(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、全体としては緩やかな成長を維持したが、中国経済の減速や原油価格の下落による資源国経済の低迷等、年度後半には不透明感が強まった。我が国経済においても、企業収益改善により設備投資は増加基調となったが、個人消費が伸び悩むなど、弱含みの状況が続いた。
このような状況の下、当連結会計年度における当社グループの受注高は、エネルギー・環境セグメント等が増加したものの、前連結会計年度に受注規模の大きかった交通・輸送セグメントが減少したことにより、前連結会計年度を2,135億81百万円(△4.5%)下回る4兆4,855億38百万円となった。
売上高は、エネルギー・環境セグメントが減少したものの、機械・設備システムセグメントが増加したことなどにより、前連結会計年度を546億99百万円(+1.4%)上回る4兆468億10百万円となった。
営業利益は、エネルギー・環境、機械・設備システムセグメント等で減少したものの、交通・輸送セグメントで大きく増加したことにより、前連結会計年度を133億66百万円(+4.5%)上回る3,095億6百万円、経常利益は、為替差損を営業外費用に219億8百万円計上したことなどにより、前連結会計年度を22億87百万円(△0.8%)下回る2,725億円となった。
また、特別利益として負ののれん発生益、固定資産売却益等を147億38百万円計上する一方で、客船事業関連損失引当金繰入額、事業構造改善費用等を特別損失に1,545億56百万円計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を465億77百万円(△42.2%)下回る638億34百万円となった。
セグメントの業績は、次のとおりである。
ア. エネルギー・環境
火力発電プラントでは、世界最高水準の高効率運転を実現する「J形ガスタービン」を韓国及びメキシコで受注したほか、フィリピンや韓国で超々臨界圧火力発電プラント向け設備を受注した。また、化学プラントでは、当社が戦略地域と位置付けているCIS及び北中米において重点的な受注活動を展開した結果、ウズベキスタン向けの肥料製造プラントや、トリニダード・トバゴ向けのメタノール・ジメチルエーテル製造プラントを受注した。以上の結果、受注高は前連結会計年度を814億43百万円(+4.2%)上回る2兆50億77百万円となった。
売上高は、火力発電システムの売上高の減少等により、前連結会計年度を567億47百万円(△3.5%)下回る1兆5,427億79百万円となった。営業利益は、火力発電システムにおいて、アフターサービス事業の採算改善はあったものの、売上高の減少に加え、関西電力姫路第二発電所で発生した蒸気タービンの不適合対策費用を計上したことなどにより、前連結会計年度を80億14百万円(△4.9%)下回る1,546億67百万円となった。
イ. 交通・輸送
受注高は、米国のシェールガス革命を背景としたLNG船及びLPG船、民間航空機事業でB787用主翼等が受注を伸ばし、また、東南アジアや中東を中心に海外の鉄道路線建設需要が堅調な交通システムで、タイのバンコクレッドライン建設プロジェクトを受注したが、交通システムやリージョナルジェット機MRJで大型案件の成約があった前連結会計年度を3,921億30百万円(△39.2%)下回る6,071億36百万円となった。
売上高は、民間航空機事業を中心に増加し、前連結会計年度を189億12百万円(+3.6%)上回る5,485億10百万円となった。営業利益は、円安の影響に加え、民間航空機事業での売上高の増加等により、前連結会計年度を310億59百万円(+132.4%)上回る545億11百万円となった。
ウ. 防衛・宇宙
宇宙関連事業では、世界最高水準の打上げ成功率を強みとするH-ⅡAロケットの積極的な受注活動を展開した結果、ドバイ政府宇宙機関から火星探査機の打上げ輸送サービスを受注した。また、防衛関連事業でも、防衛航空機等の受注が増加した。以上の結果、受注高は前連結会計年度を303億18百万円(+7.3%)上回る4,477億43百万円となった。
売上高は、H-ⅡA/Bロケットの打上げが前連結会計年度の年間5機から3機に減った宇宙関連事業が減少したものの、艦艇を中心に防衛関連事業が増加し、前連結会計年度を11億6百万円(+0.2%)上回る4,850億70百万円となった。営業利益は、宇宙関連事業の売上高の減少等により、前連結会計年度を27億75百万円(△9.7%)下回る257億89百万円となった。
エ. 機械・設備システム
前連結会計年度にドイツのシーメンス社と事業統合を行った製鉄機械の受注が増加したほか、ターボチャージャ、空調機器、物流機器の事業規模が拡大した。また、メカトロシステム・ITS分野での事業強化や環境設備における大型改良工事の受注などにより、受注高は前連結会計年度を477億88百万円(+3.6%)上回る1兆3,925億64百万円となった。
売上高は、製鉄機械での事業統合効果等により、前連結会計年度を848億94百万円(+6.3%)上回る1兆4,323億58百万円となった。営業利益は、事業統合による売上高の増加はあったものの、前連結会計年度に高採算であったコンプレッサの売上高が減少したほか、PMI(Post Merger Integration(M&A後の統合活動))の途上である製鉄機械の採算性が低下したことなどにより、前連結会計年度を76億68百万円(△8.7%)下回る800億77百万円となった。
オ. その他
受注高は前連結会計年度を121億32百万円(+8.0%)上回る1,628億73百万円、売上高は前連結会計年度を223億99百万円(+14.5%)上回る1,773億35百万円、営業利益は前連結会計年度を22億94百万円(+22.2%)上回る126億17百万円となった。
