第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における世界経済におきましては、米国経済は好調な雇用情勢を背景に景気回復基調が続いており、また欧州経済についても、雇用情勢の改善を受け個人消費が持ち直してきていることに加え、企業の設備投資も改善傾向が見られており、緩やかな回復基調にありました。

 新興国経済につきましても、中国では構造調整の進展による景気減速懸念はあるものの、先進国経済の好調を受け輸出が拡大しており、新興国経済全体としては回復基調が見られました。

 わが国経済におきましては、米国経済を中心とした世界経済の改善を受け輸出が増加しており、個人消費や設備投資にも持ち直しの兆しが見られる等、緩やかながら回復基調にありましたが、深刻化する人手不足により今後経済活動が停滞する懸念が生じております。

 当社グループが属する電子工業界におきましては、自動車部品の電子化や工場のIoT化の進展に伴い、車載・産業機器向け市場での部品需要が拡大しており、またスマートフォン・タブレット端末等のIT機器市場についても、生産調整の解消に伴い部品需要が回復したことから、総じて好調な事業環境にありました。

 このような状況のもとで当社グループは、スマートフォン向け製品や車載向け製品等の主力製品を中心に積極的な受注活動を行い、前期から取り組んできた歩留り改善、生産性向上、経費削減等の収益改善施策を継続することで、収益基盤の確立を図ってまいりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は7,317百万円(前年同期比14.2%増)となりました。また、営業利益は8百万円(前年同期は営業損失394百万円)、経常利益は23百万円(前年同期は経常損失476百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は68百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失555百万円)となりました。

 

 なお、セグメント毎の業績は次のとおりであります。

 

① 日本

 当連結会計年度は、旺盛な部品需要に対応すべく、スマートフォン向け製品や車載向け製品等の主力製品を中心に積極的な受注活動を行い、前期から取り組んできた生産性向上、経費削減等の収益改善施策を継続することで、前年同期に比べ収益性を改善させることが出来ましたが、当連結会計年度での営業利益確保には至りませんでした。

 この結果、売上高は4,865百万円(前年同期比21.9%増)、営業損失は115百万円(前年同期は営業損失391百万円)となりました。

② 中国

 当連結会計年度は、プレス・めっき一貫加工による受注を中心に積極的な受注活動を行うとともに、歩留り改善、生産性向上、経費削減等の収益改善施策を継続することで、前年同期に比べ収益性を改善させることが出来ましたが、当連結会計年度での営業利益確保までには至りませんでした。

 この結果、売上高は1,180百万円(前年同期比5.5%増)、営業損失は67百万円(前年同期は営業損失198百万円)となりました。

③ フィリピン

 当連結会計年度は、前期において収益性悪化の主要因になっていためっき工程での歩留り管理を徹底するとともに、生産性向上によるコスト削減に努めることで利益体質を強化することが出来、売上高は前年同期比減少しましたが、前年同期を上回る営業利益を確保することが出来ました。

 この結果、売上高は1,279百万円(前年同期比6.1%減)、営業利益は97百万円(前年同期比5.5%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末と比較して135百万円減少し、2,347百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、206百万円の減少(前年同期は218百万円の減少)となりました。これは主に減価償却費が162百万円、税金等調整前当期純利益が101百万円あったものの、売上債権の増加が182百万円、たな卸資産の増加が179百万円あったこと等によるものであります。

 

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、46百万円の減少(前年同期は102百万円の減少)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入が119百万円あったものの、有形固定資産取得による支出が264百万円あったことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、118百万円の増加(前年同期は164百万円の減少)となりました。これは主に短期借入による収入が200百万円あったことによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

 前年同期比(%)

