第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「社会に人に信頼されるものづくり企業であり続ける」ことを企業理念としております。

この企業理念のもと、船舶、海洋、機械、プラント、社会インフラ、その他IT・サービス関連など広範囲の事業分野において培った複合技術とグローバルな事業活動で積み重ねた経験を総合的に調和させた製品・サービスを提供する“ものづくり企業”として、社会や人々からの期待に応え信頼を高めることを経営の基本方針としております。

この基本方針に基づき「顧客満足の向上」、「従業員尊重」、「社会の発展への寄与」、「利益追求」を経営姿勢として掲げ、全てのステークホルダーに対し企業として存続する価値を評価されるよう努めております。そのために、経営環境の変化に迅速に対応できる意思決定体制と株主重視の公正な経営システムの構築・維持に取り組んでおります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、2016年2月に公表した長期ビジョン「MES Group 2025 Vision」を2016年度よりスタートさせました。この「MES Group 2025 Vision」では、「三井造船グループは、社会に価値をつくりだすエンジニアリングチームへ」をありたい姿とし、「環境・エネルギー」、「海上・物流輸送」、「社会・産業インフラ」の3事業領域において、グループ一体となり、グループ外のパートナーとも連携し、社会のニーズ、課題に対して、新たな価値を提供してまいります。

2017年度にスタートした17中計は、「MES Group 2025 Vision」の達成に向けたファーストステップであり、変革期と位置付けています。2018年4月には、船舶・艦艇事業、機械・システム事業及びエンジニアリング事業を、それぞれ吸収分割の方法によって「三井E&S造船株式会社」、「株式会社三井E&Sマシナリー」及び「株式会社三井E&Sエンジニアリング」に承継させ、持株会社体制へ移行するとともに、商号を「三井造船株式会社」から「株式会社三井E&Sホールディングス」に変更いたしました。今後は、注力事業へのリソースの重点配分を進めるとともに、戦略実行にあたっての柔軟性やスピードの向上を図ってまいります。加えて、グループ内外との連携を強化し、ビジネスモデルの次世代化を加速することで、「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」を目指してまいります。

 

(3)経営環境等

当社を取り巻く事業環境は、経済のブロック化、為替・資源相場のボラティリティの増大といった世界経済の先行き不透明感がある中、新造船市場の低迷、中国・韓国といった新興国の競合企業の攻勢による価格競争の激化等、既存のビジネスモデルからの変革が求められる環境となっております。一方、新興国を中心としたエネルギー需要の増加や環境・省エネ志向の高まり、さらには国内のインフラ更新需要の増大等、事業拡大の機会も大きくなっております。

このような外部環境の変化に対し当社は、「製品・サービスの付加価値向上」、「製造・EPCの構造改革」、「周辺サービスの拡大・強化」を戦略の柱とし、差別化やコスト競争力の強化、収益の安定化を図り、グループ総合力とバリュー連鎖の強みを活かし、需要機会に応えてまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

17中計の最終年度である2019年度において、売上高9,200億円、経常利益370億円、ROIC6.5%、有利子負債残高2,700億円以下を経営数値目標として掲げ、その達成に全力を注いでまいります。

 

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

17中計では「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」を目指す姿とし、持株会社体制の下その実現のために次の課題に取り組んでまいります。

 

① 遠心力と求心力のバランスの取れた体制の構築

事業会社の独立性と、総合力を発揮できるグループ経営の両面を実現する、バランスの取れた体制を構築します。

 

リスクマネジメントの強化

EPC工事をはじめとする大口プロジェクトの採算確保のため、情報収集力を更に強化し、不測のトラブルを未然に防止するための体制を構築します。

 

最適な生産体制の構築・柔軟なEPC遂行体制の確立

コスト競争力の向上、高品質でリーズナブルな製品・サービスの提供が可能となるよう、最適地生産を含めた生産体制の構築と柔軟なEPC遂行体制の確立を目指してまいります。

 

グループ財務体質の改善

複数の工事損失により近年増加した有利子負債を削減し、グループ財務基盤を強化します。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループとして判断したものであります。

 

(1)経済情勢

当社グループは、国内のほか世界各地で事業を展開しており、また輸出割合が高いことから、それぞれの製品の市場や地域における経済情勢の動向による不確実性が存在しております。その事例として、船舶部門及び機械部門の舶用ディーゼル機関については海運市況の影響、海洋開発部門、機械部門及びエンジニアリング部門においては国内外の設備投資動向や公共事業の動向の影響などが挙げられます。

 

