文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 経営方針、経営戦略等
① 経営方針
当社グループでは、基本理念である「Kanadevia Value」を定めており、本基本理念の下、長期ビジョン、経営戦略等を実施していく経営体系を構築している。
当社グループの基本理念「Kanadevia Value」
② 経営戦略等
当社グループでは、基本理念「Kanadevia Value」の下、2050年に目指す姿である「サステナブルビジョン」及び2030年に向けた長期ビジョン「2030 Vision」を掲げるとともに、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を実施している。
「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロにする」、「人々の幸福を最大化する」を目標に、ビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定している。これら「成功の柱(マテリアリティ)」ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進していく。
また、「2030 Vision」では、「サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー」として、「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組み、既存事業の持続的成長と、成長事業の創出・拡大を目指していく。
そして、2023年度~2025年度の3か年の中期経営計画「Forward 25」では、グローバルな社会的課題の解決に向け、以下のとおり3つの基本方針に基づく重点施策に取り組んでいく。
中期経営計画「Forward 25」
1.既存事業の持続的成長
(1)海外事業の伸長
Waste to X(廃棄物中の再利用可能な金属やエネルギーの回収・利用)事業、原子力関連事業、水事業を中心に、当社グループで協力して事業伸長に取り組んでいる。2024年度はKanadevia Inova AG.のWaste to X事業の伸長により、当社グループ全体の海外売上高比率が49%となり、2025年度までの目標としていた40%を達成することができた。デンマークのBabcock & Wilcox Renewable Service A/S(現 Kanadevia Inova Denmark A/S)の買収など、Waste to X プラント運営・メンテナンス会社の買収により継続的事業を拡大しているほか、英国でバイオガスプロジェクトに関する事業開発や運営などを行っているIona Capital Ltd及びそのグループ会社の買収等により、Waste to X事業領域の拡大を進めている。
(2)事業構造改革の推進
社会のサステナビリティと会社のサステナビリティの観点から事業評価を行い、事業ポートフォリオの見直し・改革を進めている。2024年度は、経営の効率化の観点から、当社の完全子会社のうち、日立造船プラント技術サービス㈱を当社に吸収合併したほか、㈱プロモテックの当社への吸収合併(2025年4月1日付)、また㈱エイチアンドエフの全発行済み株式の㈱アマダへの譲渡(2025年5月1日付)を決定するなどの改革を行った。
(3)継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善
2025年度に継続的事業の売上高割合50%、新設事業の黒字化を目指し、新たな事業モデルの創出、DX推進による製品・事業の高付加価値化等に取り組み、収益力の強化を図っている。2024年度は当社連結売上高に占める継続的事業の割合が41%であった。
2.成長事業の創出・拡大
重点投資分野である脱炭素化事業、資源循環事業、水事業、ライフサイエンス関連事業等において、積極的な投資を行っている。
脱炭素化事業では、水素発生装置の中核機器である水電解スタックの量産工場を山梨県都留市に建設する80億円規模の設備投資を決定した。また、Power to Gas、浮体式洋上風力発電等の分野において、補助金事業を活用した開発投資を行っている。資源循環事業では、国土交通省による実証事業を活用し、下水汚泥から得られるメタンを資源として再利用する技術開発への投資を行っている。さらに、脱炭素化及び資源循環が融合する領域における開発投資として、ごみ焼却施設から発生するCO2の利活用に関する研究を、補助金を活用して進めている。
3.持続可能な経営の推進(企業価値の向上)
人的資本の強化、事業活動の脱炭素化、DX戦略の推進、リスク管理の徹底に取り組んでいる。
人的資本の強化では、管理職人事制度の改革、65歳定年制の導入など人事制度の改革を進めた。また、特に健康経営を推進しており、産業医や健康保険組合等とも課題を共有し、健康経営優良法人「ホワイト500」の認定を受けるなど、各種施策を推進している。さらに、2024年10月1日付の商号変更に合わせてブランディング推進の取組みを進め、職員のエンゲージメント向上を図っている。
事業活動の脱炭素化について、2050年度に自社の活動および自社のバリューチェーンにわたるGHG(温室効果ガス)排出量を実質的にゼロにすることを目標とし、各種取組み、情報開示を推進している。ESGデータ集2024において、自社活動によるGHG排出量を示すスコープ1、2の開示範囲を、当社グループ20社から同98社に拡大し、さらに国内排出分の第三者保証を取得した。また、自社のバリューチェーンにおけるGHG排出量を示すスコープ3の開示を開始した。2024年度のGHG排出量データは、2025年秋頃発行予定のESGデータ集2025に記載予定である。さらに、当社は2024年11月に開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の「ジャパン・パビリオン」に初出展し、CO2の高効率回収を実現する廃棄物燃焼技術を中核とした、風力発電やメタネーション等を含むシステム・パッケージを展示したほか、当社社長が講演を行い、資源循環による環境負荷低減に向けて挑戦する当社の姿勢について説明した。
DX戦略の推進については、役職員が業務に利用するための生成AI環境の構築やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得など、戦略推進のための基盤整備が進んだほか、DX人材の育成も併せて進めている。
リスク管理の徹底については、重要な戦略リスクの特定、リスク許容度の定義及びこれに基づく戦略的なリスク管理を行う仕組みを導入、推進するために社長直轄のERM (Enterprise Risk Management)室を新設した。今後、ERM室の統括の下にグループリスクのマネジメントを進めていく。
③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の最終年度となる2025年度における目標を、受注高7,000億円、売上高6,200億円、営業利益270億円(営業利益率4.4%)、ROE8.2%とした。また、長期ビジョン「2030 Vision」では、2030年に営業利益率10%の達成、ROE10%超、海外事業比率50%、継続的事業の比率50%超、2030年代のできるだけ早い時期に売上高1兆円の事業規模を目指す。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
中期経営計画「Forward 25」の中間年度(2024年度)の業績は、海外子会社のKanadevia Inova AG.及びそのグループ会社の伸長等に加え、円安の影響もあって、受注高、売上高、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも期初の見通しを上回る結果となった。
当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の重点施策を実行することで、収益力強化を推進し確実に成果をあげることを目指すとともに、当社グループが持続的な成長と企業価値の向上を目指すうえで重要な課題となる、安全管理の徹底にも引き続き取り組んでいく。
当社グループにおける不適切行為について
当社は、当社グループのうち舶用エンジン事業を行っている連結子会社において不適切行為が行われていたことが判明したことを受け、2024年7月17日付で当社グループから独立した外部有識者で構成される特別調査委員会を設置し、透明性及び実効性を確保した調査を実施した。かかる調査の結果、2025年3月25日及び同年4月30日に公表したとおり、舶用エンジンのほか、可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等の事業・製品について、一部に不適切行為が行われていたことが判明した(以下、特別調査委員会の調査の結果判明したこれらの不適切行為を「本件不適切行為」という)。
