。
●DE&IのNextステップ
GYみらいプロジェクトの活動により培った、誰もが働きやすい環境と個々に合った働き方を尊重する風土が基盤として構築され、更に次のステップである多様な人材が持つ能力、価値観、経験等を最大限発揮し、競争力を向上させていくためには、社員のキャリア自律を促進する必要があると考え、<多様な研修体系の整備>に記載する様々なキャリア自律を目指した取り組みを展開しています。社員自らが自分の仕事とライフ、ありたい姿を考え、上司と話し合い、意欲を持って仕事に取り組めるよう支援し、個の力と相互の関係性をたかめる力の相乗効果により組織力の強化を図っています。
キャリア自律に向けた取り組みを活性化するためにも、DE&Iを推進し、ウェルビーイングな組織風土を醸成することで、自律型人材の育成加速といきいき組織の増加により、生産性向上とイノベーション創出を加速します。
(c) 健康経営の推進
健康経営方針
㈱GSユアサは、すべての従業員と企業の「革新と成長」の実現のために、健康保険組合と連携しながら、従業員及びその家族の健康に向き合い、従業員一人ひとりがいきいきとやりがいをもって働けるよう『健康づくり』を推進します。
<推進体制の整備>
当社グループでは、代表取締役社長を健康経営の最高責任者として健康経営を推進しています。
健康経営の重要課題は、「サステナビリティ推進委員会」を中心に議論され、代表取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」に報告されます。
また、健康保険組合と協働して、健康管理管掌役員(健康保険組合理事長を兼任)や労働組合幹部が出席する健康管理推進委員会を開催し、従業員の健康課題に対する施策を推進しています。
産業保健スタッフは、本社に統括産業医(専属産業医)と主要な事業所に産業医を選任し全国に合計10名の看護師・保健師が常勤しています。
なお、本社及び主な事業所では、定期的に、臨床心理士のカウンセリングを受けることができる環境を整備して、メンタル不調者の早期発見及び重症化の未然防止に取り組んでいます。
●健康経営のKPI
当社グループが掲げるサステナビリティ経営における2023~2025年度のマテリアリティ対応計画では、健康経営のKPIをストレスチェックにおける「高ストレス者割合10%以下」としています。
高ストレス者割合は、様々な環境変化の中で良好なこころの状態を保ち、業務パフォーマンスを高めるための重要な指標です。当社グループでは、個人に向けたセルフケア教育や各種相談窓口の利用促進、管理職に向けたラインケア教育やMM診断(ストレスチェック・エンゲージメント調査)の集団分析結果の活用を通じて、ストレスチェックが義務化された2015年度より目標達成を継続しています。
<健康行動指針の策定>
今後の健康経営の更なる推進を目指し、当社では新たに健康行動指針を定めました。
従業員一人ひとりが以下のように健康と向き合い、心身ともに健康で活力ある職場を創出することで企業理念である「革新と成長」の実現を目指します。

●健康経営戦略マップ
従業員一人ひとりが健康行動指針に基づき、「革新と成長」を実現するために、健康経営の課題と取り組み、期待する効果に紐づけた戦略マップを作成しました。健康経営戦略マップの詳細は、「
●健康ENERGY-6
社員一人ひとりがいきいきと働けるように、健康と向き合い、自律的に生活習慣を見直すための行動目標をまとめたものです。バッテリーが充電されてエネルギーを蓄えるように、健康づくりも6つの要素が切れ目なく作用しあうことで、活力が蓄えられていく様子を表しています。また、「コミュニケーション」と「制度の活用」からエネルギーが供給される様子には、個人の健康づくりを皆で支える企業風土(健康文化)を構築する思いが込められています。
一人ひとりが健康ENERGY-6の実践数を増やすことは、心身の健康状態や業務パフォーマンス指標の改善につながり、生産性向上に寄与するものと考えています。健康ENERGY-6に関連する様々な取り組みを通して社員一人ひとりが自律的に健康的な行動を選択する力であるヘルスリテラシーの向上を後押し、ウェルビーイングの実現を支援します。


※本データは2023年度実績を使用しております。
2026年度からの第七次中期計画策定のスタートを機に「健康ENERGY-6」6項目のKPIを定め、健康増進事業を推進していきます。また、従業員のヘルスリテラシーを測る指標として「4項目以上達成者割合」を経年的に確認し、一人ひとりのセルフケアを支援する取り組みを推進します。
当社グループでは、上記において記載した社内環境整備に関する方針について、以下の指標を用いております。なお、主要な事業を営む会社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行なわれているものの、連結グループに属する全ての会社では行なわれてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、原則として連結グループにおける主要な事業を営む会社のものを記載しております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
◆メンタリティ・マネジメント診断の重要な管理指標
