第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、持続可能社会への急速な移行、環境変化や当社自体の変革をふまえ、グループの企業理念・ビジョン・経営姿勢・行動規準を以下の通り定義しております。

■企業理念

エンジニアリングとサービスを通じて、人に信頼され、社会に貢献する。

■ビジョン

2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決を目指す。

■経営姿勢
新しい価値の創造を顧客と共に実現 ▶ 事業推進(顧客・取引先への約束)
-潜在ニーズのマーケティングと周辺技術のイノベーションで事業を推進していく。
健全な財務体質と堅実な利益を追求 ▶ 財務企画(株主・金融機関への約束)
-限界利益/固定費の適時評価を軸に、事業や子会社を堅実に管理運営していく。
サステナビリティの課題解決を推進 ▶ 人事総務(従業員・社会への約束)
-従業員の健康と安全に配慮し、気候変動/人口縮小/多様性の社会課題に取り組んでいく。

■行動規準

シンプル、ユニーク、プラクティカルな製品やサービスに挑戦

-常に顧客目線で3つの価値が重なる製品やサービスを考え、堅実な事業へと育み、社会に貢献する。

 

(2)経営戦略等

為替や市況など、当社グループを取り巻く事業環境は依然として大きく、かつ急激に変化を続けています。こうした環境下において、当社は持続的な成長を実現するため、ローリング方式による新たな中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2024」を2024年8月に、「三井E&S Rolling Vision 2025」を2025年5月に策定しました。本計画では、2030年を見据えた長期ビジョンのもと、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」をマテリアリティとして掲げ、機能戦略(財務・人材)及び事業戦略を一体的に推進します。中核事業である舶用推進システム事業及び物流システム事業については、「グリーン」と「デジタル」の視点からの進化を図り、環境対応型製品や自動化・遠隔化技術の開発・展開を強化します。さらに、第三の柱となる事業創生を担う成長事業推進事業は、保守・メンテナンスビジネスの拡大や新規事業の創出に注力し、将来の収益基盤の多様化を図ります。財務面では、ROICやWACCを意識した資本効率の向上を図りつつ、適正な配当政策を通じた株主還元を継続し、株主資本コストと負債コストのバランスを踏まえた企業価値向上に努めてまいります。

 

(3)経営環境等

当連結会計年度の世界経済は、インフレの落ち着きや貿易量の持ち直しなどを背景に、底堅く推移しました。しかし、米国における新政権発足以降、その保護主義的かつ予見不可能な政策が地政学的対立や不安定化をもたらしており、世界経済の不確実性を一層高めています。一方、国内経済は、米国の政策による不確実性は見込まれるものの、先行きは家計所得の改善による個人消費の持ち直しや企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかに回復していくものと想定されます。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「三井E&S Rolling Vision 2025」では、2027年度に、連結売上高:3,800億円、連結営業利益率:7.4%、自己資本比率:42%及びROIC:9%を経営数値目標として掲げております。

また、当社グループは、以下の社会課題を経営上も重要と認識・対応しており、2030年度目標を設定しております。各課題の解決及び人材育成・多様性の確保に注力してまいります。

マテリアリティ

2030年度目標

脱炭素社会の実現

・環境対応製品の2022~30年度累積販売・稼働台数によるCO2削減

▲1,000万t-CO2/年以上※2

・グリーン電力拡大による生産活動のCO2削減

▲1.0万t-CO2/年以上

人口縮小社会の課題解決

・港湾関連製品の自動化・システム化

2022~30年度累積販売・稼働台数

1,000件以上

多様化確保への取り組み※1

・従業員全体 女性比率:10%、外国人比率: 5%

※1:提出会社単体として目標を設定しております。

※2:同じ量の従来仕様(重油/軽油焚き)製品による排出量との比較による。

 

2024年度の達成・進捗状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、2022年度から前倒しスタートした2023年度中期経営計画で掲げた2025年度の経営数値目標を2023年度に前倒しで達成しました。さらに、2024年度は中核事業の工事の順調な進捗、営業外損益の改善などから通期の業績予想を上回る結果となりました。

 

一方で、当社グループは、事業基盤の強化及び変化の激しい事業環境を踏まえ、3年後の姿を固定するのではなく常に更新し続け、成長し続ける姿を描くローリング式中期経営計画として「三井E&S Rolling Vision 2024」(以下、「RV2024」)を2024年8月に策定しました。また、策定した財務戦略、人材戦略、事業戦略を着実に実行するとともに、その結果を反映したRolling Vision 2025を新たに策定しております。これを継続し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。

 

(財務戦略)

2024年7月にA種優先株式の全部取得及び消却を完了したほか、有利子負債の大幅な圧縮並びに借入金の短期から長期への一部転換を実施し、当社グループの流動比率は大幅に改善しました。RV2024では「株主資本コスト、負債コストを意識した経営」を掲げています。投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る姿を目指しております。

ROICを高めていくため、着実な投資を行うなど資本を有効に活用し十分な利益をあげてまいります。

 

(人材戦略)

2024年6月26日開催の第121回定時株主総会にて新たに2名の女性取締役を選任し、取締役の女性比率は25%となりました。人材多様性の推進、人材流動化への対応、人的資本と環境整備への投資に取り組み、環境変化に柔軟に対応しながら持続的な成長を実現してまいります。

 

(事業戦略)

当社グループでは、マテリアリティとして「脱炭素社会の実現」、「人口縮小社会の課題解決」の2つの柱を掲げ、中核事業の舶用推進システム事業・物流システム事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させる戦略を継続しております。具体的な施策は次のとおりです。

 

①中核事業の更なる成長

中核事業を「舶用推進システム」、「物流システム」と明確にし、中核事業を軸に収益力強化を進めてまいります。

舶用推進システム分野では、アンモニア焚きエンジン開発、LNG・メタノール焚きエンジンの生産設備増強により、海上物流分野の脱炭素化の需要増加に確実に対応、物流システム分野では、米国、日本での水素駆動クレーンの商業運転などの実証ステージを経て脱炭素関連製品の市場投入を進めていきます。

 