(2)カントリーリスク

当社グループは、海外に向けて製品・サービスの提供を行うだけでなく、エンジニアリング部門を中心に海外現地工事の請負を行っております。仕向地や現地工事を行う国や地域によっては、政情不安(戦争、テロ)、国家間対立による貿易制裁、宗教及び文化の相違、現地の労使関係等のリスク、商習慣に関する障害、資金移動の制約、特別な税金及び関税などが、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、貿易保険の付保、現地の法律や会計コンサルタント等からの情報収集及びその対策の実施などにより、これらリスクの緩和に努めております。

 

(3)法的規制

当社グループは、国内外での事業の遂行にあたり、それぞれの国での各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、これら法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合には、その結果が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)当社グループの事業の特性

当社グループの事業は、個別受注生産を中心としており、契約を締結した時に見積もったコストと実際のコストとの間に受注後のコスト上昇要因により著しい差異が生じることがあります。また、契約から引渡しまで長期間に亘る工事も多く、その間の社会情勢の変化や調達価格の変化等に影響を受けます。その対策として、慎重な見積もり、安定した資材調達先の確保、代金の早期回収、また、海外事業においては貿易保険の利用などリスクの回避に努めておりますが、上述のような事業環境の変化が示現した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)為替レート変動の影響

当社グループは、海外子会社の受注、売上も含めると海外向け受注高、売上高は年次によりばらつきはあるものの概ね全体の50%以上という高い割合を占めております。このため当社は為替レートの変動による影響を軽減する対策として、外貨建借入金、為替予約の実施や海外調達等による外貨建コストの比率を高めるなど、そのリスク量を適正な水準に調整しております。しかしながら、為替レートの大幅な変動がある場合には、受注・売上及び損益に影響を受けるリスクがあります。但し、海外子会社においては、大部分のコストは外貨建てのため、損益への為替の影響は軽微であります。

 

(6)調達価格

当社グループは、船舶、海洋開発、機械、エンジニアリング等の事業展開を行い、多種多様な原材料・部品等の調達を行っております。例えば鋼材については、その急激な価格上昇・需給逼迫等が生じた場合、コスト増加、工程の遅れにより当社グループの損益を悪化させる可能性があります。そのため、種々の原材料・部品等について長期安定供給の体制を確保するとともに、価格交渉等を通じて、その影響を軽減するよう努めております。

 

(7)大規模災害

当社グループは、地震、風水害、感染症の世界的流行(パンデミック)など各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、設備の点検・訓練の実施、緊急連絡体制の整備など、事業継続計画(BCP)を策定しております。しかしながら、このような災害による物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、当社グループの生産活動を中心とした事業活動に影響が生じる可能性があります。また、災害による損害が損害保険等によりカバーされるという保証はありません。

 

(8)製品の品質

当社グループは、品質や安全に関する法令等を遵守し、製品の品質や信頼性を常に追求していますが、製品の性能、品質、納期の遅れに起因するクレームや事故が発生した場合、損害賠償や訴訟費用等により多額のコストが発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)環境保全

当社グループは、生産活動における省資源、省エネ、廃棄物量の削減及び有害物質の厳格な管理などの環境保全活動を重要な課題のひとつと認識し、環境汚染防止に努めております。また不測の事態により有害物質が外部へ漏洩した場合に備えて、その拡大を最小限に抑えるべく対策を講じています。しかしながら、環境汚染が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等の負担により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報セキュリティ

当社グループは、事業を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、また当社グループの技術・事務管理に関する機密情報や個人情報を有しており、これらの情報の保護に努めております。しかしながら、パソコン、サーバー及びネットワーク機器の障害や紛失・盗難、外部からの攻撃やコンピュータウィルスの感染等によりこれらの情報が流出あるいは消失した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)税効果会計及び退職給付会計

税効果会計及び退職給付会計においては、将来の予想・前提に基づいて、その資産・債務等の算定を行っております。そのため、予想・前提となる数値に変更がある場合もしくはこれらの算定を行うための会計基準の変更がある場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)減損会計

当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化等により収益性が低下した場合、また、遊休資産について時価等が下落し、回収可能価額が低下した場合には、減損損失を計上するため、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)株式市場の影響について

当社グループが保有する投資有価証券のうち時価のあるものについて、これらの時価が簿価から著しく下落し、回復の見込みのない場合は、評価損を計上するリスクがあります。また、株価の変動は年金資産の変動を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績等の状況

