第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「お客様と株主の期待に応え、従業員に幸せを与え、社会に貢献する、常に世界一のシリコンウェーハメーカーを目指す」という経営理念のもと、半導体デバイスに使用される高品質のシリコンウェーハ製造において、大口径から小口径までカバーする幅広い製品展開力と世界をリードする高い技術力を有し、これらを最大限に活用し安定的な供給体制を構築することにより、社会の発展に貢献してまいります。特に、顧客からの極めて厳しい品質・コスト要求に応える技術力の向上に傾注し、シリコンウェーハの高精度化を進め、各種の半導体の進化をサポートすることで、シリコンウェーハ業界における地位の維持・向上を図るとともに、「SUMCO CSR方針」のもと、お客様、株主の皆様、お取引先の皆様、従業員、そして地球環境を含めた社会全体という、全てのステークホルダーを大事にすることを企業の社会的責任と考え、CSR及びサステナビリティ推進活動に取り組んでまいります。

当社グループは、この基本方針のもと、事業基盤をさらに強化し、事業の持続的成長を目指し、ステークホルダーの負託に応えてまいる所存であります。

 

(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略

半導体用シリコンウェーハ市場は、短期的な変動要因はあるものの、中長期的にはデータ通信量の増加、生成AI技術の発展、HEV・EVの普及、自動運転の進展、デジタルトランスフォーメーション(DX)等の技術革新による半導体市場の成長とともに拡大していくと予想しております。とりわけ、当社が強みを持つ先端半導体用300mmシリコンウェーハの需要は、今後も継続的に成長することを予想しております。また、200mmウェーハにつきましても、中長期的には車載・パワー系を中心に緩やかに需要が回復するものと予想しておりますが、150mm以下の小口径ウェーハ需要については将来的には縮小していくものと予想しております。

このような環境の中、主力製品である300mmウェーハについては、AIの急激な伸長に関連する需要に対応するための技術開発、近代化投資に注力してまいります。また、その中で需要の回復が遅れているレガシー品の製造設備に関しても、経済合理性を充分に検討のうえ、鋭意、近代化を推進していく所存であります

200mm以下のウェーハについては、市場環境に見合った適正な生産体制の再構築を図ってまいります。

なお、半導体用シリコンウェーハは市場環境の変化が大きい事業分野に位置しているため、コスト競争力を強化し引き続き収益の改善に努めるとともに、需要環境の変化に応じて迅速かつ的確に経営資源を最適化できる企業体質の構築を図ってまいります。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

足許の半導体用300mmシリコンウェーハ市場は、強いAI需要に牽引され、データセンター向けを中心とする先端品については好調に推移しております。一方で、先端品以外は顧客の在庫調整が続いており、回復には時間がかかる見通しです。全体としては総じて緩やかな回復を続けてきております。また、200mm以下シリコンウェーハ市場については、引き続き最終製品の需要が弱く、低調な出荷が続いております。

このような環境のもと、当社グループでは引き続き「SUMCOビジョン」の実現に向け、技術革新が加速する中で、既存工場の製造設備の近代化を迅速に進め、拡大が見込まれる300mm先端品の供給力強化を推進するとともに、小径品の生産体制再編やAIの活用による生産性改善など、収益確保の取り組みを強化してまいります。

また、地政学的リスクや各国の政策が市場環境へ与える影響については引き続き注視し、リスクの最小化に努めてまいります。

加えて、当社グループは社会課題の解決と持続的な企業価値の向上に向けて重点的に取り組む課題をマテリアリティ(重要課題)として特定し、サステナビリティに関する取組みを進めております。女性活躍推進やカーボンニュートラル、人材育成等についての中長期的な目標の達成に向け、さらに活動を加速してまいります。

 

<SUMCOビジョン>

1.技術で世界一の会社

2.景気下降局面でも安定して収益をあげる会社

3.従業員が活き活きとした利益マインドの高い会社

4.海外市場に強い会社

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループでは、「SUMCO CSR方針」のもと、お客様、株主の皆様、お取引先の皆様、従業員など、全てのステークホルダーを尊重することを企業の社会的責任と考え、CSR及びサステナビリティ推進活動に積極的に取り組んでおります。

 

① ガバナンス

当社では、サステナビリティ活動を推進する「サステナビリティ推進役員」を任命するとともに、経営直轄の専任組織であるサステナビリティ推進部を設置しております。また、サステナビリティ活動を統括する全社会議として、常務以上の役員が出席する「サステナビリティ推進会議」を年2回開催しております。サステナビリティ推進会議の概要は定期的に取締役会に報告され、社外取締役を交えた活発な議論が行われております 。

 


 

なお、環境、社会、ガバナンスといった各項目についても、活動を推進するための体制を構築しております。環境管理については、環境基本方針を定め、事業活動における環境負荷低減の最高責任者として取締役である環境役員と各サイトの環境責任者を任命するとともに、全社の環境管理委員会とサイト環境管理委員会を定期的に開催し、温室効果ガス削減や省エネルギーの推進、用水使用量や廃棄物の削減といった環境施策を推進しております。

 

 

② リスク管理

サステナビリティ推進会議では、各部門のサステナビリティ推進活動報告に加え、サステナビリティに関する社会課題やステークホルダーの要請等について項目ごとにリスクと機会を共有・分析しており、会議における審議内容を以降のサステナビリティ推進活動方針に反映しております。

なお、サステナビリティに関するリスクも含め、当社の事業継続に影響し得ると評価されたリスクについては、リスク事象の未然防止と影響の最小化を図るべく、「リスク管理基本規定」に基づくリスクマネジメント活動を実施しております。

当社のリスクマネジメント活動については、当社ウェブサイト内「リスクマネジメント」のページ(https://www.sumcosi.com/csr/governance/riskmanagement.html)をご覧ください。

また、人権リスクに関しては、ビジネスと人権に関する国際的な要請の高まりを受け、事業活動による人権への負の影響を特定・評価するため、SUMCO人権方針に基づき、人権デューデリジェンスを定期的に実施しております。人権デューデリジェンスにより当社の事業活動が人権への負の影響を引き起こし又は助長していることが明らかになった場合は、速やかに救済・是正に取り組むとともに、再発防止手段を講じております。

 

