文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「社会に人に信頼されるものづくり企業であり続ける」ことを企業理念としております。
この企業理念のもと、船舶、海洋、機械、プラント、社会インフラ、その他IT・サービス関連など広範囲の事業分野において培った複合技術とグローバルな事業活動で積み重ねた経験を総合的に調和させた製品・サービスを提供する“ものづくり企業”として、社会や人々からの期待に応え信頼を高めることを経営の基本方針としております。
この基本方針に基づき「顧客満足の向上」、「従業員尊重」、「社会の発展への寄与」、「利益追求」を経営姿勢として掲げ、全てのステークホルダーに対し企業として存続する価値を評価されるよう努めております。そのために、経営環境の変化に迅速に対応できる意思決定体制と株主重視の公正な経営システムの構築・維持に取り組んでおります。
(2)経営戦略等
当社グループは、2016年2月に公表した長期ビジョン「MES Group 2025 Vision」を2016年度よりスタートさせました。この「MES Group 2025 Vision」では、「三井E&Sグループは、社会に価値をつくりだすエンジニアリングチームへ」をありたい姿とし、「環境・エネルギー」、「海上・物流輸送」、「社会・産業インフラ」の3事業領域において、グループ一体となり、グループ外のパートナーとも連携し、社会のニーズ、課題に対して、新たな価値を提供してまいります。
2017年度にスタートした17中計は、「MES Group 2025 Vision」の達成に向けたファーストステップであり、変革期と位置付けています。2018年4月には、純粋持株会社体制に移行し、船舶・艦艇事業、機械・システム事業、エンジニアリング事業を、それぞれ担う3つの事業会社に分割いたしました。これにより、注力事業へのリソースの重点配分を進めるとともに、戦略実行にあたっての柔軟性やスピードの向上を図ってまいります。加えて、グループ内外との連携を強化し、ビジネスモデルの次世代化を加速することで、「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」を目指してまいります。
(3)経営環境等
当社グループを取り巻く事業環境は、米国および中国間の貿易摩擦、英国のEU離脱協定の難航、為替・資源相場のボラティリティの増大といった世界経済の先行き不透明感がある中、新造船市場の低迷、中国・韓国の競合企業の攻勢による価格競争の激化等、既存のビジネスモデルからの変革が求められる環境となっております。一方、新興国を中心としたエネルギー需要の増加や環境・省エネ志向の高まり、さらには国内のインフラ更新需要の増大等、事業拡大の機会も大きくなっております。
このような外部環境の変化に対し当社グループは、「製品・サービスの付加価値向上」、「製造・EPCの構造改革」、「周辺サービスの拡大・強化」を戦略の柱とし、差別化やコスト競争力の強化、収益の安定化を図り、グループ総合力とバリュー連鎖の強みを活かし、需要機会に応えてまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「三井E&Sグループ事業再生計画」の実行により、2022年度において、有利子負債EBITDA倍率:5倍以下、売上高経常利益率:4%以上、および総資産回転率:0.8倍以上を経営数値目標として掲げ、その達成に全力を注いでまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、エンジニアリング事業の海外大型EPCプロジェクトの損失により、財務基盤を大きく毀損していることから、この回復が急務であると認識しております。また、造船事業やエンジニアリング事業など既存事業の収益も悪化しており、不採算事業からの撤退や新たな収益の柱となる成長事業の育成が必要と考えております。このような状況のもと、当社グループは、ステークホルダーの皆様の信頼回復に向け「三井E&Sグループ事業再生計画」を定め、財務基盤の回復及び収益体質の強化を目指し、総力を挙げて取り組んでまいります。具体的には以下のとおりです。
(財務体質及び収益体質の強化)
毀損した自己資本の回復に向け、資産の売却、固定費の圧縮を進めるほか、資本対策についても検討してまいります。また、不採算事業の整理・撤退により利益率の改善を進め、さらに事業構造の変革を推し進めることにより、財務体質および収益体質の強化を図ります。
(不採算事業の整理・撤退)
エンジニアリング事業は、事業会社と子会社に分散した化学プラント事業および環境リサイクル事業のリソースを集約し、技術力の融合・強化を図ります。また、火力発電土木事業は、既受注工事を完遂するべく、エンジニアリング事業会社社長直轄の体制とし、総力を結集します。なお、火力発電土木事業の新規受注は行わず、既受注工事完成後は、リソースは成長が見込める再生可能エネルギー事業や社会インフラ事業に再配置します。
造船事業は、千葉工場の事業ポートフォリオを変革します。千葉工場の商船新造事業は縮小し、エネルギーエンジニアリング及び大型鋼構造物の事業に注力する体制に変換します。
(事業構造の変革)
「MES Group 2025 Vision」の「環境・エネルギー」、「海上物流・輸送」、「社会・産業インフラ」の3事業領域から、機械事業、海洋事業及び発電事業を注力事業と位置付け、グループ内の連携を強化いたします。また、造船事業、社会インフラ事業は、グループ外企業との協業・連携により成長を目指します。具体的な施策は次のとおりです。
① 機械事業の製品ラインナップ拡充
品質・価格競争力・ネットワークを強みに、舶用・産業用機械を軸に製品ラインナップを拡充し、グルー
プ全体のLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)を強化いたします。
② 発電事業の再編
バイオマス発電事業をデンマーク子会社のBurmeister & Wain Scandinavian Contractor A/Sに集約いたし
ます。日本国内では、同社子会社のBWSC Japan Ltd.に集約し、将来的には東南アジアへ市場を拡げます。
③ 造船事業の再編
エネルギーエンジニアリング事業(海洋FPSO・ガスビジネス等)を推進するための新組織を設立しま
す。また、造船事業は、グループ外企業と協業を進め、競争力強化を図ります。
④ 社会インフラ事業の再編
風力発電事業を含む社会インフラ事業のリソースを集約し、新インフラ会社を設立します。また、競争力
強化・事業拡大のためグループ外企業との協業を検討いたします。
当社グループは、2019年度からの4年間を、事業基盤を再構築し、飛躍に向かい力を溜める期間と位置付け、これらの施策に総力を挙げて取り組み、逆風に強い経営体質を構築してまいります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループとして判断したものであります。
(1)経済情勢