当連結会計年度の世界経済は、米国では、内外需要の回復による企業収益の改善に加えて、良好な雇用・所得環境を背景に個人消費の回復傾向が続いていますが、トランプ政権の保護主義政策が及ぼす世界経済への影響が懸念されています。欧州では、外需拡大と安定的な個人消費を背景に、ユーロ圏において堅調な景気回復が持続している一方で、英国のEU離脱に対する先行き不透明感が根強く残っています。新興国や資源国では、先進国経済の回復が続く中で輸出は総じて堅調に推移し、個人消費を中心に内需も底堅い伸びを示しています。国内経済は、原油や資機材価格の上昇、円高株安の進行が見られたものの、欧米・アジア向け輸出の増加やインバウンド需要などにより企業業績は好調に推移しており、雇用・所得環境の改善で消費者マインドも上向くなど、景気は緩やかな回復基調を続けています。

 

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて675億12百万円減少の1兆292億22百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて567億41百万円減少の6,723億85百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて107億71百万円減少の3,568億37百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、受注高は1兆1,606億62百万円(前年同期比+124.7%)、売上高は7,032億16百万円(同△3.9%)、営業損失は52億24百万円(前年同期は83億4百万円の営業利益)、経常利益は30億61百万円(同△79.4%)、親会社株主に帰属する当期純損失は101億37百万円(前年同期は121億94百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

〔経営成績の推移:連結ベース〕

 

 

 

 

 

受注高

(百万円)

売上高

(百万円)

営業利益又は

営業損失(△)

(百万円)

経常利益

(百万円)

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(百万円)

1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△)

(円)

2018年3月期

1,160,662

703,216

△5,224

3,061

△10,137

△125.42

2017年3月期

516,577

731,464

8,304

14,859

12,194

150.87

2016年3月期

609,621

805,413

11,813

15,078

7,599

94.03

 

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。

 

(船舶)

受注高は1,069億47百万円(前年同期比+57.9%)、売上高は1,124億72百万円(同△11.2%)、営業損失は152億60百万円(前年同期は97億53百万円の損失)となりました。

 

(海洋開発)

受注高は7,009億24百万円(同+656.1%)、売上高は1,911億82百万円(同△16.3%)、営業利益は113億21百万円(同△36.7%)となりました。

 

(機械)

受注高は1,868億70百万円(同+12.0%)、売上高は1,817億33百万円(同+3.9%)、営業利益は113億94百万円(同△22.9%)となりました。

 

(エンジニアリング)

受注高は1,278億40百万円(同△14.7%)、売上高は1,803億81百万円(同+10.9%)、営業損失は155億45百万円(前年同期は173億33百万円の損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは35億55百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは90億46百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは148億13百万円の支出となったことなどにより、前連結会計年度に比べて293億8百万円減少(△25.3%)して863億11百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて42億88百万円減少して35億55百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益109億7百万円、減価償却費171億95百万円などがあった一方、投資有価証券売却益38億79百万円、固定資産処分益69億35百万円、仕入債務の減少による支出145億51百万円があったことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて197億6百万円減少して90億46百万円となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の売却による収入132億98百万円、投資有価証券の売却による収入62億39百万円、貸付金の回収による収入737億33百万円などがあった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出180億97百万円、関係会社株式の取得による支出127億86百万円、貸付けによる支出689億61百万円があったことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、148億13百万円(前連結会計年度は194億1百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入406億64百万円、社債の発行による収入100億円などがあった一方、短期借入金の純減少による支出22億15百万円、長期借入金の返済による支出422億85百万円、リース債務の返済による支出22億3百万円、社債の償還による支出150億円、配当金の支払額24億16百万円があったことなどによるものであります。

 

〔財政状態の推移:連結ベース〕

 

総資産

(百万円)

純資産

(百万円)

自己資本比率

(%)

営業活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

投資活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

財務活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

有利子
負債残高

(百万円)