(注)当連結会計年度から、一部の事業を「その他」から「機械・設備システム」に部門変更している。これに伴い、前連結会計年度比については、前連結会計年度分を変更後の部門区分に見直した上で記載している。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ570億82百万円(△16.0%)減少し、3,002億67百万円となった。これは、営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローに対して、現金及び現金同等物の換算差額が351億94百万円生じたことなどによるものである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,700億2百万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べ571億68百万円(+26.9%)増加した。これは、税金等調整前当期純利益が減少した一方で、事業規模が拡大傾向にある中で生産効率化及び資金回収を推進し、売上債権及びたな卸資産など運転資金負担が減少したこと、また法人税等の支払額が減少したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,624億79百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ883億29百万円支出が増加した。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、231億6百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べ227億66百万円支出が減少した。これは、短期借入金及びコマーシャル・ペーパー、長期借入れによる収入及び社債の発行による収入が減少した一方で、長期借入金の返済による支出及び社債の償還による支出が減少したことなどによるものである。
(1) 生産実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
|
エネルギー・環境 |
1,493,179 |
△6.8 |
|
交通・輸送 |
600,989 |
+6.6 |
|
防衛・宇宙 |
484,909 |
+0.4 |
|
機械・設備システム |
1,412,045 |
+7.6 |
|
その他 |
73,743 |
+7.4 |
|
合計 |
4,064,866 |
+0.9 |
(注)1.上記金額は、大型製品については契約金額に工事進捗度を乗じて算出計上し、その他の製品については完成数量に販売金額を乗じて算出計上している。
2.セグメント間の取引については、各セグメントの金額から消去している。
3.上記金額には、消費税等は含まれていない。
4.当連結会計年度から、一部の事業を「その他」から「機械・設備システム」に部門変更している。これに伴い、前連結会計年度比については、前連結会計年度分を変更後の部門区分に見直した上で記載している。
(2) 受注状況
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
|||
|
受注高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
受注残高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
|
エネルギー・環境 |
2,005,077 |
+4.2 |
3,804,347 |
+16.5 |
|
交通・輸送 |
607,136 |
△39.2 |
1,646,396 |
△1.5 |
|
防衛・宇宙 |
447,743 |
+7.3 |
777,675 |
△4.7 |
|
機械・設備システム |
1,392,564 |
+3.6 |
655,859 |
△12.6 |
|
その他 |
162,873 |
+8.0 |
10,903 |
+61.7 |
|
調整額 |
△129,857 |
― |
― |
― |
|
合計 |
4,485,538 |
△4.5 |
6,895,184 |
+5.9 |
(注)1.受注高については、「エネルギー・環境」、「交通・輸送」、「防衛・宇宙」、「機械・設備システム」及び「その他」にはセグメント間の取引を含んでおり、「調整額」でセグメント間の取引を一括して消去している。
2.受注残高については、セグメント間の取引を各セグメントの金額から消去している。
3.上記金額には、消費税等は含まれていない。
4.当連結会計年度から、一部の事業を「その他」から「機械・設備システム」に部門変更している。これに伴い、前連結会計年度比については、前連結会計年度分を変更後の部門区分に見直した上で記載している。
(3) 販売実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
|
エネルギー・環境 |
1,542,779 |
△3.5 |
|
交通・輸送 |
548,510 |
+3.6 |
|
防衛・宇宙 |
485,070 |
+0.2 |
|
機械・設備システム |
1,432,358 |
+6.3 |
|
その他 |
177,335 |
+14.5 |
|
調整額 |
△139,244 |
― |
|
合計 |
4,046,810 |
+1.4 |
(注)1.「エネルギー・環境」、「交通・輸送」、「防衛・宇宙」、「機械・設備システム」及び「その他」にはセグメント間の取引を含んでおり、「調整額」でセグメント間の取引を一括して消去している。
2.上記金額には、消費税等は含まれていない。
3.当連結会計年度から、一部の事業を「その他」から「機械・設備システム」に部門変更している。これに伴い、前連結会計年度比については、前連結会計年度分を変更後の部門区分に見直した上で記載している。
(1) 経営環境
当社グループの持続的成長のためにはグローバル市場における競争力強化が不可欠であるが、国内外の巨大競合先との競争はますます激化しており、優位性のある新製品の投入やIoT(Internet of Things(モノのインターネット))/AI(Artificial Intelligence(人工知能))技術を活用した付加価値向上、新事業領域の拡大が急務となっている。さらに、MRJ事業や将来の海外原子力事業等の大規模プロジェクトに対応できるよう、財務基盤をより強固にすることが必要と考えている。
(2) 今後に向けた取組み
このような激しい変化と厳しい競争の下、「2015事業計画」の施策を補強して各事業の拡大と収益力強化を図るとともに、財務基盤、リスク対応力、共通技術基盤の各分野において、追加施策を推進していく。
ア. 収益力
当社グループの中核である、三菱日立パワーシステムズ株式会社、Primetals Technologies社及び三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス株式会社の3社を「独自経営合弁会社」と位置付け、各社の事業特性に応じた迅速な自律経営を推進し、競争力と収益力の強化を図っていく。さらに、3社のPMIを加速しながらサービス事業等への人員シフトを図るとともに、組織・拠点の再編加速、重複部門の統合などを進めていく。