当社グループは、国内のほか世界各地で事業を展開しており、また輸出割合が高いことから、それぞれの製品の市場や地域における経済情勢の動向による不確実性が存在しております。その事例として、船舶部門及び機械部門の舶用ディーゼル機関については海運市況の影響、海洋開発部門、機械部門及びエンジニアリング部門においては国内外の設備投資動向や公共事業の動向の影響などが挙げられます。
(2)カントリーリスク
当社グループは、海外に向けて製品・サービスの提供を行うだけでなく、エンジニアリング部門を中心に海外現地工事の請負を行っております。仕向地や現地工事を行う国や地域によっては、政情不安(戦争、テロ)、国家間対立による貿易制裁、宗教及び文化の相違、現地の労使関係等のリスク、商習慣に関する障害、資金移動の制約、特別な税金及び関税などが、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、貿易保険の付保、現地の法律や会計コンサルタント等からの情報収集及びその対策の実施などにより、これらリスクの緩和に努めております。
(3)法的規制
当社グループは、国内外での事業の遂行にあたり、それぞれの国での各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、これら法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合には、その結果が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)当社グループの事業の特性
当社グループの事業は、個別受注生産を中心としており、契約を締結した時に見積もったコストと実際のコストとの間に受注後のコスト上昇要因により著しい差異が生じることがあります。また、契約から引渡しまで長期間に亘る工事も多く、その間の社会情勢の変化や調達価格の変化等に影響を受けます。その対策として、慎重な見積もり、安定した資材調達先の確保、代金の早期回収、また、海外事業においては貿易保険の利用などリスクの回避に努めておりますが、上述のような事業環境の変化が示現した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)為替レート変動の影響
当社グループは、海外子会社の受注、売上も含めると海外向け受注高、売上高は年次によりばらつきはあるものの概ね全体の50%以上という高い割合を占めております。このため当社は為替レートの変動による影響を軽減する対策として、外貨建借入金、為替予約の実施や海外調達等による外貨建コストの比率を高めるなど、そのリスク量を適正な水準に調整しております。しかしながら、為替レートの大幅な変動がある場合には、受注・売上及び損益に影響を受けるリスクがあります。但し、海外子会社においては、大部分のコストは外貨建てのため、損益への為替の影響は軽微であります。
(6)調達価格
当社グループは、船舶、海洋開発、機械、エンジニアリング等の事業展開を行い、多種多様な原材料・部品等の調達を行っております。例えば鋼材については、その急激な価格上昇・需給逼迫等が生じた場合、コスト増加、工程の遅れにより当社グループの損益を悪化させる可能性があります。そのため、種々の原材料・部品等について長期安定供給の体制を確保するとともに、価格交渉等を通じて、その影響を軽減するよう努めております。
(7)大規模災害
当社グループは、地震、風水害、感染症の世界的流行(パンデミック)など各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、設備の点検・訓練の実施、緊急連絡体制の整備など、事業継続計画(BCP)を策定しております。しかしながら、このような災害による物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、当社グループの生産活動を中心とした事業活動に影響が生じる可能性があります。また、災害による損害が損害保険等によりカバーされるという保証はありません。
(8)製品の品質
当社グループは、品質や安全に関する法令等を遵守し、製品の品質や信頼性を常に追求していますが、製品の性能、品質、納期の遅れに起因するクレームや事故が発生した場合、損害賠償や訴訟費用等により多額のコストが発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)環境保全
当社グループは、生産活動における省資源、省エネ、廃棄物量の削減及び有害物質の厳格な管理などの環境保全活動を重要な課題のひとつと認識し、環境汚染防止に努めております。また不測の事態により有害物質が外部へ漏洩した場合に備えて、その拡大を最小限に抑えるべく対策を講じています。しかしながら、環境汚染が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等の負担により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報セキュリティ
当社グループは、事業を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、また当社グループの技術・事務管理に関する機密情報や個人情報を有しており、これらの情報の保護に努めております。しかしながら、パソコン、サーバー及びネットワーク機器の障害や紛失・盗難、外部からの攻撃やコンピュータウィルスの感染等によりこれらの情報が流出あるいは消失した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)税効果会計及び退職給付会計
税効果会計及び退職給付会計においては、将来の予想・前提に基づいて、その資産・債務等の算定を行っております。そのため、予想・前提となる数値に変更がある場合もしくはこれらの算定を行うための会計基準の変更がある場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)減損会計
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化等により収益性が低下した場合、また、遊休資産について時価等が下落し、回収可能価額が低下した場合には、減損損失を計上するため、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)株式市場の影響について
当社グループが保有する投資有価証券のうち時価のあるものについて、これらの時価が簿価から著しく下落し、回復の見込みのない場合は、評価損を計上するリスクがあります。また、株価の変動は年金資産の変動を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)重要事象等について
当社グループは、当連結会計年度において、インドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事における大幅な損失計上により、前連結会計年度に引き続き2期連続の営業損失となりました。また、今後マイナスの営業キャッシュ・フローが見込まれることなどから継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