③ 重要課題(マテリアリティ)

当社では、取締役会での審議を経て、社会課題の解決と持続的な企業価値の向上に向けて重点的に取り組むべきサステナビリティ関連の課題を「マテリアリティ」として特定するとともに、各項目に目標を設定し活動を推進しており、各年度のマテリアリティ目標の達成状況についてはサステナビリティ推進会議で報告・審議されております。

当社のマテリアリティについては、当社ウェブサイト内「マテリアリティ(重要課題)」のページ(https://www.sumcosi.com/csr/materiality.html)をご覧ください。

サステナビリティ関連の重要課題の中でも特に重視しております「気候変動」と「人的資本」の戦略と指標・目標について、以下に記載いたします。

 

(2) 気候変動

① 戦略

当社は、気候変動に関わるリスク及び機会が、今後、財務的に影響を及ぼす重要な経営課題の1つである、と認識しております。

そこで、財務的な影響を及ぼすと考えられるリスクと機会の予測及びその定量評価を行い、TCFDの提言に沿ったシナリオ分析を実施いたしました。

a.気候変動に関わる主なリスク及び機会

対象範囲 ・・・ SUMCOグループ

発現時期 ・・・ 短期:1年以内、中期:1~3年以内、中長期:3~10年以内、長期:10年超

可能性 ・・・・ 小、中、大

影響度 ・・・・ 小:10億円以内、中:10~100億円、大:100億円超

 

 

分類

予測される内容

発現時期

可能性

影響度

 

リスク

移行

リスク

サプライヤーのカーボンニュートラル対応及び炭素税(カーボンプライシング)コストが原材料単価に反映されることによる、調達コストの増加

中長期

炭素税(カーボンプライシング)導入による事業コストの増加

中期~中長期

循環型社会形成による廃棄物処理コストの増加

中長期

再エネ賦課金の負担増による事業コストの増加

短期~中長期

ESG投資拡大による資本コスト獲得の増加

中期

物理的

リスク

風水災による事業活動の停止

短期

小~大

風水災によるサプライチェーンの途絶

短期

小~大

 

機会

省エネ・再エネ高度化による省エネ関連設備の需要拡大

長期

EV普及による自動車関連製品需要の拡大

中期~長期

通信・データ処理拡大によるデータセンターの需要拡大

中期~長期

エネルギー効率化に向けたインフラ及びオートメーション化設備の需要拡大

中期~長期

 

b.シナリオ分析

リスク・機会として抽出した項目は、いずれも当社への影響度が大きいと評価しておりますが、本年度は3項目をシナリオ分析の対象といたしました。(上記一覧表の青色の項目)

 

(炭素税(カーボンプライシング)導入による事業コストの増加 〔リスク〕)

当社は、GHG排出量が多く、炭素税が導入された場合、事業への影響が大きくなるため、2℃/4℃シナリオにおけるシナリオ分析を実施いたしました。

(a.)シナリオ分析の前提

・スコープ1+2排出量

国際エネルギー機関(IEA)によるWorld Energy Outlook(WEO)2019 を基に、各国の電気事業者の排出係数を算出し、2030年排出量を予測

 

 

2℃

[SDS(Sustainable Development Scenario)]

4℃

[STEPS(Stated Policies Scenario)]

 

2030年排出量

約430千t-CO2/年

約675千t-CO2/年

 

・カーボンプライス(以下、「CP」という。)

国際エネルギー機関(IEA)によるWorld Energy Outlook(WEO)2019 をもとに、各国のCPを設定

 

 

2℃

[SDS(Sustainable Development Scenario)]

4℃

[STEPS(Stated Policies Scenario)]

 

日本、米国、台湾

$100/t-CO2 (注)1

$33/t-CO2 (注)3

 

インドネシア

$75/t-CO2  (注)2

$12/t-CO2 (注)4

 

(注)1.Advanced economiesの値を使用

2.Selected advancing economiesの値を使用

3.EUの値を使用

4.WEO2019に示されている値のうち、最低額の国の値を採用

(b.)シナリオ分析

約24億円/年(4℃シナリオ)~47億円/年(2℃シナリオ)の負担増となる。

(c.)コスト削減取組み案

シナリオ分析の結果、再エネ調達単価<CP単価 の場合、トータルコストが下がることが判明いたしましたので、現在取り組んでいる省エネ活動に加え、再エネの導入について引き続き検討を行ってまいります。

 

 


 

(省エネ・再エネ高度化による省エネ関連設備の需要拡大 〔機会〕)

脱炭素社会に向けて、安定かつ効率的な電力供給や無駄のない高精度の制御を実現するパワー半導体の需要増加が見込まれます。

今後、気候変動要因によって普及が進むことが予想され、2℃/4℃の気候変動シナリオが存在する代表的な製品についてシナリオ分析を実施し、各産業分野におけるパワー半導体需要の変化について評価を行いました。

 

民生機器分野

電鉄車両分野

エネルギー分野

自動車・電装

分野

情報通信機器

分野

産業分野

パワー半導体の市場規模 (注)

20%

数%

数%

25%

25%

25%

成長が有望な半導体搭載製品・デバイス

インバーター(以下、INV)家電、ACアダプター等

電鉄車両(INVモジュール)

太陽光発電設備、風力発電設備、送電インフラ等

EV、急速充電スタンド、ワイヤレス給電システム等

サーバー電源、UPS等

モーター制御、INV制御、溶接機械等の高電圧・大電流用途

 

シナリオ分析対象のパワー半導体

IGBT、

Power MOSFET

 

IGBT、

Power MOSFET

IGBT、

Power MOSFET

IGBT、

Power MOSFET

 

本分野に関わる適切な気候変動シナリオがないこと、及び製品・サービスのサイクルが他分野よりも早く、中長期の予測が難しいことから、分析の対象としなかった

IGBT、

Power MOSFET

 

 

2030年における2℃未満の世界に向けたパワー半導体需要の変化

4℃(成り行きの世界)に対して、INV搭載の高効率エアコンの生産台数は約1.3倍と試算

INV搭載エアコンの生産割合も高まると予想

移動距離当たりのCO2排出量が小さい鉄道の移動需要が伸長

4℃(成り行きの世界)に対して、鉄道車両の生産台数は約1.2倍と試算

発電設備・関連製品に搭載されるパワー半導体の数量予測は困難だが、グローバルで太陽光発電、風力発電の導入量は4℃(成り行きの世界)に対して約1.5倍と試算

車載半導体デバイス全般を対象にシナリオ分析を別途実施

(次頁参照)