日本

4,854,621

122.0

中国

1,171,470

110.4

フィリピン

1,278,831

94.2

合計

7,304,923

114.2

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

4,864,406

120.42

210,236

103.1

中国

1,179,546

110.4

40,565

99.0

フィリピン

1,280,213

94.6

5,186

111.9

合計

7,324,166

113.4

255,988

102.6

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

日本

4,857,992

122.0

中国

1,179,937

111.3

フィリピン

1,279,661

93.9

合計

7,317,592

114.2

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループといたしましては「表面処理で社会のインフラを支え、人々の暮らしの安全、便利な社会の実現に貢献する」との基本理念のもと、創業来培った表面処理加工業のノウハウを活かし、お客様のご要望に対応することで、企業としての存在価値を高めることに努めてまいります。

持続的な利益のある成長を果たしていくために、以下の施策を推し進めてまいります。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)受注多様化の推進

 当社は現在、スマートフォンなどの情報通信機器を主軸とした事業展開を行っていますが、自動車分野や産業機械など様々な分野にめっきの用途は広がっております。当社創業来の表面処理加工技術の応用により、新たな市場での事業展開を進めることで、受注の多様化を図ってまいります。

 

(2)品質管理手法の向上

 電子機器の小型化と高機能化により、加工仕様の精細化が進み、品質管理の重要度は益々高まっており、業績への影響度合いも増しております。先行予防的な品質管理を強化するとともに、品質保証投資を行うことで、安定した品質の確保に取り組んでまいります。

 

(3)生産能力と生産性の強化

 人員の増強などによる労働環境の改善と併せ、設備能力の増強と省人化投資を含めた生産体制の整備を行うことで、生産能力と生産性の強化を図ってまいります。

 

(4)海外子会社を含めた一体経営の推進

 当社グループは、中国、フィリピンに生産拠点を有し、事業の内容も国内同様に展開しておりますが、それぞれの国の事業環境などがもたらす様々な課題があります。各拠点での対応はもとより、本社部門の積極的な支援を行うことで、課題の早期改善を図り収益性を高めてまいります。

 

(5)新規事業の立ち上げ

 当社の培ってきた技術の応用による「水素透過膜」及び「銀めっきアクリル粒子」は、平成29年度も国立研究開発法人産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所による「被災地企業のシーズ支援プログラム」の研究開発に採択され、性能評価等の支援をいただいております。それぞれ特許取得による権利化を行っており、再生可能エネルギー分野への貢献を含め、早期事業化を図ってまいります。

 

 

 

4【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)IT産業等の業界動向が当社の業績に与える影響について

当社グループの主要製品はIT産業等の動向に影響を受けやすい電子部品等の材料となるプレス加工品及び表面処理品であり、主にコネクタメーカーからの受注加工となっております。

近年多くのコネクタメーカーにおいて、コスト低減、開発のスピードアップ、社内稼働率の維持向上や収益の外部流出防止等を目的に、プレス加工及び表面処理加工を国内及び海外グループ会社の内製部門へ取り込む動きが強まっております。

この内製化の進展が、IT産業の業績動向以上に進んだ場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替変動の影響について

当社グループは、今後もマーケットの拡大が期待されるアジア地域(フィリピン・中国)に海外子会社を有しております。海外子会社は主としてドル建てで決済しておりますが、海外での取引規模が拡大し、当社グループ内に占める子会社の売上、利益の割合が増加した場合、今後も為替相場の変動が当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

また、当社グループは日本国内においてはその取引のほとんどが日本国内のコネクタメーカーとの円建て取引となっており、直接的な為替の影響は受けないものの、国内取引先の生産拠点の海外移管等がさらに進んだ場合には国内での円建て取引が減少する事により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)技術開発、生産設備の開発・新設について

当社グループが属する電子工業界は、世界市場の中で日進月歩絶えず進化を遂げており、製品動向や環境対応基準等を含めた情報の変化にスピーディーに対応することは、経営上重要な要素であります。

現在、営業情報等をもとに市場のニーズに応えるべく技術開発をいち早く行い、現有設備への展開や設備の新設を行っておりますが、当社グループが保有する生産設備は自社での設計・製作を基本としているため、製品動向に急激な変化(形状や材質、使用原材料等)が生じた場合、研究開発、設備の設計・製作に時間を要することから生産に支障を来す可能性があり、その結果当社グループの業務運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制等について

