第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

    (1)経営方針

     当社グループは創業来培った表面処理加工のノウハウを活かし、「表面処理で社会のインフラを支え、人々の

    暮らしの安全、便利な社会の実現に貢献する」との基本理念のもと、お客様のご要望に応えることで、企業とし

    ての存在価値を高めることに努めてまいります。

     また、関係法令を順守し、お客様、株主・投資家の皆様、取引先、地域社会をはじめとした関係者に対する社

    会的責任を果たすことを目指してまいります。更に中長期的な会社の基本戦略として持続的な成長を果たしてい

    くために、以下の施策を推し進めてまいります。

 

    (2) 目標とする経営指標

      当社グループは、受注力の向上、合理化、教育強化を重点課題に掲げ、当連結会計年度において決定いたし

     ました東北工場での新ライン建設や、生産拠点の再編を着実に実行していくことで、収益体質の改善に取り組

     み、売上高7,300百万円、営業利益10百万円、経常利益10百万円を目指してまいります。

 

    (3) 経営環境

      当社グループを取り巻く環境は、米中貿易摩擦の激化により中国経済では一段の景気悪化が見込まれている

     ことに加え、英国のEU離脱問題による混乱等政策リスクによる影響が、各国の企業活動に波及することが懸

     念されており、世界経済全体としても経営環境は厳しさを増していくことが想定されます。

      当社グループが属する電子工業会におきましては、中長期的には自動車部品の電子化や工場のIoT化の進

     展に伴い車載・産機関連の部品需要は拡大基調が続くことが想定され、通信・民生品向け市場でも高速伝送対

     応の新製品需要の拡大が見込まれているものの、足元では米中貿易摩擦等の製作リスクによる生産活動への影

     響が懸念される状況にあります。

 

    (4) 対処すべき課題

     ①成長する市場への受注対応力強化

     情報通信分野をはじめとした技術の潮流とともに、電子機器の小型化・高機能化による技術革新から、微

     加工の新たな市場が成長しております。東北工場に新設備の増設と微細加工技術を導入し、お客様が求める

     高度な要求に対応することで、積極的に受注拡大を図ってまいります。

 

    ②合理化による生産性の改善

     当社は経営資源の効率的な配分を目的に、東北工場に表面処理加工の拠点統合を進めております。更にプ

     ス・めっき一貫加工のリードタイム短縮をはじめ、省人化設備の導入など、主力となる東北工場に積極的な

     設備投資を行い、プレス機の増設だけでなく今後は自動化設備の導入や既存設備の改造などにより、生産性

     の更なる改善を図ってまいります。

 

    ③教育の強化と人材の活用

     新規設備の導入や、新たな技術の展開を進める上で、基盤となる人員の育成が重要であり、生産現場での実

     践的な教育をはじめ、全社的な階層教育を強化してまいります。

     また、創意工夫を得意とする開発志向の人材の積極的活用や、育成を進めてまいります。

 

     ④海外子会社の機能強化

      当社グループは中国、フィリピンに生産拠点を有し、国内同様の日本品質をもって事業を展開しており、

      本からの積極的な支援により一体経営を推進してきました。しかし、中国では環境規制の強化による新た

      設備対応や、フィリピンでは税制改正による経済特区優遇の見直し等も予定される等、今後の対応が難しい

      事業環境となっております。

     海外子会社の機能強化に向け日本からの支援を強化しより一層グループ経営の強化を進めてまいります。

 

     ⑤新規事業の立ち上げ

     「水素透過膜」及び「銀めっきアクリル粒子」は、2019年度も国立研究開発法人産業技術総合研究所 福島再

     生可能エネルギー研究所の「被災地企業等再生可能エネルギー技術シーズ開発・事業化支援事業」に採択さ

     れ、事業化を目指し支援いただいております。「水素透過膜」については、当社創業来のコア技術である電

     解法により作製することで薄膜化が可能であり、コスト面の負担も軽減されます。この水素透過膜を使い、

     来る水素社会に向けての水素精製装置の小型化など、インフラの普及並びに再生可能エネルギーの普及に貢

     献できるよう、事業化を進めてまいります。「銀めっきアクリル粒子」については、導電材料としての製品

     サンプル評価を進めており、太陽光パネルの接続材料をはじめ、電子機器の接続に期待がもたれていること

     から、早期事業化に向けて対応を加速してまいります。

2【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)IT産業等の業界動向が当社の業績に与える影響について