本分野の個別設備・製品に関する気候変動シナリオがないが、製造業のエネルギー原単位は、省エネ化・高効率化により、4℃(成り行きの世界)に対して、約7%減少すると試算

2℃未満の世界への移行に伴う当社の事業機会

温暖化や気象の両極端化によるエアコンの生産台数の増加に伴い、当社製品需要に好影響をもたらすと予想

市場規模は小さいものの、モーダルシフトによる電鉄車両の需要増に伴い、当社製品需要に好影響をもたらすと予想

市場規模は小さいが、グローバルでの再生可能エネルギーへのシフトにより、パワーコンディショナー等の生産台数が増加し、当社製品需要に好影響をもたらすと予想

本分野の製品・サービス需要に影響を及ぼす直接的な気候変動要因がないと考え、2℃・4℃のシナリオによる本分野のパワー半導体需要の差は小さいと評価

工場での省エネ化・高効率化の進展等によりパワー半導体需要が高まり、当社製品需要の増加が見込まれる

 

次世代パワー半導体の普及に伴う当社の事業機会

現在、開発・実用化・低コスト化が進んでいる新素材(SiC、GaN等)を使用した次世代パワー半導体は、2030年に向けて市場が大きく拡大することが予想されている。今後も次世代パワー半導体の普及状況を注視し、開発を継続するとともに、能力増強を図る。

 

(注) 調査会社予想データを基に設定

 

(EV普及による自動車関連製品需要の拡大 〔機会〕)

当社では、車載向けウェーハ需要の予測にあたって、将来のEV/HEVの生産台数の割合を下図のように推定しております。

右図の「新シナリオ」を2℃シナリオ、左図を4℃シナリオ(成り行きの世界)とみなし、車載半導体に使用するシリコンウェーハの車種別の面積(予想)と生産台数の割合を乗じて、2030年までのシリコンウェーハ需要の推移を分析いたしました。

その結果、2030年のシリコンウェーハ需要は、2℃/4℃いずれのシナリオにおいても、2020年比2倍以上、さらに2℃と4℃のシナリオの世界を比較すると、2030年時点で、4℃シナリオに対して、2℃シナリオの需要は約1.1倍と試算されました。

自動車・電装分野は、自動運転や表示機器の電子化等による車載半導体需要の高まりがベースラインとして予想されますが、脱炭素化に向けたEV・PHEVの普及によって、さらに需要を押し上げる効果が確認され、当社製品需要に好影響をもたらすと予想しております。

そのため、今後も当社製品の高い信頼性と耐久性の開発を継続するとともに、能力増強を図ってまいります。

 


② 指標及び目標

気候変動への対応は、SDGsにおける目標の1つであり、経済成長と環境悪化の断絶が強く求められております。成長を続ける半導体産業を支えるSUMCOグループとしましても、持続可能な社会の実現に向けて、2021年9月、Scope1+2を対象としてカーボンニュートラルに向けた目標を設定し、2024年2月にはSBTの2℃シナリオから1.5℃シナリオに準拠させる目標の変更を行いました。なお、2025年にはSBT取得を目指してカーボンニュートラル目標のさらなる向上、対象範囲拡大(Scope3排出削減目標策定・海外拠点の包含)を検討しております。

 

目標年

2030年

(中期目標)

2050年

(長期目標)

 

目標

2022年比29%減(年4.2%減)

[SBT(注)の1.5℃シナリオに準拠]

100%減(カーボンニュートラル)

[日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言に準拠]

 

施策(案)

継続的な省エネ活動

再生可能エネルギーのさらなる導入(太陽光発電 等)

非化石電力導入(Jクレジット、非化石証書) 等

 

(注) Science Based Targets

パリ協定が求める水準と整合した企業が設定する温室効果ガス排出削減目標

 

2024年においては、目標の8.2%削減(2022年比)に対し、実績は8.2%削減と目標を達成いたしました。

 

(3) 人的資本

① 戦略

SUMCOビジョンに掲げております

・技術で世界一の会社

・景気下降局面でも安定して収益をあげる会社

・従業員が活き活きとした利益マインドの高い会社

・海外市場に強い会社

の実現のためには、それを可能にする人財の獲得、育成そして維持・確保がカギとなります。

多様で適切な人財の獲得を前提とした、当社の人財育成の方針、及びそうした人財の維持・確保のための社内環境整備の基本方針は以下のとおりであります。

 

a.人財育成方針

SUMCOビジョンを実現するためには、従業員一人ひとりが高い価値を身に付けることが重要であり、そのような人財を育てる観点から、当社は継続的に人財に投資し、キャリア形成プログラムの充実を図っております。

具体的な施策としては、新入社員から若手、中堅、管理職、役員に至るまで、様々な研修の機会を設けており、主体的に物事を捉え行動できる人財を育成すべく、教育制度を整備しております。また、経営幹部も出席する若手技術者の研究成果発表会の開催や、SUMCOグループ最高位の賞として「SUMCO CEO AWARD」を設けるなど、企業価値の向上に寄与した従業員のモチベーションアップに向けた様々な施策を実施しております。

 

キャリア形成プログラム


 

b.社内環境整備

当社は、SUMCOグループの全ての従業員が活き活きと働けるよう、安全・健康・快適で適正な職場を確保し、人権・能力・個性を尊重して、公正で多様な働き方を実現いたします。

そのために、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン。多様な人財の確保・育成・活用)の推進をはじめ、「従業員の安全と健康がすべてに優先する」との理念のもと、安全健康衛生基本方針を掲げ安全・健康衛生の取組みを推進しております。

 

(DE&I)

性別・年齢・国籍・宗教・障がいの有無・性自認及び性的志向等にかかわらず、多様な人財の確保、育成、活用の推進が必要であるとの考えから、経営の重要施策としてDE&Iを推進しております。

