当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
〔経営の基本方針〕
当社グループでは経営理念の下、2021年4月より、2030年に当社グループのありたい姿として、長期ビジョン「VISION2030」を策定しました。

〔経営環境〕
当社グループでは、これまでニッチトップ戦略のもと、国内市場においてバス・鉄道用のワンマン機器や、車載用照明灯具、フォークリフト用充電器など多くの製品分野でトップシェアを獲得し、確かな事業基盤を構築してまいりました。一方、当社グループをとりまく経営環境は、少子高齢化や労働力不足問題に加え、コロナ禍以降の価値観や生活様式の変化など、目まぐるしく変化しています。
また、当社グループの主要事業である輸送機器事業、産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業)につきましても、MaaS、キャッシュレス、自動運転、脱炭素社会等の実現に向け、日々新しい技術やサービスが生まれ、進化しています。
〔経営戦略〕
こうした変化の激しい社会に対し、これからも社会から求められる企業であり続けるために、長期ビジョン実現に向けた成長の柱として、以下の3つを戦略として掲げています。
事業構造を「モノ+コト」即ち、ハードウェア中心の事業構造から、ハードを軸にソフトウェアやサービスを組み合わせたより付加価値の高い事業への変革を進めます。
産業機器事業をエネルギーマネジメントシステム事業と再定義して、これまで培ってきた電力変換や情報処理に係る技術を活用し、新たな成長ドライバーとして育成することで、今後、更なる市場拡大が期待される再生可能エネルギーやスマートシティなどのビジネス領域での開拓を進めます。
国内市場だけでなく、経済成長が続くグローバル市場でのビジネス拡大が不可欠であると考えています。人口増加に伴うインフラ整備を目的とし、公共交通に関する投資拡大が見込める北米・ASEAN市場を中心とする海外市場への積極的な投資を進めます。
これらの戦略と、これまで当社が培ってきた強みである、バス用電装機器のトータルサプライヤーとしての総合力、インバータ技術をベースとした電力変換技術、ニッチトップシェア戦略により獲得した多くのトップシェア製品を持つという営業基盤を掛け合わせることで、長期ビジョンの実現を目指します。
〔中期経営計画 RT2026(Reach our Target 2026)〕
中期経営計画は、長期ビジョン「VISION2030」の実現に向けたアクションプランとして、2021年度から2030年度までの10年間を、3つのフェーズに分けて取り組みを行います。2024年4月からスタートした3か年の中期経営計画「RT2026(Reach our Target 2026)」は、2030年度において、確実に「モノ+コトへの事業構造の変革」を成し遂げるため、育成分野の成長と既存事業の収益性向上により、事業構造の変革を進める期間として位置づけています。
戦略は大きく二つ、事業構造の変革に向けた基本戦略と、それを支える全社戦略です。これらの戦略に基づき、持続的に成長できる事業構造への変革を目指します。

具体的には、海外事業の確立においては、人口減少により縮小が予想される国内市場に対し、今後も成長が期待できる海外、とりわけ人口増加により公共交通需要が高まる米国市場を中心にて、海外事業の確立を目指します。米国では、前中計期間中に、大型案件の受注を獲得することができ、2026年3月期の売上計上を予定しています。その次となる案件の獲得継続と、米国向け製品ラインナップの拡充による売上増加により、海外売上比率の向上を目指します。
新規領域の拡大においては、これまでの事業での製品や販路を活かし、周辺市場への参入や新サービスの投入を推進します。例えば、バス・鉄道事業者様と関係の深い観光市場での新たなサービスの展開や、バス市場での車両データを活用したソリューション提案など、事業領域の拡大に取り組みます。
収益性・効率性の追求では、主に既存事業にて、製品のラインナップ拡充・価値向上・コストダウンを進め、お客様に満足していただいた結果としてのシェア拡大ができるよう、各市場における顧客ニーズに誠実に向き合い、売上の積み上げに取り組んでまいります。
これからも持続的な成長を続け企業価値を向上させるために、育成分野(海外事業・新規領域)の成長と既存事業での売上・利益の追求に取り組むという基本戦略に基づき、積極的なチャレンジや事業ポートフォリオの変革を進めます。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
〔サステナビリティ全般に関する考え方〕
当社グループは、経営理念のもと、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組むため、マテリアリティを特定し、事業戦略とサステナビリティ課題・目標を一体化しました。これらのマテリアリティのもと、長期ビジョン、中期経営計画に基づいた事業展開を行うことで、当社の強みを活かした新たな価値創造による社会課題の解決を目指します。