※ ㈱GSユアサにおける全労働者の実績(休職者除く)です。
※ 全労働者には正規雇用労働者と有期労働者を含みます。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者及び他社からの一部出向者を含みます。
※ 有期労働者には、契約社員、再雇用社員、嘱託社員を含み、派遣社員は除きます。
※ 数値は偏差値を表しております。
※ ワークエンゲージメントは、主体的に仕事に取り組んでいる心理状態を示しています。
※ メンタルタフネス度は、ストレス反応・エンゲージメントの双方に相関する指標です。メンタルタフネス度を高めるとストレス耐性とエンゲージメントが向上します。
(b) 多様性を活かす風土醸成
<多様な人材の確保>
◆障がい者雇用率の推移
※ ㈱GSユアサ・㈱GSユアサ ソシエにおける全労働者の実績です。
※ 全労働者には正規雇用労働者と有期労働者を含みます。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者を含み、他社からの出向者は除きます。
※ 有期労働者には、契約社員、再雇用社員、嘱託社員を含み、派遣社員は除きます。
<柔軟な働き方の整備>
◆男性の育児休業取得率 管理指標
※ ㈱GSユアサにおける正規雇用労働者の実績です。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者を含み、他社からの出向者は除きます。
<女性活躍推進>
※ ㈱GSユアサにおける正規雇用労働者の実績です。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者を含み、他社からの出向者は除きます。
※ 「管理職に占める女性の割合」及び「リーダーに占める女性の割合」は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、算出したものであります。「リーダーに占める女性の割合」は、同規定の「係長級にある者に占める女性労働者の割合」に相当します。
◆健康経営の戦略における重要な管理指標
※ ㈱GSユアサにおける全労働者の実績(休職者・海外駐在員除く)です。
※ 全労働者には正規雇用労働者と有期労働者を含みます。
※ 正規雇用労働者には、他社への出向者を含み、他社からの出向者は除きます。
※ 有期労働者には、契約社員、再雇用社員、嘱託社員を含み、派遣社員は除きます。
※ 「プレゼンティーイズム」…WHO-HPQの絶対的プレゼンティーズムを用いた従業員調査結果。得点はパフォーマンスの発揮度合いを表します。
※ 「プレゼンティーイズム」「ワークエンゲージメント」…2024年度測定人数3,837名/回答率90.2%
※ 「アブセンティーイズム」…傷病による欠勤・休暇を7日以上取得する際に申請された日数を把握・集計
※ 「総合健康リスク」…現状のストレス状態が労働者の健康にどの程度影響を与えるかを判断するための指標で、全国平均を100として、この数値が低いほど労働者の健康リスクが低い状態であることを示しています。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、リスク管理の推進とリスク管理に必要な情報の共有化を図るため、取締役社長を委員長とする「グループリスク管理委員会」を設置し、当社グループ内のリスク管理推進施策を決定し、その推進状況を点検しております。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループの主要製品である鉛蓄電池は、主要原材料に鉛を使用しておりますが、鉛相場が変動した場合もただちに製品価格に反映することができず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。当社グループでは、生産体制の全体最適を推進し、さらなるコストダウンを目指すとともに、最適な供給体制を構築していきます。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、各事業を展開するそれぞれの市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって有利な価格決定をすることが困難な状況になっております。国内の同業他社に加え、低コストで製品を供給する海外の会社も加わり、競争が激化しているため、将来的に市場シェアの維持、拡大、収益性保持が容易でない可能性があります。これにより事業の収益性が低下した場合、固定資産の減損リスク等当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。当社グループでは、当該リスクへの対応策としてあらゆるコスト削減、営業力強化のための諸施策を推進しております。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、日本、アジア、北米、欧州等で事業を行っております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが生産を行う地域の通貨価値の上昇は、それらの地域における製造と調達のコストを押し上げる可能性があり、中長期的な通貨変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
