第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、企業としての社会的存在意義を意識し、常に探求心を持って、確固たる技術力・品質により顧客の信頼を得ることを基本に企業活動を行っており、これにより安定的な取引関係を構築し、中長期的な利益につなげていく方針であります。そのためには、全社員一丸となって顧客の期待以上のサービスを提供することが重要であると考えております。

また、健全性を維持し企業の社会的責任を果たす上で、株主や投資者へのアカウンタビリティを経営上重要な事項と認識し、経営及び業務に関する幅広い情報をタイムリーに開示するとともに、株主への利益還元に取り組んでいき、持続的な成長、発展を通し、企業価値を増大させ、社会、お客様、そして株主の皆様から継続的に信頼を得られる企業グループになることを目指しております。

 

(2)経営戦略等

当社グループの事業環境は、主要顧客である電子基板メーカーの多様化するニーズに対応するために刻々と変化している中、FPC試作事業については、長期的視点からは徐々に高難度製品など高付加価値タイプに向かうものと考えております。当社グループが継続して成長を続けていくためには、当社グループの認知度・信用度を一層高め、FPC事業を中心とした新たな収益の柱となる事業の構築が必要であると考えており、収益を重視したM&Aの実施等、幅広い視野で検討し経営資源の効率的投入を行うことで、さらなる拡大を目指してまいります。また、事業活動を通じ環境や社会課題を解決することが企業における持続的な成長と価値の向上に繋がるとの考えに基づき、環境やマテリアリティ(重要課題)への取り組みを進めてまいります。

 

(3)経営環境

当社グループの経営環境は、生成AI(人工知能)関連の需要の高まりを受けてデータセンターへの設備投資並びに気候変動対策及び脱炭素社会の実現を目指す省エネルギー化対策等に向けた新たな需要創出による部品需要の活性化が期待されております。また、スマートフォンやPC等の在庫調整は緩やかに収束に向かうものと見込まれておりますが、当社においては巣ごもり需要の反動により民生品の需要が減速したことによる影響が長期化し、立ち上がりは低調に推移するものと見込んでおります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、当連結会計年度において営業損失となり、当社グループを取り巻く市場環境が依然として厳しい状況にある中、中長期的な企業価値向上のために、以下の課題に対する諸施策を講じることで、サステナビリティ経営を推進してまいります。

① 電子基板事業の持続的成長

コア事業である電子基板事業においては、高密度配線板の製造に適した新工法及びそれに対応する設備の導入等により、引き続き高難度品の受注獲得に注力するとともに、医療機器及び産業機器等の成長分野におけるシェア拡大により小中ロット量産案件の受注を伸ばしてまいります。また、高難度試作案件と小中ロット量産案件の生産に対応できる当社の強みを活かし他社との差別化を図るとともに、生産効率のさらなる向上及び製造プロセスの見直しによる歩留まり向上により、量産案件の品質の安定と原価を低減することで安定的に収益を確保し持続的な成長を図ってまいります。

 

② テストシステム事業の市場開拓・販路拡大

テストシステム事業においては、EV分野等で需要の増加が見込まれるパワー半導体向けセラミックス基板の最終外観検査において、AI技術を活用した欠陥検出能力の強化に取り組んでおります。セラミックス基板市場に対する情勢の回復を足掛かりに、目視検査が主流であったセラミックス基板を対象とした各種欠陥の検出に秀でた外観検査機を上市し、新たな市場や販路拡大を開拓してまいります。また、通電検査機において、アライメント機能強化によるコンタクト精度及び検査速度の向上等の性能改善に取り組み、検査機市場における優位性を高めることを目指してまいります。これらの取り組みにより、商社や販売代理店との連携による販売活動を強化し、受注の獲得に注力いたします。

 

③ 持続的成長に向けたサステナビリティ経営の推進

当社は、事業活動を通じ環境や社会課題を解決することが企業における持続的な成長と価値の向上に繋がるとの考えに基づき、環境や社会を豊かにするためのサステナビリティにおけるマテリアリティへの取り組みを重要な経営施策のひとつとして位置づけております。