・サステナビリティ推進体制
当社グループは、2022年4月に、執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しました。本委員会は必要に応じて開催し、グループ全体のサステナビリティ推進体制を議論・決定するために、グループ全社より部門長およびメンバーが参加しています。また、環境負荷物質に対する具体的な削減活動を議論・決定するために、品質環境委員会においても検討を行っています。重要な案件については、サステナビリティ委員会および品質環境委員会より、経営会議および取締役会に上申し、経営方針の策定・経営判断に取り入れています。

・サステナビリティ課題・目標(マテリアリティ)
当社は、取り組むべきマテリアリティについて分析・特定を行い目標設定を行いました。特定したマテリアリティについては、今後も適宜見直しを行っていきます。
サステナビリティに関するリスクと機会を識別・評価し、管理するプロセスとしては、サステナビリティに関する事項を所管する担当部門が、社内関係部門やグループ会社と連携して状況の把握を行い、サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体に報告・提言します。サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体において、報告・提言された気候変動の影響と対応について審議を行い、識別されたリスクと機会について評価します。その後、少なくとも年1回以上、また、必要に応じて、経営会議を通じて取締役会に報告されます。取締役会は、当該報告を受けて、課題への取組みや設定した目標を監督します。また、サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体は、必要に応じてコーポレートガバナンス委員会へ報告・提言を行うことで、サステナビリティに関する影響を全社リスクに統合する役割を担っています。コーポレートガバナンス委員会は必要に応じて開催され、リスク管理を所管する各部門や会議体からの報告・提言を評価し、全社リスクの把握と適切な対応を審議し、経営会議を通じて取締役会に報告していますが、サステナビリティに関する報告・提言があった場合も同様に、全社的な統合的リスク管理への反映の観点から適切な対応を決定します。取締役会は、サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体・コーポレートガバナンス委員会からサステナビリティに関するリスク管理の状況と対応を含む統合的リスク管理の状況と対応について報告を受け、監督を行います。
気候変動・人的資本に関する対応は、サステナビリティに関する課題の中でも、特に重要な経営課題であると認識しており、それぞれ指標と目標を設定し、取組みを行っています。
・TCFD提言に沿った情報開示
当社グループは2021年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、 TCFD)」の提言に賛同することを表明しました。当社グループでは、2021年4月に策定した長期ビジョン「VISION2030」に基づき、当社がこれまで培ってきたモノをつくる技術を活用し、モノとソフトウェアやサービスを組み合わせた「モノ+コト」の新たな価値を提供することで、持続的で快適な日常を実現することを目指しています。その中でも、これからも社会から求められる企業であり続けるために、社会が直面する課題である気候変動リスクと向き合うことは、当社の経営にとっても重要な課題であると認識しています。以下の通り、TCFD の提言する開示フレームワークに基づき、気候変動に関する情報を開示しました。引き続き、気候変動に関する情報開示を充実させ、より具体的な気候変動に関する取組みを検討し、中長期的な事業計画に織り込むことによって、持続可能な社会への貢献と企業価値のさらなる向上を目指します。
当社グループでは、気候関連問題に関する取締役会による監督体制として、所管する社内重要会議体で審議した気候関連の課題と対応について、少なくとも年1回以上、また、必要に応じて、経営会議を通じて報告を受け、取締役会において審議の上、決議します。社内重要会議体として、当社グループでは、取締役を委員長としたサステナビリティ委員会を設けています。同委員会は、気候変動等による事業リスク・機会の共有や対策の検討、企業情報開示についての方針の検討・決定を行い、進捗管理を行っています。また、品質担当の執行役員を委員長とした品質・環境委員会を設けており、同委員会では、品質や環境の維持管理とグループに関わる品質・環境問題の解決の推進を行っております。当社グループでは、気候関連問題に関する経営者の役割として、業務執行機関としての経営会議及び代表取締役社長を委員長としたコーポレートガバナンス委員会において、気候関連問題を含むグループ全体のリスク分析と対応を行っています。同委員会は、リスクマネジメントに関わる最高決定機関であり、抽出・分析・評価された重要リスクについて、取締役会に報告しています。また、当社グループは、ISO14001に基づく環境マネジメントシステム(EMS)を構築しており、EMSによる活動結果は、取締役会に報告されます。