例えば、女性活躍推進においては、子育て中の従業員により働きやすい職場環境を提供し、仕事と育児の両立を支援するため、法定よりも長い育児休暇期間の設定や、在宅勤務制度、短時間勤務制度など、多様な就業支援制度の整備や、事業所内保育所として「SUMCOいまり保育園」の開設、さらには育児等のためにやむを得ず一時的に退職を余儀なくされる従業員に対して、再度の復職を認める「退職者カムバック制度」を設けるなど、子育て中の従業員のための支援を強化しております。

そのほか、女性社員のキャリア形成を支援するための研修や女性役員との座談会、また、管理職を対象としたダイバーシティマネジメント研修等を通じて、女性が自信を持って活躍できる環境づくりを進めております。

 


 

また、高齢の方々やグローバル人財の一層の活用や障がい者の方々の積極的な採用・活用など、全ての従業員が、やりがいをもって働きやすい職場環境を作ってまいります。

 

(健康経営)

健康経営の取組みにおいては、従業員一人ひとりの健康のために、「SUMCOグループ健康宣言」を社内外に発表し、全社産業医を中心に各事業所の産業医・専門保健師・看護師等の専門職を配置し、健康増進活動の各取組みを健康投資として戦略的に推進しております。

こうした取組みが評価され、健康経営法人ホワイト500(7年連続)に認定されております。

 

 

② 指標及び目標

 

テーマ

KPI(指標)

目標

2024年度実績

2023年度実績

 

研修の充実

(注)1

人事部門主催の全社教育延べ受講時間

前年度以上

29,228時間

(前年比約626時間、2.2%増加)

28,602時間

(前年比約5,700時間、25.3%増加)

 

女性活躍推進

女性管理職比率

2030年

単体 10%

連結 12%

 

単体 1.9%

連結 7.5%

 

単体 1.6%

連結 7.5%

 

健康経営

(注)2

ERI調整後総合健康リスク

ERI調整後総合健康リスク100以下の維持

ERI調整後総合健康リスク87

ERI調整後総合健康リスク89

 

(注)1.連結グループにおける管理が困難であるため、提出会社ベースで表示しております。

2.連結グループにおける取組みが行われていないため、国内連結子会社ベースで表示しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難であるものについては記載しておりません。

なお、これらの記載は、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクも存在します。また、以下の事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1) 事業環境について

当社グループが製造及び販売するシリコンウェーハは、パソコン、スマートフォン、タブレット型端末といった携帯端末、自動車、及びその他民生品を含む各種製品に使用される半導体基板等に用いられることから、半導体デバイスの市場需要に大きく依存しています。そのため、シリコンウェーハの需要は、急速な技術革新の進展や製品の陳腐化、製品構成の急速な変化、製品価格の下落といった半導体やその周辺産業に特徴的な諸要因の影響を受けます。近時は半導体及びシリコンウェーハ市場のすそ野が急速に広まっているため、半導体デバイス市場と世界のマクロ経済の動向との相関関係は強まっており、感染症の流行、ロシアによるウクライナ侵攻や米中摩擦等の地政学的リスクなどに基づく景気後退は、半導体製品の需要に影響を及ぼす可能性があります。

他方、データ通信量の増加、生成AI技術の発展、HEV・EVの普及、自動運転の進展、テレワークの定着、デジタルトランスフォーメーション(DX)等の技術革新により、半導体デバイス及びシリコンウェーハの需要は中長期的には拡大すると見込んでおりますが、当社の期待通りにシリコンウェーハの需要が増加する保証はなく、実際の市況と異なる場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、こうした事業環境の変動に対し、市場動向に迅速かつ的確に対応できる企業体質の構築を図るとともに、財務体質の一段の強化に努めておりますが、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 当社グループの製品について

当社グループの製品が用いられる半導体の価格は、製品の市場投入後の普及・販売数量拡大等の影響もあり、一般的に低下する傾向にあります。急激な需給バランスの悪化やその他の事由により想定以上に半導体製品の販売価格の低下が生じる場合、その基盤材料であるシリコンウェーハにも価格下落圧力が生じ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、AI技術の活用等による生産性向上や継続的な技術改善による歩留改善等の合理化により、当該製品価格の低下を想定した事業計画を策定し、市場変動への対応力を強めておりますが、かかる対策が期待された効果を生じない可能性があります。

なお、上記以外にも、重大品質クレームの発生による多額の費用・損害賠償の発生、もしくは信用棄損に伴う販売量・シェア低下や、大規模設備事故、コンピュータウイルス感染等の事由に起因する大規模システム障害等による製造の中断や大幅な遅延等もしくは歩留の低下や感染症の蔓延、製造設備の故障、原材料の供給不足、もしくは物流の機能停止等の結果、当社の生産能力の喪失又は低下が生じる場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し、当社グループでは、顧客との継続的なコミュニケーションによる品質要求変化のタイムリーな把握及び継続的な技術改善、定期的な製造設備に対する予防保全の実施、また大規模システム障害対策としてCSIRTの設置やファイヤーウォール設置、コンピュータウイルス対策ソフトの定期的な更新、USBメモリー等の持ち込み制限等により、当社グループ全体の生産能力低下や製品の供給が困難となるリスクを未然に回避するよう努めておりますが、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 他社との競合について

シリコンウェーハ市場は、多額の設備投資、主要顧客からの品質、価格及び納期等に関する厳しい要請、競合他社による生産能力の増強による需給バランスの悪化、技術革新の影響等の特徴があり、当社は、価格、品質、生産能力、製品ラインアップ、技術・サービスなどについて、主に他のシリコンウェーハ製造会社と世界的な競合関係にあります。これらの競合他社の多くは、大規模企業であり、当社に比して、資金力、技術、生産能力、価格競争力、顧客との関係等において当社より優位に立つ可能性があります。

また、競合他社間の統合や合併等により、競合他社が競争力を飛躍的に高める可能性もあり、当社の競争力が相対的に弱まった場合には、製品価格の引下げや売上の減少につながり、当社の事業展開や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、仮に当社が競争力を強化できた場合であっても、当社の顧客の多くはシリコンウェーハの調達において事業継続の観点から複数のサプライヤーを確保する方針を採用するのが一般的であることから、当社の市場シェアの拡大には限界があります。

 