当社グループとしては、本件不適切行為が明らかになったことを厳粛に受け止め、以下の再発防止策に取り組んでいくことに加え、特別調査委員会の提言をもとにさらなる実効性の高い再発防止策を策定・実施することで、ステークホルダーからの信頼回復に努めていく。
<再発防止策>
本件不適切行為のうち個々の事案に対して、計測等システム及び業務プロセスの見直し並びに品質管理体制の強化など、それぞれの性質に応じた対策を実施しているほか、各不適切行為に共通する対策として、以下の事項に取り組んでいる。
①経営トップによるコミットメント
経営トップがコンプライアンスの徹底を繰り返し発信することにより、当社グループとして不正を絶対に行わないことを役職員に認識させ、また、ステークホルダーに対して、当社グループ全体として不正防止に真摯に取り組む姿勢を示す。
②組織風土改革・意識改革
・当社グループとして、Kanadevia Valueをはじめとする当社の理念や規範をもとにありたい姿を具体化し、役職員がこれを理解し実践できるよう経営トップからメッセージを発信する。
・如何なる理由があっても不正を拒絶し、何か不安や懸念があればお互いに速やかに共有し、適切に問題解決を図ることができる職場づくりを促進する。
・組織の縦割り化や業務の属人化を防ぐために、人事ローテーションの活性化を図り、長期間、一人の担
当者が同じ業務に従事しないような仕組みを構築する。
・職員一人ひとりが不正を拒絶できる倫理観を持つことができるよう、自身の役割・責任に対する意識を
高めることに着眼した啓発・教育・トレーニングを実施する。
③業務プロセスの改善
・各部門の業務管理規程と業務の実態を照合し、不正につながるプロセスの排除及び業務所掌の見直し
を行い、不正を防止できる実効性のある業務管理規程に改訂する。
・経験の浅い職員でも適切に業務を遂行できるよう、業務プロセスの可視化・標準化を推進するとともに
業務の効率化を行う。
④品質不正防止の取組み
・社長を委員長とするコンプライアンス委員会の下部組織として、品質コンプライアンス委員会を設置
し、各部門の品質に関係する業務の適切性や、本件不適切行為に関わる是正措置の実施状況についてモ
ニタリングを行う。
・グループ内職員向けの品質相談窓口や、同業他社で発覚した品質不正につき当社グループにおいて同様
の事案がないかをただちに調査し、問題がある場合は改善する仕組みを構築する。また、特別調査委員
会の調査結果・提言等及び当社グループの再発防止策について役職員への周知を図る。
⑤品質保証部門の人員確保
人員補強のほか、品質保証業務に必要な素養・スキルが得られる教育を実施する。
⑥取締役会の監督機能強化
重大なコンプライアンス違反あるいは可能性がある事案が判明した場合は、速やかに取締役会に報告し、取締役会においてコンプライアンス、内部統制及びエンタープライズリスクマネジメントに関わる議論を徹底する。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)ガバナンス
当社の取締役会及び当社に設置したサステナビリティ推進委員会が中心となり、サステナブルビジョン実現のための戦略や目標設定を行い、グループのサステナビリティに関する重要な課題に対する戦略・施策の実施状況を監督し、指示を行っている。
取締役会及びサステナビリティ推進委員会は、中期経営計画策定に際し、サステナブルビジョン実現のための戦略及び目標を見直すための審議を行うが、その際、「気候変動リスク及び機会」や「自然関連の依存、影響、リスク及び機会」のほか、ESGに関連するリスク及び機会(以下、「ESGリスク等」と総称する。)を考慮する。サステナビリティに関する取組の進捗等は、サステナビリティ推進委員会で確認し、取締役会に報告される。取締役会は、この報告を受け、重要な課題や取組に対する施策実施の監督及び指示を行う。サステナビリティに関する議題を扱う取締役会は、年2回開催している。
サステナビリティ推進委員会は、委員長を取締役社長、委員会メンバーを事業本部長、事業所長、グループ会社社長等で構成している。サステナビリティ推進委員会では、当社グループにおけるサステナビリティ推進に係る重要な課題や取組みについて確認および議論を行い、リスクと機会及び社会・環境への影響について監督を行うとともに、報告事項等の承認を行う責任を担っている。サステナビリティ推進委員会は、年4回開催している。
また、サステナビリティ推進室が、サステナビリティ推進委員会の事務局として、サステナブル経営の推進を一元的に担うとともに、サステナビリティに関わる方針策定やグループ横断的な各種施策の実行・支援、情報発信などの活動を行っている。サステナビリティ推進室は、当社グループの事業のうちESGリスク等の観点から優先順位の高い事業や場所のパフォーマンスと進捗状況を経営陣に報告し、経営陣が適時に問題を認識し対処するための体制を整えている。
ESGリスク等に関する方針・コミットメント・目標設定、評価及び管理などに対する執行側の最高レベル責任と説明責任は、当社取締役社長が担っている。
サステナビリティ推進体制
(2)戦略
当社グループは、「技術の力で、人類と自然の調和に挑む」ことを使命とし、新たな事業機会の獲得、当社グループの持続的成長のため、サステナビリティを重視した経営を実践しており、2050年に当社グループの目指す姿であるサステナブルビジョンを、「環境負荷をゼロにする」「人々の幸福を最大化する」に定めている。
そのうえで、サステナブルビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定した。そして、成功の柱ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進している。
主な取組み内容は次のとおりである。なお、Forward 25の進捗状況については、「
ア.カーボンニュートラル
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社会課題の認識 |
パリ協定の1.5℃目標を達成するには、社会全体でのカーボンニュートラル達成が不可欠。脱炭素社会への移行要請が急拡大。 |
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機会(●)と リスク(■) |
●再生可能エネルギーの主流化 ●低炭素・脱炭素製品・技術の需要増加 ■GHG排出規制、炭素税などの規制強化 ■高環境負荷製品の需要減少 |
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指標及び目標 |
(GHG排出量削減目標) ・スコープ1・2につき、2025年度34%削減(2013年度比) ・スコープ1・2・3につき、2030年度50%削減(2013年度比)、2050年度カーボンニュートラル (Forward 25) ・脱炭素化事業の拡大につき、2025年度に700億円の事業規模を目指す。 |
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主な対応策 |
・スコープ1・2につき、製造プロセスにおける化石エネルギーの削減・再生可能エネルギーへの切り替え推進や効率的なエネルギーの使用推進等 ・スコープ3及び脱炭素化事業の拡大に関し、舶用エンジン燃料の非化石化、メタネーションや風力発電を含むカーボンネガティブ貢献製品・事業の拡大展開、サプライヤーや顧客との協働の推進等。 |
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実績 |
・スコープ1・2(2023年度)は、223.4kt-CO2eq(2013年度比39.7%削減)、スコープ3(2023年度)は、26,260.7kt-CO2eq ※ |
イ.資源の完全循環
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社会課題の認識 |
世界人口の爆発的増加に起因し、エネルギー・資源・食糧・水の不足、住む場所の問題、廃棄物の問題、生物多様性の崩壊等が生じる。環境負荷ゼロ社会への移行要請急拡大。 |
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機会(●)と リスク(■) |
●環境意識の高まり、規制強化による環境関連ビジネスの市場拡大 ●サーキュラーエコノミーによる新たなビジネスモデル創出 ■環境規制強化とサーキュラーエコノミーへの対応による事業面でのコストアップ |