当社グループは、表面処理の工程内で「毒物及び劇物取締法」の対象となる薬品を使用しており、また工程より排出される廃液等には「水質汚濁防止法」「大気汚染防止法」「土壌汚染防止法」等の対象となる重金属イオン等が極微量含まれており、それぞれ同法の規制を受けております。

当社グループでは、各種届出及び有資格者の下での管理を徹底するとともに、法的規制値より更に厳しい社内基準値を設けて廃液等を管理し、可能な限りのリサイクルを行い法令遵守に努めております。しかしながら、法改正等により規制が強化され、当社グループの工程内で対象となる薬品の使用が禁止又は使用制限された場合、廃液等の廃棄物の排出基準が変わり処理設備の大幅な改造の必要が生じた場合や、自然災害等による設備の崩壊により敷地内汚染が発生した場合には、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)環境問題対応について

当社グループが属する電子工業界では、「鉛フリー」や「脱塩素溶剤」等の問題を抱えておりますが、環境問題に対し様々な対策が講じられております。当社グループにおきましては、表面処理加工法の改良をもって対処しておりますが、今後代替物や新技法等が開発された場合、設備移行に多大な費用と時間を要する可能性があります。

また、国内及び中国では「ノンシアン」による表面処理要請が強くなってきており、今後水質・大気等排出基準の強化が法的に進められた場合、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があります。

 

(6)土壌汚染について

土壌汚染対策法や、各自治体における生活環境の保全等に関する条例等(以下、総称して「土壌汚染関連法令」といいます。)によれば、土地の所有者、管理者または占有者は、六価クロム、鉛、塩素、トリクロロエチレンその他特定有害物質による土地の土壌汚染の状況について調査し、都道府県知事に報告を行なわなければならない場合があります。

また、特定有害物質による土壌の汚染により、人の健康にかかる被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な手段をとる必要がある場合があります。

上記の制度を前提にした場合、当社の保有する横浜本社工場の敷地内の一部において、当社が業務上使用していない特定有害物質に関して、これまでに基準値を上回る測定結果が断続的に確認されております。現時点において、当社において何らかの対策を行う必要はないものの、将来当社が同工場用地を売却したり、同工場施設の使用を廃止する場合等に、土壌汚染関連法令に基づく調査を実施しなければならない可能性があります。

なお、当該調査において土壌汚染関連法令に定める基準値を超える汚染土壌が確認された場合は、かかる有害物質を除去するために土壌汚染関連法令に基づく汚染土壌の入れ替えや洗浄などの処理が必要となり、その対応に費用と時間を要する可能性があります。

 

(7)知的財産権等について

当社グループでは、加工プロセスに係わる技術開発が多くありますが、出願公告を行うことによりノウハウの社外流出に結びつく恐れが多分にあると考えているため、特許権・実用新案権の取得を積極的には行わない方針です。このため、他社が当社の開発した技術にかかる特許を取得した場合は、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループにおいては、他社の知的財産権等の侵害を防止するため、必要と考えられる社員への教育や関連文献の調査、弁理士等専門家への相談を行う処置を講じておりますが、かかる処置にもかかわらず、他社の知的財産権を侵害してしまった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

(8)政情不安が与える影響について

当社グループは貴金属表面処理事業において海外需要の高まりから、フィリピン並びに中国に生産拠点を有しております。今後、日本メーカーの海外移管の促進等により当社グループ内での海外生産高シェアも増加していくものと考えております。しかし、アジア諸国の一部では政情不安等がもたらす影響も懸念され、また、法令や政策、規制、税制等の変更が行われた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(9)主要原材料の価格変動について

