独立監査人の監査報告書

 

 

 

2024年3月29日

 

 

株式会社SUMCO

取締役会 御中

 

 

 

有限責任監査法人トーマツ

 

東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

東 海 林  雅  人

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

佐  瀬    剛

 

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社SUMCOの2023年1月1日から2023年12月31日までの第25期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社SUMCOの2023年12月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

多結晶シリコンに係る原材料、前渡金及び未履行契約の評価

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

(重要な会計上の見積り)1.多結晶シリコンの評価に記載のとおり、貸借対照表に記載されている「原材料及び貯蔵品」122,984百万円のうち、多結晶シリコン原材料の金額は89,407百万円と総資産の10.9%を占めている。更に、会社は、多結晶シリコンを調達するため、多結晶シリコンメーカーとの間で長期購入契約を締結しており、長期購入契約に則り、一部について前渡金(長期前渡金を含む)31,082百万円を支払っており、未履行分がある。

これらの多結晶シリコン原材料の評価基準として、会社は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算

当監査法人は、多結晶シリコンに係る原材料、前渡金及び未履行残高の評価の合理性を評価するため、主として以下の監査手続を実施した。

 

1. 内部統制の評価

以下に関する統制を含む、多結晶シリコンの将来使用計画の策定及び評価プロセスに係る整備及び運用状況について評価した。

・  将来の購入・消費見通しに係る評価

・  将来の購入・使用計画の承認行為

 

定している。

シリコンウェーハの事業環境は、半導体デバイスの市場需要に大きく依存している。会社は、半導体シリコンウェーハの需要は、短期的な変動要因はあるものの中長期的にはデータ通信量の増加、生成AI技術の発展、HEV・EVの普及、自動運転の進展、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの技術革新による半導体市場の成長とともに拡大することを見込んでいるが、急速な技術革新の進展や製品の陳腐化、製品構成の急速な変化、製品価格の下落といった半導体やその周辺産業に特徴的な諸要因の影響を受けるため、将来の原材料の消費見通しは経営者の主観的判断を伴う要素が大きい。

上記の通り、金額的重要性が高く、かつ、市場の需給変化に基づく収益性の低下の判断等、多結晶シリコンに係る原材料、前渡金及び未履行分の評価には会社の重要な判断を伴い不確実性が高いことから、監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

2. 多結晶シリコンに係る原材料、前渡金及び未履行残高の期末評価の合理性検証

・  経営者及び資材部責任者に対して、将来の使用見通しについて質問を実施し、また、半導体シリコンウェーハの需要見込みの基礎となる半導体デバイスの市場需要が、外部団体が公表している市場予測と整合していることを確かめた。

・  経営者によって承認された将来使用及び購入計画の合理性を評価し、また、過年度の計画と実績の乖離分析を実施することで見積りの精度を検証した。

・  会社の採用する評価基準の合理性について評価し、また、基準に従った会計処理が行われていることを確かめた。

 

 

繰延税金資産の回収可能性の評価

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

(重要な会計上の見積り)2.繰延税金資産の回収可能性に記載のとおり、会社は、翌期において回収可能と見込まれる額を計上しており、2023年12月末の繰延税金資産は、1,624百万円である。

繰延税金資産は、将来減算一時差異の解消又は繰越欠損金の使用が見込まれるときに課税所得を減少させ、税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上が認められており、その計上額の算定にあたっては「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の定める会社分類を判断し、また、合理的な仮定に基づく業績予測によって将来の課税所得を見積もる必要がある。

会社が取り扱う半導体シリコンウェーハは市場環境の変化が大きい事業分野に位置しており、短期間においても急激な変化が生じうる。将来の課税所得の見積りの基礎となる将来の業績予測は翌期の販売価格及び販売数量の見通し、為替相場の影響等を考慮して策定されるが、これらの要素は半導体シリコンウェーハの市場動向や最終製品の需要動向、各事業所の製造能力や稼働率、顧客の長期販売契約の締結状況等を勘案する必要があり、経営者の重要な判断を伴う。

上記の通り、繰延税金資産の回収可能性の判断は経営者の重要な判断を伴い、慎重かつ十分な監査手続を実施する必要があるため、監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した

 

1. 内部統制の評価

・  将来の売上高、各段階損益の予測に関する仮定の設定を含む、繰延税金資産の回収可能性の判断に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。

 

2. 繰延税金資産の回収可能性の検討

・  過年度及び当期における課税所得の発生状況や税務上の欠損金の推移等を確かめることにより、会社による会社分類の判断が「繰延税金資産の回収可能性の適用指針」に従っていることを検討した。

・ 会社の策定した将来の業績予測の合理性・実行可能性を確かめるために、その重要な仮定である販売予定価格、販売見込数量、為替相場の影響に対して、主に以下の手続を実施した。

・ 販売予定価格については、長期販売契約の締結状況を確かめるとともに、過年度の主要製品群別の販売単価と事業計画の策定に使用した販売単価を比較することにより、会社が使用する販売予定価格の合理性を確かめた。

・ 販売予定数量については、市場の動向を含む将来の成長の見込みについて経営者及び営業部責任者と協議するとともに、販売数量が将来変動する可能性が会計上の見積りに与える影響を含め経営者の仮定が合理的なものであるかどうかについて検討した。

・ 会社の予想する為替相場について、複数の金融機関の予想する為替相場と整合していることを確かめた。

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。

 

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

(※) 1.上記は、監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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