第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「2023年度中期経営計画(以下、「2023中計」)」を1年前倒しし、2022年度からスタートしました。2023中計では、持続可能社会への急速な移行、環境変化や当社自体の変革をふまえ、グループの企業理念・ビジョン・経営姿勢を再定義しております。

■企業理念

エンジニアリングとサービスを通じて、人に信頼され、社会に貢献する。

■ビジョン

2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決を目指す。

■経営姿勢
新しい価値の創造を顧客と共に実現
健全な財務体質と堅実な利益を追求
健康で安全に働ける環境整備を推進

 

また、当社は2023年4月に純粋持株会社体制を解消し、事業持株会社体制への移行に伴い、社名を見直し「E&S」に込める意味を、今後の当社の目指していく姿勢や事業ドメインに沿って再定義しました。

■新社名 株式会社三井E&S

「E&S」には、「Engineering & Services for Evolution & Sustainability」の意味合いがあり、当社が社会の進化と持続を目指しエンジニアリングとサービスに注力することで、当社グループの企業価値の持続的向上を図る企業姿勢を込めております。

 

(2)経営戦略等

2019年度にスタートした「三井E&Sグループ 事業再生計画」では、「財務・収益体質の強化」、「事業構造の変革」という2つの戦略を掲げ、「財務・収益体質の強化」では、総額約1,200億円規模の事業・資産売却、事業再編によるスリム化、合計約170億円の資本対策を実行しました。「事業構造の変革」では、造船事業の再編、発電土木プロジェクト遂行、不採算事業の整理・撤退ならびに成長事業へのリソース集中を進め、事業再生計画を完遂することができました。

一方で、当社を取り巻く事業環境が大きく変化していることから、2023中計を1年前倒しで2022年度よりスタートさせました。2023中計のビジョンは「2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決」を目指す姿として、当社グループの中核事業である舶用推進事業、港湾物流事業の強みをさらに強化し、サービスやソリューション提供へと収益モデルの変革を進めます。

この一環として、株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン事業を承継しております。

 

(3)経営環境等

当社グループを取り巻く事業環境は、世界経済の先行きに不透明感が増す中、新造船市場は回復の兆しが見えているものの、競合企業との価格競争や持続可能社会への急速な移行等、既存のビジネスモデルからの変革が求められる環境になっております。一方、新型コロナウイルスの影響は収束の兆候にあり、抑制されていた経済活動が徐々に回復し、新興国を中心としたエネルギー需要の増加や環境・省エネ志向の高まり、さらには国内外のインフラ更新需要の増大等、事業拡大の機会も再び大きくなるものと想定されます。

なお、新型コロナウイルス感染症による主な事業等への影響については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2023中計では、2025年度に、連結売上高:2,800億円、連結営業利益率:6.0%、自己資本比率:26%、及びNET有利子負債EBITDA倍率:5倍、を経営数値目標として掲げ、その達成に全力を注いでまいります。

また、当社グループは、サステナビリティ課題に対し、以下のマテリアリティ及び2030年度目標を設定しました。各社会課題の解決及び人材育成・多様性の確保に注力してまいります。

マテリアリティ

2030年度目標

脱炭素社会の実現

・環境対応製品市場投入によるCO2削減貢献量

従来比66%削減(2019年度比)

・グループの生産活動によるCO2削減量

従来比17%削減(2019年度比)

人口縮小社会の課題解決

・自動化製品(港湾関連製品) 市場投入:

自動化製品率40%(年間売上高比)

多様化確保への取り組み※

・管理職   女性比率: 5%、外国人比率: 3%

・従業員全体) 〃  :10%、 〃   : 5%

・技術職新卒) 〃  :10%、 〃   :20%

※2023年4月1日付当社100%子会社2社と合併後の株式会社三井E&S単体として目標を設定しております。

 

2022年度の達成・進捗状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、エンジニアリング事業の海外大型EPC(設計・調達・建設)プロジェクトの損失によって毀損した財務基盤を回復するため、「三井E&Sグループ 事業再生計画」を推進し、計画を完遂することができました。そして、事業と経営との距離を縮め、一体となることで戦略の立案・実行スピードを上げることを目的に、2023年4月1日に純粋持株会社体制を解消し、当社100%出資の子会社である株式会社三井E&Sマシナリー及び株式会社三井E&Sビジネスサービスを吸収合併するとともに、商号を「株式会社三井E&S」に変更しました。さらに、今後の成長戦略推進及び経営効率化による三井E&Sグループの企業価値の持続的向上を図るために、以下を目的として監査等委員会設置会社へ移行いたしました。

①組織集約・再編に沿ったコンパクトな経営体制への移行を図る。

②事業戦略及びリスクのある案件に関し、より深い議論を行う環境を整える。

 

一方で、当社を取り巻く事業環境が大きく変化していることから、2023中計を1年前倒しで2022年度よりスタートさせ、企業価値の向上に取り組んでおります。具体的には以下のとおりです。

 

(財務体質及び収益体質の強化)

事業再生計画に基づく、事業や資産売却の実行に加え、財務体質の健全化及び成長資金確保のため、昨年、資本対策を実施いたしました。2023中計では、「事業再生計画の仕上げ」、「成長戦略」、「機能戦略」を基本方針とした戦略を掲げ、成長戦略による売上規模拡大と収益安定化を図り、財務体質の更なる改善に努めます。

 

(成長戦略の推進)

2023中計では、「マリン領域を軸に、当社グループの中核事業である舶用推進事業、港湾物流事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させる」ことを成長戦略の柱としております。具体的な施策は次のとおりです。

 

①中核事業の強化

中核事業を「舶用推進」「港湾物流」と明確にし、中核事業を軸に収益力強化を進めてまいります。この一環として、株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン事業を譲り受け、2023年4月に「株式会社三井E&S DU」が発足しました。中核事業である「舶用推進」の、舶用大型エンジンの開発・生産・アフターサービス強化を進めてまいります。

 