脱炭素化社会の実現に向けての取り組みにおいては、環境への影響を最小にする製造設備の導入やGHG(温室効果ガス)排出量の測定及び管理を行うことにより、地球環境や地域社会との調和を図ってまいります。また、人材育成や女性をはじめとする多様な人材が働きがいを持って活躍できる環境づくりに取り組むことで、新たな価値観の創出や社会に貢献できる人材の育成及び確保に努めます。さらに、コーポレート・ガバナンスの充実及び内部統制システムの円滑な運用を重要な経営課題と捉え、ガバナンス体制を強化することで収益力の回復と企業力の成長を目指してまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載の経営環境の中、売上総利益率、ROA及びROEを重要な指標として位置づけており、ROA及びROEについては、具体的な数値目標等は設定していないものの、従業員一人ひとりが常に利益を意識した活動を実践することにより、経営の収益性及び効率性を重視した事業運営に注力する所存であります。なお、2024年12月期の売上総利益率の目標数値は29.1%であります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

ESG投資やサステナビリティ経営に対するステークホルダーの注目は日に日に高まり、企業として積極的、かつ真剣に向き合う姿勢を強く求められております。当社グループは、サステナビリティ経営が経営戦略の付加価値的なものではなく、経営戦略の根幹となるものだと位置づけており、環境や社会を豊かにしつつ、いかに事業を持続的に成長させるかという社会的課題の解決と経済的価値の創出を両立させるCSV経営の観点が企業価値向上に直結するものであると考えております。「先端技術に常にチャレンジ」、「技術を通じて社会に貢献」、「全社員に生涯教育の場を提供、仕事を通じて自己向上を図る」という企業理念を掲げ、事業活動を通じて環境や社会課題を解決するとともに持続的な企業価値向上を実現すべく日々取り組んでおります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めておらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続等の体制をその他のコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

① サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処する取組

当社グループは、具体的な社会問題解決の指針として2019年8月に「太洋テクノレックスSDGs宣言」を宣言いたしました。また、当社グループが独自に定めるサステナビリティにおけるマテリアリティ及びそれに対する施策方針を定める等、積極的に問題解決に取り組んでおります。

 

[太洋テクノレックスSDGs宣言]

当社は、2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を、世界の持続可能な社会の実現のための共通課題・社会的責任として取り組むべきものと捉え、ここに「太洋テクノレックスSDGs宣言」を表明いたします。

メーカーとして先端技術に常にチャレンジし、事業活動を通してSDGsの取り組みを行い、持続可能な社会の実現を目指します。

 

[当社グループが独自に定めるサステナビリティにおけるマテリアリティ及びそれに対する施策方針]

テーマ

マテリアリティ

SDGs

目標

施策方針

経済

先端技術に常にチャレンジ、技術を通じて社会に貢献

 

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・ 社会生活や労働環境のイノベーションをサポート

・ 時代のニーズを先取りした技術革新

・ 先端技術に常にチャレンジすることで持続可能な

ものづくりを実現

社会

平等な社会の実現と多様な人材の活用

 

0102010_002.png

 

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・ あらゆる人が平等で安心な社会の実現

・ 多様な人材が働きがいを持って活躍できる環境づ

くり

・ 社会に貢献できる人材の育成

環境

持続可能な豊かな地球環境

 

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・ 事業活動を通じて地球環境、地域社会との調和を

図る

・ 環境影響の低減に努力し、人と自然にやさしい企

業活動を推進

 

② 人材育成方針及び社内環境整備方針

当社グループは、人材が企業戦略の実践を支える上で重要な資源であると捉え、経営理念や経営戦略に合致した人材の確保や育成を実践しております。

(人材育成方針)

イ.成長機会の提供

a.トレーニー制度

勤続4年以上の従業員を対象とした全社横断型の短期異動研修制度を設けております。他部門・他部署の業務を経験することで業務知識及び技能を高め、業務に対する視野を広げることを目的としております。また、自身の今後のキャリアビジョンの形成及び社内横断型の人的ネットワークの構築等にも貢献しております。

b.人事異動希望アンケート制度

従業員のキャリアビジョン形成の支援策として通期に一度、他部門・他部署への異動についての希望アンケートを実施しております。管理部門(監査室・経営管理部)を含めた事業部門(営業部門・製造部門等)間の異動を経験することで多様な業務経験を通じて自己の成長を図るとともに、企業成長に必要な多彩な人材を育成する機会を設けております。

c.技能・資格取得の奨励による人材強化

資格手当制度を設け、製造工程において必要とされる各種技能資格の取得を推奨し、安全性の確保及び品質の向上を目指しております。また、DX・IT人材の強化を目的としたリスキリングを推進しており、従業員が国家試験であるITパスポートの資格を取得することにより、ITリテラシーに関する幅広い知識を身につけるとともに、コンプライアンスの遵守に関する正しい知識を養えるよう取り組んでおります。