また、従来から取り組んできた戦略的事業評価に基づく事業ポートフォリオの見直しを進め、既存SBU(Strategic Business Unit(戦略的事業評価制度における事業単位))の選択と集中を更に加速し、メリハリをつけたリソース配分を推進する。他方、当社グループを支えるコーポレート部門においても、付加価値の高い業務への集中とアウトソーシングを含む定型業務の見直し・効率化を進める。
イ. 財務基盤
収益力の強化に加え、強固な財務基盤確立のために必要となるキャッシュ生成力を強化する。このため、キャッシュ・コンバージョン・サイクルを新しく評価指標として導入し、各SBUの目標サイクル期間の達成を強力に推進していく。具体的には、サプライチェーンや業務プロセス・工場管理の見直しなど抜本的な対策を推進し、運転資金の削減を加速する。
また、保有資産の選別を更に進めるとともに、分散している資産の集約等を行い、アセットマネジメントによる資産価値の最大化を引き続き図っていく。
ウ. リスク対応力
本年3月に1番船を引き渡した大型客船建造プロジェクトにおいては、度重なる工程遅延により多額の特別損失を計上したが、この反省も踏まえ、リスク対応力の強化が喫緊の課題と認識している。本年4月には事業リスク総括部を新設し、CEO(取締役社長)直轄の全社リスクマネジメント体制を構築した。事業リスク総括部は、リスク管理室とリスクソリューション室で構成されており、リスク管理室は、当社グループ全体のリスク管理及び関連業務の体系化と集約を推進し、各種リスクの未然防止や低減活動を推進する。また、リスクソリューション室は、大型客船建造プロジェクトや米国SONGS(サンオノフレ原子力発電所)仲裁等、既発生の重要案件に対応している。今後は、海外でのリスクマネジメント先進事例の研究等を行い、リスクマネジメント体制の更なる強化を図っていく。
エ. 共通技術基盤
技術とマーケティング、調達などの機能を横断的に融合させた「シェアードテクノロジー部門」を本年4月に発足させた。同部門は、新設のエンジニアリング本部、マーケティング&イノベーション本部及びバリューチェーン本部と、既存のICTソリューション本部及び総合研究所で構成され、CTOが統括する。これにより、技術基盤及びマーケティング力の強化や調達を含めたバリューチェーンの全体最適を図り、中長期にわたる競争力の強化とリスク対応力の向上を目指していく。
当社グループは、以上の諸施策を着実に展開していくとともに、今後もコンプライアンスやCSR(企業の社会的責任)を経営の最優先課題と捉え、社会の持続的発展に貢献していく。
当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻くリスク要因には、為替変動・金利等の経済リスク、貿易制限・カントリーリスク等の政治リスク、製造物責任等の法務リスク、自然災害・事故等の災害リスク、株価変動・投資等の市場リスクをはじめ様々なものがあるが、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 財政状態、経営成績の変動にかかる事項
ア.経済情勢
当社グループの経営成績は、日本及び世界各国・地域の経済情勢変動の影響を受ける可能性がある。日本では民間設備投資等の推移、海外では米国・欧州や中国・インド等新興国の経済情勢の変動が挙げられるが、複雑化する今日の世界経済の下では、必ずしも当社グループが事業を展開している当該国又は地域経済の情勢のみの影響を受けるとは限らない。
イ.輸出・海外事業
当社グループは、世界各国・地域における輸出・海外事業の拡大を図っているが、部品の現地調達や現地工事に伴う予期しないトラブル、納期遅延や性能未達による契約相手方からの請求、契約相手方のデフォルト等の要因が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。さらに、当社グループは、新興国での総合的なインフラ整備等に積極的に参画するなど、新たなビジネスモデルの構築・拡大に取り組んでいるが、各国政府が民間企業を主導して大規模インフラ開発案件の受注活動に力を入れるなど、激しい競争に必ず勝ち残るという保証はない。
ウ.為替レートの変動
当社グループの輸出・海外事業の取引は、主に米ドルやユーロ等の外貨建てで行われており、為替レートの変動が当社グループの競争力に影響を与える可能性がある。また、国内事業においても為替レートの変動による海外競合企業のコスト競争力の変化により、当社グループの競争力に影響が生じる可能性がある。さらに、国内競合企業と当社グループの為替レート変動に対する影響度合いが異なる場合は、国内外における当該企業との競争力にも影響が生じる可能性がある。当社グループは外貨建て取引にあたり、資材の海外調達拡大による外貨建て債務の増加及び為替予約等によりリスクヘッジに努めているが、為替レートの変動は当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。
エ.資金調達
当社グループは、将来見通しも含めた金利動向を勘案して資金調達を実施しており、低利・安定資金の確保に努めているが、金利の大幅な変動をはじめとする金融市場の状況変化は、将来における当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。
オ.退職給付費用及び債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の長期期待運用収益率である。これらの前提条件は妥当なものと判断しているが、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合は、将来にわたって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。また、年金資産の運用利回りの変動や割引率決定の基礎となる日本の国債利回りの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。
(2) 特定取引先への依存等にかかる事項
ア.M&A・アライアンス