加えて当社グループの有利子負債には金利変動の影響を受けるものが含まれているため、金利上昇により資金調達コストが増加する可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。当社グループでは、通貨ヘッジ取引を行い、為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力を行っております。さらに当社グループでは、第六次中期経営計画においては、成長投資を積極化するために有利子負債は増加することを想定しておりますが、債務償還年数については3年以内にとどめ、成長と財務規律の両立に努めてまいります。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは生産及び販売活動を日本、アジア、北米、欧州等で行っております。これらの海外市場での活動には以下に掲げるようなリスクが内在しており、これらの事象は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
① 予期しない法律又は規制の変更
② 移転価格税制等の国際税務リスク
③ 人材の採用と確保の難しさ
④ 未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に影響を及ぼす、又は当社グループの製品に対する顧客の支持を低下させる可能性
⑤ テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループとしては、本部と各拠点間におけるコミュニケーション強化により、世界各地のニーズに沿った製品やサービスを迅速に提供できる仕組みを構築してまいります。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、将来の事業拡大においてM&Aは重要かつ有効な手段であると考えております。M&Aを実施する場合においては、対象企業の財務状況等の調査や当社グループの事業への相乗効果等、様々な観点から十分に検討しております。しかしながら、事業環境の著しい変化等により、買収事業が当初の計画どおりに推移せず、投資資金の回収ができない場合やのれんに減損損失が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性を、相応に認識しておく必要があります。当社グループでは、業績モニタリングを毎月実施しております。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、日本、アジア、北米、欧州等で事業を行っており、これらの事業の売上及び損益は各国の市場環境や景気動向に大きく影響を受けます。当社グループはトルコ共和国に連結子会社を有しておりますが、トルコ共和国では、大幅なインフレやトルコ・リラ安が進行しております。今後、インフレの継続等により、トルコ・リラ安が進行した場合、現地における海外販売、調達による債権債務・取引高のバランスによっては多額の為替差損が発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループは、本部と拠点間における情報共有強化に努め、市場環境の変動リスクに対して迅速かつ柔軟に対応してまいります。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、日本、アジア、北米、欧州等で事業を行っており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。各国・各地域におけるサプライチェーンが混乱することにより、部材の調達や、販売が滞り、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。当社グループとしては、本部と各拠点間におけるコミュニケーションの強化、生産体制の全体最適を推進し、最適な供給体制を構築していきます。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、事業活動において技術や経営、営業情報等の重要、機密情報を保有しております。情報機器の不適切な取り扱いによる情報漏えいや、外部からのサイバー攻撃による情報流出、改ざんがあった場合、事業活動の停止につながる恐れがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。当社グループでは、エンドポイントのマルウェア感染等を防止すると共に、万が一に備えて、迅速に検知、対応できる体制を強化しております。また、通信の常時監視や不正接続検知システムで、不正アクセスを防止しております。従業員に対しては社内規則を遵守するよう啓発活動、教育を行う等、従業員の情報セキュリティレベルを向上するための取組みを実施しております。海外グループ会社に対しては国内の基準をもとにセキュリティ対策状況を調査し、脆弱な部分の指導に努めております。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、品質基本方針に基づき、グループ全体でお客様に提供する製品とサービスの質向上を目指した活動を推進しています。しかしながら万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、また、その欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しております。当社グループは、ISO9001をベースにした「GSユアサ品質マネジメントシステム」を定め、事業部門を横断した品質マネジメント体制を経営トップ主導で推進し、製品・サービスの質向上につなげています。