②収益モデルの変革

中核事業である「舶用推進」「港湾物流」の各事業を、「グリーン戦略」と「デジタル戦略」により、更なる強化を進めてまいります。

グリーン戦略では、当社環境対応製品のエンジニアリングに注力し、新燃料エンジン、ゼロエミッション型港湾クレーンなど脱炭素関連製品の開発・提供を進めてまいります。また、デジタル戦略では、当社サービス網とデジタル技術の掛け合わせにより、海上輸送と港湾荷役の連携など強みを持つ分野で、デジタル技術を活用した高度予防保全・遠隔保守サービスなどを開発・提供してまいります。

 

(サステナビリティ課題の取り組み)

気候変動や人口縮小社会の到来は、当社事業にも重要な経営課題と認識し、当社事業へのリスクと機会を踏まえ、戦略マテリアリティを、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」と設定いたしました。この戦略マテリアリティに向け、中長期の目標を掲げ、取り組みを推進してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)ガバナンス

 当社では、従前よりリスク管理に特化したトータルリスク・内部統制委員会にて、経営諸活動全般に係るリスク・機会を体系的に把握、評価、管理を行っております。本委員会では、政治リスク・地政学リスク、天災・疫病リスク、為替リスク・金利リスク等、当社が独自に定めた計19個の事業リスクに対して評価、管理しております。この事業リスクには気候変動、人的資本や多様性等のサステナビリティに関連するSDGsリスクも含まれており、本委員会での活動において、半期に一度モニタリングしております。

 2023年4月よりトータルリスク・内部統制委員会は、名称をESG統制委員会に変更し、SDGsリスクを引き続きモニタリングし、重要事項があれば取締役会に報告を行います。

 

(2)戦略

①主要なリスク・機会における事業への影響

 環境省地球温暖化対策課が発行している「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイドver3.0~」を参考に、TCFD提言で大別されている、低炭素経済への「移行(政策、法律、技術、市場の変化)」に関するリスク(移行リスク)と、気候変動による災害等「物理的」変化に関するリスク(物理的リスク)の観点で、当社グループのシナリオ分析を行いました。

(1)前提条件

  〇対象事業:今後の当社グループのコア事業である機械事業

  〇時間軸:2030年

  〇シナリオ分析に用いた主なシナリオ:国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC : Intergovernmental Panel on Climate Change)及び国際エネルギー機関(IEA : International Energy Agency)の情報を参照し2つのシナリオを使用

   2℃シナリオ:世界の平均気温が産業革命以前より2℃程度上昇するシナリオ

    →規制によるコスト増となるが、低炭素経済への移行が進む

   4℃シナリオ:世界の平均気温が産業革命以前より4℃前後上昇するシナリオ

    →規制によるコスト増は無し、一方で温度上昇が抑えられず異常気象が激甚化

(2)評価

  〇主な事象や社会の変化については、当社グループに関連するものに限定

  〇気候変動関連リスク・機会について、事業活動に与える影響を「大」「中」「小」の3段階で評価

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②シナリオ分析結果

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③事業インパクト

 炭素税導入やグリーン電力購入による製造コスト上昇は見込まれるものの、低炭素化製品の環境優位性が認められ売上を伸ばす機会を獲得可能と考えております。すなわち、リスクによる当社グループの損益悪化よりも、機会による当社グループの利益増加の方がインパクトが大きいと考えております。

 

④当社グループの取るべき対応

 気候変動関連のシナリオ分析の結果、当社の取るべき対応としては次の2点としており、気候変動関連課題に対して、当社グループ2023中計の成長戦略の柱の一つ「グリーン戦略」のレジリエンスは高いと判断しております。

a.非化石燃料を使用した製品の開発・市場投入

b.工場での化石燃料や電力の使用量の削減、さらにグリーン電力使用によるCO2排出量削減

    以上を踏まえて、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)、中長期的な目標を設定しております。

 

(3)リスク管理

 今後、ESG統制委員会では、気候変動リスクについて、期間を「短期・中期」と「長期」に分けて(1)現状把握、(2)評価、(3)管理(改善活動)を行うこととしております。「短期・中期」の視点では、低炭素化製品の開発進捗、当社グループ製品のCO2削減量、グループ会社の生産活動におけるCO2削減量を対象として、現状把握・評価・管理を進めます。また、「長期」の視点では、シナリオ分析の再実施とこれによるマテリアリティ見直しの要否確認を行います。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは社会課題解決に向けた活動を加速させるため、当社グループにとって重要な社会課題を踏まえたうえで、優先的に取り組むべきサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)、中長期的な目標(2030年度)を設定しております。

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(5)人的資本に関する戦略

①人材への取り組み

 当社グループが提供する「エンジニアリングとサービス」の提供主体は人であり、企業理念の発現や成長戦略の実現において、人材が最も重要な経営資源と位置付けております。当社グループの持続的発展と企業価値向上を実現するうえで、目指す人材像として、(1)既存の枠組みを超え、隠れた顧客のニーズを捉えて対応、(2)会社の成長につなげる新しい知識と経験を自ら学び続ける、(3)社会動向に幅広く関心を持ち、環境変化を適切に認識する、この3点の人材像の実現と多様性の確保を戦略とし、そのための人事制度の改革、教育研修制度の見直し、経営幹部育成の強化等を進めております。

 多様性の確保の取り組みについては、目標を設定しており、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。

  なお、多様性に関する指標については、2023年4月1日付当社100%子会社2社と合併後の株式会社三井E&S単体のデータを記載しております。

 

2030年度目標

2023年4月1日現在

女性比率

外国人比率

女性比率

外国人比率

管理職

5%

3%

3.4%

0.0%

従業員全体

10%

5%

6.7%

2.2%

技術職新卒採用

10%

20%

9.4%

6.3%

 

②人材育成の取り組み

 従業員は会社にとって大切な財産です。従業員の能力開発はもちろん、快適な職場環境を通じて、生き生きとした職場づくりを目指しております。当社グループでは、グループ各社の従業員の協働の促進、中長期的な視点での成長の促進を目指し、各種研修を実施しております。特に全社的な変革をリードできる人材を育成するため、経営人材育成のための選抜研修の早期化を進めております。また仕事をする上での基本的な知識の習得を行うとともにビジネスの型を階層別研修で学び、プロフェッショナルとしてビジネスを実践できる人材育成を行います。あわせて若手の早期育成「5年で一人前」を目的とした入社1年目・3年目の研修と、入社2年目・4年目のフォローアップインタビューを通じた成長の促進とともに成長度合いの確認を行っております。

