第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループが属する電子工業界におきましては、自動車向け分野の電子部品需要は引き続き堅調であり、民生用機器向け分野の回復や通信向け分野での次世代高速通信開発など、中長期的な成長が期待されております。このような状況のもと当社グループは、受注拡大、収益改善、生産設備拡充、カーボンニュートラルに向けた取り組み、工場増強、働く環境整備、人事・教育強化を主要戦略として掲げ、当社グループ一丸で推進してまいります。また今後の成長領域と考える自動車向け分野、通信向け分野、産業機器向け分野への設備投資を継続し、安定した収益基盤の確保に加え、新規の事業領域を開拓することで、経営体質強化に向けた取り組みを行ってまいります。

 当社グループは、グローバル社会における様々な課題解決への貢献が不可欠と認識し、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環として、再生可能エネルギーの導入を推進しています。2023年度に東北事業部に太陽光パネル、蓄電池システムを設置し、エネルギーマネジメントシステムを導入致しました。また、CO₂を排出しない発電方法による非化石電源の活用も併せて行うことで、東北事業部において再生エネルギー100%を達成しました。国際的な基準であるGHGプロトコルにてScope1、2の算定を完了し、これまでの取り組みの結果、2030年までに2017年比CO₂排出量50%削減という目標を、前倒しで達成することができました。

 現在はScope3の算定を本格的にスタートさせており、より広範な領域でのCO₂削減に挑戦してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、「受注拡大」「収益改善」「生産設備拡充」「カーボンニュートラルに向けた取り組み」「工場増強と働く環境の整備」「人事と教育の強化」を進め、連結売上高10,900百万円、営業利益500百万円、経常利益490百万円の達成を目指してまいります。

 

(3)経営環境

 足元の市場環境は、米国の関税政策や地政学リスクによる影響、中国経済の景気低迷、ウクライナや中東地域をめぐる情勢の緊迫化、アメリカ経済におけるインフレ懸念や資源価格高騰による物価上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような認識のもと、当社グループが属する電子工業界においては、自動車向け分野の電子部品需要は引き続き堅調であり、次世代高速通信開発の進展に伴う通信向け分野での需要拡大や、産業機器向け分野での本格的な回復が期待されております。中長期的には、新たなAI技術等の活用により電子機器需要の回復が見込まれるなど、市場全体として大きな成長余力があることから、当社グループは、徹底したマーケティング活動による顧客ニーズの収集、加工難易度の高い新製品の受注獲得に向けた加工設備の対応、製造工程の効率化による生産性向上、品質面でのより一層の高度化の追求などの課題に優先的に対処し、技術的差別化を推進することにより、受注の拡大を図り、持続的な成長を実現してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループを取り巻く経済環境は、アメリカの関税政策や地政学リスクによる影響が懸念される状況にあり、中国経済の景気低迷など先行き不透明な状況が続くことが想定されます。電子工業界においても大きな影響が出るものと予測しておりますが、自動車向け分野の電子部品需要は引き続き堅調であり、通信向け分野での次世代高速通信開発や産業機器向け分野での回復が期待されております。このような状況のもと当社グループは、受注拡大、生産能力増強、新規事業の創出、カーボンニュートラルに向けた取り組み、働く環境整備を進めるなど経営体質改善に向けた取り組みを行っております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループでは、表面処理・プレス加工のノウハウを活かし、社会貢献するという創業から受け継いだ精神をより明確にし、更には、持続可能な成長に向けた取り組みを推進するためのマネジメント体制を構築しております。

 また、サステナブルビジョンとして「気候変動などの地球環境問題、人権の尊重、従業員の健康・労働環境や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等の危機管理など環境や社会への「サステナビリティ(持続性)」に配慮します。」を掲げ、地球温暖化防止、資源保護、環境汚染防止などへの取り組み強化の一環として、東北事業部に太陽光発電をベースとする再生可能エネルギー設備を導入しております。また東北事業部で使用する電力において、再生可能エネルギー発電所由来のCO₂フリー電気を活用することで、CO₂排出量を2030年度に2017年度比で50%削減することを目標として掲げており、人々が豊かに便利にそして快適に暮らせるよう、持続的な成長を通じてサステナブル社会の実現を目指してまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは会社の持続的な成長と価値創造の土台を築くため、2022年1月に「わたしたちの働きで、社会のインフラを支え人々の暮らしの安全、便利な社会の実現に貢献する」を当社の存在意義(パーパス)として設定し経営の公正性・透明性・迅速性を確保し、株主、顧客、取引先、社員との適切な協働はもちろんのこと、地域社会や自然環境との調和によるサステナブル経営を推進してまいります。