当社グループの主要事業である表面処理加工並びにプレス加工において、主要原材料としてそれぞれ「シアン化金カリウム」と「銅平板材」が使用されております。シアン化金カリウムは金を68.3%含有しており、プレス原材料は銅など、それぞれ国際的な取引市場での市況により価格が左右されます。当社グループでは顧客からの受注の中で原材料価格の上昇を販売価格に転嫁するよう努力しているものの、金並びに銅の市場価格の変動が当社グループの予想を超えた場合など単価に十分に反映できないような場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材の確保について

当社グループは、経営環境の急激な変化に対応してコスト構造の抜本的な見直しを行い、経費削減に努めてまいりました。しかし、顧客の内製化の推進や海外グループ会社への生産移管などが進んでおり、経営環境の変化に対応した更なる収益体質への変革を進めております。

表面処理加工及びプレス加工の作業は自動化及びマニュアル化による標準作業ができる状況にありますが、微細加工技術を追求した加工方法の、ニッケルバリア、スポットめっき等については、その加工設定などにおいて人に依存する割合が高い部分もあり、標準化体制を整えるべく推進しております。しかしその体制構築に時間を要しており、品質を支える技能者の確保、技能の伝承は不可欠な状況です。今後技能者の退職というような事態が生じた場合には、生産に支障を来し当社グループの業務運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)事故災害等による影響について

当社グループは国内において関東及び南東北に生産拠点を有し、また海外においてはフィリピン・中国に拠点を設け、市場動向に合致した最適地生産活動と、生産拠点分散による各種事故や災害発生から被る影響を最小限に抑える対策を講じております。
 当社は、東北工場(福島県郡山市・西部第二工業団地内)において、火災および汚染水河川流出事故を発生させた経緯がございます。この経験を生かし社内防火教育訓練や予防対策をはじめリスク管理体制には万全を期して対処しておりますが、今後同様の事故が発生した場合や地震等自然災害による製造設備や処理プラントの被害状況によっては、対処や復旧作業に多大な時間と費用を要する場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(12)減損会計の影響について

 今後の固定資産の使用状況等においては、減損損失の計上を行う可能性があり、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(13)継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、当連結会計年度では連結営業利益を確保することが出来、黒字化を達成出来ましたが、売上 拡大局面であったことから売上債権、棚卸資産が増加しており、連結営業キャッシュ・フローベースでの黒字化ま でには至っていないこと等から、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりま す。

しかしながら、当社グループは来期においては、受注多様化の推進、車載要求品質の確保、生産力強化、海外子 会社を含めた一体経営の推進及び新規事業の創出を重点課題に掲げ、旺盛な部品需要に対応すべく、積極的な営業 活動を展開していくことで当期を上回る連結営業利益を確保できる見込みであります。

したがって、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しており、継続企業の前提に関 する注記を記載しておりません。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、主に事業開発部にて行われ、積極的に外部との交流を図りながら開発を進めております。

当連結会計年度における研究開発費として65,966千円を費やしております。

当連結会計年度における研究の主要課題は次のとおりであります。

 

(1)めっき技術を用いた水素透過膜及び多孔質ニッケル支持体の開発

燃料電池を搭載した自動車の普及と共に、水素ステーションなどのインフラの整備や、輸送方法、貯蔵方法などの技術開発が、政府のエネルギー政策に沿って進められております。

水素の製造には天然ガスや褐炭などの化石燃料を分解して精製する方法が、関連大手企業で主流となっておりますが、一方では太陽光や風力などの再生可能エネルギーから得た電力で水の電気分解を行い、水素を製造する開発も進められております。

当社の開発する水素透過膜は、パラジウム合金と多孔質ニッケル支持体で構成されており、何れもめっき技術を応用した電解法により作製し、平成29年1月特許として権利化することが出来ました。

当課題は平成26年4月、平成27年4月、平成28年4月、及び平成29年4月と4期連続で国立研究開発法人 産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所の「被災地企業のシーズ支援プログラム」に採択され、水素透過性の評価などの評価のご支援を頂いており、東京工業大学原子炉研との共同研究(注)で、試作、構造分析、性能評価を進めております。また、再生可能エネルギーの普及を目指す福島県の「産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業」に採択され、事業化に向けての開発のご支援を頂きました。