 また、技能向上・安全作業のための取り組みとして、基本的な技能講習等の受講や安全業務の専従経験を実施し、作業にあたっての知識習得、経験獲得を進めております。

 ワークライフバランスの観点では、従来から運用しているコアタイムなしのフレックスタイム制度や時間年休制度に加えて、在宅勤務制度を導入し、育児や介護といった利用目的を限定せず、在宅勤務が可能な従業員は誰でも利用できるようになっております。働く場所や時間にとらわれない柔軟で多様な働き方を通じて、個人の能力を最大限に発揮することを目指しております。

 

③安全衛生への取り組み

 当社グループでは、職場に「安全文化」を根付かせ、人財を育成することにより、(1)「安全第一」、「安全を最優先する」意識の定着、(2)従業員の健康維持・増進の取り組みを積極的に推進し、健康で快適な職場を実現することを基本方針としております。2019年7月には「三井E&Sグループ 健康経営宣言」を制定、環境変化に応じ重点施策を見直すことにより、従業員一人ひとりの力が企業活力の源泉となり、最大限発揮されるよう健康経営を積極的に推進しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<特に重要なリスク>

(1)海洋開発事業におけるプロジェクトの大型化に伴うリスク

 当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社が行うFPSO等の建造事業は、プロジェクトの大型化が進み、納期の長期化とともに受注額が1件につき1千億円を超える大規模なものとなっております。そのため、見積工事原価総額の見直し等による損益の変動幅が近年では大きくなる傾向にあります。同社の売上収益や営業損益は、当社グループの売上高、営業損益には影響しないものの、同社の「親会社の所有者に帰属する当期利益」の当社持分相当額が持分法投資損益として経常損益以下の各段階損益に認識されます。

 同社の業績が当社グループに与える影響は相対的に大きくなっており、同社の損益が大幅に変動することにより、当社グループの経常損益以下の各段階損益及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

<その他の重要なリスク>

(2)当社グループの事業の特性によるリスク

 当社グループの事業は、個別受注生産が中心であり、製品の特性によっては契約から引き渡しまで長期間に亘る工事もあります。その間の社会情勢等の変化により、契約を締結した時点の見積原価と実際の原価との間に差異が生じる可能性があります。当社グループでは対策として、慎重な見積り、多様な調達先の確保、代金の早期回収、海外事業においては貿易保険の利用等リスクの回避に努めております。

 また、納めた製品の性能、品質、納期の遅れに起因するクレーム等が発生した場合や、生産活動の過程で、不測の事態により有害物質が外部へ漏洩する等環境汚染が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等による費用が発生する可能性があります。そのような事態を回避すべく、当社グループでは、品質や安全、環境保全に関する法令等を遵守し、製品の品質及び信頼性の追求と環境汚染防止に努めております。

 

(3)法的規制及びカントリーリスク

 国内外での事業の遂行にあたっては、それぞれの国の各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合や、工事を行う国や地域によっては、政情不安(戦争、テロ)、国家間対立による経済制裁、経済情勢の急変に伴う工事従事者の動員及び資機材調達の遅れ、現地の労使関係等のリスク、商習慣に関する障害、資金移動の制約、特別な税金及び関税等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これを回避するため、貿易保険の付保、現地の法律や会計コンサルタント等からの情報収集及び顧客や取引先との間で最適な責任分担を図ることにより、リスクの低減に努めております。

 

(4)大規模災害のリスク

 地震や風水害など各種災害が発生した場合には、物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、当社グループの生産活動を中心とした事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザなどの感染症が大流行(パンデミック)した場合、経済の混乱や、感染拡大防止のための外出自粛・渡航禁止等により商談機会の減少や、顧客の投資意思決定が遅れることが考えられます。これらが受注の遅れにつながった場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、地震、風水害など各種災害やパンデミックに対して発生時の損失を最小限に抑えるため、設備の点検・訓練の実施、緊急連絡体制、感染症対応ガイドラインの整備など、事業継続計画(BCP)を策定しております。また、損害保険の利用等を通じて負担限度額のコントロールに努めております。

 

(5)情報セキュリティに関するリスク

 事業活動の過程では取引先の機密情報や個人情報、当社グループの技術・事務管理に関する機密情報や個人情報を取り扱う場合があります。パソコン、サーバー及びネットワーク機器の障害や紛失・盗難、外部からの攻撃やコンピュータウイルスの感染等によりこれらの情報が流出あるいは消失した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これら情報セキュリティ上のリスクについては、全社情報セキュリティ統括責任者の指示のもと経営企画部情報セキュリティ室を中心に、セキュリティポリシーの策定、外部機関連携による最新情報の入手、ネットワークやIT機器の監視、外部からの攻撃に対する対策、及び教育や訓練等の具体的施策を推進しております。

(6)市場変動によるリスク

 当社グループの国内会社の売上高には、一定程度の海外向け取引が含まれており、為替レートに大幅な変動がある場合には、受注・売上及び損益に影響を受ける可能性があります。ただし、為替レートの変動による影響を軽減する対策として、為替予約の活用や海外調達により外貨建コストの比率を高めるなど、リスク量を適正な水準に調整しております。また、海外子会社においては大部分のコストは自国通貨建てのため、為替レートが当社グループの損益に与える影響は軽微であります。

 

(7)材料調達リスク

 当社グループは、機械、海洋開発、エンジニアリング等の事業展開を行い、多種多様な原材料・部品等の調達を行っております。例えば鋼材については、その急激な価格上昇・需給逼迫等が生じた場合、コスト増加、工程の遅れにより当社グループの損益を悪化させる可能性があります。そのため、種々の原材料・部品等について長期安定供給の体制を確保するとともに、価格交渉等を通じて、その影響を軽減するよう努めております。

 

(8)会計処理に関するリスク

 当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化等により収益性が低下した場合、また、遊休資産について時価等が下落し、回収可能価額が低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。