このような状況に対して、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおり、事業再生計画に従って各施策を確実に実行していくことにより、事業構造の変革を進め、財務体質及び収益体質の強化を図ってまいります。
資金調達面では、取引金融機関の支援のもと、財務制限条項に抵触するおそれのあったシンジケートローン契約について2019年3月に変更契約を締結しており、これにより同条項の抵触事由は解消し、資金調達の安定性は改善しております。
これらの状況を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国では、良好な雇用・所得環境に支えられて個人消費は堅調に推移していますが、中国との貿易摩擦をはじめとした通商政策がもたらす景気の減速がリスクとなっております。欧州では、労働市場の改善を背景に個人消費が底堅く推移している一方で、海外景気の減速や英国のEU離脱問題等の政治をめぐる不確実性の高まりに伴い、景気の先行きは不透明な状況にあります。新興国・資源国では、米中貿易摩擦の影響で中国景気の減速傾向が明確化しており、中国依存の諸国においては輸出の鈍化による景気後退が懸念されております。国内経済は、堅調な雇用・所得環境を背景とした個人消費の回復、企業業績の改善を受けた設備投資の増加基調、インバウンド需要の持ち直しなどにより緩やかな景気の回復基調が続いていますが、米中及び欧州を軸とする世界経済の減速が懸念されております。
このような状況下、当社グループは、17中計(2017年4月から2020年3月までの経営計画)の中間年にあたり、当社グループが目指す将来像や方向性、2016年度からの10年間にわたる会社のあり方を示す長期ビジョン「MES Group 2025 Vision」の達成に向けて、「環境・エネルギー」、「海上物流・輸送」、「社会・産業インフラ」の3事業領域に注力し、「経営基盤の深化」と「グループ経営の深化」を進めてきました。その経営改革の一環として、2018年4月1日より持株会社体制へ移行するとともに、商号を「株式会社三井E&Sホールディングス」に改めております。
一方、エンジニアリング事業の海外EPC(設計・調達・建設)プロジェクトにおいて、大規模な損失が連続して発生したため、当社グループの財務基盤は著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となっております。そのため、新たに「三井E&Sグループ 事業再生計画」を策定し、財務・収益体質の強化、及び事業構造の変革を推し進め、財務基盤の健全化を図ります。
グループ事業の再編成により、グループの総合力発揮を加速することでこの難局を乗り切り、引き続きグループの企業価値向上に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて301億22百万円減少の9,991億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて464億75百万円増加の7,188億61百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて765億97百万円減少の2,802億39百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高は7,101億27百万円(前年同期比△38.8%)、売上高は6,565億4百万円(同△6.6%)、営業損失は597億3百万円(前年同期は52億24百万円の営業損失)、経常損失は505億2百万円(前年同期は30億61百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は695億99百万円(前年同期は101億37百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
|
〔経営成績の推移:連結ベース〕 |
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||
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受注高 (百万円) |
売上高 (百万円) |
営業利益又は 営業損失(△) (百万円) |
経常利益又は 経常損失(△) (百万円) |
親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) (百万円) |
1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△) (円) |
|
2019年3月期 |
710,127 |
656,504 |
△59,703 |
△50,502 |
△69,599 |
△861.09 |
|
2018年3月期 |
1,160,662 |
703,216 |
△5,224 |
3,061 |
△10,137 |
△125.42 |
|
2017年3月期 |
516,577 |
731,464 |
8,304 |
14,859 |
12,194 |
150.87 |
セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(船舶)
受注高は1,132億7百万円(前年同期比+5.9%)、売上高は968億79百万円(同△13.9%)、営業損失は81億12百万円(前年同期は152億28百万円の損失)となりました。
(海洋開発)
受注高は2,542億円(同△63.7%)、売上高は2,224億58百万円(同+16.4%)、営業利益は148億94百万円(同+31.6%)となりました。
(機械)
受注高は1,853億32百万円(同△0.8%)、売上高は1,869億35百万円(同+2.9%)、営業利益は102億11百万円(同△9.9%)となりました。
(エンジニアリング)
受注高は589億27百万円(同△21.9%)、売上高は689億73百万円(同△46.0%)、営業損失は796億70百万円(前年同期は157億75百万円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは661億76百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは1億30百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは533億40百万円の支出となったことなどにより、前連結会計年度に比べて110億96百万円増加(+12.9%)して974億8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、661億76百万円(前連結会計年度は35億55百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失452億34百万円、固定資産処分益113億6百万円、たな卸資産の増加による支出105