近年の気象災害の激甚化は地球温暖化が一因とされており、脱炭素の機運が高まる中、気候変動は企業経営にとっても対処すべき課題であると認識しています。一方、気候変動はリスクであるとともに、当社の事業活動によって解決に貢献できる機会でもあると捉えています。気候変動が及ぼす機会とリスクについて、分析対象は、当社の国内における主要事業である輸送機器事業および産業機器(エネルギーマネジメントシステム)事業を対象と考え、また分析対象を2030 年と設定し、当社の事業活動に対して気候変動が及ぼす影響評価を行いました。また、これらの評価では、事業活動に与える影響を分類しました。2℃シナリオでは、気候変動による気温上昇に対して、次の機会とリスクがあることがわかりました。輸送機器事業においては、マイカー保有の規制強化により自動車生産台数は減少する一方、公共交通の利用が推奨され公共交通の利便性が求められること、産業機器(エネルギーマネジメントシステム)事業においては、電動化ニーズの高まりにより、製品の省電力化および電力変換の高効率に対する需要がより一層拡大することを機会と捉えました。また、事業全体のリスクとして、原料・資源の価格高騰、災害の激甚化による工場の稼働停止等へ対応を行う必要があることも併せて検討課題として挙がりました。これらの機会・リスクに対して、当社の培ってきた知識と技術および今後必要と想定される技術を融合し対応を進めてまいります。

気候変動のリスクと機会を識別・評価し、管理するプロセスとしては、気候変動に関する事項を所管する担当部門が、社内関係部門やグループ会社と連携して状況の把握を行い、サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体に報告・提言します。サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体において、報告・提言された気候変動の影響と対応について審議を行い、識別されたリスクと機会について評価します。その後、少なくとも年1回以上、また、必要に応じて、経営会議を通じて取締役会に報告されます。取締役会は、当該報告を受けて、課題への取組みや設定した目標を監督します。また、サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体は、必要に応じてコーポレートガバナンス委員会へ報告・提言を行うことで、気候変動の影響を全社リスクに統合する役割を担っています。コーポレートガバナンス委員会は必要に応じて開催され、リスク管理を所管する各部門や会議体からの報告・提言を評価し、全社リスクの把握と適切な対応を審議し、経営会議を通じて取締役会に報告していますが、気候変動の影響に関する報告・提言があった場合も同様に、全社的な統合的リスク管理への反映の観点から適切な対応を決定します。取締役会は、サステナビリティ委員会その他の社内重要会議体・コーポレートガバナンス委員会から気候変動に関するリスク管理の状況と対応を含む統合的リスク管理の状況と対応について報告を受け、監督を行います。
当社グループは、2050年度までにカーボンニュートラルを実現することを目指し、2030年までの第1次活動計画を策定し、CO2削減活動を推進しています。
これらの長期目標達成のため環境マネジメントプログラムを策定し、具体的な2030年までの目標として、2021年度比①燃焼燃料の50%削減、②事業活動による使用電力の20%削減、③全使用電力の30%を再生可能エネルギーへの転換、を掲げ、各年度の具体的な活動に落とし込んでいます。また、Scope3においては、中期経営計画RT2026における各事業分野の戦略に脱炭素社会の実現への対応を織り込む検討を進めてまいります。
当社グループでは、人材は企業の競争力を維持し、持続的な成長を支えるための重要な資本と考えています。変わりゆく社会環境の中で、いつの時代においても経営理念に掲げる「快適な日常」を実現するために、人に対する投資を経営の最優先課題として取り込んでおります。
また人材戦略に関しては、採用・育成、人材開発、エンゲージメントの向上、働きやすい職場づくりを軸にし、それぞれの活動において事業戦略との連動と当社の強み・独自性を生かすことを常に意識しております。
ビジネスユニットを軸とした事業戦略を進める上で、必要な人材の質と量を供給し続ける人事施策を今度も展開していきます。
1)採用戦略
ビジネスユニットが必要とする人材の質と量を確保するため、採用チャネルの多様化を進めています。