 また、保有する株式についても同様に、経営環境の変化等により収益性が低下した場合や時価等が著しく下落し、回収可能価額が低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。

 税効果会計及び退職給付会計においては、将来の予想・前提に基づいて、その資産・債務等の算定を行っております。そのため、予想・前提となる数値に変更がある場合もしくはこれらの算定を行うための会計基準の変更がある場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<重要事象等の解消について>

 以下の状況から、当社グループの継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したと考えております。

 

 当社グループは、不採算プロジェクトのインドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事の損失等により、2022年3月期まで5期連続の営業赤字を計上したことから、継続企業の前提に関する重要な疑義が生じていることを認識しておりました。

 このような状況を解消すべく、当社グループは2019年5月に策定した「三井E&Sグループ 事業再生計画」(同年11月に一部見直し、以下、事業再生計画)に沿って、不採算事業の整理・撤退等を進め、祖業である船舶の建造事業からも事実上撤退する等、2022年度までに、子会社・不動産等、約20件、総額1,200億円超の事業・資産売却を断行しました。

 さらに、財務体質の健全化及び成長投資のための資本対策として、2022年3月31日に公表した「第三者割当によるA種優先株式の発行、第三者割当による第1回行使価額修正条項付新株予約権の発行」により、合計約170億円の資金調達を進めております。

 インドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事についても、残工事を除き、顧客への引き渡しが完了し、顧客による発電プラントの商業運転が開始されています。残工事は商業運転に直接の影響がない一部のものに限られ、顧客による商業運転の操業の都合に合わせて粛々と進められている状況であり、関係各社との費用精算や為替予約の締結等により未確定費用の確定を進めた結果、不確実性は解消されたと判断できる状況となりました。当社グループはこれら一連の施策を計画通り全て実行し、この度、事業再生計画を完遂することができ、2023年3月期は営業利益を計上いたしました。

 今後の当社グループ事業においては継続して営業利益を計上している機械事業が中心となり、2024年3月期についても営業黒字を計上する見込みです。

営業キャッシュ・フローについては、2024年3月期は機械事業の事業収入が獲得できるものの、前述の確定費用に関する精算支払いという一時的な要因により、マイナスとなる見込みですが、その後は機械事業の事業収入を中心とした、確実な営業キャッシュ・フローの獲得を見込んでいます。2023年3月期末現在、1,415億円の有利子負債については、前述の確定費用に関する支払資金の調達のため、一時的に増加するものの、安定した事業収入に加え、計画的な遊休資産の売却等により削減を進めることで、中期経営計画期間中に適正な水準まで減少させることを見込んでおります。

 さらに、メインバンクをはじめとした取引金融機関からは事業再生計画の実施状況や中期経営計画に対して高い評価をいただいており、コミットメントライン契約や融資の継続などを通じて当該金融機関とは密接な関係を維持できております。今後の資金調達においても継続的な支援が得られ、資金計画に基づき想定される需要に対応できる資金も十分確保できるものと考えております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績等の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立により回復の動きがみられました。しかしながら、世界的なインフレ高進とそれを抑制するための急速な金融引き締めにより回復ペースは減速傾向にあります。また、米欧の急速な利上げが金融システム不安を引き起こすことへの懸念も高まっており、先行きは不透明な状況にあります。

米国経済は、貯蓄取崩しによる個人消費や良好な雇用情勢などに底堅い動きがみられるものの、高インフレや政策金利の引き上げが景気を下押しし、減速する見通しです。欧州経済も、緊迫するウクライナ情勢に加え、米国発の金融システム不安の高まりなどにより消費マインドの回復は鈍く、景気は低迷する見込みです。中国経済は、ゼロコロナ政策の解除を機に経済活動が正常化し、サービス消費の拡大により回復傾向にありますが、自動車販売の不振、不動産市況や輸出の低迷など、サービス以外の需要には脆弱さが残り、回復は緩やかなペースに留まる見通しです。一方、国内経済は堅調な個人消費や総じて高水準を維持する企業収益により回復基調にありますが、世界経済の減速懸念や物価上昇、今後の金利動向など不確実性は高く予断を許さない状況にあります。

このような状況下、当社グループは2019年5月に策定した「三井E&Sグループ 事業再生計画」(同年11月に一部見直し、以下、事業再生計画)に沿って、不採算事業の整理・撤退等を進め、祖業である船舶の建造事業からも事実上撤退する等、2022年度までに、子会社・不動産等、約20件、総額1,200億円超の事業・資産売却を断行しました。

さらに、財務体質の健全化及び成長投資のための資本対策として、2022年3月31日には「第三者割当によるA種優先株式の発行、第三者割当による第1回行使価額修正条項付新株予約権の発行」によって、合計約170億円の資金調達を行うことを公表し、2022年6月30日に「A種優先株式」90億円の払込手続が完了した他、「第1回行使価額修正条項付新株予約権」は2023年3月末時点で約33%、約23億円が行使され、財務健全性も向上しております。

インドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事についても、残工事を除き、顧客への引き渡しが完了し、顧客による発電プラントの商業運転が開始されています。残工事は商業運転に直接の影響がない一部のものに限られ、顧客による商業運転の操業の都合に合わせて粛々と進められている状況であり、関係各社との費用精算や為替予約の締結等により未確定費用の確定を進めた結果、不確実性は解消されたと判断できる状況となりました。当社グループはこれら一連の施策を計画通り全て実行し、この度、事業再生計画を完遂することができました。

一方で、当社を取り巻く事業環境が大きく変化していることを踏まえ、「2023年度中期経営計画」(以下、「2023中計」)を1年前倒しで2022年度からスタートすることを2022年5月13日に公表し、その成長戦略の一環として、中核事業である舶用推進エンジン事業における開発・生産・アフターサービスの強化を目的に、2022年9月27日付で、「株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン及びその付随事業の承継に関する株式譲渡契約」を締結し、2023年4月に「株式会社三井E&S DU」が発足しました。また、岡山県の当社グループ玉野機械工場敷地内で、舶用エンジンの次世代燃料対応に向けた生産設備の増強工事にも着手しております。(2022年11月9日公表)