ロ.女性活躍推進・多様性の確保

女性の能力を最大に発揮させることで企業利益を増大させるとともに、女性の地位向上に貢献することが企業市民としての責務であることを認識し、女性従業員一人ひとりが自分らしく輝ける職場を目指しております。

a.女性活躍推進プロジェクト(Win-Winプロジェクト)

全社横断型で選出した従業員を構成メンバーとする「女性活躍推進プロジェクト」を設置し、職場の課題解決及び女性従業員の意識向上に向けた各種取り組みを実施しております。

b.企業同盟への参画

「和歌山県環境生活部県民局 青少年・男女共同参画課」が主催する「女性活躍企業同盟」参加企業として各種活動に参画しております。

(社内環境整備方針)

イ.ワークライフバランスの向上

従業員が生き生きと働き、継続的に活躍できる職場環境づくりやワークライフバランスの実現に向けて、育児及び介護等に関する支援制度の整備を推進しております。具体的には毎月2回の「ノー残業デー」の制定及び時間又は半日単位で取得できる年次有給休暇制度等を設け、これらの取り組みの結果、次世代育成支援対策推進法に基づく「プラチナくるみん」の認定を受けております。

ロ.従業員エンゲージメントの向上

従業員と企業が対等、かつ価値を互いに提供する関係を目指しております。エンゲージメントレベルを把握するためレベルの可視化を目的として、2022年度より「従業員エンゲージメント調査」を開始いたしました。調査結果を基に従業員一人ひとりの労働意欲を高め、組織としての一体感を醸成することを目的に組織風土の改革及びそれを通じた生産性向上への取り組みを実施しております。

ハ.健康経営の推進

従業員の健康は、本人とご家族の生活の基盤であり、サステナビリティ経営の重要な基盤でもあるという考えのもと、経営理念において「会社はいつの日も楽しく健康的に働ける場所でなければならない」と宣言し、従業員の健康増進に取り組む健康経営を推進しております。具体的には、健康診断に基づく健康管理、ストレスチェックによるメンタルヘルス対策、長時間労働の抑制、乳がん・子宮がん検診の推進及びノーマイカーデーによる健康意識の促進など従業員の疾病予防に向けた各種取り組みを実施しております。また、「治療と職業生活の両立支援に関する基本方針」を策定し、従業員が治療と職業生活の両立を図るに当たり、医療機関等と連携しながらこれらを支援する仕組みを構築してまいりました。これらの取り組みの結果、2023年3月に「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)」の認定を受けております。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別・評価・管理するためのプロセスを個別に定めておらず、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。現状のリスク管理体制の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 ハ.リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおりであります。

 

(4)指標及び目標

① 人材育成方針に関する指標及び目標

当社グループは、サステナビリティ経営の推進に向けて従業員が仕事と子育てを両立させることができ、働きやすい環境を作ることにより、その能力を十分に発揮できるようにすることが重要であると認識し、女性活躍推進法の「一般事業主行動計画」において以下の目標を定めております。

なお、連結子会社は女性活躍推進法及び育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、目標及び実績は、提出会社の数値を記載しております。

指標

目標

実績(当連結会計年度末)

女性管理職比率

2026年12月期8%以上

0.0%

勤続10年目の女性の継続雇用割合

2026年12月期30%以上

16.7%

(注)1.上記指標及び目標は、提出会社の状況であります。

2.女性管理職比率及び勤続10年目の女性継続雇用割合については、女性活躍推進法に基づき策定した「一般事業主行動計画」における目標値であります。

3.勤続10年目の女性の継続雇用割合の実績については、10事業年度前及びその前後の事業年度に新卒採用された女性従業員の継続雇用割合を記載しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期及び当該リスクが顕在化した時に当社グループの経営成績等に与える影響を合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記載は行っておりません。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの事業内容について