新卒採用については、大学との連携や早期インターンシップの実施等により、早い段階から学生への認知度向上を図ることと併せ、選考段階において入社後のキャリアイメージをできる限り伝えることで、入社意欲の向上と入社後の早期離職の防止に繋げております。また、当社の特徴として、入社後に6ヵ月間の新入社員研修を組んでおり、この間に様々な外部機関と連携して新社会人としての教育から専門教育まで幅広く実施しております。この手厚い新入社員研修を新卒採用にも活用することで、毎年、優秀な学生の確保に繋げております。
また中途採用については、紹介エージェントを始めとした様々な協力会社との連携に加え、社員紹介やアルムナイなど、幅広いチャネルを確保することにより、優秀な人材の確保に努めております。とりわけ、今後の海外事業の拡大を見据え、海外ビジネス経験の豊富なキャリア採用に積極的に取り組んでおります。
2)人材開発
ビジネスユニットの戦略実行に必要なスキルの底上げと、価値創出を担う提案型人材の育成に重点を置いた取り組みを推進しています。
まずスキル開発については、既存ビジネスで求められるスキルを体系的に抽出し、スキルマップとして可視化・管理することで、社員一人ひとりの習熟度や課題を明確化し、計画的な能力開発を実現しています。加えて、近年注力しているモバイルチケッティングやデジタルサイネージといった新規事業においては、高度なITアーキテクチャスキルが求められることから、社内でのリスキリング施策を強化し、あわせて対象スキルの習得度を評価する社内資格制度を導入することで、人材の育成と定着を両面から支えています。
また、提案型組織への変革を目指し、2024年には人事制度を全面的に刷新しました。新制度では、社員に求められる共通の「提案・企画型行動」を期待行動として明文化し、これを目標設定および評価制度に組み込むことで、社員の自律的な挑戦を促す仕組みを構築しています。これにより、組織全体として能動的に提案を行うカルチャーの醸成と、個人の成長の両立を図っています。
3)エンゲージメント向上
従業員のエンゲージメント向上を持続的成長に資する重要な経営施策と位置づけ、継続的かつ多面的な取り組みを推進しています。
全社員を対象として毎年エンゲージメントスコアを集計し、その結果をもとに部署・職種ごとの傾向分析を行うことで、組織の課題を早期に把握し、全社的な改善に役立てております。特に営業職および設計職については、エンゲージメントスコアとパルスサーベイを組み合わせた月次のアンケートを実施しており、得られたデータは現場のマネージャーと速やかに共有され、マネジメント手法の見直しや現場の課題改善に積極的に活用しています。
スコア改善に向けた全社的な取り組みとして、当社の理念や経営戦略への理解と共感を深める施策として、2024年に刷新した新たな価値観「1value 4stance」の社内浸透に注力しており、部門横断的なワークショップの開催や、社員の実践を称えるvalue award(バリュー表彰)を実施することで、全社員が主体的に価値観を体現する風土づくりを進めています。また、仕事へのやりがいや心理的安全性の向上を目指し、四半期ごとの1on1ミーティングを仕組みとして取り入れています。上司との定期的な対話の機会を通じて、信頼関係の構築と職場環境の継続的改善に取り組んでおります。
4)人材戦略を実現するための基盤整備
人材の採用・定着そして成長を実現するための働きやすい職場づくりに向けて、当社においては「仕事と育児・介護の両立」に向けた各種施策に注力しております。
岐阜事業場においては、2009年より社内託児所を開設し、女性社員が出産後も仕事に復帰しやすい環境を整えております。また時短勤務の期間を順次拡充するとともに、男性社員においても出産後の育児に参加することで、育児に対する理解を深めるための施策を展開しております。
その他、テレワークやフレックス制度、リフレッシュ休暇を導入するなど、働き方の柔軟性や仕事と休暇のメリハリを持たせて長く働き続けられる環境づくりを進めております。
※1on1ミーティングの平均満足度は、四半期ごとに全社で実施している1on1ミーティングに対するメンバー側の満足度(100点満点)の平均値を表しております。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスクを認識した上で、リスク発生の回避及びリスク発生時の軽減に最大限努めております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(顕在化する可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループで最も売上が大きい輸送機器事業においては、公共交通事業者様(バス事業者様、鉄道事業者様)を主要販売先としております。そのため、事業者様の設備投資計画や国・地方公共団体からの補助金など公共事業投資の動向に影響を受ける可能性があります。
そのため、大規模自然災害や感染症等が発生して公共交通機関の輸送人員の減少が続いた場合、事業者様の設備投資の抑制や先送りにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、現在の主力製品であるAFC(自動運賃収受機器)の導入及び更新案件の物件規模の大小や、新紙幣・新硬貨の発行に伴う機器の改修、消費税率改定に伴う運賃データの書き換えなどの特需の有無により、当社グループの業績が大きく変動する可能性があります。