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指標及び目標 |
(当社グループの事業活動) ・2050年度ゼロエミッション(埋立率を限りなくゼロに近づけること)達成 ・2025年度リサイクル率90%以上、埋立率3%以下 (Forward 25) ・資源循環事業の拡大につき、2025年度に3,530億円の事業規模を目指す。 ・水事業の拡大につき、2025年度に400億円の事業規模を目指す。 |
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主な対応策 |
・事業活動で使用する資源の完全循環につき、製品回収による有価金属の再資源化や製造プロセスにおけるリサイクルの徹底等。 ・サーキュラーエコノミーへの貢献につき、リサイクルしやすい設計の推進、長寿命部品の使用、長寿命化技術の開発推進、廃棄物資源から多様な有価物を創出・活用するWaste to X事業、水事業の拡大等 |
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実績 |
・2023年度廃棄物発生量は、以下のとおり。 ①当社及び製造子会社から発生する廃棄物(計11社) 発生量11,042t、埋立量392t、埋立率3.5% ②非製造子会社から発生する廃棄物(計60社) 発生量422t ③現地工事関連の廃棄物(当社を含め計5社) 発生量33,470t (②③の埋立量・率は今後調査予定) ※ |
ウ.サステナブル調達
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社会課題の認識 |
サプライチェーンにおける環境・社会側面の責任拡大 |
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機会(●)と リスク(■) |
●サプライチェーン全体での環境負荷ゼロ、社会的価値の創出によるバリューチェーン全体の持続可能性に貢献することで、社会的信頼性が向上 ■サプライチェーンにおける人権侵害や環境負荷によるレピュテーションの低下 |
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指標及び目標 |
(2050年度目標) 全サプライヤーのサステナビリティ推進スコア*80(100点満点)達成 *国連グローバル・コンパクトSAQのスコア |
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主な対応策 |
当社グループのサステナブル調達方針・サプライヤー向けガイドブックに基づく指導、改善協議の継続的実施。 |
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実績 |
・2023年度も国連グローバル・コンパクトSAQを実施し、当社単体発注額の約84%にあたる624社を調査対象とし、回答率は約83%(517社)であった。 ※なお、当連結会計年度もSAQを実施した。 |
エ.人々の幸福の最大化
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社会課題の認識 |
持続可能な発展は、環境課題解決に加え、人々の健康、影響力、能力、公平、意味・意義が認められることが必要。 多様な人材が心身ともに健康で、自己の能力を最大限発揮できる職場の実現への要請。 第三者による人権侵害に加担しないことへの強い要請。 |
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機会(●)と リスク(■) |
●当社グループのビジネスバリューチェーン全体への価値創造による信頼性の向上 ●DE&Iの推進を通じたイノベーションの創出による企業競争力の向上 ●働き方改革の加速による生産性・効率性・モチベーションの向上 ■多様な人材の活躍機会の喪失による人材の流出 ■事業環境の変化に対応できないことによる競争力の低下と業績の低迷 |
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指標及び目標 |
(2050年度目標) ・人権リスクゼロの継続 ・全サプライヤーのサステナビリティ推進スコア*80(100点満点)達成 *国連グローバル・コンパクトSAQのスコア なお、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針についての戦略、指標と当該指標に関する目標及び実績は、「 |
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主な対応策 |
・人材の多様性の確保、多様な働き方の提供、適正配置・戦略的育成、人材の定着に繋がる取組み等。 ・国連グローバル・コンパクトに賛同、署名。 ・国際人権章典、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に加え、「カナデビアグループ倫理行動憲章」が定める人間尊重を貫く姿勢の堅持。 |
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実績 |
・人権方針制定(2024年4月) ・2023年度も国連グローバル・コンパクトSAQ実施結果は、前述「サステナブル調達」を参照。なお、 |
オ.コーポレート・ガバナンスの高度化
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社会課題の認識 |
実効性の高いコーポレート・ガバナンス実現の要請拡大。 高い倫理性に基づく企業活動、透明性ある企業活動の重要性増大。 |
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機会(●)と リスク(■) |
●実効性の高いコーポレート・ガバナンスの実現を通じた持続的な企業価値の向上 ●高い倫理性に基づく企業活動による会社に対する信頼性の向上 ■コーポレート・ガバナンス及び内部統制の機能不全による適切な経営判断の欠如、事業停滞・低迷及び不祥事の発生とこれらを理由とするステークホルダーからの信頼低下 ■役職員のコンプライアンス意識、倫理性の欠如による反競争的行為や腐敗・贈収賄等を含むコンプライアンス違反事案の発生 |
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指標及び目標 |
(2025年度目標) グループ全体のサステナブル経営体制確立完了 |
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主な対応策 |
・サステナビリティ推進委員会を中心とする体制の維持、運用の継続 ・実効性あるコーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの徹底 |
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実績 |
・贈収賄防止規程の制定(2024年4月) ・サステナビリティ推進委員会(年4回)開催 ※ ・当連結会計会計年度において、当社グループの舶用エンジン事業、可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等の事業・製品について一部に不適切行為が行われていたことを公表した。特別調査委員会による調査結果を踏まえ、包括的な再発防止策の一環として、経営トップによるコミットメントの発信、組織風土改革・意識改革、業務プロセスの改善、品質不正防止の取組み、品質保証部門の人員確保、取締役会の監督強化に取り組む。 |
(3)リスク管理
ア.組織全体のリスク管理
プラントエンジニアリング企業である当社グループが手掛けたプラントの故障や破損は、顧客の環境劣化につながる。このため、プラントの受注案件単位でのガバナンスをかけて、リスクや機会のマネジメントを推進している。
しかし、個別案件の環境劣化リスクにのみ着目していては、中長期的なリスクに対応することができない。また、当社グループは、ごみ処理発電施設等や水関連プラントなど環境分野で事業を営んでいるため、事業の推進と地域社会の環境負荷改善が連動している。したがって、事業戦略を実現するには、自然関連リスク等の管理プロセスと組織全体のリスクマネジメントへの統合が不可欠である。
そこで、当社グループでは、気候変動・自然資本関連を含め、様々な社会課題を踏まえ、社会とステークホルダーの視点、事業継続へのインパクトの視点から7つの「成功の柱」(マテリアリティ)を設定し、各マテリアリティに対してリスクと機会を抽出している。