(電子基板事業)

FPCの製造については、当社グループは特許権・実用新案権等の知的財産権を保有しておらず、従来工法により製造を行っていることから、新規参入企業の出現や画期的な新工法発明により競争が激化する可能性があり、その結果、当社グループの収益力が低下し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。次に、FPC試作のユーザーは、主としてセットメーカーの研究・商品開発部門であり、直接受注する場合とFPCメーカーを経由して受注する場合がありますが、セットメーカーの研究・商品開発部門が海外移転した場合には、当社グループは海外生産拠点を有していないため、短納期への対応について優位性を失い、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。次に、当社グループの顧客であるFPCメーカーが、多品種・少量生産で売上規模が小さいわりに人手がかかる等のために本来なら避けたい手間のかかるFPC試作を、自社生産ラインの手隙感から自社内で行い当社グループへの発注を手控えた場合や、FPC試作を量産受注獲得のために低価格で受注する営業攻勢を強め当社グループと競合した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。最後に、当社グループの売上高は、FPCに係る売上高の構成比率が高いことから、当該売上高の推移と経営成績等に相関関係があります。加えて、国内のFPC生産額と当該売上高にも相関関係があることから、電子部品業界の動向や技術革新等により、FPCの需給に著しい変調を来した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、国内の電子基板・FPC生産額の推移及び当社グループの最近5連結会計年度における経営成績等の推移は以下のとおりであります。

 

[電子基板・FPCの生産額の推移]

会計年度

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

電子基板(億円)

6,474.3

6,353.0

6,498.2

7,659.9

8,974.8

対前年比(%)

+5.2

△1.9

+2.3

+17.9

+17.2

FPC(億円)

656.1

459.5

432.7

446.9

496.6

対前年比(%)

△10.9

△30.0

△5.8

+3.3

+11.1

(注)電子基板・FPCの生産額:出所「日本の電子回路産業」(一般社団法人日本電子回路工業会)

 

[当社グループの最近5連結会計年度における経営成績等の推移]

回次

第59期

第60期

第61期

第62期

第63期

決算年月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

売上高

(千円)

3,896,341

3,175,189

3,917,940

3,625,517

3,411,465

うち電子基板関連売上高

(千円)

2,374,371

1,984,175

2,399,198

2,588,466

2,314,191

営業利益又は営業損失(△)

(千円)

△113,769

△425,693

121,249

△27,783

△141,873

親会社株主に帰属する当期純利益

又は親会社株主に帰属する当期純

損失(△)

(千円)

△213,563

△630,016

241,185

39,764

△126,536

(注)「うち電子基板関連売上高(千円)」については、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

(テストシステム事業)

基板検査には検査方法の標準がなく、採用する検査方法はメーカーの方針によって異なっており、競合他社も様々な検査方法を用いた検査機を市場に投入しております。今後、当社が志向する検査方法と異なる方法の検査機が主流となった場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、電子基板メーカーが不良品率の低下等により一部の検査を省略した場合には、検査機市場が縮小に向かい、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。さらに、メーカーによっては検査機を自社で内製しており、今後このようなメーカーが増加した場合にも、検査機市場が縮小に向かい、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(鏡面研磨機事業)

円筒鏡面研磨機は、大手企業が進出していない10億円未満の市場規模であると推定しておりますが、新規参入企業の出現等により競争が激化した場合には、当社グループは当該事業での特許権・実用新案権等の知的財産権を保有していないため、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(産機システム事業)

各種産業機械の製造販売及び仕入販売において、メーカー各社の産業機械及び産業資材に係わる様々なハイエンド製品を顧客仕様にカスタマイズし、若しくは組み合わせた商品を提案する事業を展開することで差別化を図っております。競合他社との価格競争を余儀なくされる場合、メーカーとの協力関係が維持できない場合及び設備投資需要が減少した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

検査システムは、顧客仕様による受注販売が中心であり、顧客の要求に沿った製品をいち早く開発・製造することにより、競合他社の製品との差別化を図っております。また、競合を優位に進めるためには、顧客との緊密な関係を保つことが重要であり、その結果、顧客の要求に沿った製品をいち早く納入することが可能となります。このような顧客との緊密な関係が維持できない場合や、顧客企業の業績不振、競合他社との価格競争を余儀なくされる場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策)