(顕在化する可能性:高、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:大)
当社グループの輸送機器事業の主要販売先である、国内のバス・鉄道業界においては毎年1~3月の第4四半期に設備機器の代替やダイヤ改正等の変更が集中する傾向にございます。
そのため、第4四半期に納入を予定していた案件の納入が、様々な理由により翌期にずれ込んだ場合、業績が変動する可能性があります。
(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:中)
当社グループでは、既存事業において多くのトップシェア製品を有しており、安定した販売基盤を確保しておりますが、近年、MaaSやキャッシュレス、自動運転、5Gなど、当社グループが関連する業界においても、新たな技術やサービスが次々と生まれるなか、事業環境の変化を認識しております。
このような環境の変化は、長期的に当社グループの事業にも大きな影響を及ぼす可能性がある為、常に、市場ニーズの変化や技術革新の変化をいち早く掴み、新製品の開発や新サービスの導入に努めております。
しかしながら、新製品や新サービスの開発に時間を要し、市場導入の時期が遅れた場合、また、市場ニーズに即した開発ができなかった場合は、当社グループの業績及び事業の成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループにおいては、部材の調達を複数のサプライヤーから行うなど、安定調達を図っておりますが、サプライヤーの被災や事故、品質問題などの発生、市場の需給状況等による供給不足の発生など、適時に部材の確保ができない場合や部材価格が高騰した場合には、当社グループの生産活動の遅延、製品原価率の上昇等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが製造・販売を行っている製品は、バス・鉄道用運賃収受システム、表示器、照明灯具などの公共交通インフラをサポートする製品や、バッテリー式フォークリフト用充電器、無停電電源装置、屋外看板照明用LED電源などの電力変換技術をベースとした各種産業用電源機器を扱っており、高い信頼性と安全性が求められております。
そのため、製品の品質管理体制を整備し、品質の確保と不具合発生の防止に万全を期しておりますが、万一、大規模な製品の不具合が発生した場合は、多額の改修費用や賠償費用の発生、更には信用の失墜等により、当社グループの業績及び事業に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化する可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、国内外において事業活動を行ううえで、各国の関連する法律や規制の適用を受けており、法令遵守に努めております。
国内外の事業活動の過程で予見される主な訴訟リスクとして、知的財産及び製造物責任などの問題で訴訟を提起される可能性があります。
知的財産に関しては、新製品の開発や生産、販売活動を行う際に、第三者の知的財産権の調査を徹底し、権利侵害を行わないように努めております。しかしながら、当社グループが第三者から知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受けた場合、当社グループの業績及び事業に影響を及ぼす可能性があります。
また、製造物責任に関しては、製造物賠償責任保険を付保しておりますが、保険でカバーしきれない賠償責任を負うこととなった場合や、多額の対策費用が必要となった場合は、当社グループの業績及び事業に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、米国、シンガポール、タイ、スウェーデンに現地法人を設け、主に、北米、東南アジア、欧州等で事業を展開しております。また、新中期経営計画「Reach our Target 2026」にて「海外事業の確立」を基本戦略として掲げ、海外売上高の拡大に努めておりますが、海外における事業展開には、各国の予期しない法律や規制の改正、テロ・戦争・感染症等の発生による社会的混乱、為替レートの急激な変化等のリスクがあり、これらの事象が顕在化した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは、各事業への投資に対する回収が不可能になることを示す兆候を認識した場合には、将来キャッシュ・フローの算定等により減損の有無を判定しております。