当社グループでは、ESG課題に対する中長期リスクについては、サステナビリティ推進委員会において、バリューチェーン全体について包括的に議論している。議論にあたっては、サステナビリティ推進委員会の事務局であるサステナビリティ推進室が、当社グループ事業のうちESGリスク等の観点から優先順位の高い事業や場所のパフォーマンスと進捗状況を踏まえて問題提起を行う。これにより、サステナビリティ推進委員会における議論を活発化し、重要なリスクを経営戦略会議に報告、経営陣が適時に問題を認識し、対処することができる。また、サステナビリティに関連する議題を扱う取締役会は、年2回開催されるが、このうち、少なくとも1回は、ESG課題に関連する中長期リスクに関連するサステナビリティ推進委員会および経営戦略会議における議論を踏まえた報告を受け、ガバナンスを効かせている。
今後は、サステナビリティ推進委員会を中心に、中期経営計画の更新に合わせて定期的に見直しを行い、外部環境の変化を反映させる。
イ.気候変動・自然関連リスク等の特定・評価プロセス
気候変動影響を受ける可能性が高い3つの事業(ごみ焼却発電事業、バイオガスプラント事業、風力発電事業)については、TCFDの枠組みに沿って1.5℃上昇を含む複数のシナリオに基づく影響分析を行っている。
また、自然関連リスクについては、2024年度のWtE事業等について、既に公表されているTNFD V1.0のガイドラインやツール等を参考に、LEAPアプローチによって特定・評価を行った。2024年10月に発行したTNFDレポートでは、ごみ焼却発電事業およびバイオマス発電事業における自然資本への影響と生態系サービスへの依存を、5段階(Very High, High, Medium, Low, Very Low)で評価した。また、同レポートでは、定量評価も実施した。具体的には、調達については、国際産業連関表に基づいたサプライチェーンの負荷の推計値(二次データ)を使って地域およびプロセスを推定し、評価した。納入先のプラントについては、環境アセスメントや発生したインシデント情報に従って評価した。今後は、依存および影響、バリューチェーンの上流・下流について、データの取得範囲の拡大と可用性の向上に取り組み、それらデータに基づく更なる分析に加え、特定済みのリスクの評価見直しを定期的に行う。
(4)指標及び目標
「
(5)人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標
当社グループでは、職員の多様性を尊重し、また、人材に対する投資を通じて、各職員の能力やエンゲージメントの向上により企業価値を高め、持続的な成長につなげている。2023年度より開始した中期経営計画「Forward 25」の基本方針である「持続可能な経営の推進」においても、人的資本の強化を重点施策の1つとして位置付けている。人的資本の強化においては、「人」と「組織」の成長の好循環が「会社の成長」及び「企業価値の向上」を促進するという考えの下、経営戦略・事業戦略の実行に必要な「人材の採用・確保」、「適正配置・戦略的育成」、「人材の定着」を人事戦略の重点施策として掲げ、以下のとおり取り組んでいる。
① 人材の採用・確保
事業の維持・拡大に必要な人材の確保が重要であると同時に、性別、年齢、国籍等に関係なく多様な考え方、ルーツを持った人材の確保も欠かせないと考えている。このような人材の確保にあたっては、多様性を受容する組織風土、心理的安全性の高い職場環境、心身ともに健康で誰もが自身の持つ力を最大限発揮できる環境に加え、多様な働き方を提供する取組みに注力している。
② 適正配置・戦略的育成
確保した人材には、役割やキャリアに応じた自律的な学び、挑戦を促すだけでなく、個々人の能力や適性を見極め、キャリア形成やリスキリングの支援、また戦略的な人材配置を推進することで人材の流動化の促進にもつなげていく。この取組みを強化するため、タレントマネジメントシステムを整備し、個々のスキル、経験、適性をより詳細に把握し、育成計画、配置戦略、適材適所の人材活用を推進していく。さらに、海外においても活躍できるグローバル人材、当社の企業価値向上の推進役となる経営人材、製品サービスの付加価値向上や業務効率化・生産性向上による働き方改革の実現を目指したDX人材の育成にも注力している。
③ 人材の定着
当社グループで長期間活躍する人材の定着のため、エンゲージメントの向上に向けた働き甲斐が感じられる環境の整備、若手及び管理職のモチベーションアップに向けた人事処置制度の見直しや福利厚生制度の再構築、多様な経験や価値観等を活かしたDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)によりイノベーションを起こす仕組みの整備に取り組んでいる。
上記の人材戦略の取組みにあたっては、「創業者精神・Kanadevia Valueの共有」「意識改革・風土改革」をはじめとする人材戦略の基盤となる項目を掲げている。特に、「エンゲージメント」、「ウェルビーイング」、「健康経営・安全」、「ワークライフバランス」、「DE&I」に着目しており、2024年7月には管理職の多様な活躍と自律的なキャリア形成を促し、支援するとともに、人材の定着ややりがいのある処遇を目指して制度の見直しを実施した。また、2025年4月より定年年齢を60歳から65歳へ引き上げるとともに、賃金制度をはじめとする人事制度を見直すことにより、年齢にかかわらず職員一人ひとりが持てる能力を発揮し、挑戦、成長できる環境を整備した。
当該指標に関する目標及び実績は次のとおりである。
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指標 |
目標( |
実績(当連結会計年度) |
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事務系: 技術系:10 |
事務系: 技術系:6.9% (注)2 |
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(注)1.上記については、連結グループにおける記載が困難であるため、当社単体の目標及び実績を記載している。
2.女性新卒採用率の実績は、2024年4月1日付新卒入社職員の数値を記載している。
3.職員エンゲージメント指数は、2009年度から隔年で実施している職員意識調査から測定してきたが、2023年度からは、エンゲージメントに影響を及ぼす要因を深掘りし、より効果的なアクションにつなげられるよう、エンゲージメントに特化した調査に変更した。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 個別受注案件のリスク
当社グループでは、主力事業であるごみ焼却発電施設のEPC(設計・調達・建設)をはじめ、個別受注案件が多く、受注時の見積コストを上回る費用の発生、工程遅延による納期遅れ、あるいは技術・製品トラブル等に伴うペナルティが発生した場合には、収益の悪化により当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある。
当社では、これらの個別受注案件に伴うリスクの回避及びリスクが顕在化した場合の損失の最小化のため、次のとおり徹底したリスク管理に取り組んでいる。
① 受注段階におけるリスク管理体制
個別受注案件の見積段階において、関係各部門が、技術、コスト、納期、契約条件等に関するリスクの抽出及び評価を行った上でその対策を検討し、計画どおりに工事を完遂するためのリスク検討会を行う等、受注前にあらゆるリスクを検討した上で受注の可否を判断している。
■受注までのリスク管理プロセス
② 受注後におけるリスク管理体制
当社グループの主要な大型受注案件については、次のとおり受注後も継続的にフォローする体制をとり、徹底した収益管理を行っている。
イ.工事期間中は、各事業部において、月次フォロー会議を開催し、工事の進捗状況・収益見込みについて継続的なモニタリングを行うことで課題の抽出、対応策を検討し、リスクの発生防止、影響の最小限化に努めている。特に重要な案件については、取締役社長が議長を務めるトップマネジメント・レビュー会議で進捗状況等を報告し、必要に応じて経営幹部による指示・助言を行っている。
ロ.工事完工後は、プロジェクト成果報告会を開催し、各工事における成果、課題等を水平展開することで、現在進行中及び今後の工事案件の収益強化及びトラブルの未然防止を図る。
③ 海外子会社受注案件のリスク管理体制
当社連結子会社のうち、Kanadevia Inova AG.、Osmoflo Holdings Pty Ltd、NAC International Inc.等の主要な海外子会社の受注案件については、その案件規模や契約条件等に鑑み、大きなリスクが想定される場合には、当社の事前承認を得ることを義務付けている。