 当社では、取締役会を会社法規定事項及び経営の重要事項について審議及び決定を行う場と位置づけ、月1回の定例取締役会の開催に加えて、必要に応じて臨時取締役会を開催しております。また、当社取締役及び部門長、当社子会社社長が出席する経営会議を月1回以上開催し、経営判断が的確に伝達され、速やかに実行されるような活発な意見交換が行われる体制を構築しております。

 ESGやSDGsといったサステナビリティ課題への対応は重要なリスク管理の一部であると認識しており、リスク・コンプライアンス委員会を年4回開催し、全社的なリスクに関する課題・対応策、リスクマネジメント推進のために優先度が高いリスク項目を特定しているほか、重要な意思決定であるCO₂排出量削減について「2030年までに温室効果ガス排出量を2017年度比で50%削減する目標」を取締役会で決定しております。

 

(2)戦略

 当社グループは、「100年継続企業 すべての点で常に業界のトップを目指します」を経営ビジョンに掲げ、市場の動向を見極め、絶えざるチャレンジによって「できないをできる」に変え新たな価値を創造し幅広いニーズに対し最適な製品を市場に供給しております。

 当社グループの将来の成長は有能な技術者をはじめとする人材の確保と育成に左右されるため、成長を実現できる組織体制の構築、社員がより能力を発揮できるよう働き方の見直しや制度改善を進めて次世代に向けた人材の育成・獲得に注力してまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループは「リスク管理基本方針」に基づき、定例及び臨時の経営会議において、常にリスク発生の可能性と対策を検討しております。また、リスク・コンプライアンス委員会を開催し、全社的なリスクに関する課題・対応策、リスクマネジメント推進のための重要事項等を決定しております。

 ESGやSDGsといったサステナビリティ課題への対応は重要なリスク管理の一部であると認識しており、リスク・コンプライアンス委員会で取り組みを進めております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、サステナブル戦略の実現において、有能な技術者をはじめとする人材の確保と育成を重要課題に掲げており、「人材育成の推進」「多様な人材の活躍」「エンゲージメントの向上」を柱として、次世代人材の更なる活躍を後押ししてまいります。

 多様な人材が活躍できる組織作りを目的として、女性の平均勤続年数を平均7年にすることや、年次有給休暇の取得日数を一人あたり平均年間12日以上とすることを目標としております。また、男性の育児休暇取得促進や所定外労働時間の削減を目指し働き改革の検討を行ってまいります。労働人口減少のもとであっても、事業展開を支える人材の採用強化や成長分野を強化する人材の再配置などの組織戦略を推進してまいります。

 さらに、社員の育成、変化適応力向上のため、外部の教育システムによる階層別、分野別研修やキャリアパス教育、部門別教育を推進し、社員ひとりひとりがもつ成長意欲とキャリアビジョンを実現すべく、働く環境の整備を進めてまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)IT産業等の業界動向が当社の業績に与える影響について

当社グループの主要製品はIT産業等の動向に影響を受けやすい電子部品等の材料となるプレス加工品及び表面処理品であり、主にコネクタメーカーからの受注加工となっております。

近年多くのコネクタメーカーにおいて、コスト低減、開発のスピードアップ、社内稼働率の維持向上や収益の外部流出防止等を目的に、プレス加工及び表面処理加工を国内及び海外グループ会社の内製部門へ取り込む動きが強まっております。

この内製化の進展が、IT産業の業界動向以上に進んだ場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替変動の影響について

当社グループは、今後もマーケットの拡大が期待されるアジア地域(フィリピン)に海外子会社を有しております。海外子会社は主としてドル建てで決済しておりますが、海外での取引規模が拡大し、当社グループ内に占める子会社の売上、利益の割合が増加した場合、今後も為替相場の変動が当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

また、当社グループは日本国内においてはその取引のほとんどが日本国内のコネクタメーカーとの円建て取引となっており、直接的な為替の影響は受けないものの、国内取引先の生産拠点の海外移管等がさらに進んだ場合には国内での円建て取引が減少する事により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)技術開発、生産設備の開発・新設について

当社グループが属する電子工業界は、世界市場の中で日進月歩絶えず進化を遂げており、製品動向や環境対応基準等を含めた情報の変化にスピーディーに対応することは、経営上重要な要素であります。

現在、営業情報等をもとに市場のニーズに応えるべく技術開発をいち早く行い、現有設備への展開や設備の新設を行っておりますが、当社グループが保有する生産設備は自社での設計・製作を基本としているため、製品動向に急激な変化(形状や材質、使用原材料等)が生じた場合、研究開発、設備の設計・製作に時間を要することから生産に支障を来す可能性があり、その結果当社グループの業務運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制等について