2018年3月期

1,029,222

356,837

23.2

△3,555

△9,046

△14,813

264,882

2017年3月期

1,096,735

367,608

22.8

△7,843

△28,753

19,401

275,557

2016年3月期

1,094,042

343,853

21.5

29,802

△34,599

48,216

252,195

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

船舶

111,052

△14.6

海洋開発

190,288

△13.6

機械

184,235

5.4

エンジニアリング

178,051

7.5

その他

37,502

△4.8

合計

701,130

△4.0

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

船舶

106,947

57.9

140,543

△4.7

海洋開発

700,924

656.1

1,144,498

76.4

機械

186,870

12.0

160,944

3.2

エンジニアリング

127,840

△14.7

242,379

△15.3

その他

38,079

△3.4

7,671

9.1

合計

1,160,662

124.7

1,696,036

36.1

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

船舶

112,472

△11.2

海洋開発

191,182

△16.3

機械

181,733

3.9

エンジニアリング

180,381

10.9

その他

37,445

△3.8

合計

703,216

△3.9

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって、期末時点において連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与える判断、見積りを行っております。貸倒引当金、受注工事損失引当金などの各種引当金、繰延税金資産の回収可能性及び工事進行基準による売上など、見積りにあたっては、それぞれ合理的な方法によっております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べて675億12百万円減少の1兆292億22百万円となりました。これは主に、現金及び預金が261億13百万円、受取手形及び売掛金が179億6百万円、有形固定資産が171億91百万円それぞれ減少したことなどによります。

負債は、1年内返済予定の長期借入金が152億91百万円、社債が100億円それぞれ増加した一方、長期借入金が177億70百万円、前受金が159億61百万円、支払手形及び買掛金が150億62百万円、1年内償還予定の社債が150億円、受注工事損失引当金が55億29百万円それぞれ減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べて567億41百万円減少の6,723億85百万円となりました。

純資産は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の減少などにより、前連結会計年度末と比べて107億71百万円減少の3,568億37百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の受注高は、子会社の三井海洋開発株式会社が大型プロジェクトを受注したことなどにより、前連結会計年度と比べて6,440億84百万円増加(+124.7%)の1兆1,606億62百万円となりました。

売上高は、船舶及び海洋開発部門において進行基準工事売上が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べて282億48百万円減少(△3.9%)の7,032億16百万円となりました。

営業損益は、船舶、海洋開発及び機械部門において減益となったことにより、前連結会計年度の83億4百万円の利益から52億24百万円の損失となりました。

経常利益は、営業損失になったことに伴い前連結会計年度と比べて117億98百万円減少(△79.4%)の30億61百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純損益は、固定資産処分益が減少したことなどにより、前連結会計年度の121億94百万円の利益から101億37百万円の損失となりました。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(船舶)

世界の海運業界は、一昨年までの新造船の大量竣工により、依然として船腹量の過剰状況が継続しています。特にドライバルク部門においては用船料水準の低迷により新造船の商談も低調に推移したため、苦戦を強いられた1年でした。しかしながら一方で市況には底打ち感が見え始め、わずかながらも用船料は回復基調を示し、年度後半から新造船の引き合いが増えてきました。

ガス船の分野では、LNG輸出プロジェクトの進展が遅れており、大型LNG船の新造船商談が低迷している中で中小型LNG船では域内輸送を中心とした計画が複数見られています。

海洋開発分野では、ブラジルにおいて政治的背景等で先送りされていた開発案件が動き始め、これらに投入される浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO/FSO)の整備も活性化し、事業環境は堅調に推移するものと見ています。

このような状況下で、当社グループは、引き続き省エネ・環境対応技術を取り入れて市場投入した新型ばら積み貨物運搬船、VLCC、中小型ガス船で受注活動を展開します。また、中古タンカーの改造が主流のFPSOに対して耐久性に優れた新造船体を短納期で供給する新造FPSO船体「noah」で海洋ブランドの確立を図ります。

国防保安分野においては、本邦周辺海域をめぐる緊張の高まりから艦船・官公庁船の増強が計画されており、当社グループが有する高い技術と精度の建造技術でこれに貢献すべく、受注活動を展開してまいります。

 

受注高は、市況低迷下にあっても中小型ばら積み貨物運搬船の受注を8隻積み上げ、その他防衛省向け艦船を含む官公庁船の受注により、前連結会計年度と比べて392億35百万円増加(+57.9%)の1,069億47百万円となりました。売上高は、ほぼ計画通りに推移し、前連結会計年度と比べて142億17百万円減少(△11.2%)の1,124億72百万円となりました。営業損失は、これまで大きな損失の原因となっていた海洋支援船工事がすべて完了したものの、一部の建造船で建造コストが増加したことに加え、一般商船の受注工事損失引当金の増加等により、前連結会計年度と比べて55億7百万円増加の152億60百万円の損失となりました。

 

(海洋開発)

原油価格は、主要産油国による協調減産措置が継続されたこと等を背景に供給過剰懸念が和らぎ、WTIは2017年末にかけて上昇し、1バレル60米ドル台で推移しています。エネルギー資源の持続的な供給の観点から石油会社による海洋油田・ガス田の開発は継続的に行われると認識しており、FPSO事業の中長期的な成長を期待しております。