当社グループの主要製品はIT産業等の動向に影響を受けやすい電子部品等の材料となるプレス加工品及び表面処理品であり、主にコネクタメーカーからの受注加工となっております。

近年多くのコネクタメーカーにおいて、コスト低減、開発のスピードアップ、社内稼働率の維持向上や収益の外部流出防止等を目的に、プレス加工及び表面処理加工を国内及び海外グループ会社の内製部門へ取り込む動きが強まっております。

この内製化の進展が、IT産業の業績動向以上に進んだ場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替変動の影響について

当社グループは、今後もマーケットの拡大が期待されるアジア地域(フィリピン・中国)に海外子会社を有しております。海外子会社は主としてドル建てで決済しておりますが、海外での取引規模が拡大し、当社グループ内に占める子会社の売上、利益の割合が増加した場合、今後も為替相場の変動が当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

また、当社グループは日本国内においてはその取引のほとんどが日本国内のコネクタメーカーとの円建て取引となっており、直接的な為替の影響は受けないものの、国内取引先の生産拠点の海外移管等がさらに進んだ場合には国内での円建て取引が減少する事により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)技術開発、生産設備の開発・新設について

当社グループが属する電子工業界は、世界市場の中で日進月歩絶えず進化を遂げており、製品動向や環境対応基準等を含めた情報の変化にスピーディーに対応することは、経営上重要な要素であります。

現在、営業情報等をもとに市場のニーズに応えるべく技術開発をいち早く行い、現有設備への展開や設備の新設を行っておりますが、当社グループが保有する生産設備は自社での設計・製作を基本としているため、製品動向に急激な変化(形状や材質、使用原材料等)が生じた場合、研究開発、設備の設計・製作に時間を要することから生産に支障を来す可能性があり、その結果当社グループの業務運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制等について

当社グループは、表面処理の工程内で「毒物及び劇物取締法」の対象となる薬品を使用しており、また工程より排出される廃液等には「水質汚濁防止法」「大気汚染防止法」「土壌汚染防止法」等の対象となる重金属イオン等が極微量含まれており、それぞれ同法の規制を受けております。

当社グループでは、各種届出及び有資格者の下での管理を徹底するとともに、法的規制値より更に厳しい社内基準値を設けて廃液等を管理し、可能な限りのリサイクルを行い法令遵守に努めております。しかしながら、法改正等により規制が強化され、当社グループの工程内で対象となる薬品の使用が禁止又は使用制限された場合、廃液等の廃棄物の排出基準が変わり処理設備の大幅な改造の必要が生じた場合や、自然災害等による設備の崩壊により敷地内汚染が発生した場合には、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)環境問題対応について

当社グループが属する電子工業界では、「鉛フリー」や「脱塩素溶剤」等の問題を抱えておりますが、環境問題に対し様々な対策が講じられております。当社グループにおきましては、表面処理加工法の改良をもって対処しておりますが、今後代替物や新技法等が開発された場合、設備移行に多大な費用と時間を要する可能性があります。

また、国内及び中国では「ノンシアン」による表面処理要請が強くなってきており、今後水質・大気等排出基準の強化が法的に進められた場合、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があります。

 

(6)土壌汚染について

土壌汚染対策法や、各自治体における生活環境の保全等に関する条例等(以下、総称して「土壌汚染関連法令」といいます。)によれば、土地の所有者、管理者または占有者は、六価クロム、鉛、塩素、トリクロロエチレンその他特定有害物質による土地の土壌汚染の状況について調査し、都道府県知事に報告を行なわなければならない場合があります。

また、特定有害物質による土壌の汚染により、人の健康にかかる被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な手段をとる必要がある場合があります。

上記の制度を前提にした場合、当社の保有する横浜本社工場の敷地内の一部において、当社が業務上使用していない特定有害物質に関して、これまでに基準値を上回る測定結果が断続的に確認されております。現時点において、当社において何らかの対策を行う必要はないものの、将来当社が同工場用地を売却したり、同工場施設の使用を廃止する場合等に、土壌汚染関連法令に基づく調査を実施しなければならない可能性があります。

なお、当該調査において土壌汚染関連法令に定める基準値を超える汚染土壌が確認された場合は、かかる有害物質を除去するために土壌汚染関連法令に基づく汚染土壌の入れ替えや洗浄などの処理が必要となり、その対応に費用と時間を要する可能性があります。

 