億55百万円などがあった一方、減価償却費144億95百万円、売上債権の減少による収入524億36百万円、仕入債務の増加による収入217億78百万円、その他負債の増加による収入485億2百万円があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて89億16百万円減少して1億30百万円となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の売却による収入198億86百万円、貸付金の回収による収入869億96百万円などがあった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出182億88百万円、貸付けによる支出888億57百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて385億27百万円増加して533億40百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入201億94百万円などがあった一方、短期借入金の純減少による支出78億36百万円、長期借入金の返済による支出619億34百万円があったことなどによるものであります。
〔財政状態の推移:連結ベース〕
|
|
総資産 (百万円) |
純資産 (百万円) |
自己資本比率 (%) |
営業活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) |
投資活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) |
財務活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) |
有利子 (百万円) |
|
2019年3月期 |
999,100 |
280,239 |
16.0 |
66,176 |
△130 |
△53,340 |
213,293 |
|
2018年3月期 |
1,029,222 |
356,837 |
23.2 |
△3,555 |
△9,046 |
△14,813 |
264,882 |
|
2017年3月期 |
1,096,735 |
367,608 |
22.8 |
△7,843 |
△28,753 |
19,401 |
275,557 |
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
船舶 |
97,156 |
△12.5 |
|
海洋開発 |
225,349 |
18.4 |
|
機械 |
194,228 |
5.4 |
|
エンジニアリング |
70,144 |
△44.3 |
|
その他 |
83,416 |
△7.0 |
|
合計 |
670,295 |
△4.4 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
|
船舶 |
113,207 |
5.9 |
157,673 |
12.2 |
|
海洋開発 |
254,200 |
△63.7 |
1,087,655 |
△5.0 |
|
機械 |
185,332 |
△0.8 |
159,424 |
△0.9 |
|
エンジニアリング |
58,927 |
△21.9 |
121,569 |
0.0 |
|
その他 |
98,459 |
8.8 |
137,770 |
7.2 |
|
合計 |
710,127 |
△38.8 |
1,664,093 |
△1.9 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
船舶 |
96,879 |
△13.9 |
|
海洋開発 |
222,458 |
16.4 |
|
機械 |
186,935 |
2.9 |
|
エンジニアリング |
68,973 |
△46.0 |
|
その他 |
81,257 |
△9.9 |
|
合計 |
656,504 |
△6.6 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって、期末時点において連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与える判断、見積りを行っております。貸倒引当金、受注工事損失引当金などの各種引当金、繰延税金資産の回収可能性及び工事進行基準による売上など、見積りにあたっては、それぞれ合理的な方法によっております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ301億22百万円減少の9,991億円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が180億2百万円、有形固定資産が100億26百万円それぞれ減少したことなどによります。
負債は、1年内返済予定の長期借入金が238億62百万円、長期借入金が186億29百万円それぞれ減少した一方、前受金が356億60百万円、受注工事損失引当金が506億44百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末と比べ464億75百万円増加の7,188億61百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べ765億97百万円減少の2,802億39百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の受注高は、子会社の三井海洋開発株式会社が前期に大型プロジェクトを受注していたことなどから、前期と比べて4,505億35百万円減少(△38.8%)の7,101億27百万円となりました。
売上高は、海洋開発部門で増収になった一方、船舶部門及びエンジニアリング部門の進行基準工事売上高が減少したことなどにより、前期と比べて467億12百万円減少(△6.6%)の6,565億4百万円となりました。
営業損失は、エンジニアリング事業のインドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事で大幅な損失を計上した影響により、前期と比べて544億78百万円増加の597億3百万円となりました。
経常損失は505億2百万円(前期は30億61百万円の経常利益)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損失は、税金等調整前当期純損失になったことに加えて繰延税金資産の取崩しを行ったことなどにより、前期と比べて594億62百万円増加の695億99百万円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(船舶)
米中貿易摩擦の深刻化や、ブラジル資源大手の鉱山ダム決壊事故による出荷量の大幅減、目睫に迫っている環境規制の厳格化など先行き不透明な状況が影響し、海運・造船市況は低迷が続いています。中長期的には、新興国の持続的経済成長と世界の景気回復基調による海上荷動き量の増加に伴って新造船需要も増加するというこれまでの見方に変わりはありませんが、短期的には新規需要の大幅増加は期待し難く、受注環境の本格的回復までには、しばらく時間がかかるものと思われます。