競争激化等により各事業における当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」のとおり、課題を明確にした上で、市場動向に柔軟に対応できる生産体制の構築、独自技術の開発、販売チャネルの拡大及び生産工程のFA化等に取り組んでおります。

 

(2)人材の確保について

当社グループは、電子基板事業、テストシステム事業を中心とした製品の技術改良・研究開発を常に行っていく必要があり、そのための優秀な人材確保は事業展開上極めて重要であります。しかしながら、当社グループが必要としている技術に精通している人材の獲得、育成及び確保が常に可能であるとは限らず、当社グループが必要とする人材の獲得及び育成ができない可能性、あるいは当社グループの人材が社外に流出する可能性があります。当社グループが必要とする人材の獲得、育成及び確保が計画どおり進捗しない場合には、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。

 

(リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策)

当社グループでは、積極的な採用活動を行い、年齢・性別・国籍を問わず専門知識や専門技術に精通した人材を広域から採用し、社内外の研修や福利厚生の充実による社員のモチベーション向上に努めることで人材の確保を行っております。また、各自が目標設定を行う人事考課制度を導入しており、従業員各自の向上心の強化とモチベーションの維持を図るとともに、能力主義に基づいた個別評価は年齢・性別・国籍を問わない評価を行っております。これにより、組織の多様性を促進していることから、当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。

 

(3)知的財産権に関する訴訟、クレームについて

本書提出日現在において、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害している事実はありません。しかしながら、当社グループの事業分野においては、多数の特許・実用新案等が出願されており、当社グループが第三者との間に知的財産権に関する法的紛争に巻き込まれた場合には、事業運営が制約を受けることや、信用失墜及び損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権の侵害や保有技術を応用することで、当社グループの事業運営に支障をきたし、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策)

当社グループは上記のとおり、多数の特許・実用新案等が出願されていること等により、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、新規事業の開始や新製品の開発においては、第三者の知的財産権の調査を行う等のプロセスを設け、知的財産権等を侵害することがないよう努めております。また、当社グループの事業分野に関する特許等を出願し、積極的にそれらを取得していく方針であり、新技術の開発、大学等との共同開発についても同様の方針であり、第三者による知的財産権の侵害を防いでおります。

 

(4)情報漏洩について

当社グループは、技術情報等の重要な機密情報や、顧客その他関係者の個人情報を保有しており、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合には、社会的信用の失墜はもとより、多額の損害賠償費用等の発生に加えて、技術情報の他社への流出による競争力の低下等、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策)

当社グループでは、情報セキュリティシステムの改善を継続的に実施するとともに、社内規程の整備や従業員教育の徹底により、機密情報及び個人情報に関するセキュリティ対策を物理的・人的に実施していることから、当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。

 

(5)自然災害等について

当社グループは、地震等の自然災害により、重大な被害を受ける可能性があります。特に、当社グループの本社工場は、南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されていることから、順次地震対策を推進しているものの、実際に大規模な地震が発生した場合には、多額の復旧費用の発生や、営業、生産機能等が著しく低下することが想定され、当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策)

当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、事業継続計画(BCP)を策定し、2022年3月に「レジリエンス認証」を取得しております。自然災害が発生した場合には、代替手段にて業務を継続し、早期に完全復旧を図る緊急対応体制を構築しており、人的被害及び経済的損害を最小限に抑えることを目的に、防災計画に基づく防災訓練の定期的な実施と継続的な改善を行っております。引き続き、有事においても事業活動を継続できる管理体制のさらなる向上に努めてまいります。

 

(6)感染症の蔓延について

新型ウイルス感染症の発生・蔓延の影響により、当社グループや顧客の事業所・工場において事業活動に制限や遅れが生じた場合には、当社グループの生産及び販売活動に影響を及ぼす可能性があります。加えて、当初予定した決算発表及び定時株主総会の開催等にも遅延が生じる可能性があります。また、都市のロックダウン等により世界的に景気が後退した場合には、顧客の開発案件・設備投資が減退し当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策)