②新規事業の展開

中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけており、脱炭素を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力しています。2025年3月には「航海中の燃料消費量削減・CO2排出量削減」及び「生態系移動リスクの低減」に貢献する当社が開発した船体汚損コントロール手法「FALCONs」(Fouling Advanced Lifecycle Control Service)を用いた初の入港船がニュージーランド当局(MPI)から基準適合評価を取得することができました。今後も更なる事業拡大及び企業価値向上に取り組んでまいります。

産業機械分野の経験を活かし、水素供給関連施設やSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造向けなど、エネルギー転換、化石燃料依存からの脱却に向けた市場へ製品供給を目指していきます。

また、港湾クレーンのドローンによる点検サービスや港湾ターミナルの運営効率化などのデジタル技術高度化による保守メンテナンスサービスを通じて、人口縮小社会の課題解決に貢献していきます。

 

(サステナビリティ課題の取り組み)

気候変動や人口縮小社会の到来は、当社グループの事業運営における重要な経営課題であると同時に事業機会と捉え、その対応として、戦略マテリアリティを、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」と設定しました。当社グループは舶用エンジン、港湾クレーンの国内シェアトップのリーディングカンパニーの責務として、この戦略マテリアリティに向け、環境対応、遠隔・自動化の開発等、中長期の目標を掲げ、取り組みを推進してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)戦略

 当社グループは、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献することで企業価値の向上を目指します。その中でも、経営上重要な課題(マテリアリティ)を設定しています。

 例えば気候変動問題に関しては、以下のリスク・機会それぞれのシナリオ分析を行い、当社グループの事業・経営基盤に直結するものをマテリアリティ「脱炭素社会の実現」として、事業戦略に落とし込んでおります。

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(2)指標及び目標

 当社グループは、マテリアリティについて中長期の目標(2030年度)を設定することで、社会課題の解決に向けた活動を加速させます。

 

「脱炭素社会の実現」

〇2030年度目標

・環境対応製品の2022~30年度累積販売・稼働台数によるCO2削減

 ▲1,000万t-CO2/年以上

・グリーン電力拡大による生産活動のCO2削減

 ▲1.0万t-CO2/年以上

 

「人口縮小社会の課題解決」

〇2030年度目標

  港湾関連製品の自動化・システム化

  2022~30年度累積販売・稼働台数

  1,000件以上

 <港湾関連自動化・システム化の対象製品>

 ・遠隔操作トランステーナ

 ・遠隔操作ポーテーナ

 ・CTMS(※)他各種システム

 ※コンテナターミナルマネジメントシステム

(3)ガバナンス

 気候変動を含むSDGsリスクを事業リスクの一つと位置付け、リスクの顕在化の防止に努めております。経営企画部担当役員を委員長とする内部統制委員会を設置し、同委員会にて気候変動関連の課題を含む経営に関するリスクをモニタリングします。その結果に重要事項がある場合は取締役会に報告し、議論を行います。

 

(4)リスク管理

 内部統制委員会にて、上記マテリアリティに対する当社グループの取り組みのフォローアップを行っています。

 「短期・中期」の視点では、低炭素化製品の開発進捗、当社グループ製品のCO2削減量、グループ会社の生産活動におけるCO2削減量を対象として、現状把握・評価・管理を進めています。また、「長期」の視点では、必要によりシナリオ分析の再実施とこれによるマテリアリティ見直しの要否確認を行う予定です。

 

(5)その他

 マテリアリティへの取り組み進捗を示す指標の客観性向上の一環として、CO2排出量算定値(※)について第三者機関による検証を開始し、国際的な認証機関でスイス・ジュネーブを本拠とするSGS SAの日本法人:SGSジャパン株式会社から検証意見書を取得しました。

※今回の検証対象:当社(単体)の2023年度実績

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SGS検証意見書

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(6)人的資本に関する戦略

①人材への取り組み

 当社グループが提供する「エンジニアリングとサービス」の提供主体は人であり、企業理念の発現や成長戦略の実現において、人材が最も重要な経営資源と位置付けております。環境変化に柔軟に対応しながら当社グループの持続的成長と企業価値向上を実現する上で、目指す人材像として、(1)既存の枠組みを超え、隠れた顧客のニーズを捉えて対応、(2)会社の成長につなげる新しい知識と経験を自ら学び続ける、(3)社会動向に幅広く関心を持ち、環境変化を適切に認識する、この3点の人材像の実現と多様性の推進を戦略とし、そのための人事制度の改革、教育研修制度の見直し、経営幹部育成の強化等を進めております。

また、博士課程学生の採用強化や従業員の博士号取得支援について強化して取り組みを進めます。

多様性の推進については、女性比率と外国人比率を目標として設定しており、提出会社単体のデータを記載しております。

 

2030年度目標

2025年4月1日現在

女性比率

外国人比率

女性比率

外国人比率

管理職

-

-

4.0%

0.6%

従業員全体

10%

5%

8.0%

3.2%

技術職新卒採用

-

-

7%

29%

 

②人材育成の取り組み

 従業員は会社にとって大切な財産です。従業員の能力開発はもちろん、従業員が能力を最大限発揮できる働きやすい職場づくりを目指しております。当社グループでは、グループ各社の従業員の協働の促進、中長期的な視点での成長の促進を目指し、各種研修を実施しております。

仕事をする上での基礎的なビジネスリテラシー習得を目的とした各種講座や、専門と経営の視点を併せ持った人材の育成を目的とした自社企画のマネジメント講座を開講しております。また、特に全社的な変革をリードできる経営人材を育成するための選抜研修の企画を進めております。若手においては、異なる環境でも実力を発揮できるタフな人材を育成するため、5年目から10年目の事技系従業員全員を対象にローテーションを実施しております。

 また、技能向上・安全作業のための取り組みとして、基本的な技能講習等の受講や安全業務の専従経験を実施し、作業にあたっての知識習得、経験獲得を進めております。

 ワークライフバランスの観点では、フレックスタイム制度や時間単位年休制度、在宅勤務制度を継続して実施しており、加えて仕事と育児の両立を支援する休暇制度・休業制度の拡充を進めております。

 