ガス船分野では、LNG輸出プロジェクトへの投資が堅調に推移しており、大型LNG船の新造商談に加え、中小型LNG船やLNGバンカリング船の発注計画も動きはじめております。他方、アジア方面への輸送量の増大が期待される米シェールガスにおいては、貿易摩擦等によりプロジェクト減速の懸念もあります。
資源開発船分野では、主要産油国の協調減産・地政学的リスクの高まりから原油価格は上昇基調にあり、またエネルギー資源の安定供給の観点からも海洋石油開発は世界各地で継続的に実施されており、これらに投入されるFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)等の整備も活発で、短期的にも中長期的にも事業環境は堅調に推移するものと見ております。
このような状況下、当社グループは、すでに市場投入している環境対応型ばら積み貨物運搬船の受注活動の取り組みを高め、引き続き省エネ船の先行ヤードとしての強みを活かして、採算改善を図りながら選別的な受注を進めていきます。また、船主のニーズを喚起する新しいガス燃料船などの新船型の開発も進める一方で、海外の協業先への委託建造などのスキームも活用して今後の新造船事業の展開を図ります。
資源開発船分野については、中古タンカーの改造が主流のFPSOに対して耐久性に優れた新造船体を短納期で供給するFPSO船体「noah」のライセンス供与とエンジニアリングサービスのビジネス展開により海洋ブランドの確立を図ります。
国防保安分野については、各省庁より防衛力の強化、戦略的海上保安体制並びに漁業取締体制の強化推進が発表され、艦船、大型巡視船、漁業取締船、練習船などが予算化されております。この増勢・代替需要は底堅く、今後も継続すると見込んでおります。
受注高は省エネ型ばら積み貨物運搬船の受注を11隻積み上げたほか、防衛省向け艦船を含む官公庁船等により、前期と比べて62億59百万円増加(+5.9%)の1,132億7百万円となりました。売上高はこれまでの造船市況低迷期に受注を抑制した影響で年間計画操業量を抑えたこと等により、前期と比べて155億93百万円減少(△13.9%)の968億79百万円となり、営業損益は従来から進めているコスト改善施策が奏功し、既受注工事の採算改善に取り組んだ結果、前期より71億16百万円改善の81億12百万円の営業損失となりました。
(海洋開発)
原油価格は、米国の対イラン制裁による供給減少等から需給ひっ迫が懸念されてWTIは一時1バレル70米ドル台まで上昇しましたが、需給見通しの軟化に伴って落ち着きを取り戻し、2018年12月末には50米ドル前後の水準で取引されました。その後、再び上昇基調を背景に2019年3月末には60米ドル前後にまで上昇しております。こうしたなか、数多くの海洋石油開発プロジェクトが計画されており、FPSOに関する事業環境は良好で、今後の成長を期待しております。
このような状況にあって、当社グループは17中計に掲げた「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」の方針のもと、FPSO事業の拡大に向け、グループ全体でのリソース融通やEPC(設計・調達・建設)などの協業を強化してまいります。
受注高は大型チャータープロジェクトの新規受注及び既存プロジェクトの仕様変更及びオペレーションサービス等がありましたが、前期と比べて4,467億24百万円減少(△63.7%)の2,542億円となりました。売上高はFPSO建造工事の進捗等により、前期と比べて312億76百万円増加(+16.4%)の2,224億58百万円となり、営業利益は前期と比べて35億73百万円増加(+31.6%)の148億94百万円となりました。
(機械)
舶用ディーゼル機関については、船腹の需給ギャップは依然解消されておらず、また資機材費の上昇により厳しい受注環境が続いていますが、生産量は164基/389万馬力と前期から増え、2018年6月に累計生産1億馬力を達成しました。翌期については208基/398万馬力と更なる増産を予定しています。また、NOx三次規制対応機関の引合いが急増しており、加えてSOx規制や温室効果ガス削減対応としてガス燃料を主とした燃料多様化への関心が高まっていますが、これらの需要に対応するため設備投資を行い、生産設備の拡充を進めています。
産業機械については、粗鋼生産量の伸びが著しいインドの製鉄所向け高炉送風機2基と炉頂圧回収タービン1基を受注しました。また、従来機から総合効率を高めた1000kWクラス新型小型ガスタービンを開発し販売を開始しました。初号機を2019年3月に受注しており今後拡販を図ります。石油精製関連設備である往復動圧縮機の引合いは増加傾向にありますが、競合他社との競争で厳しい受注環境が続いています。
運搬機については、引き続き東南アジアやアフリカなどの新興国で堅調なコンテナクレーンの需要があります。当期はインドネシア向けや南米のエクアドル向けの大型案件を受注しましたが、他の大型海外案件の実施遅れなどにより受注高は前期から減少しました。海外生産拠点としてインドネシアのバタム島に設立したPT. MES Machinery Indonesiaでは2018年3月に生産を開始しクレーン部品の生産を行なっておりますが、今後コンテナ用ヤードクレーンの一体製作を行なう予定であり、機械加工設備などの生産設備の拡充を進めています。
社会インフラについては、高速道路会社向けの新設橋梁や橋梁耐震補強案件を中心に受注は好調に推移しました。また、保全案件も増加していることから、橋梁の床版取替案件等に注力すると共に、トンネル・道路・橋梁などの劣化、損傷診断ツールである自社開発レーダ探査技術を活用し事業拡大を図ります。
アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、ディーゼル部品の受注が好調に推移したこと、製鉄所や石油精製プラント向けの産業機械において定期点検作業や補修工事の引合いが増えていること、また、コンテナクレーン新設に伴う既設機の移設・解体工事やクレーン安定稼動に向けた改修工事などにより、受注高・売上高ともに前期から増加しました。
受注高は、舶用ディーゼル機関、コンテナクレーン、橋梁、港湾関連構造物、各種産業用機械及びアフターサービス事業等により、前期並みの1,853億32百万円となりました。売上高はこれらの製品・事業により前期と比べて52億1百万円増加(+2.9%)の1,869億35百万円となり、営業利益は前期と比べて11億18百万円減少(△9.9%)の102億11百万円となりました。
(エンジニアリング)
環境・エネルギー分野については、当社グループのバイオマス発電事業として、2017年9月に市原バイオマス発電所(千葉県市原市)の建設工事を受注し、建設工事を遂行中です。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)による買取価格は下落傾向にありますが、当社では今後もバイオマス発電事業を、グループ会社であるBurmeister & Wain Scandinavian Contractor A/Sとの協業で拡大していきます。また、風力発電事業では主力の陸上風力発電に加え、新たに着床式洋上風力発電を市場投入し、受注拡大に取り組んでいきます。