このような状況にあって、当社グループは17中計に掲げた「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」の方針のもと、エンジニアリング部門によるFPSOトップサイドのEPC(設計・調達・建設)参入など、グループ全体で協業を強化してまいります。

受注高は、大型チャータープロジェクト2件の新規受注、既存プロジェクトの仕様変更及びオペレーションサービス等により、前連結会計年度と比べて6,082億20百万円増加(+656.1%)の7,009億24百万円となりました。売上高は、FPSO建造工事の進捗が減少したこと等により、前連結会計年度と比べて372億37百万円減少(△16.3%)の1,911億82百万円となり、営業利益は、前連結会計年度と比べて65億74百万円減少(△36.7%)の113億21百万円となりました。

 

(機械)

舶用ディーゼル機関については、船腹の需給ギャップが解消されず、厳しい受注環境が続いていますが十分な工事量を確保しております。生産量は大型機関の生産比率が増えたことから146基/377万馬力となり、次期連結会計年度も388万馬力程度を予定しています。また、昨年度に引き続き、NOx三次規制対応として排気ガス再循環システムを装備した舶用大型低速ディーゼル機関の採用が決定しております。

産業機械については、原油価格は徐々に上昇しており石油精製関連設備である往復動圧縮機の引合いは増加傾向にありますが厳しい受注環境が続いています。一方、軸流圧縮機や炉頂圧回収タービンについては国内製鉄所から受注し、現在、需要が旺盛なインド向けの案件に注力しております。

運搬機については、東南アジアを中心に旺盛な需要があり、ベトナム向け大口案件等により受注高は前連結会計年度から大きく増加しました。今後も堅調な需要が見込まれることから、需要地に近いインドネシアにコンテナクレーン製造子会社を設立いたしました。これにより、製造コストだけでなく、輸送コストも削減し、競争力強化を図ってまいります。

社会インフラについては、スリランカ向け高架橋や、国内向けでは大型鉄構構造物(沈埋函)や熊本地震で損傷を受けた橋梁の復旧工事などにより受注高・売上高とも前連結会計年度から大きく増加しました。現在、国内案件では高速道路の更新工事(床版取替等)などの保全案件の比率が増加していることから、今後ともこの分野に注力してまいります。

アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、海運市況が緩やかな回復傾向にあること、また、クレーンの新設増加に伴う移設・撤去・解体工事や安定稼動に向けた改修工事などにより、受注高・売上高ともに前連結会計年度から増加しました。

受注高は、舶用ディーゼル機関、コンテナクレーン、橋梁、港湾関連構造物、各種産業用機械及びアフターサービス事業などにより、前連結会計年度と比べて200億41百万円増加(+12.0%)の1,868億70百万円となりました。売上高は、これらの製品・事業により前連結会計年度と比べて68億86百万円増加(+3.9%)の1,817億33百万円となり、営業利益は、前連結会計年度と比べて33億77百万円減少(△22.9%)の113億94百万円となりました。

 

(エンジニアリング)

環境・エネルギー分野については、当社グループのバイオマス発電事業として、2017年9月に市原バイオマス発電所(千葉県市原市)の建設工事を開始しました。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)による買取価格は下落傾向にありますが、当社では今後もバイオマス発電事業を、グループ会社であるBurmeister & Wain Scandinavian Contractor A/S社との協業で拡大していきます。また、風力発電事業では主力の陸上風力発電に加え、新たに着床式洋上風力発電を市場投入し、受注拡大に向けて取り組んでまいります。

 

海外インフラ分野については、東南アジアで恒常的な電力不足が喫緊の課題ではあるものの、新たな投資計画は遅延する傾向が見られます。そのような中、既に受注しているインドネシアで2件、ベトナムで1件の石炭火力発電所土木工事を進めています。

石油化学分野については、原油価格の回復により海外・国内共に市況は回復傾向にありますが、当社グループにおいては受注戦略の見直しにより、大型案件の受注を控えました。

受注高は、バイオマス発電所建設工事等の受注がありましたが、前連結会計年度と比べて220億53百万円減少(△14.7%)の1,278億40百万円となりました。売上高は、石油化学プラント建設工事や発電所土木工事の進捗等により、前連結会計年度と比べて177億83百万円増加(+10.9%)の1,803億81百万円となり、営業損失は、懸案となっていた連結子会社におけるプラント工事が建設完了したこと等により前連結会計年度と比べて17億87百万円減少の155億45百万円となりました。

 

c. キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については銀行借入又はCPによる短期資金調達、あるいはコミットメントラインの利用などによって流動性を保持しております。