当社グループは、表面処理の工程内で「毒物及び劇物取締法」の対象となる薬品を使用しており、また工程より排出される廃液等には「水質汚濁防止法」「大気汚染防止法」「土壌汚染防止法」等の対象となる重金属イオン等が極微量含まれており、それぞれ同法の規制を受けております。

当社グループでは、各種届出及び有資格者の下での管理を徹底するとともに、法的規制値より更に厳しい社内基準値を設けて廃液等を管理し、可能な限りのリサイクルを行い法令遵守に努めております。しかしながら、法改正等により規制が強化され、当社グループの工程内で対象となる薬品の使用が禁止又は使用制限された場合、廃液等の廃棄物の排出基準が変わり処理設備の大幅な改造の必要が生じた場合や、自然災害等による設備の崩壊により敷地内汚染が発生した場合には、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)環境問題対応について

当社グループが属する電子工業界では、「鉛フリー」や「脱塩素溶剤」等の問題を抱えておりますが、環境問題に対し様々な対策が講じられております。当社グループにおきましては、表面処理加工法の改良をもって対処しておりますが、今後代替物や新技法等が開発された場合、設備移行に多大な費用と時間を要する可能性があります。

また、国内では「ノンシアン」による表面処理要請が強くなってきており、今後水質・大気等排出基準の強化が

法的に進められた場合、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があります。

 

 

(6)土壌汚染について

土壌汚染対策法や、各自治体における生活環境の保全等に関する条例等(以下、総称して「土壌汚染関連法令」という。)によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、六価クロム、鉛、塩素、トリクロロエチレンその他特定有害物質による土地の土壌汚染の状況について調査し、都道府県知事に報告を行わなければならない場合があります。

また、特定有害物質による土壌の汚染により、人の健康にかかる被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な手段をとる必要がある場合があります。

上記の制度を前提にした場合、当社の保有する本社地区の敷地内の一部において、当社が業務上使用していない特定有害物質に関して、これまでに基準値を上回る測定結果が断続的に確認されております。発生源で対策を講じており、現時点において、当社において何らかの対策を行う必要はないものの、将来当社が同工場用地を売却したり、同工場施設の使用を廃止する場合等に、土壌汚染関連法令に基づく調査を実施しなければならない可能性があります。

なお、当該調査において土壌汚染関連法令に定める基準値を超える汚染土壌が確認された場合は、かかる有害物質を除去するために土壌汚染関連法令に基づく汚染土壌の入れ替えや洗浄などの処理が必要となり、その対応に費用と時間を要する可能性があります。

 

(7)知的財産権等について

当社グループでは、加工プロセスに係わる技術開発が多くありますが、出願公告を行うことによりノウハウの社外流出に結びつく恐れが多分にあると考えているため、特許権・実用新案権の取得を積極的には行わない方針です。このため、他社が当社の開発した技術にかかる特許を取得した場合は、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループにおいては、他社の知的財産権等の侵害を防止するため、必要と考えられる社員への教育や関連文献の調査、弁理士等専門家への相談を行う処置を講じておりますが、かかる処置にもかかわらず、他社の知的財産権を侵害してしまった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

(8)政情不安が与える影響について

当社グループは貴金属表面処理事業において海外需要の高まりから、フィリピンに生産拠点を有しております。今後、日本メーカーの海外移管の促進等により当社グループ内での海外生産高シェアも増加していくものと考えております。しかし、アジア諸国の一部では政情不安等がもたらす影響も懸念され、また、法令や政策、規制、税制等の変更が行われた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(9)主要原材料の価格変動について

当社グループの主要事業である表面処理加工並びにプレス加工において、主要原材料としてそれぞれ「シアン化金カリウム」と「銅平板材」が使用されております。シアン化金カリウムは金を68.3%含有しており、プレス原材料は銅など、それぞれ国際的な取引市場での市況により価格が左右されます。当社グループでは顧客からの受注の中で原材料価格の上昇を販売価格に転嫁するよう努力しているものの、金並びに銅の市場価格の変動が当社グループの予想を超えた場合など単価に十分に反映できないような場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材の確保について

当社グループは、経営環境の急激な変化に対応してコスト構造の抜本的な見直しを行い、経費削減に努めてまいりました。しかし、顧客の内製化の推進や海外グループ会社への生産移管などが進んでおり、経営環境の変化に対応した更なる収益体質への変革を進めております。