③安全衛生への取り組み

 当社は「MES労働安全衛生マネジメントシステムマニュアル」に従って、事業者(社長)による全社安全衛生管理基本方針を表明し、それに従い、全社安全衛生管理計画を策定、実施しています。2023年4月1日に事業持株会社体制化した後も、これまでの安全衛生管理基本方針をグループ全体の方針として継承するとともに、これまで以上にきめ細かな一歩進んだ労働災害防止への取り組みとなるよう進化し続けています。また、2023年7月の健康経営宣言に則り、職場・従業員への各種健康対策に積極的に取り組んでいます。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<重要なリスク>

(1)当社グループの事業の特性によるリスク

当社グループの事業は、個別受注生産が中心であり、製品の特性によっては契約から引き渡しまで長期間に亘る工事もあります。その間の社会情勢等の変化により、契約を締結した時点の見積原価と実際の原価との間に差異が生じる可能性があります。当社グループでは対策として、慎重な見積り、多様な調達先の確保をすすめることや、客先の与信リスクに対しては、代金の早期回収、海外事業においては貿易保険を利用する等リスクの回避に努めております。

また、納めた製品の性能、品質、納期の遅れに起因するクレーム等が発生した場合や、生産活動の過程で、不測の事態により有害物質が外部へ漏洩する等環境汚染が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等による費用が発生する可能性があります。そのような事態を回避すべく、当社グループでは、品質や安全、環境保全に関する法令等を遵守し、製品の品質及び信頼性の追求と環境汚染防止に努めております。

 

(2)法的規制及びカントリーリスク

国内外での事業の遂行にあたっては、それぞれの国の各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合や、工事を行う国や地域によっては、政情不安(戦争、テロ)、国家間対立による経済制裁、経済情勢の急変に伴う工事従事者の動員及び資機材調達の遅れ、現地の労使関係等のリスク、商習慣に関する障害、資金移動の制約、特別な税金及び関税等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これを回避するため、貿易保険の付保、現地の法律や会計コンサルタント等からの情報収集及び顧客や取引先との間で最適な責任分担を図ることにより、リスクの低減に努めております。

また、米国による相互関税の導入など予見不可能な政策や米中対立の激化がサプライチェーンや世界経済に影響を与える可能性があります。当社グループの事業においても間接的な影響が想定されますが、依然として不透明であります。当社グループはその動向を慎重に見極めつつ、適切なリスクコントロールに努めてまいります。

 

(3)大規模災害のリスク

地震や風水害など各種災害が発生した場合には、物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、当社グループの生産活動を中心とした事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザなどの感染症が大流行(パンデミック)した場合、経済の混乱や、感染拡大防止のための外出自粛・渡航禁止等により商談機会の減少や、顧客の投資意思決定が遅れることが考えられます。これらが受注の遅れにつながった場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、地震、風水害など各種災害やパンデミックに対して発生時の損失を最小限に抑えるため、設備の点検・訓練の実施、緊急連絡体制、感染症対応ガイドラインの整備など、事業継続計画(BCP)を策定しております。また、損害保険の利用等を通じて負担限度額のコントロールに努めております。

 

(4)情報セキュリティに関するリスク

事業活動の過程では取引先の機密情報や個人情報、当社グループの技術・事務管理に関する機密情報や個人情報を取り扱う場合があります。パソコン、サーバー及びネットワーク機器の障害や紛失・盗難、外部からの攻撃やコンピュータウイルスの感染等によりこれらの情報が流出あるいは消失した場合や会社資産が喪失した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これら情報セキュリティ上のリスクについては、情報セキュリティ統括責任者の指示のもと経営企画部IT統制室を中心に、セキュリティポリシーの策定、外部機関連携による各種情報の入手、ネットワークやIT機器の監視、外部からの攻撃に対する網羅的かつ多層的な対策、及び教育や訓練等の具体的施策を推進しております。

 

 

(5)市場変動によるリスク

当社グループの国内会社の売上高には、一定程度の海外向け取引が含まれており、為替レートに大幅な変動がある場合には、受注・売上及び損益に影響を受ける可能性があります。ただし、為替レートの変動による影響を軽減する対策として、為替予約の活用や海外調達により外貨建コストの比率を高めるなど、リスク量を適正な水準に調整しております。また、海外子会社においては大部分のコストは自国通貨建てのため、為替レートが当社グループの損益に与える影響は軽微であります。

新造船市場等顧客企業の市場環境の変化によっては、当社グループと競合企業との価格競争が激化し、収益性に影響を及ぼす可能性があります。競合企業との価格競争に勝ち残るため、中核事業である「舶用推進システム」「物流システム」の各事業を、「グリーン戦略」と「デジタル戦略」により、更に強化してまいります。グリーン戦略では、環境対応製品のエンジニアリングに注力し、新燃料エンジン、ゼロエミッション型港湾クレーンなど脱炭素関連製品の開発・提供を進めてまいります。また、デジタル戦略では、当社グループのサービス網とデジタル技術の掛け合わせにより、海上輸送と港湾荷役の連携など強みを持つ分野で、デジタル技術・ドローン技術を活用した高度予防保全・遠隔保守サービスなどを開発・提供してまいります。

当社グループでは一定程度の有利子負債を有しており、金利レートが大幅に上昇する場合には、金融コストが増加する可能性があります。金融コストの増加に対しては、資金管理を厳格に行い有利子負債を適正な水準に維持することで、金利上昇リスクをコントロールしてまいります。

 

(6)材料調達リスク

当社グループは、舶用エンジン、コンテナクレーン、産業機械等各種製品の製造及びサービス事業を展開しており、多種多様な原材料・部品等の調達を行っております。例えば鋼材については、その急激な価格上昇・需給逼迫等が生じた場合、コスト増加、工程の遅れにより当社グループの損益を悪化させる可能性があります。そのため、種々の原材料・部品等について長期安定供給の体制を確保するとともに、価格交渉等を通じて、その影響を軽減するよう努めております。

 

(7)会計処理に関するリスク

当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化等により収益性が低下した場合、また、遊休資産について時価等が下落し、回収可能価額が低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。

また、保有する株式についても同様に、経営環境の変化等により収益性が低下した場合や時価等が著しく下落し、回収可能価額が低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。

税効果会計においては、将来の予想・前提に基づいて、その資産・債務等の算定を行っております。そのため、予想・前提となる数値に変更がある場合もしくはこれらの算定を行うための会計基準の変更がある場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)SDGsに関するリスク