当社グループは、多くの製品事業について、他社とのM&A・アライアンスを通じて、その強化・拡大を図っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象等を理由として、これらのM&A・アライアンスが目論見どおり実現できない場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。
イ.資材調達
当社グループの事業活動には、原材料、部品、機器及びサービスが第三者から適時・適切に、かつ十分な品質及び量をもって供給されることが必要である。このうち一部の原材料・部品等については、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の変更が困難なものがあり、これら原材料・部品等の品質上の問題、供給不足、納入遅延及び災害に伴う生産停止等の発生は、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。また、需給環境の変化による原材料・部品等の供給価格の高騰は、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
(3) 特定製品・技術にかかる事項
ア.製品競争力
当社グループは、性能・信頼性・価格面で常に顧客から高い評価を得るよう、更には市場の動きを先取りした新たな機能を提案できるよう、研究開発や設備投資を中心にした製品競争力の強化を進めているが、国内外の競合企業において当社グループのそれを上回る製品競争力の強化が行われるなどした場合には、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。
イ.製品の品質等
当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を払っているが、製品の性能、納期上の問題や製品に起因する安全上の問題について契約相手方やその他の第三者から国内外で請求を受け、また訴訟等を提起される可能性がある。これらについて、当社グループが最終的に支払うべき賠償額が製造物責任賠償保険等でカバーされるという保証はない。また、製品の仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。
なお、平成25年10月に、当社及びMitsubishi Nuclear Energy Systems, Inc.は、米国Southern California Edison Companyらから、米国サンオノフレ原子力発電所向け取替用蒸気発生器供給契約に関連して、当社らに契約上の義務違反があったなどとして、損害賠償を求める仲裁を申し立てられた。
ウ.知的財産
当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源のひとつと位置づけ、この経営資源を特許権等により適切に保全するとともに、第三者への技術供与や第三者からの技術導入を行っている。しかしながら、必要な技術導入を第三者から必ず受けられる(又は有利な条件で受けられる)という保証はない。また、知的財産の利用に関して競合企業等から訴訟等を提起され敗訴した場合、特定の技術を利用できなくなり、また損害賠償責任を負い、事業活動に支障をきたすおそれがある。従業員若しくは元従業員から、職務発明の対価に関する訴訟が提起されないという保証はない。
(4) 法的規制にかかる事項
ア.法令・規制
当社グループは、国内外で各種の法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程等)に服しており、当社グループでは法令遵守の徹底を図っている(「第4 提出会社の状況」の「6 コーポレート・ガバナンスの状況等」に当社の状況を記載)。法令・規制に関しては、当社グループは、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、また当局やその他の利害関係者から損害賠償請求訴訟等を提起される可能性がある。
なお、平成25年9月に、当社が米国司法省との間で、特定の顧客向けのカーエアコン用コンプレッサ及びコンデンサに係る販売に関して米国独占禁止法に違反した事実があったことを認め、司法取引に合意したことに関連して、当社及び当社の子会社を含む複数の事業者に対し民事賠償を求める訴訟が北米において提起された。
イ.環境規制
当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、有害物質の使用、省エネルギー及び地球温暖化対策等に関し、国内外において各種の環境規制に服している。これらの規制が将来厳格化された場合や、過去、現在及び将来の当社グループの事業活動に関係し、法的責任に基づき賠償責任を負うこととなった場合、また社会的責任の観点から任意に有害物質の除去等の対策費用を負担するなどした場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。
(5) 従業員、関係会社等にかかる事項
ア.人材の確保
当社グループの競争力は、研究開発、設計、調達、製造、建設等の各職種における優れた専門的知識や技能を持った従業員により支えられている。当社グループは、グローバルな事業活動を一層進める中で優秀な人材を多数確保するため、国内に加え海外でも積極的な採用活動を行っているが、必ずしも十分に確保できる保証はない。また、技術・技能伝承の強化等、人材の育成にも努めているが、十分な効果が出るという保証はない。
イ.関係会社
当社の連結子会社、持分法適用非連結子会社、持分法適用関連会社は、当社と相互協力体制を確立している一方、自主的な経営を行っているため、これら関係会社の事業や業績の動向が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。
(6) その他の事項
ア.災害
当社グループは、暴風、地震、落雷、洪水、火災、感染症の世界的流行(パンデミック)等の各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めているが、このような災害による物的・人的被害及び社会インフラの重大な障害・機能低下により当社グループの活動(特に工場等における生産活動)が影響を受ける可能性がある。また、これによる損害が損害保険等でカバーされるという保証はない。
イ.情報セキュリティ