海外インフラ分野については、東南アジアで恒常的な電力不足が喫緊の課題ではあるものの、新たな投資計画は遅延する傾向が見られます。そのような中、すでに受注しているインドネシア共和国向けの火力発電所土木建築工事において大幅な損失が発生しました。この損失の最小化に努めるとともに、インドネシア及びベトナムで遂行中の他の火力発電所土木建築工事と併せ、確実な工事遂行に注力する為、同種の新規受注を停止しました。
石油化学分野については、原油価格の回復基調により海外、国内共に市況は回復傾向にありますが、当社グループにおいては受注戦略の見直しにより、海外化学プラント分野での現地工事を含む案件の受注を控えました。
受注高は、バイオマス及び風力発電案件の期ズレや海外化学プラント案件の新規受注を控えた影響等から前期と比べて165億13百万円減少(△21.9%)の589億27百万円となりました。売上高は前期に石油化学プラント大型工事が完成していること等から、前期と比べて586億72百万円減少(△46.0%)の689億73百万円となり、営業損失はインドネシア共和国向けの火力発電所土木建築工事での大幅な損失計上等により、前期と比べて638億95百万円悪化の796億70百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については銀行借入又はCPによる短期資金調達、あるいはコミットメントラインの利用などによって流動性を保持しております。
また、当社と連結子会社間は「CMS預貸制度(キャッシュ・マネージメント・システム)」により資金融通を行うことで資金効率を高めております。一方、設備資金、投融資資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、国内外での資金調達について、市場金利動向や為替動向、あるいは既存借入金の償還時期等を総合的に勘案し、社債及び長期借入金によって流動性を維持しております。また、設備投資の一部はリース取引によっております。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度に比べて110億96百万円増加して974億8百万円となりました。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、連結子会社において売上債権が減少したこと及びFPSO等の建造工事において工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれによる債権債務の変動などにより661億76百万円の収入(前連結会計年度は35億55百万円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の売却による収入の増加などにより支出が減少し1億30百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入の減少及び長期借入金の返済による支出の増加などにより支出が増加し533億40百万円の支出となりました。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
|
合計 |
返済・償還 1年以内 |
返済・償還 1年超 |
|
短期借入金 |
3,535 |
3,535 |
- |
|
長期借入金 |
151,082 |
39,062 |
112,020 |
|
社債 |
50,000 |
10,000 |
40,000 |
|
リース債務 |
8,265 |
1,745 |
6,520 |
|
その他有利子負債 |
409 |
89 |
320 |
|
合計 |
213,293 |
54,431 |
158,861 |
④ 中期経営計画の進捗
当社グループは、2017年度中期経営計画(17中計)において、「グループ総合力の発揮による利益率の向上と収益安定化」を目指す姿とし、最終年度となる2019年度の目標値として下記数値を掲げております。
当連結会計年度における売上高は6,565億円となり、2018年度の計画値に近い水準となりました。一方、経常利益及びROICはインドネシア共和国向けの火力発電所土木建築工事で発生した多額の損失等により、それぞれ△505億円、△12.0%となり、2019年度目標を大きく下回る結果となりました。有利子負債については目標とした水準以下の2,132億円となりました。
エンジニアリング事業における受注戦略の見直し等により、2019年度は売上高8,400億円、経常利益170億円を見込んでおり、中期経営計画の最終目標には届かない予想となっております。このような状況を踏まえ、2019年度からの4年間は、事業基盤の回復及び収益体質の強化を目指し、「事業再生計画」の各施策に総力を挙げて取り組んでまいります。
<中期経営計画の進捗>
|
指標 |
2019年度目標 |
2018年度実績 |
目標との差異 |
2017年度実績 |
|
売上高 |
9,200億円 |
6,565億円 |
△2,635億円 |
7,032億円 |
|
経常利益又は 経常損失(△) |
370億円 |
△505億円 |
△875億円 |
31億円 |
|
経常利益率 |
4.0% |
△7.7% |
△11.7% |
0.5% |
|
ROIC |
6.5% |
△12.0% |
△18.5% |
0.4% |
|
有利子負債 |
2,700億円以下 |
2,132億円 |
△650億円 |
2,648億円 |
<2018年度計画との比較(ご参考)>
|
指標 |
2018年度計画 |
2018年度実績 |
2018年度(計画比) |
|
売上高 |
6,700億円 |
6,565億円 |
△135億円 |
|
営業利益又は営業損失(△) |
100億円 |
△597億円 |
△697億円 |
|
経常利益又は経常損失(△) |
180億円 |
△505億円 |
△685億円 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
40億円 |
△696億円 |
△736億円 |
なお、「事業再生計画」では、2022年度において、有利子負債EBITDA倍率:5倍以下、売上高経常利益率:4%以上、及び総資産回転率:0.8倍以上を経営数値目標としています。事業再生計画の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおりです。
⑤ 重要事象等について
当社グループは、当連結会計年度において、インドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事における大幅な損失計上により、前連結会計年度に引き続き2期連続の営業損失となりました。また、今後マイナスの営業キャッシュ・フローが見込まれることなどから継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