当社グループが事業活動を続ける中で、炭素税の導入やCO2排出規制の強化など持続可能社会への急速な移行等が進んだ場合、燃料調達コストに対する課税や製造コスト等の増加により、当社事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。既存のビジネスモデルからの変革が求められる環境になっている一方、低炭素化へ向けた動きが加速し、非化石燃料を使用した製品の需要が拡大する場合、当社に強みのある環境対応製品の販売機会の増大が期待できます。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績等の状況

当連結会計年度の世界経済は、安定性を保ってはいるものの、米国の好調をアジア及び一部欧州の弱さが相殺するなど、その基盤の強さは国・地域により異なります。そのような状況下、米国の新政権が「米国第一」を方針に、相互関税の導入や不法移民対策等を矢継ぎ早に実施し、その保護主義的かつ予見不可能な政策で世界経済に影響を与え、特に米中対立は激化の様相を呈しております。一方、国内経済は、家計所得の改善による個人消費の持ち直しや企業業績及び設備投資の伸びなどによるゆるやかな回復を想定しておりますが、直接間接を問わず米国の政策から受ける影響は無視できない状況にあります。

当社グループの舶用推進システム事業と関連性の高い造船業界では、期近船台が完売し、商談が4年以上の先物まで進むなど、国内造船所は十分な手持ち工事量を確保しております。また、物流システム事業についても、米国では関税の影響が想定されるものの引き続き優位性は維持しており、アジア地域の物流需要も堅調、国内においても新設、増設に加え、老朽化更新などの需要が堅調と、主力事業の受注環境は総じて良好と認識しております。

ただし、米国の相互関税に対する各国の対応、金利・為替の急激な変動等、先行きの不確実性は高まっています。それぞれのリスクに対しては、有利子負債の圧縮や為替予約等を通じて適切に対応しておりますが、当面は予断を許さない状況が続くものと認識しております。

このような状況下、2024年6月に実施した三井海洋開発株式会社の株式の一部売却等によって得た約700億円の資金は、事業戦略、財務戦略、及びステークホルダーへの利益還元の3点から、以下の用途に段階的に充てて実行しております。

① 物流システム事業の米国含めた世界市場展開に必要な投資、舶用推進システム事業に関連する重要部品の技術開発や製造に必要な投資、及びサプライチェーンの強化に必要な投資

② A種優先株式の償還、有利子負債の大幅な圧縮による財務健全性の向上、並びにこれに伴う金融費用の大幅な低減

③ 一般株主への利益還元及び人材育成や住宅支援等の制度改革を軸とした人的資本への投資

①については、米国を含む海外向けクレーン・ビジネスの柔軟性向上と短納期対応の実現に向けクレーン輸送船の保有計画を進め、2025年4月に取得完了いたしました。②については、2024年7月にA種優先株式の全部取得及び消却を完了したほか、有利子負債の大幅な圧縮並びに借入金の短期から長期への一部転換を実施し、当社グループの流動比率は大幅に改善しました。③については、利益還元として2024年8月及び2025年2月に配当予想を上方修正し、人材育成の一環として博士人材向け支援制度を導入し、その他にも人事制度、教育制度の全面的見直し、当社並びに当社グループ内での人材流動化を図っております。今後も各種投資の継続的な実施、利益成長に伴う更なる財務基盤の強化や利益還元の段階的な拡大を可能とする好循環を生みだし、当社グループの進化と持続に向けた企業価値向上に繋げてまいります。

一方、為替や市況など当社グループをとりまく事業環境は大きく、かつ急激に変化を続けております。当社グループは、事業基盤の強化及び変化の激しい事業環境を踏まえ、3年後の姿を固定するのではなく常に更新し続け、成長し続ける姿を描くローリング式中期経営計画として「三井E&S Rolling Vision 2024」を2024年8月に策定しました。この計画のもとで、中核事業の舶用推進システム事業・物流システム事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させる戦略を継続しております。

舶用推進システム事業では、アンモニア燃料について、当社を含む日本5社連合とMAN Energy Solutionsの6社間で、アンモニア燃料船の商用化に向けた共同開発を進めることに合意し、覚書を締結しました。また、当社の三井-MAN B&W エンジン生産量は累計1億2千万馬力を2024年11月に達成し、2025年2月には世界初アンモニア焚き大型低速二元燃料エンジン及び燃料供給装置商用機の試験運転を開始しました。今後も世界初号機となるMAN B&Wアンモニア焚機関及びアンモニア燃料供給装置等周辺システムを供給し、舶用推進システムサプライヤーとして海上物流分野で脱炭素社会の実現に持続的に貢献してまいります。

物流システム事業では、当社と当社の子会社パセコ社(本社:米国 カリフォルニア)が、ブルックフィールド社(本社:カナダ トロント)と、米国カリフォルニアにおいて港湾クレーンの最終組立を行うための検討を進めております。米国での新政権発足に伴い、脱炭素化の流れは一時的に後退する可能性はあるものの、港湾物流事業の米国市場環境は大きく変化しないものと想定しており、引き続き米国の港湾インフラの安全確保と脱炭素化の社会課題解決に当社が貢献できることを期待しています。その第一段として、2024年2月に米国政府が発表した重要な商業用港湾に配備されている中国製のクレーンに対するサイバーリスク管理対策にかかる指令文書公示後、当社初の米国のカリフォルニア州ロングビーチ港向けに、将来のゼロエミッション化を見据えたニアゼロエミッション型タイヤ式門型クレーン(三井パセコトランステーナ)8基を2024年11月に受注しております。

 

さらに、中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけており、2024年10月に洋上水素ステーション用途の高圧大流量往復動圧縮機を1台受注しました。引き続き、脱炭素化を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力してまいります。その他、船体汚損管理サービス、港湾クレーンのドローンによる点検サービス及び港湾ターミナルの運営効率化など、デジタル技術高度化による保守メンテナンスサービスの分野でのビジネスを拡大させることにより人口縮小社会の課題解決に取り組み、更なる企業価値向上に取り組んでまいります。

 