(4) 主要顧客について

半導体市場は、比較的少数の大手メーカーが市場の大部分を占めているため、当社の売上の相当部分は特定の主要顧客によるものとなっております。しかしながら、主要顧客が従前と同水準の購入量を継続する保証はなく、これらの主要顧客が、半導体の市況、地政学的要因、景気の悪化又は顧客側の個別要因により、当社からのシリコンウェーハの購入量を大幅に削減する場合には、当社グループの事業展開や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 顧客の与信管理について

当社グループは、顧客の与信管理には万全を期しておりますが、多額の売掛債権を有する顧客の財政状況が悪化し、期日通りの支払いが得られない場合、また倒産により売掛債権の回収が不能になる場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクは一定程度、危険な兆候を予見することは可能であると認識していますが、必ずしも全てのリスクを回避できるとはいえません。

当社グループは、定期的に信用調査を実施し、顧客の財務状況や事業の安定性のリスクを管理する体制を構築しておりますが、かかる体制が十分である保証はありません。

 

(6) 原材料の調達について

当社グループは、シリコンウェーハの主要原材料である高純度多結晶シリコンについて、世界の主要な多結晶シリコンメーカーとの間で長期購入契約を締結し、原材料の安定調達を図ってまいりましたが、購入契約締結時の需要予想と消費見通しに乖離が生じたことから余剰在庫を保有しております。従い、在庫量が適正な水準に回復するまでの間は、原材料コスト低減の機会が制約される可能性があります。また、原材料在庫を含む「原材料及び貯蔵品」の見通しについては、事業環境の著しい変化等により、消費量が変動した場合、あるいは、会計上の対応が必要となる場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

以上の原材料調達にかかるリスクを鑑み、当社グループでは原材料在庫水準の適正化に努めておりますが、かかる対策が奏功する保証はありません。

 

(7) 主要製造設備の安定調達について

当社グループの主要製造設備には研磨機等、短期間で他の設備メーカーへの切り替えができない設備があり、これらの円滑な調達が困難な場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、製造設備の納入期間の長期化、設備メーカーの供給能力の不足、価格の引き上げ等により、設備投資の製造への寄与が遅れる場合には、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。さらに、急激な景気変化、自然災害、感染症の拡大、地政学的な変化に伴う輸出制限等により製造設備の円滑な調達が困難な場合には、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

特に、当社が必要とする設備には、高度かつ専門的にカスタマイズされているものも多数あり、装置サプライヤーの数も少なく、生産能力も限られているため、当社が今後実施する最先端品質へ対応するための新たな設備投資において、稼働や操業開始の遅れが発生する可能性があります。

これらのリスクの顕在化に備え、製造設備の安定的な調達を実現するため、当社グループでは、主要な装置サプライヤーとの協働による関係強化構築や中長期安定供給に関する情報共有化等により、サプライチェーン途絶のリスクの回避策を講じておりますが、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) サプライチェーンについて

当社グループにおける諸資材の調達について、経済環境の急激な変動、自然災害及び設備事故、感染症の拡大、地政学的な環境の変化等により、サプライヤーの操業停止などが発生し諸資材の調達に支障をきたし場合には当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、複数のメーカーからの購買や在庫の積み上げ等、調達途絶リスクを回避する対策を講じておりますが、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 設備投資について

当社グループは、市況変動や顧客要求の変化等、半導体業界を取り巻く環境の変化により、将来的な設備能力の余剰化や既存・導入設備の陳腐化等の事由が生じた場合、事業展開や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

半導体デバイス産業には変動性があるため、シリコンウェーハ市場の将来動向を正確に予測し、その動向に合わせた生産能力を計画することは困難です。そのため、市場の需要が当社の予想以上に増加した場合には、当社は需要に見合う生産能力を有しない可能性があり、その結果、販売強化の機会が失われ、顧客との関係に悪影響を及ぼしたり、市場シェアの低下をもたらす可能性があります。また、市場の需要に合わせて設備を増強させることとした場合でも、実際に増強が完了するまでにタイムラグがあるため、その間に市況が悪化した場合や競合他社の生産能力が当社の予測以上に増強された場合には過剰な生産能力が生じる可能性があります。加えて、最先端の技術に係る設備投資には多額の資金を要しますが、期待された品質・歩留が得られない場合には想定した生産量を確保できない可能性や減損を計上する可能性もあります。

さらに、2022年以降、300mm半導体用最先端シリコンウェーハについて製造能力を増強し、経済合理性のある価格とより長期間の長期販売契約を締結した顧客に優先的に製品を供給してまいりますが、半導体市況によっては当該長期契約通りに製品を販売できない可能性や、将来も同様の条件で長期販売契約を締結又は更新できない可能性があります。

こうした設備投資に起因するリスクを防ぐため、中長期的なマクロ経済動向に基づく需要のチェックや、顧客との継続的なコミュニケーションによる顧客技術動向の把握等に基づき、設備投資を実施しておりますが、当社がシリコンウェーハの将来の市況を正確に予測することは容易ではなく、かかるリスクを払拭できる保証はありません。

 

(10) 資産について

当社グループは、シリコンウェーハの工場や製造設備など多くの固定資産を有し、今後も新工場の建設を含む設備投資により保有固定資産が増加することが見込まれます。かかる固定資産又は資産グループへの投資額を回収できない可能性がある場合には、固定資産について減損が生じる可能性があります。

減損の兆候の判断には、資産に対応する事業や製品ラインの将来キャッシュ・フローの大幅な減少、法令改正やビジネス環境の大幅な悪化、重要な資産グループにおける回収可能性の悪化、製品市場の成長率の低下等の要因を考慮する必要がありますが、これらの要因に不利な変化が生じた場合、当該資産の回収可能性に重大な影響を与え、固定資産の減損が必要になる等、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の保有する棚卸資産の価値が低下した場合、評価損が発生する可能性があります。

 

(11) 資金調達について

当社グループの金融機関からの借入の一部及びコミットメントライン契約には財務制限条項が付されており、財政状況の著しい悪化によりその財務制限条項に抵触し、当該契約の解約及び当該借入金の返還請求を受け期限の利益を失った場合には、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。

