当社グループでは、これまでニッチトップ戦略のもと、国内市場において多くの製品分野でトップシェアを獲得し、確かな事業基盤を構築してまいりました。しかしながら、国内全体の人口減少に伴い、現在のビジネスの延長だけでは今後の成長が見込めないことから、北米を中心とする海外市場と、新しい分野であるTMS(運行管理システム)への積極的な投資を進めてまいりました。現在は上記の基本的な方向性を維持しつつ、2016年4月よりスタートした中期5カ年計画(CA2020(ChallengeAgain 2020)(2016年度~2020年度)の中で、以下の4つの重点課題を掲げております。
① MaaSの実現に向けた新しい価値の創造
グローバルに広まりつつある移動に関するMaaS(Mobility-as-a-Service)の領域で、当社グループが国内並びに諸外国において果たすべく、新しい時代のニーズに即した製品・サービスを社会に提供してまいります。
具体的には、当社グループで従来から取り組んでまいりました運行管理システム(TMS:Transit Management System)の概念をさらに深耕し、官主導で行われていくであろう運行情報システム等の統合の下、どのようにお役立ちできうるか、活動してまいります。
2018年度に上市を行った『LIVU (LECIP Intelligent Vehicle Unit)』を活用した様々な提案が既に可能な状況にあり、MaaSにおいてどのような役割を果たすことができ得るか、今後お客様に提案活動をしてまいります。
※当社の想定するMaaSの基本要素
Trip Planning(旅程計画)/ Reservation(予約)/ Ticketing(発券精算)
② 育成分野への経営資源のスムーズな移行
これまで当社グループは、輸送機器事業と産業機器事業の2つのセグメントを持ち、また両事業の中でも幅広い分野に製品・サービスの提供を行ってまいりました。従来の事業分野における貢献は継続発展しつつも、MaaSを踏まえた広い意味での移動体サービスの分野により多くのリソースを投入してまいります。従来当社グループで、この関連分野でICカードの処理技術等をベースとしたハードウェア製品中心の開発を行ってまいりました。今後は、ソフト・システム分野中心の事業展開へと一段シフトを強め、技術者に関してもその分野に強みを持った人材の育成並びに採用、さらに他社とのアライアンスも念頭に急激な変化を見せるこの分野の取組みを強化してまいります。
TMS(運行管理システム)、LIVU、バリデータ、システム構築等当社グループが蓄積しつつある技術を、ある意味社会問題とも認識されている、この分野に活かすことのできるより広い視点からの社会への提案力が必要になってくると考えます。また、輸送機器事業、産業機器事業の技術を融合し、お客様に価値ある提案をして参りたいと考えます。
③ 海外ビジネスの黒字化
当社グループでは、2010年以降、積極的な海外展開を進めており、各地域において以下の活動を展開しております。海外事業全体としては依然として投資フェーズにありますが、一部にはグループ全体の成長、若しくは収益力強化に貢献する事業も現れてきております。引き続き海外事業全体での事業強化をめざします。
米国においては、自動運賃収受システム、鉄道分野特に灯具に強みを持ちますが、日系車両メーカー様との繋がりをベースに車両用灯具の大型案件の受注に成功し、2019年度からの納入も予定しています。
欧州・スウェーデンにおいては、新型ICカード読み取り機(バリデータ)の開発が完了しグローバルに販売活動を開始しております。標準規格EMVCo L2に対する対応も進める予定です。
シンガポールにおいては、同国の全バス車両を網羅した運行管理システムが安定稼働中です。またシンガポール政府がEV化を含めたバス車両の更新を進めており、車両メーカ各社との連携を強化し、表示器関連事業の受注に繋げています。
タイにおいては、タイ並びにASEAN地区をターゲットエリアとして、バッテリー式フォークリフト用充電器の拡販を行っており、順調にシェアを伸ばしています。タイにおいても表示器関連事業の受注に向けても活動を行っております。
④ 業務プロセス改善による生産性の向上
営業、設計・開発、製造等の各部門において、業務系各種システムの刷新を順次進めてまいりました。新システムの導入に併せた業務プロセスの大幅な見直しも行っており、作業の効率化と生産性の向上を進めております。また、RPA(Robotic Process Automation)等による業務プロセス改善も進めており、従来の業務系システムの間にあり、自動化が進まなかった分野を中心に取組を行っております。制度導入の終わりましたテレワーク等のしくみも活用し、労働時間・職場環境に柔軟性を持たせるとともに、ITインフラ環境の整備に努め、本来の意味での働き方改革の進展に向け、より働きやすい、多くの人が活躍しやすい職場づくりに努めています。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスクを認識した上で、リスク発生の回避及びリスク発生時の軽減に最大限努めております。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 当社グループの事業内容に関するリスク
当社グループにおける輸送機器事業の中で、売上の最も大きな市場であるバス市場において、自家用乗用車の普及、少子化による通学利用客の減少等により、バスの乗客数が減少傾向にあります。さらに政府による公共事業への補助金の削減の動きと併せバス事業者の統廃合も加速されるなど、経営環境は一層厳しくなっております。こうした状況下、当社グループでは運賃精算の省力化、運行の効率化、合理化のための機器及びシステムの提案を積極的に行う一方、与信管理面でも販売先別の業容・資力に応じた与信設定を行うとともに、信用状態の継続的な把握に努め、不良債権の発生が極力少なくなるよう努めております。
なお、過去に民事再生法が適用されたバス事業者はありますが、公共性が高く全て受理され継続して営業活動を展開されています。しかしながら、需要減退による売上高の減少あるいは予想外の不良債権が発生する可能性も否めず、この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性はあります。
② 業績の季節変動リスク
当社グループの輸送機器事業の主要取引先業界である、国内のバス・鉄道業界においては毎年1~3月の第4四半期に設備機器の代替やダイヤ改正等の変更が集中する傾向にあります。そのため、第4四半期に納入を予定していた案件の納入が、様々な理由により翌期にずれ込んだ場合、当期の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 適時的確に市場ニーズを捉えた製品・技術を開発できないリスク