その結果、減損損失の計上が必要になることも考えられ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化する可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、繰延税金資産について、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もったうえで回収可能性を判断し、計上しております。しかしながら、事業環境の変化等による将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産の取崩しが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化する可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、地震・台風・洪水等の自然災害等が発生した場合に備えて、リスクを評価し、事業継続計画を策定しております。しかしながら、事業継続計画の想定を超えた大規模な災害等により、事業活動の中断、生産設備の被害、交通遮断による製品輸送停止など、不測の事態が発生するリスクが考えられます。また、当社グループの部材調達先・外注先において災害が発生した場合も、生産活動の遅延等のリスクがあります。
これらの予期せぬ事態の影響により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化する可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループにおいては、感染症の発生や蔓延により、バス・鉄道事業者様の乗客が大幅に減少し業界全体の設備投資の先送りが生じた場合、輸送機器事業のバス市場向け製品や鉄道市場向け製品の売上が減少する可能性があります。同様に、自動車・トラックメーカー様、フォークリフトメーカー様等の一時的な操業停止や生産調整が生じた場合、輸送機器事業のトラック用照明灯具、産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業)のバッテリー式フォークリフト用充電器、自動車向けプリント基板実装等の売上が減少する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化する可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが保有する企業情報や個人情報については、個人情報取扱規定の整備や情報システムのセキュリティ強化等を実施して情報管理の徹底に努めておりますが、万一これらの情報が流出して問題が発生した場合は、社会的信頼の低下等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、当社グループの事業活動において情報システムや情報通信ネットワークの役割は重要である為、コンピュータウイルスや不正アクセスなどのサイバー攻撃、ソフトウェア等の障害、災害等による情報システムや情報通信ネットワークの機能不全が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、賃金の上昇や企業の設備投資意欲の高まり、訪日外国人観光客数の増加によるインバウンド需要の拡大を背景に、緩やかな回復基調を維持しました。一方で、物価上昇圧力や地政学的リスク、米国の通商政策など外部環境の不確実性が依然として残り、先行きには慎重な見通しが求められる状況となっております。
当社グループを取り巻く経営環境においては、主要取引先であるバス・鉄道業界における輸送量の回復に伴い、設備投資意欲が引き続き高まっています。また、企業のデジタル化や生産性向上への投資意欲も依然として強く、これらが当社グループの事業機会拡大につながっています。一方で、原材料価格の高騰や人手不足に起因する人件費の増加など、コスト面での課題も顕在化しています。
このような状況下、当社グループでは材料調達の最適化やコスト削減施策の実施、適正な価格交渉の推進などを通じて、収益性の維持・向上に向けた取り組みを積極的に進めております。
このような経営環境のなか、当社グループにおきましては、2021年4月よりスタートいたしました長期ビジョン「VISION2030」と、長期ビジョンの実現に向けたアクションプランとして、2021年度から2030年度までの10年間を3つのフェーズに分けた中期経営計画を策定し、取り組みを行っています。2024年4月からは、中期経営計画「RT2026(Reach our Target 2026)」について、取り組みを進めております。
中期経営計画「RT2026」の戦略は大きく2つ、事業構造の変革に向けた基本戦略と、それを支える全社戦略です。これらの戦略に基づき、持続的に成長できる事業構造への変革を目指します。基本戦略は、①「海外事業の確立」、②「新規領域の拡大」、③「収益性・効率性の追求」、全社戦略は、④「経営効率の向上」、⑤「新たな企業文化の醸成」とし、5つの課題に向けた取り組みに注力しております。
当連結会計年度の連結業績は、次のとおりとなりました。