当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報に多数接しているほか、当社グループの技術・営業・その他事業に関する機密情報を保有している。コンピュータウィルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、機密情報が滅失若しくは社外に漏洩した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。
(1) 吸収分割契約
当社は、平成27年7月31日、当社が営む船舶建造事業の一部を当社の子会社であるMHI船海エンジニアリング株式会社(以下、「MHI船海エンジニアリング」という。)に承継させる会社分割(以下、「本吸収分割」という。)について、MHI船海エンジニアリングと吸収分割契約(株主総会の決議による承認を要しない吸収分割契約)を締結することを決定し(定款の定めに基づく取締役会における決議による委任に従い、当該委任を受けた取締役が決定したもの)、同日、MHI船海エンジニアリングとの間で吸収分割契約を締結した。
本吸収分割の概要は、以下のとおりである。
ア. 本吸収分割の目的
平成27年10月1日付で100%出資の船舶建造事業会社を発足させ、長崎地区大型商船の建造を同社に移管し、得意船種であるガス船建造に集中することで、連続建造による生産合理化、組織のコンパクト化による効率化、機動的な体制の中での業務プロセスの合理化を進め、コスト競争力の強化を図り、商船事業の発展に努める。
イ. 本吸収分割の日程
平成27年7月31日 吸収分割契約締結
平成27年10月1日 効力発生日
ウ. 本吸収分割の方法及び割当ての内容
当社を吸収分割会社とし、MHI船海エンジニアリングを吸収分割承継会社とする分社型簡易吸収分割である。
MHI船海エンジニアリングは、本件分割に際して普通株式40,000株を発行し、そのすべてを当社に対して割当て交付する。
エ. 本吸収分割に係る割当ての内容の算定根拠等
承継会社は分割会社の100%子会社であり、かつ本分割は資産及び負債を帳簿価額で承継させ、本分割により承継会社が発行する全株式を当社に割り当てる分社型吸収分割であることから、両社間で協議し、割り当てる株式数を決定した。
オ. 承継会社が承継する権利義務
①MHI船海エンジニアリングは、当社と平成27年7月31日に締結した吸収分割契約の定めに従い、当社が以下の対象事業に関して有する資産、負債及びこれらに付随する権利義務を承継する。(ただし、吸収分割契約において承継しないと定めたものを除く。)
(対象事業)
長崎地区において建造するLNG運搬船、LPG運搬船及び資源探査船(ただし、これらの船体ブロック製造及び品質保証に関する事業は除く。)の設計、製造、調達、品質保証、販売及びサービスに係る事業(これらに附帯する事業を含む。)
②本件分割による当社からMHI船海エンジニアリングに対する債務その他の義務の承継は、全て重畳的債務引受の方法による。
カ. 承継会社が承継する資産・負債の状況(平成27年10月1日現在)
MHI船海エンジニアリングが承継する資産の額は622億円、負債の額は564億円である。
キ. 本吸収分割後の承継会社の概要(平成27年10月1日現在)
|
商号 |
三菱重工船舶海洋株式会社 |
|
本店の所在地 |
長崎県長崎市香焼町180番地 |
|
代表者の氏名 |
取締役社長 横田 宏 |
|
資本金の額 |
1,000百万円 |
|
事業の内容 |
船舶の設計、製造、販売及び修理 |
(2) その他重要な契約
|
契約会社名 |
相手方 |
内容 |
契約日付 |
摘要 |
|
|
名称 |
国籍 |
||||
|
三菱重工業㈱ (当社) |
㈱日立製作所 |
日本 |
火力発電システムを主体とする分野での事業統合に関する統合比率、範囲、合弁会社の概要、その他諸条件に係る基本契約 |
平成25年6月11日 |
(注)1 |
|
火力発電システムを主体とする分野での事業統合に関する、合弁会社の運営等に係る契約 |
|||||
|
三菱重工業㈱ (当社) 三菱日立製鉄機械㈱ (連結子会社) |
Siemens Aktiengesellschaft |
ドイツ |
製鉄機械事業の統合に向けた各社の権利義務、諸条件及び合弁会社の概要等に係る契約 |
平成26年5月7日 |
(注)2 |
|
製鉄機械事業の統合手続に係る契約 |
|||||
(注)1.当該契約に係る事業は、三菱日立パワーシステムズ㈱で行っている。
2.当該契約に係る事業は、Primetals Technologies, Limited(英国)で行っている。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、各ドメイン、技術統括本部(平成28年4月1日以降は、技術戦略推進室、総合研究所及びICTソリューション本部をはじめとするコーポレート研究開発部門)間の密接な連携により、各製品の競争力強化や今後の事業拡大につながる研究開発を強力に推進している。
各セグメント別の主な研究開発の状況及び費用は次のとおりであり、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は総額で1,506億90百万円である。なお、この中には受託研究等の費用616億59百万円が含まれている。
(1) エネルギー・環境
エネルギーの安定的かつ効率的な供給や環境の保全を図り、また安全性を向上させる技術開発を推進し、天然ガス・原子力等のクリーン燃料及び再生エネルギーの利用技術、分散型電源システム、高効率発電システム等、エネルギー供給に係る市場ニーズに対応した付加価値の高い製品の研究開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・世界最大級の出力と世界最高水準の熱効率を誇り、低炭素社会の実現に資する「タービン入口温度1,600℃級J形ガスタービン」の更なる性能向上に向けた開発
・タービン入口温度を高く維持したまま燃焼器の空冷化を可能とする「次世代空冷システム」の実用化検証及び「空冷式1,650℃級ガスタービン」の要素技術の開発
・経済産業省主導のプロジェクトである次世代型「タービン入口温度1,700℃級ガスタービン」の要素技術の開発
・国内外で商用化が期待されている発電出力500~600MW級の「石炭ガス化複合発電(IGCC)プラント」の信頼性・経済性を更に向上させ、また、これまで利用されなかった高水分・高灰分の低品位炭を有効に活用する技術の開発