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ179億27百万円減少の4,492億12百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ455億71百万円減少の2,750億58百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ276億43百万円増加の1,741億54百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、受注高は4,216億99百万円(前期比+25.1%)、売上高は3,151億12百万円(前期比+4.4%)、営業利益は231億30百万円(前期比+17.8%)、経常利益は277億56百万円(前期比+34.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は390億74百万円(前期比+56.0%)となりました。

 

 

〔経営成績の推移:連結ベース〕

 

 

 

 

 

受注高

(百万円)

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

1株当たり

当期純利益

(円)

2025年3月期

421,699

315,112

23,130

27,756

39,074

385.39

2024年3月期

336,987

301,875

19,630

20,711

25,051

255.73

2023年3月期

322,351

262,301

9,376

12,532

15,554

177.47

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。

 

(成長事業推進)

 受注高は459億53百万円(△1.9%)、売上高は400億17百万円(△1.9%)、営業利益は68億31百万円(+16.1%)となりました。

 

(舶用推進システム)

受注高は2,129億32百万円(+44.2%)、売上高は1,355億6百万円(+1.1%)、営業利益は74億76百万円(+16.2%)となりました。

 

(物流システム)

受注高は761億12百万円(+7.8%)、売上高は627億67百万円(+31.8%)、営業利益は59億54百万円(+94.9%)となりました。

 

(周辺サービス)

受注高は865億62百万円(+20.9%)、売上高は751億93百万円(+1.4%)、営業損失は16億15百万円(前期は23億54百万円の利益)となりました。

 

(海洋開発)

持分法による投資利益は、当社の持分法適用関連会社であった三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、FPSOの建造工事の進捗による収益計上などにより、37億57百万円(△41.0%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1億40百万円減少して333億76百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、148億52百万円(前連結会計年度は344億35百万円の支出)となりました。これは主として、売上債権及び契約資産の増加及び下請法代金支払遅延等防止法の運用改正に伴う手形サイト短縮に起因する仕入債務の減少などによる支出があった一方、税金等調整前当期純利益の計上及び契約負債の増加などによる収入があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の収入は、609億2百万円(前連結会計年度は3億54百万円の支出)となりました。これは主として、関係会社株式の売却などによる収入があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、765億66百万円(前連結会計年度は241億10百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入れなどによる収入があった一方、短期借入金の返済及びA種優先株式の消却を目的とする自己株式の取得などによる支出があったことによるものであります。

 

〔財政状態の推移:連結ベース〕

 

総資産

(百万円)

純資産

(百万円)

自己資本比率

(%)

営業活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

投資活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

財務活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

有利子
負債残高

(百万円)

2025年3月期

449,212

174,154

37.8

14,852

60,902

△76,566

97,850

2024年3月期

467,140

146,510

30.4

△34,435

△354

24,110

162,012

2023年3月期

439,959

110,686

24.2

△15,043

△2,999

9,515

141,547

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

成長事業推進

38,839

△4.6

舶用推進システム

139,270

△3.2

物流システム

62,007

38.1

周辺サービス

73,526

△6.0

海洋開発

-

-

その他

1,470

△70.8

合計

315,114

0.8

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されていたため、生産実績は記載しておりません。なお、2024年6月に同セグメントを構成していた三井海洋開発株式会社及びその関係会社を持分法適用の範囲から除外しております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比(%)

受注残高

(百万円)

前期比(%)

成長事業推進

45,953

△1.9

40,124

14.7

舶用推進システム

212,932

44.2

161,819

91.7

物流システム

76,112

7.8

95,884

17.8

周辺サービス

86,562

20.9

188,789

4.8

海洋開発

-

-

-

-

その他

137

△53.4

104

△93.3

合計

421,699

25.1

486,722

27.3

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されていたため、受注実績は記載しておりません。なお、2024年6月に同セグメントを構成していた三井海洋開発株式会社及びその関係会社を持分法適用の範囲から除外しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

成長事業推進

40,017

△1.9

舶用推進システム

135,506

1.1

物流システム

62,767

31.8

周辺サービス

75,193

1.4

海洋開発

-

-

その他

1,626

△69.0

合計

315,112

4.4

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。

3.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されていたため、販売実績は記載しておりません。なお、2024年6月に同セグメントを構成していた三井海洋開発株式会社及びその関係会社を持分法適用の範囲から除外しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態

当連結会計年度末の財政状態の概況は、関係会社株式の一部売却により得た資金を有利子負債の圧縮に充てたことにより、総資産が圧縮されております。また、合わせて短期借入金から長期借入金への一部転換を行ったことにより、短期借入金は大幅に減少し、流動比率が大きく改善されております。

資産は、前連結会計年度末と比べ179億27百万円減少の4,492億12百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が109億36百万円、繰延税金資産が74億40百万円それぞれ増加した一方、投資有価証券が464億62百万円減少したことなどによります。

負債は、前連結会計年度末と比べ455億71百万円減少の2,750億58百万円となりました。これは、契約負債が133億78百万円、長期借入金が330億12百万円それぞれ増加した一方、短期借入金が1,019億30百万円減少したことなどによります。

純資産は、A種優先株式の取得及び消却による資本剰余金の減少などがあった一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比べ276億43百万円増加の1,741億54百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度と比べて847億12百万円増加(+25.1%)の4,216億99百万円となりました。

売上高は、物流システム事業において大型工事が順調に進捗したことにより、前連結会計年度と比べて132億37百万円増加(+4.4%)の3,151億12百万円となりました。

営業利益は、物流システム事業の損益が改善したことなどにより、前連結会計年度と比べて35億円増加(+17.8%)の231億30百万円となりました。

経常利益は、持分法による投資利益の計上及び金融費用の大幅な減少などにより前連結会計年度と比べて70億44百万円増加(+34.0%)の277億56百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、関係会社株式売却益の計上などにより、前連結会計年度と比べて140億23百万円増加(+56.0%)の390億74百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(成長事業推進)

脱炭素分野では、中核事業の周辺領域で新しい製品やサービスを推進しており、水素燃料船に水素供給を行う日本初の洋上水素ステーション向けとして、新規に開発した高圧大流量水素圧縮機を国内で初受注しました。また、国内製鉄所向け高炉用送風機の大型案件を受注したほか、国内外のSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造プラント用途や水素関連用途での往復動圧縮機の引き合いにも多数対応中であり、世界的な脱炭素化の流れに当社の技術を活用し、水素関連市場への取り組みを強化していきます。