このような状況に対して、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおり、事業再生計画に従って各施策を確実に実行していくことにより、事業構造の変革を進め、財務体質及び収益体質の強化を図ってまいります。
資金調達面では、取引金融機関の支援のもと、財務制限条項に抵触するおそれのあったシンジケートローン契約について2019年3月に変更契約を締結しており、これにより同条項の抵触事由は解消し、資金調達の安定性は改善しております。
これらの状況を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(1) 技術導入
|
会社名 |
相手方 |
提携品目 |
契約期間 |
契約内容(対価の支払方法) |
||
|
国籍 |
名称 |
|||||
|
三井E&S造船㈱ |
ノルウェー |
MOSS Maritime a.s. |
球型タンク搭載のLNG船 |
1994.3 |
5年毎 自動延長 |
(1)ロイヤリティ (2)技術サービス料 |
|
フランス |
Gaztransport & Technigaz S.A.S. |
メンブレン型LNG船 |
2017.1 |
2023.1 (以後5年毎自動延長) |
(1)ロイヤリティ (2)技術サービス料 |
|
|
㈱三井E&Sマシナリー |
ドイツ |
MAN Diesel & Turbo SE |
内燃機関用排ガスターボチャージャー |
1981.5 |
2020.12 |
(1)ロイヤリティ (2)技術資料代 |
|
MAN B&Wディーゼル機関 |
1971.11 |
2021.12 |
(1)ロイヤリティ (2)技術資料代 (3)技術指導料 |
|||
|
オランダ |
Howden Thomassen Compressors B.V |
往復動コンプレッサ装置 |
2012.1 |
1年毎 自動延長 |
(1)ロイヤリティ (2)技術サービス料 |
|
|
昭和飛行機工業㈱ |
ドイツ |
スピッツァ社 |
粉粒体バルク輸送車両及び粉粒体バルク輸送ボデーの製造技術 |
1967.2 |
2020.3 |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤリティ |
(2) 技術供与
|
会社名 |
相手方 |
供与品目 |
契約期間 |
契約内容(対価の受取方法) |
||
|
国籍 |
名称 |
|||||
|
㈱三井E&Sマシナリー |
中国 |
Shenyang Blower Works Co.,Ltd. |
軸流圧縮機 |
2004.11 |
2024.6 (以後5年毎自動延長) |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤリティ (3)技術サービス料 |
|
Shenyang Turbo Machinery Corporation |
炉頂圧回収タービン |
2016.6 |
2026.6 (以後5年毎自動延長) |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤリティ |
||
|
日本 |
㈱マキタ |
MAN-B&W型小口径ディーゼル機関の製造及び販売に関する再実施権 |
1981.5 |
1年毎 自動延長 |
ロイヤリティ |
|
|
MDエンジニアリング㈱ |
MD-Gシリーズガスエンジン |
2011.12 |
1年毎 自動延長 |
(1)ロイヤリティ (2)技術資料代 |
||
(3) 固定資産の譲渡
当社は、2019年1月31日開催の取締役会において、固定資産の譲渡について決議するとともに、同日付で売買契約を締結し、2019年2月28日に譲渡が完了いたしました。
①譲渡の理由
当社は、インドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事において多額の損失を計上したことから、自己資本が大きく毀損したため、自己資本の回復、資金の確保が急務であり、土地、建物等の資産売却や固定費削減などを実行して体質改善を図っております。このための施策の一つとして東京都中央区に所有している本社ビルの土地・建物の譲渡を決定いたしました。
②譲渡資産の内容
名称:浜離宮三井ビルディング
所在地:東京都中央区築地五丁目6番4号
建物全体:
土地: 4,752.46 ㎡(敷地面積)
建物:30,190.50 ㎡(延床面積)
譲渡対象資産:
土地:所有権(共有持分 37.19%)
建物:区分所有権(建物所有権割合 37.19%)
③譲渡先の概要
譲渡先は国内の一般事業会社ですが、譲渡先との取決めにより、譲渡価額等詳細につきましては公表を控えさせていただきます。
なお、譲渡先と当社との間には、記載すべき資本関係、人的関係、及び取引関係はなく、また、譲渡先は当社の関連当事者には該当いたしません。併せて譲渡先が反社会的勢力ではないことを確認しております。
④当該事象が損益に与える影響額
当該固定資産の譲渡に伴い、当連結会計年度において、固定資産処分益8,255百万円を特別利益として計上しております。
⑤その他
本件譲渡後も、当社は現在の本社事務所を賃借しております。
当社グループは、4事業分野に対応した研究開発セグメントを設定し、それぞれの事業分野の中核技術を基軸として、製品競争力強化と事業拡大につながる研究開発を積極的に推進しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
(1)船舶
・省エネ船を得意とする当社グループの強みの維持・向上を狙い、新船型や省エネ技術の開発を継続的に進めております。本年度は、新ルール対応した87,000重量トン型ポストパナマックスバルクキャリアーneo87BCを開発し、市場投入致しました。また、neoシリーズとして最初にリリースしたneo66BCですが、新ルールに適用させるバージョンアップを完了し、同じく市場投入しております。今後もneoシリーズのラインナップ拡充を図って参ります。
・次世代艦艇への適用を意図して、2014年より高速艦艇船型の開発を進めて参りましたが、防衛省向けに「新艦艇」と呼ばれていた3,900トン型護衛艦1隻を受注いたしました。また、2014年より輸送艦艇の開発も進めており、昨年末に防衛省から発表された中期防衛力整備計画に中小型級船舶を新たに導入することが明記され、今後、これらの研究成果を生かすことができる輸送艇の受注が期待されます。
・自動船位保持装置(DPS)や統合操船システムMMSの開発を継続的に続けています。これらのシステムは船舶の操船自動化の基盤となりますが、2017年からは、人が行っていた認知や判断についても自動化を図る自律化船の実用化に向けた研究開発にも着手しています。2018年度は、「自動運航船に関する実証事業」をはじめとした国土交通省の三つの事業にも参画し、実船を用いた実証試験等にも力を入れ、製品リリースに向けた開発を進めています。