(10) BEV用電池開発及び生産について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、2027年度よりBEV用リチウムイオン電池の生産ラインを稼働し量産体制に入ることを目標としておりますが、BEV用リチウムイオン電池は未だ開発段階にあり生産を開始しておらず、現時点で同年度に量産が開始される保証はなく、BEV市場全体の動向及び市場内での競合状況にも左右され、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応にあるものと認識しておりますが、当社グループは、2023年4月に策定した「第六次中期経営計画」においてBEV用電池開発を事業構造変革に向けた施策の一つとして掲げており、2023年8月より高容量・高出力なリチウムイオンバッテリーの研究開発を目的として設立した株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&Dがその事業を開始しております。HEV、PHEV及びEV用リチウムイオン電池で培った知見を活用し、新たな成長戦略の柱として、競争力のあるBEV用リチウムイオン電池の開発を推進してまいります。また、当社グループ及び本田技研工業株式会社の共同出資並びに政府による補助金の活用によりBEV用電池の生産工場を建設し、早期の生産ラインの稼働と生産能力の拡大を目指しております。
(11) コンプライアンスについて
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループは、グローバルな事業展開を行っているため、独占禁止法や下請法等の国内及び諸外国・地域の法令や規制等の適用を受けており、その遵守に努めております。しかしながら、当社グループの事業活動に関連し、法令等への違反や訴訟等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においてもあるものと認識しております。当社グループでは、「CSR方針・行動規範」に基づいた事業活動を推進しており、グループの一員として企業理念および遵守すべきルールを明確にしたマニュアル(CSRマニュアル)を全従業員に配布してコンプライアンス意識の社内浸透を図るとともに、コンプライアンス違反やそのおそれがある場合に匿名での通報が可能な内部通報制度(企業倫理ホットライン)を整備することでコンプライアンスの実効性を担保しております。
(12) 人権について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社グループはグローバルに事業展開を行っているため、当社やグループ企業だけでなく、国内外のサプライヤー様等の事業パートナーとの取引関係における人権課題も適切にマネジメントすることが重要であると考えております。しかしながら、予期せぬ事態により人権問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においてもあるものと認識しております。当社グループでは、グループ全体のCSR活動の基礎となる社長方針(CSR方針)に人権尊重の基本的な考え方を示して、従業員に周知しております。また、国際的な人権規範である「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた人権デューディリジェンスを活用した人権リスクマネジメントを推進しております。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
気候変動は国や地域を超えて大きな影響を及ぼす問題であり、世界共通の解決すべき社会課題であります。当社グループは、気候関連課題が重要な経営課題の1つであると認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明するとともに、事業活動における温室効果ガス排出量の削減を進めています。しかしながら、将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生する場合には、想定以上の環境対応に関するコストの増加や風水害等による施設損害、事業活動の制限等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
気候変動によるリスクは完全に予測することは困難ではありますが、当社グループの蓄電池技術を用いた再生可能エネルギー普及等により、社会全体の温室効果ガス排出量の削減に努めるとともに、今後はTCFDの提言に沿った情報開示をさらに推進してまいります。
気候変動への対応の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動への対応」に記載しております。