〇売上高は、前期比32億47百万円(14.3%)増の259億31百万円となりました。
これは主に、輸送機器事業のバス市場において事業者の設備投資意欲の回復、新紙幣関連売上増加に伴い大幅に増収となったことによるものです。
〇売上総利益は、前期比7億67百万円(9.8%)増の86億31百万円となりました。
これは主に、増収によるものであります。
〇営業損益は、前期比3億67百万円(11.6%)増の35億31百万円となりました。
なお、販売費及び一般管理費につきましては、人件費、事務用経費の増加により、前期比3億99百万円増の50億99百万円となりました。
〇経常損益は、前期比74百万円(▲2.1%)減の34億83百万円となりました。
なお、営業外収益につきましては、主に為替差益の減少等により前期比2億79百万円(64.8%)減の1億52百万円となりました。また、営業外費用につきましては、損害賠償金、為替差損の計上により、前期比1億62百万円(428.3%)増の、2億円となりました。
〇親会社株主に帰属する当期純損益は、前期比1億61百万円(▲6.7%)減の22億55百万円となりました。
なお、特別損失につきましては、子会社清算損失引当金の計上等により、前期比67百万円(416.8%)増の83百万円となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。
なお、前連結会計年度においてエコ照明・高電圧ソリューション市場に含めていた収益は、前連結会計年度に行った高電圧変圧器事業の譲渡に伴い、産業機器事業における重要性が小さくなったため、当連結会計年度においては、経営管理上の区分を変更し、電源ソリューション市場に含めて表示しており、この表示方法の変更を反映した組替え後の数値で増減分析を行っております。
[輸送機器事業]
当事業の売上高は216億89百万円(前期比35億93百万円増、19.9%増)、営業利益は34億18百万円(前期比6億33百万円増、22.7%増)となりました。
市場別の売上高は、バス市場が163億95百万円(前期比25億25百万円増、18.2%増)、鉄道市場が42億59百万円(前期比11億46百万円増、36.8%増)、自動車市場が10億34百万円(前期比78百万円減、7.1%減)となりました。
バス市場は、事業者様の設備投資意欲の高まりを背景にカラーLED式行先表示器、車載情報表示システム(OBC-VISION)や路線バス運行支援ユニット(LIVU)などの売上が増加しました。これに加え、新紙幣発行に伴う運賃箱の入替、改造・ソフト改修なども前期に引き続き増加しました。
鉄道市場は、ニューヨーク市地下鉄車両用灯具の納入が順調に進んだことに伴い、増収となりました。
自動車市場は、主要顧客における製品のモデルチェンジに伴い、当社製品の採用が減少したことにより、減収となりました。
損益面につきましては、増収により、増益となりました。
[産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業)]
当事業の売上高は42億4百万円(前期比3億46百万円減、7.6%減)、営業利益は1億52百万円(前期比2億83百万円減、64.9%減)となりました。
市場別の売上高は、電源ソリューション市場が31億78百万円(前期比3億76百万円減、10.6%減)、EMS市場が10億26百万円(前期比29百万円増、3.0%増)となりました。
電源ソリューション市場につきましては、物流市場の活況や電動化の気運によるフォークリフトの安定的な需要により、バッテリー式フォークリフト用充電器の販売が堅調に推移した一方、2024年3月に事業譲渡が完了した高電圧変圧器事業に関する売上(燃焼器具用変圧器等)が減少し、減収となりました。
EMS市場につきましては、自動車向け基板実装売上が増加し、増収となりました。
損益面につきましては、減収により減益となりました。
[その他]
当事業の売上高は37百万円、営業利益は6百万円となりました。事業の内容は、主としてレシップホールディングス株式会社による不動産賃貸業であります。
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は204億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億54百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が8億90百万円、受取手形が4億30百万円減少した一方、商品及び製品が8億71百万円、建物及び構築物(純額)が7億91百万円増加したこと等によるものです。
負債は103億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億64百万円減少いたしました。主な要因は、前受金が14億96百万円増加した一方、未払法人税等が14億85百万円、短期借入金が11億円、支払手形及び買掛金が6億93百万円、電子記録債務が4億39百万円減少したこと等によるものです。