また、信用格付けの低下、金利水準や市場環境等の要因により当社グループが希望する時期又は条件により資金調達が実行できない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、対応策として、十分な手元流動性の確保に努めることに加え、国内における新規借入については、足許の低金利を活用した固定金利建長期借入を主体とすることでリスク低減を図っております。今後も金利水準や市場環境等を踏まえた資金調達を行うとともに、取引先金融機関との良好な関係の維持を図ってまいります。しかしながら、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の海外連結子会社においては変動金利建長期借入による資金調達を行っており、今後、金利が上昇する場合にも、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 技術及び研究開発について

半導体業界は、急速な技術革新が進む業界であり、半導体の高集積化、微細化や半導体用途の多様化、高度化等、当社グループのシリコンウェーハに対する顧客からの要求品質は多岐に亘り、かつ、高度化しております。当社グループは、かかる顧客からの要求に応えるため、中長期的に需要の拡大が見込まれる300mm半導体用最先端シリコンウェーハに関する技術、品種別ではエピタキシャルウェーハ等の高付加価値ウェーハ関連技術、さらに、次世代ウェーハ製品の関連技術等に重点をおいた研究開発活動を行っております。

しかしながら、研究開発活動において想定した効果を得られない場合や、他社に比べ技術開発が遅れた場合には、業界における技術進歩への対応に支障が生じ、顧客の要求に適応することが困難となり、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが重点を置いている300mm半導体用最先端シリコンウェーハは、開発や量産が容易ではないため、当社グループの研究開発費用が想定よりかさむ場合や生産性の改善に時間を要する場合には、当社グループの収益に悪影響を及ぼす可能性があります。

高度化する顧客要求に応えられるウェーハ製品をタイムリーに供給するには、常に半導体業界の技術動向や顧客ニーズの把握に努め、さらに、ニーズを先取りした研究開発を推進する必要があります。当社グループでは、半導体業界や顧客の技術動向を整理し、研究開発部門に適時インプットする体制の強化を図るとともに、学会等の技術情報や大学との共同研究も活用しながら最先端の研究開発を行っております。また、高度な研究開発活動の遂行のためには、技術者の能力が重要であることはいうまでもなく、きめ細かな教育プログラムにより技術者育成を行っております。他社に遅れを取らず、顧客要求に応えるため、これらの体制強化を推進しております。しかしながら、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 知的財産権について

当社グループは、シリコンウェーハ業界において競合他社に対抗していくためには、特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると認識しており、国内外において出願中のものを含めて多数の特許を保有しております。

しかしながら、知的財産権の保護が不十分であることにより技術的優位性を保てなくなるリスク、また当社が認識しない第三者の特許が既に成立している場合において、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、使用差止及び損害賠償等の訴えを起こされるリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合は、営業、生産、販売面、財政状態を含む当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは事業活動で使用する知的財産権の一部について第三者からライセンスを受けているところ、将来的に他の知的財産権についても第三者からライセンスを取得する必要が生じる可能性がありますが、当社グループは、これらのライセンスの取得及び維持にあたり多額の費用が必要となる可能性があり、また、これらの技術により事業上優位に立つ保証もありません。

そのため、当社グループでは、知的財産権を戦略的に確保し、他社の特許調査によりリスクの予見に努めるとともに、他社の特許権を回避する代替技術の開発等によりリスクを最小化するように努めていますが、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 海外展開について

当社グループは、全世界の主要な半導体メーカー等に対してシリコンウェーハを供給しており、日本国内に加えて、北米、欧州及びアジアにそれぞれ拠点を設置し生産・販売活動を展開しております。当社グループのこれらの生産・販売活動においては、各国及び各地域の経済・政治情勢、紛争、テロ、感染症の拡大、輸送の遅延、インフラの停止・不足、労働条件の変更・人材難や災害等の発生により、工場操業の低下等の影響を被る可能性があります。また、税制、為替、関税、輸出入規制など各種規制の大きな変更、各規制当局の基準・慣行の違い等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

特に、米中摩擦等により、大幅な関税の引上げ、特定企業への制裁、特定の用途の製品に対する制限やライセンス要件の拡大が実施されており、国家の安全保障や経済成長に重要な役割を果たす半導体関連産業においては、主要な顧客の喪失やサプライチェーンの毀損など深刻な影響を受ける可能性があります。

また、各国のシリコンウェーハを含む半導体の国内製造の奨励政策は、当社製品の競争力を低下させ、当社の事業展開や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、カントリーリスクの検討、複数拠点での生産体制の確立により機動的な生産配分を可能とし、国際情勢の変化に伴うリスクのヘッジに努めておりますが、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 情報管理について

当社グループでは、事業展開するうえで欠かせない技術上又は営業上の機密情報や、事業活動を通じて取得した顧客等の様々なステークホルダーの機密情報・個人情報を多数保有しております。サイバー攻撃等による不正アクセス、コンピュータウイルスへの感染、情報インフラの故障又は関係者による不正持出し等の事態に伴い保有する情報が滅失又は外部に漏洩した場合、競争力の低下、社会的信用の失墜又は責任追及等に発展し、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

情報の滅失・漏洩リスクを極力低減するため、当社グループでは、インターネットを経由した外部からのサイバー攻撃やコンピュータウイルス感染に備え様々な対策を講じており、全社的なセキュリティ体制の向上を進めております。また、当社グループでは、情報管理に係る社内規定・ガイドライン等を制定し、情報管理に関するルールや情報セキュリティについて全従業員を対象に定期的な教育を実施しております。しかしながら、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、材料の調達、製品の製造、販売、配送等の各過程において、情報システムに大きく依存しております。当社グループの情報システムが効果的に運用されない場合、システムの更新や代替システムへの移行に問題が生じる場合、サイバー攻撃などによりこれらのシステムのセキュリティに重大なネットワーク障害が発生する場合、継続的で安全なシステムを維持できない場合には、顧客サービスの遅延や顧客との関係の悪化、業務効率の低下、問題改善のための多額の設備投資、当社グループの評判の低下等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうした情報システムのリスクに対し、基幹システム及び周辺システムの二重化やバックアップサーバーの設置などを行うとともに、定期的なバックアップサーバーへの切り替え訓練等の対策を実施しております。しかしながら、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 法規制について