・固体酸化物形燃料電池とガスタービンを複合した次世代の高効率型発電システムである「燃料電池複合発電システム」の開発
・原子力プラントについての①安全性向上に関する技術の開発、②経済産業省公募プロジェクトへの参画による東京電力福島第一原子力発電所等の事故対応に関する技術の開発、③既設プラントの廃止措置に関する技術の開発
・地球温暖化防止を目指した石炭焚火力発電所用ボイラの排出ガスからCO2を回収する技術の開発
・世界最大級の可変速油圧ドライブを搭載した「7MW級大型洋上風車」の開発
・環境規制や熱効率向上に関する舶用機械・エンジンの複合製品群プロジェクト(MEET)における①次期NOx環境規制をクリアする低圧EGR(排気ガス再循環)システム搭載のエンジンの開発、②再熱蒸気タービンプラントとガスエンジンを複合させた次世代推進システム「STaGE」の開発、③低負荷域でのエンジン性能を改善する電動アシスト過給機の開発
・統合制御システム(EMS)、電力マネジメント、工場向けトータルエネルギーソリューション、製品稼働履歴の分析効率化・有効活用技術の開発(ビッグデータ分析技術の適用)
当セグメントに係る研究開発費は534億69百万円である。
(2) 交通・輸送
省エネルギー、環境負荷低減、信頼性、快適性に優れた、船舶、交通システム、民間航空機等の最先端の製品開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・新パナマ運河の川幅拡張に対応した、高い輸送効率と燃費性能を持つ次世代LNG運搬船「サヤリンゴSTaGE」の開発
・汎用部品の多用や内外装の簡素化により大幅なコスト低減を実現する新興国向け新交通システム車両の開発
・世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えた次世代のリージョナルジェット旅客機「MRJ」の開発
・民間航空機に用いられる構造組立自動化、チタン合金の高速切削・熱間成形加工技術、レーザ非破壊検査技術等の革新的な製造技術の開発
・民間航空機用エンジンの国際競争力を維持向上するための、先進的なタービン設計技術の開発、高速レーザ穴あけ加工を始めとする低コスト生産技術及びセラミック基複合材や耐環境コーティングの先進材料技術の開発
当セグメントに係る研究開発費は265億75百万円である。
(3) 防衛・宇宙
日本のリーディングカンパニーとして、長年にわたり防衛・宇宙機器開発で培った技術を駆使して、最先端の製品開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・将来国産戦闘機の技術の獲得を目指し、従来飛行できなかった機動を含む高い運動性及びレーダに探知されにくい特性を兼ね備えた超音速小型航空機である先進技術実証機の試作
・海上配備型弾道ミサイル防衛(BMD)用の能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発
・H3ロケットのコスト低減・信頼性向上に資する制御技術及び製造技術の開発
・機雷の探知能力、類別能力等をもつ自律型の水中航走式機雷探知機の開発
・重要インフラの制御システム向け等のサイバーセキュリティ技術の開発
当セグメントに係る研究開発費は353億58百万円である。
(4) 機械・設備システム
鉄鋼、自動車、物流等の各産業向けの基礎設備及び社会インフラ等を提供するために、市場・需要の多様化に対応した製品固有の研究開発に取り組むとともに、個別製品の最新かつ高度な先進技術を各製品に幅広く適用する取組みを行っている。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・排ガスからの蒸気回収に加え、廃温水からも効率よく蒸気を回収するシステムを実現し、蒸気需要の多い産業用や地域冷暖房ユーザ向けに省エネ、省コスト、省CO2効果を増大させた全蒸気回収ガスエンジンコージェネレーションシステムの商品化
・分散型エネルギーシステムの普及拡大に向けて、世界最高クラスの発電効率(42%)、高総合効率化(81.5%)、低NOx化の実現により、イニシャルコスト削減を可能とした450kWガスエンジンコージェネレーションシステムの開発
・地球温暖化係数が極めて低いノンフロン冷媒(R1233zd(E))を採用した高効率ターボ冷凍機の開発
・高効率の三相モータ(IE3)を採用し、クラス最高(8馬力)のAPF(通年エネルギー消費効率)を達成した設備用空調機の開発
・内歯車加工において、従来の1/3以下の加工時間、2倍以上の工具寿命が実現可能な「スーパースカイビング盤」の開発
・新興国に対応可能な高速道路向け無線課金システムの開発
・扉数・扉位置が異なる車両に対応した改良型ホームドアの開発
当セグメントに係る研究開発費は260億32百万円である。
(5) その他・共通
当社次期製品の市場競争力確保のために必要となるキー技術や、次期・次世代の製品開発に必要かつ複数製品の共通基盤となるプラットフォーム技術開発に取り組んでいる。
当セグメントにおける主な研究開発は次のとおりである。
・大規模数値解析技術によるタービン/圧縮機の全段解析などの先進流動解析技術の開発
・運転ノウハウとビッグデータ解析技術を組み合わせた遠隔監視・保守サービス技術開発
・設計/調達/生産等の情報伝達や分析にIoT/AI技術を活用したサプライチェーン管理強化技術開発
「その他・共通」に係る研究開発費は92億55百万円である。
以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積
当社グループ(当社及び連結子会社)の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点での状況を基礎に、連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与えるような項目・事象について見積を行う必要がある場合がある。
当社グループの重要な会計方針の下で、財政状態及び経営成績に影響を与える重要な項目・事象について見積を行う場合とは以下のとおりである。
ア. たな卸資産の評価
当社グループは、たな卸資産について、期末における収益性の低下の有無を判断し、収益性が低下していると判断されたものについては、帳簿価額を正味売却価額又は処分見込価額まで切り下げている。収益性の低下の有無に係る判定は、原則として個別品目ごとに、その特性や市況等を総合的に考慮して実施している。