当期までの進捗としては、多孔質ニッケル支持体の評価の継続と、パラジウム合金膜の実用化に向けて面積を大きくし、作製並びに性能の評価を行っております。

当社が開発を進めている水素透過膜は、その製造方法から小型で安価な装置化が可能であることから、バイオマス由来のメタン発酵ガスや、下水処理場から発生するガスを原料として水素を製造するなど、身近な分野での水素供給を実現可能にします。これにより、政府の描く水素インフラの普及に貢献できるものと考えます。また、有機ハイドライドなどによる水素の貯蔵・運搬後の精製等においても対応が可能である製品を目指しております。

(注)共同研究を国立大学法人東京工業大学原子炉工学研究所 加藤之貴教授と行っております。

 

(2)めっき技術を用いた高い導電性を有したアクリル樹脂粒子の性能評価

当社が保有するめっき技術を用いてアクリル樹脂に銀めっき加工を行い、導電性を付与し、バインダー樹脂に混ぜることにより、現在市場で使われている導電性を有する樹脂粒子より耐熱性が高く、安価で、金属ニッケル粉より軽い、導電性の接続フィルムの製造が可能になります。この導電性フィルムを用いて、太陽光発電のパネルの配線を行うことで、薄膜化が研究されている太陽光パネルの配線接続の問題が、解決されることが期待されております。

当課題は平成26年4月、平成27年4月、平成28年4月、及び平成29年4月と4期連続で、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所の「被災地企業のシーズ支援プログラム」に採択され、試作、構造分析、性能評価を行っており、現行の半田材料と同等の性能を有することがわかりました。

 

当社は、産業技術総合研究所が福島県内に整備する再生可能エネルギー研究所等を活用し、産業技術総合研究所より無償で技術支援を受けることが可能となり、上記研究開発の事業化に向けて研究を加速しております。

当社は、当該研究開発により知的財産を創出・強化し、再生可能エネルギーシステムの普及と被災地域における新産業・雇用創出に対し、当社の有する「めっき技術」で貢献することを目指します。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 本項に記載した予想、見通し等の将来に関する事項は、本書提出日現在で入手可能な情報に基づき当社グループで判断したものであります。

 

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金が250百万円減少したものの、機械装置及び運搬具が220百万円、投資有価証券が257百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ537百万円増加し、9,057百万円となりました(前連結会計年度末は8,519百万円)。

 負債は、短期借入金が204百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ252百万円増加し、3,934百万円となりました(前連結会計年度末は3,681百万円)。

 また、純資産はその他有価証券評価差額金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ284百万円増加し、5,122百万円となりました。この結果、自己資本比率は56.6%となり、前連結会計年度末と概ね同水準となりました。

 

(2)経営成績の分析

経営成績の内容については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要(1)業績」に記載のとおりであります。

このような状況のもと、当社グループは品質改善による顧客満足度の向上、生産性向上及び新技術の導入による収益力向上、新規事業の創出と推進を図ってまいります。新たな設備の導入や工程の改善・管理の徹底を行い、安定した品質を確保すべく徹底した品質管理を行い、顧客満足度を向上させます。また製品構成・設備稼働の検討や効率的人員配置の検討により経費削減を推し進め、既存事業における収益体質の改善を図ってまいります。加えて新たな販売チャネルを開拓し、他社が追随できない新技術導入により価格競争を回避して収益力の向上を図ってまいります。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローについて

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

資金需要について

当社グループの資金需要のうち主なものは、貴金属表面処理加工工程を中心とした海外展開の推進並びに国内同工程の生産性向上を目的とする設備増強であります。

また、当社グループが使用する主材料のうちシアン化金カリウムは高価であることから、調達コストを抑えるため現金購入を行っておりますが、主材料購入が主要な資金需要の一部分になっております。