さらに、Kanadevia Inova AG.については、プロジェクトの進捗状況、収益状況等をタイムリーに把握するモニタリング組織を同社内に設置し、当社から人員を派遣して個別工事のリスク管理体制を強化している。
(2)事業環境等に関するリスク
当社グループを取り巻く事業環境等に関しては、次のとおりリスクを認識しており、各リスクに対する種々の対応策をとっているが、それらの対応策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある。
① 価格競争
当社グループの主要な製品・事業であるごみ焼却発電施設、舶用原動機、自動車用プレス機械、圧力容器等各種プロセス機器、橋梁等は成熟市場にあり、市場内に競合企業が多く、受注価格が下落傾向にある。当社グループでは、新技術の開発、アフターサービスの充実を図ること等により他社との製品差別化を図るとともに、人件費、経費等の固定費削減、固定費構造の変革による競争力の向上に取り組んでいるが、新規案件の減少に伴う競争激化によって受注価格がさらに下落する可能性もあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。
② 素材価格の高騰
当社グループでは、鋼材、ステンレス等の非鉄金属製品、石油製品等を使用する製品・工事が多く、資材調達機能の集中化、グループ調達・共同購買の強化による資材費圧縮に取り組んでいるが、鋼材、非鉄金属、原油をはじめとした素材価格及びその二次製品の価格が上昇した場合、コストアップによる収益悪化や、価格面における競争優位性が得られなくなる等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。
③ 海外事業、カントリーリスク
当社グループでは、環境事業の主力製品であるごみ焼却発電施設については、当社と当社連結子会社のKanadevia Inova AG.との間で事業活動領域を区分し、当社は、東南アジア、中国、インド地域を、Kanadevia Inova AG.は、当社の事業活動領域を除く全世界を主な事業活動領域としており、また、プロセス機器、使用済核燃料保管・輸送機器等の機械事業においては、全世界を事業活動領域として事業活動を展開している。現地のカントリーリスクに関しては、事業の計画段階で情報の収集に努めているが、事業開始後、予想外の政情不安、米中貿易問題、文化や法制度の相違、特殊な労使関係等によりリスクが顕在化した場合は、円滑な業務運営が妨げられ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。
なお、ロシア・ウクライナ情勢による影響については、業績への大きな影響はない見通しであるが、引き続き状況を注視し、業績への影響、コンプライアンスリスクや商務リスクについて精査を行いながら適切に対応していく。
④ 当社グループの事業構造に関するリスク
当社グループの事業構造は、今後は縮小が予想される国内案件の比率が高いことから、海外比率を高めるため、海外における事業活動を推進している。また、官需部門の環境事業で確固たる地位を確保している国内市場においても、さらに安定した事業構造とするべく、2023年度を初年度とする中期経営計画「Forward 25」においては、既存事業の持続的成長に向けて、海外事業の持続的伸長、事業構造改革の推進、継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善を行っていくが、これらの事業構造改革が進まない場合には、収益の確保・向上が果たせず、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。
⑤ 金利上昇及び為替変動
当社グループは、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化を進めるとともに、社内管理規程に基づき、金利変動リスク及び為替変動リスクをヘッジしているが、想定以上の金利上昇や為替変動が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。
⑥ 固定資産の減損
当社グループが保有する固定資産について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。
⑦ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上している。将来の課税所得については、経営環境の変化などを踏まえ適宜見直しを行っているが、結果として繰延税金資産の全額または一部に回収可能性がないと判断し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。
⑧ 災害
当社グループは、地震、台風、パンデミック等の各種災害による損害を最小限に抑えるため、国内主要拠点における事業継続計画を策定し、定期的に訓練を実施する等有事の対応力強化に努めるとともに、緊急時に役職員(家族を含む)の安否を確認するための「安否確認システム」を導入・運用しているが、想定外の大規模な人的・物的被害が発生した場合には、事業活動の停止により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。
⑨ 品質管理リスク
当社グループが提供する製品・サービスについては、社内外の基準を遵守するための厳格な品質管理体制を整備・運用しているが、予期せぬ製品・サービスの欠陥や品質不良、品質不正が発生した場合には、損害賠償金の支払いや社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。
当社は、当社グループのうち舶用エンジン事業を行っている連結子会社において不適切行為が行われていたことが判明したことを受け、2024年7月17日付で当社グループから独立した外部有識者で構成される特別調査委員会を設置し、透明性及び実効性を確保した調査を実施した。かかる調査の結果、2025年3月25日及び同年4月30日に公表したとおり、他の事業・製品等についても、一部に不適切行為が行われていたことが判明した。当社グループとしては、これらの不適切行為が明らかになったことを厳粛に受け止め、再発防止策(再発防止策は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり)に取り組んでいくことに加え、特別調査委員会の提言をもとにさらなる実効性の高い再発防止策を策定・実施し、信頼回復に努めていく。
⑩ 法令違反等
当社グループでは、コンプライアンスの徹底を経営の最重要課題の一つと位置付けており、当社にコンプライアンス委員会を設置して、コンプライアンス経営推進のための諸施策を継続的に実施している。具体的には、当社グループの役職員全員が遵守すべき倫理行動指針をまとめた「カナデビアグループ倫理行動憲章」を制定し、コンプライアンス遵守についてのトップメッセージの発信、社内規程の整備・運用、定期的なコンプライアンス教育の実施、内部通報体制の整備等を行っているが、このような当社グループの経営姿勢が徹底されず、法令違反等を発生させた場合には、罰金や課徴金、損害賠償金等の支払い、営業停止や指名停止等の行政処分、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、経営成績等という。)の概要は次のとおりである。
①経営成績
|
科目 |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
前期比 (百万円) |
前期比(%) |
|
売上高 |
555,844 |
610,523 |
54,678 |
9.8 |
|
営業利益 |
24,323 |
26,946 |
2,622 |
10.8 |
|
経常利益 |
25,646 |
24,329 |
△1,316 |
△5.1 |
|
親会社株主に 帰属する当期純利益 |
18,999 |
22,103 |
3,103 |
16.3 |
当連結会計年度の経済情勢は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる。先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響等も、国内景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある。
こうした中で、当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」のもと、既存事業の持続的成長、成長事業の創出・拡大、持続可能な経営の推進(企業価値向上)を基本方針として、各種重点施策を鋭意推進しているところである。