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
地震・風水害・大雪等の自然災害や当社グループの事業所において火災・爆発・損壊等の事故が発生した場合、不測の事態が発生するリスクが考えられます。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、翌期においても常にあるものと認識しております。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、地震・水災・大雪対応マニュアルの構築及び「防火管理」「防災管理」の充実化に取り組んでおります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における世界経済は、インフレ圧力の緩和や堅調な個人消費から緩やかな回復が続き、地域による温度差はあるものの回復基調で推移しました。一方で、米国の政策変更に伴う影響やウクライナ及び中東をはじめとした地政学リスク、金融市場の変動等、先行きの不透明感が高まりました。
このような経済状況の中、当社グループでは、主として自動車電池及び産業電池電源の販売増加や販売価格是正の取り組みを進めていることにより、当連結会計年度の売上高は、5,803億40百万円と前連結会計年度に比べて174億42百万円増加(3.1%)しました。これに伴い、営業利益は500億28百万円(のれん等償却前営業利益は507億48百万円)と前連結会計年度に比べて84億33百万円増加(20.3%)しました。経常利益は為替差損の増加等があったものの、営業利益段階での増益により、463億45百万円と前連結会計年度に比べて23億64百万円増加(5.4%)しました。親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等の増加や減損損失の計上等により、304億16百万円と、前連結会計年度に比べて16億47百万円減少(△5.1%)しました。
(自動車電池)
国内における売上高は、補修用電池の販売数量が増加したことに加え、前期より進めている販売価格是正の取り組みにより1,019億22百万円と前連結会計年度に比べて78億75百万円増加(8.4%)しました。セグメント損益(のれん等償却前)は、106億69百万円と前連結会計年度に比べて25億98百万円増加(32.2%)しました。
海外における売上高は、欧州及び東南アジアにおける販売数量の増加に加え為替の円安影響もあり、2,600億76百万円と前連結会計年度に比べて72億13百万円増加(2.9%)しました。セグメント損益(のれん等償却前)は、187億3百万円と前連結会計年度に比べて35億83百万円増加(23.7%)しました。
これにより、国内・海外合算における売上高は、3,619億99百万円と前連結会計年度に比べて150億88百万円増加(4.3%)しました。セグメント損益(のれん等償却前)は、293億72百万円と前連結会計年度に比べて61億81百万円増加(26.7%)しました。
(産業電池電源)
売上高は、非常用電源装置の需要増加や前期より進めている販売価格是正の取り組みにより、1,131億34百万円と前連結会計年度に比べて34億65百万円増加(3.2%)しました。セグメント損益(のれん等償却前)は、178億55百万円と前連結会計年度に比べて46億72百万円増加(35.4%)しました。
(車載用リチウムイオン電池)
売上高は、ハイブリッド車用リチウムイオン電池の販売数量は増加したものの、プラグインハイブリッド車用リチウムイオン電池の販売数量減少や原材料価格下落に伴う販売価格の低下等により、827億91百万円と前連結会計年度に比べて19億96百万円減少(△2.4%)しました。セグメント損益(のれん等償却前)は、売上高減少の影響等により、13億83百万円と前連結会計年度に比べて12億65百万円減少(△47.8%)しました。
(その他)
売上高は、潜水艦用リチウムイオン電池の販売価格是正等により、224億15百万円と前連結会計年度に比べて8億84百万円増加(4.1%)しました。全社費用等調整後のセグメント損益(のれん等償却前)は、21億36百万円と前連結会計年度に比べて10億70百万円減少(△33.4%)しました。
(財政状態)
総資産は、現金及び預金の減少がありましたが、棚卸資産や建設仮勘定の増加等により、6,937億38百万円と前連結会計年度末に比べて370億74百万円増加しました。
負債は、仕入債務やコマーシャル・ぺーパーの減少がありましたが、借入金や社債の増加等により、3,027億51百万円と前連結会計年度末に比べて199億67百万円増加しました。