当社はニッチトップ戦略のもと、多くの製品分野でトップシェア製品を有しており、また市場トレンドの変化をいち早く掴み、新製品開発に繋げる体制を敷いておりますが、代替技術・商品の出現等の急激な環境変化により技術習得が追い付かない場合、最適な時期に、最適な製品を市場に供給できない可能性があります。この場合、当社の成長戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。
④ 原材料の市況及び調達変動
銅線及びはんだ(鉛)等、国際価格の変動に伴い購入価格が大きく変動する材料があります。これらの価格上昇時に、コストアップ分を製品価格に十分に転嫁できない場合、もしくは社内でのコストダウンでカバーできない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性はあります。
⑤ 製品の品質保証、クレームの発生
設計段階での品質保証を徹底することにより、クレームの発生については低減傾向にありますが、予期しない大規模なクレームが発生した場合、手直し・改修等の追加コストの発生や損害賠償等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性はあります。
⑥ 訴訟
当社グループの事業活動の過程で予見される主な訴訟リスクとして、知的財産及び製造物賠償に関するものがあります。当社グループでは法令遵守に努めるとともに、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、将来、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす訴訟問題が、海外も含めて生じる可能性はあります。
⑦ 固定資産の減損
当社グループでは、各事業への投資に対する回収が不可能になることを示す兆候を認識した場合には、将来キャッシュ・フローの算定等により減損の有無を判定しております。その結果、減損損失の計上が必要になることも考えられ、その場合は、グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性はあります。
⑧ 海外事業
当社グループは、海外ビジネスの黒字化を重点課題に揚げ、諸外国で事業を展開しております。そのため、関連する各国における法律や規制、債権回収リスク、為替レートの急激な変化、人材確保の困難性による人件費高騰等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性はあります。
(1)業績等の概要
① 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の回復や雇用・所得環境の改善等を背景に緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、海外経済においては、米国の通商政策を背景とする貿易摩擦の激化や地政学リスクの再燃が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境のなか、当社グループにおきましては、2016年度よりスタートいたしました中期5か年計画「CA2020」の重点課題である「MaaSの実現に向けた新しい価値の創造」「育成分野への経営資源のスムーズな移行」「海外ビジネスの黒字化」「業務プロセス改善による生産性の向上」の4つの課題に向けた取り組みに注力してまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、輸送機器事業、産業機器事業ともに好調に推移した結果、売上高は215億38百万円(前期比57億89百万円増、36.8%増)となり、過去最高売上高を更新いたしました。
損益面につきましても、売上の伸長などにより、営業利益は10億21百万円(前期比12億56百万円増、前期は2億35百万円の営業損失)、経常利益は10億30百万円(前期比12億78百万円増、前期は2億48百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億38百万円(前期比8億93百万円増、前期は4億54百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となり、大幅に改善いたしました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。
a.輸送機器事業
当事業の売上高は159億77百万円(前期比51億91百万円増、48.1%増)、営業利益は9億86百万円(前期比12億53百万円増、前期は2億67百万円の営業損失)となりました。
市場別の売上高は、バス市場が131億97百万円(前期比52億89百万円増、66.9%増)、鉄道市場が16億49百万円(前期比1億47百万円減、8.2%減)、自動車市場が11億30百万円(前期比50百万円増、4.7%増)となりました。
バス市場につきましては、首都圏バス用ICカードシステムの更新需要を背景に、運賃箱やICカードリーダライタ、AFC(Automated Fare Collection:自動運賃収受システム)関連のソフトウェアなどの売上が大きく拡大し、大幅な増収となりました。
鉄道市場につきましては、海外において、北米向け鉄道車両用灯具の納入が進んだものの、国内において、前年にあった鉄道用液晶表示器等の大口需要の反動により、減収となりました。
自動車市場につきましては、トラック用LED灯具の販売が堅調に推移し、増収となりました。
b.産業機器事業
当事業の売上高は55億17百万円(前期比5億97百万円増、12.1%増)、営業利益は75百万円(前期比同水準、0.3%増)となりました。
市場別の売上高は、電源ソリューション市場が21億16百万円(前期比1億33百万円減、5.9%減)、エコ照明・高電圧ソリューション市場が7億89百万円(前期比73百万円増、10.2%増)、EMS市場が26億11百万円(前期比6億57百万円増、33.6%増)となりました。
電源ソリューション市場につきましては、引き続き、バッテリー式フォークリフト用充電器の販売は好調に推移したものの、通信基地局向け無停電電源装置や自家発電機自動運転装置などの販売が減少し、減収となりました。
エコ照明・高電圧ソリューション市場につきましては、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の店舗看板の掛け替えが進むなか、LED電源の販売が好調に推移し、増収となりました。
EMS市場につきましては、自動車の電子化が加速するなか、連結子会社レシップ電子株式会社で、自動車向けプリント基板実装の受託が大きく拡大し、増収となりました。
c.その他