デジタル分野では、港湾における荷役業務の効率化を目的とし、コンテナターミナルの荷役計画や荷役機器に関する各種データの収集、整理、分析、及び運用手法を組み合わせることで、デジタル化による効率向上、持続可能な港湾維持、国際競争力強化を支援する港湾デジタルソリューションの開発を進めています。港湾機能の維持、生産性向上・強化の必要性は、今後ますます高まってくると予想され、これら製品・サービスの提供を通じて、労働人口減少対策や国際競争力強化へ貢献していきます。

 受注高及び売上高は、産業機械製品や建設機械用エンジンの減少などにより、それぞれ、前期と比べて8億75百万円減少(△1.9%)の459億53百万円、7億92百万円減少(△1.9%)の400億17百万円となったものの、営業利益は、産業機械製品の採算が改善したことなどにより、前期と比べて9億48百万円増加(+16.1%)の68億31百万円となりました。

(舶用推進システム)

GHG排出量削減需要により二元燃料エンジンの受注が増加しており、二元燃料エンジンの受注割合は2023年度の10%から、2025年度は20%まで伸びる見通しです。

2024年度はメタノール焚きエンジンの受注が増加し、2015年以来となるメタノール焚きエンジンを納入しました。また、MAN Energy Solutions SE(MAN)のライセンスエンジンのみならず、Winterthur Gas & Diesel Ltd.(WinGD)のライセンスのメタノール焚きエンジンの需要も伸びており、玉野工場では両ライセンスのエンジンの試運転が可能な運転設備の増強を進めています。

アンモニア焚きエンジンに関して、2025年2月に世界初となる大型低速2サイクルエンジン商用機のアンモニア燃料による試験運転を開始しました。他社に先駆けて安全性や信頼性向上のための各種試験を実施し、ゼロエミッション船の普及に向けたエンジン並びに燃料供給装置を市場投入いたします。

また、当社玉野工場及び連結子会社である株式会社三井E&S DU 相生工場の一体運営により、両工場でMAN/WinGD両ライセンスエンジンの柔軟な生産体制を構築し、顧客ニーズに対応した高品質なエンジンを供給してまいります。

アフターサービスについては、環境規制対応の需要などにより受注・売上ともに好調で、2025年度以降も電子制御エンジンのドック工事の増加により、高水準が続くものと見込んでいます。

受注高は、大型エンジンや二元燃料エンジンの案件が増加したことなどにより、前期と比べて652億61百万円増加(+44.2%)の2,129億32百万円となりました。売上高は、前期並みの1,355億6百万円(前期:1,340億33百万円)となり、営業利益は、アフターサービス事業が好調に推移したことなどにより、前期と比べて10億45百万円増加(+16.2%)の74億76百万円となりました。

(注)「MAN Energy Solutions SE」は2025年6月に「Everllence SE」へ商号変更しております。

 

(物流システム)

ベトナムにおける大型案件の連続受注、バングラデシュのODA案件など、海外での受注は好調を維持しております。国内においても主要港、地方港ともに需要が堅調であり、国内外合わせ2期連続で過去最高の受注高となりました。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で実証を行っている世界初のゼロ・エミッショントランステーナ(水素燃料電池パワーパック駆動のトランステーナ)については、米国ロサンゼルス港にて実証事業を開始し、想定を上回る燃費効率を実現しています。国内においても、東京港及び横浜港にて既設トランステーナを水素燃料電池パワーパックに換装、神戸港では水素エンジン発電機に換装し、それぞれ稼働実証を行っております。引き続き、脱炭素社会へ向け製品の商業化を進めてまいります。

また、米国での港湾インフラの安全確保に貢献するために、Build America Buy America Act(BABA)への準拠に関して、既にクレーンを構成する調達品のうち55%の米国製品の採用及び米国におけるクレーンの最終組立については検討を終えましたが、米国の政権交代により戦略の見直しが必要となっていることから、米国の政策を引き続き注視し、事前検討・準備を進めています。

アフターサービス関連では、老朽化更新に伴う既設機の改修工事が好調なことに加え、国内及び米国・東南アジア・アフリカなど国内外のパーツサプライが受注・売上ともに好調で昨年に続き過去最高を記録しました。クレーンリモートモニタリングシステムは、国内の地方港を中心に既設の搭載に加え、新設クレーンにも搭載を開始しており、メンテナンスサービスの拡充を進めてまいります。

受注高は、国内を始めアジア諸国や米国など海外でも大型案件の受注が続き、過去最高の受注高を記録した前期と比べて55億39百万円増加(+7.8%)の761億12百万円となりました。売上高は、大型工事の順調な進捗などにより、前期と比べて151億30百万円増加(+31.8%)の627億67百万円となり、営業利益は、売上高の増加や大型工事の採算改善などにより、前期と比べて28億99百万円増加(+94.9%)の59億54百万円となりました。この結果、受注高、売上高及び営業利益いずれも過去最高を記録しました。

 

(周辺サービス)

周辺サービス事業においては、国内子会社におけるシステム関連の安定した受注と売上により牽引されました。しかし、海外子会社での受注契約時期の遅延や工事採算の悪化により、利益面で前期を下回る結果となりました。

受注高は、予定していた案件を順調に獲得した結果、前期と比べて149億44百万円増加(+20.9%)の865億62百万円となりました。売上高は、前期並みの751億93百万円(前期:741億41百万円)となり、営業損益は、海外子会社における長期契約工事の将来コスト増加分を反映した影響などにより、前期の23億54百万円の利益から16億15百万円の損失となりました。

 

(海洋開発)

当社の持分法適用関連会社であった三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、FPSOの建造工事の順調な進捗による収益計上などにより、持分法による投資利益は、37億57百万円となりました。前期と比べて26億9百万円減少(△41.0%)したのは、2024年6月に三井海洋開発株式会社の株式の一部を売却し、持分法適用の範囲から除外したことに伴い、同社グループに係る持分法による投資損益の認識が2024年1月から3月までの3ヵ月分となったことによります。