純資産は、配当金の支払がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益による増加等により、3,909億87百万円と前連結会計年度末に比べて171億6百万円増加しました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は566億81百万円と前連結会計年度末に比べて36億26百万円減少(△6.0%)しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主たる要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権及び契約資産の増加、棚卸資産の増加、仕入債務の減少がありましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上等により、392億96百万円のプラス(前年同期は631億80百万円のプラス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付金の回収による収入がありましたが、有形固定資産の取得による支出等により、588億24百万円のマイナス(前年同期は461億92百万円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払がありましたが、借入金や社債の発行による収入等により、142億35百万円のプラス(前年同期は34億80百万円のプラス)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当社グループは、大型蓄電池及び大型電源装置等の一部を除き、主として見込生産を行っておりますので、受注高及び受注残高について特記すべき事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(経営成績)
当連結会計年度の経営成績の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(経営成績に重要な影響を与える要因について)
当社グループを取り巻く経営環境はインフレ圧力の緩和や堅調な個人消費から緩やかな回復が続き、地域による温度差はあるものの回復基調で推移しました。また、当社グループの主要製品である自動車用鉛蓄電池の販売数量は、季節の変化、特に(冷夏、暖冬等)気候の変化による影響を大きく受けます。一方、コストの面では、当社グループの主要製品である鉛蓄電池は、主要原材料に鉛を使用しておりますので、この鉛価格の変動は製造コストに影響を与えます。
また、米国の政策変更に伴う影響やウクライナ及び中東をはじめとした地政学リスク、金融市場の変動等により、不透明な状況が継続すると見込まれます。特に、米国による関税政策が発効され海外拠点を中心に業績下振れリスクがあるものの、自動車電池、産業用電池電源、車載用リチウムイオン電池、特殊電池の全方位体制を活かして変化に対応し、しっかりとした成長の土台を作るべく収益力強化に努めてまいります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況 」に記載のとおりです。
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資・出資等の長期資金需要と製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。
当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としております。
営業キャッシュ・フロー及び手元資金を中長期的な成長のための投融資、成長を支えるための財務基盤の強化、適正な株主還元、これらにバランス良く配分し企業価値の向上を図ってまいります。
なお、当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、2025年5月にアップデートしました「第六次中期経営計画」において連結売上高6,000億円、営業利益520億円(のれん等償却前)、ROE(のれん等償却前純利益)9.5%、ROIC13%(注)、総還元性向(のれん等償却前純利益)23.6%を2026年3月期最終目標に設定し収益性や資産効率の向上に取り組んでおります。
当年度における進捗状況は、連結売上高5,803億円、営業利益507億円(のれん等償却前)、ROE(のれん等償却前純利益)9.2%、ROIC14.8%(注)、総還元性向(のれん等償却前純利益)24.3%であり、引き続き目標達成に向け総力を挙げて努めてまいります。
(注)ROICは、のれん等償却前営業利益÷投下資本(固定資産(のれん等除く)+運転資本)で算出しております。投下資本は期首と期末の平均値によっております。
(セグメント別の状況)
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、自動車電池、産業電池電源、車載用リチウムイオン電池、その他の事業について、基盤技術から製品・製造技術に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。