また、受注工事に係るたな卸資産について、受注工事損失引当金の計上対象案件のうち、期末の仕掛品残高が期末の未引渡工事の契約残高を既に上回っている工事については、その上回った金額は仕掛品の評価損として計上し、収益性の低下を反映させている。
イ. 有価証券の評価
当社グループは、その他有価証券のうち時価のある有価証券について時価評価を行い、評価差額については税効果会計適用後の純額を、その他有価証券評価差額金として純資産の部に含めて表示している。時価が著しく下落して回復の見込がないと判断されるものについては減損処理を実施している。減損の判定は下落幅及び帳簿価額を下回った期間の長さを考慮して実施している。
また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額の下落幅を考慮して減損の判定を行い、回復の見込がないと判断されるものについて減損処理を実施している。
ウ. 債権の回収可能性
当社グループは、金銭債権の回収可能性を評価して貸倒見積高を算定し、引当金を計上している。
貸倒見積高算定の対象となる債権は、日常の債権管理活動の中で、債権の計上月や弁済期限からの経過期間に債務者の信用度合等を加味して区分把握している。
貸倒見積高の算定に際しては、一般債権については貸倒実績率を適用し、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に相手先の財務状況等を考慮して、回収可能性を吟味している。
エ. 退職給付費用及び債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の長期期待運用収益率である。
割引率は、期末における長期の国債の利回りを基礎に設定している。年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮して設定している。
オ. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかの回収可能性を吟味し、回収が不確実であると考えられる部分に対して評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額している。
回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得の見積額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上している。
カ. 収益及び費用の計上基準
当社グループは、工事契約のうち期末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準により、その他については契約条件に基づく引渡し又は役務提供完了時点(見込品の場合は工場出荷時点)に収益を計上している。
工事進行基準の進捗率の見積は原価比例法によっており、進捗率の見積に用いる工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度のすべてが信頼性をもって見積ることができる場合に、成果の確実性が認められる工事として工事進行基準を適用している。
また、未引渡工事のうち期末で損失が確実視され、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事については、翌期以降に発生が見込まれる損失を受注工事損失引当金に計上している。
キ. 固定資産の減損
当社グループの資産グルーピングは、主として戦略的事業評価制度における事業単位とし、賃貸用資産、遊休資産及び事業の廃止・移管に伴う処分見込資産は原則として個々の資産グループとして取り扱っている。当該資産又は資産グループが生み出す将来キャッシュ・フローが帳簿価格を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額している。回収可能価額は正味売却額と使用価値のいずれか高い方の金額としている。正味売却額は処分見込価格から処分見込費用を控除した額を使用しており、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき算定している。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は、エネルギー・環境セグメントが減少したものの、機械・設備システムセグメントが増加したことなどにより、前連結会計年度を546億99百万円(+1.4%)上回る4兆468億10百万円となった。
営業利益は、エネルギー・環境、機械・設備システムセグメント等で減少したものの、交通・輸送セグメントで大きく増加したことにより、前連結会計年度を133億66百万円(+4.5%)上回る3,095億6百万円となった。
営業外損益は、前連結会計年度に比べ持分法による投資損益が改善したものの、為替差損益が悪化したことなどにより、前連結会計年度から156億54百万円悪化し、370億6百万円の費用(純額)となった。
以上により、経常利益は、前連結会計年度を22億87百万円(△0.8%)下回る2,725億円となった。
また、特別利益として負ののれん発生益、固定資産売却益等を147億38百万円計上する一方で、客船事業関連損失引当金繰入額、事業構造改善費用等を特別損失に1,545億56百万円計上した結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度を1,000億14百万円(△43.0%)下回る1,326億82百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を465億77百万円(△42.2%)下回る638億34百万円となった。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、外的要因である市場動向、為替動向、資材費動向、内的要因である海外事業における個々の契約、事故・災害、ものづくり力低下等がある。
市場動向については、当社グループの事業が関係する市場の多くにおいては、国内外の巨大企業との熾烈なグローバル競争が今後も展開されると予想されることから、当社グループを取り巻く経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識している。こうした中、当社グループは、グローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、名実ともに存在感のある企業グループとして勝ち残り、成長していくため、事業規模の拡大と利益増大による財務基盤の強化を図るとともに、企業統治・業務執行体制を高度化していく。