さらに、当社は、今後の成長と収益力向上のため、事業と経営との距離を縮め、一体となることで戦略の立案・実行スピードを上げることを目的に、2023年4月1日付で、株式会社三井E&Sマシナリー及び株式会社三井E&Sビジネスサービスを吸収合併し、商号を「株式会社三井E&S」に変更いたしました。また、2023年6月28日開催の定時株主総会における定款変更決議により、当社は監査等委員会設置会社へ移行いたしました。

当社グループでは、2023中計に掲げた成長戦略の遂行に向けた土台固めと、更なる成長戦略の実行・加速により、新生三井E&Sグループの企業価値向上に取り組んでまいります。

 

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて308億9百万円増加の4,399億59百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて169億27百万円減少の3,292億73百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて477億37百万円増加の1,106億86百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、受注高は3,223億51百万円(前期比△36.9%)、売上高は2,623億1百万円(前期比△54.7%)、営業利益は93億76百万円(前期は100億29百万円の営業損失)、経常利益は125億32百万円(前期は257億42百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は155億54百万円(前期は218億25百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 

〔経営成績の推移:連結ベース〕

 

 

 

 

 

受注高

(百万円)

売上高

(百万円)

営業利益又は

営業損失(△)

(百万円)

経常利益又は

経常損失(△)

(百万円)

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(百万円)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失

(△)

(円)

2023年3月期

322,351

262,301

9,376

12,532

15,554

177.47

2022年3月期

511,089

579,363

△10,029

△25,742

△21,825

△269.94

2021年3月期

576,668

644,686

△12,243

△8,223

134

1.67

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。

 

(船舶)

受注高は84億39百万円(前期比△56.8%)、売上高は65億98百万円(前期比△76.5%)、営業利益は83百万円(前期は4億38百万円の損失)となりました。なお、船舶セグメントを構成する三井E&S造船株式会社及びその子会社2社は、持分の減少に伴い、第3四半期連結会計期間より連結の範囲から除外したため、受注高、売上高、営業損益の認識は連結子会社であった第2四半期連結累計期間までとなります。

 

(海洋開発)

持分法による投資利益は、当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、前期から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大による建造工事の収益率低下の影響が当期にも及んでいることや、ブラジルで操業するFPSO等への追加的な修繕費用等の発生による利益の押し下げ要因があったものの、比較的収益率の高い建造工事の進捗及びチャーター事業の収益の積み上げなどにより、23億11百万円となりました。

 

(機械)

受注高は2,312億10百万円(前期比+55.4%)、売上高は1,742億11百万円(前期比+13.3%)、営業利益は83億74百万円(前期比+2.7%)となりました。

 

(エンジニアリング)

売上高は224億6百万円(前期比+193.7%)、営業利益は5億47百万円(前期は108億10百万円の損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは150億43百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは29億99百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは95億15百万円の収入となったことなどにより、前連結会計年度末に比べて73億50百万円減少(△14.5%)して434億68百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の支出は、150億43百万円(前連結会計年度は202億65百万円の支出)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益の計上及び仕入債務の増加などによる収入があった一方、受注工事損失引当金の減少、売上債権及び契約資産の増加、棚卸資産の増加、契約負債の減少、その他負債の減少などによる支出があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、29億99百万円(前連結会計年度は709億23百万円の支出)となりました。これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入があった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出などがあったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、95億15百万円(前連結会計年度は8億6百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び社債の償還による支出などがあった一方、短期借入金の純増加及び株式の発行による収入などがあったことによるものであります。

 

〔財政状態の推移:連結ベース〕

 

総資産

(百万円)

純資産

(百万円)

自己資本比率

(%)

営業活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

投資活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

財務活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

有利子
負債残高

(百万円)

2023年3月期

439,959

110,686

24.2

△15,043

△2,999

9,515

141,547

2022年3月期

409,150

62,949

14.0

△20,265

△70,923

806

142,374

2021年3月期

759,029

88,480

8.5

7,478

21,115

△6,813

164,531

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

船舶

6,299

△76.9

海洋開発

△100.0

機械

187,748

21.0

エンジニアリング

22,273

163.1

その他

58,545

△12.7

合計

274,866

△52.4

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは主に、海洋開発セグメントにおいて、前連結会計年度より、連結子会社であった三井海洋開発株式会社を連結の範囲から除外し、持分法適用関連会社としたことによるものであります。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比(%)

受注残高

(百万円)

前期比(%)

船舶

8,439

△56.8

△100.0

海洋開発

△100.0

機械

231,210

55.4

149,191

65.0

エンジニアリング

6,669

303.7

6,411

△69.2

その他

76,031

7.9

156,215

20.8

合計

322,351

△36.9

311,817

25.4

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、受注高に著しい変動がありました。これは主に、海洋開発セグメントにおいて、前連結会計年度より、連結子会社であった三井海洋開発株式会社を連結の範囲から除外し、持分法適用関連会社としたことによるものであります。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

船舶

6,598

△76.5

海洋開発

△100.0

機械

174,211

13.3

エンジニアリング

22,406

193.7

その他

59,084

△11.3

合計

262,301

△54.7

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主に、海洋開発セグメントにおいて、前連結会計年度より、連結子会社であった三井海洋開発株式会社を連結の範囲から除外し、持分法適用関連会社としたことによるものであります。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Equinor Brasil Energia Ltda.