純資産は101億円となり、前連結会計年度末に比べ32億18百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金が21億37百万円、資本金が5億27百万円、資本剰余金が5億20百万円増加したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の34.5%から49.5%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ8億90百万円減少し、20億73百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期は23億36百万円の収入に対し、11億83百万円の収入となりました。
これは主に、案件の売上計上に伴い売上債権の回収が進んだことや棚卸資産の増加幅が減少したこと、海外のAFC案件に関連する前受金が増加したこと、仕入債務の支払が減少した一方、法人税等の支払いが増加したこと等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期は1億5百万円の支出に対し、15億56百万円の支出となりました。
これは主に、子会社のレシップ電子株式会社の新工場建設に伴い、有形固定資産の取得による支出が増加したことや、前年にあった事業譲渡による収入がなくなったこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期は24億80百万円の支出に対し、5億43百万円の支出となりました。これは主に、株式の発行による収入があったこと、短期借入金の返済額が減少したことによるものであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(注5)2021年3月期及び2023年3月期については、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオの表示はしておりません。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、製造原価によっております。
2 当連結会計年度において、輸送機器事業セグメントの生産実績に著しい変動がありました。主な要因は
国内において新紙幣関連需要に関連した案件の進捗が進んだことによるものです。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 当連結会計年度において、輸送機器事業セグメントの受注実績に著しい変動がありました。主な要因は
新紙幣関連需要が一巡したことによります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1) 経営成績の状況」に記載しております。
当社グループにおきましては、原材料の仕入や製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用に係る運転資金のほか、製品の競争力強化と事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資等に主たる資金需要が生じます。当社グループは、これらの資金需要に対して営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金並びに金融機関からの借入により充当しております。なお、営業活動によって得られた資金は、上記のとおり、運転資金及び設備等に充当するほか、継続的かつ安定的な株主還元に努めてまいりたいと考えております。
金融機関からの借入につきましては取引先金融機関と当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。また、国内連結会社につきましては、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、国内連結子会社の余剰資金を連結親会社に集中させることにより、当社グループの資金効率化を図ると共に、国内連結子会社の資金業務を連結親会社に集中させることにより業務効率化を図っております。
経営上の重要な契約について
※ FeliCaはソニー株式会社の登録商標です。
当連結会計年度の研究開発活動は、キャッシュレス対応等の開発費が引き続き高い水準で推移いたしました。当連結会計年度の研究開発費は
セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
輸送機器関連では、キャッシュレス対応、観光DX対応、コンテンツマネージメントプラットフォーム等の開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は
産業機器関連では、バッテリデータロガー、マルチバッテリ充電器等の開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は