・海底調査や危険物の処理に利用可能な海洋無人機ASVの研究開発を進めております。このASVの技術を活用して、日本チーム“Team KUROSHIO”に加わり、広域海底探査技術を競う国際コンペティション「Shell Ocean Discovery XPRIZE」へ参加しました。昨年「Round1技術評価試験」を通過し、2018年12月に行われた「Round2実海域競技」(決勝)で、広範囲な海底地形データの取得に成功し、開発してきたASVの性能と信頼性が確認されました。コンペティションの結果は2019年6月に発表があり、準優勝という結果を収めることができました。
当事業に係る研究開発費は、
(2)海洋開発
・海洋開発では、新規事業分野での既存技術活用による開発、及びFPSO運用上の課題を解決するための開発を行っております。
・新規事業分野としては、洋上風力発電事業を新たな事業分野とするべく、当社の浮体設備や係留技術の強みを生かした独自の浮体・係留システムの開発を進めております。この他、これまでに蓄積した技術を、レアアースやメタンハイドレートといった海洋鉱物資源及びエネルギー資源の開発に応用するための研究を推進しております。
・FPSO運用上の課題解決としては、経年劣化した船体構造に対し、炭素繊維の適用により、火気工事を伴わず少人数・短期間で安全に施工可能な新しい補修法の開発を進めております。
当事業に係る研究開発費は、
(3)機械
・基幹製品関連では、海事分野での積極的な環境保全のニーズに対し、省エネ、低排出技術を商品化し営業活動を行っており、多様な商品を顧客に届けるため、製造現場の技術革新が必要とされています。これに対応し、国土交通省の海事生産性革新(i-Shipping)の一環である先進船舶・造船技術研究開発費補助事業の補助を受け、ICT(Information and Communication Technology)を利活用して舶用ディーゼルエンジンの生産性を向上させる技術開発である「スマートファクトリー基盤技術の開発」を開始しました。情報の高度利用により、関係会社を含めたサプライチェーンの効率化により、工程と作業の無理・むら・無駄の撲滅を目指します。
また、世界的な船舶のデジタライゼーションに対する取り組みとして、船舶の運航に関わるビッグデータを国内舶用業界で共有・活用するためのデータ共有基盤となるIoS(Internet of Ships)オープンプラットフォームに、舶用主機メーカーとして参画しています。主機アフターサービスの一環として、遠隔診断サービスや予防保全サービスに加えて、ビッグデータ共有・利活用の環境整備にも積極的に取り組んでいます。
・運搬機事業関連では、自社設備として大分工場内にテスト用トランステーナ(コンテナ荷役用クレーン)1機と全長100mの走行用テストエリアを整備し、新設ターミナルの自動化対応や既設クレーンの遠隔・自動化への課題検証や対策テストを進めています。本トランステーナは、人工衛星によって地球上の現在位置を決定し自動操舵するシステムGNSS-TAS(Global Navigation Satellite System - Transtainer Automatic Steering system)や各種カメラ、センサー並びにネットワーク機材を搭載しており、オフィスからの遠隔運転操作が可能です。さらに、コンテナ掴み時に微細な位置合わせができる新設計のトロリー、スプレッダを搭載し、製品化に向けた機能開発を行います。
一方、これらハード面の開発と並行して、自動化ターミナル設備の運用・管理を行うシステムACCS(Automated Container terminal Control System)、コンテナ管理及び荷役作業の指示を効率的に行うシステムCTMS(Container Terminal Management System)、R-CMS(Remote Crane Management System)などのソフトウェア製品を連携し、自動化コンテナターミナルを構成する全ての要素に一括して対応できるトータルソリューションパッケージ製品群を構築し、国内外に拡販していきます。
・社会インフラ事業関連では、廃炉作業向に,世界で初めてセンサレス制御技術を採用するとともに、耐放射線性が従来の2倍以上となる電気機械式マニピュレータを、ドイツの原子力用マニピュレータ専業メーカーと共同開発しました。耐放射線性は、実際に全部品にガンマ線を照射した後に絶縁特性や機械強度に劣化がないことを検証しました。本マニピュレータの特長は、交換頻度が半減する結果それ自身を含む二次廃棄物が大幅に削減されること、アーム関節部には配管がなく電気配線の回転制限がないため動作範囲が広いこと、上腕、下腕及び手先がモジュール化されておりアーム長の仕様変更や各モジュールの遠隔着脱が可能なことなどです。電力会社をはじめとして廃炉事業に関連する顧客に対して、初号機を用いた遠隔操作のデモンストレーションを行いました。
当事業に係る研究開発費は、
(4)エンジニアリング
・株式会社ウェンティ・ジャパンと検討を進めていた富山県下新川郡入善町の洋上風力発電事業計画を推進することになり、事業会社を設立する準備を進めています。自社開発の施工法「フォーク付き台船による着床式洋上風車の一括架設方式」の採用により、工期の短縮化と漁業への影響低減が期待されます。
・プラント設備等の監視診断への機械学習を用いた画像認識技術の活用の一環として、株式会社アダコテックと共同で都市ごみ清掃工場から発生するスラグ流れを数値化するシステムを実用化しました。本システムの導入により、プラント運転員の負荷低減・省力化への貢献につながり、また、運転員の教育ツールなどへの展開も期待されます。
当事業に係る研究開発費は、
(5)その他
・IoT活用による生産性向上については、競争力の強化を目指して工場と協力して取り組みを進めております。各工場の工程を見える化し、設備稼働率の向上や省人化を進めていきます。
・海底にある次世代資源の開発・事業化を目指し活動を行っています。天然ガスの主成分であるメタンを有する表層型メタンハイドレートに関して、2016年度から開始されている、国による表層型メタンハイドレートの回収技術の研究開発に参加するとともに、採掘技術を確立するため、業界トップレベルの海底掘削技術、サービスを世界中に提供しているドイツのMHWirth GmbH社との協業を開始しています。さらに、急速に進む自動車の電動化等で注目されるレアアースを含んでいるレアアース泥に関して、2017年度から開始された、国による揚収技術の研究開発に参加しています。
・グループ共通の基盤技術として生産技術、解析技術、AI技術の開発に取り組んでいます。生産技術では、溶接自動化、生産計画自動作成及び3次元デジタル計測などの技術による生産性の向上、解析技術では構造解析、流体解析、機構解析などを組み合わせた連成解析の高度化による設計支援を行っています。また、オープンソフトウェアを活用したAI画像認識技術による製品の付加価値向上を目指しています。
・連結子会社の三井E&Sシステム技研株式会社の主要製品である勤怠管理システム「TIME-3X」については、働き方改革を支援する労務管理サポート機能の強化を図っています。
当事業に係る研究開発費は、809百万円であります。