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を想定することは、不確実性が高く困難であります。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」及びこれに基づく政府の基本的対処方針等に従い、人と人との距離の確保、手指消毒、マスク着用等を徹底し、また、在宅勤務やオンライン会議等を活用する等の新しい生活様式を取り入れることにより、生産及び販売活動の継続と感染拡大の防止に努めております。さらに、市場動向を見据えた経営体制の見直しを随時行い、世界的な景気停滞に柔軟に対処できる体制を整備してまいります。

 

(7)固定資産の減損損失について

当社グループが保有している資産の時価が著しく下落した場合や将来の事業環境の変化により事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策)

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を想定することは、困難であります。当社グループはこれらのリスク軽減を図るため、将来キャッシュ・フロー等による減損損失の認識の判定に当たり基準とした事業計画の実現可能性について慎重に検討を行っております。なお、固定資産の減損損失に当たっての重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(8)繰延税金資産について

当社グループは、将来の課税所得の見積りにより繰延税金資産の回収可能性を判断しております。当社グループの事業計画を基礎として将来の課税所得を見積っておりますが、景気の変動等により、計画どおりに推移せず、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を回収できないと判断した場合や、税制改正、会計基準の改正等が行われた場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策)

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を想定することは、困難であります。当社グループはこれらのリスク軽減を図るため、繰延税金資産の回収可能性の評価に当たり基準とした事業計画の実現可能性について慎重に検討を行っております。なお、繰延税金資産の計上に当たっての重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

流動資産は、2,534百万円(前年同期比7.2%減)となりました。これは主として、棚卸資産及び有価証券が増加した一方、現金及び預金並びに流動資産のその他に含まれる前渡金が減少したことによるものであります。

固定資産は、2,043百万円(同1.0%減)となりました。これは主として、投資有価証券に含まれる1年内償還予定の社債を流動資産に振り替えたことにより減少したものであります。

(負債)

流動負債は、851百万円(前年同期比4.5%減)となりました。これは主として、流動負債のその他に含まれる未払金が減少したことによるものであります。

固定負債は、1,186百万円(同3.9%減)となりました。これは主として、長期借入金が減少したことによるものであります。

(純資産)

純資産は、2,539百万円(前年同期比4.8%減)となりました。これは主として、利益剰余金が減少したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済状況は、世界的な金融引締めによる海外景気の下振れや中東情勢の緊迫、中国経済の先行きの不透明感に加えて、物価上昇による影響が景気を下押しする懸念はあったものの、雇用情勢及び所得環境が改善したことや円安を背景としたインバウンド需要の回復により、引き続き緩やかな回復基調で推移いたしました。

当社グループが属する電子基板業界は、電子部品の供給制約の緩和によりEVや先進運転支援システムを中心とした自動車向け製品の需要は堅調を維持したものの、需要軟化によるスマートフォンやパソコン等の在庫調整が長期化したこと及びデータセンター向けや産業機器向けの製品の需要が低迷したことにより、低調に推移いたしました。

このような経済環境の下、テストシステム事業及び鏡面研磨機事業において販売は増加したものの、電子基板事業及び産機システム事業において販売が減少したことから、売上高は減少いたしました。

これらの結果、連結売上高は3,411百万円(前年同期比5.9%減)と、前連結会計年度に比べ214百万円の減収となりました。

損益については、鏡面研磨機事業において売上高が増加したこと並びにテストシステム事業及び産機システム事業の売上総利益率が上昇したことに伴う影響はあったものの、電子基板事業の売上高が減少したこと並びに販売費及び一般管理費が増加したことに伴う影響により営業損失141百万円(前年同期は27百万円の営業損失)、経常損失108百万円(同45百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失126百万円(同39百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(電子基板事業)

産業用タッチパネル等の需要が引き続き堅調に推移したことにより、ディスプレイメーカー向けの販売は増加したものの、民生品の在庫調整が長引いている影響等により、その他セットメーカー向けの販売、及び高機能品FPC案件の減少により、医療機器メーカー向けの販売が減少したことから、売上高は減少いたしました。損益については、売上高減少による影響や売上高労務費率の上昇により売上総利益率が低下したこと、及び人件費や海外拠点での売上増に伴う費用が増加したことにより減益となりました。

その結果、売上高2,419百万円(前年同期比9.2%減)、セグメント利益399百万円(同31.8%減)となりました。

(テストシステム事業)