(7)知的財産権等について

当社グループでは、加工プロセスに係わる技術開発が多くありますが、出願公告を行うことによりノウハウの社外流出に結びつく恐れが多分にあると考えているため、特許権・実用新案権の取得を積極的には行わない方針です。このため、他社が当社の開発した技術にかかる特許を取得した場合は、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループにおいては、他社の知的財産権等の侵害を防止するため、必要と考えられる社員への教育や関連文献の調査、弁理士等専門家への相談を行う処置を講じておりますが、かかる処置にもかかわらず、他社の知的財産権を侵害してしまった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

(8)政情不安が与える影響について

当社グループは貴金属表面処理事業において海外需要の高まりから、フィリピン並びに中国に生産拠点を有しております。今後、日本メーカーの海外移管の促進等により当社グループ内での海外生産高シェアも増加していくものと考えております。しかし、アジア諸国の一部では政情不安等がもたらす影響も懸念され、また、法令や政策、規制、税制等の変更が行われた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(9)主要原材料の価格変動について

当社グループの主要事業である表面処理加工並びにプレス加工において、主要原材料としてそれぞれ「シアン化金カリウム」と「銅平板材」が使用されております。シアン化金カリウムは金を68.3%含有しており、プレス原材料は銅など、それぞれ国際的な取引市場での市況により価格が左右されます。当社グループでは顧客からの受注の中で原材料価格の上昇を販売価格に転嫁するよう努力しているものの、金並びに銅の市場価格の変動が当社グループの予想を超えた場合など単価に十分に反映できないような場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材の確保について

当社グループは、経営環境の急激な変化に対応してコスト構造の抜本的な見直しを行い、経費削減に努めてまいりました。しかし、顧客の内製化の推進や海外グループ会社への生産移管などが進んでおり、経営環境の変化に対応した更なる収益体質への変革を進めております。

表面処理加工及びプレス加工の作業は自動化及びマニュアル化による標準作業ができる状況にありますが、微細加工技術を追求した加工方法の、ニッケルバリア、スポットめっき等については、その加工設定などにおいて人に依存する割合が高い部分もあり、標準化体制を整えるべく推進しております。しかしその体制構築に時間を要しており、品質を支える技能者の確保、技能の伝承は不可欠な状況です。今後技能者の退職というような事態が生じた場合には、生産に支障を来し当社グループの業務運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)事故災害等による影響について

当社グループは国内において関東及び南東北に生産拠点を有し、また海外においてはフィリピン・中国に拠点を設け、市場動向に合致した最適地生産活動と、生産拠点分散による各種事故や災害発生から被る影響を最小限に抑える対策を講じております。
 当社は、東北工場(福島県郡山市・西部第二工業団地内)において、火災および汚染水河川流出事故を発生させた経緯がございます。この経験を生かし社内防火教育訓練や予防対策をはじめリスク管理体制には万全を期して対処しておりますが、今後同様の事故が発生した場合や地震等自然災害による製造設備や処理プラントの被害状況によっては、対処や復旧作業に多大な時間と費用を要する場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(12)継続企業の前提に関する重要事象等

 当連結会計年度においては、通信・産業機器分野での生産調整に伴い、経営環境が厳しさを増しており、国内では前連結会計年度に比べ営業赤字が拡大していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 しかしながら、当社グループは、「3 経営者による財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況の分析(5)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載の通り、当該重要事象等を解消、改善するための対応策を講じることにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しており、継続企業の前提に関する注記を記載しておりません。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績

当連結会計年度における世界経済におきましては、米国経済は米中貿易摩擦の激化に伴い、製造業を中心に景気が減速しており、また欧州経済も米中貿易摩擦に加え、英国のEU離脱問題等の政治リスクの高まりから、景気低迷感が強まっております。

また、米国との貿易摩擦本格化を受け、中国では一段と景気が悪化しており、製造業の生産活動にも停滞感が強

まっております。

わが国経済におきましても、中国経済の変調に起因し中国向けを中心に輸出が悪化しており、これに伴い企業の投資意欲が減少する等、企業活動に影響が波及している状況にあります。

 当社グループが属する電子工業界におきましても、産業機器分野での生産調整やスマートフォン減産に加え、これまで堅調に推移してきた車載分野でも、米中貿易摩擦の激化を受け最大市場である中国市場で減産が行われる等、総じて厳しい事業環境にありました。