また、当社と連結子会社間は「CMS預貸制度(キャッシュ・マネージメント・システム)」により資金融通を行うことで資金効率を高めております。一方、設備資金、投融資資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、国内外での資金調達について、市場金利動向や為替動向、あるいは既存借入金の償還時期等を総合的に勘案し、社債及び長期借入金によって流動性を維持しております。また、設備投資の一部はリース取引によっております。

当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べて293億8百万円減少して863億11百万円となりました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、FPSO等の建造工事において工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれによる債権債務の変動などにより支出が減少し前連結会計年度に比べて42億88百万円減少して35億55百万円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付けの減少及び貸付金の回収などにより支出が減少し前連結会計年度に比べて197億6百万円減少して90億46百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入れによる収入の減少に加えて、償還期限を迎える社債の償還による支出などにより148億13百万円の支出(前連結会計年度は194億1百万円の収入)となりました。

 

なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

合計

返済・償還

1年以内

返済・償還

1年超

短期借入金

11,703

11,703

長期借入金

193,573

62,924

130,649

社債

50,000

50,000

リース債務

9,107

1,990

7,116

その他有利子負債

498

95

402

合計

264,882

76,714

188,168

 

 

④ 中期経営計画の進捗

当社グループは、2017年度中期経営計画(17中計)において、「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」を目指す姿とし、最終年度となる2019年度の目標値として下記数値を掲げております。

当連結会計年度における売上高は期初計画通りの7,032億円となりました。一方、経常利益及びROICは海外プラント工事での多額の損失発生等による収益の圧迫を受け、それぞれ31億円、0.4%となり、計画値を下回りました。有利子負債については目標とした水準以下の2,648億円となりました。

17中計の2年目となる2018年度は、4月に持株会社体制へと移行したのを機に、事業の選択と集中を加速してまいります。さらには、企業グループとして戦略の立案とその実行のスピードを向上させるとともに、他社との協業等の大胆な戦略実行を進め、中期経営計画の達成を目指してまいります。

 

<中期経営計画の進捗>

指標

2019年度末目標

2017年度実績

2017年度(計画比)

売上高

9,200億円

7,032億円

△2,168億円

経常利益

370億円

31億円

△339億円

経常利益率

4.0%

0.5%

△3.5%

ROIC

6.5%

0.4%

△6.1%

有利子負債

2,700億円以下

2,648億円

△52億円

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入

会社名

相手方

提携品目

契約期間

契約内容(対価の支払方法)

国籍

名称

当 社

ドイツ

MAN Diesel & Turbo SE

内燃機関用排ガスターボチャージャー

1981.5

2020.12

(1)ロイヤリティ

(2)技術資料代

MAN B&Wディーゼル機関

1971.11

2021.12

(1)ロイヤリティ

(2)技術資料代

(3)技術指導料

ノルウェー

MOSS Maritime a.s.

球型タンク搭載のLNG船

1994.3

5年毎

自動延長

(1)ロイヤリティ

(2)技術サービス料

オランダ

Howden Thomassen Compressors B.V

往復動コンプレッサ装置

2012.1

1年毎

自動延長

(1)ロイヤリティ

(2)技術サービス料

フランス

Gaztransport & Technigaz S.A.S.

メンブレン型LNG船

2017.1

2023.1

(以後5年毎自動延長)

(1)ロイヤリティ

(2)技術サービス料

昭和飛行機工業㈱

ドイツ

スピッツァ社

粉粒体バルク輸送車両及び粉粒体バルク輸送ボデーの製造技術

1967.2

2019.3

(1)イニシャルペイメント

(2)ロイヤリティ

 

 

(2) 技術供与

会社名

相手方

供与品目

契約期間

契約内容(対価の受取方法)

国籍

名称

当 社

中国

Shenyang Blower Works Co.,Ltd.

軸流圧縮機

2004.11

2024.6

(以後5年毎自動延長)

(1)イニシャルペイメント

(2)ロイヤリテ

(3)技術サービス料

Shenyang Turbo Machinery Corporation

炉頂圧回収タービン

2016.6

2026.6

(以後5年毎自動延長)

(1)イニシャルペイメント

(2)ロイヤティ

日本

㈱マキタ

MAN-B&W型小口径ディーゼル機関の製造及び販売に関する再実施権

1981.5

1年毎

自動延長

ロイヤティ

㈱ディーゼルユナイテッド

MAN-B&W65及び70型ディーゼル機関の製造及び販売に関する再実施権

2010.1

2019.12

ロイヤティ

MDエンジニアリング㈱

MD-Gシリーズガスエンジン

2011.12

1年毎

自動延長

(1)ロイヤティ

(2)技術資料代

 