国内外の電子基板メーカー各社におけるスマートフォン向け等のFPCの生産活動が停滞し、外観検査機の販売は減少したものの、リジット板及びパッケージ基板向け検査機の販売、並びに改造案件が増加したことから、売上高は増加いたしました。損益については、売上高増加及び利益率の高い製品の販売による売上総利益率の上昇に伴う影響により損失が縮小いたしました。

その結果、売上高420百万円(前年同期比6.4%増)、セグメント損失94百万円(前年同期は141百万円のセグメント損失)となりました。

(鏡面研磨機事業)

リチウムイオン電池用フィルム加工向け等の研磨機や研磨に使用する消耗品の販売及び機械の修理・メンテナンスの受注増により販売が増加したことから、売上高は増加いたしました。損益については、売上高増加に伴う影響により増益となりました。

その結果、売上高396百万円(前年同期比24.8%増)、セグメント利益49百万円(同157.8%増)となりました。

(産機システム事業)

大型パッケージ基板の自動検査ライン及びローダー・アンローダー装置等のロボット案件は販売できたものの、仕入販売商品及び検査システム事業における各種検査システムの販売が低迷したことから、売上高は減少いたしました。損益については、前述のロボット案件が販売できたことにより損失が縮小いたしました。

その結果、売上高174百万円(前年同期比29.7%減)、セグメント損失40百万円(前年同期は61百万円のセグメント損失)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により使用した資金が27百万円、投資活動により使用した資金が64百万円、財務活動により使用した資金が141百万円となり、その結果、資金は前連結会計年度末に比べ228百万円減少し、当連結会計年度末には485百万円(前年同期比32.0%減)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、27百万円(前年同期は233百万円の獲得)となりました。これは主として、減価償却費117百万円及び売上債権40百万円の減少により資金が増加した一方、税金等調整前当期純損失122百万円に加え、棚卸資産88百万円の増加により資金が減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、64百万円(前年同期は76百万円の使用)となりました。これは主として、補助金の受取額98百万円により資金が増加した一方、有形固定資産の取得による支出136百万円及び無形固定資産の取得による支出39百万円により資金が減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、141百万円(前年同期は145百万円の使用)となりました。これは主として、長期借入れによる収入280百万円により資金が増加した一方、長期借入金の返済による支出324百万円及び長期未払金の返済による支出64百万円により資金が減少したことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年12月21日

至 2023年12月20日)

金額(千円)

前年同期比(%)

電子基板事業

2,053,049

△9.8

テストシステム事業

343,832

+0.5

鏡面研磨機事業

293,073

△0.1

産機システム事業

1,975

△98.3

合計

2,691,931

△11.0

(注)1.セグメント間の内部振替前の数値であります。

2.金額は販売価格によっております。

3.産機システム事業は、上記生産実績の他、商品の仕入実績が仕入金額で113,093千円あります。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年12月21日

至 2023年12月20日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

電子基板事業

2,394,745

△10.3

230,039

△9.7

テストシステム事業

492,456

+24.4

234,113

+44.1

鏡面研磨機事業

580,978

△1.7

556,586

+49.5

産機システム事業

103,714

△51.9

37,998

△65.1

合計

3,571,895

△7.8

1,058,738

+17.9

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっております。

3.電子基板事業の受注残高については、前連結会計年度まで期末日後翌月末までに売上計上される予定の受注案件を受注残高としておりましたが、当連結会計年度より全ての受注案件を受注残高に含めております。なお、全ての受注案件を受注残高に含めた場合の電子基板事業における前連結会計年度の受注高は2,671,041千円、受注残高は254,670千円であります。

 

ハ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年12月21日

至 2023年12月20日)

金額(千円)

前年同期比(%)

電子基板事業

2,419,375

△9.2

テストシステム事業

420,753

+6.4

鏡面研磨機事業

396,719

+24.8

産機システム事業

174,617

△29.7

合計

3,411,465

△5.9

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」及び「同 ② 経営成績の状況」に記載しております。

経営成績の分析については、当連結会計年度は、売上高が3,411百万円(前年同期比5.9%減)となり、前連結会計年度に比べ214百万円の減収となりました。

売上原価は売上高の減少の影響により、2,467百万円(同4.5%減)となりました。売上原価率は72.3%となり、前年同期より1.0ポイント上昇いたしました。

販売費及び一般管理費は、主として人件費及び支払手数料の増加により、1,086百万円(同1.6%増)となりました。売上高販管費率は31.8%となり、前年同期より2.3ポイント上昇いたしました。