 

c. キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a. 資金需要

当社グループの資金需要の主なものは、当社グループの製品製造のための材料費、外注費、人件費等の運転資金需要や、投資資金需要であります。このうち、運転資金需要については、今般の豊富な受注残高を背景に旺盛な状況が継続しております。投資資金需要は、主に中核事業のグリーン戦略・デジタル戦略を推進するために必要な成長投資資金及び製造工場を維持・増強するための設備投資資金になります。

当社グループでは、有利子負債の過度な増加を抑制する観点から、運転資金の増加を適切にコントロールしていくとともに、設備投資、投融資などの長期性資金については、主力事業への成長投資資金に集中させることで、一時的な多額の資金支出を抑制していく方針としております。

 

b. 資金調達

当社グループの運転資金需要、投資資金需要に対しては、事業活動で得たキャッシュ・フローにて賄うことを基本とし、日々の資金の動きで不足が生じた場合は、金融機関からの借入等により調達しております。借入金を適時調達できる状態を維持するため、取引金融機関とは長年にわたる良好な取引関係を維持・構築しており、加えて、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定することにより、緊急の資金需要にも備えております。また、上場子会社を除いた国内連結子会社との間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。

 

なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

合計

返済・償還

1年以内

返済・償還

1年超

短期借入金

47,854

47,854

-

長期借入金

49,996

6,166

43,829

有利子負債 計※

97,850

54,021

43,829

リース債務

7,393

2,050

5,343

総計

105,244

56,071

49,173

      ※当社では、リース債務を別管理しております

 

④ 経営計画の達成・進捗状況

当社グループは、2022年5月に公表した2023年度中期経営計画において、有利子負債の削減や資産の有効活用を重視し、売上至上主義からの脱却を図るなど、健全な財務体質と堅実な利益の追求を目的として、連結営業利益率、自己資本比率及びNET有利子負債EBITDA倍率を経営指標として選定しました。2025年度を最終年度とする本中計では、連結営業利益率:6.0%、自己資本比率:26.0%、NET有利子負債EBITDA倍率:5.0倍を目標として設定しておりましたが、2023年度において、すべての指標を前倒しで達成いたしました。

一方で、為替や市況など、当社グループを取り巻く事業環境は依然として大きく、かつ急激に変化していることを踏まえ、3年後の姿を固定するのではなく常に更新し続け、成長し続ける姿を描くローリング式中期経営計画として「三井E&S Rolling Vision 2024」(以下、「RV2024」)を2024年8月に策定しました。本計画では、舶用推進システム事業及び物流システム事業を中核とし、「グリーン」と「デジタル」の視点から事業を発展させる戦略を継続しております。

更に、2024年度の業績がRV2024の計画を上回り進捗したこと、事業環境が変化していることを踏まえ、2027年度までの機能戦略(財務・人材)及び事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2025」(以下、「RV2025」)を2025年5月に策定しました。米国市場におけるビジネス環境の不透明性を考慮してその動向を慎重に見極めつつ、RV2025の数値計画達成に向け、中核事業のさらなる成長と新規事業の拡大を進めてまいります。

当社グループは、2030年に目指す姿の実現に向けて、必要な事業投資を着実に進めるとともに、適正な配当政策を通じた株主還元を行い、株主資本コストと負債コストのバランスを意識した企業価値の向上に努めてまいります。

 

RV2024、RV2025の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。

 

<RV2025数値目標>

指標

(参考)

2024年度計画

 

2024年度実績

 

2025年度計画

 

2026年度計画

 

2027年度計画

連結売上高

3,000億円

3,151億円

3,400億円

3,700億円

3,800億円

連結営業利益率

5.7%

7.3%

7.0%

7.0%

7.4%

自己資本比率

37%

37.8%

39%

40%

42%

ROIC(※)

6%

9.9%

9%

9%

9%

※ ROIC=(営業利益-法人税等合計)÷(株主資本と有利子負債の前当期末平均)

 

5【重要な契約等】

(1) 技術導入

会社名

相手方

提携品目

契約期間

契約内容(対価の支払方法)

国籍

名称

㈱三井E&S

ドイツ

MAN Energy Solutions SE(注)1

MAN B&Wディーゼル機関

1971.11

2031.12

(1)ロイヤリティ

(2)技術資料代

(3)技術指導料

オランダ

Howden Thomassen Compressors B.V.

往復動コンプレッサ装置

2012.1

1年毎

自動延長

(1)ロイヤリティ

(2)技術サービス料

㈱三井E&S DU

スイス

Winterthur Gas & Diesel Ltd.

WinGD型汎用低速ディーゼル機関

2015.2

2026.1

ロイヤリティ

フランス

MAN Energy Solutions France SAS(注)2

S.E.M.T. Pielstick型汎用中速ディーゼル機関

2023.3

2033.3

ロイヤリティ

  (注)1.「MAN Energy Solutions SE」は2025年6月に「Everllence SE」へ商号変更しております。

     2.「MAN Energy Solutions France SAS」は2025年6月に「Everllence France S.A.S.」へ商号変更しております。

 

(2) 関連会社株式の一部売却

当社は、2024年5月14日開催の取締役会において、当社が保有する三井海洋開発株式会社(以下「三井海洋開発」)の株式の一部を売出しの方法により売却することを決議し、2024年6月に売却を完了しました。

これに伴い、三井海洋開発及びその関係会社を持分法適用の範囲から除外しております。

 

(3) 関連会社株式の売却

当社は、2024年5月14日開催の取締役会において、当社が保有する三井海洋開発の米国孫会社であるSOFEC,INC.(以下「SOFEC社」)の株式のすべてをSOFEC社に売却することを決議し、2024年5月に売却を完了しました。

これに伴い、SOFEC社は三井海洋開発の完全子会社となりました。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、舶用推進システム事業及び物流システム事業を中核事業として、製品競争力強化と事業拡大につながる研究開発を積極的に推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,467百万円であり、主な研究開発は以下のとおりであります。

なお、海洋開発は持分法適用関連会社で構成され、その研究開発費は上記金額に含まれないため記載を省略しております。また、2024年6月に同セグメントを構成していた三井海洋開発株式会社及びその関係会社を持分法適用の範囲から除外しております。