86,234

14.9

当連結会計年度については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ308億9百万円増加の4,399億59百万円となりました。これは、現金及び預金が59億58百万円減少した一方、仕掛品が102億37百万円、投資有価証券が255億22百万円それぞれ増加したことなどによります。

負債は、前連結会計年度末と比べ169億27百万円減少の3,292億73百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が62億33百万円、短期借入金が206億30百万円、未払費用が351億92百万円それぞれ増加した一方、1年内償還予定の社債が100億円、契約負債が56億円、受注工事損失引当金が455億81百万円、社債が50億円、長期借入金が77億29百万円それぞれ減少したことなどによります。

純資産は、A種優先株式の発行、第1回行使価額修正条項付新株予約権の行使、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、繰延ヘッジ損益の増加及び為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末と比べ477億37百万円増加の1,106億86百万円となりました。また、減資により増加したその他資本剰余金600億15百万円を利益剰余金に振り替えることで欠損填補に充当し、利益剰余金のマイナスを解消いたしました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度と比べて1,887億38百万円減少(△36.9%)の3,223億51百万円となりました。

売上高は、海洋開発部門の三井海洋開発株式会社を連結の範囲から除外したことにより、前連結会計年度と比べて3,170億62百万円減少(△54.7%)の2,623億1百万円となりました。

営業利益は、エンジニアリング部門においてインドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事の進捗による損益改善などにより、93億76百万円(前期は100億29百万円の営業損失)となりました。

経常利益は、営業利益の計上及び為替差益や持分法による投資利益の計上などにより、125億32百万円(前期は257億42百万円の経常損失)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、155億54百万円(前期は218億25百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(船舶)

一般商船分野においては、コンテナ船並びにバルクキャリアの用船マーケットは引き続き高値を維持しておりますが、資機材価格の上昇並びにロシアによるウクライナ侵攻から景気の不透明感はいまだ払拭されておらず、船主、造船所双方の様子見姿勢が続いております。一方、環境負荷低減の動きは停滞しておらず、船主、造船所から新燃料搭載船舶検討の要望が寄せられております。

船舶セグメントを構成する三井E&S造船株式会社及びその子会社2社は、持分の減少に伴い、第3四半期連結会計期間より連結の範囲から除外したため、受注高、売上高、営業損益の認識は連結子会社であった第2四半期連結累計期間までとなります。

受注高及び売上高は、前連結会計年度に艦艇事業を譲渡した影響などにより、それぞれ、前期と比べて110億82百万円減少(△56.8%)の84億39百万円、214億89百万円減少(△76.5%)の65億98百万円となりました。営業損益は、前期の4億38百万円の損失から83百万円の利益となりました。

 

(海洋開発)

原油価格は、EUによるロシア産原油の禁輸措置の導入を発端に、供給不足が強まるとの見方などから、一時1バレル120米ドル台前半へ上昇したものの、その後中国経済の下振れや、主要先進国の金融引き締めによる景気後退への懸念から、エネルギー需要が減少するとの見方が強まった結果、1バレル70米ドル台まで下落しました。こうしたことから、脱炭素の流れと併存しながらも、安定したエネルギー供給の維持は依然重要な課題であり、石油会社による深海油田開発プロジェクトは継続すると考えられ、当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトは、今後も安定した成長が期待されます。

持分法による投資利益は、当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、前期から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大による建造工事の収益率低下の影響が当期にも及んでいることや、ブラジルで操業するFPSO等への追加的な修繕費用等の発生による利益の押し下げ要因があったものの、比較的収益率の高い建造工事の進捗及びチャーター事業の収益の積み上げなどにより、23億11百万円となりました。

 

(機械)

舶用ディーゼル機関については今期の生産実績は136基/283万馬力、来期は143基/290万馬力を見込むなど受注環境は回復しつつあります。また、メタノール焚きや二元燃料機関の受注及び引き合いが急増しており、これらに対応するための設備増強に着手し、アンモニア焚き機関についても積極的な研究開発を行っております。今後は、株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン事業の承継効果を活かし、MAN B&W機関とWinGD機関のダブルライセンス体制によるシナジーを生み出してまいります。

運搬機については東南アジアでの大型案件の受注が続いて海外での受注は好調を維持しており、国内においても、新設、増設に加え、既設の老朽化更新などの需要も堅調です。また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で実証を行っていた、世界初のゼロ・エミッショントランステーナ(水素燃料電池パワーパック駆動のトランステーナ)について無事に実証実験に成功し、今後の商業化を加速させます。

産業機械については往復動圧縮機や製鉄所向けの軸流圧縮機・炉頂圧回収タービンで厳しい環境が続きましたが、プロセス機器で国内向け大型案件の受注があり実績のある国内顧客向けの案件や、当社グループが得意とする特殊機器案件を中心に堅調に推移しました。今後は産業界の急速な脱炭素化の流れに対応し、水素関連市場への取り組みを強化していきます。

ソリューション事業についてはレーダ、マニピュレータとロボティクスに加え、大型造波装置などの水実験施設や大型可動構造物、設備機械に注力しました。素粒子物理学実験設備の分野では、ハイパーカミオカンデ水槽設備関係施行におけるECI(Early Contractor Involvement)方式の公募にて優先交渉権者に選定され、先行する一部本体工事を受注しました。

アフターサービス事業については円安等の好材料や、就航船に対する規制対応の需要でディーゼル部品が好調です。クレーン分野は海外で荷役機器の補修投資の意欲が高まり回復基調で、国内でも密着営業の効果で好調に推移し、今後はドローン点検やクレーンリモートモニタリングなどの新サービスの拡販も推進してまいります。

受注高は、各事業において新型コロナウイルス感染症拡大に伴う投資抑制が解消されつつあることに加え、舶用ディーゼル機関の前期からの期ずれ受注の影響などにより、前期と比べて824億41百万円増加(+55.4%)の2,312億10百万円となりました。売上高は、舶用ディーゼル機関の環境規制対応やコンテナクレーン工事の進捗などにより、前期と比べて204億75百万円増加(+13.3%)の1,742億11百万円となり、営業利益は、売上高が順調に推移したことなどにより、前期と比べて2億17百万円増加(+2.7%)の83億74百万円となりました。

 

(エンジニアリング)

インドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事については、残工事を除き、顧客への引き渡しが完了し、顧客による発電プラントの商業運転が開始されています。残工事は商業運転に直接の影響がない一部のものに限られ、顧客による商業運転の操業の都合に合わせて粛々と進められている状況であり、関係各社との費用精算や為替予約の締結等により未確定費用の確定を進めた結果、不確実性は解消されたと判断できる状況となりました。本工事完了後は、同事業から撤退し、そのリソースを当社グループの成長の見込める事業に再配置いたします。