為替動向については、当社グループの輸出・海外事業の取引が主に外貨建てで行われていることから、事業競争力や経営成績に与える影響が大きく、為替変動リスクを最小限に抑える必要がある。このため、海外調達や海外生産を拡大し外貨建て債務を増加させることで外貨建て債権に係る為替リスクの低減を図るとともに、円建て契約の推進やタイムリーな為替予約の実施等によるリスクヘッジにも取り組んでいく。
資材費動向については、鋼材、非鉄金属、原油等の価格上昇への対応、設計の標準化、部品の共有化、標準品の採用推進、包括契約・海外生産の拡大等に取り組むほか、資材取引先との関係を強化し、従来以上に密接な情報交換を行い、更なるコスト削減努力を行っていく。
海外事業における個々の契約については、現地調達資材の品質不良・納期遅延、現地労働者の技量不足や労働慣習の特異性に加え、契約条件の片務性等のリスクがある。これらのリスクを回避・低減するため、契約の締結前に、事業部門だけではなくコーポレート部門も関与し、現地で調達・労働契約等を締結する際の留意事項を確認するとともに、顧客との契約条件については徹底した事前検証を行い、片務的条件の排除を図っていく。
事故・災害については、現場作業に携わる作業員の意識改革など継続的な現場管理活動により、経営に重大な影響を与えるような事故・災害の事前抑制に努めていく。
ものづくり力低下については、特に世代交代に伴う技術・技能の伝承問題等が懸念されるが、生産プロセス革新に向けた合理化投資やものづくり技術等への研究開発投資を集中的に行うとともに、人材の強化・育成に取り組むことで、ものづくり基盤の維持・強化を図っていく。
(4) 戦略的現状と見通し
「3 対処すべき課題」に記載のとおり。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア. キャッシュ・フロー計算書に係る分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,700億2百万円の資金の増加となった。税金等調整前当期純利益が減少した一方で、事業規模が拡大傾向にある中で生産効率化、資金回収を推進し、売上債権、たな卸資産など運転資金負担が減少したこと、法人税等の支払額が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ571億68百万円増加した。
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,624億79百万円の資金の減少となった。連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ883億29百万円支出が増加した。
財務活動によるキャッシュ・フローは、231億6百万円の資金の減少となった。短期借入金及びコマーシャル・ペーパー、長期借入れによる収入、社債の発行による収入が減少した一方で、長期借入金の返済による支出、社債の償還による支出も減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ227億66百万円支出が減少した。
イ. 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための引合費用等の販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容である。投資活動については、事業伸長・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投資有価証券の取得が主な内容である。
今後、成長分野に対しては必要な投資有価証券の取得や設備投資、研究開発投資等を継続していく予定である。全体的には、将来見込まれる成長分野での資金需要も見据え、最新の市場環境や受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行っていく予定である。
ウ. 有利子負債の内訳及び使途
平成28年3月31日現在の有利子負債の内訳は下記のとおりである。
|
(単位:百万円) |
|
|
合計 |
償還1年以内 |
償還1年超 |
|
短期借入金 |
293,131 |
293,131 |
- |
|
コマーシャル・ペーパー |
45,000 |
45,000 |
- |
|
長期借入金 |
449,017 |
61,715 |
387,302 |
|
社債 |
265,000 |
20,000 |
245,000 |
|
合計 |
1,052,149 |
419,846 |
632,302 |
当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることもあり、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要がある。近年の事業規模拡大により、これら必要資金は増加する傾向にあるが、その一方で、引き続き資産圧縮に努め、期限の到来した借入金を返済してきた結果、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、償還期限が1年以内のものが4,198億46百万円、償還期限が1年を超えるものが6,323億2百万円となり、合計で1兆521億49百万円となった。
これらの有利子負債は事業活動に必要な運転資金、投資資金に使用しており、資金需要が見込まれるエネルギー・環境、交通・輸送等の伸長分野を中心に使用していく予定である。
エ. 財務政策
当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債の調達を実施している。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしている。
一方で、有利子負債を圧縮するため、キャッシュマネジメントシステムにより当社グループ内での余剰資金の有効活用を図っており、また、売上債権、たな卸資産の圧縮や固定資産の稼働率向上等を通じて資産効率の改善にも取り組んでいる。
自己株式については、事業計画の推進状況、当社の業績見通し、株価動向、財政状況及び金融市場環境の改善等を総合的に勘案して取得を検討していくこととしている。