 

(1)成長事業推進

産業機械関連では、2024年度に販売を開始した水素サプライチェーン設備向け高圧大流量の水素圧縮機に対し、導入費及び維持費を含めたライフサイクルコストの低減に貢献する消耗部品の技術開発を進めております。また、引き続き水素社会の拡大に伴う市場拡大が見込まれる高圧水素ガスの製造・輸送・利用分野に対し、経済性・信頼性に優れた各種製品・サービスの拡充を進めてまいります。

新規事業関連では、港湾における業務のデジタル化による脱炭素化や省人化、効率化に貢献する技術開発を進めております。一例として、これまで書類で行っていた港湾クレーンの法令点検記録管理を電子機器での入力及びクラウド上での管理とする「CREWS」(Crane Engineer Workflow Service)を開発し、博多港等において受注しております。

また、船舶関連の新規事業として開発していた「FALCONs」(Fouling Advanced Lifecycle Control Service)のサービスを2025年3月に開始しました。当サービスは、航行データと船体の汚損状態の点検結果から船体洗浄を行った場合の燃費改善量及びCO2排出削減量を定量的に予想するものですが、ニュージーランドの船体汚損に関する入港規制にも対応しており、既に入港の実績もあります。

その他、引き続き水素燃料電池や水素内燃機関活用のための水素燃料供給方法の技術開発などによって、脱炭素化と人口縮小による労働力不足などの社会課題解決に取り組んでおります。

 当事業に係る研究開発費は、458百万円であります。

 

(2)舶用推進システム

舶用エンジン関連では、燃焼時にCO2を排出しないアンモニア焚きエンジン及び燃料供給装置、燃料タンクなど周辺機器の開発を進めており、2025年2月に世界初となる商用機におけるアンモニア焚き大型低速二元燃料エンジン及び燃料供給装置の試験運転を開始しました。燃料供給装置など一部の製品開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) のグリーンイノベーション基金の補助事業として採択されております。

アンモニア焚きエンジン及び燃料供給装置の引合い商談が増加しており、引き続き安全性の確保を行いながら、商用化に向けた開発に取り組んでまいります。

当事業に係る研究開発費は、507百万円であります。

 

(3)物流システム

クレーン関連では、カーボンニュートラルポート実現のために、水素燃料電池を搭載したラバータイヤ式門型クレーン「トランステーナ」の開発を進めております。NEDO補助事業の一環として、米国・ロサンゼルス港において2024年7月より世界初となる水素燃料電池を搭載したトランステーナでの商業コンテナ荷役運転を開始し、今後2年間にわたって検証、分析を行う予定です。国内においては東京港、神戸港に続き、横浜港でも水素を燃料とした荷役機械の稼働実証が決定しました。これら実証の成果を広く展開し、荷役機械への水素利用の促進により、港湾の脱炭素化を推進してまいります。また、大分工場内のテスト用遠隔自働トランステーナとヤード荷役テストエリアを活用して、オペレータの業務環境改善及び更なる荷役効率向上のために、AI画像処理等の新技術を応用した技術開発を進めております。さらに、ガントリークレーン「ポーテーナ」、製鉄所向けクレーン等の遠隔自働化技術についても機能開発を行っております。

システム関連では、2023年度に国土交通省より受託したコンテナヤード内横持ちトレーラ運航の高度化に関する技術開発について、実証実験を苫小牧港東港区苫小牧国際コンテナターミナルで実施しました。本実証実験は、船から降ろしたコンテナの蔵置場所までの運搬及び蔵置場所から船積み場所までの運搬を行う横持ちトレーラの運行を高度化するもので、これにより、乗員は作業負担が軽減され、走行時の安全確保に集中することができます。引き続き2025年度も車両及びシステム連携技術の開発を進めてまいります。

アフターサービス関連では、国土交通省港湾局が進めている荷役機械の予防保全的維持管理手法の高度化に合わせて、ビッグデータを活用するクラウド型遠隔監視システム「CARMS」(Crane Advanced Remote Monitoring System)を三井E&Sシステム技研株式会社と共同で製品化し、2023年以降、国内外10港湾に導入していただいております。さらに多くのお客様からの引合いがあり、ニーズに沿った機能を追加してまいります。また、並行してクレーンの故障予防保全AI診断機能の開発を進めており、診断機能を搭載したクレーンを2025年前半に製品化する予定です。AI診断をもとに、点検業務を支援するサービスやクレーン使用頻度から自動的にメンテナンス時期を算出する維持管理サービス、予備品を効率的に管理するサービス、部品手配が行えるECサイトなど、新たなサービスの開発を進めております。

また、従来目視で行っていた点検作業をドローンに置き換えるシステムを株式会社ゼンリンデータコムと共同開発し、コンテナクレーンのほか、移動式クレーンや橋梁、プラント設備、遊園地施設の自動点検システムとして、多くのユーザーニーズにマッチするよう機能向上/改善を実施しております。2024年にはお客様が自ら容易にドローンの自動飛行/撮影ルートを作成できるアプリケーション「ドローンスナップ」を開発し、販売を開始しました。2025年度から成長事業推進セグメントへ所管が移りましたが、撮影した画像をクラウド上で管理し、経年変化観察も実現できる「ドローンスナップクラウド」サービスの提供を開始する予定であり、さらに、ドローンスナップクラウドに保管された画像を自動解析し、異常診断を行う技術を開発中です。

当事業に係る研究開発費は、139百万円であります。

 

(4)周辺サービス

三井E&Sシステム技研株式会社の主力製品である勤怠管理システム「TIME-3X」の機能強化とモバイル端末によるシフト管理といった関連サービスの開発を実施しております。三次元計測分野では、自動車製造向けラインサイドにおける計測システムの機能強化を実施しております。

また、お客様のDX推進を目的とした「データ活用プラットフォーム」の機能を拡充し、お客様自らがデータ活用を実感していただき、手軽に始められるようテンプレートの提供を開始しております。

舶用制御機器関連では、WinGD社舶用エンジン向け制御装置の2025年度の製造承認取得に向けた開発の取組みを実施しております。

当事業に係る研究開発費は、361百万円であります。