当連結会計年度の経営成績については、売上高は主に環境部門の増加により、前連結会計年度に比べ54,678百万円(9.8%)増加の610,523百万円となった。
損益面では、営業利益は、機械・インフラ部門及び脱炭素化部門が悪化したが、環境部門の改善により、前連結会計年度に比べ2,622百万円(10.8%)増加の26,946百万円となった。営業利益は改善したものの、持分法による投資利益の減少及び為替差益の減少等により、経常利益は、前連結会計年度に比べ1,316百万円(5.1%)減少の24,329百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、税金費用の減少等により、前連結会計年度に比べ3,103百万円(16.3%)増加の22,103百万円となった。
②財政状態
|
科目 |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
前期比 (百万円) |
前期比(%) |
|
連結総資産 |
533,593 |
609,666 |
76,072 |
14.3 |
|
流動資産 |
347,076 |
357,114 |
10,037 |
2.9 |
|
固定資産 |
186,475 |
252,532 |
66,056 |
35.4 |
|
負債の部 |
364,647 |
411,771 |
47,124 |
12.9 |
|
純資産の部 |
168,946 |
197,895 |
28,948 |
17.1 |
当連結会計年度末の財政状態について、連結総資産は前連結会計年度末に比べ76,072百万円増加の609,666百万円となった。このうち、流動資産は、前連結会計年度末の347,076百万円から10,037百万円(2.9%)増加し、357,114百万円となった。固定資産は、前連結会計年度末の186,475百万円から66,056百万円(35.4%)増加し、252,532百万円となった。これは、主として当連結会計年度にKanadevia Inova Denmark A/S及びIona Capital Ltdを連結の範囲に含めたことによるものである。
負債の部は、前連結会計年度末の364,647百万円から47,124百万円(12.9%)増加し、411,771百万円となった。これは、主として有利子負債の増加によるものである。
純資産の部は、前連結会計年度末の168,946百万円から28,948百万円(17.1%)増加し、197,895百万円となった。これは、主として利益剰余金の増加によるものである。
③キャッシュ・フローの状況
|
科目 |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
前期比 (百万円) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
478 |
24,769 |
24,291 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△21,491 |
△56,573 |
△35,081 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△2,606 |
30,150 |
32,757 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
69,774 |
68,707 |
△1,067 |
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動により獲得した資金が、投資活動により使用した資金を下回ったことにより、前連結会計年度末に比べ1,067百万円(1.5%)減少の68,707百万円となった。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度を24,291百万円(5,076.2%)上回る24,769百万円となった。これは、主として前連結会計年度に一部手形の廃止(建設業対象工事及び資本金3億円以下のメーカーに対して手形を廃止し振込による支払いに変更)に伴う仕入債務の支払額が増加したこと等を反映したものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、前連結会計年度を35,081百万円(163.2%)上回る56,573百万円となった。これは、主として固定資産の取得による支出及び子会社株式の取得による支出等を反映したものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、30,150百万円となった(前連結会計年度は2,606百万円の資金の使用)。これは、主として借入金の増加等を反映したものである。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
環境 |
457,594 |
10.7 |
|
機械・インフラ |
119,696 |
7.3 |
|
脱炭素化 |
72,430 |
26.8 |
|
その他 |
17,828 |
30.6 |
|
合計 |
667,550 |
12.1 |
(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前期比(%) |
|
環境 |
617,363 |
10.5 |
1,623,166 |
11.2 |
|
機械・インフラ |
91,179 |
12.9 |
86,262 |
10.5 |
|
脱炭素化 |
54,033 |
△25.6 |
86,505 |
△15.8 |
|
その他 |
3,334 |
15.5 |
565 |
△45.9 |
|
合計 |
765,910 |
7.1 |
1,796,499 |
9.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。
2.受注残高の前期比の算出にあたっては、為替レート変動による影響額を前期末受注残高において修正している。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
環境 |
453,471 |
11.3 |
|
機械・インフラ |
82,989 |
△8.8 |
|
脱炭素化 |
70,247 |
27.1 |
|
その他 |
3,814 |
64.3 |
|
合計 |
610,523 |
9.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。
2.主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対し10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略している。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成に当たっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
また、工事契約に係る収益認識、貸倒引当金、保証工事引当金及び工事損失引当金等の重要な引当金の計上、固定資産の減損ならびに繰延税金資産の回収可能性の判断などの見積りについては、それぞれ合理的な基準に基づいて実施している。連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。
②当連結会計年度の経営成績の分析
a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、期初時点の見通しと比較して、売上高・利益項目ともに達成することができた。
また、SDGs(持続可能な開発目標)の概念が世界的に広がり、持続可能な開発・循環型社会の実現に向けて社会は動き出している。この動きは、事業・製品を通じてサステナブル(持続可能)で、安全・安心な社会の実現に貢献するという当社グループの事業の方向性と一致している。
こうした状況を踏まえ、当社は、2023年度から3か年の中期経営計画「Forward 25」を策定した。
詳細は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針、経営戦略等」に記載している。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループは、流動性の確保と財務体質の強化を基本方針として掲げている。