(3)会社分割による持株会社体制への移行

当社は、2017年6月28日開催の定時株主総会の承認を経て、2018年4月1日付で当社を分割会社、当社100%子会社である3社を承継会社とする吸収分割を実施し、持株会社体制に移行いたしました。

また、同日付で株式会社三井E&Sホールディングスに商号を変更しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

(4)固定資産の取得

当社の連結子会社である昭和飛行機工業株式会社は、2018年1月26日開催の取締役会において賃貸事業用土地の取得を決議し、2018年4月3日に物件の引渡しが完了しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

 

5【研究開発活動】

当社グループは、4事業分野に対応した研究開発セグメントを設定し、それぞれの事業分野の中核技術を基軸として、製品競争力強化と事業拡大につながる研究開発を積極的に推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、45億68百万円であり、この中には受託研究等の費用10億36百万円が含まれております。なお、各事業部門における主な研究開発は以下のとおりであります。

 

(1)船舶

・商船に関しては、省エネ、環境対応技術を取り入れた新ルール対応型ばら積み貨物運搬船を開発し、営業活動を行っています。省エネ船の先行ヤードである当社の強みを維持するために、引き続き新船型開発や省エネ技術開発を進め、neoシリーズのラインナップ拡充を図ってまいります。艦船・官公庁船については、次世代艦艇として30DDを開発して参りましたが、2隻受注を果たしました。

・自動船位保持装置(DPS)は世界的に顧客ニーズが増加しており、2017年度は基本機能を充実させる開発を行いました。本DPSは自律型海上輸送システムの基幹システムとしての発展も見据えて開発を行っております。

・2017年度より自律型海上輸送システムの開発に着手いたしました。本件は、国土交通省交通運輸技術開発推進制度の補助金対象テーマとなっており、大学、官庁、商船会社等で形成された開発グループの中で当社が中核企業として開発を推進してまいります。

・共同研究チーム“Team KUROSHIO”を結成し共同研究を進めている超広域高速海底マッピングに関する開発は2年目を迎えています。マッピング技術を競う国際コンペティション(XPRIZE)において国内では唯一ラウンド1を通過し、2018年10月頃に開催される決勝ラウンドへの進出が決定いたしました。

・2017年度より、国土交通省補助事業として、Digital Twinによる造船工程の高度化の研究を開始しました。コンピュータ上の仮想(理想)現場と実現場の乖離を見える化し、問題の処理を早期に行い、造船事業の効率化を目指すものであります。

当事業に係る研究開発費は、14百万円であります。

 

(2)海洋開発

・海洋開発では、海洋での天然ガス開発に関わる新技術の開発、及び新規事業分野での既存技術活用に向けた研究を行っております。

・新市場開拓のための製品開発としては、FPSOに搭載の発電プラントの技術や係留技術を生かし、島嶼部や新興国向けに電力や淡水を供給する洋上発電・造水設備を開発しました。LNGを燃料とする大容量の発電プラントや造水装置を搭載する本設備は、環境に優しく、短納期、高い発電効率を特長としており、新たな市場への参入を目指してプロジェクトの受注に注力しております。

・新規事業分野としては、FPSOで培った技術経験を生かした洋上風力発電事業の検討を進めております。この他、当社グループがこれまでに蓄積した技術を、レアアースやメタンハイドレートといった海洋鉱物資源及びエネルギー資源の開発に応用するための研究を推進しております。

当事業に係る研究開発費は、1億60百万円であります。

 

(3)機械

・基幹製品関連では、当社が開発した低硫黄燃料対応型の排気再循環システムEGR(High-pressure Exhaust Gas Recirculation)が今治造船株式会社建造の石炭運搬船向け当社製大型舶用ディーゼルエンジンに搭載されることになりました。本EGRは、実機ベースでNOx低減技術を始め各種環境規制対応技術を適用し、陸上試験及び就航試験を行い、開発を進めてきたものです。さらに、船舶用低速ディーゼルエンジンに装備可能なNOx三次規制対応の新型の選択触媒還元システム(High-pressure SCR(Selective Catalytic Reduction))については、ライセンサーであるMAN Diesel & Turbo SE社が開発し、当社玉野事業所のテストエンジン(4S50ME-T)を用いた共同検証試験が完了しました。
 また、CO2削減に寄与する次世代型油圧式廃熱回収システム(THS2)を開発しました。THS2は、過給機により回収した油圧エネルギーを電子制御機関の油圧動力として直接供給するため、機器が簡略化されコンパクトになり、従来は難しかった小型の機関にも採用が可能です。シンプルな構造のため、他の廃熱回収技術と比較して安価に設置が可能であり、機関内で完結するシステムのため、設計面で船体側へ与える影響が小さい点も特長です。