表面処理加工及びプレス加工の作業は自動化及びマニュアル化による標準作業ができる状況にありますが、微細加工技術を追求した加工方法の、ニッケルバリア、スポットめっき等については、その加工設定などにおいて人に依存する割合が高い部分もあり、標準化体制を整えるべく推進しております。しかしその体制構築に時間を要しており、品質を支える技能者の確保、技能の伝承は不可欠な状況です。今後技能者の退職というような事態が生じた場合には、生産に支障を来し当社グループの業務運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)事故災害等による影響について

当社グループは国内において関東及び南東北に生産拠点を有し、また海外においてはフィリピンに拠点を設け、市場動向に合致した最適地生産活動と、生産拠点分散による各種事故や災害発生から被る影響を最小限に抑える対策を講じております。
 当社は、東北工場(現東北事業部:福島県郡山市・西部第二工業団地内)において、火災および汚染水河川流出事故を発生させた経緯があります。この経験を生かし社内防火教育訓練や予防対策をはじめリスク管理体制には万全を期して対処しておりますが、今後同様の事故が発生した場合や地震等自然災害による製造設備や処理プラントの被害状況によっては、対処や復旧作業に多大な時間と費用を要する場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 また、新型コロナウイルスの世界的な拡散のような経済活動に大きな打撃を与える事象が発生した場合においても同様に当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス等の感染拡大は、従業員の活動が制約され、生産・販売等の企業活動に幅広く影響を及ぼす可能性があります。当該リスクについては、社内に危機管理マニュアルを制定し、従業員自らが感染防止行動をとるとともに、従業員の感染リスクを避けつつ得意先との商談や新製品・技術に関する情報収集が可能となる働き方の検討・導入等で対応いたします。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済におきましては、欧州経済ではインフレは一服したものの景況感は減速しつつあり、中国経済では不動産市場など内需低迷により、景気の停滞が継続しております。また、アメリカ経済ではインフレ率鈍化の中で比較的堅調さを維持してきたものの減速感が見られる状況となりました。

 我が国経済におきましては、インバウンド需要や個人消費が堅調なことにより景気は回復基調で推移しました。一方で原材料価格の高止まりや物価の上昇、アメリカ関税政策を巡る動向など依然として不透明感の高い状況となっております。

 当社グループが属する電子工業界では、自動車市場では比較的底堅く推移し、通信市場においても一部製品において需要が回復し、在庫調整が長期化していた産業機器向け分野では回復の兆しが見えるなど、当連結会計年度は厳しさが継続する中でも堅調に推移しました。

 このような状況のもと当社グループは、微細めっき技術の追求等による品質向上や、製造工程の自動化等による生産性向上に積極的に取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は10,830百万円(前年同期比23.0%増)、営業利益は796百万円(前年同期比241.7%増)、経常利益は806百万円(前年同期比122.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は765百万円(前年同期比144.8%増)となりました。

 

 なお、セグメント毎の経営成績は次のとおりであります。

 

 ① 日本

当連結会計年度は、自動車市場では比較的底堅く推移し、通信市場においても一部製品において需要が回復、在庫調整が長期化していた産業機器向け分野では回復の兆しが見えるなど、当連結会計年度は厳しさが継続する中でも堅調に推移しました。

この結果、売上高は7,711百万円(前年同期比30.7%増)、営業利益は508百万円(前連結会計年度末は営業損失188百万円)となりました。

 

 ② フィリピン

当連結会計年度は、自動車向け分野を中心とした受注が堅調に推移し増収となりましたが、原材料価格の高騰等により収益面では減益となりました。

この結果、売上高は3,177百万円(前年同期比9.2%増)、営業利益は243百万円(前年同期比30.0%減)となりました。

 

(2)財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金が290百万円減少したものの、原材料及び貯蔵品が323百万円、機械装置及び運搬具(純額)が272百万円、売掛金が259百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ797百万円増加し、12,851百万円となりました(前連結会計年度末は12,054百万円)。

 負債は、長期借入金が333百万円減少したものの、短期借入金が580百万円、流動負債その他が173百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ461百万円増加し、6,096百万円となりました(前連結会計年度末は5,634百万円)。