自動車電池の研究開発は、国内においては、㈱GSユアサの技術開発部門、自動車電池事業部技術本部、㈱GSユアサ エナジーの技術開発部門等がそれぞれ実施しております。また、海外においては、海外生産拠点の技術開発部門、㈱GSユアサの技術開発部門、自動車電池事業部技術本部、GS Yuasa Asia Technical Center Ltd.等がそれぞれ実施しております。産業電池電源の研究開発は、㈱GSユアサの技術開発部門、産業電池生産本部技術部、電源システム開発本部、電源システム生産本部技術部、㈱GSユアサ ライティングサービス等がそれぞれ実施しております。車載用リチウムイオン電池の研究開発は、㈱GSユアサの研究・技術開発部門、㈱ブルーエナジーの技術開発部、株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&D等がそれぞれ実施しております。その他事業の研究開発は、㈱GSユアサの研究・技術開発部門、㈱ジーエス・ユアサ テクノロジーの技術部、㈱GSユアサメンブレンの技術生産部等がそれぞれ実施しております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は18,499百万円(連結グループ全体の研究開発費
当連結会計年度における各事業別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1) 自動車電池
自動車電池においては、国内、海外における自動車用鉛蓄電池、二輪車用鉛蓄電池に関する研究開発を実施しております。
自動車用鉛蓄電池の国内においては、拡大しているHEV、BEV補機用途電池の開発を継続的に進めております。補修市場向けのEN電池シリーズにおいては、更なる減液抑制を達成できる技術を開発し、補水メンテナンスの軽減と耐久性向上を実現した電池を2023年6月より販売しております。これはGOA社と共同開発した触媒付液栓(GRテック液栓Ⓡ)によって、水の電気分解で発生した水素と酸素を再結合させるという独自技術によるものです。
海外においては、欧州を中心としたモビリティの電動化需要を見据え、駆動用リチウムイオンと並行して需要のある補機・バックアップ用鉛蓄電池の国際規格化への参画、及び、この規格に適合するVRLA(AGM)電池開発を、トルコのInci GS Yuasa Aku Sanayiで進めております。またタイを中心として、東南アジア諸国へ中国系メーカーのBEVが進出してきており、それら車両に適した補機用途電池の開発も進めております。
二輪車用鉛蓄電池の分野では国内海外とも、レジャー用バイク、一般生活用のコミューターバイク等に加え、自動車用補機用途等車両ニーズに適応した新技術の開発を進めております。二輪車においてもアイドリングストップ車やハイブリッド車等の環境対応車両への関心が高まっており、当社グループの高い耐久性能と充電受入性能を実現した二輪車用鉛蓄電池が採用されております。
欧州市場において二輪車用鉛蓄電池を自動車用補機電池(12V電源用途)として使用する車両が拡大しており、GYAUXシリーズとして品種拡大/市場投入を推進しております。今後も大きな成長が見込まれるインド市場向けには、アイドリングストップ車用に加えて、ハイブリッド車用の制御弁式鉛蓄電池を開発し、品種の拡大と新車提案を進めております。また、性能面で選ばれるGY電池という市場イメージに加えて、原材料費変動に強く生産効率にも優れた、コスト競争力のある製品開発についても推進しております。更に、カーボンニュートラル達成に向け、製造時の充電方法の改良による省エネルギー化も推進しております。
この分野に係る研究開発費は、
産業電池及び電源装置事業では、産業用鉛蓄電池、電源装置、産業用リチウムイオン電池、照明に関する研究開発を実施しております。
産業用鉛蓄電池の分野では、カーボンニュートラルに向けた循環型社会への貢献として、3R(リサイクル・リユース・リデュース)を軸とした環境配慮型商品の推進に取り組んでおります。鉛蓄電池の優れたリサイクル性を活かした再生部材の適用率向上や、鉛蓄電池の接続板や接続ケーブル等接続銅部材のリユースを進めております。リデュースに関しましては、新技術や新製造手法での使用電力の大幅削減によるCO2排出量の更なる低減を目指しており、今年度より順次、量産適用を進めております。
電気車用向けとしては、特にバッテリー式フォークリフトの需要が増加しているASEANや欧州地域等への海外拡販に取り組んでおります。タイ工場及びトルコ工場において、新技術や新部材の活用により、性能・コスト等それぞれ市場ニーズに適した商品開発を進めており、順次、量産を開始しております。日本国内では、今年度より新工場での量産を開始予定であり、それに伴い、旧工場と比較して生産エネルギー10%以上の低減を達成させます。
蓄電システム分野では、太陽光発電設備等の再エネ併設及び需要家向けをメインターゲットとしたPCS併設型蓄電システム「ラインバック メガグリッド」の開発が完了し、出荷を開始しております。重耐塩仕様を標準としたことで沿岸部への設置も可能となります。2025年度はさらなる上位システムの取り込みを狙い、サイトコントローラ(ローカルEMS)機能の開発に着手しております。合わせてBCP用途として自立出力機能の開発にも着手しており、2025年度内の開発完了を計画しております。上記蓄電システム用の蓄電池については、発火防止構造を有しており、搭載するリチウムイオン電池モジュールが万一熱暴走した場合の安全性を高めております。万一、蓄電池盤内に充満した可燃性ガスに引火した場合においても、蓄電池盤に具備した避圧機構により、燃焼ガスを電池盤外に排出することが可能となります。さらに最新のBMSを搭載することで、システム全体の安全性と信頼性を確保しております。また、弊社独自の遠隔監視による解析・診断、保守・保全、容量保証の各種サービスを取り揃えた「STARELINKサービス」にも対応しており、2025年3月にサービス提供を開始しております。