・LNG燃料船向け燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System、以下FGSS)用高圧往復動式ポンプを開発し、販売を開始しました。既に販売中のLNG運搬船向けFGSS用ガス圧縮機に加えて、主機関であるガスインジェクションエンジン(ME-GI)とセットで供給する体制が整いました。

・当社の100%出資子会社である三造テクノサービス株式会社は、MOL LNG Transport(Europe) Ltd.と、同社の管理する三井 MAN B&W舶用主機関(ディーゼルエンジン)を対象にした20年間の長期メンテナンス契約を2017年9月に締結し、サービスを開始しました。対象船は、当社製の舶用主機関6S70ME-C8.2を各2基搭載している4隻で、定期検査等と部品供給、技師派遣による技術サービスを20年間一括で提供します。これら対象船4隻には株式会社ClassNKコンサルティングサービスと当社が共同で開発したCMAXS e-GICSXが搭載される予定です。このシステムは、ビッグデータを活用した船内での異常診断及び陸上での状態診断を自動で行い、主機関異常の早期発見、重大事故の未然防止をサポートします。

 

・運搬機事業関連では、環境に優しいHybrid型ヤード用トランスファークレーンを開発しました。従来のエンジン駆動に加えリチウムイオン電池を搭載することにより、今まで熱として消費していた回生エネルギーを蓄積し最大限に再利用することで、従来型比で最大60%の燃料消費量削減を達成し、CO2排出量も最大60%削減します。また、CO2排出量の削減のみならず、省燃費によるランニングコスト及び最大20dBの騒音低減を実現し、顧客にも優しい製品となっています。フィリピン・マニラ向けの港湾荷役用に本クレーン16基を受注しました。

当事業に係る研究開発費は、2018百万円であります。

 

(4)エンジニアリング

・中小規模のごみ焼却炉の未利用廃熱を利用して効率的に発電する設備を開発しました。連結子会社である三井造船環境エンジニアリング株式会社(MKE)が佐賀県唐津市から受注した『唐津市清掃センター長寿命化事業基幹的設備改良工事』において、当該設備が設置され、実運転でその性能が確認されました。この設備は、連結子会社である三井造船マシナリー・サービス株式会社製マイクロスチームタービンを使用した小規模蒸気発電設備を組み合わせた第1号機となります。

・都市ごみ清掃工場から排出される溶融スラグを原料として高比表面積シリカを製造する技術を、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で開発しました。これは高比表面積材料として市販されている合成シリカ材料と同等以上の比表面積値で、各種吸着剤等の様々な用途展開が期待できます。

・当社が開発したバイオガスによる発電設備を併設した油温減圧乾燥方式による食品廃棄物の飼料化設備の第2号施設として、MKEが株式会社アルフォから受注した「城南島第2飼料化センター建設工事」は、性能を確認の上、2017年6月に竣工しました。

当事業に係る研究開発費は、1億25百万円であります。

 

(5)その他

・2011年度にNEDOに採択された波力発電技術の開発は、2017年度に実海域での実証試験を完了しました。

・IoT活用による生産性向上については、競争力の強化を目指して工場と協力して取り組みを進めております。ICタグを使用した調達品の管理、遠隔モニタリングによる工作機械の稼働率向上などの成果を生産活動で利用開始するとともに、新たな研究テーマにも取り組みます。

・海底にある次世代資源の開発・事業化を目指し活動を行っています。天然ガスの主成分であるメタンを有する表層型メタンハイドレートに関して、2016年度から開始されている、国による表層型メタンハイドレートの回収技術の研究開発に参加するとともに、採掘技術を確立するため、業界トップレベルの海底掘削技術、サービスを世界中に提供しているドイツのMHWirth GmbH社との協業を開始しています。さらに、急速に進む自動車の電気化等で注目されるレアアースを含んでいるレアアース泥に関して、2017年度から開始された、国による揚収技術の研究開発に参加しています。

・その他、環境・エネルギー関連技術等の新規技術開発及び材料・制御・CAE解析技術等の基盤技術開発を実施しております。

・連結子会社の三井造船システム技研株式会社の主要製品である医薬安全性試験システム「MiTOX」については、機能強化及びその周辺システムの開発を継続するとともに、新勤怠管理システム「TIME-3X」についても機能強化を図っています。

当事業に係る研究開発費は、1848百万円であります