流動性の確保については、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮等による営業キャッシュ・フローの底上げ、国内のグループ会社間でのキャッシュマネジメントシステムによるグループ内の余剰資金の有効活用により、流動性確保、資金効率化を図っている。また、資本市場へのアクセスの継続等により、長期安定資金の確保に対応するとともに、国内金融機関においてコミットメントライン300億円を設定し、マーケット環境の一時的な変化等不測の事態にも対応できる体制を整えている。
財務体質の強化については、格付向上を目指し、自己資本の更なる充実と有利子負債のコントロールに努めていく。
また、当社グループは、2023年度を初年度とする中期経営計画(Forward25)において、戦略的な事業投資・開発投資等の実行により、成長事業の創出・拡大をスピードアップする方針である。重点分野である脱炭素化、資源循環、水事業およびライフサイエンス関連事業を中心に投資総額は3年間で1,400億円を計画し、着実に実行している。成長投資に対応しつつ財務健全性の維持・向上を目指すとともに安定的な株主還元を実施し、企業価値の向上に努める。
(資金調達に関する考え方)
当社グループは、流動性の確保と資金調達の多様化を目的とし、金融機関からの借入およびグリーンボンドを含む社債発行による調達を行っている。地球温暖化対策や再生可能エネルギー等の事業に取り組む当社グループでは、今後もグリーンボンドをはじめとするグリーンファイナンスを積極的に活用していく。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」にて、2030年度は売上高900,000百万円レベル、2030年度営業利益率10%の目標を掲げている。2025年度は、売上高620,000百万円、営業利益27,000百万円となる見通しである。
また、米国の通商政策、物価上昇及び金融資本市場の変動等の影響が今後さらに拡大する、もしくは影響が長期化するといった状況になれば、収益目標の達成にマイナスの影響が生じるリスクがあるものの、現時点ではそうした影響を織り込んでいない。
d.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
|
セグメント |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
前期比 (百万円) |
|||
|
売上高 |
営業利益 |
売上高 |
営業利益 |
売上高 |
営業利益 |
|
|
環境 |
407,281 |
19,124 |
453,471 |
25,403 |
46,190 |
6,279 |
|
機械・インフラ |
90,984 |
2,973 |
82,989 |
1,016 |
△7,994 |
△1,956 |
|
脱炭素化 |
55,257 |
1,805 |
70,247 |
101 |
14,990 |
△1,703 |
|
その他 |
2,321 |
442 |
3,814 |
496 |
1,492 |
53 |
|
セグメント計 |
555,844 |
24,346 |
610,523 |
27,018 |
54,678 |
2,672 |
|
調整額 |
- |
△22 |
- |
△72 |
- |
△49 |
|
合計 |
555,844 |
24,323 |
610,523 |
26,946 |
54,678 |
2,622 |
(環境)
売上高は、海外子会社の売上増加により、前連結会計年度に比べ46,190百万円(11.3%)増加の453,471百万円となった。
セグメント利益は、国内EPC及び海外子会社の収益改善等により、前連結会計年度に比べ6,279百万円(32.8%)増加の25,403百万円となった。
(機械・インフラ)
売上高は、精密機械及びインフラが減少したこと等により、前連結会計年度に比べ7,994百万円(8.8%)減少の82,989百万円となった。
セグメント利益は、減収に伴う減益により、前連結会計年度に比べ1,956百万円(65.8%)減少の1,016百万円となった。
(脱炭素化)
売上高は、風力発電の増加等により、前連結会計年度に比べ14,990百万円(27.1%)増加の70,247百万円となった。
セグメント利益は、プロセス機器及び脱炭素化の収益悪化等により、前連結会計年度に比べ1,703百万円(94.4%)減少の101百万円となった。
(その他)
売上高は前連結会計年度に比べ1,492百万円(64.3%)増加の3,814百万円、セグメント利益は53百万円(12.2%)増加の496百万円となった。
(1)技術受入契約
|
契約会社名 |
契約の相手方 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
|
国籍 |
名称 |
||||
|
カナデビア㈱ |
スイス |
Kanadevia Inova AG.(連結子会社) |
塵芥焼却装置 |
1.産業財産権の実施権の設定 2.技術情報の提供 3.製造権及び販売権の許諾 |
2003年8月から 2026年9月まで |
|
カナデビア㈱ |
ドイツ |
MAN Energy Solutions SE |
MAN B&W型ディーゼル機関 |
1.産業財産権の実施権の設定 2.技術情報の提供 3.製造権及び販売権の許諾 |
1981年7月から 2031年12月まで |
(注)MAN Energy Solutions SEは、2025年6月4日付で商号をEverllence B&Wに変更している。
(2)連結子会社(㈱エイチアンドエフ)株式の譲渡並びに当社の連結子会社(科納維商貿(上海)有限公司、
Kanadevia India Private Limited及びPT. Kanadevia INDONESIA)の事業の一部譲渡
当社は、2025年1月24日開催の取締役会において、当社の連結子会社である㈱エイチアンドエフ(以下「エイチアンドエフ」)の当社が保有する全株式を㈱アマダ(以下「アマダ」)に譲渡すること(以下「本件株式譲渡」)並びに、当社の連結子会社である科納維商貿(上海)有限公司(以下「KVTS」)、Kanadevia India Private Limited(以下「KVIND」)及び PT. Kanadevia INDONESIA(以下「PTKV」)の事業の一部を譲渡すること(以下「本件事業譲渡」)を決定し、同日、株式譲渡契約を締結した。
この株式譲渡契約及び事業譲渡契約の概要は次のとおりである。
①本件株式譲渡及び本件事業譲渡の理由
エイチアンドエフは、その前身となる福井機械㈱が 1964年に設立されて当社グループに加わって以降、1999年に当社のプレス事業と統合し現在の「エイチアンドエフ」に商号を変更、自動車用大型プレス機械の製造・アフターサービスを展開し、主に日系自動車会社向けに事業を展開してきた。その間、2006年には㈱東京証券取引所のJASDAQ(当時)に上場、2017年からは当社の完全子会社として当社グループのプレス事業を担ってきた。
近年、自動車の EV 化に伴う車体の軽量化等、生産能力の要求レベルが高まる中、今後の更なる環境変化も見据え、成長戦略を加速し、収益性を改善・向上させるためのパートナーシップを模索してきた。その結果、アマダがエイチアンドエフの親会社になることで、アマダグループの保有する中小型プレス機械との補完性や、販売基盤と加工ノウハウ等の活用による事業機会の拡大、経営基盤の強化、更なる企業価値向上が期待できるものと判断し、本件株式譲渡及び本件事業譲渡を行うことを決定した。
本件株式譲渡及び本件事業譲渡により、エイチアンドエフはアマダグループとのシナジーを追求することで、エイチアンドエフが持つ大型プレス機械とアマダグループが持つ中小型プレス機械の相互補完関係を構築し、商品ラインナップ・顧客基盤の大幅な拡充及びレーザーブランキング装置をはじめとした高付加価値商品への資本の投下を実現し、今後、プレス業界でのポジショニングをより強固なものとし、企業価値の向上が期待できると判断したものである。
②本件株式譲渡の内容
ア. 異動する子会社(エイチアンドエフ)の概要
名称 :株式会社エイチアンドエフ
所在地 :福井県あわら市自由ヶ丘1丁目8番28号
代表者の役職・氏名 :取締役社長 山田 烈史
事業内容 :プレス機械、各種自動化装置、制御装置の製造・販売及びアフ
ターサービス
資本金 :1,055百万円
設立年月日 :1964年8月18日
大株主及び持ち株比率 :カナデビア㈱(100.00%)
イ. 本件株式譲渡の相手先(アマダ)の概要
名称 :株式会社アマダ
所在地 :神奈川県伊勢原市石田200番地
代表者の役職・氏名 :代表取締役社長執行役員 山梨 貴昭
事業内容 :金属加工機械(板金商品、微細溶接商品)及び金属工
作機械(切削商品、研削盤等、プレス商品)の開発・
製造・販売・サービス
資本金 :54,768百万円
設立年月日 :1948年5月1日