加えて電源装置分野では、中長期を見据えカーボンニュートラルの観点から環境負荷を減らすため「小型化・高効率」をテーマに変換効率99%の電力変換器の回路技術、電力会社との共同研究による制御技術を開発しており、更なる小型化とお客様の利便性を向上させるための電源の筐体・構造に関する新技術の検討を進めております。開発効率の向上と共通部材の使用率の向上をするために、最新のシミュレーション技術を導入したフロントローディング設計やモジュラー設計にも取り組んでおります。以上のような技術を取り入れ、2024年度はユニット並列冗長方式UPS、MLUシリーズにおいてリチウムイオン電池対応版や屋外型常時商用1kVA UPS,SGU-Aにおいて1kVA~5kVAまで並列増設を可能にした製品を発売しております。
照明分野では、「省エネ」+「省資源」をキーワードに独自性のある研究開発を進めております。2024年度は、LEDの普及が遅れている市場に、マーケットイン型のLED製品をリリースしております。引続き独自性のある潜在ニーズの製品化に注力してまいります。
この分野に係る研究開発費は、
車載用リチウムイオン電池事業では、株式会社ブルーエナジー(以下「BEC」)で生産を行うHEV(ハイブリッド車)用リチウムイオン電池、GSユアサ栗東工場で生産を行うPHEV(プラグインハイブリッド車)用、車載12V用のリチウムイオン電池があります。
HEV用リチウムイオン電池においては、BECの第二工場の生産能力を拡大し、新機種のセル・モジュールの生産ラインの立上げを進めています。第一工場の安定稼働と合わせて、今後の顧客からの受注増加に合わせた生産対応を進めています。
PHEV用リチウムイオン電池においては、従来電池よりも40%以上高いエネルギー密度を有する新型電池LEV65の量産を開始しました。
BEV用リチウムイオン電池においては、BEV用リチウムイオン電池の新工場建設予定地にて建築工事に着工しています。また、本田技研工業株式会社との合弁による株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&Dにおいては、入出力特性や寿命特性に優れた競争力のあるBEV用のリチウムイオンバッテリーの設計ならびに製造に関する技術開発を進めています。さらに、コスト競争力向上のための主要原材料のサプライチェーンや効率的な生産システムの構築も進めています。
車載12V用リチウムイオン電池においては、これまでの始動用で培った優れた低温出力特性に加え、寿命特性を改善したBEV用補機電池の開発を進めています。
全固体電池については、2022年にNEDO「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」に採択された補助金を活用し、当社独自の固体電解質技術をベースに高エネルギー密度化を目指して、特徴ある電池を開発しております。2024年12月には、中間審査にあたるステージゲートを通過しました。全固体電池の実用化に向けて今後もさらに研究開発のスピードを加速させていきます。
この分野に係る研究開発費は13,168百万円(セグメント全体の研究開発費
その他事業では、航空宇宙用リチウムイオン電池、膜製品に関する研究開発を実施しております。
航空用途では、米国ボーイング社787型機に搭載されるリチウムイオン電池を納入中です。宇宙用途では、液体燃料ロケット「H-ⅡA」及び「H3」、に当社のロケット用リチウムイオン電池を納入しております。また、人工衛星用途では、宇宙ステーションの電源をはじめとし、先進レーダ衛星「だいち4号」、準天頂衛星システム「みちびき」、宇宙ステーション補給機「シグナス」等、数多くに搭載されております。当社の電池は現在までに250機以上の人工衛星や宇宙ステーション補給機等の宇宙機に搭載されており、軌道投入容量で世界トップクラスを維持しています。
2019年から参画したNEDO航空機用先進システム実用化プロジェクトにおける軽量なリチウム硫黄電池の研究開発については、5年間の研究開発に取り組み、質量エネルギー密度500Wh/kgのセル開発に成功しました(現行のリチウムイオン電池の2倍以上のエネルギー密度)。本プロジェクトはおおよそのプロジェクト目標を達成して、2024年3月に完了し、成果報告書を公開しました。リチウム硫黄電池をはじめとした軽量な電池の実用化に向けてさらに開発を継続しています。
膜製品分野においては鉛蓄電池のセパレータ技術を応用した、分離・精製・浄化等を目的とした膜を開発しており、多岐にわたる用途に使用されております。
特に固液分離の分野では、省エネルギー化及び小型化を目指したシステムの開発に加え、遠隔監視装置を開発し、膜分離装置の運用におけるコスト削減、スペース効率化、メンテナンスの簡素化といった課題の解決に向け、実証試験を実施しております。
さらに、気体分離の分野においても、カーボンニュートラルの実現を目指した新規膜製品の開発を推進しています。これらの製品についても実用化に向けて実証試験を進めており、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。
この分野に係る研究開発費は、