営業損失は141百万円(前年同期は27百万円の営業損失)となりました。売上高営業利益率は△4.2%となり、前年同期より3.4ポイント悪化いたしました。

営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、33百万円の収益計上となりました。

経常損失は108百万円(同45百万円の経常利益)となりました。売上高経常利益率は△3.2%となり、前年同期より4.5ポイント悪化いたしました。

親会社株主に帰属する当期純損失は126百万円(同39百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。売上高親会社株主に帰属する当期純利益率は△3.7%となり、前年同期より4.8ポイント悪化いたしました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」に記載の状況下において、電子基板事業では、高密度配線板の製造に適した新工法及びそれに対応する設備の導入等により、引き続き高難度品の受注獲得に注力するとともに量産品と高難度試作品の生産に対応できる当社の強みを推進し差別化を図ってまいります。テストシステム事業では、EV分野等で需要の増加が見込まれるパワー半導体向けセラミックス基板市場に対する情勢の回復を足掛かりに、AI技術を活用した欠陥検出力の高い外観検査機を上市し、新たな市場や販路を開拓してまいります。また、商社や販売代理店との連携による販売活動を強化し、受注の獲得に注力してまいります。鏡面研磨機事業では、受注の平準化及び部材調達の効率化を図り生産性を向上させることで、利益の確保に努めてまいります。産機システム事業では、DX化の流れに伴い高まりを見せる生産工程の自動化及びシステム化のニーズに応えるため、独自開発の検査システムと自動化システムの連携による導入効果をアピールする顧客に寄り添った提案型の営業活動を展開することで受注獲得を目指します。具体的な当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因や当該要因への対応については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況については、当社グループは売上総利益率、ROA及びROEを重要な指標として位置づけており、これらの指標の向上に努めることを経営上の目標としております。

当連結会計年度においては、主として売上高が当初予想を下回ったことから、売上総利益率は目標数値28.4%より0.7ポイント低下、前年同期より1.0ポイント低下し27.7%となりました。また、ROAは前年同期より3.2ポイント低下し△2.3%、ROEは前年同期より6.4ポイント低下し△4.9%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループのキャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは材料仕入、外注費及び人件費等の営業費用であり、運転資金及び設備資金等を自己資金にて賄うことを基本としておりますが、資金の安定及び効率的な調達を行うため、金融機関からの借入れ及び割賦契約による調達を行っております。また、取引銀行6行と当座貸越契約(当座貸越極度額1,486百万円)を締結しており、今後も資金の流動性に留意しつつ機動的な資金調達を行ってまいります。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は485百万円、流動比率は297.6%であります。

なお、当連結会計年度末現在において重要な資本的支出の予定はありません。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、技術革新のスピードが速いエレクトロニクス業界で、多様化、高度化し、広範にわたる顧客ニーズに対応するための研究開発を進めております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は、66,990千円であります。

 

(1)電子基板事業

プリント配線板は、医療・介護機器やウエアラブル端末等のハイエンドのアプリケーションに採用が進み、これまで以上の高耐熱性・伸縮性・高周波特性等の要求が予想されることから、特殊有機材料への電子回路形成に関する研究開発を行っております。

電子基板事業の研究開発費は、21,055千円であります。

 

(2)テストシステム事業

電子基板の高精細高密度化が進み、製造現場において高い検査精度と徹底した品質管理が要求されており、その要求に対応するために、外観検査機については、カラー高分解能撮像の開発及びこれを搭載する自動検査機の設計開発並びにAI技術を活用した検査システムの開発を行っております。また、通電検査機については、車載・半導体パッケージ基板用自動検査機のアライメント機能強化によるコンタクト精度、検査速度及び潜在欠陥検出性能等の向上の研究開発を行っております。

テストシステム事業の研究開発費は、45,935千円であります。

 

(3)鏡面研磨機事業

該当事項はありません。

 

(4)産機システム事業

該当事項はありません。