 このような状況を受け、当社グループは、一層の生産性向上・合理化を図るため、鈴川工場のめっき生産機能を東北工場に統合し、プレス・めっき一貫生産体制の強化のため秦野工場のプレス量産機能を東北工場に集約する生産拠点の再編を決定するとともに、新製品受注に向けた新ライン建設のため東北工場に先行投資を行ってまいりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は7,101百万円(前年同期比15.3%減)、営業損失は344百万円(前年同期は営業利益129百万円)、経常損失は410百万円(前年同期は経常利益85百万円)、また、親会社株主に帰属する当期純損失は第2四半期で減損損失を計上したこと等から、625百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益44百万円)となりました。

 なお、セグメント毎の経営成績は次のとおりであります。

 

① 日本

当連結会計年度は、産業機器分野での生産調整やスマートフォンの減産、また車載分野における中国市場での減産等、厳しい事業環境が続いており、売上高は前年同期比減少いたしました。このような状況を打開すべく、新製品受注に向けた新ラインを東北工場に建設する等の先行投資を行ってまいりました。

 この結果、売上高は4,238百万円(前年同期比24.7%減)、営業損失は589百万円(前年同期は営業損失54百万円)となりました。

② 中国

当連結会計年度は、中国での環境規制強化により日本品質への評価が高まっている状況を受け、積極的な営業活動を展開することに加え、経費削減活動を徹底して行うことで、収益力の改善に努めてまいりました。

 この結果、売上高は1,515百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益は73百万円(前年同期比322.6%増)となりました。

③ フィリピン

当連結会計年度は、当期上半期においては、車載分野を中心に部品需要が堅調に推移したことに加え、スポット的な受注も積極的に獲得してきたことから、前年同期を上回る高水準の売上・営業利益を達成することが出来ましたが、下半期では車載分野の部品需要が低迷していることに加え、スポット的な受注も減少していることから、通期では前期並みの売上高・営業利益水準となりました。

この結果、売上高は1,351百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益は74百万円(前年同期比7.5%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末と比較して3百万円増加し、2,628百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、209百万円の増加(前年同期は79百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失が588百万円あったものの、売上債権の減少額が677百万円、減価償却費が261百万円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、667百万円の減少(前年同期は475百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が549百万円あったこと等によるものであります

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、475百万円の増加(前年同期は693百万円の増加)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が498百万円、短期借入金の純減額が377百万円あったものの、長期借入れによる収入が1,410百万円あったこと等によるものであります。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

 前年同期比(%)

日本

4,253,587

75.7

中国

1,499,723

100.2

フィリピン

1,352,847

105.5

合計

7,106,157

84.6

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

4,246,422

75.4

225,500

103.7

中国

1,496,631

99.1

55,300

74.4

フィリピン

1,363,403

105.7

24,314

189.2

合計

7,106,456

84.3

305,115

100.1

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

日本

4,234,287

75.3

中国

1,515,679

102.6

フィリピン

1,351,942

105.4

合計

7,101,909

84.7

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 本項に記載した予想、見通し等の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在で入手可能な情報に基づき当社グ

  ループで判断したものであります。

 

① 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、建設仮勘定が243百万円増加したものの、受取手形及び売掛金が694百万円減少したことなどから、前連結会計年度末と比べ420百万円減少し、9,307百万円となりました(前連結会計年度末は9,728百万円)。

負債は、短期借入金が382百万円減少したものの、長期借入金が732百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ280百万円増加し、5,027百万円となりました(前連結会計年度末は4,747百万円)。

 また純資産は利益剰余金が625百万円減少したことなどから、前連結会計年度末と比べ701百万円減少し、4,279

百万円となりました。この結果、自己資本比率は46.0%となり、前連結会計年度末と比べて5.2ポイント減少しま

した。

 

② 経営成績の分析

経営成績の内容については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績」に記載のとおりであります。

このような状況のもと、当社グループは品質改善による顧客満足度の向上、生産性向上及び新技術の導入による収益力向上、新規事業の創出と推進を図ってまいります。新たな設備の導入や工程の改善・管理の徹底を行い、安定した品質を確保すべく徹底した品質管理を行い、顧客満足度を向上させます。また製品構成・設備稼働の検討や効率的人員配置の検討により経費削減を推し進め、既存事業における収益体質の改善を図ってまいります。加えて新たな販売チャネルを開拓し、他社が追随できない新技術導入により価格競争を回避して収益力の向上を図ってまいります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローについて

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の詳細につきましては、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

資金需要について

当社グループの資金需要のうち主なものは、貴金属表面処理加工工程を中心とした海外展開の推進並びに国内同工程の生産性向上を目的とする設備増強であります。

また、当社グループが使用する主材料のうちシアン化金カリウムは高価であることから、調達コストを抑えるため現金購入を行っておりますが、主材料購入が主要な資金需要の一部分になっております。