大株主及び持株比率(2024年9月末現在)(注):日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口) 20.96%
㈱日本カストディ銀行(信託口) 13.51%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 3.31%
公益財団法人天田財団 3.02%
JPモルガン証券㈱ 2.15%
MSIP CLIENT SECURITIES 2.04%
㈱かんぽ生命保険 1.83%
日本生命保険相互会社 1.79%
野村信託銀行㈱(投信口) 1.57%
JP MORGAN CHASE BANK 385781 1.37%
(注)持株比率は、自己株式を控除して算出している。なお、アマダは自己株式を有しているが、大株主からは除外している。
ウ. 譲渡株式数及び譲渡前後の所有株式の状況
譲渡前の所有株式数 :9,849,602株(持株比率:100.00%)
譲渡株式数 :9,849,602株
譲渡後の所有株式数 :0株(持株比率:0.00%)
③本件事業譲渡の内容
ア.事業譲渡する子会社の概要
(ア)KVTSの概要
名称 :科納維商貿(上海)有限公司
所在地 :中国上海市浦東新区陸家嘴環路1000号 恒生銀行大廈40階A041号室
代表者の役職・氏名 :董事長・総経理 馬 向東
事業内容 :1. カナデビアグループ製品の中国国内での輸入販売
2. 中国製品のカナデビアグループへの輸出販売
3. 関連する製品の中国国内売買
4. 上記に付随する技術•役務サービス、アフターサービスの提供
資本金 :2,000千元
設立年月日 :2013年8月13日
大株主及び持株比率 :カナデビア㈱ 100.00%
(イ)KVINDの概要
名称 :Kanadevia India Private Limited
本店所在地 :503, 5th Floor, Vatika City Point, Mehrauli Gurgaon Road, Gurgaon-
122002, Haryana, India
代表者の役職・氏名 :社長 金坂 哲也
事業内容 :1. カナデビアグループ製品のインド国内での輸入販売
2. インド製品のカナデビアグループへの輸出販売等
資本金 :648百万INR
設立年月日 :2011年5月3日
大株主及び持株比率 :カナデビア㈱ 99.93% エコマネジ㈱ 0.07%
(ウ)PTKVの概要
名称 :PT. Kanadevia INDONESIA
本店所在地 :Wisma BNI 46 Lt. 6 Suite 6.11 Jl. Jendral Sudirman Kav. 1 karet Tengsin Tanah Abang Jakarta Pusat, 10220, Indonesia
代表者の役職・氏名 :社長 達 俊彰
事業内容 :1. カナデビアグループ製品のインドネシア国内での販売及びアフターサービス
2. 船舶用ディ―ゼルエンジン部品、プレス機械及び部品、シールド掘進機及び部品の輸入
資本金 :6,000百万IDR
設立年月日 :2013年8月30日
大株主及び持株比率 :カナデビア㈱ 99.00% エコマネジ㈱ 1.00%
イ.譲渡事業
エイチアンドエフが製造したプレス機械に関するアフターサービスに付随した業務
ウ.譲渡事業の経営成績(2024年3月期)(注)
売上高:901百万円
経常利益:166百万円
(注)KVTS、KVIND及びPTKVの単純合算
エ.譲渡する予定の資産、負債の項目及び金額
譲渡事業に付随する資産、負債を精査の上、譲渡する。
オ.本件事業譲渡の相手先の概要
②イ.記載の「本件株式譲渡の相手先(アマダ)の概要」と同様である。
④本件株式譲渡及び本件事業譲渡の譲渡価額
譲渡価額:177億円
⑤株式譲渡及び事業譲渡の実行日
2025年5月1日
(3)連結子会社(㈱プロモテック)の吸収合併(簡易合併)
当社は、2025年2月5日開催の取締役会において、当社の連結子会社である㈱プロモテック(以下「プロモテック」)を吸収合併(以下「本合併」)することを決定し、同日、プロモテックと本合併に係る合併契約を締結した。
本合併の概要は次のとおりである。
①本合併の目的
プロモテックは当社の 100%子会社で、主に橋梁等鋼構造物向け設計システムの開発・保守・販売を行っていたが、経営の効率化の観点から、グループ内の経営資源を集約し、業務運営の一体化を図るため、当社がプロモテックを吸収合併することを決定した。
②本合併の方法
当社を存続会社とし、プロモテックを消滅会社とする吸収合併
③本合併の期日
2025年4月1日
④本合併に係る割当ての内容
プロモテックは、当社の完全子会社であるため、本合併に際して、当社はプロモテックに対して、株式、金銭その他の財産の交付を行わない。
⑤本合併により引継ぐ資産・負債の状況
当社は、本合併の効力発行日をもって、消滅会社であるプロモテックからその資産・負債その他の権利義務の一切を引継いだ。
⑥存続会社となる会社の概要
資本金:45,442百万円
事業内容:環境事業、機械・インフラ事業、脱炭素化事業
当社グループ(当社及び連結子会社)においては、中期経営計画「Forward 25」のもと、環境や機械・インフラ、脱炭素化の各事業に注目して、現有製品の高度化、及び新製品開発に取り組んできた。
当社グループの研究開発体制としては、当社開発本部の下に、開発企画部を設けて開発戦略の構築と新規事業の企画を推進するとともに、技術研究所を設けて当社グループの技術基盤となる研究開発を行い、また既存事業領域以外の分野として、全固体リチウムイオン電池の事業化推進に取り組む電池事業推進室を設置して、開発・事業化などに取り組んできた。さらに、各事業本部の下に開発センターを設けて、製品開発段階にある開発テーマの事業化に取り組んできた。
当連結会計年度における研究開発費は、
(セグメントごとの主な研究開発活動)
環境部門では、当社がごみ処理における地球環境問題への取組みとして、NEDOのグリーンイノベーション基金事業において、「CO2高濃度化廃棄物燃焼技術の開発」が委託事業として採択され、実証試験設備の計画を進めた。また、火格子材料の実機検証や新自動燃焼制御システムAutaroの実証を連結海外子会社とともに行ったほか、ごみ収集に掛かる輸送の運営や安全ツールなど、DX・AI技術を組み込んだ製品開発を行った。一方で、水処理分野では、国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)において、「下水汚泥消化ガスのEx-situ型バイオメタネーション反応技術に関する調査事業」が採択され、フィールド試験もスタートした。なお、当部門にかかる研究開発費は、
機械・インフラ部門では、機械分野において、市場の拡大や継続性が見込める分野に着目し、半導体分野などの精密機械関連の開発を行ったほか、ライフサイエンス関連としてAI画像による医療診断支援システムや医薬品の検査装置、バイオ関連技術などの開発を進めた。一方でインフラ分野においては、設備の老朽化対策に資することを目的として、橋梁・水門の診断システムの開発を進め、インフラ設備の保全技術の向上への要請に応えた。また、生産技術に関する開発も手掛け、生産工場のDX・スマート工場化を図った。なお、当部門にかかる研究開発費は、
脱炭素化部門では、当社が、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として採択された3つの事業「触媒とエンジン改良によるLNG燃料船からのメタンスリップ削減技術の開発」「アンモニア燃料船搭載のN2Oリアクタ開発」「大規模PEM型水電解装置の開発、熱需要の脱炭素化実証」にて、メタンを酸化させるシステム、触媒によりN2Oを除去するリアクタ、及び水電解装置の大型化・モジュール化の各開発に取り組んだ。それらに加えて、同事業のフェーズ1「洋上風力発電の低コスト化」で実施した成果を取り入れてフェーズ2「浮体式洋上風力実証事業」に移行し、大型風車を用いた実海域での実証に向けて計画を進めた。また、連結海外子会社とともにCO2回収の実証やメタネーション技術の開発が順調に進捗した。なお、当部門にかかる研究開発費は、
その他部門では、当社の技術研究所が、流体や構造、材料等の数値シミュレーション、AI及びIoTの各種製品への適用技術開発、スマート工場化に向けた自働化技術開発、デジタルエンジニアリングを活用した技術基盤の強化と先端技術導入を図り、製品の競争力向上を推進した。加えて、カーボンニュートラルに資する燃料合成や水電解装置の性能向上などの開発を実施した。また当社は、全固体リチウムイオン電池のエネルギー密度などの性能を更に高め、かつ生産効率の向上に対する開発も行い、宇宙環境での実証にも成功した。なお、当部門にかかる研究開発費は