当事業の売上高は43百万円、営業利益は5百万円となりました。事業の内容は、主としてレシップホールディングス株式会社による不動産賃貸業であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ6億85百万円増加の21億69百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1億25百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益(10億27百万円)減価償却費(5億34百万円)、仕入債務の増加(7億98百万円)、未払金の増加(4億47百万円)があった一方、売上債権の増加(23億94百万円)があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4億52百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得(2億80百万円)、無形固定資産の取得(1億56百万円)があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、10億5百万円となりました。
これは主に、短期借入金の純増額(12億36百万円)等によるものです。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
輸送機器事業 |
10,059,134 |
153.1 |
|
産業機器事業 |
5,035,378 |
120.8 |
|
合計 |
15,094,511 |
140.5 |
(注)1 金額は、製造原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
輸送機器事業 |
20,902,010 |
183.4 |
7,019,946 |
335.0 |
|
産業機器事業 |
5,785,786 |
116.6 |
704,032 |
116.6 |
|
合計 |
26,687,796 |
163.2 |
7,723,978 |
286.2 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
輸送機器事業 |
15,977,328 |
148.1 |
|
内 バス市場向け |
13,197,641 |
166.9 |
|
内 鉄道市場向け |
1,649,400 |
91.8 |
|
内 自動車市場向け |
1,130,287 |
104.7 |
|
産業機器事業 |
5,517,202 |
112.1 |
|
その他 |
43,870 |
100.3 |
|
合計 |
21,538,402 |
136.8 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上 の相手先がないため、記載を省略しております。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
第67期連結会計年度(自2018年4月1日 至2019年3月31日)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は164億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ39億80百万円増加いたしました。主な要因は、受取手形及び売掛金が23億95百万円、現金及び預金が6億85百万円、商品及び製品が3億65百万円、リース資産(純額)が2億35百万円、仕掛品が1億91百万円増加したこと等によるものです。
負債は130億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ35億38百万円増加いたしました。主な要因は、短期借入金が12億36百万円、未払金が4億48百万円、支払手形及び買掛金が5億00百万円、未払法人税等が3億83百万円、電子記録債務が2億85百万円、受注損失引当金が2億24百万円、リース債務(流動及び固定負債)が2億56百万円、賞与引当金が1億61百万円増加したこと等によるものです。
純資産は34億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億41百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金が3億45百万円増加したこと等によるものです。
② 経営成績の状況
当連結会計年度の経営成績の状況については、第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「業績等の概要」① 業績に記載したとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備資金を自己資金並びに金融機関からの借入により充当しております。金融機関からの借入につきましては取引先金融機関と当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。また、国内連結会社につきましては、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、国内連結子会社の余剰資金を連結親会社に集中させることにより、当社グループの資金効率化を図ると共に、国内連結子会社の資金業務を連結親会社に集中させることにより業務効率化を図っております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「業績等の概要」② キャッシュ・フローの状況に記載したとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
経営上の重要な契約について
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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レシップ㈱ |
ソニー㈱ |
ICカード システム |
ソニー㈱の開発した“FeliCa”技術に準拠したICカードシステムを用いた交通系精算システムを開発するため、ICカードシステムのセキュリティー機能と構造を解説した文書の非独占的使用権の無償許諾を受けるものであります。 |
2001年10月4日より1年間(自動更新条項により契約継続中) |
※FeliCaはソニー株式会社の登録商標です。
当連結会計年度の研究開発活動は、TMS(Transit Management System:運行管理システム)などの開発費が引き続き高い水準で推移いたしました。当連結会計年度の研究開発費は
セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(1) 輸送機器事業
輸送機器関連では、IC中継器、LIVU、次世代運賃収受機器等の開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は
(2) 産業機器事業
産業機器関連では、遠隔監視システムやインバータ充電器の開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は