売上高は147億77百万円増加(+193.7%)の224億6百万円となり、営業損益は、未確定費用の確定に努めてきた結果、113億57百万円改善し、5億47百万円の利益となりました。

 

c. キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a. 資金需要

当社グループは個々の契約金額が大きな製品を受注生産しており、運転資金は工事にかかる材料費、請負工事費、及び人件費が占めておりますが、個々の工事の契約による支払い条件、工事の進捗により、一時的に多額の運転資金需要が発生しやすい傾向があります。

投資資金の主なものは、中核事業のグリーン戦略・デジタル戦略を推進するために必要な成長投資資金、及び製造工場を維持・増強するための設備資金となっており、成長投資資金については、優先株の発行により得た資金、及び新株予約権の行使により得られる資金を中心に充当いたします。

なお、有利子負債の増加を抑制する観点から、当社グループでは設備投資、投融資などの長期的な資金は、主力事業の成長投資資金に集中させることで、一時的な多額の支出を抑制していく方針としております。

 

b. 資金調達

当社グループの運転資金、投資資金は主に営業活動による収入を財源とすることを基本とし、日々の資金の動きで不足が生じた場合は、金融機関からの借入で調達しております。なお、残工事を除き顧客への引き渡しが完了している海外大型EPCプロジェクトについては、関係各社との確定費用の精算支払のための資金を主要取引金融機関からの借入により調達済みであり、当該残工事遂行資金の調達の目途も付いております。これらの借入金を適時調達できる状態を維持するため、主要取引金融機関とは長年にわたる良好な取引関係を維持しており、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要にも備えています。また、上場子会社を除いた連結子会社との間でCMS(キャッシュ・マネージメント・システム)を導入して、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。

さらに、成長機会の取り込みに必要な資金の調達と、財務健全性の向上を図るための資本対策として、2022年3月31日に公表した「第三者割当によるA種優先株式の発行、第三者割当による第1回行使価額修正条項付新株予約権の発行」により、2022年6月30日に「A種優先株式」90億円の払込が完了し、「第1回行使価額修正条項付新株予約権」は2023年3月末時点で約23億円が行使されております。

 

なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

合計

返済・償還

1年以内

返済・償還

1年超

短期借入金

115,245

115,245

長期借入金

21,302

9,375

11,927

社債

5,000

5,000

有利子負債 計※

141,547

 129,620

11,927

リース債務

8,924

1,863

7,061

総計

150,472

131,483

18,989

      ※当社では、リース債務を別管理しております

 

④ 経営計画の達成・進捗状況

当社グループは、エンジニアリング事業における過年度の大規模な損失により、財政基盤が著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となっておりました。

このような状況を解消すべく、当社グループは2019年5月に策定した「三井E&Sグループ 事業再生計画」(同年11月に一部見直し、以下、事業再生計画)に沿って、不採算事業の整理・撤退等を進め、祖業である船舶の建造事業からも事実上撤退する等、2022年度までに、子会社・不動産等、約20件、総額1,200億円超の事業・資産売却を断行いたしました。

さらに、財務体質の健全化及び成長投資のための資本対策として、2022年3月31日に公表した「第三者割当によるA種優先株式の発行、第三者割当による第1回行使価額修正条項付新株予約権の発行」により、合計約170億円の資金調達を進めております。

インドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事についても、残工事を除き、顧客への引き渡しが完了し、顧客による発電プラントの商業運転が開始されています。残工事は商業運転に直接の影響がない一部のものに限られ、顧客による商業運転の操業の都合に合わせて粛々と進められている状況であり、関係各社との費用精算や為替予約の締結等により未確定費用の確定を進めた結果、不確実性は解消されたと判断できる状況となりました。当社グループはこれら一連の施策を計画通り全て実行し、この度、事業再生計画を完遂することができ、当連結会計年度は営業利益を計上いたしました。

一方、持続可能社会への急速な移行等、当社を取り巻く事業環境が大きく変化しているため、当社グループは次期中計を1年前倒しで取り組むこととし、「2023中計」を2022年5月に公表しております。2023中計では、有利子負債の削減や資産の有効活用を重視し、売上至上主義から脱却する等、健全な財務体質と堅実な利益を追求する観点から、経営指標として連結営業利益率、自己資本比率及びNET有利子負債EBITDA倍率を選定し、最終年度である2025年度において、連結営業利益率:6.0%、自己資本比率:26.0%及びNET有利子負債EBITDA倍率:5.0倍を達成することを目標として設定いたしました。

「マリン領域を軸に、当社グループの中核事業である舶用推進事業、港湾物流事業を『グリーン』と『デジタル』の切り口で発展させる」ことを成長戦略の柱とし、「中核事業の強化」「収益モデルの変革」を通じて達成に向けて取り組みます。2023中計の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。

 

<2023中計の進捗>

指標

2025年度目標

2022年度実績

連結売上高

2,800億円

2,623億円

連結営業利益率

6.0%

3.6%

自己資本比率

26.0%

24.2%

NET有利子負債EBITDA倍率(※)

5.0倍

4.5倍

※ NET有利子負債EBITDA倍率=(有利子負債残高-現金及び預金)÷(営業利益+減価償却費+持分法による投資損益)

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入

会社名

相手方

提携品目

契約期間

契約内容(対価の支払方法)

国籍

名称

㈱三井E&Sマシナリー

ドイツ

MAN Energy Solutions SE

MAN B&Wディーゼル機関

1971.11

2031.12

(1)ロイヤリティ

(2)技術資料代

(3)技術指導料

オランダ

Howden Thomassen Compressors B.V.

往復動コンプレッサ装置

2012.1

1年毎

自動延長

(1)ロイヤリティ

(2)技術サービス料

 

(2) 技術供与

会社名

相手方

供与品目

契約期間

契約内容(対価の受取方法)

国籍

名称

㈱三井E&Sマシナリー

中国

Shenyang Blower Works Co.,Ltd.