当社グループは、事業活動を展開している世界各国において、労働、租税、輸出入規制、製造物責任、競争法、環境、事業活動や投資を行うために必要な政府の許認可規制等の各種法規制の適用を受けておりますが、当社グループは必要な許認可等を取得及び維持できない可能性があり、仮に取得できた場合でも許認可等に付された一定の条件、制限や限定を遵守できなかった場合には、当社グループは罰金、違約金、追加費用の対象となったり、規制当局による許認可等の取消しを受ける可能性があります。また、今後、これらの法規制が強化され、又は法規制の運用・解釈が厳格化された場合、法規制遵守のための費用増加や当社グループの事業展開の制約により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、社内規定に基づき、事業遂行上関係する各種法規制の主管部門を定め、各主管部門が法規制の制定・改廃状況を継続的にモニタリングし、迅速に対応する法令遵守体制を構築することで、法規制の強化等のリスクによる影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、当社グループのこれらの取組みにより当該リスクの影響を完全に抑制できる保証はありません。

 

(17) 為替相場の変動について

当社グループは、製品の輸出等において外貨建て取引を行っており、また、連結財務諸表を作成するにあたって海外連結子会社の財務諸表を円換算していることから、為替相場の変動は当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、外貨建予定取引の為替変動リスクを回避するため、為替動向を注視し、状況に応じて為替予約取引を行っておりますが、かかる対策により当該リスクを十分に回避できる保証はありません。

 

(18) 環境規制等について

当社グループの事業は、主に製造拠点において、エネルギーの使用、排気ガスの排出、排水の排出、有害化学物質の使用及び保管、産業廃棄物の廃棄、土壌及び地下水の汚染の検査及び浄化等、環境に関する多くの国内外の法的規制を受けており、これらの規制に基づき一定の費用負担や賠償義務その他法的責任が生じる可能性があります。

また、近年においては、一般的にこれら環境等に関する規制は強化される傾向にあります。今後において環境等に関する新たな国内外の法規制等が制定される可能性は否定できず、そのような場合、当社グループにおいて、これら法規制等への対応のために新たな環境保全コストの負担や税負担等が生じることが予想されます。当社が現在又は将来の環境規制を遵守できなかった場合、当社に対する損害賠償請求や罰金の賦課、一定地域における生産・操業停止、当社の評判・信用の低下を招き、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、近年様々なステークホルダーからのESGへの取組みへの期待が高まっており、これによる新たな環境規制や義務、カーボンニュートラルの取組み等に関する追加的コストは、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、当社は社会課題の解決と持続的な企業価値の向上に向けて重点課題に目標を掲げて取り組んでおりますが、かかる取組みが奏功する保証はありません。

今後の環境規制等の強化に伴うリスクに備え、当社グループでは、再生可能エネルギーの利用推進による温室効果ガス排出量の削減や、生産技術改善による規制対象物質使用量の削減等、環境負荷低減の取組みを進めておりますが、かかる取組みが奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 自然災害、事故等の発生について

当社グループの各製造拠点において、台風、豪雨、地震、津波又は火山活動等の自然災害や、事故、火災、感染症、テロ等が発生した場合、設備の損壊や給水・電力供給の制限、人的被害等の不測の事態により生産が停止し、製品の製造・販売に支障を来す可能性があります。当社グループの主要製造拠点において、上記の自然災害、事故、火災等に見舞われた場合には、製造・販売活動に支障を来たし、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

これら自然災害、事故等のリスクへの対策として、当社グループではBCP(事業継続計画)を策定し、設備耐震・免震対策、資材予備品の備蓄、防災備品・備蓄品の整備、復旧・操業再開手順の明確化、BCP訓練をはじめとした各種訓練等の対策を推進しています。これらの対策の進捗や内容見直しについては、年2回、全社的な会議である生産BCM(Business Continuity Management)推進会議で審議され、その結果は、毎年、リスク管理全般を統括するBSC(Business Security Committee)会議に報告し、経営陣のレビューを受けています。しかしながら、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 企業買収について

企業買収を実施する場合、急速な事業環境の変化による買収した企業の急速な業績悪化、のれん減損といった不測の事態が生じ、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を受ける可能性があります。

当社グループは、企業買収の実施を検討する際には、買収先企業の財務内容等についてデューデリジェンスを行い、事前にリスク回避するよう努めてまいりますが、買収後に期待されたシナジー効果が実現しない等、投入した資本やその他の資源の投資を回収できない可能性があります。

 

(21) 感染症について

季節性インフルエンザや新型コロナウイルスの他、今後新たな変異株や新たな感染症の世界的な流行が生じた場合には、当社グループの従業員の罹患による操業低下、サプライチェーンの毀損、世界的な経済活動の停滞等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、感染症への対応として、一部地区でのテレワーク勤務や各種感染予防対策、従業員のワクチン接種の奨励等、有効と考えられる対策を実施してきておりますが、感染が拡大した場合には、当社グループの生産性に影響を及ぼす可能性があります。感染が拡大し、当社グループの一部の生産工程で集団感染が発生する等の事態により操業に影響が出た場合には、当該工程の勤務シフトの調整や人員再配置等により、操業や経営成績等への影響を最小限に抑えるべく対策を講じます。しかしながら、かかる対策が奏功しない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22) 上記以外のリスクについて

当社グループは、事業環境の変化等により、以下のような事態が生じる場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼすことが想定されます。

① 事業環境の大幅な変化により事業及び組織の再構築等が必要となる事態が生じる場合。

② 退職給付債務の計算に関して、数理計算上の前提条件の大幅な変化が生じる場合。

③ 経済環境の変化等により、収益が悪化し、又は将来の収益の見積りが大幅に変動する等により、会計上の対応が必要となる場合。

④ 当社グループの事業に必要な人材を確保できない場合。

⑤ 当社グループの製品の不具合等に起因する争訟やその他の争訟が生じる場合。

⑥ 内部統制が有効に機能しない事態が生じる場合。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における半導体市場は、年間を通じてAI用データセンター向けの需要が大きく伸びた一方で、民生・産業・自動車向けの需要回復は弱く、市場の二極化が続きました。

300mmシリコンウェーハは、AI用半導体の生産量増加に伴い、ロジック・メモリともに先端品向けで需要が増加しましたが、先端品以外の回復は鈍く、全体として緩やかな回復にとどまりました。

200mm以下につきましては、年間を通じて低調な出荷が継続しました。

 