 

(5)継続企業の前提に関する重要事象等について

 「2 事業等のリスク (12)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載の通り、当連結会計年度においては、産業機器・通信分野での生産調整に伴い、経営環境が厳しさを増しており、国内では前連結会計年度に比べ営業赤字が拡大していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 しかしながら、当社グループは、新製品受注に向けて東北工場に新ラインを建設することに加え、一層の生産性向上・合理化による収益力向上を図るため鈴川工場の生産機能を東北工場に統合するとともに、プレス・めっき一貫生産の強化のため、プレス生産を東北工場に集約する生産拠点の再編を決定しており、今後上記施策を着実に実行していくことで、当該事象又は状況を解消できると考えております。

 また、当社グループは、今後必要な資金について、取引金融機関から支援を引き続き得られる見通しであり資金面で問題ないことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しており、継続企業の前提に関する注記を記載しておりません。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、主に日本セグメントの事業開発部にて行われ、積極的に外部との交流を図りながら開発を進めております。

当連結会計年度における研究開発費として86,019千円を費やしております。

当連結会計年度における研究の主要課題は次のとおりであります。

 

(1)めっき技術を用いた水素透過膜及び多孔質ニッケル支持体の開発

燃料電池を搭載した自動車の普及と共に、水素ステーションなどのインフラの整備や、輸送方法、貯蔵方法などの技術開発が、政府のエネルギー政策に沿って進められております。

水素の製造には天然ガスや褐炭などの化石燃料を分解して精製する方法が、関連大手企業で主流となっておりますが、一方では太陽光や風力などの再生可能エネルギーから得た電力で水の電気分解を行い、Co2フリーの水素を製造する開発も進められております。

当社の開発する水素透過膜は、パラジウム合金と多孔質ニッケル支持体などで構成されており、めっき技術を応用した電解法により作製し、2017年1月特許として権利化をしております。

当課題は2014年4月以降、6期連続で国立研究開発法人 産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所の「被災地企業のシーズ支援プログラム」に採択され、水素透過性の評価などの評価のご支援を頂いており、東京工業大学科学技術創成研究院先導原子力研究所との共同研究(注1)で、試作、構造分析、性能評価を進めております。また、2016年度は再生可能エネルギーの普及を目指す福島県の「産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業」に採択され、事業化に向けての開発のご支援を頂いております。

当期までの進捗としては、パラジウム合金膜の実用化に向けて面積を大きくし、ユニットの作製及び性能評価のステップに入っております。

当社が開発を進めている水素透過膜は、創業来のめっき技術を応用して作製することで、小型で安価な装置化が可能であり、バイオマス由来のメタン発酵ガスや、下水処理場から発生するガスを原料として高純度の水素を製造するなど、身近な分野での水素供給を実現可能にします。また、水素の貯蔵・運搬を液体化した水素キャリア(注2)と呼ばれる有機化合物から、水素を精製する際にも対応可能な製品を目指しており、政府の描く水素インフラの普及に貢献できるものと考えます。

(注1)共同研究を国立大学法人東京工業大学技術創成研究院先導原子力研究所 加藤之貴教授と行っておりま      す。

(注2)メチルシクロヘキサン(MCH)など有機ハイドライドを使い水素を運搬、貯蔵する方法

 

(2)めっき技術を用いた高い導電性を有したアクリル樹脂粒子の性能評価

当社が保有するめっき技術を用いてアクリル樹脂に銀めっき加工を行い、導電性を付与し、バインダー樹脂に混ぜることにより、現在市場で使われている導電性を有する樹脂粒子より安価で、金属粉より軽い、導電性の接続フィルムへの転用が可能になります。この導電性フィルムを用いて、太陽光発電のパネルの配線を行うことで、薄膜化が研究されている太陽光パネルの配線接続の問題が、解決されることが期待されております。

当課題は2014年4月より6期連続で、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所の「被災地企業のシーズ支援プログラム」に採択され、試作、構造分析、性能評価を行っております。また、2017年8月に特許として権利化をしております。

 

当社は、産業技術総合研究所が福島県内に整備する再生可能エネルギー研究所等を活用し、産業技術総合研究所より無償で技術支援を受けることが可能となり、上記研究開発の事業化に向けて研究を加速しております。

当社は、めっきというコア技術の転用・開発により知的財産を創出・強化し、再生可能エネルギーシステムの普及と被災地域における新産業・雇用創出に対し、事業拡大を目指しつつ、社会に貢献してまいります。