 また純資産は、為替換算調整勘定が248百万円減少、自己株式が134百万円増加したものの、利益剰余金が721百万円増加したことから、前連結会計年度末と比べ335百万円増加し、6,755百万円となりました(前連結会計年度末は6,419百万円)。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末と比較して386百万円増加し、2,938百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、461百万円の増加(前年同期は1,054百万円の増加)となりました。これは主に棚卸資産の増加が386百万円、売上債権の増加が366百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が813百万円、減価償却費が448百万円あったことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、28百万円の増加(前年同期は283百万円の減少)となりました。これは主に定期預金預け入れによる支出が748百万円、有形固定資産の取得による支出が580百万円あったものの、定期預金の払戻しによる収入が1,349百万円あったことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、35百万円の減少(前年同期は495百万円の減少)となりました。これは主に短期借入金の増加が580百万円あったものの、長期借入返済による支出が352百万円、自己株式の取得による支出が139百万円、リース債務返済による支出が76百万円、配当金の支払が44百万円あったことなどによるものであります。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

 前年同期比(%)

日本

7,836,016

129.6

フィリピン

3,063,832

105.6

合計

10,899,848

121.8

(注)金額は販売価格によっております。

 

② 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

8,379,931

136.4

794,507

167.4

フィリピン

3,175,237

104.3

27,319

137.2

合計

11,555,168

125.8

821,826

166.2

(注)金額は販売価格によっております。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

日本

7,652,895

129.9

フィリピン

3,177,476

109.2

合計

10,830,372

123.0

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

 

 

相手先

前連結会計年度

(自 2023年8月1日

   至 2024年7月31日)

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

   至 2025年7月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

JAE Philippines Inc.

2,047,951

23.3

2,245,313

20.7

㈱鈴木

1,177,726

10.9

(注)1.㈱鈴木の前連結会計年度における販売実績の総販売実績に対する割合は100分の10未満ですので、その記載を行っておりません。

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態の分析

「(2) 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績の分析

「(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

このような状況のもと、当社グループは、民生用機器向け分野の回復や通信向け分野での次世代高速通信開発、自動車部品の受注拡大に向け東北事業部での新ライン増強を進めるなど積極的な設備投資を実施し、一層の受注拡大に努めてまいります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の詳細につきましては、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、貴金属表面処理加工工程を中心とした国内同工程の生産性向上を目的とする設備増強であります。

また、当社グループが使用する主材料のうちシアン化金カリウムは高価であることから、調達コストを抑えるため現金購入を行っておりますが、主材料購入が主要な資金需要の一部分になっております。

上記の資金需要に対応するため、当社グループは取引金融機関から資金調達を行っております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間に収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行い、提出日現在において判断したものであり、将来に関しては不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

⑴当連結事業年度において新たに締結した重要な契約

 当社は、2024年10月31日開催の取締役会において、明王化成の全株式を取得することを決議し、2024年11月11日付で株式譲渡契約を締結しました。2024年11月18日に全株式を取得し、当社の完全子会社といたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等に関する注記)」に記載のとおりです。

 

⑵財務制限条項が付された主な借入金契約

当社は、金融機関との間で金銭消費貸借契約を締結しており、その内容は次の通りです。

金融機関

契約締結日

返済期日

期末残高
(千円)

担保

財務制限条項

株式会社

りそな銀行

2021年1月15日

2025年8月29日

2029年1月20日

2,088,585

根抵当権
(建物・土地)

各年度の決算期の末日における連結の貸借対照表における純資産の金額を前年同期比75%以上に維持すること。

各年度の決算期における連結の損益計算書に示される経常損益が2期連続して損失とならないようにすること。

株式会社

三菱UFJ銀行

1,186,155

株式会社

商工組合

中央金庫

518,710

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、主に日本セグメントの事業開発部にて行われ、水素透過膜をはじめとする当社新規開発品については、積極的に外部との交流を図りながら開発を進めております。当連結会計年度における研究開発費として38,431千円を費やしております。当連結会計年度における研究の主要課題は次のとおりであります。

 

 2050年カーボンニュートラル達成に向け、世界各国の水素エネルギー開発競争が激化する中、我が国では水素産業戦略、GX2040ビジョンに基づく経済活動が活発化しています。

 各業界でGHG削減が強く求められていく中、高まるカーボンニュートラル技術へのニーズから、水素関連技術についても引き続きニーズの高まりを見せています。

 これを受け、水素透過膜をはじめとする当社新規開発品については、事業化に向けた動きをさらに加速してまいります。

 開発中の水素透過膜は当社の貴金属めっき技術を応用したもので、既存技術で製造された水素透過膜と比較し、低コストかつ水素の透過量を増大させることができるため、水素製造装置の技術的要求に応えられると考えております。

 水素透過膜の開発については、国立大学法人 東京科学大学 総合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所、および国立開発研究法人 産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所とそれぞれ共同研究契約を締結し共同研究をすすめているほか、福島県からも支援を頂いております。

 当社の水素透過膜開発が水素の普及に寄与するよう、事業化に向けた開発を推進してまいります。