当社グループでは「SUMCOビジョン」のもと、顧客の高精度化要求や製品の差別化に対応した技術開発により、先端品の高シェアを維持するとともに、AIを活用した生産性向上などコスト競争力の強化にも努めてまいりました。

また、需要の低迷が続く200㎜以下につきましては、宮崎工場のウェーハ生産を2026年末までに終了することを決定しました。これにより発生する特別損失5,814百万円を当期に計上しております。

 

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高396,619百万円(前年同期比6.9%減)、営業利益36,924百万円(前年同期比49.5%減)、経常利益37,457百万円(前年同期比48.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益19,877百万円(前年同期比68.9%減)となりました。

なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

当連結会計年度末における財政状態は、資産合計は1,172,683百万円(前年同期比99,596百万円増)、負債合計は515,447百万円(前年同期比77,887百万円増)、純資産合計は657,236百万円(前年同期比21,709百万円増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ60,682百万円減少し、95,671百万円となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フローが69,627百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△247,876百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが112,294百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額が5,272百万円となったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの事業は「高純度シリコン」のみの単一セグメントであり、セグメント情報に関連付けては記載しておりません。

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

高純度シリコン

324,065

100.5

 

(注) 金額は製造原価によっております。

 

b.受注実績

当社グループの生産及び販売製品は、大半が受注生産形態をとらないため、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

高純度シリコン

396,619

93.1

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住友商事株式会社

102,478

24.1

98,193

24.8

Samsung Electronics

Co., Ltd.

43,687

10.3

 

(注) 当連結会計年度のSamsung Electronics Co., Ltd.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

当連結会計年度におけるシリコンウェーハ市場は、300mmウェーハはお客様におけるウェーハ在庫適正化に時間を要しているものの、AI向け半導体など先端品需要が好調であり、全体として緩やかな需要回復となりました。一方、200mm以下につきましては、民生・産業・自動車向けを中心とした需要の低迷が継続しており、低調な出荷が続きました。

このような環境のもと、当連結会計年度の当社グループ業績は、円安による好影響はあったものの、生産販売数量が大幅に減少したことに加え、資材費などのコストアップとグリーンフィールド投資による減価償却費が増加した結果、売上高396,619百万円営業利益36,924百万円親会社株主に帰属する当期純利益19,877百万円を計上し、営業利益率は9.3%、ROEは3.4%となりました。

 

b.財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ99,596百万円増加し、1,172,683百万円となりました。現金及び預金が60,541百万円減少した一方で、有形固定資産が140,355百万円増加したこと、及び、原材料及び貯蔵品が12,172百万円増加したことが主な要因であります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ77,887百万円増加し、515,447百万円となりました。設備関係支払手形及び設備関係未払金が32,322百万円減少した一方で、長期借入金が121,903百万円増加したことが主な要因であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ21,709百万円増加し、657,236百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が10,072百万円増加したこと、及び為替換算調整勘定が9,822百万円増加したことが主な要因であります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ26,714百万円減少し、69,627百万円となりました。これは、棚卸資産の増減額△13,219百万円、及び法人税等の支払額が△19,891百万円であった一方で、税金等調整前当期純利益が31,642百万円、減価償却費が78,986百万円であったことが主な要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ支出が199百万円増加し、△247,876百万円となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が△247,248百万円であったことが主な要因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、112,294百万円となりました。これは、長期借入金の返済による支出が△36,567百万円であった一方で、長期借入れによる収入が152,940百万円であったことが主な要因であります。

 

 

b.資本の財源及び資金の流動性

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、継続的な収益向上に取り組んでおり、獲得した資金につきましては、設備投資資金に充てる一方で、財務体質の健全性にも留意しつつ、大規模な設備投資の資金需要に対しても、機動的かつ効果的に対応してまいります。

また、当社は、適正な株主還元を経営の重要課題として認識しており、柔軟かつ積極的な株主還元を実施してまいります。

 

(資金需要の主な内容)

当社グループの資金需要は、運転資金に加え、生産能力増強、製品の高精度化、研究開発を目的とした設備投資等があります。

 

(資金の流動性)

資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えております。

 

(資金調達)

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金及び外部資金を有効に活用しております。

また、安定的な外部資金調達能力の確保は重要な経営課題と認識しており、取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成において、資産・負債及び収益・費用の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点において入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮したうえで行なっておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 当社グループは、シリコンウェーハの主要原材料である多結晶シリコンを主要な多結晶シリコンメーカーから調達しておりますが、その一部において、多結晶シリコンメーカーが一定期間に一定の数量を供給し、当社グループが購入する旨の長期購入契約を締結しております。

 

(2) SUMCO TECHXIV株式会社は、FORMOSA SUMCO TECHNOLOGY CORPORATIONを合弁会社として運営する旨の契約を、1995年8月4日付で、FORMOSA PLASTICS CORPORATION及びASIA PACIFIC INVESTMENT CO.との間で締結しております。

 

6 【研究開発活動】

AI製品の急激な伸長と半導体デバイスの微細化の限界からくる3D化等により、シリコンウェーハも従来の延長線上ではない大きな変革を求められております。このような状況のもと、当社グループは顧客との新規製品の共同開発や、ニーズにあった付加価値の高いシリコンウェーハ製品を提供しております

また、AIを活用した生産性の向上、新製品の早期立ち上げにも注力してまいります。

当連結会計年度は、以下の活動方針のもと、『技術で世界一の会社』を目指して研究開発活動を進めてまいりました。

 

① 顧客との密接なコミュニケーションによる信頼関係の構築によるニーズの早期把握

② 次世代のデバイス用シリコンウェーハに向けた顧客からの共同開発のファーストコール獲得

③ 国内外大学やサプライヤーとの共同研究等、オープンイノベーションの積極的な推進による技術課題の探索、深耕

④ AIを活用した生産性改善及び研究開発力の高度化、新規製品の立ち上げスピードの向上

⑤ 評価技術の高度化及びそれを駆使した確度の高い製品開発

 

当連結会計年度の研究開発費総額は、8,532百万円であり、連結売上高の2.2%であります。

なお、当社グループの事業は「高純度シリコン」のみの単一セグメントであり、セグメント情報に関連付けては記載しておりません。