軸流圧縮機

2004.11

2024.6

(以後5年毎自動延長)

(1)ロイヤリティ

(2)技術サービス料

Shenyang Turbo Machinery Corporation

炉頂圧回収タービン

2016.6

2026.6

(以後5年毎自動延長)

ロイヤリティ

(注)当連結会計年度に関する開示に当たり、経営上の重要性の観点から、本欄に記載すべき契約を再検討して表示しております。

 

(3) 連結子会社の株式の一部譲渡

 当社と常石造船株式会社(以下、「常石造船」)は、2022年5月27日付で、当社の連結子会社である三井E&S造船株式会社の株式のうち17%を、2022年10月3日付で常石造船に譲渡することで合意に達し、株式追加譲渡に関する合意書を締結いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(4) 株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン及びその付随製品等に関する事業の譲受

 当社は、2022年9月27日付で、株式会社IHI及び株式会社IHI原動機(以下、「IPS」)との間で、IPSの舶用大型エンジン及びその付随製品等に関する事業(以下、「同事業」)の譲受について株式譲渡契約を締結いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(取得による企業結合)」に記載のとおりであります。

 また、2023年4月1日付で、同事業を承継した新会社は株式会社三井E&S DUに商号変更しております。

 なお、同社はWinterthur Gas & Dieselライセンス及びS.E.M.T Pielstickライセンスを保有しております。

6【研究開発活動】

当社グループは、舶用推進事業及び港湾物流事業を中核事業として、製品競争力強化と事業拡大につながる研究開発を積極的に推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,762百万円であり、主な研究開発は以下のとおりであります。

なお、船舶は少額のため、海洋開発は持分法適用会社で構成され、その研究開発費は上記金額に含まれないため、エンジニアリングは研究開発を行っていないためそれぞれ記載を省略しております。

 

(1)機械

 舶用エンジン関連では、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアや水素燃料が注目されております。当社グループでは、アンモニア燃料船向けに、世界初号機となるアンモニア焚きエンジン及びその燃料供給装置など周辺機器の開発を進めております。燃料供給装置など一部の製品開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金の補助事業として採択されています。水素燃料船の開発について国土交通省の海事産業集約連携促進技術開発支援事業を活用し、水素焚きエンジン及び水素燃料供給システムに安全対策を施した装置設計・製作を行い、支援事業最終年度となる本年度の燃焼試験に向けた準備を進めております。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)関連技術開発の活用により、プロダクトライフサイクルコスト削減のための開発を進めております。電子制御エンジンの次世代電子制御基盤Triton用リアルタイムシミュレータを開発し、エンジンの試運転期間の短縮及び制御関連の不具合防止に活用を始めたほか、就航船に対するAIを活用したエンジンの異常検知、及びエンジン部品のメンテナンス時期を状態監視により決定するCBM(Condition Based Maintenance)用ソフト開発などを行っています。

 

 産業機械関連では、従来、石油精製、石油化学市場向けを中心に事業展開してきましたが、近年の産業界の急速な脱炭素化への流れに対応し、当社の連結子会社である株式会社加地テックと協同で水素関連市場向け往復動圧縮機の開発に着手しました。これまで同関連市場のパイロット設備に多くの小容量圧縮機を供給してきた株式会社加地テックと連携することで同社が保有する高圧技術やノウハウを活用し、将来の高圧・大容量化の市場要求に応えるため、新型圧縮機フレームの開発も行い、商品ラインナップの拡充を進め、市場・顧客ニーズに適合した商品を継続的に提供してまいります。

 

 運搬機システム関連では、水素燃料電池(FC)を搭載したラバータイヤ式門型クレーン(RTGC)の開発を進めています。この開発はNEDOの事業に採択されており、2022年に大分工場での実証実験を成功させました。今後は、NEDO事業の一環として、RTGCの実荷役環境下での稼働状態の安定性などを検証する実証事業を米国・ロサンゼルス港において実施します。また、コンテナターミナルの労働環境改善や安全性向上へのニーズに応え、遠隔操作が可能なRTGCの開発を完了し、大分工場内に整備したテスト用RTGCとヤード荷役テストエリアを活用して、システム検証や更なる荷役効率向上を進めております。

 これらハード面の開発と並行して、コンテナ管理及び荷役作業の指示を効率的に行うシステムCTMS(Container Terminal Management System)などのソフトウェア製品に関しても、遠隔荷役機器との連携機能の開発やよりユーザフレンドリーなシステムとするための開発を進めています。

 

 アフターサービス関連では、国土交通省港湾局が進めている荷役機械の予防保全的維持管理手法の高度化に合わせて、ビッグデータを活用するクラウド型遠隔監視システムCARMS(Crane Advanced Remote Monitoring System)を三井E&Sシステム技研株式会社と共同で製品化しました。4港湾に導入し、クレーンの動作情報を収集し、解析を開始しました。2023年以降は新造や改造でご発注頂いたお客様に、順次CARMSを搭載していく予定です。並行してクレーンの故障予防保全AI診断機能の開発を進め、診断機能を試験的にクレーンに搭載する予定です。収集したデータからAI分析を行い、点検業務を支援するサービスや、クレーン使用頻度から自動的にメンテナンス時期を算出する維持管理サービスなど、新たなサービスの開発を進めております。

 また、従来目視で行っていた点検作業をドローンに置き換えるシステムを株式会社ゼンリンデータコムと共同開発しました。3Dモデル上での設定による自動飛行と撮影に加え、遠隔地からのリアルタイム操作を実現、さらにAIによる定量評価システムを構築し、CARMSと連携させて経年変化観察も実現できるものです。2023年中に、クレーンユーザ以外にも移動式クレーンや港湾岸壁、橋梁、大型構造物の自動点検システムとして提供する予定です。

 

当事業に係る研究開発費は、1,223百万円であります。

 

(2)その他

 三井E&Sシステム技研株式会社の主力製品である勤怠管理システム「TIME-3X」の機能強化を継続的に進めております。また、三次元自動計測分野では、これまでの自動車業界向け車体三次元計測システムの機能強化に加え、新たな取り組みとしてX線CT装置と三次元解析ソフトウェアを用い、アルミ鋳造品の欠陥を非破壊で検査するシステムの開発に向けて、自動車部品を対象としPoC(Proof of Concept)を実施しました。

 

当事業に係る研究開発費は、518百万円であります